説明

難燃フェノール樹脂発泡体積層板とその製造方法

【課題】面材を用いたフェノール樹脂発泡体積層板において、外観を含め実用特性を損なうことなく、有機溶剤を用いることもなく、生産性良く、良好な難燃性を付与する。
【解決手段】面材の少なくとも一方に、水溶性のリン系難燃剤を単位面積当たり1〜40g/m2存在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築用断熱材、車両用断熱材、機器用断熱材等として使用される、フェノール樹脂発泡体の表面に面材が貼り合わされてなる難燃フェノール樹脂発泡体積層板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱材として用いられるフェノール樹脂発泡体積層板は、比較的脆い素材であるフェノール樹脂発泡体を傷付や外力による破損から保護するために、フェノール樹脂発泡体の片面或いは両面に面材を貼り合わせてなる。このような積層板は、走行する面材上にフェノール樹脂を含む未硬化の発泡性樹脂組成物を連続的に吐出し、その上をもう一枚の面材で被覆して連続積層体とし、次いでこの連続積層体を所定の温度に設定されたダブルコンベアで挟持通過せしめて、発泡性樹脂組成物を発泡硬化させることで製造することができる。
【0003】
上記製造工程における面材の役割は、未硬化の発泡性樹脂組成物の支持体(下面材)及び被覆体(上面材)となり、連続的にダブルコンベアに移送せしめるものであり、これによって連続生産が可能になっているのである。
【0004】
特許文献1には、合成繊維不織布を面材として用いることにより、フェノール樹脂の外表面への滲み出しを防止し、積層板の変色斑が少なく、面材の接着強度に優れたフェノール樹脂発泡体積層板が開示されている。
【0005】
特許文献2には、フェノール樹脂発泡体の表面に低温吸熱物質を付着させることにより、難燃性を高める方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3523196号公報
【特許文献2】特開2006−160858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたフェノール樹脂発泡体積層板において、芯材であるフェノール樹脂発泡体自体は、炭化し易くまた熱による溶融も見られず難燃性に優れている。しかしながら、面材である合成繊維不織布は、合成樹脂からなる素材であるため、フェノール樹脂に比べ燃えやすいものである。そのため、合成繊維不織布を面材として貼り合わせたフェノール樹脂発泡体積層板では、組み合わせて用いる面材によって積層体の表面は、フェノール樹脂発泡体自体に比べると難燃性が低下するという問題があった。
【0008】
特許文献2に記載された方法では、発泡体に直接低温吸熱物質を付着させており、面材の難燃性向上にはつながらない。また、難燃性を高める効果がまだ不十分であり、特に、少量の付着では難燃性を高める効果は非常に小さい。また、付着物の密着性が不十分である為、粉落ちが見られたり、例えば、建築用断熱材用途では気密性テープの接着性が低下したり、ざらつきが見られる等の問題があった。更に、難燃性を高める為付着量を増やすと外観が劣ると共に、接着性の低下等も更に顕著となる。
【0009】
本発明は、面材を用いたフェノール樹脂発泡体積層板において、外観を含め実用特性を損なうことなく、有機溶剤を用いることもなく、生産性良く、良好な難燃性を付与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水溶性であるリン系難燃剤を用いる事により、外観を含め実用特性を損なうことなく、生産性良く、良好な難燃性をフェノール樹脂発泡体積層板に付与することが出来ることを見い出し本発明をなすに至った。
【0011】
即ち、本発明は以下の通りである。
【0012】
本発明の第1は、フェノール樹脂発泡体を2枚の面材間に挟持してなるフェノール樹脂発泡体積層板であって、少なくとも一方の面材の表面及び面材中に、水溶性のリン系難燃剤が該面材の単位面積当たり1〜40g/m2存在することを特徴とする。
【0013】
本発明の難燃フェノール樹脂発泡体積層板においては、
上記リン系難燃剤がリン酸カルバメート誘導体、リン酸グアジニン誘導体のいずれか一種又は二種以上からなる混合物であること、
上記リン系難燃剤が存在する面材の表面及び面材中に、さらに、水に難溶性の有機高分子化合物が該リン系難燃剤100重量部に対して2〜250重量部存在することこと、
上記難燃フェノール樹脂発泡体積層板の密度が10〜150kg/m3であり、発泡体の独立気泡率が60%以上、熱伝導率が0.036W/(m・K)以下であり、該発泡体が可燃性発泡剤を含有すること、
を好ましい態様として含む。
【0014】
本発明の第2は、上記本発明の難燃フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法であって、
