説明

雑草防除剤耐性の付与方法

【課題】
植物に雑草防除剤耐性を付与する為の新たな方法を提供すること。
【解決手段】
雑草防除剤に対する耐性を植物に付与する方法であって、下記(1)、(2)および(3)の性質を有するタンパク質をコードする遺伝子を植物の細胞に導入し発現させる工程を含むことを特徴とする方法。
(1)該雑草防除剤の雑草防除作用に関わる物質に特異的に結合する。
(2)当該タンパク質が特異的に結合する物質に対する変性能を実質的に持たない。
(3)免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物に雑草防除剤に対する耐性を付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
雑草防除は作物の収量向上や高品質化を図るうえで重要な作業であり、この目的の為に主として除草剤が使用されている。ところが、除草剤等の雑草防除剤の使用場面において、作物と近縁の雑草とを明確に区別して、雑草のみを選択的に防除することは困難な場合が多いことから、雑草防除剤に対して耐性を有する作物の作出が試みられ、一部で実用化されるに至っている。
近年、このような雑草防除剤耐性作物の作出に遺伝子工学的手法が用いられている。そのような手法としては、例えば、グリフォセートの標的酵素である5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素(5-enolpyruvylshikimate-3-phosphate synthase、以下、EPSPSと記す。)の遺伝子に変異を加え、該遺伝子を栽培植物に導入することによってグリフォセート耐性植物を作出する方法が知られている[Hinchee,M.A.W. et al., BIO/TECHNOLOGY, 6: p915 (1988)]。また、例えば、グリフォシネートをアセチル化する酵素であるフォスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼの遺伝子を栽培植物に導入することによってグリフォシネート耐性植物を作出する方法も知られている[Block,M.D.et al., EMBO J., 6;p2513 (1987)]。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Hinchee,M.A.W. et al., BIO/TECHNOLOGY, 6: p915 (1988)
【非特許文献2】Block,M.D.et al., EMBO J., 6;p2513 (1987)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような手法による雑草防除剤耐性植物の作出は未だ十分とは言い難く、植物に雑草防除剤耐性を付与する為の新たな方法の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者らは鋭意検討を行った結果、ある種のタンパク質を植物の細胞で産生させることにより、植物に雑草防除剤耐性を付与することが可能であることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明は、
1)雑草防除剤に対する耐性を植物に付与する方法であって、下記(1)、(2)および(3)の性質を有するタンパク質をコードする遺伝子を植物の細胞に導入し発現させる工程を含むことを特徴とする方法(以下、本発明方法1と記す。)
(1)該雑草防除剤の雑草防除作用に関わる物質に特異的に結合する。
(2)当該タンパク質が特異的に結合する物質に対する変性能を実質的に持たない。
(3)免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない。
2)タンパク質が、雑草防除剤に有効成分として含まれる物質に特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項1)記載の方法、
3)タンパク質が、植物細胞内で雑草防除剤の雑草防除活性発現に関わる植物細胞内因性物質に特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項1)記載の方法、
4)雑草防除剤が、植物のポルフィリン生合成を阻害もしくは抑制する雑草防除剤である前項1)〜3)記載の方法、
5)雑草防除剤が、プロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ阻害型除草剤である前項1)〜4)記載の方法、
6)タンパク質がプロトポルフィリンIXに特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項1)、3)、4)または5)記載の方法、
7)タンパク質が、マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質であるか、または該タンパク質の改変タンパク質であってプロトポルフィリンIXに特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項1)、3)、4)、5)または6)記載の方法、
8)タンパク質が、配列番号51、配列番号53、配列番号55、または配列番号57で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質である前項1)、3)、4)、5)または6)記載の方法、
9)タンパク質がプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項1)、3)、4)または5)記載の方法、
10)タンパク質が、プロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼの改変タンパク質であって、プロトポルフィリノーゲンIXに対する酸化能を持たずプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項1)、3)、4)、5)または9)記載の方法、
11)タンパク質が、プロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼの改変タンパク質であって、プロトポルフィリノーゲンIXに対する酸化能を持たずプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ阻害型除草剤に有効成分として含まれる物質に特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項1)、2)、4)、5)または9)記載の方法、
12)タンパク質が、コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼの改変タンパク質であって、プロトポルフィリノーゲンIXおよびコプロポルフィリノーゲンIIIに対する酸化能を持たず、プロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項1)、3)、4)、5)または9)記載の方法、
13)雑草防除剤に対する耐性を植物に付与する方法であって、下記(1)、(2)および(3)の性質を有するタンパク質をコードする遺伝子を植物の細胞に導入し発現させる工程を含むことを特徴とする方法、(以下、本発明方法2と記す。)
(1)プロトポルフィリンIXに特異的に結合する。
(2)プロトポルフィリノーゲンIXに対する変性能を持たない。
(3)免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない。
14)雑草防除剤が、植物のポルフィリン生合成を阻害もしくは抑制する雑草防除剤である前項13)記載の方法、
15)雑草防除剤が、プロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ阻害型除草剤である前項13)または14)記載の方法、
16)タンパク質がマグネシウムケラターゼであるか、または該タンパク質の改変タンパク質であってプロトポルフィリンIXに特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項13)〜15)記載の方法、
17)タンパク質がフェロケラターゼであるか、または該タンパク質の改変タンパク質であってプロトポルフィリンIXに特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項13)〜15)記載の方法、
18)タンパク質が4以上100以下のアミノ酸からなるタンパク質である前項13)〜15)記載の方法、
19)雑草防除剤に対する耐性を植物に付与する方法であって、下記(1)、(2)および(3)の性質を有するタンパク質をコードする遺伝子を植物の細胞に導入し発現させる工程を含むことを特徴とする方法、(以下、本発明方法3と記す。)
(1)プロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合する。
(2)コプロポルフィリノーゲンIIIに対する変性能を持つ。
(3)免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない。
20)雑草防除剤が、植物のポルフィリン生合成を阻害もしくは抑制する雑草防除剤である前項19)記載の方法、
21)雑草防除剤が、プロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ阻害型除草剤である前項19)または20)記載の方法、
22)タンパク質がコプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼであるか、または該タンパク質の改変タンパク質であってプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合する性質を有するタンパク質である前項19)〜21)記載の方法、
23)前項1)〜22)記載の方法により雑草防除剤耐性を付与された植物、
24)前項23)記載の植物を増殖させることを特徴とする雑草防除剤耐性植物の製造方法、
25)前項23)記載の植物の栽培域に雑草防除剤を散布する雑草防除方法、
26)前項23)記載の植物の栽培域に雑草防除剤を散布する雑草防除剤耐性植物の選抜方法、
27)前項23)記載の植物の細胞の培養域に雑草防除剤を添加する雑草防除剤耐性植物細胞の選抜方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、雑草防除剤に対する耐性が付与された植物の作出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】プラスミドpETBCHの制限酵素地図を示す。bchHは光合成細菌Rhodobacter sphaeroidesのマグネシウムケラターゼサブユニット遺伝子であり、T7 proはT7ファージのプロモーター配列を、T7 terはT7ファージのターミネーター配列を意味する。また、Amprはアンピシリン耐性遺伝子、lacIqはラクトースオペロンのリプレッサータンパク質遺伝子、oriは複製開始点を表す。
【図2】プラスミドpACYCSPの制限酵素地図を示す。PPOはダイズのプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ遺伝子であり、lac proラクトースオペロンのプロモーター配列を意味する。また、Cmrはクロランフェニコール耐性遺伝子、oriは複製開始点を表す。
【図3】プラスミドpTVBCHの制限酵素地図を示す。bchHは光合成細菌Rhodobacter sphaeroidesのマグネシウムケラターゼサブユニット遺伝子であり、lac proはラクトースオペロンのプロモーター配列を意味する。また、Amprはアンピシリン耐性遺伝子、oriは複製開始点を表す。
【図4】プラスミドpBIBCHの制限酵素地図を示す。bchHは光合成細菌Rhodobacter sphaeroidesのマグネシウムケラターゼサブユニット遺伝子であり、NPはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター配列を、NTはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター配列を、35Sはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを意味する。また、NPTIIはカナマイシン耐性遺伝子、RB及びLBはT-DNAの左右境界配列を表す。
【図5】プラスミドpNOの制限酵素地図を示す。NPはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター配列を、NTはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター配列を、35Sはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを意味する。また、NPTIIはカナマイシン耐性遺伝子、RB及びLBはT-DNAの左右境界配列を表す。
【図6】プラスミドpTCHLHの制限酵素地図を示す。TCHLHは葉緑体移行シグナルを欠失したタバコマグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニット遺伝子であり、lac proはラクトースオペロンのプロモーター配列を意味する。また、Amprはアンピシリン耐性遺伝子、Kmrはカナマイシン耐性遺伝子、oriは複製開始点を表す。
【図7】プラスミドpBITCHLHの制限酵素地図を示す。TCHLHは葉緑体移行シグナルを欠失したタバコマグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニット遺伝子であり、NPはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター配列を、NTはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター配列を、35Sはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを意味する。また、NPTIIはカナマイシン耐性遺伝子、RB及びLBはT-DNAの左右境界配列を表す。
【図8】プラスミドpTVGMPの制限酵素地図を示す。GMPは葉緑体移行シグナルとFAD結合配列を欠失したダイズPPO遺伝子であり、lac proはラクトースオペロンのプロモーター配列を意味する。また、Amprはアンピシリン耐性遺伝子、oriは複製開始点を表す。
【図9】プラスミドpBIGMPの制限酵素地図を示す。GMPは葉緑体移行シグナルとFAD結合配列を欠失したダイズPPO遺伝子であり、NPはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター配列を、NTはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター配列を、35Sはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを意味する。また、NPTIIはカナマイシン耐性遺伝子、RB及びLBはT-DNAの左右境界配列を表す。
【図10】プラスミドpTVCRPの制限酵素地図を示す。CRPは葉緑体移行シグナルとFAD結合配列を欠失したコナミドリムシPPO遺伝子であり、lac proはラクトースオペロンのプロモーター配列を意味する。また、Amprはアンピシリン耐性遺伝子、oriは複製開始点を表す。
【図11】プラスミドpBICRPの制限酵素地図を示す。CRPは葉緑体移行シグナルとFAD結合配列を欠失したコナミドリムシPPO遺伝子であり、NPはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター配列を、NTはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター配列を、35Sはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを意味する。また、NPTIIはカナマイシン耐性遺伝子、RB及びLBはT-DNAの左右境界配列を表す。
【図12】プラスミドpTVHVF1の制限酵素地図を示す。HVFはシグナル配列を欠失したオオムギフェロケラターゼ遺伝子であり、lac proはラクトースオペロンのプロモーター配列を意味する。また、Amprはアンピシリン耐性遺伝子、oriは複製開始点を表す。
【図13】プラスミドpBIHVFの制限酵素地図を示す。HVFはシグナル配列を欠失したオオムギフェロケラターゼ遺伝子であり、NPはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター配列を、NTはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター配列を、35Sはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを意味する。また、NPTIIはカナマイシン耐性遺伝子、RB及びLBはT-DNAの左右境界配列を表す。
【図14】プラスミドpTVCSFの制限酵素地図を示す。CSFはシグナル配列を欠失したキュウリフェロケラターゼ遺伝子であり、lac proはラクトースオペロンのプロモーター配列を意味する。また、Amprはアンピシリン耐性遺伝子、oriは複製開始点を表す。
【図15】プラスミドpBICSFの制限酵素地図を示す。CSFはシグナル配列を欠失したキュウリフェロケラターゼ遺伝子であり、NPはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター配列を、NTはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター配列を、35Sはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを意味する。また、NPTIIはカナマイシン耐性遺伝子、RB及びLBはT-DNAの左右境界配列を表す。
【図16】プラスミドpHEMFの制限酵素地図を示す。HEMFは大腸菌コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ遺伝子hemFであり、lac proはラクトースオペロンのプロモーター配列を意味する。また、Amprはアンピシリン耐性遺伝子、oriは複製開始点を表す。
【図17】プラスミドpBIHEMFの制限酵素地図を示す。HEMFは大腸菌コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ遺伝子hemFであり、NPはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター配列を、NTはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター配列を、35Sはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを意味する。また、NPTIIはカナマイシン耐性遺伝子、RB及びLBはT-DNAの左右境界配列を表す。
【図18】プラスミドpBIHASYS8の制限酵素地図を示す。HASYS8はタンパク質MG(HASYS)8をコードする遺伝子であり、NPはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター配列を、NTはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター配列を、35Sはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを意味する。また、NPTIIはカナマイシン耐性遺伝子、RB及びLBはT-DNAの左右境界配列を表す。
【図19】プラスミドpBIRASSL8の制限酵素地図を示す。RASSL8はタンパク質MG(RASSL)8をコードする遺伝子であり、NPはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター配列を、NTはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター配列を、35Sはカリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーターを意味する。また、NPTIIはカナマイシン耐性遺伝子、RB及びLBはT-DNAの左右境界配列を表す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、さらに詳細に本発明を説明する。
本発明において、雑草防除剤としては、除草剤、植物生長調節剤等があげられる。
かかる除草剤としては、有効成分として、光合成における電子伝達を阻害する化合物、カロチノイド生合成を阻害する化合物、ポルフィリン生合成を阻害する化合物、アミノ酸生合成を阻害する化合物、脂質生合成を阻害する化合物、細胞壁の生合成を阻害する化合物、タンパク質、核酸もしくは細胞分裂に影響を与える化合物またはオーキシン拮抗作用を有する化合物を含有する組成物等があげられる。より具体的には、ポルフィリン生合成を阻害する化合物としては、プロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ(protoporphyrinogen IX oxidase; EC 1.3.3.4。以下、PPOと記す。)の活性を阻害する化合物(以下、PPO阻害型除草性化合物と記す。)等をあげることができる。また、光合成における電子伝達を阻害する化合物としては、光化学系IもしくはIIを阻害する化合物、プラストキノン生合成系の上流に位置する4-ヒドロキシピルビン酸ジオキシゲナーゼ(4-hydroxyphenyl pyruvate dioxygenase; EC 1.13.11.27。以下、4-HPPDと記す。) を阻害する化合物等をあげることができる。カロチノイド生合成を阻害する化合物としては、例えば、フィトエンデサチュラーゼ(phytoene desaturase、以下、PDSと記す。)を阻害する化合物等をあげることができる。アミノ酸生合成を阻害する化合物としては、EPSPSを阻害する化合物、アセト乳酸合成酵素(acetolactate synthase; EC 4.1.3.18。以下、ALSと記す。)を阻害する化合物、グルタミン合成酵素(glutamine synthetase; EC 6.3.1.2。以下、GSと記す。)を阻害する化合物、または、ジヒドロプテロイン酸合成酵素(dihydropteroate synthase; EC 2.5.1.15。以下、DHPと記す。)を阻害する化合物等をあげることができる。脂質生合成を阻害する化合物としては、例えば、アセチルCoAカルボキシラーゼ(acetyl CoA carboxylase; EC 6.4.1.2。以下、ACCと記す。)を阻害する化合物等をあげることができる。細胞分裂に影響を与える化合物としては、具体的には、微小管の形成を阻害する化合物等をあげることができ、細胞壁の生合成を阻害する化合物としては、具体的には、セルロース合成を阻害する化合物等をあげることができる。
植物生長調節剤としては、有効成分として、細胞の伸長や分化を促す植物ホルモンに拮抗する作用を有する化合物等、具体的には例えば、2,4-D、フェノキシアルカンカルボン酸、安息香酸またはピコリン酸などの誘導体を含む組成物等を挙げることができる。
【0009】
本発明において、雑草防除剤の雑草防除作用に関わる物質(以下、本物質と記す。)とは、雑草防除剤に有効成分として含まれる化合物、および、雑草防除剤が植物に施用された際に植物細胞内で該雑草防除剤の雑草防除作用発現に関わる植物細胞内因性物質を意味する。
雑草防除剤に有効成分として含まれる化合物としては、除草剤、植物生長調節剤等に含まれる上記のような化合物をあげることができる。
具体的には、例えばPPO阻害型除草性化合物としては、Duke, S.O., Rebeiz, C.A. ACS Symposium Series 559, Porphyric Pesticides, Chemistry, Toxicology, and Pharmaceutical Applications. American Chemical Society, Washington DC (1994)等に記載の化合物等があげられる。
PPO阻害型除草性化合物は多くの異なる構造の分子種を包含し[Duke et al., Weed Sci. 39: p465(1991); Nandihalli et al.、Pesticide Biochem. Physiol. 43: p193(1992); Matringe et al., FEBS Lett. 245: p35(1989); Yanase, Andoh, Pesticide Biochem. Physiol. 35: p70(1989)]、具体的には、ジフェニルエーテル〔例えばクロルメトキシニル、ビフェノックス、クロルニトロフェン(CNP)、アシフルオルフェン{5-[2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-2-ニトロ安息香酸}、アシフルオルフェンのエチルエステル、アシフルオルフェン-ソディウム、オキシフルオルフェン[2-クロロ-1-(3-エトキシ-4-ニトロフェノキシ)-4-トリフルオロメチルベンゼン]、オキサジアゾール〔例えばオキサジアゾン{3-[2,4-ジクロロ-5-(1-メチルエトキシ)フェニル]-5-(1,1-ジメチルエチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2 (3H)-オン)}〕、環状イミド〔例えば S-23142[N-(4-クロロ-2-フルオロ-5-プロパギルオキシフェニル)-3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド]、クロロフタリム[N-(4-クロロフェニル)-3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド]〕、フェニルピラゾール〔例えば TNPP-エチル{エチル 2-[1-(2,3,4-トリクロロフェニル)-4-ニトロピラゾリル-5-オキシ]プロピオネート}〕、ピリジン誘導体〔例えば LS82-556[N3-(1-フェニルエチル)-2,6-ジメチル-5-プロピオニルニコチンアミド]〕、フェノピレート、フェノピレートの O-フェニルピロリジノカルバメート類似体、フェノピレートのピペリジノカルバメート類似体等である。
【0010】
特に重要なジフェニルエーテルとしては、下記 化1記載の構造式1〜7で示される化合物等があげられる[構造式4: Maigrot et al.、Brighton Crop Protection Conference-Weeds:47-51(1989) 参照; 構造式5: Hayashi et al.、Brighton Crop Protection Conference-Weeds: 53-58(1989) 参照; 構造式6: ビフェノックス、Dest et al.、Proc. Northeast Weed Sci. Conf. 27:31(1973) 参照]。
【0011】
【化1】

【0012】
さらに、その他の特に重要なPPO阻害型除草性化合物として、下記 化2記載の一般式で示される化合物等をあげることができ、より具体的には、下記 化7〜化10記載の構造式8〜37で示される化合物などがあげられる。
【0013】
【化2】


