説明

集魚灯用給電ケーブル接続用コネクタ

【課題】プラグを給電ケーブルに取り付ける作業を現場で容易に行うことができる集魚灯用給電ケーブル接続用コネクタを提供する。
【解決手段】給電ケーブル5の外周に嵌合される絶縁筒701と、絶縁筒の先端部にネジ結合されるプラグ本体704と、プラグ本体と絶縁筒との結合部をシールするシール部材705と、絶縁筒の後端部の内周に圧入されるゴムブッシング702と、絶縁筒の後端部にネジ結合されるプラグ固定部材703と、プラグ7をレセプタクル6に接続する際にレセプタクルの中空部内に圧入されるプラグ先端部材707と、プラグ先端部材を軸線方向に圧縮した状態でプラグ本体をレセプタクル本体に締結するプラグ締結部材708とを備えて、プラグ先端部材707に設けたコンタクト圧入孔内で、プラグコンタクトとレセプタクルコンタクトとを接触させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集魚灯の灯具に一端が接続される給電ケーブルの他端を船上に設置された分電盤ボックスに接続するコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
夜間の漁においては、魚を集めるために集魚灯が用いられている。集魚灯としては、漁船の船上に固定されて使用される船上集魚灯と、水中に投入されて使用される水中集魚灯とがある。集魚灯は、白熱灯、メタルハライドランプ、発光ダイオード等を発光体として用いた灯具を備えていて、該灯具の給電部に給電ケーブルの一端が接続され、給電ケーブルの他端が船上に設けられた電源に接続される。多くの場合、集魚灯は複数個使用される。集魚灯を複数個使用する場合には、特許文献1に示されているように、電源の出力を分岐するために必要な機器や操作スイッチ類を備えた分電盤ボックスを船上に設置して、この分電盤ボックスから給電ケーブルを通して各集魚灯の灯具に給電するようにしている。
【0003】
従来の分電盤ボックスでは、各集魚灯の給電ケーブルを分電盤ボックスの側板に取り付けられたブッシングを通して直接ボックス内に導入して、電源の出力を分岐する回路に接続している。
【特許文献1】実開昭63−172099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の分電盤ボックスと集魚灯用給電ケーブルとの接続構造では、各集魚灯の給電ケーブルを分電盤ボックスに取り付けたブッシングを通して直接ボックス内に導入していたため、給電ケーブルの導入部の防水性に不安があり、ボックスに海水がかかった際に給電ケーブルの導入部からボックス内に海水が浸入するおそれがあった。
【0005】
また従来の分電盤ボックスと集魚灯用給電ケーブルとの接続構造では、給電ケーブルをブッシングを通してボックス内に直接導入していたため、給電ケーブルを接続する際にボックスを開かねばならず、給電ケーブルの接続作業が面倒になるのを避けられなかった。
【0006】
上記の問題を解決するために、分電盤ボックスと給電ケーブルとの接続を、分電盤ボックスに取り付けられたレセプタクルと給電ケーブルに取り付けられたプラグとからなるコネクタにより行うことが考えられるが、この場合、レセプタクル及びプラグは防水構造とする必要がある。
【0007】
また灯具と分電盤ボックスとの間を接続する給電ケーブルには種々のグレードのものがあり、いずれのグレードの給電ケーブルを使用するかはユーザの選択にまかされているため、ユーザの間には、任意のグレードの給電ケーブルを使用したいとのニーズがある。給電ケーブルと分電盤ボックスとの接続をコネクタにより行う方式とする場合に、任意の給電ケーブルの使用を可能にするためには、給電ケーブルへのプラグの取付をユーザが自ら行い得るようにしておく必要がある。
【0008】
本発明の目的は、防水性を有し、かつ給電ケーブルへのプラグの着脱を容易に行うことができるようにした集魚灯用給電ケーブル接続用コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、集魚灯の灯具に一端が接続される複数の線心を有する集魚灯給電用ケーブルの前記灯具と反対側の端末部を船上に設置された分電盤ボックスに接続するコネクタに係わるもので、本発明に係わるコネクタは、軸線方向の一端が開口し他端が端部壁により閉鎖された中空部を有し、軸線方向の一端の外周に雄ネジ部が形成された絶縁樹脂製のレセプタクル本体の端部壁に給電ケーブルの複数の線心にそれぞれ対応する複数のレセプタクル導体を鋳込んで各レセプタクル導体の前記中空部内に配置された部分にレセプタクルコンタクトを形成した構造を有してレセプタクル本体が分電盤ボックスに固定されるレセプタクルと、給電ケーブルの前記端末部に取り付けられてレセプタクルに接続されるプラグとを備えている。
【0010】
本発明においては、上記プラグが、先端を給電ケーブルの端末部側に向けて給電ケーブルの端末部寄りの部分の外周に嵌合される絶縁筒と、後端部が絶縁筒の先端部にネジ結合されるように構成されると共に内部を軸線方向に伸びる複数の導体挿通孔が給電ケーブルの複数の線心にそれぞれ対応させて設けられて各導体挿通孔の一端が先端面に開口させられた構造を有する絶縁樹脂製のプラグ本体と、プラグ本体の後端部と絶縁筒の先端部との結合部をシールするシール部材と、複数のレセプタクルコンタクトにそれぞれ接触するプラグコンタクトを先端側に有するとともに給電ケーブルの複数の線心の導体にそれぞれ接続される導体接続部を後端側に有して該導体接続部がプラグ本体の複数の導体挿通孔に抜き差し自在に挿入されてプラグ本体に保持される複数のプラグ導体と、先端側の外径を後端側の外径より小さくするように外周面にテーパが付けられて給電ケーブルの外周に嵌合された状態で先端部が絶縁筒の後端部の内周と給電ケーブルの外周との間に形成された隙間内に圧入されるゴムブッシングと、給電ケーブルの外周に嵌合された状態で絶縁筒の後端部にネジ結合されてゴムブッシングを前記隙間内に向けて付勢するプラグ固定部材と、レセプタクルの中空部内に圧入し得るように形成されるとともに内部を軸線方向に貫通した複数のコンタクト圧入孔が複数のプラグ導体及び複数のレセプタクル導体にそれぞれ対応させて設けられた絶縁ゴム製のプラグ先端部材と、前記プラグ本体の外周に嵌合された状態でレセプタクル本体の雄ネジ部に螺合されてプラグ先端部材を軸線方向に圧縮した状態でプラグ本体をレセプタクル本体に締結するプラグ締結部材とを備えていて、プラグがレセプタクルに接続された際に、各プラグコンタクト及びレセプタクルコンタクトがレセプタクル本体の中空部内に圧入されたプラグ先端部材の対応するコンタクト圧入孔内で相互に接触するように構成される。
