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難水溶性物質の溶解方法およびその利用
説明

難水溶性物質の溶解方法およびその利用

【課題】ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1,000以下である難水溶性物質の水への溶解性が向上した組成物を容易に製造すること。
【解決手段】酵素処理ヘスペリジンおよび酵素処理ステビアからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素処理物(A)と、
非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)と、
ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1,000以下である難水溶性物質(C)とを含んでなることを特徴とする溶解性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難水溶性物質の溶解方法およびその利用に関し、より詳しくは、溶解性組成物およびこれらの利用ならびに難水溶性物質の可溶化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの有用な薬理効果を持った新薬が開発されているが、それらの多くの新薬は吸収性が低いという難点を有する。このような薬剤の薬効を十分発現させるために、吸収性の低い薬剤を過剰に投与することは、副作用、コストの面から望ましくない。また、一定の吸収性を有する薬剤であっても、さらに吸収性を向上させて投与量を低減することができれば、より副作用を抑制し、コストを軽減できる可能性があるため好都合である。
【0003】
例えば、フルルビプロフェンは、NSAIDと呼ばれる非ステロイド系の薬剤であって、解熱鎮痛作用を有するが、胃潰瘍などの副作用も有する。このような薬剤の吸収性を向上させ、少ない投与量で十分な薬効を示すような薬剤組成物が求められていた。
【0004】
本願出願人は、特許文献1において、フルルビプロフェン等の難水溶性薬剤と酵素処理ヘスペリジンなどの水溶性化合物とを含んでなる高吸収性薬剤組成物によれば、難水溶性薬剤の溶解性および吸収性が向上する旨開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−51938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の高吸収性薬剤組成物において、水溶性化合物と難水溶性薬剤とを単に物理混合して得られる組成物は、難水溶性薬剤の溶解性および吸収性の改善が十分ではない場合があり、難水溶性薬剤の溶解性および吸収性の高い組成物を得るには、噴霧乾燥法を用いて組成物を製造する必要があった。
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1,000以下である難水溶性物質(特に難水溶性薬物および/または難水溶性食品成分)の水への溶解性が向上した組成物を容易に製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る溶解性組成物は、酵素処理ヘスペリジンおよび酵素処理ステビアからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素処理物(A)と、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)と、ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1,000以下である難水溶性物質(C)とを含んでなることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る溶解性組成物は、前記難水溶性物質(C)1重量部に対して、前記酵素処理物(A)を0.1〜1000重量部の量で、前記界面活性剤(B)を0.001〜100重量部の量で含んでなることが好ましい。
【0009】
前記酵素処理物(A)は、酵素処理前の物質に、グルコースがα−1,4結合することによって得られる物質であることが好ましい。
【0010】
本発明の難水溶性物質(C)の可溶化方法は、酵素処理ヘスペリジンおよび酵素処理ステビアからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素処理物(A)と、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)と、ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1,000以下である難水溶性物質(C)とを混合する、難水溶性物質(C)の可溶化方法であって、
前記難水溶性物質(C)1重量部に対し、前記酵素処理物(A)を0.1〜1000重量部の量で、前記界面活性剤(B)を0.001〜100重量部の量で混合することを特徴とする。
【0011】
前記難水溶性物質(C)は、常温での水への溶解度が500μg/ml以下であることが好ましい。
また、前記難水溶性物質(C)は、フルルビプロフェン、プランルカスト、インドメタシン、メフェナム酸、トルブタミド、グリベンクラミド、フェニトイン、プロブコール、フェニルブタゾン、フロセミド、リスペリドン、カルバマゼピン、ケトプロフェン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、アムホテリシン、パクリタキセルおよびベタメゾンからなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性薬剤、および/または、ケイ皮酸誘導体およびフラバン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性食品成分であることが好ましい。
【0012】
前記溶解性組成物は、食品、化粧品、医療品および飼料からなる群より選ばれる少なくとも1種の用途に利用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の溶解性組成物は、水への溶解性に優れ、簡便な方法で製造することができる。このような溶解性組成物によれば、酵素処理物および界面活性剤の使用量が微量であっても、難水溶性物質の水への溶解性を向上させることができる。
さらに、本発明の溶解性組成物は、難水溶性物質の有する呈味を改善することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、Untreated FP[FP(フルルビプロフェン)単独]、PMof FP/SDS(1.0)[FPとSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)(1.0mg/ml)とを物理混合(PM)した組成物]、PM of FP/Hsp−G[FPとHsp−G(酵素処理ヘスペリジン)とを物理混合した組成物]、PM of FP/Stevia−G[FPとStevia−G(酵素処理ステビア)とを物理混合した組成物]、PM of FP/SDS(1.0)/Hsp−G[FPとSDS(1.0mg/ml)とHsp−Gとを物理混合した組成物]、および、PM of FP/SDS(1.0)/Stevia−G[FPとSDS(1.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]を常温25℃の水に溶解させた時の水中のFPの濃度と時間との関係を示す図である。
【図2】図2は、Untreated FP[FP単独]、PM of FP/SDS(1.0)[FPとSDS(1.0mg/ml)とを物理混合した組成物]、PM of FP/Stevia−G[FPとStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of FP/SDS(0.05)/Stevia−G[FPとSDS(0.05mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of FP/SDS(0.2)/Stevia−G[FPとSDS(0.2mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of FP/SDS(0.5)/Stevia−G[FPとSDS(0.5mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of FP/SDS(1.0)/Stevia−G[FPとSDS(1.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、および、PM of FP/SDS(1.5)/Stevia−G[FPとSDS(1.5mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]を常温25℃の水に溶解させた時の水中のFPの濃度と時間との関係を示す図である。