ここで、Gとしては下記 化3記載のG−1〜9で示される基があげられ、Jとしては下記 化4〜6記載のJ−1〜30で示される基があげられる。
【0014】
【化3】

【0015】
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

【0018】
ここで、式 J-5、J-6、J-12 および J-24 における破線は、左側の環が一重結合のみを含むことまたは環内のひとつの結合が炭素原子間の二重結合であることを表し、
X は酸素原子または硫黄原子を表し、
Y は酸素原子または硫黄原子を表し、
R1 は水素原子またはハロゲン原子を表し、
R2 は水素原子、C1-C8 アルキル基、C1-C8 ハロアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、-OR27 基、-SH 基、-S(O)pR27 基、-COR27 基、-CO2R27 基、-C(O)SR27 基、-C(O)NR29R30 基、-CHO 基、-CR27=NOR36 基、-CH=CR37CO2R27 基、-CH2CHR37CO2R27 基、-CO2N=CR31R32 基、ニトロ基、シアノ基、-NHSO2R33 基、-NHSO2NHR33 基、-NR27R38 基、-NH2 基、または、1つ以上の同種もしくは異種の C1-C4 アルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
p は 0、1 または 2 を表し、
R3 は C1-C2 アルキル基、C1-C2 ハロアルキル基、-OCH3 基、-SCH3 基、-OCHF2 基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基を表し、
R4 は水素原子、C1-C3 アルキル基、C1-C3 ハロアルキル基、またはハロゲン原子を表し、
R5 は水素原子、C1-C3 アルキル基、ハロゲン原子、C1-C3 ハロアルキル基、シクロプロピル基、ビニル基、C2 アルキニル基、シアノ基、-C(O)R38 基、-CO2R38 基、-C(O)NR38R39 基、-CR34R35CN 基、-CR34R35C(O)R38 基、-CR34R35CO2R38 基、-CR34R35C(O)NR38R39 基、-CHR34OH 基、-CHR34OC(O)R38 基、または -OCHR34OC(O)NR38R39 基を表すか、あるいは、G が G-2 もしくは G-6 の場合に R4 とR5とはこれらが結合している炭素原子とで C=O 基を表していてもよく、
R6 は C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C2-C6 アルコキシアルキル基、C3-C6 アルケニル基、または C3-C6 アルキニル基を表し、
X1 は直接結合、酸素原子、硫黄原子、-NH基、-N(C1-C3 アルキル)基、-N(C1-C3 ハロアルキル)基、または -N(アリル)基を表し、
R7 は水素原子、C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、ハロゲン原子、-S(O)2(C1-C6アルキル)基、または -C(=O)R40 基を表し、
R8 は水素原子、C1-C8 アルキル基、C3-C8 シクロアルキル基、C3-C8 アルケニル基、C3-C8 アルキニル基、C1-C8 ハロアルキル基、C2-C8 アルコキシアルキル基、C3-C8 アルコキシアルコキシアルキル基、C3-C8 ハロアルキニル基、C3-C8 ハロアルケニル基、C1-C8 アルキルスルホニル基、C1-C8 ハロアルキルスルホニル基、C3-C8 アルコキシカルボニルアルキル基、-S(O)2NH(C1-C8 アルキル)基、-C(O)R41 基、またはフェニル環上で R42 で置換されていてもよいベンジル基を表し、
n および m はそれぞれ独立して 0、1、2 または 3 であり、かつ m + n が 2 または 3 を表し、
Z は -CR9R10 基、酸素原子、硫黄原子、-S(O) 基、-S(O)2 基、または -N(C1-C4 アルキル)基を表し、
それぞれの R9 は独立して水素原子、C1-C3 アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1-C6 アルコキシ基、C1-C6 ハロアルキル基、C1-C6 ハロアルコキシ基、C2-C6 アルキルカルボニルオキシ基、または C2-C6 ハロアルキルカルボニルオキシ基を表し、
それぞれの R10 は独立して水素原子、C1-C3 アルキル基、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子を表し、
R11 および R12 はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、C1-C6 アルキル基、C3-C6 アルケニル基、または C1-C6 ハロアルキル基を表し、
R13 は水素原子、C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C3-C6 アルケニル基、C3-C6 ハロアルケニル基、C3-C6 アルキニル基、C3-C6 ハロアルキニル基、HC(=0)基、(C1-C4 アルキル)C(=O) 基、または -NH2 基を表し、
R14 は C1-C6 アルキル基、C1-C6 アルキルチオ基、C1-C6 ハロアルキル基、または -N(CH3)2 基を表し、
W は窒素原子または -CR15 基を表し、
R15 は水素原子、C1-C6 アルキル基、ハロゲン原子、または、C1-C6 アルキル基、1 ないし 2 個のハロゲン原子、C1-C6 アルコキシ基もしくは -CF3 基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
それぞれの Q は独立して酸素原子または硫黄原子を表し、
Q1 は酸素原子または硫黄原子を表し、
Z1 は -CR16R17 基、酸素原子、硫黄原子、-S(O) 基、-S(O)2 基、または -N(C1-C4 アルキル)基を表し、
それぞれの R16 は独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1-C6 アルコキシ基、C1-C6 ハロアルキル基、C1-C6 ハロアルコキシ基、C2-C6 アルキルカルボニルオキシ基、または C2-C6 ハロアルキルカルボニルオキシ基を表し、それぞれの R17 は独立して水素原子、ヒドロキシ基、または ハロゲン原子を表し、
R18 は C1-C6 アルキル基、ハロゲン原子、または C1-C6 ハロアルキル基を表し、
R19 および R20 はそれぞれ独立して水素原子、C1-C6 アルキル基、または C1-C6 ハロアルキル基を表し、
Z2 は酸素原子、硫黄原子、-NR9 基、または-CR9R10 基を表し、
R21 および R22 はそれぞれ独立して C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C3-C6 アルケニル基、C3-C6 ハロアルケニル基、C3-C6 アルキニル基、または C3-C6 ハロアルキニル基を表し、
R23 は水素原子、ハロゲン原子、またはシアノ基を表し、
R24 は C1-C6 アルキルスルフォニル基、C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C3-C6 アルケニル基、C3-C6 アルキニル基、C1-C6 アルコキシ基、C1-C6 ハロアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、
R25 は C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C3-C6 アルケニル基、または C3-C6 アルキニル基を表し、
R26 は C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、または、環上で C1-C6 アルキル基、1 ないし 2 個のハロゲン原子、1 ないし 2 個のニトロ基、C1-C6 アルコキシ基、および CF3 基からなるグループの中から選択される置換基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
W1 は窒素原子または CH 基を表し、
T は下記の一般式T-1、T-2、またはT-3 のいずれかの基を表し、

(式中、E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8、E9、E10、E11、E12 はそれぞれ水素原子または C1-C3 アルキル基を表す。)
R27 は C1-C8 アルキル基、C3-C8 シクロアルキル基、C3-C8 アルケニル基、C3-C8 アルキニル基、C1-C8 ハロアルキル基、C2-C8 アルコキシアルキル基、C2-C8 アルキルチオアルキル基、C2-C8 アルキルスルフィニルアルキル基、C2-C8 アルキルスルフォニルアルキル基、C1-C8 アルキルスルフォニル基、
フェニル環上でハロゲン原子および C1-C4 アルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいフェニルスルフォニル基、
C4-C8 アルコキシアルコキシアルキル基、C4-C8 シクロアルキルアルキル基、C6-C8 シクロアルコキシアルキル基、C4-C8 アルケニルオキシアルキル基、C4-C8 アルキニルオキシアルキル基、C3-C8 ハロアルコキシアルキル基、C4-C8 ハロアルケニルオキシアルキル基、C4-C8 ハロアルキニルオキシアルキル基、C6-C8 シクロアルキルチオアルキル基、C4-C8 アルケニルチオアルキル基、C4-C8 アルキニルチオアルキル基、
環上でハロゲン原子、C1-C3 アルキル基および C1-C3 ハロアルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいフェノキシ基で置換された C1-C4 アルキル基、環上でハロゲン原子、C1-C3 アルキル基および C1-C3 ハロアルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいベンジルオキシ基で置換された C1-C4 アルキル基、
C4-C8トリアルキルシリルアルキル基、C3-C8 シアノアルキル基、C3-C8 ハロシクロアルキル基、C3-C8 ハロアルケニル基、C5-C8 アルコキシアルキニル基、C5-C8 ハロアルコキシアルキニル基、C5-C8 アルキルチオアルケニル基、C3-C8 ハロアルキニル基、C5-C8 アルコキシアルキニル基、C5-C8 ハロアルコキシアルキニル基、C5-C8 アルキルチオアルキニル基、C2-C8 アルキルカルボニル基、
環上でハロゲン原子、C1-C3 アルキル基および C1-C3 ハロアルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいベンジル基、
-CHR34COR28 基、-CHR34COOR28 基、-CHR34P(O)(OR28)2 基、-CHR34P(S)(OR28)2 基、-CHR34C(O)NR29R30 基、または -CHR34C(O)NH2 基を表し、
R28 は C1-C6 アルキル基、C2-C6 アルケニル基、C3-C6 アルキニル基、またはテトラヒドロフラニル基を表し、
R29 および R31 は独立して水素原子、または C1-C4 アルキル基を表し、
R30 および R32 は独立して C1-C4 アルキル基、または環上でハロゲン原子、C1-C3 アルキル基および C1-C3 ハロアルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
あるいは、
R29と R30とで -(CH2)5-、-(CH2)4-、または -CH2CH2OCH2CH2- を表していてもよく、このようにして形成されるそれぞれの環では、 C1-C3 アルキル基、フェニル基およびベンジル基からなるグループの中から選択される置換基で置換されていてもよい、
あるいは、
R31と R32とはこれらが結合している炭素原子とで C3-C8 シクロアルキル基を表していてもよく、
R33 は C1-C4 アルキル基、C1-C4 ハロアルキル基、または C3-C6 アルケニル基を表し、
R34 および R35 は独立して水素原子または C1-C4 アルキル基を表し、
R36 は水素原子、C1-C6 アルキル基、C3-C6 アルケニル基、または C3-C6 アルキニル基を表し、
R37 は水素原子、C1-C4 アルキル基、またはハロゲン原子を表し、
R38 は水素原子、C1-C6 アルキル基、C3-C6 シクロアルキル基、C3-C6 アルケニル基、C3-C6 アルキニル基、C2-C6 アルコキシアルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、環上でハロゲン原子、C1-C4 アルキル基および C1-C4 アルコキシ基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいフェニル基、-CH2CO2(C1-C4 アルキル)基、または -CH(CH3)CO2(C1-C4 アルキル)基を表し、
R39 は水素原子、C1-C2 アルキル基、または C(O)O(C1-C4 アルキル)基を表し、R40 は水素原子、C1-C6 アルキル基、C1-C6 アルコキシ基、または NH(C1-C6 アルキル)基を表し、
R41 は C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C1-C6 アルコキシ基、NH(C1-C6 アルキル)基、R42 基で置換されていてもよいフェニル基、ベンジル基、または C2-C8 ジアルキルアミノ基を表し、
R42 は C1-C6 アルキル基、1 ないし 2 個のハロゲン原子、C1-C6 アルコキシ基、または CF3 基を表す。
【0019】
【化7】

【0020】
【化8】

【0021】
【化9】

【0022】
【化10】

【0023】
さらに、PPO阻害型除草性化合物として、下記 化11記載の一般式で示される N-置換ピラゾール(国際特許公開 WO 94/08999、WO 93/10100 および Schering に対する米国特許第5405829参照)等があげられる。
【0024】
【化11】

ここで、R43 は C1-C4 アルキル基を表し、
R44 は C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルキルチオ基、 C1-C4 アルコキシ基、 C1-C4ハロアルキル基、 C1-C4 ハロアルキルチオ基、または C1-C4 ハロアルコキシ基を表し、
あるいは、
R43 とR44とで-(CH2)3- または -(CH2)4- を表していてもよく、
R45 は水素原子またはハロゲン原子を表し、
R46 は水素原子または C1-C4 アルキル基を表し、
R47 は水素原子、ニトロ基、シアノ基、-COOR49 基、-C(=X)NR50R51 基、または -C(=X2)R52 基を表し、
R48 は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲン原子および水酸基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよい C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルコキシ基、環上でハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、 C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルコキシ基およびハロ-C1-C4 アルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいフェニル基、ピローリル基、 C2-C8 アルキル基、 C3-C8 アルケニル基、 C3-C8 アルキニル基、 C3-C8 アルコキシ基、(該C2-C8 アルキル基、該 C3-C8 アルケニル基、 該C3-C8 アルキニル基および 該C3-C8 アルコキシ基には少なくともひとつ以上の酸素原子が挿入されていてもよい)、または以下に示す基を表し、

R49 R50 およびR51 は同じであっても異なってもよく、水素原子または C1-C4 アルキル基を表し、
あるいは、
R50 とR51とはこれらが結合する窒素原子とで5員もしくは6員の飽和した環を形成していてもよい、
R52 は水素原子、 C1-C4 アルキル基、または少なくとも1つ以上のハロゲン原子で置換された C1-C4 アルキル基を表し、
R53 は水素原子、 C1-C4 アルキル基、 C2-C6 アルケニル基、 C3-C6 アルキニル基、フェニル基(該 C1-C4 アルキル基、該 C2-C6 アルケニル基、該C3-C6 アルキニル基、および該フェニル基はハロゲン原子で置換されていてもよい)、 C3-C8 シクロアルキル基、シアノメチル基、または R63CO-基を表し、
R54 は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい C1-C6 アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい C2-C6 アルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい C3-C6 アルキニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、 C3-C8 シクロアルキル基、シアノメチル基、 C1-C4 アルコキシ C1-C6 アルキル基、 ジ C1-C4 アルキルアミノ C1-C4 アルキル基、テトラヒドロフルフリルメチル基、 C3-C6 アルキニルオキシ C1-C4 アルキル基、ベンジル基、環上でハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、 C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルコキシ基およびハロ C1-C4 アルキル基からなるグループの中から選択される置換基で置換されていてもよいベンジル基、-C(=X2)R63基、-(CH2)a-(O)d-R70 基、-(CH2)a-O-(CH2)b-R70 基、または-(CH2)a-X2-R76基を表し、
あるいは、
R53 とR54とはこれらが結合している窒素原子とで、3員、5員もしくは6員の飽和した環または5員もしくは6員の芳香環(該飽和した環および該芳香環においては1つの炭素原子が1つの酸素原子で置換されていてもよい)を形成していてもよい、
R55 は水素原子、 C1-C4 アルキル基、 C2-C6 アルケニル基、または C3-C6 アルキニル基を表し、あるいはR55 とR56 とで-(CH2)e-基を形成していてもよい、R56 とR57 はそれぞれ C1-C4 アルキル基、 C2-C6 アルケニル基、 C3-C6 アルキニル基もしくはフェニル基(該C1-C4 アルキル基、 該C2-C6 アルケニル基、 該C3-C6 アルキニル基および該フェニル基はハロゲン原子で置換されていてもよい)、 水素原子、 C3-C6 シクロアルキル基、-X2R60 基、または-NR61R62基を表し、
R58 は水素原子、 C1-C6 アルキル基、 C2-C6 アルケニル基、 C3-C6 アルキニル基、 C1-C4 アルキルカルボニル基、シアノ C1-C3 アルキル基、 C1-C4 アルコキシカルボニル C1-C4 アルキル基、ジ C1-C4 アルコキシカルボニル C1-C4 アルキル基、ベンジル基、 C1-C4アルコキシ- C1-C4アルキニル基、-(CH2)a-R75基、-(CH2)a-X2-R72基、-(CH2)a-X2-(CH2)b-R72基、または-(CH2)a-X2-(CH2)b-X2-(CH2)c-R72基を表し、
R59 は水素原子、 C1-C4 アルキル基、 C2-C6 アルケニル基、 C3-C6 アルキニル基、シアノ C1-C3 アルキル基、 C1-C4 アルキルカルボニル C1-C3 アルキル基、またはフェニル基を表し、
R60 は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい C1-C4 アルキル基を表し、
R61 とR62 は同じであっても異なってもよく、水素原子、または C1-C4 アルキル基を表し、
R63 は少なくとも1つ以上のハロゲン原子で置換されていてもよい C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルコシキ C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルキルチオ C1-C4 アルキル基、 C3-C6 シクロアルキル基、環上でハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、 C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルコキシ基およびハロ C1-C4 アルキル基からなるグループの中から選択されるひとつの置換基で置換されていてもよいフェニル基、-NR73R74基、または-(CH2)a-(O)d-R75基を表し、
R64 は C1-C4 アルコキシカルボニル基、またはカルボキシル基を表し、
R65 はクロロメチル基、シアノメチル基、少なくとも1つ以上の酸素原子が挿入されていてもよい C3-C6 シクロアルキル基、または C1-C4 アルコキシカルボニル C1-C4 アルキル基を表し、
R66 は水酸基、または-NR67R68を表し、
A は -NR67R68、または -S(O)f-R69基を表し、
R67 とR68 は同じであっても異なってもよく、水素原子、または C1-C4 アルキル基を表し、
R69 は C1-C4 アルキル基、または C1-C4 ハロアルキル基を表し、
R70 は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、少なくとも1つ以上の C1-C4 アルコキシ基で置換されていてもよい C1-C4 アルキル基、少なくとも1つ以上の酸素原子が挿入されていてもよい C3-C6シクロアルキル基、1もしくは2個のメチル基で置換されていてもよい C3-C6シクロアルキル基、フリル基、チエニル基、または -C(=O)R71基を表し、
R71 とR72 は同じであっても異なってもよく、 C1-C4 アルキル基、または C1-C4 アルコキシ基を表し、
R73 とR74 は同じであっても異なってもよく、 C1-C4 アルキル基、またはフェニル基を表し、
R75 は少なくとも1つ以上の酸素原子が挿入されていてもよい C3-C6シクロアルキル基、1または2個のメチル基で置換されていてもよい C3-C6シクロアルキル基、フリル基、チエニル基、または -C(=O)R71基を表し、
R76 は C1-C4 アルキル基を表し、
a、b、およびc はそれぞれ独立して1、2、または3を表し、
d は0または1を表し、
e は2または3を表し、
f は1または2を表し、
X2 は酸素原子または硫黄原子を表す。
【0025】
その他の N-置換ピラゾールとして、下記 化12記載の構造式38で示されるニピラクロフェン{"The Pesticide Manual",9th ed.、C. R. Worthing 編、British Crop Protection Council,Surrey (1991) の 621 頁参照}、および 3-置換-2-アリール-4,5,6,7-テトラヒドロインダゾール{Lyga et al., Pesticide Sci. 42: p29(1994)}をあげられる。
【0026】
【化12】