【0011】
上記のように、レセプタクルとして、絶縁樹脂製のレセプタクル本体にレセプタクル導体を鋳込んだ構造を有するものを用いると、レセプタクル自体に防水性を持たせることができるため、レセプタクルと分電盤ボックスとの接続部をパッキン等によりシールしておくことにより、レセプタクルの部分から分電盤ボックス内に水が浸入するのを防ぐことができる。
【0012】
また上記のように、プラグを、給電ケーブルの外周に嵌合される絶縁筒と、該絶縁筒の先端部にネジ結合されるプラグ本体と、プラグ本体と絶縁筒との結合部をシールするシール部材と、絶縁筒の他端の内周に圧入されるゴムブッシングと、絶縁筒の後端部にネジ結合されるプラグ固定部材と、プラグをレセプタクルに接続する際にレセプタクルの中空部内に圧入される絶縁ゴム製のプラグ先端部材と、プラグ先端部材を軸線方向に圧縮した状態でプラグ本体をレセプタクル本体に締結するプラグ締結部材とを備えた構造として、プラグ先端部材に設けたコンタクト圧入孔内で、プラグコンタクトとレセプタクルコンタクトとを接触させるようにすると、シール部材と、ゴムブッシングと、プラグ先端部材とに止水機能を持たせてプラグ内に水が浸入するのを防ぐことができるため、プラグに十分な防水性を持たせることができる。
【0013】
また上記のように構成すると、プラグ固定部材、ゴムブッシング及び絶縁筒を給電ケーブルに嵌合させ、給電ケーブルの複数の線心にそれぞれプラグ導体を接続した状態で、プラグ固定部材を絶縁筒にネジ結合して締め付けることにより絶縁筒を給電ケーブルに固定することができ、この状態でプラグ導体を貫通させたプラグ本体をシール部材によりシールして絶縁筒の一端にネジ結合することによりプラグを組立てることができるため、給電ケーブルへのプラグの取付を現場で容易に行うことができる。
【0014】
また本発明に係わるコネクタにおいては、プラグを構成する部品が、すべて分解可能であるため、船上の作業により損傷した給電ケーブルを交換する際には、プラグを構成する部品を再利用することができ、給電ケーブルを交換する毎に新たなプラグを購入する必要性をなくして、集魚灯のメンテナンスに要するコストの低減を図ることができる。
【0015】
本発明の好ましい態様では、軸線方向の一端が開口し他端が端部壁により閉鎖された中空部を有し、軸線方向の一端及び他端の外周にそれぞれ第1及び第2の雄ネジ部が形成された絶縁樹脂製のレセプタクル本体の前記端部壁に前記給電ケーブルの複数の線心にそれぞれ対応する複数のレセプタクル導体を鋳込んで各レセプタクル導体の前記中空部内に配置された部分にレセプタクルコンタクトを形成した構造を有して第2の雄ネジ部と該第2の雄ネジ部に螺合されるナットとにより分電盤ボックスに固定されるレセプタクルが用いられる。
【0016】
この場合、プラグは、下記の要素により構成される。
(1)先端部の内周及び後端部の外周にそれぞれ雌ネジ部及び第3の雄ネジ部が形成されるとともに第3の雄ネジ部の内側の内周面にテーパが付けられ、先端部を給電ケーブルの端末部側に向けた状態で給電ケーブルの端末部寄りの部分の外周に嵌合される絶縁筒。
(2)後端部及び先端部にそれぞれ第4の雄ネジ部及びフランジ部を有して第4の雄ネジ部が絶縁筒の雌ネジ部に螺合されることにより絶縁筒の先端部に結合されるように構成されると共に、内部を軸線方向に伸びる複数の導体挿通孔が給電ケーブルの複数の線心にそれぞれ対応させて設けられて各導体挿通孔の一端が先端面に開口させられた構造を有する絶縁樹脂製のプラグ本体。
(3)プラグ本体の後端部と絶縁筒の先端部との結合部をシールするシール部材。
(4)複数のレセプタクルコンタクトにそれぞれ接触するプラグコンタクトを先端側に有するとともに給電ケーブルの複数の線心の導体にそれぞれ接続される導体接続部を後端側に有して該導体接続部がプラグ本体の複数の導体挿通孔に抜き差し自在に挿入されてプラグ本体に保持される複数のプラグ導体。
(5)先端側の外径を後端側の外径より小さくするように外周面にテーパが付けられていて給電ケーブルの外周に嵌合された状態で先端部が絶縁筒のテーパが付けられた内周面と給電ケーブルの外周との間の隙間内に圧入されるゴムブッシング。
(6)給電ケーブルに嵌合された状態で前記絶縁筒の第3の雄ネジ部に螺合されてゴムブッシングを前記隙間内に向けて付勢するプラグ固定部材。
(7)絶縁性のゴムからなっていてレセプタクル本体の中空部内に圧入されるように形成された本体部分と該本体部分の軸線方向の一端の外周に形成された外鍔部とを一体に有するとともに、本体部分を軸線方向に貫通して複数のプラグ導体及び複数のレセプタクル導体にそれぞれ対応する複数のコンタクト圧入孔が形成されたプラグ先端部材。
(8)プラグ本体の外周に嵌合されて、プラグ本体のフランジ部及びプラグ先端部材の外鍔部を内包した状態でレセプタクル本体の第1の雄ネジ部に螺合されて、プラグ本体のフランジ部を介してプラグ先端部材の外鍔部をレセプタクル側に押圧した状態でプラグ本体をレセプタクル本体に締結するプラグ締結部材。
【0017】
このように構成される場合も、プラグがレセプタクルに接続された際には、各プラグコンタクト及びレセプタクルコンタクトがレセプタクル本体の中空部内に圧入されたプラグ先端部材の対応するコンタクト圧入孔内で相互に接触する。
【0018】
