説明

難燃プラスチック光ファイバリボン

【課題】プラスチック光ファイバを用いた光ファイバリボンの難燃化の達成。
【解決手段】複数本のプラスチック光ファイバ心線を平行に配置し、前記複数本の光ファイバ心線の外周に一括被覆を備えたプラスチック光ファイバリボンであって、前記一括被覆が、金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と、赤リン、紫外線硬化型リン化合物および窒素含有リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、紫外線硬化型樹脂とを含み、前記金属化合物の添加量が前記紫外線硬化型樹脂に対して5重量部以上70重量部以下である難燃プラスチック光ファイバリボン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラスチック光ファイバリボンに関し、特に難燃性を有するプラスチック光ファイバリボンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高度情報通信の発達に伴い、通信系幹線に光ファイバ網が張り巡らされ、光伝送による高速大容量通信が普及してきている。このような通信系幹線には、光伝送損失の低減化などの種々の理由によりシングルモードの石英系光ファイバが用いられ、数十ギガビットクラスの高速データ伝送が可能とされている。しかし、この通信系幹線の石英系光ファイバからオフィスまたは各家庭内にあるデータ通信装置に接続する際に、同じ石英系光ファイバを用いて接続する場合には、可撓性に乏しく取扱い性に難点があると共に、石英系光ファイバのコアの直径が数μm程度と非常に細径であるため、分岐、接続に多大なコストがかかるという問題があり、オフィスまたは各家庭内のデータ通信装置への接続の普及に対する障害の一つになっている。
【0003】
このような通信系幹線の石英系光ファイバからオフィスまたは各家庭内にあるデータ通信装置への分岐、接続を容易にするために、コアが、石英系光ファイバに比べて大口径で分岐、接続性に優れると共に、可撓性に富み、取扱い性にも優れるプラスチック光ファイバを用いることが提案されている。
現在ではFTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)プリジェクトが進められており、各家庭、事業所周辺で使用されるユーザー系ケーブルの需要は飛躍的に増加することが予想され、環境負荷の小さいケーブルやリボン構造が要求される。
【0004】
プラスチック光ファイバリボンにおいては、いったん火災が発生すると、ケーブル線路に沿って燃え広がり、縦横に火災が拡大するため、UL 1581(Underwriters Laboratories)(UL VW−1)試験に合格する難燃性が求められている。プラスチック光ファイバリボンは通常複数本のプラスチック光ファイバを一括被覆して、束ねたものであるが、この一括被覆を構成する樹脂として使用される、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂の難燃性が充分ではなかった。
たとえば、特許文献1には、石英またはガラス系の光ファイバを用いた光ファイバリボンに関する発明が記載されており、紫外線硬化性樹脂をコーンカロリーメータで測定した時の発熱量が800KW/m2以下の難燃性樹脂を使用することにより、光ファイバリボンの難燃性を向上したと記載されている。しかしながら、発熱量が800KW/m2以下の難燃性樹脂をどのようにして実現するかが明確でなかった。また、プラスチック光ファイバを用いた場合の光ファイバリボンの難燃性向上は達成されてはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−326567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、プラスチック光ファイバを用いた光ファイバリボンの難燃化を達成するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数本のプラスチック光ファイバ心線を平行に配置し、前記複数本の光ファイバ心線の外周に一括被覆を備えたプラスチック光ファイバリボンであって、前記一括被覆が、金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と、赤リン、紫外線硬化型リン化合物および窒素含有リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、紫外線硬化型樹脂とを含み、前記金属化合物の添加量が前記紫外線硬化型樹脂に対して5重量部以上70重量部以下である難燃プラスチック光ファイバリボンを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、プラスチック光ファイバを用いた光ファイバリボンの難燃化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の難燃プラスチック光ファイバリボンを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明について説明する。
図1は本発明の難燃プラスチック光ファイバリボンを示した断面図である。図1に示すプラスチック光ファイバリボン21は、複数本のプラスチック光ファイバ心線11を平行に配置し、該複数本のプラスチック光ファイバ心線11の外周に一括被覆4を施したものである。図1に示すプラスチック光ファイバ心線11は、プラスチック光ファイバ1の周囲を補強層2で被覆し、該補強層2の周囲を紫外線硬化型樹脂3で被覆したものである。但し、本発明におけるプラスチック光ファイバ心線11は、プラスチック光ファイバ1の周囲を補強層2で被覆したものであればよく、該補強層2の周囲を紫外線硬化型樹脂3で被覆していないものであってもよい。
本発明の難燃プラスチック光ファイバリボンの個々の構成要素について、以下に説明する。
【0011】
プラスチック光ファイバ1としては、屈折率分布型(GI型)プラスチック光ファイバ、段階屈折率型(SI型)プラスチック光ファイバ、シングルモードプラスチック光ファイバ、マルチコアプラスチック光ファイバなどがあり、本発明におけるプラスチック光ファイバ1としては、これらいずれであってもよい。
【0012】
GI型プラスチックファイバ(以下、GI−POFとする)とは、断面方向における屈折率に分布を持たせたプラスチック系光ファイバである。すなわち、GI−POFは、断面方向の中心部で屈折率が高く、徐々に屈折率が低くなる屈折率分布によって構成されるので、GI−POF内を長手方向に進行する光は、屈折率の影響を受けて、GI−POFの中心部近傍に集中する。これによって、高速大容量の伝送能力を実現している。