水溶性のリン系難燃剤を溶解させてなる塗工液を、2枚の面材の少なくとも1枚に塗布して加熱乾燥し、一方の面材上に、少なくともフェノール樹脂、発泡剤、硬化触媒からなる発泡性樹脂組成物を吐出し、該発泡性樹脂組成物の上面を他方の面材で被覆した後、該発泡性樹脂組成物を発泡硬化させることを特徴とする。
【0015】
本発明の第3は、上記本発明の難燃フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法であって、
面材上に、少なくともフェノール樹脂、発泡剤、硬化触媒からなる発泡性樹脂組成物を吐出し、該発泡性樹脂組成物の上面を新たな面材で被覆して、該発泡性樹脂組成物を発泡硬化させた後、
水溶性のリン系難燃剤を溶解させてなる塗工液を、上記2枚の面材の少なくとも一方に塗布して加熱乾燥することを特徴とする。
【0016】
本発明の難燃フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法においては、
上記塗工液が、リン系難燃剤を溶解させた水溶液と、加熱乾燥後に水に難溶性となる有機高分子化合物が溶解又は微分散された水溶液とを混合してなること、
さらには、上記加熱乾燥後に水に難溶性の有機高分子化合物が微分散又は溶解された水溶液が、アクリル系ラテックス又はポリビニルアルコールの水溶液、もしくはこれらの混合液であること、
を好ましい態様として含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外観を含め実用特性を損なうことなく、フェノール樹脂発泡体積層板の面材の難燃性が改善されることから、積層板全体の難燃性が向上する。よって、本発明による難燃フェノール樹脂発泡体積層板は、建築用断熱材、車両用断熱材、機器用断熱材等として好ましく使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本願発明について具体的に説明する。
【0019】
本発明の難燃フェノール樹脂発泡体積層板は、フェノール樹脂発泡体を2枚の面材に挟持してなり、係る面材の少なくとも一方の表面及び面材内に難燃剤が付着している。
【0020】
本発明の難燃フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法は、従来のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法と基本的には同じであり、フェノール樹脂に発泡剤、硬化触媒を添加して混合し、発泡性樹脂組成物として、走行する面材上に連続的に吐出し、さらに上面を面材で被覆した後、発泡硬化を完了させてフェノール樹脂発泡体を製造するラミネート法を用いる。この場合、面材と発泡体の接着はフェノール樹脂自体の接着力によって行われ、接着剤を用いる必要はない。
【0021】
本発明においては、係る製造方法において、予め面材に難燃剤を溶解させた塗工液を塗布しておく(前塗布法)か、積層板を形成した後に難燃剤を溶解させた塗工液を面材に塗布する(後塗布法)ことにより、面材に難燃性を付与する。尚、本発明において塗工液を塗布する面材は、発泡体を挟持する2枚の面材の両方であっても、一方だけでも良い。
【0022】
本発明において用いられる面材は、不織布、織布、紙などの通気性面材であり、好ましくは紙、不織布であり、更に好ましくは不織布であり、特に好ましくは合成繊維不織布である。合成繊維不織布の中でも、繊維径が1μm以上20μm以下、目付量(単位面積当たりの重量)が5〜80g/m2のものが好ましく用いられる。耐滲出性(発泡性樹脂組成物の浸み出しに対する耐性)と接着性の点から、合成繊維不織布の繊維径は20μm以下であることが好ましく、また、繊維径が1μmより細くなると不織布製造上の工程が極端に複雑なものとなり好ましくない。
【0023】
また、合成繊維不織布の目付量が5g/m2より小さくなると耐滲出性が劣ったものとなって好ましくなく、80g/m2を超えると、不織布として高価なものとなり、やはり経済性の面から好ましくなく、より好ましくは、15〜80g/m2である。
【0024】
尚、合成繊維不織布の繊維径は、走査電子顕微鏡を利用し、面材の500倍拡大写真を撮影し、焦点深度の浅い方から、即ち、写真の表面側から、繊維10本当たりの平均径を求めることにより評価する。走査型電子顕微鏡の測定条件は、日立製作所電子顕微鏡S−800型を用い、加速電圧20キロボルト、試料の前処理は、金スパッタリングを3分間、15mAの電流条件で行う。
【0025】
本発明に用いられる合成繊維不織布としては、特に限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミドなどの素材が好ましく、物性面からポリエステル製或いはポリプロピレン製の不織布が好適に用いられる。
【0026】