【図3】図3は、Untreated FP[FP単独]、PM of FP/TCA(6.0)[FPとTCA(タウロコール酸ナトリウム)(6.0mg/ml)とを物理混合した組成物]、PM of FP/Stevia−G[FPとStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of FP/TCA(2.0)/Stevia−G[FPとTCA(2.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of FP/TCA(4.0)/Stevia−G[FPとTCA(4.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、および、PM of FP/TCA(6.0)/Stevia−G[FPとTCA(6.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]を常温25℃の水に溶解させた時の水中のFPの濃度と時間との関係を示す図である。
【図4】図4は、Untreated FP[FP単独]、PM of FP/DTAB(4.0)[FPとDTAB(ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド)(4.0mg/ml)とを物理混合した組成物]、PM of FP/Stevia−G[FPとStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of FP/DTAB(1.0)/Stevia−G[FPとDTAB(1.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of FP/DTAB(2.0)/Stevia−G[FPとDTAB(2.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、および、PM of FP/DTAB(4.0)/Stevia−G[FPとDTAB(4.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]を常温25℃の水に溶解させた時の水中のFPの濃度と時間との関係を示す図である。
【図5】図5は、Untreated FP[FP単独]、PM of FP/Tween(0.005%)[FPとTween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)(0.005%)とを物理混合した組成物]、PM of FP/Stevia−G[FPとStevia−Gとを物理混合した組成物]、および、PM of FP/Tween(0.005%)/Stevia−G[FPとTween 80(0.005%)とStevia−Gとを物理混合した組成物]を常温25℃の水に溶解させた時の水中のFPの濃度と時間との関係を示す図である。
【図6】図6は、Untreated FP[FP単独]、PM of FP/OMP(4.0)[FPとOMP(オクチルマルトピラノシド)(4.0mg/ml)とを物理混合した組成物]、PM of FP/Stevia−G[FPとStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of FP/OMP(1.0)/Stevia−G[FPとOMP(1.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、および、PM of FP/OMP(4.0)/Stevia−G[FPとOMP(4.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]を常温25℃の水に溶解させた時の水中のFPの濃度と時間との関係を示す図である。
【図7】図7は、Untreated PLH[PLH(プランルカスト)単独]、PM of PLH/SDS(1.0)[PLHとSDS(1.0mg/ml)とを物理混合した組成物]、PM of PLH/Stevia−G[PLHとStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of PLH/SDS(0.2)/Stevia−G[PLHとSDS(0.2mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of PLH/SDS(0.5)/Stevia−G[PLHとSDS(0.5mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]、および、PM of PLH/SDS(1.0)/Stevia−G[PLHとSDS(1.0mg/ml)とStevia−Gとを物理混合した組成物]を常温25℃の水に溶解させた時の水中のPLHの濃度と時間との関係を示す図である。
【図8】図8は、Untreated PLH、[PLH単独]、PM of PLH/Stevia−G[PLHとStevia−Gとを物理混合した組成物]、PM of PLH/SDS(2)/Stevia−G[PLH(40mg)とSDS(2mg)とStevia−G(80mg)とを物理混合した組成物]、PM of PLH/SDS(4)/Stevia−G[PLH(40mg)とSDS(4mg)とStevia−G(80mg)とを物理混合した組成物]、および、PM of PLH/SDS(6)/Stevia−G[PLH(40mg)とSDS(6mg)とStevia−G(80mg)とを物理混合した組成物]をラットに経口投与した場合のPLHの血漿中濃度と時間との関係を示す図である。
【図9】図9は、PM of FP/Rutin−G[FPとRutin−G(酵素処理ルチン)とを物理混合した組成物]、および、PM of FP/SDS/Rutin−G[FPとSDSとRutin−Gとを物理混合した組成物]を常温25℃の水に溶解させた時の水中のFPの濃度と時間との関係を示す図である。
【図10】図10は、ピレン単独の吸収スペクトルである。
【図11】図11は、ピレン1mgとSDS1mgとの混合物の吸収スペクトルである。
【図12】図12は、酵素処理ステビアとピレンとの混合物(○)、酵素処理ステビアとSDS(0.2mg/ml)とピレンとの混合物(◆)、酵素処理ステビアとSDS(0.5mg/ml)とピレンとの混合物(●)、酵素処理ステビアとSDS(1.0mg/ml)とピレンとの混合物(▲)における酵素処理ステビアの濃度を変化させた時の吸収スペクトルから得られるピレンの373nmのピーク強度(I1)と384nmのピーク強度(I3)との比(I1/I3)を示す図である。
【図13】図13は、SDS濃度と凝集数を示したものである。
【図14】図14は、酵素処理ステビアとピレンとの混合物(□)、酵素処理ステビアとタウロコール酸Na(4mg/ml)とピレンとの混合物(▲)における酵素処理ステビアの濃度を変化させた時の吸収スペクトルから得られるピレンの373nmのピーク強度(I1)と384nmのピーク強度(I3)との比(I1/I3)を示す図である。
【図15】図15は、SDSの濃度を変化させた時の、酵素処理ステビア添加無し(a)と、酵素処理ステビア添加有り(b)の細胞生存率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0016】
〔溶解性組成物〕
本発明に係る溶解性組成物は、酵素処理ヘスペリジンおよび酵素処理ステビアからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素処理物(A)と、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)と、ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1,000以下である難水溶性物質(C)とを含んでなる。
【0017】
本発明の溶解性組成物は、水への溶解性に優れ、簡便な方法で製造することができる。このため、本発明の溶解性組成物によれば、例えば、近年、創薬技術の発達に伴い増大している難水溶性薬物に対して、その溶解性を高め、消化管等からの効率的な吸収を図ることができる。この結果、薬物の投与量を低減でき、それに伴い薬物の副作用を低減でき、また、経口投与可能な薬物の種類を拡大できるなどの利点がある。
【0018】
本発明の溶解性組成物は、常温で中性の水に対し、難水溶性物質の水への溶解性より高い溶解性を有する。なお、常温とは、5〜37℃程度の範囲の温度のことをいい、中性とは、pHが7±1(pH=6〜8)の範囲にあることをいう。