【0027】
また、光合成における電子伝達を阻害する雑草防除剤の有効成分として含まれる化合物としては、次のような化合物があげられる。例えば、光化学系Iの電子伝達を阻害する化合物としては、パラコート(paraquat)またはダイコート(diquat)などがあげられ、光化学系IIの電子伝達を阻害する化合物としては、アトラジン(atrazine)等のトリアジン(triazine)系化合物、ジウロン(diuron)等のウレア(urea)系化合物、または、ブロモキシニル(bromoxynil)もしくはアイオキシニル(ioxynil)等のニトリル(nitrile)系化合物などがあげられ、4-HPPDを阻害する化合物としては、イソクサフルトール(isoxaflutole)等のイソクサゾール(isoxazole)系化合物、ピラゾール(pyrazole)系化合物またはトリケトン(triketone)系化合物などがあげられる。カロチノイド生合成を阻害する雑草防除剤の有効成分として含まれる化合物としては、PDSを阻害する化合物、例えばノルフラゾン(norflurazon)、フルロクロリドン(flurochloridone)、フルリドン(fluridone)、フルタモン(flurtamone)またはジフルフェニカン(diflufenican)などがあげられる。
アミノ酸生合成を阻害する雑草防除剤の有効成分として含まれる化合物としては、EPSPSを阻害する化合物の例としてグリフォセート(glyphosate)などがあげられ、ALSを阻害する化合物の例として、スルフォニルウレア(sulfonylurea)系化合物、イミダゾリノン(imidazolinone)系化合物、ピリミジニルチオベンゾエート(pyrimidininylthiobenzoate)系化合物またはトリアゾロピリミジン(triazolopyrimidine)系化合物などがあげられ、GSを阻害する化合物の例としてビアラフォス(bialaphos)またはグルフォシネート(glufosinate)などがあげられ、DHPを阻害する化合物の例としてアスラン(asulam)などがあげられる。脂質生合成を阻害する雑草防除剤の有効成分として含まれる化合物としては、ACCを阻害する化合物の例としてシクロヘキサンジオン(cyclohexanedione)系化合物またはアリロキシフェノキシプロピオネート(aryloxyphenoxypropionate)系化合物などがあげられる。細胞壁の生合成を阻害する雑草防除剤の有効成分として含まれる化合物としては、セルロースの生合成を阻害する化合物の例としてジクロベニル(dichlobenil)などがあげられる。
【0028】
雑草防除剤が植物に施用された際に植物細胞内で該雑草防除作用発現に関わる植物細胞内因性物質としては、例えば、雑草防除剤の有効成分が作用する標的酵素の基質または該基質の前駆体もしくは代謝物であって、植物細胞内で蓄積すると細胞の機能傷害を惹起する物質、あるいは、このような物質により植物細胞内で生成する物質であって細胞の機能傷害を惹起する物質等があげられる。より具体的には、PPO阻害型除草性化合物で植物を処理すると、該植物の細胞内にPPOの基質であるプロトポルフィリノーゲンIXが蓄積し、これが細胞内で代謝されてプロトポルフィリンIXを生じ、さらに、プロトポルフィリンIXと光の存在下に細胞内で活性酸素が生成し、その結果、細胞機能が傷害を受けることが知られており(宮本純之編、1993年、新しい農薬の科学 第3章 3.3節、p106、広川書店 東京)、この系におけるプロトポルフィリノーゲンIX、プロトポルフィリンIXおよび活性酸素をあげることができる。
【0029】
本発明方法1において使用される遺伝子は下記の(1)〜(3)の性質を有するタンパク質をコードする遺伝子である。
(1)本物質に特異的に結合する。
(2)当該タンパク質が特異的に結合する物質に対する変性能を実質的に持たない。
(3)免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない。
本発明において、タンパク質が物質に「特異的に結合する」とは、例えば、酵素と基質、または、酵素と阻害剤もしくは活性調節因子との間の酵素化学的結合、受容体とリガンドとの間の受容体化学的結合等において示されるような親和性と特異性に基いて、タンパク質が物質に結合することを意味する。
「当該タンパク質が特異的に結合する物質に対する変性能を実質的に持たない」とは、該物質との酵素化学的な反応性が不活性である{但し、上記の性質(1)でいう本物質との特異的結合性を除く}ことを意味し、例えば、該物質を、該物質を示す化学構造式とは異なる化学構造式で示される物質に変換する酵素化学的反応を触媒する能力を実質的に持たない場合をあげることができる。「変性能を実質的に持たない」タンパク質は、例えば、該タンパク質をコードする遺伝子を、当該変性能を有するタンパク質をコードする遺伝子が欠失し通常の条件では生育できなくなった微生物に、発現可能な状態で導入した場合に、該微生物の生育が相補されないことを指標に選択してもよい。
本発明において、「免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない」とは、免疫グロブリンの可変領域に特有の立体構造を形成しないことを意味する。ここで、「免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域」とは、免疫グロブリン分子を構成するH鎖およびL鎖の可変領域のうち、超可変領域(hypervariable region)を除いた残りの領域であって、アミノ酸配列の保存性が比較的高く、可変領域の高度に保存された立体構造の保持に働く領域である。
可変領域が前記の立体構造をとることにより、H鎖およびL鎖のそれぞれ3ヶ所に散在する超可変領域が該立体構造上の1か所にまとまり、抗原結合部位が形成される[Alberts, B., et al. ed. (1983) Molecular Biology of the Cell p979, Garland Publishing, Inc. New York]。「免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない」タンパク質は、例えば、該タンパク質のアミノ酸配列に基づいて選び出すことができ、このようなタンパク質として具体的には例えば、免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域の既知のアミノ酸配列と約60%以上の相同性を示す約30アミノ酸以上からなるアミノ酸配列を含まないタンパク質をあげることができる。また、上記のフレームワーク領域を含むか否かは、例えば、該タンパク質をコードする遺伝子を鋳型にして、免疫グロブリンのH鎖もしくはL鎖由来の可変領域をコードする塩基配列を有するDNAを増幅可能なプライマー、具体的には例えば、Clackson, T. et al., Nature 352; p624(1991)に記載されるプライマーVH1BACKとVH1FOR-2、もしくは、VK2BACKとVK4FOR、または、組換え抗体遺伝子のクローニングのための市販のキット、例えばRecombinant Phage Antibody System(Pharmacia Biotech社製)に含まれるプライマーHeavy primers mixもしくはLight primer mixなどを用いてPCRを行い、特定の長さのDNAの増幅の有無を分析することによって確認することもできる。
【0030】
本発明方法1において使用される遺伝子にコードされるタンパク質としては、上記(1)〜(3)の性質を有していれば、天然に存在するタンパク質であっても、天然のタンパク質にアミノ酸置換、付加、欠失等が導入されてなるタンパク質であっても、ランダムなアミノ酸配列を有する人為的に作出されたタンパク質の中から本物質との結合性を指標に選抜されたタンパク質であってもよい。尚、本発明において、「タンパク質」とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合によって結合した物質をいい、例えば、4〜100個程度のアミノ酸がペプチド結合によって結合してなる物質も含まれる。
上記の性質(1)〜(3)を有するタンパク質の具体例として、下記のようなタンパク質をあげることができる。
プロトポルフィリンIXに特異的に結合するタンパク質として、例えば、マグネシウムケラターゼ(magnesium protoporphyrin IX chelatase)のプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質、または該タンパク質の改変タンパク質であってプロトポルフィリンIXに特異的に結合するタンパク質をあげることができ、より具体的には、該サブユニットタンパク質からオルガネラ移行シグナル配列が除去されたタンパク質等があげられる。
また、フェロケラターゼ(protoheme ferrolyase; EC 4.9.9.1)の改変タンパク質であって、プロトポルフィリンIXに対する変性能を持たずプロトポルフィリンIXに特異的に結合するタンパク質をあげることもでき、より具体的には、フェロケラターゼにおいて鉄イオンとの結合部位と推定される領域が改変されてなりプロトポルフィリンIXに対する変性能を持たないタンパク質等をあげることができる。
さらに、コバルトケラターゼ(cobaltochelatase)の基質結合サブユニットタンパク質、または該タンパク質の改変タンパク質であってプロトポルフィリンIXに特異的に結合するタンパク質をあげることもできる。
プロトポルフィリンIXに特異的に結合するタンパク質としては、配列番号51もしくは53で示されるアミノ酸配列を含みプロトポルフィリンIXに特異的に結合するタンパク質、配列番号55もしくは57で示されるアミノ酸配列を含みポルフィリン化合物に特異的に結合するタンパク質などをあげることもできる。このようなタンパク質としては、具体的には、配列番号51、53、55もしくは57で示されるアミノ酸配列を1回含むタンパク質や、該アミノ酸配列を複数回含むタンパク質などがあげられ、該タンパク質を構成するアミノ酸の数としては、例えば、4個〜約100個程度をあげることができる。より具体的な例としては、配列番号52、54、56もしくは58で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質や、配列番号51、53、55もしくは57で示されるアミノ酸配列を4回もしくは8回繰返し含むタンパク質、例えば、配列番号59、60、61または62で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質等をあげることができる。
プロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合するタンパク質としては、PPOの改変タンパク質であって、プロトポルフィリノーゲンIXを酸化する能力を持たずプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合するタンパク質をあげることができ、より具体的には、PPOにおいてFAD結合部位と推定される領域(アミノ酸配列GXGXXGを有する領域であって、ここでXは任意のアミノ酸を示す。例えば、シロイヌナズナ葉緑体局在型PPOのアミノ末端から63〜68番目のアミノ酸からなり、アミノ酸配列GGGISGを有する領域)が欠失したタンパク質等をあげることができる。
また、プロトポルフィリノーゲンIXに結合するタンパク質としては、コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ(coproporphyrinogen III oxidase; EC 1.3.3.3)の改変タンパク質であって、プロトポルフィリノーゲンIXおよびコプロポルフィリノーゲンIIIを酸化する能力を持たずプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合するタンパク質をあげることもできる。
上記のようなタンパク質が、細胞内で本物質と結合することにより、該物質によって惹起される細胞機能傷害が防がれ、雑草防除剤耐性が発現され得る。かかるタンパク質をコードする遺伝子は、例えば次のようにして得ることができる。
【0031】
マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質をコードする遺伝子としては、光合成細菌Rhodobacter capsulatus (Genebank accession M74001)、シロイヌナズナ(Genebank accession Z68495)、オオムギ(Genebank accession U96216)、キンギョソウ(Genebank accession X73144)、Synechocystis P.C.C.6803(Genebank accession U29131)等由来の遺伝子の塩基配列が知られている。このような塩基配列既知の遺伝子は、目的の遺伝子を持つ生物のゲノムDNAまたはcDNAを鋳型にして、その遺伝子にコードされるタンパク質のアミノ末端付近に相当する塩基配列およびカルボキシ末端付近に相当する塩基配列をもとに作製したプライマーを用いてPCRを行うことにより増幅しこれを単離することができる。また、上記以外の光合成生物から、マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質をコードする遺伝子を取得することもできる。まず、目的とする光合成生物からmRNAを調製し、該mRNAを鋳型として逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、これをZAPIIなどのファージベクターまたはpUCなどのプラスミドベクターに組み込んでcDNAライブラリーを作製する。このcDNAライブラリーを鋳型にして、上記のような塩基配列既知の遺伝子間で良好に保存された塩基配列に基づき設計し合成されたプライマーを用いてPCRを行うことによって、マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質遺伝子の少なくとも一部を含むDNA断片を増幅することができる。このDNA断片をプローブにしてcDNAライブラリーをスクリーニングし、陽性クローンを選抜する。選抜したクローンの有するDNAの塩基配列を決定することによって、目的とするマグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質の遺伝子であることを確認することができる。
マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質の改変タンパク質であってプロトポルフィリンIXに特異的に結合するタンパク質をコードする遺伝子を取得するには、例えば、該サブニユットタンパク質の遺伝子に塩基の置換、欠失、付加等の変異を導入し、該遺伝子をGibson, L.C.D. et al., Proc. Acad. Sci. USA, 92; p1941(1995)に記載の方法に準じて大腸菌BL21(DE3)株に導入して形質転換株を取得し、導入した遺伝子が高発現する条件で該形質転換株を培養する。培養菌体が赤色化し、プロトポルフィリンIXの蓄積を示す蛍光吸収(励起波長405nm、蛍光波長630nm)が観察される株を選抜することにより、該サブユニットタンパク質の改変タンパク質であってプロトポルフィリンIXに特異的に結合するタンパク質をコードする遺伝子を得ることができる。
【0032】
フェロケラターゼをコードする遺伝子としては、これまでに大腸菌Esherichia coli (Genebank accession D90259)、枯草菌Bacillus subtilis (Genebank accession M97208)、Bradyrhizobium japonicum (Genebank accession M92427)、酵母Saccharomyces cerevisiae (Genebank accession J05395)、マウス(Genebank accession J05697)、ヒト(Genebank accession D00726)、オオムギ(Genebank accession D26105)、キュウリ(Genebank accession D26106)等由来の遺伝子の塩基配列が知られている。このような塩基配列既知の遺伝子は、目的の遺伝子を持つ生物のゲノムDNAもしくはcDNAを鋳型にして、その遺伝子にコードされるタンパク質のアミノ末端付近に相当する塩基配列およびカルボキシ末端付近に相当する塩基配列をもとに作製したプライマーを用いてPCRを行うことにより、増幅し単離することができる。また、塩基配列の知られていないフェロケラターゼ遺伝子を取得するには、まず、目的とする生物からmRNAを調製し、該mRNAを鋳型として逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、これをZAPIIなどのファージベクターまたはpUCなどのプラスミドベクターに組み込んでcDNAライブラリーを作製する。このcDNAライブラリーを、Miyamoto,K.,et al. Plant Physiol., 105; p769 (1994)に記載の大腸菌のフェロケラターゼ欠失変異株VS200に導入し相補試験を行うことによって、該cDNAライブラリーから目的の生物由来のフェロケラターゼ遺伝子を有するクローンを選抜することができる。また、前記cDNAライブラリーを鋳型にして、上記のような塩基配列既知の遺伝子間で良好に保存された塩基配列に基づき作製されたプライマーを用いてPCRを行うことによってDNA断片を増幅し、該DNA断片をプローブにして前記cDNAライブラリーをスクリーニングし、陽性クローンを選抜してもよい。このようにして選抜されたクローンの有するDNAの塩基配列を決定することによって、目的とするフェロケラターゼ遺伝子であることを確認することができる。
フェロケラターゼの改変タンパク質であってプロトポルフィリンIXに対する変性能を持たずプロトポルフィリンIXに特異的に結合するタンパク質、例えば、フェロケラターゼにおいて鉄イオンとの結合部位と推定される領域が改変されてなりプロトポルフィリンIXに対する変性能を持たないタンパク質をコードする遺伝子を取得するには、該領域付近のアミノ酸配列をコードする塩基配列に基づき、該領域に変異を導入するためのプライマーを作製し、この変異導入プライマーを用いて、市販の部位特異的変異導入キット(Mutan-Super Express Km、宝酒造製)を用いたPCRを行うことにより、上記領域の変異体をコードする遺伝子を調製することができる。具体的には、野生型のフェロケラターゼ遺伝子をプラスミドベクターpKF19kのクローニング部位に挿入し、得られたプラスミドのDNAを鋳型に、前述の変異導入プライマーとpKF19kのカナマイシン耐性遺伝子上にあるアンバー変異を復帰させるための選抜プライマーとを用いてPCRを行う。該PCRで増幅された遺伝子を大腸菌MV1184株(サプレッサーフリー)に導入し、遺伝子導入株をカナマイシン耐性で選抜することにより、目的の領域を構成するアミノ酸に相当する塩基配列が改変されたフェロケラターゼ遺伝子を持つ大腸菌を単離することができる。該大腸菌の有するプラスミドDNAの塩基配列を解析することによって、単離した遺伝子が目的とする改変タンパク質をコードする遺伝子であることを確認することができる。
【0033】
配列番号51、53、55もしくは57で示されるアミノ酸配列を4回もしくは8回繰返し含むタンパク質をコードする遺伝子は、例えば、開始コドンATGの後ろに前記アミノ酸配列をコードする塩基配列が所定の回数繰返されてなる塩基配列を選定し、該塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび該塩基配列に相補的な塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、DNA合成装置を用いてそれぞれ合成し、これらをアニーリングさせることによって作製することができる。また、配列番号52、54、56もしくは58で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子は、該アミノ酸配列をコードする塩基配列を選定し、該塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび該塩基配列に相補的な塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを、DNA合成装置を用いて合成し、これらをアニーリングさせることによって作製することができる。ここで、所定のアミノ酸配列をコードする塩基配列を選定する際には、例えば、植物由来の遺伝子において頻度高く使用されているコドンを選ぶとよい。
【0034】
PPO遺伝子は、これまでに大腸菌Esherichia coli (Genebank accession X68660)、枯草菌Bacillus subtilis (Genebank accession M97208)、Haemophilus influnzae (Genebank accession L42023)、マウス(Genebank accession D45185)、ヒト(Genebank accession D38537)、シロイヌナズナ(Genebank accession D83139)、タバコ(Genebank accession Y13465, Y13466)等由来の遺伝子の塩基配列が知られている。このような塩基配列既知の遺伝子は、目的の遺伝子を持つ生物のゲノムDNAもしくはcDNAを鋳型にして、その遺伝子にコードされるタンパク質のアミノ末端付近に相当する塩基配列およびカルボキシ末端付近に相当する塩基配列をもとに作製したプライマーを用いてPCRを行うことにより増幅し、これを単離することができる。また、塩基配列の知られていないPPO遺伝子を取得するには、まず、目的の遺伝子を持つ生物から前述の方法でcDNAライブラリーを作製する。このcDNAライブラリーを、Narita,S., et al., Gene, 182; p169 (1996)等に記載の大腸菌のPPO欠失変異株VSR800に導入し相補試験を行うことによって、該cDNAライブラリーから目的の生物由来のPPO遺伝子を有するクローンを選抜することができる。また、前記cDNAライブラリーを鋳型にして、上記のような塩基配列既知の遺伝子間で良好に保存された塩基配列に基づき作製されたプライマーを用いてPCRを行うことによってDNA断片を増幅し、該DNA断片をプローブにして前記cDNAライブラリーをスクリーニングし、陽性クローンを選抜してもよい。選抜されたクローンの有する塩基配列を決定することによって、目的とするPPO遺伝子であることを確認することができる。
PPOの改変タンパク質であって、プロトポルフィリノーゲンIXを酸化する尿力を持たずプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合するタンパク質の遺伝子を取得するには、例えば、PPO遺伝子に塩基の置換、欠失、付加等の変異を導入し、該改変遺伝子をPPO阻害型除草剤処理によって光依存的に増殖が阻害される上述の大腸菌に導入する。該大腸菌をヘミン、アミノレブリン酸およびPPO阻害型除草剤存在下に培養して明所でも生育可能なクローンを選抜することにより、プロトポルフィリノーゲンIX結合能を有するタンパク質をコードする遺伝子を選抜することができる。このようにして選抜された改変遺伝子を大腸菌等の宿主細胞で発現させて該遺伝子のコードするタンパク質を調製し、得られたタンパク質のプロトポルフィリノーゲンIXに対する酸化能を、例えば、Jacob,N.J.and Jacobs,J.M.(1982) Enzyme, 28, 206-219等に記載の方法に準じて測定することにより、プロトポルフィリノーゲンIXに対する酸化能を持たないタンパク質の遺伝子を選抜することができる。より具体的には、上記改変遺伝子を大腸菌用の発現ベクターに挿入して、Yamamoto,F.et al., Japanese J. Genet.,63; p237(1988)等に記載されている大腸菌BT3株のような、PPO遺伝子(hemG遺伝子座)欠損突然変異系統大腸菌に導入し、該大腸菌に導入したベクター上の選抜マーカーに対応する細胞生育阻害剤に加えヘミンおよびアミノレブリン酸を含む培地で該大腸菌を培養して形質転換株を取得し、該形質転換株から上記改変遺伝子のコードするタンパク質を調製してもよい。また、該形質転換株をヘミンおよびアミノレブリン酸を実質的に含まない培地で培養し、生育しない株を確認することにより、該形質転換株からその宿主細胞のPPO遺伝子欠損を相補しない遺伝子を得ることができ、かかる方法をプロトポルフィリノーゲンIXに対する酸化能を持たないタンパク質をコードする遺伝子の選抜に利用してもよい。
また、PPOにおいてFADとの結合部位と推定される領域(アミノ酸配列GXGXXGを有する領域であって、ここでXは任意のアミノ酸を示す。)を欠失したタンパク質をコードする遺伝子を取得するには、まず、該領域付近のアミノ酸配列をコードする塩基配列に基づき、該領域の欠失変異を導入するためのプライマーを作製する。この変異導入プライマーを用いて、前述のように市販の部位特異的変異導入キット(Mutan-Super Express Km、宝酒造製)を用いてPCRを行い該領域の欠失変異体をコードする遺伝子を調製することができる。
【0035】
コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼをコードする遺伝子としては、これまでに大腸菌Esherichia coli (Genebank accession X75413)、Salmonella typhimurium (Genebank accession L19503)、酵母Saccharomyces cerevisiae (Genebank accession J03873)、マウス(Genebank accession D16333)、ヒト(Genebank accession D16611)、ダイズ(Genebank accession X71083)、オオムギ(Genebank accession X82830)、タバコ(Genebank accession X82831)等由来の遺伝子の塩基配列が知られている。このような塩基配列既知の遺伝子は、目的の遺伝子を持つ生物のゲノムDNAもしくはcDNAを鋳型にして、その遺伝子にコードされるタンパク質のアミノ末端付近に相当する塩基配列およびカルボキシ末端付近に相当する塩基配列をもとに作製したプライマーを用いてPCRを行うことにより、増幅し単離することができる。また、塩基配列の知られていないコプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ遺伝子を取得するには、まず、目的とする生物からmRNAを調製し、該mRNAを鋳型として逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、これをSikorski, R.S. et al. Genetics, 122; p19 (1989)に記載のpRS313などのプラスミドベクターに組み込んでcDNAライブラリーを作製する。このcDNAライブラリーを、Troup, B. et al. J. Bacteriol., 176; p673 (1994)に記載の酵母コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ欠失変異株HEM13に導入して相補試験を行い、生育可能なクローンを選抜することによって、該cDNAライブラリーから目的の生物由来のコプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ遺伝子を有するクローンを選抜することができる。また、前記cDNAライブラリーを鋳型にして、上記のような塩基配列既知の遺伝子間で良好に保存された塩基配列に基づき作製されたプライマーを用いてPCRを行うことによってDNA断片を増幅し、該DNA断片をプローブにして前記cDNAライブラリーをスクリーニングし、陽性クローンを選抜してもよい。このようにして選抜されたクローンの有するDNAの塩基配列を決定することによって、目的とするコプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ遺伝子であることを確認することができる。
コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼの改変タンパク質であって、プロトポルフィリノーゲンIXおよびコプロポルフィリノーゲンIIIに対する酸化能を持たずプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合するタンパク質の遺伝子を取得するには、例えば、コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ遺伝子に塩基の置換、欠失、付加等の変異を導入し、該改変遺伝子をPPO阻害型除草剤処理によって光依存的に増殖が阻害される上述の大腸菌に導入する。該大腸菌をヘミン、アミノレブリン酸およびPPO阻害型除草剤存在下に培養して明所でも生育可能なクローンを選抜することにより、プロトポルフィリノーゲンIX結合能を有するタンパク質をコードする遺伝子を選抜することができる。このようにして選抜された改変遺伝子を、例えば、大腸菌等の宿主細胞で発現させて該遺伝子のコードするタンパク質を調製し、得られたタンパク質のプロトポルフィリノーゲンIXに対する酸化能を、例えば、Jacob,N.J.and Jacobs,J.M.(1982) Enzyme, 28, 206-219等に記載の方法に準じて測定することにより、プロトポルフィリノーゲンIXに対する酸化能を持たないタンパク質の遺伝子を選抜することができる。さらに、前記のようにして大腸菌から調製されたタンパク質について、コプロポルフィリノーゲンIIIをプロトポルフィリノーゲンIXに変換する能力(コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ活性)を、例えば、Yoshinaga, T.,Sano,S., J. Biol. Chem., 255; p4722(1980)等に記載の方法に準じて測定することにより、コプロポルフィリノーゲンIIIに対する酸化能を持たないタンパク質の遺伝子を選抜することができる。
【0036】
本物質に特異的に結合可能なタンパク質の遺伝子は、例えば、Sugimoto,N., Nakano,S., Chem. Lett., p939(1997)等に記載のように、コンビナトリアルケミストリー法を用いて合成されたペプチドライブラリーから本物質に対して結合性を示すペプチドを選抜し、選抜されたペプチドのアミノ酸配列をペプチドシークエンサーで解析し、該アミノ酸配列をコードする塩基配列を含む遺伝子を設計してこれをDNA合成装置等で合成することによっても、取得することができる。
また、ファージディスプレー法を用いて、本物質に対して結合性を有するタンパク質を提示するファージクローンをファージライブラリーから選抜し取得することもできる。具体的には、例えば、M13ファージ遺伝子のコートタンパク質pIIIをコードする領域の上流側に、ランダムなアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列を挿入することによって、M13ファージ粒子表面にランダムなアミノ酸配列を有するタンパク質が提示されたファージライブラリーを構築する。一方、ビオチン標識化した本物質を、アビジンもしくはストレプトアビジンでコートしたプレートに結合させることにより、本物質でコートされた支持体を作製する。前述のファージライブラリーをこの本物質でコートされたプレート上でスクリーニングすると、本物質に結合性のある目的のタンパク質を提示したファージを単離することができ、単離されたファージから目的のタンパク質の遺伝子を取得することができる。
【0037】
本発明方法2において使用される遺伝子は、下記の(1)〜(3)の性質を有するタンパク質をコードする遺伝子である。
(1)プロトポルフィリンIXに特異的に結合する。
(2)プロトポルフィリノーゲンIXに対する変性能を持たない。
(3)免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない。
ここで、「プロトポルフィリンIXに特異的に結合する」とは、前述のごとく、例えば、酵素と基質、または、酵素と阻害剤もしくは活性調節因子との間の酵素化学的結合、受容体とリガンドとの間の受容体化学的結合等において示されるような親和性と特異性に基いて、当該タンパク質がプロトポルフィリンIXに結合することを意味する。
また、「プロトポルフィリノーゲンIXに対する変性能を持たない」とは、プロトポルフィリノーゲンIXとの酵素化学的な反応性が不活性であることを意味し、例えば、プロトポルフィリノーゲンIXを、その化学構造式とは異なる化学構造式で示される物質に変換する酵素化学的反応を触媒する能力を実質的に持たない場合をあげることができる。
「免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない」とは、前述のとおり、免疫グロブリンの可変領域に特有の立体構造を形成しないことを意味する。
本発明方法2に使用される遺伝子にコードされるタンパク質としては、上記(1)〜(3)の性質を有していれば、天然に存在するタンパク質であっても、天然のタンパク質にアミノ酸置換、付加、欠失等が導入されてなるタンパク質であっても、ランダムなアミノ酸配列を有する人為的に作出されたタンパク質の中から本物質との結合性を指標に選抜されたタンパク質であってもよい。
このようなタンパク質の具体例としては、例えば、マグネシウムケラターゼ、および、マグネシウムケラターゼの改変タンパク質であってプロトポルフィリンIXに特異的に結合しプロトポルフィリノーゲンIXを変性する能力を持たないタンパク質をあげることができる。
また、フェロケラターゼ、および、フェロケラターゼの改変タンパク質であって、プロトポルフィリンIXに特異的に結合しプロトポルフィリノーゲンIXを変性する能力を持たないタンパク質をあげることもできる。
さらに、配列番号51もしくは53で示されるアミノ酸配列を含みプロトポルフィリンIXに特異的に結合するタンパク質、配列番号55もしくは57で示されるアミノ酸配列を含みポルフィリン化合物に特異的に結合するタンパク質などをあげることもできる。このようなタンパク質としては、具体的には、配列番号51、53、55もしくは57で示されるアミノ酸配列を1回含むタンパク質や、該アミノ酸配列を複数回含むタンパク質などがあげられ、該タンパク質を構成するアミノ酸の数としては、例えば、4個〜約100個程度をあげることができる。より具体的な例としては、配列番号52、54、56もしくは58で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質や、配列番号51、53、55もしくは57で示されるアミノ酸配列を4回もしくは8回繰返し含むタンパク質、例えば、配列番号59、60、61または62で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質等をあげることもできる。
【0038】
上記のタンパク質をコードする遺伝子は、例えば、以下のようにして取得することができる。
マグネシウムケラターゼは、プロトポルフィリンIXにマグネシウムイオンを配位しマグネシウムポルフィリンIXを生成する能力を有し、プロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質、Iサブユニットタンパク質およびDサブユニットタンパク質で構成される。マグネシウムケラターゼを植物で発現させるには、これらの3つのサブユニットタンパク質をコードする遺伝子を取得する。
マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質をコードする遺伝子は、前記の方法で取得することができる。
マグネシウムケラターゼのIサブユニットタンパク質をコードする遺伝子として、光合成細菌Rhodobacter sphaerides (Genebank accession AF017642)、光合成細菌Rhodobacter capsulatus (Genebank accession Z11165)、シロイヌナズナ(Genebank accession D49426)、オオムギ(Genebank accession U26545)、ダイズ(Genebank accession D45857)、タバコ(Genebank accession AF14053)、Synechocystis P.C.C.6803(Genebank accession U35144)等由来の遺伝子が知られている。このような公知の遺伝子(塩基配列が公知)は、目的の遺伝子を持つ生物のゲノムDNAまたはcDNAを鋳型にして、その遺伝子にコードされるタンパク質のアミノ末端付近に相当する塩基配列およびカルボキシ末端付近に相当する塩基配列をもとに作製したプライマーを用いてPCRを行うことにより増幅しこれを単離することができる。また、上記以外の光合成生物から、マグネシウムケラターゼIサブユニットタンパク質をコードする遺伝子を取得することもできる。まず、目的とする光合成生物からmRNAを調製し、該mRNAを鋳型として逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、これをZAPIIなどのファージベクターまたはpUCなどのプラスミドベクターに組み込んでcDNAライブラリーを作製する。このcDNAライブラリーを鋳型にして、上記のような公知の遺伝子との間で良好に保存された塩基配列に基づき設計し合成されたプライマーを用いてPCRを行うことによって、マグネシウムケラターゼのIサブユニットタンパク質の遺伝子の少なくとも一部を含むDNAを増幅することができる。このDNAをプローブにしてcDNAライブラリーをスクリーニングし、陽性クローンを選抜する。選抜したクローンの有するDNAの塩基配列を決定することによって、目的とするマグネシウムケラターゼのIサブユニットタンパク質の遺伝子であることを確認することができる。
また、マグネシウムケラターゼのDサブユニットタンパク質をコードする遺伝子として、光合成細菌Rhodobacter sphaerides (Genebank accession AJ001690)、光合成細菌Rhodobacter capsulatus (Genebank accession Z11165)、エンドウ(Genebank accession AF014399)、タバコ(Genebank accession Y10022)、Synechocystis P.C.C.6803(Genebank accession X96599)等由来の遺伝子が知られている。マグネシウムケラターゼDサブユニットタンパク質をコードする遺伝子は、前記のマグネシウムケラターゼIサブユニットタンパク質をコードする遺伝子を取得する方法と同様の方法で取得することができる。
これらの3つのサブユニットタンパク質からなるマグネシウムケラターゼの活性の検出は、例えば、Gibson, L.C.D. et al., Proc. Acad. Sci. USA, 92; p1941(1995)等に記載の方法に準じて実施することができる。
フェロケラターゼをコードする遺伝子は前述の方法で取得することができる。
フェロケラターゼの活性の検出は、例えば、Porra, R.J., Anal. Biochem., 68; p289(1975)等に記載の方法に準じて実施することができる。
【0039】
本発明方法3において使用される遺伝子は、下記の(1)〜(3)の性質を有するタンパク質をコードする遺伝子である。
(1)プロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合する。
(2)コプロポルフィリノーゲンIIIに対する変性能を持つ。
(3)免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない。
「プロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合する」とは、前述のごとく、例えば、酵素と基質、または、酵素と阻害剤もしくは活性調節因子との間の酵素化学的結合、受容体とリガンドとの間の受容体化学的結合等において示されるような親和性と特異性に基いて、当該タンパク質がプロトポルフィリノーゲンIXに結合することを意味する。
「コプロポルフィリノーゲンIIIに対する変性能を持つ」とは、コプロポルフィリノーゲンIIIに対して酵素化学的な反応性があることを意味し、例えば、コプロポルフィリノーゲンIIIを、その化学構造式とは異なる化学構造式で示される物質に変換する酵素化学的反応を触媒する能力を実質的に持つ場合をあげることができる。具体的には例えば、コプロポルフィリノーゲンIIIをプロトポルフィリノーゲンIXに変換する能力(コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ活性)をあげることができ、該変換能力は、例えば、Yoshinaga, T.,Sano,S., J. Biol. Chem., 255; p4722(1980)等に記載の方法に準じて測定することができる。
「免疫グロブリンの可変領域のフレームワーク領域を実質的に含まない」とは、前述のとおり、免疫グロブリンの可変領域に特有の立体構造を形成しないことを意味する。
本発明方法3において使用される遺伝子にコードされるタンパク質としては、上記(1)〜(3)の性質を有していれば、天然に存在するタンパク質であっても、天然のタンパク質にアミノ酸置換、付加、欠失等が導入されてなるタンパク質であっても、ランダムなアミノ酸配列を有する人為的に作出されたタンパク質の中から本物質との結合性を指標に選抜されたタンパク質であってもよい。
このようなタンパク質としては、具体的には、コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ、および、コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼの改変タンパク質であってコプロポルフィリノーゲンIIIを酸化してプロトポルフィリノーゲンIXを生成する能力を持つタンパク質などがあげられる。コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼをコードする遺伝子は、例えば、前述の方法で取得することができる。
【0040】
本発明方法1〜3においては、各方法において必要とされる性質を具備する上述のようなタンパク質(以下、一括して本タンパク質という。)をコードする遺伝子を、目的の植物の細胞に導入し発現させる。本タンパク質をコードする遺伝子の1種類を細胞に導入してもよいし、異なる本タンパク質をコードする複数種の遺伝子を導入してもよい。遺伝子を植物の細胞に導入する方法としては、アグロバクテリウム感染方法(特公平2-58917および特開昭60-70080)、プロトプラストへのエレクトロポレーション方法(特開昭60-251887および特開平5-68575)、またはパーティクルガン方法(特表平5-508316および特開昭63-258525)などの公知の手段を用いることができる。細胞に導入する遺伝子は、細胞生育阻害剤耐性を該細胞に付与し得る遺伝子などの選抜マーカー遺伝子を有するベクターに組み込んでおくとよい。
本タンパク質をコードする遺伝子を植物の細胞で発現させるには、相同組換え[Fraley,R.T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80; p4803 (1983)]によって該遺伝子を植物の染色体に導入し該遺伝子を発現する細胞を選抜してもよいし、該遺伝子をあらかじめ、植物細胞で機能可能なプロモーターおよび植物細胞で機能可能なターミネーターと機能可能な形で結合させて、これを細胞に導入してもよい。ここで、「機能可能な形で」とは、本タンパク質をコードする遺伝子が、導入される植物の細胞において前記プロモーターおよびターミネーターの制御下に発現するように、これらのプロモーターおよびターミネーターと結合された状態にあることを意味する。
植物細胞で機能可能なプロモーターとしては、例えば、ノパリン合成酵素遺伝子プロモーター、オクトピン合成酵素遺伝子プロモーター等のT-DNA由来の構成型プロモーター、カリフラワーモザイクウィルス由来の19Sプロモーターもしくは35Sプロモーター等の植物ウィルス由来のプロモーター、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ遺伝子プロモーター、カルコンシンターゼ遺伝子プロモーター、Pathogenesis-related protein遺伝子プロモーター等の誘導型プロモーターなどを挙げることができる。さらに、これらに限定されない他の植物プロモーターを用いてもよい。
また、植物細胞で機能可能なターミネーターとしては、例えば、ノパリン合成酵素遺伝子ターミネーターなどT-DNA由来のターミネーター、ニンニクウィルスGV1,GV2のターミネーターなどの植物ウィルス由来のターミネーターなどを挙げることができる。さらに、これらに限定されない他の植物ターミネーターを用いるてもよい。
【0041】
かかる遺伝子を導入する細胞としては、植物組織、植物個体、培養細胞、種子などを用いることができる。また、かかる遺伝子を導入する植物種としては、例えば、タバコ、ワタ、ナタネ、テンサイ、シロイヌナズナ、カノーラ、アマ、ヒマワリ、バレイショ、アルファルファ、レタス、バナナ、ダイズ、エンドウ、その他のマメ類、マツ、ポプラ、リンゴ、ブドウ、オレンジ、レモン、その他の柑橘類、アーモンド、クルミ、その他のナッツ類等の双子葉植物、トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、オートムギ、サトウキビ、芝類等の単子葉植物をあげることができる。
導入された遺伝子を発現する形質転換植物細胞は、該遺伝子が導入された細胞を、該遺伝子に座上・連結させた選抜マーカー遺伝子に対応する選抜用培地、例えば細胞生育阻害剤を含む培地等で培養し、該培地において増殖可能なクローンを単離することによって取得することができる。また、前記形質転換植物細胞は、遺伝子が導入された細胞を、耐性付与対象の雑草防除剤またはその有効成分を含む培地で培養し増殖可能なクローンを単離することによっても選抜することができる。このようにして得られた形質転換植物細胞から、例えば、植物遺伝子操作マニュアル:トランスジェニック植物の作り方(内宮著、講談社サイエンティフィック1990年)、27-55頁などに記載されている植物細胞培養方法により植物体を再生させることによって、導入された遺伝子を発現する植物を得ることができる。
より具体的には、例えば、モデル植物の実験プロトコール イネ・シロイヌナズナ編(島本功、岡田清孝監修、秀潤社1996年)、第4章に記載の方法によって、本タンパク質をコードする遺伝子を発現するイネやシロイヌナズナを得ることができる。また、特開平3-291501に記載されている方法で、パーティクルガンを用いてダイズ不定胚に導入し、本タンパク質をコードする遺伝子を発現するダイズを得ることができる。同様に、Fromm,M.E.,et al. Bio/Technology, 8; p838 (1990)に記載されている方法に準じて、パーティクルガンを用いてトウモロコシ不定胚に導入し、本タンパク質をコードする遺伝子を発現するトウモロコシを得ることができ、宅見ら著、育種学会雑誌、1995年、第44巻、別冊1号、57頁に記載されている通常の方法に準じて、パーティクルガンを用いて無菌培養したコムギ未熟胚盤に導入し、本タンパク質をコードする遺伝子を発現するコムギを得ることができる。同様に、萩尾ら著、育種学会雑誌、1995年、第44巻、別冊1号、67頁に記載されている通常の方法に準じて、パーティクルガンを用いて無菌培養したオオムギ未熟胚盤に導入し、本タンパク質をコードする遺伝子を発現するオオムギを得ることができる。
本タンパク質をコードする遺伝子を発現する植物の雑草防除剤耐性を確認するには、該植物の栽培域に耐性付与の対象の雑草防除剤を散布し、該植物の生育度を測定するとよい。より定量的に確認するには、例えば、PPO阻害型除草剤に対する耐性植物の場合、該植物の葉片を様々な濃度のPPO阻害型除草剤を含む水溶液中に浸すか、または、該植物の葉片に除草剤水溶液を噴霧し寒天培地上で明所室温で放置し、数日後、該葉片からMacknney, G., J. Bol. Chem.,140; p315(1941)に記載の方法に準じてクロロフィルを抽出してクロロフィル含量を測定するとよい。
【0042】
本発明によって得られる雑草防除剤耐性植物は、雑草防除剤に対して耐性を示すため、雑草防除剤が散布された場合も良好に生育することができる。従って、本発明によって目的の栽培植物に雑草防除剤に対する雑草防除剤耐性を付与し、該植物を栽培してその栽培域に前記の雑草防除剤を散布することにより、該植物以外の雑草を効率よく取り除くことができ、該栽培植物の収量の向上、高品質化、使用する除草剤の量の軽減、省力化などが可能となる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例および参考例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
参考例1 マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質遺伝子の単離
光合成細菌Rhodobacter sphaeroides ATCC17023のゲノムDNAをゲノムDNA調製用のキットISOPLANT(ニッポンジーン社製)を用いて調製した。次いで、Gibson, L.C.D. et al., Proc. Acad. Sci. USA, 92; p1941(1995)の記載に従い、該ゲノムDNA約1μgを鋳型にし、配列番号1で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号2で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド各10pmolをプライマーに用いてPCRを行い、マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質遺伝子bchHを含むDNA断片を増幅した。なお、該オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。また、PCRは、94℃にて2分間次いで96℃にて40秒間さらに68℃にて7分間の保温を1回行った後、96℃にて40秒間次いで68℃にて7分間の保温を1サイクルとしてこれを28回実施し、最後に、96℃にて40秒間次いで68℃にて7分間さらに72℃にて10分間の保温を1回行った。
【0045】
参考例2 大腸菌におけるマグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質遺伝子の発現
Gibson, L.C.D. et al., Proc. Acad. Sci. USA, 92; p1941(1995)の記載に従って、参考例1において調製されたbchH遺伝子を含むDNA断片を制限酵素NdeIとBglIIで消化し、得られたDNA断片を発現ベクターpET11a(Stratagene社製)のNdeI切断部位とBamHI切断部位の間に挿入することにより、プラスミドpETBCH(図1)を作製した。このプラスミドpETBCHを大腸菌BL21(DE3)株のコンピテントセル(Stratagene社製)に、該コンピテントセル添付の使用マニュアルの記載に従って導入し、大腸菌BL21(DE3)/pETBCH株を得た。該菌株を試験管(14×10 mm)に入れたアンピシリン100μg/mlを含むLB液体培地(1% トリプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% NaCl)1.5 mlに接種し、試験管をアルミ箔で覆って(以下、暗所条件と記す。)37℃で蛍光燈の照明下(約8000 lux)にて振とう培養した。培養液の600nmにおける吸光度が約0.6に達したとき、イソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度0.4mMとなるよう該培養液に添加し、さらに約20時間培養を継続したところ、Gibson, L.C.D. et al., Proc. Acad. Sci. USA, 92; p1941(1995)に記載の通り、該大腸菌は赤色化し、該大腸菌においてプロトポルフィリンIXの蓄積を示す蛍光吸収(励起波長405nm、蛍光波長630nm)が観察された。なお、大腸菌BL21(DE3)/pETBCH株をIPTGを添加せずに前記と同様に培養した場合は、大腸菌の赤色化が認められず、前記の蛍光吸収も検出されなかった。一方、大腸菌BL21(DE3)/pETBCH株を、前記と同様にIPTGを添加して、ただしアルミ箔で試験管を覆わずに(以下、明所条件と記す。)培養したところ、該大腸菌株は前記と同様に増殖し赤色化した。
【0046】
参考例3 hemG遺伝子欠失大腸菌におけるダイズ由来PPO遺伝子の発現
ダイズ(Glycine max var. Williams82)を播種後、25℃で20日間栽培し、緑葉を採取した。採取した緑葉5gを液体窒素で凍結させ、これを乳鉢と乳棒で磨砕し、該磨砕物から、RNA抽出試薬ISOGEN(ニッポンジーン社製)を用いて付属のマニュアルにしたがってRNAを抽出した。得られたRNA抽出液からエタノール沈殿で全RNAを回収し、これをpoly(A)RNA分画キットBIOMAG mRNA Purification Kit(パーセプティブバイオシステム社製)を用いて付属のマニュアルに準じて分画し、poly(A)RNA画分を回収した。このpoly(A)RNA画分1μgを鋳型に用いてMarathon cDNA amplification kit(Clontech社製)に含まれるcDNA合成試薬を用い付属のマニュアルに従ってcDNAを合成した。得られたcDNAを鋳型にして、配列番号3で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号4で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーに使ってPCRを行い、葉緑体型PPO遺伝子を含むDNA断片を増幅した。なお、該オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。また、PCRは、94℃にて1分間次いで65℃にて5分間の保温を1回行った後、94℃にて15秒間次いで65℃にて5分間の保温1サイクルとしてこれを29回実施した。PCR反応後、反応液をMicroSpin S-400HR(ファルマシアバイオテク社製)で濾過することによって、増幅されたDNA断片を精製し、該DNA断片を、制限酵素SalIで切断されたプラスミドpCR2.1(Invitrogen社製)と連結することにより、プラスミドpSPPO-Pを得た。次いで、該プラスミドを大腸菌INVαF'株のコンピテントセル(Invitrogen社製)に導入し、アンピシリン耐性株を選抜した。さらに、選抜されたアンピシリン耐性株に含まれるプラスミドの塩基配列をDye terminator cycle sequencing kit(PEアプライドバイオシステムズ社製)およびDNAシークエンサー373S(PEアプライドバイオシステムズ社製)を用いて決定した。その結果、配列番号5で示される塩基配列が明らかとなり、プラスミドpSPPO-Pはダイズの葉緑体型PPO遺伝子を含むことが確認された。
このプラスミドpSPPO-Pを制限酵素PshBIで消化し、得られたDNA断片の末端をT4 DNA polymeraseを用いて平滑化した後、さらにSphIで消化し、ダイズの葉緑体型PPO遺伝子とlacプロモーターとを含むDNA断片を単離した。次に、プラスミドpACYC184(ニッポンジーン社製)を制限酵素NruIとSphIで消化し、410bpの断片を除去してこれに替えて前記DNA断片を挿入することにより、プラスミドpACYCSP(図2)を得た。次いで、該プラスミドpACYCSPを、Yamamoto,F.et al., Japanese J. Genet.,63; p237(1988)等に記載されているPPO遺伝子(hemG遺伝子座)欠損突然変異系統大腸菌BT3株にHanahan,D.J., Mol. Biol., 166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これを15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地(5g/l酵母エキス, 5g/lトリプトン, 5g/lペプトン, 10g/l NaCl, pH7.0)で培養することにより、クロランフェニコールおよびカナマイシンに耐性であり、hemG遺伝子欠失がダイズ由来のPPO遺伝子で相補された大腸菌BT3/pACYCSP株を選抜した。
【0047】
実施例1 マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質の除草剤耐性付与能の試験
参考例3で作製された大腸菌BT3/pACYCSP株を、前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物を10または1ppm含み、10μg/mlヘミン、50μg/mlアミノレブリン酸、15μg/mlクロランフェニコールおよび10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。なお、対照として、該除草性化合物を含まない上記培地を用い大腸菌BT3/pACYCSP株を同様に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、該除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
配列番号1で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号2で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーに用いて参考例1と同様に光合成細菌Rhodobacter sphaeroides由来のbchH遺伝子を含むDNA断片を増幅し、得られたDNA断片を制限酵素NcoIとBglIIで消化し、これをプラスミドpTV118N(宝酒造社製)のNcoI切断部位とBamHI切断部位の間に挿入することにより、プラスミドpTVBCH(図3)を構築した。
該プラスミドpTVBCHおよびpTV118Nをそれぞれ、参考例3で作製された大腸菌BT3/pACYCSP株にHanahan,D.J., Mol. Biol., 166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これらを100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地で培養することにより、プラスミドpACYCSPとpTVBCHとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTVBCH株およびプラスミドpACYCSPとpTV118Nとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTV118N株を得た。
これらの大腸菌株を、前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物を10または1ppm含み、100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシン、10μg/mlヘミンおよび50μg/mlアミノレブリン酸を含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、該除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】