本発明の好ましい態様では、絶縁筒の内周の雌ネジ部とテーパが付けられた内周面との間の部分が、雌ネジ部の内径よりも小さい内径を有するケーブル挿通部とされ、プラグ本体の後端部と絶縁筒の先端部との結合部をシールするシール部材が、プラグ本体の先端部の端面と絶縁筒のケーブル挿通部の雌ネジ側の端面との間に配置されたOリングからなっている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、レセプタクルとして、絶縁樹脂製のレセプタクル本体にレセプタクル導体を鋳込んだ構造を有するものを用いるので、レセプタクル自体に防水性を持たせることができる。またプラグは、給電ケーブルの外周に嵌合された絶縁筒と、該絶縁筒の先端部に後端部がネジ結合されたプラグ本体と、プラグ本体と絶縁筒との結合部をシールするシール部材と、絶縁筒の後端部の内周に圧入されるゴムブッシングと、絶縁筒の先端部にネジ結合されるプラグ本体と、レセプタクルの中空部内に圧入される絶縁ゴム製のプラグ先端部材と、プラグ先端部材を軸線方向に圧縮した状態でプラグ本体をレセプタクル本体に締結するプラグ締結部材とを備えた構造として、レセプタクルの中空部内に圧入されたプラグ先端部材のコンタクト圧入孔内でプラグコンタクトとレセプタクルコンタクトとを接触させるようにしたので、シール部材と、ブッシングと、プラグ先端部材とにより、止水部を構成して、プラグ内に水が浸入するのを防ぐことができ、プラグに防水性を持たせることができる。
【0020】
また本発明によれば、プラグ固定部材、ブッシング及び絶縁筒を給電ケーブルに嵌合させ、給電ケーブルの複数の線心にそれぞれプラグ導体を接続した状態で、プラグ固定部材を絶縁筒の後端部にネジ結合して締め付けることにより絶縁筒を給電ケーブルに固定することができ、この状態でプラグ導体を貫通させたプラグ本体をシール部材によりシールして絶縁筒の先端部にネジ結合することにより、プラグを組立てることができるため、給電ケーブルへのプラグの取付を現場で容易に行うことができる。
【0021】
また本発明に係わるコネクタにおいては、プラグを構成する部品が、すべて分解可能であるため、船上の作業により損傷した給電ケーブルを交換する際に、プラグを構成する部品を再利用することがで、集魚灯のメンテナンスに要するコストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、船上集魚灯を搭載した漁船の一例を模式的に示したもので、同図において1は海面2に浮かぶ漁船の船体、3,3,…は船体1に支持された集魚灯の複数の灯具、4は船上に設置された分電盤ボックスである。また5は灯具3の電源端子に一端の端末部が接続された給電ケーブル、6は分電盤ボックス4に取り付けられたレセプタクル、7は給電ケーブル5の他端に取り付けられてレセプタクル6に接続されたプラグであり、レセプタクル6とプラグ7とにより集魚灯用給電ケーブル接続用コネクタ8が構成されている。
【0023】
図示してないが、分電盤ボックス4内には、船体に搭載されたエンジンにより駆動される交流発電機の出力を整流する整流器を備えた電源部が収容され、該電源部の出力がコネクタ8と給電ケーブル5とを通して灯具2に供給される。分電盤ボックス4にはまた、各コネクタへの給電をオンオフするスイッチ等が取り付けられている。給電ケーブル5及びコネクタ8は、各灯具毎に設けられていてもよく、互いに並列に接続された複数の灯具に対して共通に設けられていてもよい。
【0024】
図2及び図3(A),(B)を参照すると本発明の一実施形態に係わるコネクタ8の構成が示されている。これらの図において、401は分電盤ボックス4の側板で、側板401に設けられた取り付け孔402を貫通した状態でレセプタクル6が取り付けられている。また9aないし9dは分電盤ボックス4内に収容された電源部の出力端子とレセプタクル6との間を接続する4本のリード線である。
【0025】
本実施形態では、図15に示すように、集魚灯の灯具3が、赤色発光ダイオードL1と、青色発光ダイオードL2と、白色発光ダイオードL3とを備えていて、これらの発光ダイオードのカソードが共通接続され、発光ダイオードL1,L2及びL3のカソードの共通接続点からマイナス側電源端子taが引き出されている。また発光ダイオードL1,L2及びL3のアノードからそれぞれプラス側電源端子tb,tc及びtdが引き出され、魚の種類に応じて電源端子ta,tb間、ta,tc間及びta,td間に同時にまたは選択的に直流電圧を印加することにより、魚の種類に応じて発光ダイオードL1,L2及びL3を同時にまたは選択的に発光させることができるようになっている。
【0026】
上記のように、本実施形態では、灯具3に4個の電源端子taないしtdが設けられているため、分電盤ボックス内の電源部に灯具の電源端子taないしtdにそれぞれ対応する4つの出力端子が設けられ、電源部とレセプタクル6との間が4本のリード線9aないし9dを介して接続される。また図3(B)に示されているように、給電ケーブル5も絶縁被覆501の内側に絶縁された4本の線心5aないし5dを備えている。
【0027】
図4(A)ないし(E)は、レセプタクル6の構成を示しており、図5ないし図7は、レセプタクルの構成部品を示している。図4(A)ないし(E)に示されているように、レセプタクル6は、絶縁樹脂の成形品からなるレセプタクル本体601と、レセプタクル本体601に鋳込まれた4本のピン状のレセプタクル導体602aないし602dと、レセプタクル本体601を分電盤ボックス4に取り付けるために用いるナット620(図6A,B参照)と、レセプタクル6と分電盤ボックス4との結合部のシールを図るためのパッキン630(図7A,B参照)とにより構成されている。
【0028】
レセプタクル本体601は、図4(A)ないし(E)に示されているように、軸線方向の一端が開口し、他端が端部壁606により閉鎖された中空部607を有する筒状体からなっていて、その軸線方向の一端及び他端の外周にそれぞれ第1及び第2の雄ネジ部608及び609が形成されている。図示の例では、第1の雄ネジ部608の外径が第2の雄ネジ部609の外径よりも大きく設定され、第1の雄ネジ部608と第2の雄ネジ部609との間の中間部610の外径が第1の雄ネジ部608の外径よりも更に大きく設定されている。従って中間部610の雄ネジ部608側の端部及び雄ネジ部609側の端部にそれぞれ段部611及び612が形成されている。
【0029】
図5(A)及び(B)に示したように、レセプタクル導体602aないし602dは、それぞれの軸線方向の一端側に雄型のレセプタクルコンタクト602a1ないし602d1を有するとともに、それぞれの軸線方向の他端側にリード線9aないし9dの芯線がそれぞれ接続される管状のリード線接続部602a2ないし602d2を有するピン状の(断面が円形で細長い)導体からなっている。レセプタクル導体602aないし602dのそれぞれのレセプタクルコンタクト602a1ないし602d1とリード線接続部602a2ないし602d2との間の部分の外周には、レセプタクルコンタクト側からリード線接続部側に順次並ぶ3つの拡大径部602Aないし602Cが形成されている。