本発明における樹脂原料であるフェノール樹脂は、公知の方法によりフェノールとホルムアルデヒドを原料として、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を触媒としてそれぞれ用いて40〜100℃の温度範囲で加熱して重合させて得られる。本発明で使用するレゾール型フェノール樹脂のフェノール類対アルデヒド類の出発モル比は、1:1〜1:4が好ましく、より好ましくは1:1.5〜1:2.0の範囲内である。このレゾール型フェノール樹脂には尿素、アミン類、アミド類、エポキシ化合物、単糖類、でんぷん類、ポバール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ラクトン類等の各種改質剤を添加して使用しても良い。レゾール型フェノール樹脂は、水分量を調整することにより、適正な粘度にして使用される。
【0027】
発泡剤としては、常圧における沸点が−30〜100℃の範囲にある発泡剤、例えば、水、及びプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素及びシクロペンタン、ジクロルヘキサン等の環状脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、ジクロロジフルオロメタン、1,2−ジクロロテトラフルオロエタン、モノクロロトリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素類またはこれらの混合物等が挙げられる。また、気体状の発泡剤としては、例えば二酸化炭素、空気、窒素などのガスが挙げられる。
【0028】
特に、非ハロゲン系である脂肪族炭化水素や環式脂肪族炭化水素、エーテル等の可燃性発泡剤を必須成分とし、不燃性ガスを併用する場合にも、非ハロゲン系の炭酸ガス、窒素、空気、ヘリウム、アルゴン等を混合した場合は、環境への影響が少なく、又、断熱性能をよくすることが出来る為好ましい。これら発泡剤は単体で用いても良く、2種以上の発泡剤を混合して用いても良い。
【0029】
硬化触媒としては無機酸、有機酸等の酸性化合物が用いられるが、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の芳香族スルホン酸類が好適に用いられる。硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、o−メチロールフェノール、p−メチロールフェノール等を添加することもできる。さらに、硬化触媒、硬化助剤をジエチレングリコール等の溶媒に希釈して用いることもできる。
【0030】
本発明に用いられる発泡性樹脂組成物の配合例としては、原料フェノール樹脂100重量部に対して、前述の硬化触媒を3〜40重量部、好ましくは5〜30重量部加えることが望ましい。触媒量が3重量部に満たない場合は発泡体の硬化が不十分となり、独立気泡率、機械的強度が劣ったものとなるので好ましくなく、また触媒量が40重量部を超えて添加されると、やはり発泡体の物性が劣ったものとなり、好ましくない。
【0031】
上記発泡性樹脂組成物には、整泡のため、一般にフェノール樹脂発泡体の製造に使用される界面活性剤が使用されるが、中でもノニオン系の界面活性剤が効果的である。例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体、アルキレンオキサイドとノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの縮合物等が挙げられる。これら界面活性剤は、単独或いは複数のものを混合して使用される。その使用量についても、特に制限はないが、フェノール樹脂100重量部(水分量を除く樹脂分)に対して0.5〜10重量部の範囲で添加して使用される。界面活性剤の添加量が0.5重量部に満たないと界面活性剤の効果が十分でなく、独立気泡率が低く、機械的な強度が劣ったりする問題があり、また10重量部を超えて添加されても、界面活性剤の効果は、それ程向上することはなく、経済的に不利であったり、また発泡体が軟化し、機械的強度が不充分となったりするので好ましくない。好ましくは1〜5重量部である。
【0032】
本発明の難燃フェノール樹脂発泡体積層板の密度は、小さすぎると圧縮強度等の機械的強度が小さくなり、取り扱い時に破損しやすくなり、大きすぎると断熱性能が低下する傾向がある。このため、発泡体の密度は、10〜150kg/m3が好ましく、15〜100kg/m3がより好ましい。
【0033】
また、本発明の難燃フェノール樹脂発泡体積層板の発泡体の独立気泡率は、小さ過ぎると該発泡体に含まれる可燃性発泡剤が燃焼時に表面から放散され易く難燃性が悪くなりやすいと共に、断熱性能の経時低下が起き易くなる傾向がある。このため、発泡体の独立気泡率は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上100%以下が特に好ましい。
【0034】
また、発泡体の熱伝導率は、高すぎると燃焼時に熱が該発泡体積層板の内部まで伝わる速度が速く内部に含まれる可燃性発泡剤が燃焼時に表面から放散され易く難燃性が悪くなりやすい為、好ましくは0.036W/(m・K)以下、さらに好ましくは0.028W/(m・K)以下、望ましくは0.022W/(m・K)以下である。
【0035】
