説明

離型剤希釈供給装置

【課題】希釈離型剤液を電気制御無しで貯液タンクに蓄えることができ、コストを削減することができる離型剤希釈供給装置の提供。
【解決手段】離型剤希釈供給装置1は、離型剤原液タンク3と、混合タンク4と、貯液タンク6とを備えている。第1フロート13により第1弁手段14が開状態とされ、且つ、第2フロート16により第3弁手段17が開状態とされた場合に、第1エア管路18から方向切替弁19にエアが供給され、方向切替弁19は離型剤原液2と希釈用液体とを混合タンク4内において混合する為の第1の状態に切替えられる。また、第1フロート13により第1弁手段14が閉状態とされ、且つ、第2フロート16により第2弁手段15が開状態とされた場合に、第2エア管路20から方向切替弁19にエアが供給され、方向切替弁19は混合タンク4内の希釈離型剤液5を貯液タンク6内に供給する為の第2の状態に切替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の離型剤原液を工業用水等の希釈用液体で設定希釈倍率に薄め、希釈された希釈離型剤を離型剤塗布装置に供給する離型剤希釈供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカスト法を行う前には、離型剤塗布装置を用いて予め金型に離型剤を塗布しておくことが必要である。水溶性離型剤の場合には離型剤原液が工業用水等の希釈用液体と希釈される。希釈された希釈離型剤を離型剤塗布装置に供給する離型剤希釈供給装置に関し、離型剤原液が貯留される離型剤原液タンクと、該離型剤原液タンクから定量計測して供給される離型剤原液と工業用水等の希釈水とを混合するための混合タンクと、混合タンクにおいて混合された希釈離型剤液を蓄えておくための貯液タンクとの3つのタンクとを備えた離型剤希釈供給装置は下記特許文献1に所載されるように公知である。
【0003】
しかし、この様に3つのタンクを備える従来の離型剤希釈供給装置は、離型剤原液と希釈水とを混合し、希釈離型剤液を貯液タンクに蓄える為に電磁弁の電気制御を必要とする構成であり、消費電力が大きく、コスト高になるという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−144877号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、希釈離型剤液を電気制御無しで貯液タンクに蓄えることができ、コストを削減することができる離型剤希釈供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る離型剤希釈供給装置は、離型剤原液2が貯留される離型剤原液タンク3と、該離型剤原液タンク3から定量計測して供給される離型剤原液2と希釈用液体とを混合するための混合タンク4と、該混合タンク4において混合された希釈離型剤液5を蓄えておくための貯液タンク6とを備える離型剤希釈供給装置1において、方向切替弁19と、一端がエア供給源に接続され、他端が該方向切替弁19に接続される第1エア管路18と、一端がエア供給源に接続され、他端が該方向切替弁19に接続される第2エア管路20と、該混合タンク4内の該希釈離型剤液5の水位により上下方向に移動する第1フロート13と、該貯液タンク6内の該希釈離型剤液5の水位により上下方向に移動する第2フロート16と、該第1エア管路18上に配設され、該第1フロート13により開閉状態を切替えられる第1弁手段14と、該第2エア管路20上に配設され、該第1フロート13により開閉状態を切替えられる第2弁手段15と、該第1エア管路18上に配設され、該第2フロート16により開閉状態を切替えられる第3弁手段17と、を有し、該第1フロート13により該第1弁手段14が開状態とされ、且つ、該第2フロート16により該第3弁手段17が開状態とされた場合に、該第1エア管路18から該方向切替弁19にエアが供給され、該方向切替弁19は該離型剤原液2と該希釈水とを該混合タンク4内において混合する為の第1の状態に切替えられ、該第1フロート13により該第1弁手段14が閉状態とされ、且つ、該第2フロート16により該第2弁手段15が開状態とされた場合に、該第2エア管路20から該方向切替弁19にエアが供給され、該方向切替弁19は該混合タンク4内の該希釈離型剤液5を該貯液タンク6内に供給する為の第2の状態に切替えられることを特徴とする。
【0007】