【0051】
また、これらの大腸菌株を、前記の構造式1、構造式14、構造式15、構造式18〜22、構造式29、構造式32、構造式33、構造式34または構造式36で示されるPPO阻害型除草性化合物のいずれかを含み、100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシン、10μg/mlヘミンおよび50μg/mlアミノレブリン酸を含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表3に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
実施例2 マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質をコードする遺伝子のタバコへの導入
bchH遺伝子をアグロバクテリウム法で植物へ導入するためのプラスミドを構築した。まず、バイナリーベクターpBI121(Clontech社製)を制限酵素SacIで消化しKpnIリンカー(宝酒造製)を挿入して、pBI121のSacI認識部位を除去しKpnI認識部位を付加したプラスミドpBIKを作製した。一方、参考例1記載の方法と同様に、配列番号6で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列番号7で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、光合成細菌Rhodobacter sphaeroides のゲノムDNAを鋳型にしてPCRを実施することによりbchH遺伝子を含むDNA断片を増幅した。次いで、前記プラスミドpBIKを制限酵素XbaIとKpnIで消化することによりβ-glucuronidase遺伝子を除去し、これに替えて、前記のbchH遺伝子を含むDNA断片を制限酵素XbaIとKpnIで消化して得られるDNA断片を挿入し、35Sプロモーターの下流にbchH遺伝子が結合されてなるプラスミドpBIBCH(図4)を作製した。また、バイナリーベクターpBI121(Clontech社製)を制限酵素BamHIとSacIで消化することによりβ-glucuronidase遺伝子を除去し、得られたDNA断片の末端をT4 DNA polymeraseを用いて平滑化した後、T4 DNA ligaseを用いて自己環化させプラスミドpNO(図5)を構築した。該プラスミドはbchH発現プラスミドpBIBCHのベクターコントロールとして用いた。
該プラスミドpBIBCHおよびpNOをそれぞれ、Agrobacterium tumefaciens LBA4404に導入し、これらを300μg/mlストレプトマイシン、100μg/mlリファンピシン、25μg/mlカナマイシンを含む培地で培養して形質転換体を選抜することによってpBIBCHを持つアグロバクテリウム株およびpNOを持つアグロバクテリウム株を単離した。
次いで、植物遺伝子操作マニュアル(内宮博文著、講談社サイエンティフィック、1992年)に記載されている方法に準じて、タバコへの遺伝子導入を行った。
プラスミドpBIBCHを持つアグロバクテリウム株をLB培地(0.5% Yeast extract, 1.0% Bacto tryptone, 0.5% NaCl)中で28℃にて終夜培養し、該培養液に無菌培養したタバコ(Nicotiana tabacum cv. SR1)の葉片を浸漬した。該タバコ葉片を0.8%寒天、0.1mg/lナフタレン酢酸および1.0mg/lベンジルアミノプリンを含むMurashige T. and Skoog F., Physiol. Plant. (1962) 15, p473に記載のMurashige-Skoog培地(MS培地)上で室温にて2日間培養した。次に、該タバコ葉片を滅菌水で洗浄した後、0.8%寒天、0.1mg/lナフタレン酢酸、1.0mg/lベンジルアミノプリン、および、500μg/mlセフォタキシムを含むMS培地上で7日間培養した。次いで、該タバコ葉片を0.8%寒天、0.1mg/lナフタレン酢酸、1.0mg/lベンジルアミノプリン、500μg/mlセフォタキシム、および、100μg/mlカナマイシンを含むMS培地(以下、選抜用MS培地と記す。)上に移植し培養した。該培養は、前記タバコ葉片を1ヶ月後毎に新鮮な選抜用MS培地に移植しながら継続的に4ヶ月間実施した。
この間に、該タバコ葉片から出現した茎葉分化したシュートを、0.8%寒天、300μg/mlセフォタキシム、および、50μg/mlカナマイシンを含むMS培地に移植して発根させ再生個体を得た。該再生個体を0.8%寒天、および、50μg/mlカナマイシンを含むMS培地に移植して培養し、bchH遺伝子が導入されたタバコ個体を取得した。また、同様にして、pNOを持つアグロバクテリウム株をタバコの葉片に感染させ、該タバコ葉片から再生個体を得て、タバコ個体(以下、コントロール組換えタバコと記す。)を取得した。
【0054】
実施例3 マグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質をコードする遺伝子の導入されたタバコの除草剤耐性試験
実施例2で得られたbchH遺伝子が導入されたタバコの葉およびコントロール組換えタバコの葉を採取して、これらをそれぞれ主葉脈に沿って左右均等に2分割し、一方の葉片に前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物を0.3ppmの濃度で含む水溶液を全面に塗布した。尚、他方の葉片には前記の除草性化合物の塗布を行なわなかった。これらの葉片を、0.8%寒天を含むMS培地上に置き、明所、室温にて7日間放置した。次いで、各葉片を、それぞれ乳鉢と乳棒で5mlの80%アセトン水溶液中で磨砕してクロロフィルを抽出した。抽出液を80%アセトン水溶液で10倍に希釈した後、750nm、663nm、645nmにおける吸光度を測定し、Macknney G., J. Biol. Chem. (1941) 140, p315記載の方法によって総クロロフィル含量を算出した。bchH遺伝子が導入されたタバコの4クローン(BCH1〜4)およびコントロール組換えタバコについて得られた結果を表4に示す。表中、除草性化合物に対する耐性度は、除草性化合物処理した葉片の総クロロフィル含量の、未処理の葉片の総クロロフィル含量に対する百分率で表した。
【0055】
【表4】