本発明において、面材に塗布される難燃剤を溶解させた塗工液は、水溶性のリン系難燃剤を溶解させてなる。
【0036】
本発明に用いられる水溶性のリン系難燃剤は、塗工液の安定性や均一塗工性から20℃において水に30重量%以上溶解するリン系難燃剤であり、例えば、フェニルホスホン酸、リン酸グアニジン誘導体、リン酸カルバメート誘導体、リン酸アンモニウム等が挙げられ、これら化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。特に、リン酸グアニジン誘導体及びリン酸カルバメート誘導体は高湿度下でも、フェノール樹脂発泡体積層板表面の水分吸着が少なく、また難燃効果も高く特に好ましい。よって、本発明においてはリン酸グアニジン誘導体及びリン酸カルバメート誘導体のいずれか一種、或いは二種以上の混合物を用いることが好ましい。
【0037】
本発明において、リン系難燃剤が、フェノール樹脂発泡体積層板の面材の表面及び面材中に存在する量は、少なすぎると難燃効果が不十分であり、多すぎると外観を含め実用特性を損なう為、面材の単位面積当たり1〜40g/m2が好ましく、より好ましくは2〜30g/m2、更に好ましくは3〜20g/m2である。
【0038】
また、その他難燃剤として、例えば、スルファミン酸系難燃剤、ホウ酸系難燃剤、ハロゲン系難燃剤や金属水酸化物、金属酸化物の様な金属化合物等を併用しても良い。
【0039】
本発明に用いられる、加熱乾燥後に水に難溶性の有機高分子化合物とは、60℃以上の水に溶解や微分散可能で、加熱乾燥後は50℃以下の水に難溶性になる有機高分子化合物、或いは、加熱乾燥前及び乾燥後のいずれにおいても水に難溶性の有機高分子化合物である。
【0040】
本発明においては、係る有機高分子化合物が溶解または微分散してなる塗工液を面材に塗布した後、加熱乾燥させて該有機高分子化合物を面材に付着させるため、面材の表面及び面材内に付着した有機高分子化合物は水に難溶性である。
【0041】
具体的に、かかる有機高分子化合物が水に溶解或いは微分散した水溶液としては、各種ラテックスやポリビニルアルコールの水溶液などが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。ラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックス、アクリル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、塩化ビニリデンラテックスが挙げられる。また、ラテックス及びケン化度が85mol%以上のポリビニルアルコールの水溶液は、高湿度下でもフェノール樹脂発泡体積層板表面が湿潤状態になり難いことから好ましく、中でもケン化度が95mol%以上のポリビニルアルコールの水溶液は、高湿度下でもフェノール樹脂発泡体積層板表面が乾燥状態を保ち易く且つ塗工設備が塗工液で汚れた時には熱水で容易に洗浄できる為、特に好ましい。
【0042】
本発明において、加熱乾燥後に水に難溶性の有機高分子化合物を、本発明に係るリン系難燃剤と併用することにより、面材の表面に有機高分子からなる被膜が形成され、リン系難燃剤が該被膜に部分的に包み込まれるか、或いは、被膜の表層部に偏在することで、高湿度下でも、フェノール樹脂発泡体積層板表面の水分吸着をより少なくすることができる。しかしながら、有機高分子化合物が少なすぎると十分な被膜が形成できず、水分吸着の抑制効果が見られず、又、多すぎると有機高分子化合物自体が可燃物であるため難燃性が低下し易く、また、難燃剤の影響により有機高分子化合物がゲル化し塗工液の粘度上昇や不安定化が発生しやすくなることもある為、乾燥後に水に難溶性となる有機高分子化合物を併用する場合は、難燃剤100重量部に対して2〜250重量部が好ましく、5〜175重量部がより好ましく、10〜100重量部が特に好ましい。
【0043】
本発明においては、前記リン系難燃剤を溶解させた塗工液を調製し、該塗工液を面材に塗布し、加熱乾燥させる。より好ましくは、前記リン系難燃剤を溶解した水溶液に、上記した、加熱乾燥後に水に難溶性となる有機高分子化合物を微分散又は溶解した水溶液を混合してなる塗工液を面材に塗布し、加熱乾燥させる。
【0044】
本発明において、リン系難燃剤を含む塗工液には、前記の成分の他に、必要に応じて種々の添加剤、例えば、防腐剤、増粘剤、分散剤、浸透剤、着色剤、タレ防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、増量剤、モノ、ジ、トリペンタエリスリトールなどの多価アルコール、界面活性剤等を難燃性や外観等を損なわない範囲で添加してもよい。
【0045】
面材に上記塗工液を塗布する方法は、通常一般的に用いられている方法で塗布することができる。例えば、はけ塗布、ローラーブラシ塗布、スプレー塗布、ロール塗布、含浸塗布、カーテンフロー塗布等の通常一般的に用いられている方法である。塗工液の粘度、各成分の濃度や塗布量、塗工速度により適正な塗布方式を選択して塗布し、その後、加熱乾燥工程で水分を蒸発させ、リン系難燃剤等を面材に付着させる。