ここで、該希釈用液体を供給する希釈用液体供給源と該混合タンク4と該貯液タンク6とに接続される3方向弁10を有し、該方向切替弁19が第1の状態に切替えられた際に該3方向弁10が該希釈用液体供給源と該混合タンク4とを連通し、該方向切替弁19が第2の状態に切替えられた際に該3方向弁10が該混合タンク4と該貯液タンク6とを連通することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る離型剤希釈供給装置によれば、希釈離型剤液を空圧制御により貯液タンクに蓄えることができるので、コストを削減することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の離型剤希釈供給装置を示す構成図である。
【図2】本実施形態の離型剤希釈供給装置を示す構成図であり、方向切替弁が第2の状態にある状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る離型剤希釈供給装置について図面を参酌しつつ説明する。図1に示されるように、離型剤希釈供給装置1は、希釈離型剤液5をスプレー装置26(離型剤塗布装置)に供給するためのものであり、離型剤原液2が貯留される離型剤原液タンク3と、該離型剤原液タンク3から定量計測して供給される離型剤原液2と希釈水(希釈用液体)とを混合するための混合タンク4と、該混合タンク4において混合された希釈離型剤液5を蓄えておくための貯液タンク6とを備える。
【0011】
離型剤原液タンク3と混合タンク4とは第1管路8により接続されている。この第1管路8上には図示せぬ3方向弁と計量器7が設けられており、エア圧によって3方向弁が切替えられた場合には所定量の離型剤原液2が第1管路8を介して混合タンク4内に供給されるように構成されている。
【0012】
混合タンク4は、第2管路9により3方向弁10に接続されている。そして、3方向弁10は、第3管路11により図示せぬ希釈用液体供給源に接続されると共に、第4管路12により貯液タンク4に接続されている。混合タンク4には、混合タンク2内の希釈離型剤液5の水位により混合タンク4に支持されて上下方向に移動する第1フロート13が配設されている。該第1フロート13は、希釈離型剤液5に浸かることになる球状部13aと、球状部13aに一端が接続される軸部13bと、軸部13bの他端が接続される円柱状の弁操作部13cとを備えている。第1フロート13の軸部13bは混合タンク4の上面を貫通しており、弁操作部13cの下面と混合タンク4の上面との間には第1弁手段14が配設されている。第1弁手段14は後述の第1エア管路18上に配設されており、混合タンク4内の希釈離型剤液5の水位が下がって第1フロート13の弁操作部13cの下面が第1弁手段14に当接している場合には第1弁手段14はON(開状態)となり、希釈離型剤液5の水位が上昇し、弁操作部13cの下面が第1弁手段14から離間した場合には第1弁手段14はOFF(閉状態)となるように構成されている。また、混合タンク4の上方には第2弁手段15が配設されている。第2弁手段15は後述の第2エア管路20上に配設されており、混合タンク4内の希釈離型剤液5の水位が上がって第1フロート13の弁操作部13cの上面が第2弁手段15に当接した場合には第2弁手段15はON(開状態)となり、希釈離型剤液5の水位が下がって、弁操作部13cの上面が第2弁手段15から離間した場合には第2弁手段15はOFF(閉状態)となるように構成されている。
【0013】
混合タンク4より下方の位置には貯液タンク6が設置されている。貯液タンク6には、貯液タンク2内の希釈離型剤液5の水位により貯液タンク6に支持されて上下方向に移動する第2フロート16が配設されている。該第2フロート16は、希釈離型剤液5に浸かることになる球状部16aと、球状部16aに一端が接続される軸部16bと、軸部16bの他端が接続される円柱状の弁操作部16cとを備えている。第2フロート16の軸部16bは貯液タンク6の上面を貫通しており、操作部16cの下面と貯液タンク6の上面との間には第3弁手段17が配設されている。第3弁手段17は後述の第1エア管路18上に配設されており、貯液タンク6内の希釈離型剤液5の水位が下がって第2フロート16の弁操作部16cの下面が第3弁手段17に当接している場合には第3弁手段17はON(開状態)となり、希釈離型剤液5の水位が上昇し、弁操作部16cの下面が第3弁手段17から離間した場合には第3弁手段17はOFF(閉状態)となるように構成されている。
【0014】