【0056】
また、bchH遺伝子が導入されたタバコおよびコントロール組換えタバコを、前記 構造式3、構造式7、構造式10、構造式11、構造式13、構造式17、構造式23、構造式24、構造式25、構造式27、構造式28、構造式30、または構造式35で示されるPPO阻害型除草性化合物のいずれかを含む水溶液で同様に処理し、各除草性化合物に対する耐性度を測定した。結果を表5に示す。
表中、除草性化合物に対する耐性度は、除草性化合物処理した葉片の総クロロフィル含量の、未処理の葉片の総クロロフィル含量に対する百分率で表した。
【0057】
【表5】

【0058】
参考例4 タバコマグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットの改変タンパク質をコードする遺伝子の取得
タバコ(Nicotiana tabacum cv. SR1)の葉部組織から、RNeasy Plant Kit(QIAGEN社製)を用いて付属のマニュアルにしたがって操作を行ない、全 RNA を調製した。さらに、RNA LA PCR Kit (AMV) Ver 1.1(宝酒造社製)を用いて付属のマニュアルに従って操作を行ない、葉緑体移行シグナルを欠失したタバコマグネシウムケラターゼのプロトポルフィリンIX結合サブユニットタンパク質(以下、本改変タバコケラターゼサブユニットと記す。)をコードする遺伝子を含むDNA断片を取得した。まず、プライマーとして前記キットに含まれるOligo dT-Adaptor Primerを用い、タバコ全RNAを鋳型として、前記キットに含まれる逆転写酵素を添加して1st strand cDNAを合成した。続いて、該1st strand cDNAを鋳型として、前記キットに含まれるLA Taq polymeraseを用いてPCRを行い、本改変タバコケラターゼサブユニットをコードする遺伝子を含むDNA断片を増幅した。ここでPCRのプライマーとしては、配列番号8で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマー、および配列番号9で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いた。該オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。また、PCRは、94℃にて2分間の保温を1回行い、続いて、94℃にて30秒間、次いで50℃にて30秒間、さらに72℃にて7分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル実施した。前記のPCR反応後、TA Cloning Kit(Invitrogen社製)を用いて付属のマニュアルに従って操作を行ない、該PCR反応で増幅されたDNA断片をpCR2.1プラスミドにクローニングした。得られたプラスミドのDNAを制限酵素KpnIで消化した後、アガロースゲル電気泳動で分析し、8.0kbのDNA断片が検出されたプラスミドをpTCHLHと名付けた。該プラスミドは、本改変タバコケラターゼサブユニットをコードする遺伝子がlacプロモーターの制御下で発現可能な方向に挿入された構造を有する。さらに、このプラスミドpTCHLHを制限酵素KpnIで消化した後、自己環化させ、約60塩基からなるDNA断片がプラスミドpTCHLHから除去された構造を有するプラスミドpTCHLH1(図6)を得た。
【0059】
実施例4 本改変タバコケラターゼサブユニットの除草剤耐性付与能の試験
参考例4で作製されたプラスミドpTCHLH1またはpCR2.1をそれぞれ、参考例3で作製された大腸菌BT3/pACYCSP株に、Hanahan,D.J., Mol. Biol., 166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これらを100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、50μg/mlカナマイシンを含むYPT培地で培養することにより、プラスミドpACYCSPとpTCHLH1とを有する大腸菌BT3/pACYCSP+pTCHLH1株、および、プラスミドpACYCSPとpCR2.1とを有する大腸菌BT3/pACYCSP+pCR2.1株を得た。
これらの大腸菌株を、前記 構造式8で表されるPPO阻害型除草性化合物を10または1ppm含み、100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、50μg/mlカナマイシン、10μg/mlヘミンおよび50μg/mlアミノレブリン酸を含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、該除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表6に示す。
【0060】
【表6】

【0061】
参考例5 本改変タバコケラターゼサブユニットをコードする遺伝子のタバコへの導入
本改変タバコケラターゼサブユニットをコードする遺伝子をアグロバクテリウム法で植物へ導入するためのプラスミドを構築した。まず、参考例4で作製されたプラスミドpTCHLH1を制限酵素KpnIとSalIとで消化することにより、本改変タバコケラターゼサブユニットをコードする遺伝子を含むDNA断片を調製した。
一方、バイナリーベクターpBI121(Clontech社製)を制限酵素SmaIで消化し、そこへKpnIリンカー(宝酒造製)を挿入することにより、pBI121のSmaI認識部位が除去されKpnI認識部位が付加されたプラスミドpBI121Kを作製した。該プラスミドpBI121KのDNAを制限酵素SacIで消化した後、DNA polymerase Iを用いて2本鎖DNAのギャップにヌクレオチドを付加して該DNAの末端を平滑化した。次に仔牛小腸由来のAlkaline phosphataseで該DNAの5'末端を脱りん酸化し、りん酸化SalIリンカー(宝酒造製4680P)を挿入して環化させ、プラスミドpBI121KSを構築した。該バイナリーベクターpBI121KSを制限酵素KpnIとSalIとで消化することによりβ-glucuronidase遺伝子を除去し、これに替えて、前記の本改変タバコケラターゼサブユニットをコードする遺伝子を含むDNA断片を挿入し、該遺伝子が35Sプロモーターの下流に結合されてなるプラスミドpBITCHLH(図7)を作製した。
該プラスミドpBITCHLHをAgrobacterium tumefaciens LBA4404に導入し、これを300μg/mlストレプトマイシン、100μg/mlリファンピシン、25μg/mlカナマイシンを含む培地で培養して形質転換体を選抜することによってpBITCHLHを持つアグロバクテリウム株を単離した。
該アグロバクテリウム株を無菌培養したタバコの葉片に感染させ、実施例2記載の方法と同様の操作で、本改変タバコケラターゼサブユニットをコードする遺伝子が導入されたタバコを取得する。
【0062】
参考例6 本改変タバコケラターゼサブユニットをコードする遺伝子が導入されたタバコの除草剤耐性の確認
参考例5で作製された本改変タバコケラターゼサブユニットをコードする遺伝子が導入されたタバコを、実施例3と同様の操作で試験することにより、該タバコの除草性化合物に対する耐性度を定量的に確認する。
【0063】
参考例7 ダイズPPOの改変タンパク質であってプロトポルフィリノーゲンIXに対する酸化能を持たずプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合するタンパク質をコードする遺伝子の取得
配列番号10で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号11で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーに用い、参考例3で作製されたプラスミドpSPPO-Pを鋳型にしてPCRを行い、葉緑体移行シグナルとFAD結合配列を欠失したダイズPPO(以下、本改変ダイズPPOと記す。)をコードするDNA断片を増幅した。なお、前記オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。また、PCRは、94℃にて1分間次いで55℃にて2分間さらに72℃にて3分間の保温を1サイクルとしてこれを30回実施した。増幅したDNA断片を、制限酵素NcoIとSalIで消化し、プラスミドpTV118N(宝酒造社製)のNcoI切断部位とSalI切断部位の間に挿入することにより、プラスミドpTVGMP(図8)を構築した。
該プラスミドpTVGMPをPPO遺伝子欠失突然変異系統大腸菌BT3株にHanahan,D.J., Mol. Biol.,166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これを100μg/mlアンピシリン、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地(5g/l酵母エキス, 5g/lトリプトン, 5g/lペプトン, 10g/l NaCl, pH7.0)で培養したところ、生育相補されたクローンは全く得られなかった。
【0064】
実施例5 本改変ダイズPPOの除草剤耐性付与能の試験
参考例7で作製されたプラスミドpTVGMPおよびpTV118Nをそれぞれ、参考例3で作製された大腸菌BT3/pACYCSP株にHanahan,D.J., Mol. Biol., 166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これらを100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地で培養することにより、プラスミドpACYCSPとpTVGMPとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTVGMP株、および、プラスミドpACYCSPとpTV118Nとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTV118N株を得た。
これらの大腸菌株を、前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物を10または1ppm含み、100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシン、10μg/mlヘミンおよび50μg/mlアミノレブリン酸を含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、該除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表7に示す。
【0065】
【表7】