【0046】
面材に塗布する塗工液に含まれる各成分の種類、濃度を変えると共に塗布量を変えることにより、面材に塗布される各成分、成分比、塗布量を変え、目的とする難燃剤等成分、成分比、付着量の面材を製造することができる。工業的製造では、塗工液を面材に自動塗工機で塗布し、連続して乾燥設備で乾燥し、目的量のリン系難燃剤等を面材の表面及び面材中に付着させる方法が好ましい。
【0047】
尚、本発明においては、積層板の両面ともに、リン系難燃剤が表面及び面材中に存在する面材を用いる事が好ましいが、後加工で片面に鋼板を接着したり、片面にセメント層をつけるなど片面のみに高い難燃性が求められる場合には、係る面に本発明に係るリン系難燃剤を含まない面材を用いてもかまわない。このように、一方の面材にのみリン系難燃剤を付着させた積層板を前塗布法で製造する場合、発泡性樹脂組成物を吐出する面材と、該組成物を被覆する面材のどちらに塗工液を塗布してもかまわない。
【実施例】
【0048】
次に、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
【0049】
実施例及び比較例中のフェノール樹脂発泡体積層板の性質は以下のようにして測定し、評価した。
【0050】
(1)難燃フェノール樹脂発泡体積層板の密度(JIS K 7222準拠法)
フェノール樹脂発泡体積層板から、面材の付いた状態で20cm角の大きさに全厚み方向に切り出した物について質量及び体積を測定し、質量と体積よりフェノール樹脂発泡体積層板の密度を算出した。
【0051】
(2)独立気泡率(ASTM−D−2856準拠法)
難燃フェノール樹脂発泡体積層板を縦、横両方向に3分割し、分割した各領域の位置中央から20mm×20mm×厚み25mmの大きさにサンプルを切り出し、発泡部を傷つけないように面材を剥がし、エアーピクノメーター(東京サイエンス社、商品名「MODEL1000」)を使用して連続気泡部を除いた独立気泡部分の体積を測定して次式により独立気泡率を求め、5点の独立気泡率の平均値を発泡体の独立気泡率とした。尚、厚みが25mm未満の場合は原寸厚みのままとし、面材を剥がして測定した。
【0052】
独立気泡率(%)={独立気泡部体積(cm3)/フェノール樹脂発泡体の見かけの体積(cm3)}×100
【0053】
(3)フェノール樹脂発泡体の熱伝導率(JIS A 1412−2準拠法)
難燃フェノール樹脂発泡体積層板を大きさ300mm×300mmで、厚みが20〜25mmで均一な厚みに切断し、発泡部を傷つけないように面材を剥がし、試験体1枚・対称構成方式の測定装置(英弘精機社、商品名「HC−074・304」)を用い、33℃に温調された加熱板と13℃に温調された冷却熱板の間に挟み、試験体温度差20℃、試験体平均温度23℃で測定した。尚、厚みが20mm未満の場合は複数枚重ねて20〜25mmで均一な厚みとなるようにして測定した。
【0054】
(4)難燃性(JIS K 6911−1955準拠法)
JIS K 6911の耐燃性5.24.1A法に準拠し、試験片は、試料の表層より面材を含め10±0.5mm厚みに切り出し、端(自由端)から15mm、20mm及び25mmの個所に標線を付し、面材を有する面を下側面とし試験を行った。試験片は、5片とし、結果が一致しない時は、最も良い結果と最も悪い結果を除き、3片の結果にて評価する。尚、3片の結果も一致しない時は、3片の中で最も燃焼した結果をもって評価結果とした。
【0055】
評価は、下記の基準により行った。
◎:炎を取り去り、1秒以内に消火し、且つ、燃焼距離が15mm以下
○:炎を取り去り、1秒以内に消火し、且つ、燃焼距離が15mmを超え20mm以下
△:炎を取り去り、1秒以内に消火し、且つ、燃焼距離が20mmを超え25mm以下
×:燃焼距離が25mmを超えるか、炎を取り去った後も1秒を超え燃焼を継続
【0056】
(5)外観
難燃剤を分散させた塗工液を塗布した面材を用いる事により、表面にざらつき感や粉落ち等の商品価値を低下させる現象が発生するかを評価した。
【0057】
塗工液を塗布していない面材を用いたフェノール樹脂発泡体積層板と塗布した面材を用いた難燃フェノール樹脂発泡体積層板を比較し、下記の判断基準で評価した、尚、比較例については、塗工液を塗布していない面材を用いたフェノール樹脂発泡体積層板の面材に比較例の塗工液を塗布したものについて評価した。
【0058】
◎:外観、手触り共に難燃剤塗工品と難燃剤無塗工品に差が見られない。
○:難燃剤塗工品と難燃剤無塗工品を並べて比較すると僅かに表面のざらつき感に差が見られるが、別々に見ると差がわからない程度である。
△:難燃剤塗工品は、難燃剤無塗工品に比べ手触りに若干ざらつき感があるか、又は、若干の粉落ちが見られる。
×:外観、手触り共に難燃剤塗工品と難燃剤無塗工品に明らかな差が見られ、難燃剤塗工品は、明らかなざらつき感を有するか、又は、粉落ちが見られる。
【0059】
以下の実施例及び比較例で用いたフェノール樹脂、ポリビニルアルコール水溶液は以下のようにして準備した。
【0060】
