説明

離散検出装置

【課題】無線信号を送信する通信端末との離散を正確に検出可能な離散検出装置を提供すること。
【解決手段】無線信号を送信する通信端末との離散を検出する離散検出装置は、現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、現在位置情報に基づいて、当該離散検出装置が移動しているかを判定する移動判定部と、通信端末から送信された無線信号の受信品質を取得する受信品質取得部と、当該離散検出装置の移動に比例して無線信号の受信品質が低下していき、受信品質取得部が取得した直近の受信品質を示す値がしきい値以下になれば、通信端末に対して当該離散検出装置が離散していると判定する離散判定部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末の紛失を判断する離散検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の通信端末の紛失や置き忘れを判断及び報知する技術が特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1に開示された技術では、図6に示すように、無線通信機能を具備した第1の電子機器から送信された信号の受信品質が予め設定された受信品質レベルを下回った際に、第1若しくは第2の電子機器に具備された無線通信異常の報知を行う報知手段から無線通信異常の報知を行う。また、特許文献2に開示された技術では、図7に示すように、予め登録された送信先からの特定の着呼又はメール受信により、キー操作を無効とする置き忘れ機能が無線端末(親機)10で起動されると、無線端末10の制御部が、GPS等により位置データを取得して予め登録されている情報表示端末40のアドレスに位置報知メールで送信し、位置情報サーバ30が、当該位置報知メールを受信すると、位置データをデータベースにおいて対応付けられた住所や地図の位置情報に変換して情報表示端末40に送信し、情報表示端末40が、位置報知メールを受信して位置情報を表示すると共に、無線端末10が子機20に無線信号を出力し、子機20が受信すると振動等で報知して応答信号を出力し、無線端末10が応答信号を受信すると報知音を特定の態様で出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−16539号公報
【特許文献2】特開2003−284154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記説明した特許文献1に開示された技術では、第1の電子機器から送信された信号の受信品質が予め設定された受信品質レベルを下回った際に、無線通信異常の報知が行われる。しかし、無線通信環境は多様な状態になり得るため、受信品質に基づく前記報知を行うか否かの判断の信頼性は高いとは言えない。また、ユーザは第1の電子機器又は第2の電子機器のどちらを紛失したかを判断することができず、紛失場所も特定できない。なお、特許文献2に開示された技術では、情報表示端末40には、無線端末10の位置情報は表示されるが、ユーザは子機20からその位置を知ることができない。したがって、いずれの技術を用いても、紛失場所が自宅か外出先かを特定することができない。
【0005】
本発明の目的は、無線信号を送信する通信端末との離散を正確に検出可能な離散検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、無線信号を送信する通信端末との離散を検出する離散検出装置であって、現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、前記現在位置情報に基づいて、当該離散検出装置が移動しているかを判定する移動判定部と、前記通信端末から送信された無線信号の受信品質を取得する受信品質取得部と、当該離散検出装置の移動に比例して前記無線信号の受信品質が低下していき、前記受信品質取得部が取得した直近の受信品質を示す値がしきい値以下になれば、前記通信端末に対して当該離散検出装置が離散していると判定する離散判定部と、を備えた離散検出装置を提供する。
【0007】
上記離散検出装置は、前記現在位置情報取得部が取得した現在位置情報の履歴から当該離散検出装置が移動した軌跡を導出する軌跡導出部と、前記軌跡導出部が導出した軌跡及び前記受信品質取得部が取得した受信品質の履歴に基づいて、前記軌跡上の所定の位置に前記通信端末があると予想する端末位置予想部と、前記端末位置予想部が予想した前記通信端末の位置を前記軌跡と共にディスプレイに表示するよう処理する制御部と、を備える。
【0008】
上記離散検出装置では、前記制御部は、前記端末位置予想部が予想した前記通信端末の位置が予め登録された場所に一致する場合、前記通信端末が登録場所にあることを示す出力を行うよう処理する。
【0009】
上記離散検出装置では、前記端末位置予想部は、前記無線信号の受信品質を示す値が前記しきい値低下となる前の、前記受信品質が低下しだした前記軌跡上の位置に前記通信端末があると予想する。
【0010】
上記離散検出装置では、前記無線信号の受信品質は、受信電界強度である。
【0011】
上記離散検出装置では、当該離散検出装置は車両に搭載される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る離散検出装置によれば、無線信号を送信する通信端末との離散を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】PNDと携帯端末との関係を示す図
【図2】図1に示したPNDの内部構成を示すブロック図
【図3】歩行軌跡上の位置に対するRSSIの変化の一例を示す図
【図4】図3に示した状況における通信端末200の紛失位置を示すディスプレイ119の表示例を示す図
【図5】PND100の動作を示すフローチャート
【図6】特許文献1に開示されたシステムの概略図