【0019】
本発明における溶解性組成物には、本質的に油相は存在する必要は無く、難水溶性物質は、常温で中性に水に対し乳化ではなく、溶解する。
本発明の溶解性組成物は、用途に応じて油脂などの油性物質を含んでもよいが、該油性物質は、本質的には、難水溶性物質(C)の水への溶解性に影響を及ぼさない。
【0020】
本発明の溶解性組成物が難水溶性物質の溶解性を向上させるメカニズムについて、蛍光物質であり、難水溶性物質であるピレンを用いて考察した。
ここで、ピレンの373nmのピーク強度(I1)と384nmのピーク強度(I3)の比(I1/I3)の低下は、ピレンがより疎水的な環境に存在することを示す。
【0021】
図10と図11から明らかなように、ピレンとSDSとを混合すると、ピレンの373nmのピーク強度(I1)と384nmのピーク強度(I3)の比(I1/I3)は小さくなる。
つまり、このため、SDSの添加により、ピレンがより疎水的な環境下に移行すると考えられる。
【0022】
また、図13は、SDS濃度と凝集数を示したものであり、酵素処理ステビア単独では15個の分子が凝集するのに対して、SDSを添加すると最大で30分子の凝集が認められた。
【0023】
以上のことおよび図12〜14の結果を考慮すると、酵素処理物と界面活性剤とが共存することで、難水溶性物質の可溶化構造(ミセル構造)が形成されやすくなり、難水溶性物質を酵素処理物の疎水基が挟むか封じ込めてミセル構造を形成する時に、界面活性剤はこのミセルの疎水基部分に入り込むことによって、難水溶性物質を取込みやすくするか、またはミセルを形成しやすくしている可能性が考えられる。
【0024】
また、特に、酵素処理ヘスペリジンや酵素処理ステビアは、特定の構造(特に疎水基と親水基の構造)を有するため、ベンゼン環や複素環を有する難水溶性物質の溶解性を向上させることができると考えられる。
【0025】
<酵素処理物(A)>
本発明で使用される酵素処理物(A)は、酵素処理ヘスペリジンおよび酵素処理ステビアからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素処理物である。
これらの酵素処理物(A)は、常温で中性の水に対する溶解度が高いため、難水溶性物質(C)の水に対する溶解性向上効果、難水溶性物質(C)が薬物である場合に消化管等からの吸収性の向上効果、安全性、入手の容易性等に優れる。さらにこれらの酵素処理物は、酵素処理ルチンなどの他の酵素処理物に比べ、界面活性剤との併用により、酵素処理物(A)または界面活性剤(B)単独の有する溶解性向上効果の相加効果さらには相乗効果を有する。
【0026】
前記酵素処理物(A)は、酵素処理前のヘスペリジンやステビオール配糖体等の物質にグルコースがα−1,4結合することによって得られる物質であることが難水溶性物質(C)の有する呈味を改善することも可能である点から好ましい。
前記酵素処理物(A)は、常温で中性の水に対し、100g/水100g以上の溶解度を有する物質であることが水への溶解性に優れ、生体吸収性に優れる溶解性組成物が得られるなどの点から好ましい。
【0027】
・酵素処理ヘスペリジン(α−グルコシルヘスペリジン)
前記酵素処理ヘスペリジン(α−グルコシルヘスペリジン)は、下記式(1)に示すように、ヘスペリジンのルチノース単位中のグルコシル基に、α−1,4結合により1個以上のグルコースが結合した化合物であることが好ましく、常温で中性の水に対し溶解度が高いことが、得られる組成物の溶解性を向上させることが期待できる、熱、光に安定なため、溶解性向上の安定化に寄与できるなどの点から望ましいが、好ましくは10g/水100g以上、より好ましくは50g/水100g以上の溶解度を有する。このうち、グルコースが1個だけ結合したもの(下記式(1)中のnが0のもの)を、モノグルコシルヘスペリジンと呼ぶ。
【0028】
【化1】

(上記式(1)中、nは、0または1以上の整数である。)
【0029】
酵素処理ヘスペリジンは、ヘスペリジン、ヘスペレチン-7−グルコシドおよび/またはヘスペレチンに糖供与体を加え、グルコース転移酵素を作用させて糖供与体から糖(グルコース)を転移させることにより得られる酵素処理ヘスペリジンであることが好ましい。
例えば、α−グルコシル糖化合物(サイクロデキストリン、澱粉部分分解物など)の共存下で、ヘスペリジンに糖転移酵素、たとえばサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase, EC 2.4.1.19)やその他同様の作用を有する酵素を反応させることにより製造される。この酵素処理により、ヘスペリジン1分子あたり、1または複数(2〜20程度)のグルコースが結合する。
【0030】
また、モノグルコシルヘスペリジンは、2以上のグルコースが結合したα−グルコシルヘスペリジンに糖加水分解酵素、たとえばグルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)やその他同様の作用を有する酵素を反応させ、ルチノース単位中のグルコシル基に直接結合したグルコースを1個だけ残し、それ以外のα−1,4結合したグルコースを切断することにより製造することもできる。
【0031】
なお、酵素処理ヘスペリジンは、通常は、結合したグルコースの個数が異なるもの、すなわちモノグルコシルヘスペリジンおよびそれ以外の酵素処理ヘスペリジンの集合体であり、また、一般的には上述のような酵素処理によって製造されるため、未反応のヘスペリジンやその他の誘導体との混合物として存在するものである。
【0032】
前記難水溶性物質(C)の水への溶解性の向上などの効果は、酵素処理ヘスペリジンがモノグルコシルヘスペリジンかそれ以外のものであるかにかかわらず発揮される。なお、α−グルコシルヘスペリジン中のモノグルコシルヘスペリジンの割合は、前述のグルコアミラーゼによる酵素処理の条件(反応時間等)など、当業者にとって公知の手法により調節することが可能である。
【0033】
前記酵素処理物(A)として、酵素処理ヘスペリジンを用いることで、毛細血管の強化作用、コレステロール値低下作用、中性脂肪低下作用、抗アレルギー作用、温浴効果、骨密度改善作用等を有する溶解性組成物を得ることができると考えられる。
【0034】
本発明で用いることができる酵素処理ヘスペリジンとしては、「αGヘスペリジンH」、「αGヘスペリジンPA」(東洋精糖(株)製造・販売)等が挙げられる。
【0035】
・酵素処理ステビア
前記酵素処理ステビアは、ステビオサイド、レバウディオサイドA、レバウディオサイドB、レバウディオサイドC、レバウディオサイドD、レバウディオサイドF,ズルコサイドA、ルブソサイドおよびステビオールビオサイドからなる群より選ばれる1種または2種以上のステビオール配糖体に糖供与体を加え、グルコース転移酵素を作用させて糖供与体からステビオール配糖体に糖(グルコース)を転移させることにより得られる化合物であることが好ましく、例えば、ステビオール配糖体にα−グルコシルトランスフェラーゼ等を用いてグルコースを付加することで得られる。
【0036】
このような酵素処理ステビアは、常温で中性の水に対し、例えば、2000g/水1L以上の溶解度を有する。この酵素処理ステビアは、その乾燥物中に、α−グルコシルステビオール配糖体および未反応のステビオール配糖体をこれらの総量として80.0%(重量%)以上含み、α−グルコシルステビオ−ル配糖体を65.0%以上含む。なお、通常酵素処理ステビアには未反応のステビアが含まれるため、酵素処理ステビアとは、ステビオール配糖体とステビオール配糖体にグルコースが付加した物質の混合物である。
【0037】
前記酵素処理物のうちでも、酵素処理ステビアは、酵素処理ヘスペリジンよりも、イオン性界面活性剤(特にアニオン性界面活性剤)と組合せた場合に、フルルビプロフェンの溶解性を向上させる効果が高い。
【0038】
この酵素処理ステビアとしては、酵素処理ステビア単独または、酵素処理ステビアと共に希釈剤、賦形剤等を用いてなる希釈品である液体、粉末、顆粒品等を使用できる。
【0039】
酵素処理ステビアは、甘味のキレを有し、清涼感のある高甘味度甘味料である。このため、前記酵素処理物として、酵素処理ステビアを用いることで、深みのある甘味を有し、さらに、塩や酸の相性が良く、かどのない食品等を得ることができると考えられる。
【0040】
本発明で用いることができる酵素処理ステビアとしては、市販品を用いてもよく、例えば、「αGスイートPX」、「αGスイートP」、「αGスイートPA」、「αGスイートH」(東洋精糖(株)製)等が挙げられる。
【0041】
これらの酵素処理物(A)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