【0066】
実施例6 本改変ダイズPPOをコードする遺伝子のタバコへの導入
本改変ダイズPPOをコードする遺伝子をアグロバクテリウム法で植物へ導入するためのプラスミドを構築した。参考例7記載の方法と同様に、配列番号12で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列番号13で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、参考例3で作製されたプラスミドpSPPO-Pを鋳型にしてPCRを実施することにより、本改変ダイズPPOをコードする遺伝子を含むDNA断片を増幅した。次いで、参考例5で作製されたプラスミドpBI121Kを制限酵素KpnIとSacIで消化することによりβ-glucuronidase遺伝子を除去し、これに替えて、前記の本改変ダイズPPOをコードする遺伝子を含むDNA断片を制限酵素KpnIとSacIで消化して得られるDNA断片を挿入し、該遺伝子が35Sプロモーターの下流に結合されてなるプラスミドpBIGMP(図9)を作製した。
該プラスミドpBIGMPをAgrobacterium tumefaciens LBA4404に導入し、これを300μg/mlストレプトマイシン、100μg/mlリファンピシン、25μg/mlカナマイシンを含む培地で培養して形質転換体を選抜することによってpBIGMPを持つアグロバクテリウム株を単離した。
該アグロバクテリウム株を、無菌培養したタバコの葉片に感染させ、実施例2記載の方法と同様の操作で、本改変ダイズPPOをコードする遺伝子が導入されたタバコを取得した。
【0067】
実施例7 本改変ダイズPPOをコードする遺伝子が導入されたタバコの除草剤耐性の確認
実施例6で作製された本改変ダイズPPOをコードする遺伝子が導入されたタバコについて、実施例3と同様の操作により、前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物に対する耐性度を定量的に測定した。本改変ダイズPPOをコードする遺伝子が導入されたタバコの4クローン(GMP1〜4)、およびコントロール組換えタバコについて、得られた結果を表8に示す。表中、除草性化合物に対する耐性度は、除草性化合物処理した葉片の総クロロフィル含量の、未処理の葉片の総クロロフィル含量に対する百分率で表した。
【0068】
【表8】

【0069】
参考例8 コナミドリムシPPO遺伝子の取得
コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)CC407 株を、Chlamydomonas Genetics Center (address: DCMB Group, Department of Botany, Box 91000, Duke University, Durham, NC 27708-1000, USA)より入手し、200μE/m2/秒の光合成活性照明下、7mM NH4Cl、0.4mM MgSO4・7H2O、0.34mM CaCl2・2H2O、25mM リン酸カリウム、0.5mM トリス(pH 7.5)、1ml/L ハトナー微量要素、および 1ml/L 氷酢酸からなる TAP 液体培地(E. H. Harris、The Chlamydomonas Sourcebook、Academic Press、San Diego、1989年、576-577頁)中で5日間培養し、初期定常増殖期の細胞を含む培養液 200ml(1.0x106 cells/ml)を得た。
この細胞から、ISOGEN(日本ジーン社製)を用いて付属のマニュアルにしたがって操作を行ない、全 RNA を調製した。さらに、BioMag mRNA Purification Kit(パーセプティブバイオシステム社)を用いて付属のマニュアルに従って操作を行ない、poly(A)RNA を分画した。得られた poly(A)RNA から、Marathon cDNA Amplification Kit(Clontech 社製)を用いて付属のマニュアルに従って操作を行ないcDNAを合成し、PCRの鋳型とした。
PCRのプライマーとして、配列番号14で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号15で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを調製した。オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。
PCRは、Advantage cDNA PCR Kit(Clontech 社製)を用いて付属のマニュアルに従って反応液を調製し、94℃にて1分間次いで65℃にて5分間の保温を1回行った後、94℃にて15秒間次いで65℃にて5分間の保温を1サイクルとしてこれを29回実施した。PCR反応後、反応液をMicroSpin S-400HR(ファルマシアバイオテク社製)で濾過することによって、増幅されたDNA断片を精製した。TA Cloning Kit(Invitrogen社製)を用いて付属のマニュアルに従って操作を行ない、該増幅DNA断片をpCR2.1プラスミドにクローニングし、プラスミドpCPPOを構築した。
得られた組換えプラスミドpCPPOが有するDNA断片の塩基配列をDye terminator cycle sequencing kit(PEアプライドバイオシステムズ社製)およびDNAシークエンサー373S(PEアプライドバイオシステムズ社製)を用い決定した。その結果、配列番号16で示される塩基配列が明らかとなり、pCPPOはコナミドリムシのPPOの完全長cDNAを含むプラスミドであることが判明した。
【0070】
参考例9 コナミドリムシPPOの改変タンパク質であってプロトポルフィリノーゲンIXに対する酸化能を持たずプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合するタンパク質をコードする遺伝子の取得
配列番号17で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号18で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーに用い、参考例8で作製されたプラスミドpCPPOを鋳型にしてPCRを行い、葉緑体移行シグナルとFAD結合配列を欠失したコナミドリムシのPPO(以下、本改変コナミドリムシPPOと記す。)をコードするDNA断片を増幅した。なお、オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。また、PCRは、94℃にて1分間次いで55℃にて2分間さらに72℃にて3分間の保温を1サイクルとしてこれを30回実施した。増幅したDNA断片を、制限酵素BamHIとSacIで消化し、これをプラスミドpTV119N(宝酒造社製)のBamHI切断部位とSacI切断部位の間に挿入することにより、プラスミドpTVCRP(図10)を構築した。
該プラスミドpTVCRPをPPO遺伝子欠失突然変異系統大腸菌BT3株にHanahan,D.J., Mol. Biol., 166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これを100μg/mlアンピシリン、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地(5g/l酵母エキス, 5g/lトリプトン, 5g/lペプトン, 10g/l NaCl, pH7.0)で培養したところ、生育相補されたクローンは全く得られなかった。
【0071】
実施例8 本改変コナミドリムシPPOの除草剤耐性付与能の試験
参考例9で作製されたプラスミドpTVCRPおよびpTV118Nをそれぞれ、参考例3で作製された大腸菌BT3/pACYCSP株にHanahan,D.J., Mol. Biol., 166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これらを100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地で培養することにより、プラスミドpACYCSPとpTVCRPとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTVCRP株、および、プラスミドpACYCSPとpTV118Nとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTV118N株を得た。
これらの大腸菌株を、前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物を10または1ppm含み、100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシン、10μg/mlヘミンおよび50μg/mlアミノレブリン酸を含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、該除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表9に示す。
【0072】
【表9】

【0073】
実施例9 本改変コナミドリムシPPOをコードする遺伝子のタバコへの導入
本改変コナミドリムシPPOをコードする遺伝子をアグロバクテリウム法で植物へ導入するためのプラスミドを構築した。参考例9で作製されたプラスミドpTVCRPを制限酵素BamHIとSacIとで消化することにより、本改変コナミドリムシPPOをコードする遺伝子を含むDNA断片を調製した。バイナリーベクターpBI121(Clontech社製)を制限酵素BamHIとSacIとで消化することによりβ-glucuronidase遺伝子を除去し、これに替えて、前記の本改変コナミドリムシPPOをコードする遺伝子を含むDNA断片を挿入し、該遺伝子が35Sプロモーターの下流に結合されてなるプラスミドpBICRP(図11)を作製した。
該プラスミドpBICRPをAgrobacterium tumefaciens LBA4404に導入し、これを300μg/mlストレプトマイシン、100μg/mlリファンピシン、25μg/mlカナマイシンを含む培地で培養して形質転換体を選抜することによって、pBICRPを持つアグロバクテリウム株を単離した。
該アグロバクテリウム株を無菌培養したタバコの葉片に感染させ、実施例2記載の方法と同様の操作で、本改変コナミドリムシPPOをコードする遺伝子が導入されたタバコを取得した。
【0074】
実施例10 本改変コナミドリムシPPOをコードする遺伝子が導入されたタバコの除草剤耐性の確認
実施例9で作製された本改変コナミドリムシPPOをコードする遺伝子が導入されたタバコについて、実施例3と同様の操作により、構造式8で示される除草性化合物に対する耐性度を定量的に測定した。本改変コナミドリムシPPOをコードする遺伝子が導入されたタバコの4クローン(CRP1〜4)、およびコントロール組換えタバコについて、得られた結果を表10に示す。表中、除草性化合物に対する耐性度は、除草性化合物処理した葉片の総クロロフィル含量の、未処理の葉片の総クロロフィル含量に対する百分率で表した。
【0075】
【表10】

【0076】
実施例11 オオムギフェロケラターゼの改変タンパク質であってプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合するタンパク質の除草剤耐性付与能の試験
Miyamoto,K. et al., Plant Physiol. 105; p769(1994)に記載の方法で取得されたオオムギのフェロケラターゼ遺伝子を有するプラスミドを、制限酵素NspIとEcoRIとで消化し、シグナル配列を欠失したオオムギフェロケラターゼ(以下、本改変オオムギフェロケラターゼと記す。)をコードする遺伝子を含むDNA断片を取得した。このDNA断片をプラスミドpTV119N(宝酒造社製)のSphI切断部位とEcoRI切断部位との間に挿入することにより、プラスミドpTVHVF1(図12)を構築した。
該プラスミドpTVHVF1およびpTV118Nをそれぞれ、参考例3で作製された大腸菌BT3/pACYCSP株にHanahan,D.J., Mol. Biol., 166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これらを100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地で培養することにより、プラスミドpACYCSPとpTVHVF1とを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTVHVF1株、および、プラスミドpACYCSPとpTV118Nとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTV118N株を得た。
これらの大腸菌株を、前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物を10または1ppm含み、100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシン、10μg/mlヘミンおよび50μg/mlアミノレブリン酸を含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、該除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表11に示す。
【0077】
【表11】

【0078】
実施例12 本改変オオムギフェロケラターゼをコードする遺伝子のタバコへの導入
本改変オオムギのフェロケラターゼ遺伝子をアグロバクテリウム法で植物へ導入するためのプラスミドを構築した。実施例11記載のプラスミドpTVHVF1を制限酵素NcoIで消化した後、DNA polymerase Iを用いて2本鎖DNAのギャップにヌクレオチドを付加しDNAの末端を平滑化した。次に仔牛小腸由来のAlkaline phosphataseで処理して該DNAの5'末端を脱りん酸化し、りん酸化BamHIリンカー(宝酒造製4610P)を挿入して環化させ、プラスミドpTVHVF2を構築した。ついで、pTVHVF2を制限酵素EcoRIで消化した後、DNA polymerase Iを用いて2本鎖DNAのギャップにヌクレオチドを付加してDNAの末端を平滑化した。さらに、仔牛小腸由来のAlkaline phosphataseで処理して該DNAの5'末端を脱りん酸化し、りん酸化SalIリンカー(宝酒造製4680P)を挿入して環化させ、プラスミドpTVHVF3を構築した。参考例5で作製されたプラスミドpBI121KSを制限酵素BamHIとSalIとで消化することによりβ-glucuronidase遺伝子を除去し、一方、前記のpTVHVF3を制限酵素BamHIとSalIとで消化して本改変オオムギフェロケラターゼをコードする遺伝子を含むDNA断片を調製し、該DNA断片を前記のβ-glucuronidase遺伝子に替えてプラスミドpBI121KSに挿入することにより、35Sプロモーターの下流に本改変オオムギフェロケラターゼをコードする遺伝子が結合されてなるプラスミドpBIHVF(図13)を作製した。
該プラスミドpBIHVFをAgrobacterium tumefaciens LBA4404に導入し、これを300μg/mlストレプトマイシン、100μg/mlリファンピシン、25μg/mlカナマイシンを含む培地で培養して形質転換体を選抜することによってpBIHVFを持つアグロバクテリウム株を単離した。
該アグロバクテリウム株を無菌培養したタバコの葉片に感染させ、実施例2記載の方法と同様の操作で、本改変オオムギフェロケラターゼをコードする遺伝子が導入されたタバコを取得した。
【0079】
実施例13 本改変オオムギフェロケラターゼをコードする遺伝子が導入されたタバコの除草剤耐性の確認
実施例12で作製された本改変オオムギフェロケラターゼをコードする遺伝子が導入されたタバコを、実施例3と同様の操作により、構造式8で示される除草性化合物に対する耐性度を定量的に測定した。本改変オオムギフェロケラターゼをコードする遺伝子が導入されたタバコの4クローン(HVF1〜4)、およびコントロール組換えタバコについて、得られた結果を表12に示す。表中、除草性化合物に対する耐性度は、除草性化合物処理した葉片の総クロロフィル含量の、未処理の葉片の総クロロフィル含量に対する百分率で表した。
【0080】
【表12】

【0081】
実施例14 キュウリフェロケラターゼの改変タンパク質であってプロトポルフィリノーゲンIXに特異的に結合するタンパク質の除草剤耐性付与能の試験
配列番号19で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号20で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーに用い、Miyamoto,K. et al., Plant Physiol., 105; p769(1994)に記載の方法で単離されたキュウリのフェロケラターゼcDNAクローンを鋳型にしてPCRを行い、シグナル配列を欠失したキュウリのフェロケラターゼ(以下、本改変キュウリフェロケラターゼと記す。)をコードするDNA断片を増幅した。なお、オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。また、PCRは、94℃にて1分間次いで55℃にて2分間さらに72℃にて3分間の保温を1サイクルとしてこれを30回実施した。増幅したDNA断片を、制限酵素BamHIとSacIとで消化し、プラスミドpTV119N(宝酒造社製)のBamHI切断部位とSacI切断部位との間に挿入することにより、プラスミドpTVCSF(図14)を構築した。
該プラスミドpTVCSFおよびpTV118Nをそれぞれ、参考例3で作製された大腸菌BT3/pACYCSP株にHanahan,D.J., Mol. Biol., 166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これらを100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地で培養することにより、プラスミドpACYCSPとpTVCSFとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTVCSF株、および、プラスミドpACYCSPとpTV118Nとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTV118N株を得た。
これらの大腸菌株を、前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物を10または1ppm含み、100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシン、10μg/mlヘミンおよび50μg/mlアミノレブリン酸を含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、該除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表13に示す。
【0082】
【表13】

【0083】
実施例15 本改変キュウリフェロケラターゼをコードする遺伝子のタバコへの導入
本改変キュウリフェロケラターゼ遺伝子をアグロバクテリウム法で植物へ導入するためのプラスミドを構築した。プラスミドpBI121(Clontech社製)を制限酵素BamHIとSacIとで消化することによりβ-glucuronidase遺伝子を除去し、一方、実施例14記載のプラスミドpTVCSFを制限酵素BamHIとSacIとで消化して本改変キュウリフェロケラターゼをコードする遺伝子を含むDNA断片を調製し、該DNA断片を前記のβ-glucuronidase遺伝子に替えてプラスミドpBI121に挿入することにより、本改変キュウリフェロケラターゼをコードする遺伝子が35Sプロモーターの下流に結合されてなるプラスミドpBICSF(図15)を作製した。
該プラスミドpBICSFをAgrobacterium tumefaciens LBA4404に導入し、これを300μg/mlストレプトマイシン、100μg/mlリファンピシン、25μg/mlカナマイシンを含む培地で培養して形質転換体を選抜することによってpBICSFを持つアグロバクテリウム株を単離した。
該アグロバクテリウム株を無菌培養したタバコの葉片に感染させ、実施例2記載の方法と同様の操作で、本改変キュウリフェロケラターゼ遺伝子が導入されたタバコを取得した。
【0084】
参考例10 本改変キュウリフェロケラターゼをコードする遺伝子が導入されたタバコの除草剤耐性の確認
実施例15で作製された本改変キュウリフェロケラターゼをコードする遺伝子が導入されたタバコを、実施例3と同様の操作で試験し、該タバコの除草性化合物に対する耐性度を定量的に確認する。
【0085】
参考例11 大腸菌コプロポルフィリノーゲンIIIオキシダーゼ(hemF)遺伝子の単離
ゲノムDNA調製用のキットISOPLANT(ニッポンジーン社製)を用いて、大腸菌LE392株からゲノムDNAを調製する。一方、GenBank (Accession X75413)に登録された大腸菌hemF遺伝子とその5'および'3'領域の塩基配列に従って、配列番号21で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーおよび22で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを合成する。該オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製する。大腸菌LE392株ゲノムDNA約1μgを鋳型にし、前記オリゴヌクレオチド各10pmolをプライマーに用いてPCRを行い、大腸菌のhemF遺伝子を含むDNA断片を増幅する。PCRは、96℃にて1分間、55℃にて2分間、72℃にて3分間の保温を1サイクルとしてこれを30サイクル行なう。
【0086】
実施例16 大腸菌hemFタンパク質の除草剤耐性付与能の試験
参考例11に記載の方法で増幅されたhemF遺伝子を含むDNA断片を制限酵素FbaIとPstIとで消化し、市販のプラスミドpUC118(宝酒造社製)のBamHI切断部位とPstI切断部位との間に挿入することにより、プラスミドpHEMF(図16)を構築した。
該プラスミドpHEMFおよびpTV118Nをそれぞれ、参考例3で作製された大腸菌BT3/pACYCSPにHanahan,D.J., Mol. Biol.166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これらを100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地で培養することにより、プラスミドpACYCSPとpHEMFとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pHEMF株、および、プラスミドpACYCSPとpTV118Nとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTV118N株を得た。
これらの大腸菌株を、前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物を10または1ppm含み、100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシン、10μg/mlヘミンおよび50μg/mlアミノレブリン酸を含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、該除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表14に示す。
【0087】
【表14】