【図7】特許文献2に開示されたシステムの概略図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、PNDと携帯端末との関係を示す図である。図1に示すように、ユーザが所持するPND(Portable Navigation Device)100は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信規格を利用して、携帯電話等の通信端末200と無線接続される。図2は、図1に示したPNDの内部構成を示すブロック図である。図2に示すように、PND100は、現在位置情報取得部101と、RSSI値取得部103と、離散判定部105と、位置履歴記憶部107と、地図データ記憶部109と、歩行軌跡導出部111と、RSSI値履歴記憶部113と、紛失位置特定部115と、制御部117と、ディスプレイ119と、スピーカ121とを備える。なお、PND100は車両等に搭載されても良い。
【0016】
現在位置情報取得部101は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信するアンテナ123を介して、PND100の現在位置情報を取得する。RSSI値取得部103は、通信端末200からの無線信号を受信するアンテナ125が受信した信号のRSSI(Received Signal Strength Indication)値を取得する。なお、RSSI値は、アンテナ125が受信した信号の受信電界強度を示す。
【0017】
離散判定部105は、通信端末200に対するPND100の離散を判定する。図2に示すように、離散判定部105は、移動判定部151と、RSSI値低下判定部153と、RSSI値比較部155とを有する。移動判定部151は、現在位置情報取得部101が取得した現在位置情報に基づいて、PND100が移動しているか否かを判定する。移動判定部151は、現在位置情報が示す現在位置が所定時間経過後に変化していれば、PND100が移動していると判定する。RSSI値低下判定部153は、PND100が移動していると移動判定部151が判定したとき、RSSI値取得部103が取得したRSSI値がPND100の移動に比例して低下しているか否かを判定する。RSSI値比較部155は、PND100の移動に比例してRSSI値が低下しているとRSSI値低下判定部153が判定したとき、直近のRSSI値をしきい値と比較して、当該RSSI値がしきい値以下か否かを判断する。このように、PND100が移動しており、PND100の移動に比例してRSSI値が低下していき、直近のRSSI値がしきい値以下になれば、離散判定部105は、通信端末200に対してPND100が離散していると判定する。
【0018】
位置履歴記憶部107は、アンテナ123が受信した信号に基づく、PND100の現在位置情報の履歴を記憶する。地図データ記憶部109は、地図データを記憶する。なお、地図データ記憶部109には、予め全ての地図データが格納されていても、必要に応じて通信端末200を介してダウンロードされた地図データが格納されても良い。歩行軌跡導出部111は、位置履歴記憶部107が記憶する現在位置情報の履歴と地図データ記憶部109が記憶する地図データから、PND100を所持したユーザの歩行軌跡を導出する。
【0019】
RSSI値履歴記憶部113は、アンテナ125が受信した信号のRSSI値の履歴を記憶する。紛失位置特定部115は、通信端末200に対してPND100が離散していると離散判定部105が判定したときに動作する。紛失位置特定部115は、歩行軌跡導出部111が導出した歩行軌跡とRSSI値履歴記憶部113が記憶するRSSI値の履歴に基づいて、歩行軌跡上の所定の位置に通信端末200があると予想し、当該予想地点を通信端末200の紛失位置として特定する。
【0020】
図3は、歩行軌跡上の位置に対するRSSIの変化の一例を示す図である。図3に示した例では、PND100を所持したユーザ(以下、単に「ユーザ」という)が位置☆を通過するまで、RSSI値はしきい値より大きな値で遷移する。しかし、ユーザが位置☆を通過して位置△に向けて移動中のRSSI値は低下していき、ユーザが位置△を通過したとき、RSSI値はしきい値以下となる。図3に示した例では、紛失位置特定部115は、RSSI値が低下しだした歩行軌跡上の位置☆を通信端末200の紛失位置として特定する。紛失位置特定部115によって特定された通信端末200の紛失位置を示す情報は、制御部117に送られる。
【0021】
制御部117は、紛失位置特定部115から得られた通信端末200の紛失位置を示す情報をディスプレイ119に表示するための処理、及び、通信端末200の置き忘れ又は紛失を示す音声をスピーカ121から出力するための処理を行う。図4は、図3に示した状況における通信端末200の紛失位置を示すディスプレイ119の表示例を示す図である。なお、制御部117は、紛失位置特定部115から得られた通信端末200の紛失位置が予め登録された自宅等の場所に一致するかを判断する。制御部117は、通信端末200の紛失位置が登録場所に一致した場合、通信端末200の紛失位置を示す情報として、通信端末200が登録場所にあることをディスプレイ119に表示又はスピーカ121から音声で出力するよう処理しても良い。
【0022】
図5は、PND100の動作を示すフローチャートである。図5に示すように、PND100の現在位置情報取得部101は、PND100の現在位置情報を取得し、RSSI値取得部103は、通信端末200からの無線信号のRSSI値を取得する(ステップS101)。次に、離散判定部105の移動判定部151は、PND100が移動しているか否かを判定し(ステップS103)、移動していればステップS105に進み、移動していなければステップS101に戻る。ステップS105では、離散判定部105のRSSI値低下判定部153は、RSSI値がPND100の移動に比例して低下しているか否かを判定し、低下していればステップS107に進み、低下していなければステップS101に戻る。