<界面活性剤(B)>
本発明で使用される界面活性剤(B)は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることが難水溶性物質の水への溶解性をより向上させることができるため好ましい。
【0043】
この界面活性剤(B)は、酵素処理物(A)(例:酵素処理ステビア)の難水溶性物質(C)を可溶化させる構造を作り易くする働きがあると考えられ、このような界面活性剤としては、一分子中に疎水部と親水部を有する物質であればよく、用いる酵素処理物および難水溶性物質の種類、所望の目的、例えば、ヒトやヒト以外の動物が得られる溶解性組成物を医薬・健康補助食品・飲食物等として(経口)摂取する場合には、そのように摂取しても安全である等、その用途、機能等に応じて適宜選択すればよい。
【0044】
図15は、SDSの濃度を変化させた時の、酵素処理ステビア添加無し(a)と、酵素処理ステビア添加有り(b)の細胞生存率を示す図である。SDSのように、細胞毒性のある界面活性剤を用いても、本発明の溶解性組成物には、酵素処理ステビア等の酵素処理物(A)が含まれているため、界面活性剤(B)の細胞毒性が著しく低減される。このため、本発明によれば、所望の用途に応じて、種々の界面活性剤を使用することができる。
【0045】
界面活性剤(B)としては、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤が、酵素処理ステビアを含む難水溶性物質(特にフルルビプロフェン)の溶解性を著しく向上させる点から好ましい。
なお、その理由は、酵素処理ステビアは、水中で、非イオン性界面活性剤とよりも、イオン性界面活性剤(例:ドデシル硫酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウムおよびドデシルトリメチルアンモニウムブロミド)と可溶化構造(混合ミセル)をより形成し易いため、フルルビプロフェンの溶解性を向上させる効果に優れる傾向があるものと推察される。
【0046】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸グリセリルヤシ油脂肪酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ステアリン酸メチルグルコシド、ステアリン酸エチルグルコシド、ステアリン酸プロピルグルコシド、オレイン酸メチルグルコシド等の脂肪酸アルキルグルコシド;硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル;POE(ポリオキシエチレンの略。以下同様。)ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレート、POE−ソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類;POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;POE・POPのブロック重合等のプルロニック型類;POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類;テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体;POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;POEプロピレングリコール脂肪酸エステル;POEアルキルアミン;POE脂肪酸アミド;ショ糖モノステアレート、ショ糖ジステアレート、ショ糖トリステアレート等のショ糖脂肪酸エステル;オクチルマルトピラノシド(OMP);POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸;ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびオクチルマルトピラノシドが、入手容易性、難水溶性物質(特にフルルビプロフェン)の溶解性を向上させる効果が大きくなる、人体に対する安全性が高いなどの点から好ましい。
【0047】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸セッケン;ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩;タウロコール酸ナトリウム(TCA)、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム等の胆汁酸塩;ステアロイル乳酸ナトリウム、イソステアロイル乳酸ナトリウム等のアシル乳酸塩;アルキルPOEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸;N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩;ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;ロート油等の硫酸化油;POEアルキルエーテルカルボン酸;POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム;スルホン酸変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
これらの中でも、ドデシル硫酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムが、入手容易性、難水溶性物質(特にフルルビプロフェンやプランルカスト)の溶解性を向上させる効果が大きくなるなどの点から好ましい。
【0048】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等のジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム)、塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩;アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POEアルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
これらの中でも、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドが、入手容易性、難水溶性物質(特にフルルビプロフェン)の溶解性を向上させる効果が大きくなるなどの点から好ましい。
【0049】
なお、本発明では、必要に応じて、さらに、両性界面活性剤や両親媒性物質等を用いてもよい。
【0050】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルグリシン塩;カルボキシメチルグリシン塩;N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩;アルキルポリアミノポリカルボキシグリシン塩;アルキルアミノプロピオン酸塩;アルキルイミノジプロピオン酸塩;N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルピロピオン酸塩;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン;脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン;アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン;N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホン酸塩;N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩;N−脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩が挙げられる。
【0051】