貯液タンク6には図示せぬ撹拌手段が設けられており、貯液タンク6内の希釈離型剤液5を撹拌手段により常に撹拌することができるように構成されている。
【0015】
図示せぬエア供給源に一端が接続される第1エア管路18が設けられている。該第1エア管路18上には上述したとおり第1弁手段14及び第3弁手段17が配設されており、第1エア管路18の他端は方向切替弁19に接続されている。また、図示せぬエア供給源に一端が接続される第2エア管路20が設けられている。第2エア管路20上には上述したとおり第2弁手段15が配設されており、第2エア管路20の他端は方向切替弁19に接続されている。そして、第1エア管路18から方向切替弁19にエアが供給された場合にはエア圧により方向切替弁19は図1に示す第1の状態に切替り、第2エア管路20から方向切替弁19にエアが供給された場合にはエア圧により方向切替弁19が図2に示す第2の状態に切替るように構成されている。
【0016】
方向切替弁19には第3エア管路21及び第4エア管路22の一端が接続されており、第3エア管路21及び第4エア管路22の他端は上述した3方向弁10に接続されている。方向切替弁19が図1の状態の場合には、図示せぬエア供給源に接続された第5エア管路28が第3エア管路21と連通し、且つ、第4エア管路22が大気と連通する。第3エア管路21にエアが供給されると、3方向弁10は第2管路9と第3管路11を連通するように切替えられる。また、第3エア管路21にエアが供給される際には、上述した第1管路8上の図示せぬ3方向弁が切替えられ、計量器7により所定量の離型剤原液2が第1管路8を介して混合タンク4内に供給されるように構成されている。
【0017】
方向切替弁18が図2に示す第2の状態となった場合には、第5エア管路28が第4エア管路22と連通し、且つ、第3エア管路21が大気と連通する。第4エア管路22にエアが供給されると、3方向弁10は第2管路9と第4管路12を連通するように切替えられる。
【0018】
貯液タンク6には離型剤送給管23の一端が接続されている。離型剤送給管23の他端は圧送ポンプ24と電磁弁25を介してスプレー装置26(離型剤塗布装置)に接続されている。スプレー装置26には、希釈離型剤液5が送給される送給管23の他に、エアを供給するためのエア送給管27が接続されており、希釈離型剤液5をエアと混合してミスト化し図示せぬダイカスト金型に塗布する。
【0019】
次に、本実施形態の離型剤希釈供給装置1の作用について説明する。スプレー装置26により希釈離型剤液5が使用され、貯液タンク6内の希釈離型剤液5の水位が下がると、第2フロート16の弁操作部16cの下面が第3弁手段17に当接し、第3弁手段17がON(開状態)となる。この際、混合タンク4の第1フロート13の弁操作部13cの下面が第1弁手段14に当接することにより、第1弁手段14も既にON(開状態)となっている。
【0020】
第1エア管路18上の第3弁手段17がON(開状態)となると図示せぬエア供給源からのエアのエア圧により方向切替弁19は図2に示す第2の状態から図1に示す第1の状態に切替えられる。
【0021】
方向切替弁19が図1に示す第1の状態となると、図示せぬエア供給源に接続された第5エア管路28が第3エア管路21と連通し、第4エア管路22は大気と連通する。3方向弁10は希釈用液体供給源と混合タンク4を連通するように切替えられ、第2管路9を介して希釈水が混合タンク4内に供給される。また、方向切替弁19が図1に示す第1の状態となると、第1管路8上の図示せぬ3方向弁がエア圧により切替えられ、計量器7により所定量の離型剤原液2が第1管路8を介して混合タンク4内に供給される。離型剤原液2と希釈水は混合タンク4内において混合され、希釈離型剤液5になる。
【0022】
混合タンク4内の希釈離型剤液5の水位が上昇すると、第1フロート13の弁操作部13cの下面が第1弁手段14から離間し、第1弁手段14はOFF(閉状態)となる。
【0023】
混合タンク4内の希釈離型剤液5の水位が更に上昇すると、第1フロート13の弁操作部13cの上面が第2弁手段15に当接し、第2弁手段15がON(開状態)となる。第2弁手段15がON(開状態)となると、第2エア管路20から方向切替弁19にエアが供給され、方向切替弁19は図1示す第1の状態から図2に示す第2の状態に切替えられる。
【0024】
方向切替弁19が図2に示す第2の状態となると、第5エア管路28が第4エア管路22と連通し、第3エア管路21は大気と連通する。3方向弁10は混合タンク4と貯液タンク6を連通するように切替えられ、希釈水の混合タンク4内への供給は停止される。そして、混合タンク4内の希釈離型剤液5は落下し、第4管路12を介して貯液タンク6内に供給される。