<フェノール樹脂の合成>
反応器に37重量%ホルムアルデヒド(和光純薬社、試薬特級)5,000gと99%フェノール(和光純薬社、試薬特級)3,000gを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで、50重量%水酸化ナトリウム水溶液を60g加え、反応液を40℃から85℃に上昇させ、110分間保持した。その後、反応液を5℃まで冷却した。これをフェノール樹脂Aとした。
【0061】
一方、別の反応器に37重量%ホルムアルデヒド1,080gと水1,000gと50重量%水酸化ナトリウム水溶液78gを加え、尿素(和光純薬社、試薬特級)1,600gを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで、反応液を40℃から70℃に上昇させ60分間保持した。これをメチロール尿素Uとした。次に、8,060gのフェノール樹脂Aにメチロール尿素Uを1,350g混合して液温度を60℃に上昇させ1時間保持した。次いで反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50重量%水溶液でpHを6に中和した。この反応液を、60℃で脱水処理して粘度及び水分量を測定したところ、40℃における粘度は5,700mPa・s、水分量は5重量%であった。これをフェノール樹脂A−U−1とした。
【0062】
次に、60℃での脱水処理時間を変えた以外は、フェノール樹脂A−U−1と同様にし、フェノール樹脂A−U−2を得た。フェノール樹脂A−U−2の40℃における粘度は1,000mPa・s、水分量は9重量%であった。
【0063】
<ポリビニルアルコール水溶液の調製>
ポリビニルアルコール水溶液−1:完全ケン化型ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社、商品名「JF−17」、ケン化度98〜99mol%)100重量部に対して、精製水1900重量部を加え、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、23℃で30分保持した後、1℃/分の昇温速度で95℃まで昇温し、95℃に60分保持し、ポリビニルアルコールを溶解した。その後、室温まで冷却し、ポリビニルアルコール水溶液−1(以下、「PVA−1」と略す。)を準備した。
【0064】
<フェノール樹脂発泡体積層板の作製>
〔フェノール樹脂発泡体積層板−1〕
フェノール樹脂A−U−1:100重量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF社、商品名「プルロニックF127」)を4重量部の割合で混合した。次に、フェノール樹脂100重量部に対して、発泡剤としてノルマルペンタンを8重量部、硬化触媒としてキシレンスルホン酸(テイカ社、商品名「テイカトックス110」)80重量%とジエチレングリコール20重量%の混合物10重量部を、15℃に温調したピンミキサーに連続的に供給し一様に攪拌した。硬化反応中に発生する水分を外部に放出できるように設計し、内側に予め面材としてポリエステル製不織布(旭化成せんい社、商品名「スパンボンドE01040」)を貼り付けた厚み25mm×400mm×400mmの型枠に、ミキサーから出てきた混合物を110g流し込み、80℃のオーブンにて2時間保持して厚み25mm、長さ400mm、幅400mmのフェノール樹脂発泡体積層板−1(以下、「積層板−1」と略す。)を作製した。
【0065】
〔フェノール樹脂発泡体積層板−2〕
発泡条件を、95℃で2時間とする以外は積層板−1と同様にしてフェノール樹脂発泡体積層板−2(以下、「積層板−2」と略す。)を作製した。
【0066】
〔フェノール樹脂発泡体積層板−3〕
フェノール樹脂A−U−2を用い、発泡条件を95℃で2時間とする以外は積層板−1と同様にしてフェノール樹脂発泡体積層板−3(以下、「積層板−3」と略す。)を作製した。
【0067】
(実施例1)
リン酸カルバメート40%水溶液(大京化学社、商品名「ビコール TP」)(以下、「ビコールTP」と略す。):100重量部、精製水:300重量部を十分混合し、塗工液を調製した。
【0068】
積層板−3の面材を有する1面に、塗工液を単位面積当たり15.0g/m2刷毛で塗布後、120℃乾燥機で2分乾燥させ、単位面積当たり固形分1.5g/m2を面材に付着させた。積層板の他方の面材を有する面にも同様にして塗工液を塗布し、乾燥させ難燃フェノール樹脂発泡体積層板(以下、「難燃積層板」と略す。)を得た。
【0069】
得られた難燃積層板について、密度、独立気泡率、熱伝導率、難燃性、外観を評価した。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0070】
(実施例2)
積層板−1の面材を有する各々の面に、実施例1で調製した塗工液25.0g/m2を塗布・乾燥し、単位面積当たり固形分2.5g/m2を各面材に付着させた以外は、実施例1と同様にして難燃積層板を得、評価を行った。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0071】