両親媒性物質とは、1分子中に非極性基と極性基を有する物質を指し、一般の非イオン界面活性剤、イオン性界面活性剤とは区別して分類される。両親媒性物質としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等の高級脂肪酸;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール;モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等の高級脂肪族アルコール;モノグリセリド、グリセロールモノアルキルエーテル、モノアルキルアミン、ステロール骨格を有する化合物およびその誘導体(コレステロール、フィトステロール、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)等);ジアシルエステル型グリセロリン脂質(ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン等)とこれらの水素添加物および水酸化物;モノアシルエステル型グリセロリン脂質(リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトール等)とこれらの水素添加物;プラスマロゲン;スフィンゴミエリン;糖脂質(ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド、スルファチド、ガングリオシド等)およびこれに類似した合成糖脂質;サポニンが挙げられる。
【0052】
これらの界面活性剤(B)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0053】
<難水溶性物質(C)>
前記難水溶性物質(C)は、ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1,000以下であれば特に制限されず、所望の用途、目的に応じて適宜選択される。
なお、本発明で用いられる難水溶性物質(C)は、常温での水への溶解度が通常500μg/ml以下である物質のことをいう。本発明で用いられる難水溶性物質(C)は、常温での水への溶解度が0.01〜500μg/mlの範囲であっても、その水への溶解性を向上させることができる。
【0054】
難水溶性物質は、溶解性の向上の点などを考慮すると、平均分子量(数平均分子量)が1,000以下、好ましくは500以下が好ましい。
【0055】
このような難水溶性物質(C)としては、例えば、フルルビプロフェン(FP)、プランルカスト(PLH)、インドメタシン、メフェナム酸、トルブタミド、グリベンクラミド、フェニトイン、プロブコール、フェニルブタゾン、フロセミド、リスペリドン、カルバマゼピン、ケトプロフェン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、アムホテリシン、パクリタキセルおよびベタメゾンからなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性薬剤、および/または、ケイ皮酸誘導体およびフラバン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性食品成分等が挙げられる。
【0056】
前記ケイ皮酸誘導体としては、p−クマル酸、アルテピリンC、クルクミン、ドゥルパニンおよびバッカリン等が挙げられ、前記フラバン誘導体としては、ナリンゲニンおよびフラボン等が挙げられる。
【0057】
フルルビプロフェン(FP)は、鎮痛・消炎、慢性関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、歯髄炎、歯根膜炎等に対し効能を有する薬剤であり、副作用として胃潰瘍など消化性潰瘍を引き起こすことがある。
プランルカスト(PLH)は、アレルギー性疾患の治療薬、呼吸器系に作用する薬物(気管支喘息治療)であり、副作用として発疹、かゆみ等を引き起こすことがある。
インドメタシンは、抗炎症薬、オータコイドおよびその拮抗薬・抗アレルギー薬(アラキドン酸代謝物に対する)であり、
メフェナム酸は、抗炎症薬であり、
トルブタミドおよびグリベンクラミドは、内分泌・代謝系に作用する薬物(膵臓ホルモンと糖尿病治療薬)であり、
フェニトインは中枢神経系に作用する薬物(抗てんかん)であり、
プロブコール、フェノフィブラートおよびベザフィブラートは、内分泌・代謝系に作用する薬物(高脂血症治療)であり、
フェニルブタゾンは、抗炎症薬であり、馬などに対しても使用され、
フロセミドは、心臓血管系に作用する薬物(心不全、高血圧症治療)、泌尿器系に作用する薬物(利尿薬)であり、
リスペリドンは、中枢神経系に作用する薬物(向精神)、オータコイドおよびその拮抗薬・抗アレルギー薬(セロトニン関連薬)であり、
カルバマゼピンは、中枢神経系に作用する薬物(向精神、抗てんかん)であり、
ケトプロフェンは抗炎症薬であり、
アムホテリシンは病原性物に作用する薬物(抗真菌)であり、
パクリタキセルは、抗悪性腫瘍薬(抗生物質・天然物由来物質)であり、
ベタメゾンは、免疫系に作用する薬物(免疫抑制・増強)、皮膚用薬、内分泌・代謝系に作用する薬物(様々なホルモン)である。
【0058】
フルルビプロフェン(FP)はThe Biopharmaceutics Classification System (BCS)というアメリカで定められているシステムの中でClass IIに分類されている薬物であり、水などに溶けにくいが、吸収性は高い薬物とされている(37℃における中性の水に対する溶解度は、25μg/水mL)。
【0059】
そのため、フルルビプロフェン(FP)のさらなる吸収性を向上させるためには、常温で中性の水に対するFPの溶解性を高めることが好ましいと考えられ、これにより吸収性が向上すると考えられる。このように、FPの吸収性を向上させることで、投与量を少なくしても十分な薬効を発揮することができるため、FP摂取時の胃潰瘍などの副作用を軽減することができると考えられる。
【0060】
ここで、吸収性とは、薬剤または組成物を投与後、所定の時間内に体内に取り込まれた薬剤の総量のことをいう。体内に取り込まれた薬剤の総量は、薬剤血中濃度(縦軸)と時間(横軸)との関係をプロットしてなる曲線において、その曲線下の面積(AUC)に比例するため、本発明(後記実施例)では、薬剤血中濃度(縦軸)−時間(横軸)の関係を示す曲線において、該曲線下の面積(AUC)を、体内への薬剤の吸収性を表す指標として用いる。
【0061】
本発明で、前記難水溶性物質(C)として、フルルビプロフェンを用いる場合、前記酵素処理物(A)として酵素処理ステビアを用い、前記界面活性剤(B)として、イオン性界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤を用いることが、FPの溶解性向上の点で好ましい。このため、ヒト・その他の動物の体内でのFPの吸収性向上等の点でも好ましいと考えられる。
【0062】
また、PLHは37℃の中性の水に対する溶解度が0.3μg/水mLと非常に低い。よってPLHの溶解性を向上させることで、バイオアベイラビリティーを向上させることができ、投与量の減少、それに伴う副作用の軽減が期待できる。
【0063】
インドメタシン、メフェナム酸、トルブタミド、グリベンクラミド、フェニトイン、プロブコール、フェニルブタゾン、フロセミド、リスペリドン、カルバマゼピン、ケトプロフェン、フェノフィブラート、べザフィブラート、アムホテリシン、パクリタキセル、ベタメゾン、p−クマル酸、ナリンゲニン、アルテピリンC、クルクミン、フラボン、ドゥルパニンおよびバッカリンは、難水溶性物質である。常温で中性の水に対するこれら難水溶性物質の溶解性を高めることで、これら難水溶性物質の有する薬効等の作用を十分に発揮することができ、また、難水溶性物質が難水溶性薬剤であり、副作用を有する場合には、溶解性の向上に伴う吸収性の向上により、投与量が少なくても十分な薬効を発揮させることができるため、副作用の軽減が期待できる。
【0064】
これらの難水溶性薬剤は、これがもし苦味の強い薬剤である場合には、これらに前記酵素処理物(A)および界面活性剤(B)を添加することで苦みがマスキングされ、不快感を低減できると考えられる。
【0065】
また、鎮痛剤である、ピロキシカムや、高脂血症薬であるスタチン等も、前記酵素処理物および界面活性剤と混合することにより、その水への溶解性を向上させることができると考えられる。
【0066】
<溶解性組成物の組成等>
本発明において、溶解性組成物の組成は、用いられる酵素処理物(A)、界面活性剤(B)および難水溶性物質(C)の種類や所望の目的に応じて調節することができる。
【0067】
本発明の溶解性組成物における前記酵素処理物(A)の配合量は、難水溶性物質(C)1重量部に対し、好ましくは0.1〜1000重量部、より好ましくは0.1〜500重量部、さらに好ましくは1〜300重量部、特に好ましくは10〜100重量部である。
【0068】
本発明の溶解性組成物における前記界面活性剤(B)の配合量は、難水溶性物質1重量部に対し、好ましくは0.001〜100重量部、より好ましくは0.001〜70重量部、さらに好ましくは0.025〜50重量部、特に好ましくは0.01〜30重量部である。