【0025】
混合タンク4内の希釈離型剤液5の水位が下がると、第1フロート13の弁操作部13cの上面が第2弁手段15から離間し、第2弁手段15がOFF(閉状態)となる。
【0026】
貯液タンク6内の希釈離型剤液5の水位が上がると、第2フロート16の弁操作部16cの下面が第3弁手段17から離間し、第3弁手段17はOFF(閉状態)となる。
【0027】
混合タンク4内の希釈離型剤液5の水位が更に下がると、第1フロートの弁操作部13cの下面が第1弁手段14に当接し、第1弁手段14はON(開状態)となる。
【0028】
そして、スプレー装置26により希釈離型剤液5が使用されて貯液タンク6内の希釈離型剤液5が減少した場合には上述の工程が繰り返して行われる。この様に、本実施形態の離型剤希釈供給装置1は、離型剤原液2と希釈水を混合し、希釈離型剤液5を貯液タンク6内に蓄える工程を電気制御ではなく空圧制御で行うことから、コストを削減することができる。
【0029】
本発明による離型剤希釈供給装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 離型剤希釈供給装置
2 離型剤原液
3 離型剤原液タンク
4 混合タンク
5 希釈離型剤液
6 貯液タンク
7 計量器
8 第1管路
9 第2管路
10 3方向弁
11 第3管路
12 第4管路
13 第1フロート
13a 球状部
13b 軸部
13c 弁操作部
14 第1弁手段
15 第2弁手段
16 第2フロート
16a 球状部
16b 軸部
16c 弁操作部
17 第3弁手段
18 第1エア管路
19 方向切替弁
20 第2エア管路
21 第3エア管路
22 第4エア管路
23 離型剤送給管
24 圧送ポンプ
25 電磁弁
26 スプレー装置
27 エア送給管
28 第5エア管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型剤原液が貯留される離型剤原液タンクと、該離型剤原液タンクから定量計測して供給される離型剤原液と希釈用液体とを混合するための混合タンクと、該混合タンクにおいて混合された希釈離型剤液を蓄えておくための貯液タンクとを備える離型剤希釈供給装置において、
方向切替弁と、
一端がエア供給源に接続され、他端が該方向切替弁に接続される第1エア管路と、
一端がエア供給源に接続され、他端が該方向切替弁に接続される第2エア管路と、
該混合タンク内の該希釈離型剤液の水位により上下方向に移動する第1フロートと、
該貯液タンク内の該希釈離型剤液の水位により上下方向に移動する第2フロートと、
該第1エア管路上に配設され、該第1フロートにより開閉状態を切替えられる第1弁手段と、
該第2エア管路上に配設され、該第1フロートにより開閉状態を切替えられる第2弁手段と、
該第1エア管路上に配設され、該第2フロートにより開閉状態を切替えられる第3弁手段と、
を有し、
該第1フロートにより該第1弁手段が開状態とされ、且つ、該第2フロートにより該第3弁手段が開状態とされた場合に、該第1エア管路から該方向切替弁にエアが供給され、該方向切替弁は該離型剤原液と該希釈水とを該混合タンク内において混合する為の第1の状態に切替えられ、
該第1フロートにより該第1弁手段が閉状態とされ、且つ、該第2フロートにより該第2弁手段が開状態とされた場合に、該第2エア管路から該方向切替弁にエアが供給され、該方向切替弁は該混合タンク内の該希釈離型剤液を該貯液タンク内に供給する為の第2の状態に切替えられることを特徴とする離型剤希釈供給装置。
【請求項2】
該希釈用液体を供給する希釈用液体供給源と該混合タンクと該貯液タンクとに接続される3方向弁を有し、
該方向切替弁が第1の状態に切替えられた際に該3方向弁が該希釈用液体供給源と該混合タンクとを連通し、
該方向切替弁が第2の状態に切替えられた際に該3方向弁が該混合タンクと該貯液タンクとを連通することを特徴とする請求項1に記載の離型剤希釈供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−71141(P2013−71141A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210784(P2011−210784)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】