【0030】
レセプタクル導体602aないし602dは、それぞれの軸線方向をレセプタクル本体601の軸線と平行な方向に向けた状態でレセプタクル本体601の端部壁606に鋳込まれて(インサート成形されて)、それぞれの外周に設けられた3つの拡大径部602Aないし602Cのうち、レセプタクルコンタクト602a1ないし602d1寄りの外周に設けられた2つの拡大径部602A及び602Bが、レセプタクル本体601の端部壁606内に埋設されている。このように、レセプタクル導体の外周に設けた拡大径部をレセプタクル本体の端部壁606内に埋設しておくと、レセプタクル導体の端部壁606を貫通する部分の沿面距離を長くすることができるため、止水性能を高めることができる。
【0031】
図示の例では、管状のリード線接続部602a2ないし602d1のそれぞれの開口端部寄りの部分が斜めにカットされることにより、リード線接続部602a2ないし602d1のそれぞれの端部に傾斜した開口部614が形成されている。レセプタクル導体602aないし602dにそれぞれリード線9aないし9dを接続する際には、リード線9aないし9dのそれぞれの導体を露出させた後、リード線接続部602a2ないし602d2内にそれぞれリード線9aないし9dの導体を挿入し、リード線接続部602a2ないし602d2のそれぞれの開口部614からリード線接続部602a2ないし602d2内に溶融した半田を流し込むことにより、リード線9aないし9dの導体をリード線接続部602a2ないし602d2に半田付けする。
【0032】
図示の例では、4本のレセプタクル導体602aないし602dが、レセプタクル本体の横断面(軸線と直角な面)上で正方形の4つの角部にそれぞれ位置するように配置され、レセプタクル本体601の中空部607の底部には、後記するプラグ先端部材の先端面に形成される十字状突起を嵌合させるための十字状溝615が、レセプタクル導体602aないし602dの間を仕切るように形成されている。またレセプタクル本体601の中間部610の外周にはレセプタクルの向きを識別するための突起616が形成され、中空部607の内周には、レセプタクルに接続されるプラグの向きを規制するために、後記するプラグ先端部材に設けられるキー溝に嵌合させられるキー617(図4B,D参照)が形成されている。更に、レセプタクル本体601の端部壁606から外部に導出されたレセプタクル導体のリード線接続部602a2ないし602d2のそれぞれの基部を覆うようにボス部618が端部壁606に一体に成形されている。
【0033】
レセプタクル6を分電盤ボックス4に取り付けるため、図6(A)及び(B)に示したような六角ナット620が設けられ、このナット620がレセプタクル本体601の第2の雄ネジ部609に螺合される。またレセプタクルと分電盤ボックスとの結合部のシール(液密)を図るため、レセプタクル本体の第2の雄ネジ部609の基部に図7(A)及び(B)に示したリング状のゴムパッキン630が嵌合される。
【0034】
上記レセプタクル本体601、レセプタクル導体602aないし602d、ナット620及びパッキン630により、レセプタクル6が構成されている。このレセプタクルは、図2及び図3(A)に示したように、そのレセプタクル本体601の第2の雄ネジ部609を分電盤ボックス4の側板に設けられた取り付け孔402に嵌合させてパッキン6304をレセプタクル本体601の段部612と取り付け孔402の周辺部との間に介在させた状態で、第2の雄ネジ部609に螺合させたナット620を締め付けることにより、分電盤ボックス4に固定される。
【0035】
次に本実施形態で用いるプラグ7の構造を説明する。
プラグ7は、図8(A)及び(B)に示された絶縁筒701と、図9(A),(B)に示されたゴムブッシング702と、図10(A)及び(B)に示されたプラグ固定部材703と、図11(A)ないし(E)に示されたプラグ本体704と、図8(B)に示されたシール部材(Oリング)705と、レセプタクル導体602aないし602dにそれぞれ対応させて設けられた図12に示すプラグ導体706aないし706dと、図13(A)ないし(D)に示されたプラグ先端部材707と、図14(A)及び(B)に示されたプラグ締結部材708とにより構成される。
【0036】
各部について詳細に説明すると、絶縁筒701は、図8(A)及び(B)に示されたように、剛性を有する(通常の使用状態で変形しない十分な堅さと強度とを有する)絶縁樹脂により成形された円筒体からなっていて、その先端部(軸線方向の一端)の内周及び後端部(軸線方向の他端)の外周にそれぞれ雌ネジ部701A及び第3の雄ネジ部701Bが形成され、第3の雄ネジ部701Bの内側の内周面701Cには、後記するゴムブッシングの外周のテーパに相応したテーパ(絶縁筒701の後端部側の開口端に向って末広がり状に傾斜したテーパ)が付けられている。
【0037】
絶縁筒701の雌ネジ部701Aとテーパが付けられた内周面701Cとの間の部分は、雌ネジ部701Aの内径よりも小さい内径を有するケーブル挿通部701Dとなっていて、このケーブル挿通部701D内に給電ケーブル5が挿入される。絶縁筒701の外周面には、プラグを組立てる際及び分解する際にスパナなどの工具を係合させるための一対の平坦面701E,701Eが、180度離れた対称位置に位置させた状態で形成されている。絶縁筒701のケーブル挿通部701Dの雌ネジ部701A側の端面701Fは、シール部材705を構成するOリングを当接させる当接面として用いられる。
【0038】
ゴムブッシング702は、図9(A)及び(B)に示されているように、先端側の外径を後端側の外径より小さくするように外周面にテーパが付けられたブッシング本体702Aと、ブッシング本体702Aの後端部側の内径寄りの部分から軸線方向に沿って本体702Aと反対側に突出したブッシングカラー部702Bとを一体に有していて、ブッシング本体702Aの内周面とブッシングカラー部702Bの内周面とが同一の円筒面上に位置するように形成されている。
【0039】