【0069】
本発明の溶解性組成物は、酵素処理物(A)と界面活性剤(B)とを含むため、界面活性剤を前記量で用いることで、難水溶性物質の溶解性を向上させることができる。このため、人体に対する使用量が制限されている界面活性剤を使用することができ、また、その使用量が少ないため、安全性が高く、安価に難水溶性物質の溶解性を向上させることができる。
【0070】
また、酵素処理物として酵素処理ステビア(80mg/kg)を用い、界面活性剤としてSDSを用い、難水溶性物質としてPLH(40mg/kg)を用いた組成物では、溶解性と吸収性の両方に優れる組成物を得ることができる点から、SDSの配合量は、好ましくは2〜6mg/kgである。
【0071】
本発明の溶解性組成物は、酵素処理物(A)、界面活性剤(B)および難水溶性物質(C)を混合することで製造することができ、その製造方法は、特に制限されない。
本発明の溶解性組成物は、酵素処理物(A)および界面活性剤(B)を含むため、噴霧乾燥法などの特殊な装置を用いる方法を用いなくても、物理混合等の簡便な方法を用いることで、難水溶性物質の常温で中性の水に対する溶解性が向上した組成物を安価に製造することができる。
【0072】
本発明に係る溶解性組成物には、所望の目的、用途に応じて本発明の効果を損なわない範囲で適宜添加剤を加えてもよい。
このような溶解性組成物の製造は、必要に応じて加温下で行ってもよく、溶解性組成物の形状は、特に制限されず、液体状であっても固体状であってもよい。
【0073】
〔可溶化方法〕
本発明の可溶化方法は、酵素処理ヘスペリジンおよび酵素処理ステビアからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素処理物(A)と、
非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)と、
ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1,000以下である難水溶性物質(C)を、
前記難水溶性物質(C)1重量部に対し、前記酵素処理物(A)を0.1〜1000重量部、好ましくは10〜100重量部の量で、前記界面活性剤(B)を0.001〜100重量部、好ましくは0.01〜30重量部の量で混合することを特徴とする。
前記酵素処理物(A)と界面活性剤(B)と難水溶性物質(C)とを混合する方法は特に制限されない。
【0074】
本発明の可溶化方法により、難水溶性物質、特に難水溶性薬剤の水への溶解性を向上させることができる。このため、本発明の可溶化方法によれば、例えば、近年、創薬技術の発達に伴い増大している難水溶性薬物に対して、その溶解性を高め、消化管等からの効率的な吸収を図ることができる。この結果、薬物の投与量を低減でき、それに伴い薬物の副作用を低減でき、また、経口投与可能な薬剤の種類を拡大できるなどの利点がある。
【0075】
本発明の可溶化方法では、所望の目的、用途に応じて本発明の目的・効果を損なわない範囲で適宜添加剤を加えてもよい。
本発明の可溶化方法では、前記酵素処理物(A)、界面活性剤(B)、難水溶性物質(C)および必要に応じて用いられる添加剤を、例えば、物理混合することで行うことができる。この混合は、必要に応じて加温下で行ってもよい。
【0076】
〔用途〕
本発明に係る溶解性組成物は、食品、化粧品、医療品および飼料からなる群より選ばれる少なくとも1種の用途に利用することができる。
本発明の溶解性組成物は、そのまま経口摂取することもでき、また、食品、化粧品、医薬品(医薬部外品を含む。)、飼料などの原料と混合して使用することもできる。
【0077】
食品、化粧品、医薬品、飼料など中における溶解性組成物の濃度は、用途に応じて任意に調節すればよい。
【0078】
本発明の溶解性組成物は、難水溶性物質の常温で中性の水に対する溶解性に優れるため、固形状のものに限らず液状の食品、化粧品、医薬品などを製造する上でも好適である。なお、本発明の溶解性組成物を含む食品、医薬品、化粧品、飼料などは、酵素処理物が有する機能(呈味改善作用、抗酸化・紫外線吸収作用など)をあわせて有する場合がある。
【0079】
また本発明の溶解性組成物には、カテキン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンB2、ヒアルロン酸、テアニン、コラーゲン、クエン酸、ノコギリヤシ、L−カルニチン、αリポ酸、ウコン、ベータカロチン、カプサイシン、亜鉛(Zn)、シャンピニオンエキス、キトサン、キノコキトサン、コンドロイチン、レシチン、牡蠣エキス、グルコサミン、ピクノジェノール、プロアントシアニジン、コエンザイムQ10等のサプリメントや、酵素処理ステビア、ラカンカ、グリチルリチン、スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、砂糖、果糖、ブドウ糖果糖液糖、還元水飴、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳化オリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラフィノース、トレハロース、乳糖、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、パラチノース、還元パラチノース等甘味料の1つまたは2つ以上を自由に組み合わせて使用できる。
【0080】
・食品
前記食品としては、発酵食品、パン類、漬物、乾物、練り製品、粉類、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品(即席麺、ドライ・フーズ、粉末飲料等)、乳製品(加工乳、脱脂粉乳等)、魚肉加工品、畜産加工品等の加工食品;菓子類等の嗜好食品;油脂類、甘味料、調味料、香辛料等の調理・調味用材料;サプリメント等の健康食品(機能性食品);特別用途食品(病者用食品、高齢者用食品、育児用食品);特定保健用食品;ゲル化剤や膨張剤等の加工材料;保存食;非常食;宇宙食;水、清涼飲料水、アルコール飲料、茶、コーヒー等の飲料などが挙げられる。
【0081】
・医薬品
前記医薬品としては、内服薬、外用薬および注射薬等のいずれであってもよく、具体的には、錠剤、散剤(細粒剤、顆粒剤等)、カプセル剤、ドリンク剤、シロップ剤、トローチ、うがい薬、歯磨き、口中清涼剤、口臭防止剤、ドリンク剤、漢方石鹸、洗剤、シャンプー、リンス、頭髪剤、育毛剤などが挙げられる。
【0082】
・化粧品
前記化粧品としては、パウダー、乳液、リキッド、クリーム状のファンデーション、日焼け止め、スキンローション、クリーム類、口紅、芳香剤等の化粧品などが挙げられる。
【0083】
・飼料
前記飼料としては液状または固形状のものが挙げられ、具体的には、各種キャットフード、ドッグフード、観賞魚の餌、養殖魚の餌などが挙げられる。
【0084】
本発明の溶解性組成物は、前記食品、化粧品、医薬品および飼料の製造工程の初期に添加されるか、製造工程の中期または終期に添加されればよく、また添加の手法は、混和、混練、溶解、浸漬、散布、噴霧、塗布等から適切なものを製品の態様に応じて選択すればよい。
【0085】
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明の好適態様についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0086】
なお、以下において、「物理混合」とは、原料となる物質すべてを乳鉢に入れ、乳棒で該原料となる物質が略均一になるまで混合することをいう。
【0087】
[実施例1]
下記物質1〜6を37℃の蒸留水50mlの入ったビーカー中に投入し、一定時間後のビーカー中の溶液におけるフルルビプロフェン(FP)の濃度をHPLCを用いて測定した。結果を図1に示す。
【0088】
・物質1;FP(東京化成工業(株)製)10mg[Untreated FP]
・物質2;FP(10mg)とドデシル硫酸ナトリウム(SDS、ナカライテスク(株)製)50mgとを物理混合した組成物[PM of FP/SDS(1.0)]
・物質3;FP(10mg)と酵素処理ヘスペリジン(Hsp−G、東洋精糖(株)製)1000mgとを物理混合した組成物[PM of FP/Hsp−G]
・物質4;FP(10mg)と酵素処理ステビア(Stevia−G、東洋精糖(株)製)1000mgとを物理混合した組成物[PM of FP/Stevia−G]
・物質5;FP(10mg)、SDS(50mg)およびHsp−G(1000mg)を物理混合した組成物[PM of FP/SDS(1.0)/Hsp−G]
・物質6;FP(10mg)、SDS(50mg)およびStevia−G(1000mg)を物理混合した組成物[PM of FP/SDS(1.0)/Stevia−G]