【0023】
ステップS107では、離散判定部105のRSSI値比較部155は、RSSI値がしきい値以下(RSSI値≦しきい値)か否かを判断し、RSSI値≦しきい値であればステップS109に進み、RSSI値>しきい値であればステップS101に戻る。ステップS109では、紛失位置特定部115は、通信端末200の紛失位置を特定する。次に、制御部117は、通信端末200の紛失位置が登録場所と一致するか否かを判断し、登録場所と一致しなければステップS113に進み、一致すればステップS115に進む。ステップS113では、制御部117は、通信端末200の紛失位置を示す情報をディスプレイに表示し、かつ、スピーカ121から音声出力する。一方、ステップS115では、制御部117は、通信端末200が登録場所にあることをディスプレイ119に表示し、かつ、スピーカ121から音声出力する。
【0024】
以上説明したように、本実施形態によれば、PND100を所持して外出中のユーザが通信端末200を経由地に置き忘れたときや、通信端末200を自宅に置いたまま自宅を出発したとき、通信端末200を置き忘れたことをPND100が警告する。このとき、PND100は、ユーザの移動に比例して通信端末200からの無線信号のRSSI値が低下している状況において、RSSIがしきい値以下となったときに、通信端末200の置き忘れ又は紛失と判断する。このため、PND100は、単にRSSI値としきい値とを比較する場合と比較して、より正確に通信端末200の置き忘れ又は紛失を判断することができる。
【0025】
また、歩行軌跡とRSSI値の履歴に基づいて、通信端末200を置き忘れた場所又は紛失位置まで特定できるため、ユーザは容易に通信端末200を取りに戻ることができる。さらに、通信端末200を置き忘れた場所又は紛失位置が自宅等の登録場所であるか否かに応じてディスプレイ119での表示内容やスピーカ121からの音声出力の内容が異なるため、登録場所に置き忘れた場合、ユーザは通信端末200をどこに置き忘れたかを容易に知ることができる。
【0026】
なお、本実施形態では、RSSI値を用いているが、RSSI値の代わりに、通信速度、通信品質及び電界強度のいずれか又はこれらの組み合わせを用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る離散検出装置は、通信端末の紛失を判断して警告するポータブルナビゲーション装置(PND)等として有用である。
【符号の説明】
【0028】
100 PND
101 現在位置情報取得部
103 RSSI値取得部
105 離散判定部
107 位置履歴記憶部
109 地図データ記憶部
111 歩行軌跡導出部
113 RSSI値履歴記憶部
115 紛失位置特定部
117 制御部
119 ディスプレイ
121 スピーカ
151 移動判定部
153 RSSI値低下判定部
155 RSSI値比較部
200 通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を送信する通信端末との離散を検出する離散検出装置であって、
現在位置情報を取得する現在位置情報取得部と、
前記現在位置情報に基づいて、当該離散検出装置が移動しているかを判定する移動判定部と、
前記通信端末から送信された無線信号の受信品質を取得する受信品質取得部と、
当該離散検出装置の移動に比例して前記無線信号の受信品質が低下していき、前記受信品質取得部が取得した直近の受信品質を示す値がしきい値以下になれば、前記通信端末に対して当該離散検出装置が離散していると判定する離散判定部と、
を備えたことを特徴とする離散検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の離散検出装置であって、
前記現在位置情報取得部が取得した現在位置情報の履歴から当該離散検出装置が移動した軌跡を導出する軌跡導出部と、
前記軌跡導出部が導出した軌跡及び前記受信品質取得部が取得した受信品質の履歴に基づいて、前記軌跡上の所定の位置に前記通信端末があると予想する端末位置予想部と、
前記端末位置予想部が予想した前記通信端末の位置を前記軌跡と共にディスプレイに表示するよう処理する制御部と、
を備えたことを特徴とする離散検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の離散検出装置であって、
前記制御部は、前記端末位置予想部が予想した前記通信端末の位置が予め登録された場所に一致する場合、前記通信端末が登録場所にあることを示す出力を行うよう処理することを特徴とする離散検出装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の離散検出装置であって、
前記端末位置予想部は、前記無線信号の受信品質を示す値が前記しきい値低下となる前の、前記受信品質が低下しだした前記軌跡上の位置に前記通信端末があると予想することを特徴とする離散検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の離散検出装置であって、
前記無線信号の受信品質は、受信電界強度であることを特徴とする離散検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の離散検出装置であって、
当該離散検出装置は車両に搭載されることを特徴とする離散検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−98651(P2013−98651A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237777(P2011−237777)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】