【0088】
参考例12 大腸菌hemF遺伝子のタバコへの導入
大腸菌hemF遺伝子をアグロバクテリウム法で植物へ導入するためのプラスミドを構築した。まず、大腸菌hemF遺伝子を取得するために、配列番号23で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーおよび配列番号24で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドプライマーを合成した。該オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。該オリゴヌクレオチドプライマーを用いて、参考例11に記載の方法と同様にPCRを行い、大腸菌hemF遺伝子を含むDNA断片を増幅した。
プラスミドpBI121(Clontech社製)を制限酵素BamHIとSacIとで消化することによりβ-glucuronidase遺伝子を除去し、一方、前記のPCR増幅DNA断片を制限酵素BamHIとSacIとで消化して大腸菌hemF遺伝子断片を調製し、該遺伝子断片を前記のβ-glucuronidase遺伝子に替えてプラスミドpBI121に挿入することにより、大腸菌hemF遺伝子が35Sプロモーターの下流に結合されてなるプラスミドpBIHEMF(図17)を作製した。
該プラスミドpBIHEMFをAgrobacterium tumefaciens LBA4404に導入し、これを300μg/mlストレプトマイシン、100μg/mlリファンピシン、25μg/mlカナマイシンを含む培地で培養して形質転換体を選抜することによってpBIHEMFを持つアグロバクテリウム株を単離した。
該アグロバクテリウム株を無菌培養したタバコの葉片に感染させ、実施例2記載の方法と同様の操作で、大腸菌hemF遺伝子が導入されたタバコを取得する。
【0089】
参考例13 大腸菌hemF遺伝子が導入されたタバコの除草剤耐性の確認
参考例12で作製される大腸菌hemF遺伝子が導入されたタバコを、実施例3と同様の操作で試験し、該タバコの除草性化合物に対する耐性度を定量的に確認する。
【0090】
参考例14 ポルフィリン化合物結合性タンパク質とプロトポルフィリンIXの結合
北野ら、1998年日本化学会第74春季年会講演予稿集II、1353頁 4G511に記載の方法に従って、ランダムな5つのアミノ酸からなるアミノ酸配列を含むタンパク質を提示するファージライブラリー、および、ポルフィリン化合物 5,10,15,20-tetrakis(N-methylpyridinium-4-yl)-21H,23H-porphine (H2TMpyP)に特異的に結合可能なアミノ酸配列HASYSもしくはRASSL(Hはヒスチジン、Aはアラニン、Sはセリン、Yはチロシン、Rはアルギニン、Lはロイシンを表す。)を含むタンパク質を提示するファージクローンを作製した。
まず、ランダムな5つのアミノ酸からなるアミノ酸配列を含むタンパク質を提示するファージライブラリーを次のようにして作製した。配列番号25で示される塩基配列からなる混合オリゴヌクレオチドおよび配列番号26で示される塩基配列からなる混合オリゴヌクレオチドを合成した。該混合オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。前記の混合オリゴヌクレオチド50pmolにそれぞれT4 DNA kinaseを作用させて該オリゴヌクレオチドの5'末端をりん酸化した後これらを混合し、70℃で10分間加熱した後、毎分0.5℃の速度で室温まで緩やかに冷却することによってアニーリングさせた。プラスミドpCANTAB5E(ファルマシアバイオテク社製)を制限酵素SfiIとNotIとで消化することによって、該プラスミドから組換え抗体遺伝子ScFvを除去し、これに替えて、前記のりん酸化しアニーリングさせたオリゴヌクレオチド対を挿入することによって、ランダムな5つのアミノ酸からなるアミノ酸配列に続いてM13ファージの表面タンパク質のアミノ酸配列が連結されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列を含むプラスミドを作製した。該プラスミドを、大腸菌TG-1株にHanahan,D.J., Mol. Biol.166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、該大腸菌株を100μg/mlアンピシリンを含む2xYT培地(10g/l酵母エキス, 15g/lトリプトン, 5g/l NaCl, pH7.2)で培養することにより、組換え大腸菌TG-1株を得た。
該組換え大腸菌TG-1株を100μg/mlアンピシリンを含む2xYT培地に接種し37℃で振とう培養を行い、培養開始1時間後に6x1010pfuのヘルパーファージM13KO7(Pharmacia Biotech社製)を接種し、さらに18時間振とう培養した。次いで、培養液を1000xgで20分間遠心分離し、ランダムな5アミノ酸からなるアミノ酸配列を含むタンパク質を提示するファージライブラリーを回収した。
また、アミノ酸配列HASYS(配列番号51)を含むタンパク質を提示するファージクローンを作製するために、配列番号27で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号28で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。さらに、アミノ酸配列RASSL(配列番号53)を含むタンパク質を提示するファージクローンを作製するために、配列番号29で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドおよび配列番号30で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。これらのオリゴヌクレオチドは、DNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。前記のランダムな5アミノ酸からなるアミノ酸配列を含むタンパク質を提示したファージライブラリーを作製した場合と同様に操作を行い、アミノ酸配列HASYSまたはRASSLを含むタンパク質を提示したファージクローンを得た。
アミノ酸配列HASYSを含むタンパク質を提示するファージクローン、アミノ酸配列RASSLを提示するファージクローン、または、ランダムな5アミノ酸からなるタンパク質を提示するファージライブラリーを含むファージ懸濁液(力価105 pfu)をそれぞれニトロセルロースフィルター(Schleicher & Schuell社製)にスポットした後、該ニトロセルロースフィルターを1%牛血清アルブミンを含むPBT緩衝液(137mM NaCl, 8.10mM Na2HPO4, 2.68mM KCl, 1.47mM KH2PO4, 0.05% Tween20, pH7.2)中で1時間振とうしブロッキングした。PBT緩衝液で該ニトロセルロースフィルターを洗浄した後、10μMプロトポルフィリンIXを含む2xSSC緩衝液(0.3M NaCl, 0.03Mクエン酸ナトリウム)中で18時間振とうした。さらに、該ニトロセルロースフィルターを2xSSC緩衝液で洗浄し乾燥させた後、紫外光(365nm)照射下でプロトポルフィリンIX由来の蛍光を検出した。
ファージライブラリーのスポットは蛍光を示さなかったが、アミノ酸配列HASYSを含むタンパク質を提示したファージクローンのスポット、および、アミノ酸配列RASSLを含むタンパク質を提示したファージクローンのスポットは明瞭な蛍光を示した。
【0091】
実施例17 プロトポルフィリンIX結合性タンパク質の除草剤耐性付与能の試験 まず、アミノ酸配列HASYS(配列番号51)、または、アミノ酸配列RASSL(配列番号53)を含むタンパク質をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製した。まず、配列番号52で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(以下、タンパク質MGHASYSと記す。)をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製するために、配列番号31で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、および配列番号32で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。該オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。前記オリゴヌクレオチド50pmolにそれぞれT4 DNA kinaseを作用させて該オリゴヌクレオチドの5'末端をりん酸化した後これらを混合し、70℃で10分間加熱した後、毎分0.5℃の速度で室温まで緩やかに冷却することによってアニーリングさせた。プラスミドpTV118Nを制限酵素NcoIとEcoRIとで消化することによって16塩基対からなる遺伝子断片を該プラスミドから除去し、これに替えて、前記のりん酸化しアニーリングさせたオリゴヌクレオチド対を挿入することによって、タンパク質MGHASYSをコードする遺伝子を発現可能なプラスミドpHASYSを作製した。
次に、配列番号54で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(以下、タンパク質MGRASSLと記す。)をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製するために、配列番号33で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、および、配列番号34で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。
該オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。プラスミドpHASYSを作製した場合と同様な操作を行い、タンパク質MGRASSLをコードする遺伝子を発現可能なプラスミドpRASSLを作製した。
次に、ポルフィリン化合物H2TMPyPに結合可能なアミノ酸配列YAGYまたはYAGF(Yはチロシン、Aはアラニン、Gはグリシン、Fはフェニルアラニンを表す。)を含むタンパク質をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製した。配列番号56で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(以下、タンパク質MGYAGYと記す。)をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製するために、配列番号35で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、および配列番号36で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。また、配列番号58で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(以下、タンパク質MGYAGFと記す。)をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製するために、配列番号37で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、および配列番号38で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。これらのオリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。プラスミドpHASYSを作製した場合と同様な操作を行い、タンパク質MGYAGYをコードする遺伝子を発現可能なプラスミドpYAGY、および、タンパク質MGYAGFをコードする遺伝子を発現可能なプラスミドpYAGFを作製した。
上記のプラスミドpHASYS、pRASSL、pYAGY、pYAGFまたはpTV118Nをそれぞれ、参考例3で作製された大腸菌BT3/pACYCSP株にHanahan,D.J., Mol. Biol., 166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これらを100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地で培養することにより、プラスミドpACYCSPとpHASYSとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pHASYS株、プラスミドpACYCSPとpRASSLとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pRASSL株、プラスミドpACYCSPとpYAGYとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pYAGY株、プラスミドpACYCSPとpYAGFとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pYAGF株、および、プラスミドpACYCSPとpTV118Nとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTV118N株を得た。
これらの大腸菌株を、前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物を1ppm含み、100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシン、10μg/mlヘミンおよび50μg/mlアミノレブリン酸を含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、該除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表15に示す。
【0092】
【表15】

【0093】
さらに、アミノ酸配列HASYS、RASSLが複数回連続して接続されたアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製した。配列番号59で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(以下、タンパク質MG(HASYS)4と記す。)[ここで、(HASYS)nはペプチドHASYSがn回繰り返しつながった配列を意味する。]をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製するために、配列番号39、配列番号40、配列番号41、または配列番号42で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。これらのオリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。まず、配列番号40で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号41で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドにT4 DNA kinaseを作用させその5'末端をそれぞれりん酸化した。その後、配列番号39で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとりん酸化された配列番号40で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、または、りん酸化された配列番号41で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号42で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとをそれぞれ300pmolずつ混合し、70℃で5分間加熱した後0.5℃/minの速度で緩やかに室温まで冷却することによってアニーリングさせた。前記のアニーリングさせたオリゴヌクレオチド対2種を混合し、T4 DNA ligaseを用いてこれらを連結させた後、得られたDNA断片のその5'末端をT4 DNA kinaseを用いてりん酸化した。一方、ベクターpTV118Nを制限酵素NcoIとEcoRIで消化し、16塩基対からなるDNA断片を除去し、これに替えて、前記のりん酸化DNA断片を挿入することによって、タンパク質MG(HASYS)4をコードする遺伝子を発現するプラスミドpHASYS4を取得した。
さらに、配列番号60で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(以下、タンパク質MG(HASYS)8と記す。)をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製するために、配列番号43で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、および配列番号44で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。該オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。
まず、T4 DNA kinaseを用いて前記オリゴヌクレオチドの5'末端をりん酸化した。その後、配列番号39で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとりん酸化された配列番号40で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを300pmolずつ混合し、りん酸化された配列番号41で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと配列番号42で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを300pmolずつ混合し、さらに、りん酸化された配列番号43で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドとりん酸化された配列番号44で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを600pmolずつ混合し、それぞれを70℃で5分間加熱した後0.5℃/minの速度で緩やかに室温まで冷却することによってアニーリングした。前記のアニーリングしたオリゴヌクレオチド対3種を混合し、T4 DNA ligaseを用いて連結させた後、得られたDNA断片のその5'末端をT4 DNA kinaseを用いてりん酸化した。その後、前述のプラスミドpHASYS4を作製した場合と同様の操作を行い、タンパク質MG(HASYS)8をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドpHASYS8を取得した。
次に、配列番号61で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(以下、タンパク質MG(RASSL)4と記す。)[ここで、(RASSL)nはペプチドRASSLがn回繰り返しつながった配列を意味する。]をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製するために、配列番号45、配列番号46、配列番号47、または配列番号48で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。また、配列番号62で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(以下、タンパク質MG(RASSL)8と記す。)をコードする遺伝子を発現可能なプラスミドを作製するために、配列番号49で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、および配列番号50で示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成した。該オリゴヌクレオチドはDNA合成装置(PEアプライドバイオシステムズ社:Model 394 DNA/RNA Synthesizer)を用いて合成し、オリゴヌクレオチド精製用カートリッジ(PEアプライドバイオシステムズ社:OPC カートリッジ)で精製した。
プラスミドpHASYS4を作製した場合と同様な操作を行い、タンパク質MG(RASSL)4を発現可能なプラスミドpRASSL4を作製した。また、プラスミドpHASYS8を作製した場合と同様な操作を行い、タンパク質MG(RASSL)8を発現可能なプラスミドpRASSL8、を作製した。
上記のプラスミドpHASYS4、pHASYS8、pRASSL4、pRASSL8またはpTV118Nをそれぞれ、参考例3で作製された大腸菌BT3/pACYCSP株にHanahan,D.J., Mol. Biol., 166; p557(1983)に記載の方法に従って導入し、これらを100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシンを含むYPT培地で培養することにより、プラスミドpACYCSPとpHASYS4とを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pHASYS4株、プラスミドpACYCSPとpHASYS8とを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pHASYS8株、プラスミドpACYCSPとpRASSL4とを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pRASSL4株、プラスミドpACYCSPとpRASSL8とを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pRASSL8株、および、プラスミドpACYCSPとpTV118Nとを持つ大腸菌BT3/pACYCSP+pTV118N株を得た。
これらの大腸菌株を、前記 構造式8で示されるPPO阻害型除草性化合物を1ppm含み、100μg/mlアンピシリン、15μg/mlクロランフェニコール、10μg/mlカナマイシン、10μg/mlヘミンおよび50μg/mlアミノレブリン酸を含むYPT培地に接種し、参考例2と同様にして暗所条件下または明所条件下に培養した。培養開始18時間後に、培養液の600nmにおける吸光度を測定し、該除草性化合物を含まない培地で培養したときの吸光度を1とし、該除草性化合物を含む培地で培養した場合の吸光度の相対値を求めた。結果を表16に示す。
【0094】
【表16】

【0095】
参考例15 プロトポルフィリンIX結合性タンパク質をコードする遺伝子のタバコへの導入
まず、プロトポルフィリンIX結合性タンパク質MG(HASYS)8をコードする遺伝子をアグロバクテリウム法で植物へ導入するためのプラスミドを構築した。実施例17で作製されたプラスミドpHASYS8を制限酵素NcoIで消化した後、DNA polymerase Iを用いて2本鎖DNAのギャップにヌクレオチドを付加しDNAの末端を平滑化した。次に該DNAを仔牛小腸由来のAlkaline phosphataseで処理してその5'末端を脱りん酸化し、りん酸化BamHIリンカー(宝酒造製4610P)を挿入して環化させ、プラスミドpHASYS8Bを構築した。また、プラスミドpBI121(Clontech社製)を制限酵素BamHIとSacIとで消化することによりβ-glucuronidase遺伝子を除去した。一方、プラスミドpHASYS8Bを制限酵素BamHIとSacIで消化してタンパク質MG(HASYS)8をコードする遺伝子を含むDNA断片を調製し、該DNA断片を前記のβ-glucuronidase遺伝子に替えてプラスミドpBI121に挿入することにより、プロトポルフィリンIX結合性タンパク質MG(HASYS)8をコードする遺伝子が35Sプロモーターの下流に結合されてなるプラスミドpBIHASYS8(図18)を作製した。
次に、プロトポルフィリンIX結合性タンパク質MG(RASSL)8をコードする遺伝子をアグロバクテリウム法で植物へ導入するためのプラスミドを構築した。実施例17で作製されたプラスミドpRASSL8を、前記のpBIHASYS8を作製した方法に準じて構築し、プロトポルフィリンIX結合性タンパク質MG(RASSL)8をコードする遺伝子が35Sプロモーターの下流に結合されてなるプラスミドpBIRASSL8(図19)を作製した。
上記のプラスミドpBIHASYS8またはpBIRASSL8を、それぞれAgrobacterium tumefaciens LBA4404に導入し、これを300μg/mlストレプトマイシン、100μg/mlリファンピシン、25μg/mlカナマイシンを含む培地で培養して形質転換体を選抜することによってpBIHASYS8を持つアグロバクテリウム株、およびpBIRASSL8を持つアグロバクテリウム株を単離した。
該アグロバクテリウム株を無菌培養したタバコの葉片に感染させ、実施例2記載の方法と同様の操作でプロトポルフィリンIX結合性タンパク質MG(HASYS)8をコードする遺伝子が導入されたタバコ、およびプロトポルフィリンIX結合性タンパク質MG(RASSL)8をコードする遺伝子が導入されたタバコを取得する。
【0096】
参考例16 プロトポルフィリンIX結合性ペプチドをコードする遺伝子が導入されたタバコの除草剤耐性の確認
参考例15で作製されたプロトポルフィリンIX結合性タンパク質をコードする遺伝子が導入されたタバコを、実施例3と同様の操作で試験し、該タバコの除草性化合物に対する耐性度を定量的に確認する。
【配列表フリーテキスト】
【0097】
配列番号1
bchH遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2
bchH遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
ダイズ由来のPPO遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号4
ダイズ由来のPPO遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号6
bchH遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号7
bchH遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号8
タバコ由来のchlH遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号9
タバコ由来のchlH遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号10
ダイズ由来のPPO遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号11
ダイズ由来のPPO遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号12
ダイズ由来のPPO遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号13
ダイズ由来のPPO遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号14
コナミドリムシ由来のPPO遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号15
コナミドリムシ由来のPPO遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号17
コナミドリムシ由来のPPO遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号18
コナミドリムシ由来のPPO遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号19
キュウリ由来のフェロケラターゼ遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号20
キュウリ由来のフェロケラターゼ遺伝子の部分塩基配列を有するDNA断片を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号21
大腸菌由来のhemF遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号22
大腸菌由来のhemF遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号23
大腸菌由来のhemF遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号24
大腸菌由来のhemF遺伝子を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号25
ランダムな5つのアミノ酸からなるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号26
ランダムな5つのアミノ酸からなるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号27
アミノ酸配列HASYSを含むタンパク質をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号28
アミノ酸配列HASYSを含むタンパク質をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号29
アミノ酸配列RASSLを含むタンパク質をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号30
アミノ酸配列RASSLを含むタンパク質をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号31
タンパク質MGHASYSをコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号32
タンパク質MGHASYSをコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号33
タンパク質MGRASSLをコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号34
タンパク質MGRASSLをコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号35
タンパク質MGYAGYをコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号36
タンパク質MGYAGYをコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号37
タンパク質MGYAGFをコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号38
タンパク質MGYAGFをコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号39
タンパク質MG(HASYS)4をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号40
タンパク質MG(HASYS)4をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号41
タンパク質MG(HASYS)4をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号42
タンパク質MG(HASYS)4をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号43
タンパク質MG(HASYS)8をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号44
タンパク質MG(HASYS)8をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号45
タンパク質MG(RASSL)4をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号46
タンパク質MG(RASSL)4をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号47
タンパク質MG(RASSL)4をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号48
タンパク質MG(RASSL)4をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号49
タンパク質MG(RASSL)8をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号50
タンパク質MG(RASSL)8をコードする遺伝子を作製するために設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号51
プロトポルフィリンIX結合タンパク質HASYS
配列番号52
プロトポルフィリンIX結合タンパク質MGHASYS
配列番号53
プロトポルフィリンIX結合タンパク質RASSL
配列番号54
プロトポルフィリンIX結合タンパク質MGRASSL
配列番号55
H2TMpyP結合タンパク質YAGY
配列番号56
H2TMpyP結合タンパク質MGYAGY
配列番号57
H2TMpyP結合タンパク質YAGF
配列番号58
H2TMpyP結合タンパク質MGYAGF
配列番号59
プロトポルフィリンIX結合タンパク質MG(HASYS)4
配列番号60
プロトポルフィリンIX結合タンパク質MG(HASYS)8
配列番号61
プロトポルフィリンIX結合タンパク質MG(RASSL)4
配列番号62
プロトポルフィリンIX結合タンパク質MG(RASSL)8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ阻害型除草剤に対する耐性を植物に付与する方法であって、FAD結合配列を欠失したプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼをコードする遺伝子を植物の細胞に導入し発現させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
遺伝子が、植物細胞で機能可能なプロモーターおよび植物細胞で機能可能なターミネーターと機能可能な形で結合されてなる遺伝子である請求項1記載の方法。
【請求項3】
プロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ阻害型除草剤が、下記(1)〜(3)のいずれかの化合物群の中から選ばれる化合物を有効成分とするプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ阻害型除草剤である請求項1又は2記載の方法。
(1)クロルメトキシニル、ビフェノックス、クロルニトロフェン(CNP)、アシフルオルフェン〔5-[2-クロロ-4-(トリフルオロメチル)フェノキシ]-2-ニトロ安息香酸〕およびそのエチルエステル、アシフルオルフェン-ソディウム、オキシフルオルフェン〔2-クロロ-1-(3-エトキシ-4-ニトロフェノキシ)-4-トリフルオロメチルベンゼン〕、オキサジアゾン〔3-[2,4-ジクロロ-5-(1-メチルエトキシ)フェニル]-5-(1,1-ジメチルエチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2 (3H)-オン〕、S-23142〔2-[4-クロロ-2-フルオロ-5-(プロップ-2-イニロキシ)フェニル]-2,3,4,5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-イソインドール-1,3-ジオン〕、クロロフタリム〔N-(4-クロロフェニル)-3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド〕、 TNPP-エチル〔エチル 2-[1-(2,3,4-トリクロロフェニル)-4-ニトロピラゾリル-5-オキシ]プロピオネ
ート〕、LS82-556〔N3-(1-フェニルエチル)-2,6-ジメチル-5-プロピオニルニコチンアミド〕
(2)一般式Iで示される化合物
J−G (一般式I)
ここで、Gは下記のG−1〜9で示される基、Jは下記のJ−1〜30で示される基である。