ゴムブッシング702は、絶縁性を有するゴムからなっていて、給電ケーブル5の外周面にきつく嵌合されるようにその内径が設定されている。また後記するプラグ固定部材703を取り付けた際にブッシングカラー部702Bがプラグ固定部材703の内周と給電ケーブル5との間の隙間内に挿入されるように、ブッシングカラー部702Bの肉厚が設定されている。ゴムブッシング702は、給電ケーブル5の外周に嵌合された状態でその先端部が絶縁筒701のテーパが付けられた内周面701Cと給電ケーブル5の外周面との間の隙間内に圧入される(図3A参照)。
【0040】
本実施形態で用いるプラグ固定部材703は、図10(A),(B)に示されたように、絶縁筒701の雄ネジ部701Bに螺合する雌ネジ部703Aを有する六角袋ナットの頭部703Bを貫通させて、給電ケーブル5の外周に嵌合されたゴムブッシング702のカラー部702Bを貫通させる大きさの内径を有する貫通孔703Cを形成したものからなっていて、貫通孔703Cの雌ネジ部703A側の開口部周辺に、ゴムブッシング702の後端部に当接して該ゴムブッシングを絶縁筒701側に押圧する押圧面703Dが形成されている。
【0041】
従ってプラグ固定部材703を給電ケーブル5に嵌合させた状態で絶縁筒701の第3の雄ネジ部701Bに螺合して締め付けると、押圧面703Dがゴムブッシング702の本体702Aの後端部を絶縁筒701側に押して、ゴムブッシング702を絶縁筒701の内周面701Cとケーブル5の外周面との間の隙間内に向けて押圧する。これにより、ゴムブッシング702が圧縮されて絶縁筒701の内周面701Cとケーブル5の外周面との間の隙間内に押し込められるとともに、その内周が給電ケーブル5の外周に強く押圧されるため、絶縁筒701の後端部と給電ケーブル5の外周との間がシールされると共に、絶縁筒701が(プラグ7が)給電ケーブル5に対して固定される。
【0042】
プラグ本体704は、図11(A)ないし(E)に示されたように、後端部(軸線方向の一端)及び先端部(軸線方向の他端)の外周にそれぞれ第4の雄ネジ部704A及びフランジ部704Bを有する円柱状の部材からなっていて、剛性を有する(通常の使用状態で変形しない十分な堅さと強度とを有する)絶縁樹脂により成形されている。プラグ本体704の雄ネジ部704Aが設けられた部分の内側には、該プラグ本体の後端部の端面に開口した中空部704Dが形成され、中空部704Dの底部704D1とプラグ本体704の先端部の端面との間の部分を軸線方向に貫通させて、レセプタクルコンタクト602aないし602dにそれぞれ対応する導体挿通孔704aないし704dが形成されている。導体挿通孔704aないし704dの中空部704Dと反対側の開口端部には、拡大径部704a1ないし704d1が形成されている。またプラグ本体704の外周面には、スパナなどの工具を係合させるための一対の平坦面704E,704Eが形成され、プラグ本体704の先端部の端面には、後記するプラグ先端部材の端面に形成される十字状溝に嵌合する十字状突起704Fが、正方形の4つの角部にそれぞれ位置するように配置された4つの導体挿通孔704aないし704dの間を仕切るようにして形成されている。
【0043】
プラグ導体706aないし706dはそれぞれレセプタクル導体602aないし602dに対応させて設けられたもので、図12に示すように、レセプタクルコンタクト602a1ないし602d1にそれぞれ接触する雌型のプラグコンタクト706a1ないし706d1を先端側に有するとともに、給電ケーブル5の芯線導体が接続される導体接続部706a2ないし706d2を後端側に有している。またプラグ導体706aないし706dの中間部(プラグコンタクト706a1ないし706d1と導体接続部706a2ないし706d2との間の部分)には、該プラグ導体の他の部分よりも外径が大きい拡大径部706a3ないし706d3が形成されている。プラグ導体706aないし706dは、それぞれの導体接続部706a2ないし706d2が、プラグ本体704の先端部の端面側から導体挿通孔704aないし704d内に挿入された状態でプラグ本体704に保持されて、それぞれの拡大径部706a3ないし706d3がプラグ本体704の導体挿通孔704aないし704dの拡大径部704a1ないし704d1内に嵌合されることにより、プラグ本体704の軸線方向に位置決めされる。
【0044】
プラグ先端部材707は、図13(A)ないし(D)に示したように、レセプタクル本体601の中空部内に圧入されるように形成された円柱状の本体部分707Aと、該本体部分707Aの軸線方向の一端の外周に形成された外鍔部707Bとを一体に有する絶縁ゴム製の部材からなっている。プラグ先端部材707の本体部分707Aを軸線方向に貫通させて、複数のレセプタクル導体602aないし602d及びプラグ導体706aないし706dにそれぞれ対応する複数のコンタクト圧入孔707aないし707dが設けられている。コンタクト圧入孔707aないし707dの外鍔部707B側の端部には、プラグコンタクト706aないし706dの拡大径部706a3ないし706a3を圧入し得る大きさの大径部707a1ないし707d1が形成され、コンタクト圧入孔707aないし707dの外鍔部707Bと反対側の端部には、レセプタクルコンタクト602a1ないし602d1を圧入し得る大きさの小径部707a2ないし707d2(図13C参照)が形成されている。コンタクト圧入孔707aないし707dの大径部707a1ないし707d1と小径部707a2ないし707d2との間の部分の内径は、プラグコンタクト706a1ないし706d1を圧入し得る大きさに設定されている。プラグ先端部材707の後端部(軸線方向の一端)側の端面(外鍔部707B側の端面)には、プラグ本体704の十字状突起704Fが嵌合する十字状溝707Dが形成され、プラグ先端部材707の先端(軸線方向の他端)側の端面には、プラグ先端部材707の本体部分707Aがレセプタクル本体の中空部607内に圧入された際に該中空部607の底部に設けられた十字状溝615に嵌合する十字状突起707Eが形成されている。またプラグ先端部材707の外周には、レセプタクル本体に設けられたキー617を嵌合させるキー溝707Gが形成されている。
【0045】