(実施例3)
リン酸グアジニン誘導体47%水溶液(大京化学社、商品名「ビコール No.415」)(以下、「ビコール415」と略す):100重量部、精製水:135重量部、PVA−1:564重量部、アクリルラテックス(旭化成ケミカルズ社、商品名「ポリトロンE−390M」、固形分濃度50%)(以下、「ラテックス390M」と略す)):56.4重量部を十分混合し、塗工液を調製し、積層板−2の面材を有する各々の面に、塗工液を単位面積当たり45.5g/m2塗布・乾燥し、単位面積当たり固形分5.5g/m2を各面材に付着させた以外は、実施例1と同様にして難燃積層板を得、評価を行った。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0072】
(実施例4)
ビコールTP:100重量部、精製水:300重量部、ラテックス390M:20重量部を十分混合し、塗工液を調製し、積層板−1の面材を有する各々の面に、塗工液を単位面積当たり42g/m2塗布・乾燥し、単位面積当たり固形分5.0g/m2を各面材に付着させた以外は、実施例1と同様にして難燃積層板を得、評価を行った。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0073】
(実施例5)
ビコールTP:100重量部、PVA−1:160重量部、ラテックス390M:16重量部を十分混合し、塗工液を調製し、積層板−1の面材を有する各々の面に、塗工液51.8gを2回繰り返し塗布・乾燥し、単位面積当たり塗工液103.6g/m2塗工し、単位面積当たり固形分21.0g/m2を各面材に付着させた以外は、実施例1と同様にして難燃積層板を得、評価を行った。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0074】
(実施例6)
ビコールTP:100重量部、ラテックス390M:6.9重量部を十分混合し、塗工液を調製し、積層板−1の面材を有する各々の面に、塗工液46.8gを2回繰り返し塗布・乾燥し、単位面積当たり塗工液93.6g/m2塗工し、単位面積当たり固形分38.0g/m2を各面材に付着させた以外は、実施例1と同様にして難燃積層板を得、評価を行った。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0075】
(実施例7)
ビコールTP:100重量部、精製水:300重量部、ラテックス390M:5.3重量部を十分混合し、塗工液を調製した。
【0076】
ポリエステル製不織布(旭化成せんい社、商品名「スパンボンドE01040」、以下、「面材1040」と略す。)に塗工液を単位面積当たり15.2g/m2刷毛で塗布後、120℃乾燥機で2分乾燥させ、単位面積当たり固形分1.6g/m2を面材に付着させた。硬化反応中に発生する水分を外部に放出できるように設計した厚み25mm×400mm×400mmの型枠の内側に難燃剤等を付着させた上記面材を貼り付け、発泡用型枠を準備した。
【0077】
フェノール樹脂A−U−1:100重量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF社、商品名「プルロニックF127」)を4重量部の割合で混合した。次に、フェノール樹脂100重量部に対して、発泡剤としてノルマルペンタンを8重量部、硬化触媒としてキシレンスルホン酸(テイカ社、商品名「テイカトックス110」)80重量%とジエチレングリコール20重量%の混合物10重量部を、15℃に温調したピンミキサーに連続的に供給し一様に攪拌し、準備された発泡用型枠にミキサーから出てきた発泡性樹脂組成物を110g流し込み、80℃のオーブンに2時間保持して、厚み25mm、長さ400mm、幅400mmの難燃積層板を得た。
【0078】
得られた難燃積層板について、密度、独立気泡率、熱伝導率、難燃性、外観を評価した。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0079】
(実施例8)
ビコールTP:100重量部、PVA−1:720重量部を用い塗工液を調製し、面材1040に、塗工液51.3gを2回繰り返し塗布・乾燥し、単位面積当たり102.6g/m2を塗工し、単位面積当たり固形分9.5g/m2を面材に付着させた以外は、実施例7と同様にして難燃積層板を得、評価を行った。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0080】
(実施例9)
ビコールTP:100重量部、PVA−1:32重量部、ラテックス390M:8重量部を用い塗工液を調製し、面材1040に単位面積当たり35g/m2を塗布・乾燥し、単位面積当たり固形分11.4g/m2を面材に付着させた以外は、実施例7と同様にして難燃積層板を得、評価を行った。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0081】