ここで、式 J-5、J-6、J-12 および J-24 における破線は、左側の環が一重結合のみを含むことまたは環内のひとつの結合が炭素原子間の二重結合であることを表し、
X は酸素原子または硫黄原子を表し、
Y は酸素原子または硫黄原子を表し、
R1 は水素原子またはハロゲン原子を表し、
R2 は水素原子、C1-C8 アルキル基、C1-C8 ハロアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、-OR27 基、-SH 基、-S(O)pR27 基、-COR27 基、-CO2R27 基、-C(O)SR27 基、-C(O)NR29R30 基、-CHO 基、-CR27=NOR36 基、-CH=CR37CO2R27 基、-CH2CHR37CO2R27 基、-CO2N=CR31R32 基、ニトロ基、シアノ基、-NHSO2R33 基、-NHSO2NHR33 基、-NR27R38 基、-NH2 基、または、1つ以上の同種もしくは異種の C1-C4 アルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
p は 0、1 または 2 を表し、
R3 は C1-C2 アルキル基、C1-C2 ハロアルキル基、-OCH3 基、-SCH3 基、-OCHF2 基、ハロゲン原子、シアノ基、またはニトロ基を表し、
R4 は水素原子、C1-C3 アルキル基、C1-C3 ハロアルキル基、またはハロゲン原子を表し、
R5 は水素原子、C1-C3 アルキル基、ハロゲン原子、C1-C3 ハロアルキル基、シクロプロピル基、ビニル基、C2 アルキニル基、シアノ基、-C(O)R38 基、-CO2R38 基、-C(O)NR38R39 基、-CR34R35CN 基、-CR34R35C(O)R38 基、-CR34R35CO2R38 基、-CR34R35C(O)NR38R39 基、-CHR34OH 基、-CHR34OC(O)R38 基、または -OCHR34OC(O)NR38R39 基を表すか、あるいは、G が G-2 もしくは G-6 の場合に R4 とR5とはこれらが結合している炭素原子とで C=O 基を表していてもよく、
R6 は C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C2-C6 アルコキシアルキル基、C3-C6 アルケニル基、または C3-C6 アルキニル基を表し、
X1 は直接結合、酸素原子、硫黄原子、-NH基、-N(C1-C3 アルキル)基、-N(C1-C3 ハロアルキル)基、または -N(アリル)基を表し、
R7 は水素原子、C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、ハロゲン原子、-S(O)2(C1-C6アルキル)基、または -C(=O)R40 基を表し、
R8 は水素原子、C1-C8 アルキル基、C3-C8 シクロアルキル基、C3-C8 アルケニル基、C3-C8 アルキニル基、C1-C8 ハロアルキル基、C2-C8 アルコキシアルキル基、C3-C8 アルコキシアルコキシアルキル基、C3-C8 ハロアルキニル基、C3-C8 ハロアルケニル基、C1-C8 アルキルスルホニル基、C1-C8 ハロアルキルスルホニル基、C3-C8 アルコキシカルボニルアルキル基、-S(O)2NH(C1-C8 アルキル)基、-C(O)R41 基、またはフェニル環上で R42 で置換されていてもよいベンジル基を表し、
n および m はそれぞれ独立して 0、1、2 または 3 であり、かつ m + n が2または3を表し、
Z は -CR9R10 基、酸素原子、硫黄原子、-S(O) 基、-S(O)2 基、または -N(C1-C4 アルキル)基を表し、
それぞれの R9 は独立して水素原子、C1-C3 アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1-C6 アルコキシ基、C1-C6 ハロアルキル基、C1-C6 ハロアルコキシ基、C2-C6 アルキルカルボニルオキシ基、または C2-C6 ハロアルキルカルボニルオキシ基を表し、
それぞれの R10 は独立して水素原子、C1-C3 アルキル基、ヒドロキシ基、またはハロゲン原子を表し、
R11 および R12 はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、C1-C6 アルキル基、C3-C6 アルケニル基、または C1-C6 ハロアルキル基を表し、
R13 は水素原子、C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C3-C6 アルケニル基、C3-C6 ハロアルケニル基、C3-C6 アルキニル基、C3-C6 ハロアルキニル基、HC(=0)基、(C1-C4 アルキル)C(=O) 基、または -NH2 基を表し、
R14 は C1-C6 アルキル基、C1-C6 アルキルチオ基、C1-C6 ハロアルキル基、または -N(CH3)2 基を表し、
W は窒素原子または -CR15 基を表し、
R15 は水素原子、C1-C6 アルキル基、ハロゲン原子、または、C1-C6 アルキル基、1 ないし 2 個のハロゲン原子、C1-C6 アルコキシ基もしくは -CF3 基で置換されていてもよいフェニル基を表し、それぞれの Q は独立して酸素原子または硫黄原子を表し、
Q1 は酸素原子または硫黄原子を表し、
Z1 は -CR16R17 基、酸素原子、硫黄原子、-S(O) 基、-S(O)2 基、または -N(C1-C4 アルキル)基を表し、
それぞれの R16 は独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1-C6 アルコキシ基、C1-C6 ハロアルキル基、C1-C6 ハロアルコキシ基、C2-C6 アルキルカルボニルオキシ基、または C2-C6 ハロアルキルカルボニルオキシ基を表し、
それぞれの R17 は独立して水素原子、ヒドロキシ基、または ハロゲン原子を表し、
R18 は C1-C6 アルキル基、ハロゲン原子、または C1-C6 ハロアルキル基を表し、
R19 および R20 はそれぞれ独立して水素原子、C1-C6 アルキル基、または C1-C6 ハロアルキル基を表し、
Z2 は酸素原子、硫黄原子、-NR9 基、または -CR9R10 基を表し、
R21 および R22 はそれぞれ独立して C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C3-C6 アルケニル基、C3-C6 ハロアルケニル基、C3-C6 アルキニル基、または C3-C6 ハロアルキニル基を表し、
R23 は水素原子、ハロゲン原子、またはシアノ基を表し、
R24 は C1-C6 アルキルスルフォニル基、C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C3-C6 アルケニル基、C3-C6 アルキニル基、C1-C6 アルコキシ基、C1-C6 ハロアルコキシ基、またはハロゲン原子を表し、
R25 は C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C3-C6 アルケニル基、または C3-C6 アルキニル基を表し、
R26 は C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、または、環上で C1-C6 アルキル基、1 ないし 2 個のハロゲン原子、1 ないし 2 個のニトロ基、C1-C6 アルコキシ基、および CF3 基からなるグループの中から選択される置換基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
W1 は窒素原子または CH 基を表し、
T は下記の一般式T-1、T-2、またはT-3 のいずれかの基を表し、

(式中、E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8、E9、E10、E11、E12 はそれぞれ水素原子または C1-C3 アルキル基を表す。)
R27 は C1-C8 アルキル基、C3-C8 シクロアルキル基、C3-C8 アルケニル基、C3-C8 アルキニル基、C1-C8 ハロアルキル基、C2-C8 アルコキシアルキル基、C2-C8 アルキルチオアルキル基、C2-C8 アルキルスルフィニルアルキル基、C2-C8 アルキルスルフォニルアルキル基、C1-C8 アルキルスルフォニル基、フェニル環上でハロゲン原子および C1-C4 アルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいフェニルスルフォニル基、
C4-C8 アルコキシアルコキシアルキル基、C4-C8 シクロアルキルアルキル基、C6-C8 シクロアルコキシアルキル基、C4-C8 アルケニルオキシアルキル基、C4-C8 アルキニルオキシアルキル基、C3-C8 ハロアルコキシアルキル基、C4-C8 ハロアルケニルオキシアルキル基、C4-C8 ハロアルキニルオキシアルキル基、C6-C8 シクロアルキルチオアルキル基、C4-C8 アルケニルチオアルキル基、C4-C8 アルキニルチオアルキル基、
環上でハロゲン原子、C1-C3 アルキル基および C1-C3 ハロアルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいフェノキシ基で置換された C1-C4 アルキル基、環上でハロゲン原子、C1-C3 アルキル基および C1-C3 ハロアルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいベンジルオキシ基で置換された C1-C4 アルキル基、
C4-C8トリアルキルシリルアルキル基、C3-C8 シアノアルキル基、C3-C8 ハロシクロアルキル基、C3-C8 ハロアルケニル基、C5-C8 アルコキシアルキニル基、C5-C8 ハロアルコキシアルキニル基、C5-C8 アルキルチオアルケニル基、C3-C8 ハロアルキニル基、C5-C8 アルコキシアルキニル基、C5-C8 ハロアルコキシアルキニル基、C5-C8 アルキルチオアルキニル基、C2-C8 アルキルカルボニル基、環上でハロゲン原子、C1-C3 アルキル基および C1-C3 ハロアルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいベンジル基、
-CHR34COR28 基、-CHR34COOR28 基、-CHR34P(O)(OR28)2 基、-CHR34P(S)(OR28)2 基、-CHR34C(O)NR29R30 基、または -CHR34C(O)NH2 基を表し、
R28 は C1-C6 アルキル基、C2-C6 アルケニル基、C3-C6 アルキニル基、またはテトラヒドロフラニル基を表し、
R29 および R31 は独立して水素原子、または C1-C4 アルキル基を表し、
R30 および R32 は独立して C1-C4 アルキル基、または環上でハロゲン原子、C1-C3 アルキル基および C1-C3 ハロアルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいフェニル基を表し、
あるいは、
R29と R30とで -(CH2)5-、-(CH2)4-、または -CH2CH2OCH2CH2- を表していてもよく、このようにして形成されるそれぞれの環では、 C1-C3 アルキル基、フェニル基およびベンジル基からなるグループの中から選択される置換基で置換されていてもよい、
あるいは、
R31と R32とはこれらが結合している炭素原子とで C3-C8 シクロアルキル基を表していてもよく、
R33 は C1-C4 アルキル基、C1-C4 ハロアルキル基、または C3-C6 アルケニル基を表し、
R34 および R35 は独立して水素原子または C1-C4 アルキル基を表し、
R36 は水素原子、C1-C6 アルキル基、C3-C6 アルケニル基、または C3-C6 アルキニル基を表し、
R37 は水素原子、C1-C4 アルキル基、またはハロゲン原子を表し、
R38 は水素原子、C1-C6 アルキル基、C3-C6 シクロアルキル基、C3-C6 アルケニル基、C3-C6 アルキニル基、C2-C6 アルコキシアルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、環上でハロゲン原子、C1-C4 アルキル基および C1-C4 アルコキシ基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいフェニル基、-CH2CO2(C1-C4 アルキル)基、または -CH(CH3)CO2(C1-C4 アルキル)基を表し、
R39 は水素原子、C1-C2 アルキル基、または C(O)O(C1-C4 アルキル)基を表し、
R40 は水素原子、C1-C6 アルキル基、C1-C6 アルコキシ基、または NH(C1-C6 アルキル)基を表し、
R41 は C1-C6 アルキル基、C1-C6 ハロアルキル基、C1-C6 アルコキシ基、NH(C1-C6 アルキル)基、R42 基で置換されていてもよいフェニル基、ベンジル基、または C2-C8 ジアルキルアミノ基を表し、
R42 は C1-C6 アルキル基、1 ないし 2 個のハロゲン原子、C1-C6 アルコキシ基、または CF3 基を表す。
(3)一般式IIで示される化合物およびニピラクロフェン
一般式(II)

ここで、R43 は C1-C4 アルキル基を表し、
R44 は C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルキルチオ基、 C1-C4 アルコキシ基、 C1-C4ハロアルキル基、 C1-C4 ハロアルキルチオ基、または C1-C4 ハロアルコキシ基を表し、
あるいは、
R43 とR44とで-(CH2)3- または -(CH2)4- を表していてもよく、
R45 は水素原子またはハロゲン原子を表し、
R46 は水素原子または C1-C4 アルキル基を表し、
R47 は水素原子、ニトロ基、シアノ基、-COOR49 基、-C(=X)NR50R51 基、または -C(=X2)R52 基を表し、
R48 は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲン原子および水酸基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよい C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルコキシ基、環上でハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、 C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルコキシ基およびハロ-C1-C4 アルキル基からなるグループの中から選択される少なくともひとつの置換基で置換されていてもよいフェニル基、ピローリル基、 C2-C8 アルキル基、 C3-C8 アルケニル基、 C3-C8 アルキニル基、 C3-C8 アルコキシ基、(該C2-C8 アルキル基、該 C3-C8 アルケニル基、 該C3-C8 アルキニル基および 該C3-C8 アルコキシ基には少なくともひとつ以上の酸素原子が挿入されていてもよい)、または以下に示す基を表し、

R49 R50 およびR51 は同じであっても異なってもよく、水素原子または C1-C4 アルキル基を表し、
あるいは、
R50 とR51とはこれらが結合する窒素原子とで5員もしくは6員の飽和した環を形成していてもよい、R52 は水素原子、 C1-C4 アルキル基、または少なくとも1つ以上のハロゲン原子で置換された C1-C4 アルキル基を表し、
R53 は水素原子、 C1-C4 アルキル基、 C2-C6 アルケニル基、 C3-C6 アルキニル基、フェニル基(該 C1-C4 アルキル基、該 C2-C6 アルケニル基、該C3-C6 アルキニル基、および該フェニル基はハロゲン原子で置換されていてもよい)、 C3-C8 シクロアルキル基、シアノメチル基、または R63CO-基を表し、
R54 は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい C1-C6 アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい C2-C6 アルケニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい C3-C6 アルキニル基、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、 C3-C8 シクロアルキル基、シアノメチル基、 C1-C4 アルコキシ C1-C6 アルキル基、 ジ C1-C4 アルキルアミノ C1-C4 アルキル基、テトラヒドロフルフリルメチル基、 C3-C6 アルキニルオキシ C1-C4 アルキル基、ベンジル基、環上でハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、 C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルコキシ基およびハロ C1-C4 アルキル基からなるグループの中から選択される置換基で置換されていてもよいベンジル基、-C(=X2)R63基、-(CH2)a-(O)d-R70 基、-(CH2)a-O-(CH2)b-R70 基、または-(CH2)a-X2-R76基を表し、
あるいは、
R53 とR54とはこれらが結合している窒素原子とで、3員、5員もしくは6員の飽和した環または5員もしくは6員の芳香環(該飽和した環および該芳香環においては1つの炭素原子が1つの酸素原子で置換されていてもよい)を形成していてもよい、
R55 は水素原子、 C1-C4 アルキル基、 C2-C6 アルケニル基、または C3-C6 アルキニル基を表し、あるいはR55 とR56 とで-(CH2)e-基を形成していてもよい、
R56 とR57 はそれぞれ C1-C4 アルキル基、 C2-C6 アルケニル基、 C3-C6 アルキニル基もしくはフェニル基(該C1-C4 アルキル基、 該C2-C6 アルケニル基、 該C3-C6 アルキニル基および該フェニル基はハロゲン原子で置換されていてもよい)、 水素原子、 C3-C6 シクロアルキル基、-X2R60 基、または-NR61R62基を表し、
R58 は水素原子、 C1-C6 アルキル基、 C2-C6 アルケニル基、 C3-C6 アルキニル基、 C1-C4 アルキルカルボニル基、シアノ C1-C3 アルキル基、 C1-C4 アルコキシカルボニル C1-C4 アルキル基、ジ C1-C4 アルコキシカルボニル C1-C4 アルキル基、ベンジル基、 C1-C4アルコキシ- C1-C4アルキニル基、-(CH2)a-R75基、-(CH2)a-X2-R72基、-(CH2)a-X2-(CH2)b-R72基、または-(CH2)a-X2-(CH2)b-X2-(CH2)c-R72基を表し、
R59 は水素原子、 C1-C4 アルキル基、 C2-C6 アルケニル基、 C3-C6 アルキニル基、シアノ C1-C3 アルキル基、 C1-C4 アルキルカルボニル C1-C3 アルキル基、またはフェニル基を表し、
R60 は少なくとも1つのハロゲン原子で置換されていてもよい C1-C4 アルキル基を表し、
R61 とR62 は同じであっても異なってもよく、水素原子、または C1-C4 アルキル基を表し、
R63 は少なくとも1つ以上のハロゲン原子で置換されていてもよい C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルコシキ C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルキルチオ C1-C4 アルキル基、 C3-C6 シクロアルキル基、環上でハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、 C1-C4 アルキル基、 C1-C4 アルコキシ基およびハロ C1-C4 アルキル基からなるグループの中から選択されるひとつの置換基で置換されていてもよいフェニル基、-NR73R74基、または-(CH2)a-(O)d-R75基を表し、
R64 は C1-C4 アルコキシカルボニル基、またはカルボキシル基を表し、
R65 はクロロメチル基、シアノメチル基、少なくとも1つ以上の酸素原子が挿入されていてもよい C3-C6 シクロアルキル基、または C1-C4 アルコキシカルボニル C1-C4 アルキル基を表し、
R66 は水酸基、または-NR67R68を表し、
A は -NR67R68、または -S(O)f-R69基を表し、
R67 とR68 は同じであっても異なってもよく、水素原子、または C1-C4 アルキル基を表し、
R69 は C1-C4 アルキル基、または C1-C4 ハロアルキル基を表し、
R70 は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、少なくとも1つ以上の C1-C4 アルコキシ基で置換されていてもよい C1-C4 アルキル基、少なくとも1つ以上の酸素原子が挿入されていてもよい C3-C6シクロアルキル基、1もしくは2個のメチル基で置換されていてもよい C3-C6シクロアルキル基、フリル基、チエニル基、または -C(=O)R71基を表し、
R71 とR72 は同じであっても異なってもよく、 C1-C4 アルキル基、または C1-C4 アルコキシ基を表し、
R73 とR74 は同じであっても異なってもよく、 C1-C4 アルキル基、またはフェニル基を表し、
R75 は少なくとも1つ以上の酸素原子が挿入されていてもよい C3-C6シクロアルキル基、1もしくは2個のメチル基で置換されていてもよい C3-C6シクロアルキル基、フリル基、チエニル基、または -C(=O)R71基を表し、
R76 は C1-C4 アルキル基を表し、
a、b、およびc はそれぞれ独立して1、2、または3を表し、
d は0または1を表し、
e は2または3を表し、
f は1または2を表し、
X2 は酸素原子または硫黄原子を表す。
【請求項4】
FAD結合配列を欠失したプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼが、植物由来のFAD結合配列を欠失したプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼである請求項1〜3記載の方法。
【請求項5】
FAD結合配列を欠失したプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼが、ダイズ由来のFAD結合配列を欠失したプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼである請求項1〜3記載の方法。
【請求項6】
FAD結合配列を欠失したプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼが、藻類由来のFAD結合配列を欠失したプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼである請求項1〜3記載の方法。
【請求項7】
FAD結合配列を欠失したプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼが、コナミドリムシ由来のFAD結合配列を欠失したプロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼである請求項1〜3記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7記載の方法により雑草防除剤耐性を付与された植物。
【請求項9】
請求項8記載の植物を増殖させることを特徴とする雑草防除剤耐性植物の製造方法。
【請求項10】
請求項8記載の植物の栽培域に雑草防除剤を散布する雑草防除方法。
【請求項11】
請求項8記載の植物の栽培域に雑草防除剤を散布する雑草防除剤耐性植物の選抜方法。
【請求項12】
請求項8記載の植物の細胞の培養域に雑草防除剤を添加する雑草防除剤耐性植物細胞の選抜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−24594(P2011−24594A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224574(P2010−224574)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【分割の表示】特願平11−121955の分割
【原出願日】平成11年4月28日(1999.4.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】