プラグ先端部材707は、そのコンタクト圧入孔707aないし707d内にプラグ本体704の先端から突出したプラグコンタクト706a1ないし706d1を圧入した状態でプラグ本体704に保持される。
【0046】
本実施形態で用いるプラグ7においては、給電ケーブル5の線心5aないし5dの導体に導体接続部706a1ないし706d1が接続されたプラグ導体706aないし706dを保持したプラグ本体704の後端部のネジ704Aを絶縁筒701の先端の雌ネジ部701Aに螺合させ、プラグ本体704の先端から突出したプラグコンタクト706a1ないし706d1をそれぞれプラグ先端部材707のコンタクト圧入孔707aないし707d内に圧入することによりプラグ先端部材707をプラグ本体704の先端に保持する。この状態で、プラグ先端部材707の本体部分707Aをレセプタクルの中空部607内に圧入することにより、プラグ7をレセプタクル6に接続する。プラグ先端部材707をレセプタクルの中空部内に圧入すると、プラグ先端部材707のコンタクト圧入孔707aないし707d内でプラグコンタクト706a1ないし706d1がそれぞれレセプタクルコンタクト602a1ないし602d1に接触して、両者が電気的に接続される。
【0047】
プラグ締結部材708は、図14に示されているように、レセプタクル本体601の第1の雄ネジ部608に螺合する雌ネジ部708Aを有する六角袋ナットの頭部708Bにプラグ本体704を貫通させ得る大きさの貫通孔708Cを形成して、軸線方向に向いた押圧面708Dを貫通孔708Cの雌ネジ部708A側の開口部の周辺に形成したものからなっている。このプラグ締結部材は、プラグ導体706aないし706dに嵌合されて保持されたプラグ先端部材707をレセプタクル本体の中空部607内に圧入して、プラグ先端部材707のコンタクト圧入孔707aないし707d内でプラグコンタクト706a1ないし706d1をそれぞれレセプタクルコンタクト602a1ないし602d1に接触させた状態にした後に、レセプタクル本体601の第1の雄ネジ部608に螺合されて、プラグ7をレセプタクル6に締結する。このときプラグ締結部材708の押圧面708Dがプラグ本体704のフランジ部704Bを介してプラグ先端部材707の外鍔部707Bをレセプタクル本体601の端面側に押圧してプラグ先端部材707を軸線方向に圧縮する。従って、プラグ7をレセプタクル6に接続した状態では、レセプタクル6の中空部607内がプラグ先端部材707により充填された状態になる。
【0048】
上記のように、プラグ7をレセプタクル6に接続した状態では、プラグ先端部材707の先端の十字状突起707Eがレセプタクルの中空部607の底部の十字状溝615内に嵌合し、またプラグ本体704の先端の十字状突起704Fがプラグ先端部材707の後端部の十字状溝707Dに嵌合して止水性能を高めるため、レセプタクルの中空部内が圧縮されたプラグ先端部材707により充填されることと相俟って、防水性能を高めることができる。
【0049】
本実施形態のコネクタを用いて給電ケーブル5を分電盤ボックス4に接続する際には、レセプタクル6を分電盤ボックス4に取り付ける。レセプタクル6を分電盤ボックス4に取り付ける際には、図3に示されているように、パッキン630が嵌合されたレセプタクル本体601の第2の雄ネジ部609を分電盤ボックス4の側板部401に設けられた取り付け孔402に嵌合させ、取り付け孔402を通してボックス内に導入された第2の雄ネジ部609にナット620を螺合させて締め付ける。レセプタクル6は、レセプタクル導体を絶縁樹脂からなるレセプタクル本体にインサート成形した構造を有するため十分な防水性を有し、また第2の雄ネジ部609の貫通部はブッシング本体の段部612と側板部401との間に介在するパッキン630によりシールされるため、レセプタクル6及びその取り付け部には十分な防水性を持たせることができる。
【0050】
また給電ケーブル5にプラグ7を取り付ける際には、先ず給電ケーブルにプラグ固定部材703、ゴムブッシング702、絶縁筒701及びシール部材705を構成するOリングを嵌合させ、給電ケーブル5の線心5aないし5dをそれぞれプラグ本体704の導体挿通孔704aないし704dに通した状態で、線心5aないし5dの導体をプラグ導体706aないし706dの導体接続部706a2ないし706d2に半田付けする。またプラグ導体の導体接続部706a2ないし706d2をプラグ本体704の導体挿通孔704aないし704dに挿入してプラグ導体706aないし706dをプラグ本体704に位置決め固定する。次いで、プラグ本体704の外周の平坦面704E,704Eが設けられた部分にスパナを噛み合わせて、プラグ本体704を回転しないように押えた状態で、絶縁筒701の平坦面701E,701Eにスパナを嵌合させて、該絶縁筒701を回転させることにより、絶縁筒701の先端の雌ネジ部701Aをプラグ本体704の後端部の雄ネジ部704Aに螺合させる。シール部材705を構成するOリングを十分に圧縮するまで絶縁筒701をプラグ本体704に対して締め付けて、絶縁筒701の先端部とプラグ本体704の後端部とを液密に結合する。
【0051】
次いでゴムブッシング702を絶縁筒701側に移動させて、ゴムブッシングの先端を絶縁筒701の後端部の内周面と給電ケーブル5の外周面との間の隙間に挿入し、この状態でプラグ固定部材703の雌ネジ部703Dを絶縁筒701の後端部の外周の雄ネジ部701Bに螺合させて締め付けることにより、ゴムブッシング702を絶縁筒701の後端部の内周面と給電ケーブル5の外周面との間の隙間内に圧縮した状態で押し込む。これにより、絶縁筒701の後端部と給電ケーブル5の外周との間をシールするとともに、プラグ7を給電ケーブル5に対して固定する。
【0052】
上記の実施形態では、給電ケーブル5が4本の線心5aないし5dを有しているが、給電ケーブルの線心の数は任意である。レセプタクル導体及びプラグ導体を給電ケーブルの線心の数だけ設けることにより、給電ケーブルの線心の数の如何に関わりなく本発明を適用することができる。
【0053】