【0089】
[実施例2]
下記物質1'〜8'を37℃の蒸留水40mlの入ったビーカー中に投入し、一定時間後のビーカー中の溶液におけるフルルビプロフェン(FP)の濃度をHPLCを用いて測定した。結果を図2に示す。
【0090】
・物質1';FP(80mg)[Untreated FP]
・物質2';FP(80mg)とSDS(40mg)とを物理混合した組成物[PMof FP/SDS(1.0)]
・物質3'; FP(80mg)とStevia−G(800mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/Stevia−G]
・物質4'; FP(80mg)とSDS(2mg)とStevia−G(800mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/SDS(0.05)/Stevia−G]
・物質5'; FP(80mg)とSDS(8mg)とStevia−G(800mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/SDS(0.2)/Stevia−G]
・物質6'; FP(80mg)とSDS(20mg)とStevia−G(800mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/SDS(0.5)/Stevia−G]
・物質7'; FP(80mg)とSDS(40mg)とStevia−G(800mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/SDS(1.0)/Stevia−G]
・物質8'; FP(80mg)とSDS(60mg)とStevia−G(800mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/SDS(1.5)/Stevia−G]
【0091】
[実施例3]
物質1〜6に代えて、前記物質1,4および下記物質9,9',10,10'を用いた以外は実施例1と同様にFPの濃度を測定した。結果を図3に示す。
【0092】
・物質9;FP(10mg)とタウロコール酸ナトリウム(TCA、和光純薬工業(株)製)300mgとを物理混合した組成物[PM of FP/TCA(6.0)]
・物質9';FP(10mg)とTCA(100mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/TCA(2.0)/Stevia−G]
・物質10;FP(10mg)とTCA(200mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/TCA(4.0)/Stevia−G]
・物質10';FP(10mg)とTCA(300mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/TCA(6.0)/Stevia−G]
【0093】
[実施例4]
物質1〜6に代えて、前記物質1,4および下記物質11,11',12,12'を用いた以外は実施例1と同様にFPの濃度を測定した。結果を図4に示す。
【0094】
・物質11;FP(10mg)とドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB、東京化成工業(株))200mgとを物理混合した組成物[PM of FP/DTAB(4.0)]
・物質11';FP(10mg)とDTAB(50mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/DTAB(1.0)/Stevia−G]
・物質12;FP(10mg)とDTAB(100mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/DTAB(2.0)/Stevia−G]
・物質12';FP(10mg)とDTAB(200mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/DTAB(4.0)/Stevia−G]
【0095】
[実施例5]
物質1〜6に代えて、前記物質1,4および下記物質13,14を用いた以外は実施例1と同様にFPの濃度を測定した。結果を図5に示す。
【0096】
・物質13;FP(10mg)とTween 80(東京化成工業(株)製)100mgとを物理混合した組成物[PM of FP/Tween(0.005%)]
・物質14;FP(10mg)とTween 80(100mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/Tween(0.005%)/Stevia−G]
【0097】
[実施例6]
物質1〜6に代えて、前記物質1,4および下記物質15,15',16を用いた以外は実施例1と同様にFPの濃度を測定した。結果を図6に示す。
【0098】
・物質15;FP(10mg)とオクチルマルトピラノシド(OMP、CALBIOCHEM製)200mgとを物理混合した組成物[PM of FP/OMP(4.0)]
・物質15';FP(10mg)とOMP(50mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/OMP(1.0)/Stevia−G]
・物質16;FP(10mg)とOMP(200mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/OMP(4.0)/Stevia−G]
【0099】
[実施例7]
物質1〜6に代えて、下記物質17〜22を用いた以外は実施例1と同様にプランルカスト(PLH)の濃度を測定した。結果を図7に示す。
【0100】
・物質17;PLH(和光純薬工業(株)製)10mg[Untreated PLH]
・物質18;PLH(10mg)とSDS(50mg)とを物理混合した組成物[PM of PLH/SDS(1.0)]
・物質19;PLH(10mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of PLH/Stevia−G]
・物質20;PLH(10mg)とSDS(10mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of PLH/SDS(0.2)/Stevia−G]
・物質21;PLH(10mg)とSDS(25mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of PLH/SDS(0.5)/Stevia−G]
・物質22;PLH(10mg)とSDS(50mg)とStevia−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of PLH/SDS(1.0)/Stevia−G]
【0101】
[実施例8]
<物質23',24'および23〜25の調製例>
下記物質23',24'および23〜25を調製した。
・物質23';PLH(40mg)[Untreated PLH]
・物質24';PLH(40mg)Stevia−G(80mg)とを物理混合した組成物[PM of PLH/Stevia−G]
・物質23;PLH(40mg)とSDS(2mg)とStevia−G(80mg)とを物理混合した組成物[PM of PLH/SDS(2)/Stevia−G]
・物質24;PLH(40mg)とSDS(4mg)とStevia−G(80mg)とを物理混合した組成物[PM of PLH/SDS(4)/Stevia−G]
・物質25;PLH(40mg)とSDS(6mg)とStevia−G(80mg)とを物理混合した組成物[PM of PLH/SDS(6)/Stevia−G]
【0102】
<調製した物質の投与>
試験動物として、9週齢の雄のclean wistar rat(物質23',24'および23〜25それぞれについて5匹ずつ)を用いた。食餌は、適当量、食餌器に入れて自由摂取させた。但し、試験開始24時間前からは絶食させた。
前記調製した物質23',24'および23〜25を、PLHの濃度が8mg/mlとなるように0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液(和光純薬工業(株)製)に懸濁させた。
これらの懸濁液を40mg/kgとなるように、経口ゾンデ(フチガミ器械)を用いて各clean wistar ratの胃内に投与した。
投与後、一定時間(30分、1,2,4,8時間)ごとに各clean wistar ratの頚静脈から血液を500μL採取し、遠心分離(10,000rpm,5min)により血漿を得た。
【0103】