(比較例1)
積層板−1の面材を有する各々の面に炭酸水素ナトリウム(和光純薬社、試薬特級)を単位面積当たり30.0g/m2になるように、粉体の状態でブラシ(エスコ社、品番EA928AG−17)で刷り込み塗布した。得られた難燃積層板について、実施例1と同様に評価した。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0082】
(比較例2)
ビコールTP:100重量部、PVA−1:3000重量部を用いて塗工液を調製し、積層板−1の面材を有する各々の面に、塗工液62g/m2を塗布し、120℃で4分乾燥し、単位面積当たり固形分3.8g/m2を各面材に付着させた以外は、実施例1と同様にして難燃積層板を得、評価を行った。尚、難燃性は、他の例と比べ、バラツキがあり燃焼距離が15mmを超え、20mm以下が2点、燃焼距離が20mmを超え、25mm以下が3点であった。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0083】
(比較例3)
積層板−1の面材を有する各々の面に、ビコール415塗工液53.2gを2回繰り返し塗布・乾燥し、単位面積当たり106.4g/m2を塗工し、単位面積当たり固形分50g/m2を各面材に付着させた以外は、実施例1と同様にして難燃積層板を得、評価を行った。構成を表1に、評価結果を表2に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の難燃フェノール樹脂発泡積層板は、建築用断熱材、車両用断熱材、機器用断熱材等として使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール樹脂発泡体を2枚の面材間に挟持してなるフェノール樹脂発泡体積層板であって、少なくとも一方の面材の表面及び面材中に、水溶性のリン系難燃剤が該面材の単位面積当たり1〜40g/m2存在することを特徴とする難燃フェノール樹脂発泡体積層板。
【請求項2】
上記リン系難燃剤がリン酸カルバメート誘導体、リン酸グアジニン誘導体のいずれか一種又は二種以上からなる混合物である請求項1に記載の難燃フェノール樹脂発泡体積層板。
【請求項3】
上記リン系難燃剤が存在する面材の表面及び面材中に、さらに、水に難溶性の有機高分子化合物が該リン系難燃剤100重量部に対して2〜250重量部存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃フェノール樹脂発泡体積層板。
【請求項4】
上記難燃フェノール樹脂発泡体積層板の密度が10〜150kg/m3であり、発泡体の独立気泡率が60%以上、熱伝導率が0.036W/(m・K)以下であり、該発泡体が可燃性発泡剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の難燃フェノール樹脂発泡体積層板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法であって、
水溶性のリン系難燃剤を水に溶解させてなる塗工液を、2枚の面材の少なくとも1枚に塗布して加熱乾燥し、一方の面材上に、少なくともフェノール樹脂、発泡剤、硬化触媒からなる発泡性樹脂組成物を吐出し、該発泡性樹脂組成物の上面を他方の面材で被覆した後、該発泡性樹脂組成物を発泡硬化させることを特徴とする難燃フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法であって、
面材上に、少なくともフェノール樹脂、発泡剤、硬化触媒からなる発泡性樹脂組成物を吐出し、該発泡性樹脂組成物の上面を新たな面材で被覆して、該発泡性樹脂組成物を発泡硬化させた後、
水溶性のリン系難燃剤を水に溶解させてなる塗工液を、上記2枚の面材の少なくとも一方に塗布して加熱乾燥することを特徴とする難燃フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
【請求項7】
上記塗工液が、リン系難燃剤を溶解させた水溶液と、加熱乾燥後に水に難溶性となる有機高分子化合物が溶解又は微分散された水溶液とを混合してなる請求項5又は6に記載の難燃フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
【請求項8】
上記加熱乾燥後に水に難溶性となる有機高分子化合物が微分散又は溶解された水溶液が、アクリル系ラテックス又はポリビニルアルコールの水溶液、もしくはこれらの混合液である請求項7に記載の難燃フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。

【公開番号】特開2009−274408(P2009−274408A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130441(P2008−130441)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】