なおレセプタクル導体及びプラグ導体を給電ケーブルの線心の数よりも多くして、不要なレセプタクル導体及びプラグ導体を遊ばせておくこともできる。例えば、上記実施形態において、4個設けられているプラグ導体706aないし706dの内のいずれか2個のプラグ導体のみに給電ケーブルの線心を接続することにより、2本の線心を有する給電ケーブルにプラグを接続する使い方をすることもできる。
【0054】
上記の実施形態で示した集魚灯の灯具の構成は一例を示したに過ぎず、メタルハライドランプ等の他の発光体を用いる灯具に給電する場合にも本発明を適用することができる。
【0055】
上記の実施形態では、プラグ先端部材707の先端に設けた十字状突起707Eをレセプタクル本体601の中空部の底部に設けた十字状溝615に嵌合させ、プラグ本体の先端に設けた十字突起704Fをプラグ先端部材707の後端部に設けた十字状溝707Dに嵌合させるようにしているが、十字状突起と十字状溝の位置を入換えることもできる。例えば、プラグ先端部材707の先端に十字状突起707Eを設け、レセプタクル本体601の中空部の底部に十字状溝615を設ける代りに、プラグ先端部材707の先端に十字状溝を設け、レセプタクル本体601の中空部の底部に十字状突起を設けて両者を嵌合させるようにしてもよい。同様に、プラグ本体の先端に十字状突起704Fを設け、プラグ先端部材707の後端部に十字状溝707Dを設けて両者を嵌合させる代りに、プラグ本体の先端に十字状溝を設け、プラグ先端部材707の後端部に十字状突起を設けて両者を嵌合させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係わるコネクタを適用する集魚灯を搭載した漁船の一例を示した模式図である。
【図2】本発明の一実施形態で用いるレセプタクルとプラグの構成を示した正面図である。
【図3】(A)は本発明の一実施形態に係わるコネクタのレセプタクルとプラグとを接続した状態を示した縦断面図である。(B)は本実施形態で用いる給電ケーブルの横断面図である。
【図4】(A)は本発明の実施形態で用いるレセプタクルの背面図、(B)は(A)のIVB−IVB線断面図、(C)は(A)のIVC−IVC線断面図、(D)は同レセプタクルの正面図、(E)は同レセプタクルの上面図である。
【図5】(A)及び(B)はそれぞれ同レセプタクルで用いるレセプタクル導体の正面図及び底面図である。
【図6】(A)及び(B)はそれぞれ同レセプタクルを分電盤ボックスに取り付ける際に用いるナットの正面図及び半部を断面して示した側面図である。
【図7】(A)及び(B)はそれぞれ同レセプタクルを分電盤ボックスに取り付ける際に用いるパッキンの縦断面図及び正面図である。
【図8】(A)及び(B)はそれぞれ本実施形態で用いるプラグを構成する絶縁筒の正面図及び縦断面図である。
【図9】(A)及び(B)はそれぞれ本実施形態で用いるプラグを構成するゴムブッシングの縦断面図及び正面図である。
【図10】(A)及び(B)はそれぞれ本実施形態で用いるプラグを構成するプラグ固定部材の正面図及び半部を断面して示した側面図である。
【図11】(A)は本実施形態で用いるプラグを構成するプラグ本体の正面図である。(B)及び(C)はそれぞれ(A)のXIB−XIB線断面図及びXIC−XIC線断面図、(D)及び(E)はそれぞれ同プラグ本体の背面図及び上面図である。
【図12】本実施形態で用いるプラグ導体の正面図である。
【図13】(A)は本実施形態で用いるプラグを構成するプラグ先端部材の正面図、(B)は(A)のXIIIB−XIIIB線断面図、(C)は(A)のXIIIC−XIIIC線断面図、(D)は同プラグ先端部材の背面図である。
【図14】(A)及び(B)はそれぞれ本実施形態で用いるプラグをレセプタクルに締結する際に用いるプラグ締結部材の正面図及び半部縦断面図である。
【図15】本発明の実施形態において給電ケーブルが接続される集魚灯の灯具の電気的な構成を示した回路図である。
【符号の説明】
【0057】
3 集魚灯の灯具
4 分電盤ボックス
402 取付け孔
5 給電ケーブル
5aないし5d 線心
501 絶縁被覆
6 レセプタクル
601 レセプタクル本体
602aないし602d レセプタクル導体
602a1ないし602d1 レセプタクルコンタクト
602a2ないし602d2 リード線接続部
602Aないし602C 拡大径部
606 端部壁
607 中空部
608 第1の雄ネジ部
609 第2の雄ネジ部
610 中間部
615 十字状溝
620 ナット
630 パッキン
7 プラグ
701 絶縁筒
701A 雌ネジ部
701B 第3の雄ネジ部
701C テーパが付けられた内周面
701D ケーブル挿通部
702 ゴムブッシング
703 プラグ固定部材
703A 雌ねじ部
703B 突出部
703C 貫通孔
703D 押圧面
704 プラグ本体
704A 第4の雄ネジ部
704B フランジ部
704D 中空部
704F 十字状突起
704aないし704d 導体挿通孔
705 シール部材
706aないし706d プラグ導体
706a1ないし706d1 プラグコンタクト
706a2ないし706d2 導体接続部
707 プラグ先端部材
707A 本体部分
707D 十字状溝
707E 十字状突起
707G キー溝
707aないし707d コンタクト圧入孔
708 プラグ締結部材
708A 雌ネジ部
708B 頭部
708C 貫通孔
708D 押圧面
8 集魚灯用給電ケーブル接続用コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集魚灯の灯具に一端が接続される複数の線心を有する集魚灯給電用ケーブルの前記灯具と反対側の端末部を船上に設置された分電盤ボックスに接続するコネクタであって、
軸線方向の一端が開口し他端が端部壁により閉鎖された中空部を有し、軸線方向の一端の外周に雄ネジ部が形成された絶縁樹脂製のレセプタクル本体の前記端部壁に前記給電ケーブルの複数の線心にそれぞれ対応する複数のレセプタクル導体を鋳込んで各レセプタクル導体の前記中空部内に配置された部分にレセプタクルコンタクトを形成した構造を有して前記レセプタクル本体が前記分電盤ボックスに固定されるレセプタクルと、前記給電ケーブルの前記端末部に取り付けられて前記レセプタクルに接続されるプラグとを備え、