<血中PLH濃度の定量>
得られた血漿200μLにメタノールを800μL加え、1分間ボルテックスミキサーにより混合し、遠心分離(10,000rpm、10min)を行った。その後、上清800μLを採取し、減圧乾燥を半日行った。この乾燥物にエタノール150μLを加え、HPLC(JASCO PU−980、日本分光(株)製)のUV検出器(JASCO PU−970、日本分光(株)製)を用いて血中薬物濃度の測定を行った。
HPLCの定量条件は、吸光波長260nm、流速1.0min、カラム温度50C°、カラム5C18-MS−II(4.6mmφ×150mm)である。
【0104】
<結果>
上記のようにして測定したPLHの血中薬物濃度に基づき、その経時変化を調べた。
結果を図8に示す。また、図8の時間0〜8(hr)における曲線下の面積(AUC0-8)の値を表1に示す。
なお、図8の血中薬物濃度の値は、物質23',24'および23〜25をそれぞれを投与した5匹のclean wistar ratの平均値であり、AUCは、薬物血中濃度−時間曲線の曲線より下(曲線と横軸(時間軸)とで挟まれた部分)の面積である。
【0105】
【表1】

【0106】
[参考例1]
物質1〜6に代えて、下記物質26および27を用いた以外は実施例1と同様にFPの濃度を測定した。結果を図9に示す。
【0107】
・物質26;FP(10mg)と酵素処理ルチン(Rutin−G、東洋精糖製)(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/Rutin−G]
・物質27;FP(10mg)とSDS(50mg)とRutin−G(1000mg)とを物理混合した組成物[PM of FP/SDS/Rutin−G]
【0108】
[実施例9]
物質1〜6に代えて、下記物質1A〜6Wを用いた以外は実施例1と同様に溶液中の下記難水溶性物質A〜Wの濃度を測定した。
【0109】
・物質1A〜1W;難水溶性物質A〜Wそれぞれ10mg
・物質2A〜2W;難水溶性物質A〜Wそれぞれ10mgとSDS50mgとを物理混合した組成物
・物質3A〜3W;難水溶性物質A〜Wそれぞれ10mgとHsp−G1000mgとを物理混合した組成物
・物質4A〜4W;難水溶性物質A〜Wそれぞれ10mgとStevia−G1000mgとを物理混合した組成物
・物質5A〜5W;難水溶性物質A〜Wそれぞれ10mg、SDS50mgおよびHsp−G1000mgを物理混合した組成物
・物質6A〜6W;難水溶性物質A〜Wそれぞれ10mg、SDS50mgおよびStevia−G1000mgを物理混合した組成物
【0110】
A;インドメタシン(和光純薬工業(株)製)
B;メフェナム酸(和光純薬工業(株)製)
C;トルブタミド(ナカライテスク(株)製)
D;グリベンクラミド(和光純薬工業(株)製)
E;フェニトイン(和光純薬工業(株)製)
F;プロブコール(和光純薬工業(株)製)
G;フェニルブタゾン(東京化成工業(株)製)
H;フロセミド(Sigma-Aldrich Japan製)
I;リスペリドン(和光純薬工業(株)製)
J;カルバマゼピン(和光純薬工業(株)製)
K;ケトプロフェン(和光純薬工業(株)製)
L;フェノフィブラート(和光純薬工業(株)製)
M;ベザフィブラート(和光純薬工業(株)製)
N;アムホテリシン(和光純薬工業(株)製)
O;パクリタキセル(和光純薬工業(株)製)
P;ベタメゾン(和光純薬工業(株)製)
Q;p−クマル酸(東京化成工業(株)製)
R;ナリンゲニン(東京化成工業(株)製)
S;アルテピリンC(和光純薬工業(株)製)
T;クルクミン(東京化成工業(株)製)
U;フラボン(東京化成工業(株)製)
V;ドゥルパニン
W;バッカリン
【0111】
物質5A〜5Wは、それぞれ物質1A〜1W、物質2A〜2Wおよび物質3A〜3Wに比べ、溶液中の難水溶性物質A〜Wの濃度が高かった。また、物質6A〜6Wは、それぞれ物質1A〜1W,物質2A〜2Wおよび物質4A〜4Wに比べ、溶液中の難水溶性物質A〜Wの濃度が高かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素処理ヘスペリジンおよび酵素処理ステビアからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素処理物(A)と、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)と、ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1,000以下である難水溶性物質(C)とを含んでなることを特徴とする溶解性組成物。
【請求項2】
前記難水溶性物質(C)1重量部に対して、前記酵素処理物(A)を0.1〜1000重量部の量で、前記界面活性剤(B)を0.001〜100重量部の量で含んでなる、請求項1に記載の溶解性組成物。
【請求項3】
前記酵素処理物(A)が、酵素処理前の物質に、グルコースがα−1,4結合することによって得られる物質である、請求項1または2に記載の溶解性組成物。
【請求項4】
前記難水溶性物質(C)が、常温での水への溶解度が500μg/ml以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶解性組成物。
【請求項5】
前記難水溶性物質(C)が、フルルビプロフェン、プランルカスト、インドメタシン、メフェナム酸、トルブタミド、グリベンクラミド、フェニトイン、プロブコール、フェニルブタゾン、フロセミド、リスペリドン、カルバマゼピン、ケトプロフェン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、アムホテリシン、パクリタキセルおよびベタメゾンからなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性薬剤、および/または、ケイ皮酸誘導体およびフラバン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性食品成分である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶解性組成物。
【請求項6】
酵素処理ヘスペリジンおよび酵素処理ステビアからなる群より選ばれる少なくとも1種の酵素処理物(A)と、
非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(B)と、ベンゼン環または複素環を有し、分子量が1,000以下である難水溶性物質(C)とを混合する、難水溶性物質(C)の可溶化方法であって、前記難水溶性物質(C)1重量部に対し、前記酵素処理物(A)を0.1〜1000重量部の量で、前記界面活性剤(B)を0.001〜100重量部の量で混合することを特徴とする難水溶性物質(C)の可溶化方法。
【請求項7】
前記酵素処理物(A)が、酵素処理前の物質に、グルコースがα−1,4結合することによって得られる物質である、請求項6に記載の可溶化方法。
【請求項8】
前記難水溶性物質(C)が、常温での水への溶解度が500μg/ml以下である、請求項6または7に記載の可溶化方法。
【請求項9】
前記難水溶性物質(C)が、フルルビプロフェン、プランルカスト、インドメタシン、メフェナム酸、トルブタミド、グリベンクラミド、フェニトイン、プロブコール、フェニルブタゾン、フロセミド、リスペリドン、カルバマゼピン、ケトプロフェン、フェノフィブラート、ベザフィブラート、アムホテリシン、パクリタキセルおよびベタメゾンからなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性薬剤、および/または、ケイ皮酸誘導体およびフラバン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の難水溶性食品成分である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の可溶化方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶解性組成物の、食品、化粧品、医療品および飼料からなる群より選ばれる少なくとも1種の用途への利用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−240949(P2012−240949A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111480(P2011−111480)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(591061068)東洋精糖株式会社 (17)
【Fターム(参考)】