前記プラグは、先端を前記給電ケーブルの前記端末部側に向けて前記給電ケーブルの端末部寄りの部分の外周に嵌合される絶縁筒と、後端部が前記絶縁筒の先端部にネジ結合されるように構成されると共に内部を軸線方向に伸びる複数の導体挿通孔が前記給電ケーブルの複数の線心にそれぞれ対応させて設けられて各導体挿通孔の一端が先端面に開口させられた構造を有する絶縁樹脂製のプラグ本体と、前記プラグ本体の後端部と前記絶縁筒の先端部との結合部をシールするシール部材と、前記複数のレセプタクルコンタクトにそれぞれ接触するプラグコンタクトを先端側に有するとともに前記給電ケーブルの複数の線心の導体にそれぞれ接続される導体接続部を後端側に有して該導体接続部が前記プラグ本体の複数の導体挿通孔に抜き差し自在に挿入されて前記プラグ本体に保持される複数のプラグ導体と、先端側の外径を後端側の外径より小さくするように外周面にテーパが付けられて前記給電ケーブルの外周に嵌合された状態で先端部が前記絶縁筒の後端部の内周と給電ケーブルの外周との間に形成された隙間内に圧入されるゴムブッシングと、前記給電ケーブルの外周に嵌合された状態で前記絶縁筒の後端部にネジ結合されて前記ゴムブッシングを前記隙間内に向けて付勢するプラグ固定部材と、前記レセプタクルの中空部内に圧入し得るように形成されるとともに内部を軸線方向に貫通した複数のコンタクト圧入孔が前記複数のプラグ導体及び複数のレセプタクル導体にそれぞれ対応させて設けられた絶縁ゴム製のプラグ先端部材と、前記プラグ本体の外周に嵌合された状態で前記レセプタクル本体の雄ネジ部に螺合されて前記プラグ先端部材を軸線方向に圧縮した状態で前記プラグ本体を前記レセプタクル本体に締結するプラグ締結部材とを備え、
前記プラグがレセプタクルに接続された際に、各プラグコンタクト及びレセプタクルコンタクトが前記レセプタクル本体の中空部内に圧入されたプラグ先端部材の対応するコンタクト圧入孔内で相互に接触するように構成されていることを特徴とする集魚灯用給電ケーブル接続用コネクタ。
【請求項2】
集魚灯の灯具に一端が接続される複数の線心を有する集魚灯給電用ケーブルの前記灯具と反対側の端末部を船上に設置された分電盤ボックスに接続するコネクタであって、
軸線方向の一端が開口し他端が端部壁により閉鎖された中空部を有し、軸線方向の一端及び他端の外周にそれぞれ第1及び第2の雄ネジ部が形成された絶縁樹脂製のレセプタクル本体の前記端部壁に前記給電ケーブルの複数の線心にそれぞれ対応する複数のレセプタクル導体を鋳込んで各レセプタクル導体の前記中空部内に配置された部分にレセプタクルコンタクトを形成した構造を有して前記第2の雄ネジ部と該第2の雄ネジ部に螺合されるナットとにより前記分電盤ボックスに固定されるレセプタクルと、前記給電ケーブルの前記端末部に取り付けられて前記レセプタクルに接続されるプラグとを備え、
前記プラグは、
先端部の内周及び後端部の外周にそれぞれ雌ネジ部及び第3の雄ネジ部が形成されるとともに前記第3の雄ネジ部の内側の内周面にテーパが付けられ、前記先端部を前記給電ケーブルの前記端末部側に向けた状態で前記給電ケーブルの端末部寄りの部分の外周に嵌合される絶縁筒と、
後端部及び先端部にそれぞれ第4の雄ネジ部及びフランジ部を有して前記第4の雄ネジ部が前記絶縁筒の雌ネジ部に螺合されることにより前記絶縁筒の先端部に結合されるように構成されると共に、内部を軸線方向に伸びる複数の導体挿通孔が前記給電ケーブルの複数の線心にそれぞれ対応させて設けられて各導体挿通孔の一端が先端面に開口させられた構造を有する絶縁樹脂製のプラグ本体と、
前記プラグ本体の後端部と絶縁筒の先端部との結合部をシールするシール部材と、
前記複数のレセプタクルコンタクトにそれぞれ接触するプラグコンタクトを先端側に有するとともに前記給電ケーブルの複数の線心の導体にそれぞれ接続される導体接続部を後端側に有して該導体接続部が前記プラグ本体の複数の導体挿通孔に抜き差し自在に挿入されて前記プラグ本体に保持される複数のプラグ導体と、
先端側の外径を後端側の外径より小さくするように外周面にテーパが付けられていて前記給電ケーブルの外周に嵌合された状態で先端部が前記絶縁筒の前記テーパが付けられた内周面と前記給電ケーブルの外周との間の隙間内に圧入されるゴムブッシングと、
前記給電ケーブルに嵌合された状態で前記絶縁筒の前記第3の雄ネジ部に螺合されて前記ゴムブッシングを前記隙間内に向けて付勢するプラグ固定部材と、
絶縁性のゴムからなっていて前記レセプタクル本体の中空部内に圧入されるように形成された本体部分と該本体部分の軸線方向の一端の外周に形成された外鍔部とを一体に有するとともに、前記本体部分を軸線方向に貫通して前記複数のプラグ導体及び複数のレセプタクル導体にそれぞれ対応する複数のコンタクト圧入孔が形成されたプラグ先端部材と、
前記プラグ本体の外周に嵌合されて、前記プラグ本体のフランジ部及びプラグ先端部材の外鍔部を内包した状態で前記レセプタクル本体の前記第1の雄ネジ部に螺合されて、前記プラグ本体のフランジ部を介して前記プラグ先端部材の外鍔部を前記レセプタクル側に押圧した状態で前記プラグ本体を前記レセプタクル本体に締結するプラグ締結部材と、
を具備し、
前記プラグがレセプタクルに接続された際に、各プラグコンタクト及びレセプタクルコンタクトが前記レセプタクル本体の中空部内に圧入されたプラグ先端部材の対応するコンタクト圧入孔内で相互に接触するように構成されていることを特徴とする集魚灯用給電ケーブル接続用コネクタ。
【請求項3】
前記絶縁筒の内周の前記雌ネジ部と前記テーパが付けられた内周面との間の部分は、前記雌ネジ部の内径よりも小さい内径を有するケーブル挿通部とされ、
前記プラグ本体の後端部と絶縁筒の先端部との結合部をシールするシール部材は、前記プラグ本体の先端部の端面と前記絶縁筒の前記ケーブル挿通部の前記雌ネジ側の端面との間に配置されたOリングからなっている請求項2に記載の集魚灯用給電ケーブル接続用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−129519(P2010−129519A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306480(P2008−306480)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(591086843)古河電工産業電線株式会社 (40)
【Fターム(参考)】