GI−POFはSI型プラスチック光ファイバ(以下、SI−POFとする)に比較してモード分散が小さく、数ギガビット以上のクラスの高速データ伝送用に特に適している。
【0013】
本発明におけるプラスチック光ファイバ1の材料としては、ポリメタクリル酸メチル樹脂やポリカーボネート樹脂などがあり、本発明における光ファイバとしてこのような材料を使用した光ファイバを使用できる。しかしこれら材料からなるプラスチック光ファイバには、分子内にC−H結合を有する樹脂を材料とすることより、C−H結合の伸縮運動による高調波吸収が、赤外線または可視光線領域のような特定波長領域に生じ、その波長領域での伝送損失が大きなものであった。加えてこれらの樹脂は、吸湿性が大きいために、温度条件等の環境条件によっては、伝送損失が大きく変化してしまうという問題がある。その結果、光伝送で使われる波長領域において、特に数ギガビットクラスの高速伝送をも可能にする赤外波長領域を使用することが不可能であった。
【0014】
このような従来のプラスチック光ファイバを、通信系幹線の石英系光ファイバからオフィスまたは各家庭内のデータ通信装置に分岐、接続する際に用いる場合、例えば、最近、オフィスまたは各家庭に普及の著しいインターネットへの接続に用いる場合、インターネットにおける音声、静止画像に加えて動画像等のような大容量データの高速伝送の要求に十分に応じることが困難という問題を有している。
【0015】
本発明におけるプラスチック光ファイバ1としてはC−H結合を実質的に有しない非晶質透明フッ素樹脂を材料とするプラスチック光ファイバが好ましい。このプラスチック光ファイバは赤外線や可視光線領域における吸収がなく、通信用プラスチック光ファイバとして特に優れた特性を有する。
【0016】
非晶質透明フッ素樹脂としては主鎖に環構造を有するフッ素ポリマーからなるフッ素樹脂、特に主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素ポリマーからなるフッ素樹脂、が好ましい。このような非晶質フッ素樹脂を材料とするプラスチック光ファイバとしては、例えば特開平8−5848号公報や特開平11−167030記載のGI−POFおよび特開平4−1704号公報記載のSI−POFなどがある。
【0017】
プラスチック光ファイバはコア−クラッドから構成されるが、一般的には、補強、機械特性を改善するために、クラッドの周囲に補強層が施されたプラスチック光ファイバ心線として使用される。本発明においても、プラスチック光ファイバ1の周囲、より具体的には、プラスチック光ファイバ1のクラッドの周囲を補強層2で被覆したプラスチック光ファイバ心線11を用いる。
本発明で用いられるプラスチック光ファイバ心線11は、プラスチック光ファイバ1としてC−H結合を実質的に有しない非晶質透明フッ素樹脂を材料とするGI−POFを使用し、該GI−POFの周囲を、補強層2として熱溶融樹脂で被覆したものが好ましい。
【0018】
本発明のプラスチック光ファイバ心線11では、該補強層2の周囲に、外力緩和のためのプライマリコート、外力耐性のためのセカンダリコート、色識別のためのカラーコートなどを形成するために、少なくとも1層以上の紫外線硬化型樹脂3でさらに被覆したものがより好ましい。
【0019】
本発明の難燃プラスチック光ファイバリボン21では、平行に配置した複数本のプラスチック光ファイバ心線11の外周に施す一括被覆4が、金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と、赤リン、紫外線硬化型リン化合物および窒素含有リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、紫外線硬化型樹脂とを含んでいる。
ここで、一括被覆4に含まれる、金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、ならびに、赤リン、紫外線硬化型リン化合物および窒素含有リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物は、難燃剤として作用する。
【0020】
一括被覆4に含まれる難燃剤のうち、金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物は、熱分解し水分を放出した際の吸熱作用が主体の難燃剤である。また、赤リン、紫外線硬化型リン化合物および窒素含有リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物は、樹脂から脱水を行いチャーと呼ばれる断熱層形成が主体の難燃剤である。なお、窒素含有リン酸塩は、窒素ガス等を発生させ発泡断熱皮膜形成作用が主体の難燃剤でもある。
本発明では、異なる難燃作用の難燃剤を2種以上用いるために、金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、ならびに、赤リン、紫外線硬化型リン化合物および窒素含有リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を併用する。
【0021】
金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素から選ばれる1種または2種以上のものを使用することができる。吸熱作用が大きい点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、水酸化アルミニウムがさらに好ましい。これらの金属化合物の添加量は、一括被覆4に含まれる紫外線硬化型樹脂100重量部に対して5重量部以上70重量部以下である。これらの金属化合物の添加量は10重量部以上60重量部以下が好ましい。紫外線硬化型樹脂100重量部に対して5重量部より少ないと難燃性の効果が発揮できず、70重量部よりも多いと熱分解が急激に起こるために、プラスチック光ファイバリボンの一部が火の粉となって飛び散り、UL VW−1試験が不合格となる。
【0022】
紫外線硬化前の一括被覆混合液中の分散性のために、金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物は、0.05μm〜100μmの粒子径を含む微粒子が好ましく、0.1μm〜50μmの粒子径を含む微粒子がより好ましい。0.05μmよりも小さい粒子は、紫外線硬化前の一括被覆混合液の粘度が高くなりすぎ、複数本のプラスチック光ファイバ心線11の外周に一括被覆4を形成するのが困難となるおそれがあり、100μmよりも大きな粒子は自重で沈殿を生じ、紫外線硬化前の一括被覆混合液の貯蔵安定性が悪くなる。金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物は、紫外線硬化前の一括被覆混合液中の分散性を制御するために、表面にビニルシラン、アクリルシラン、メタクリルシランを反応させても構わない。
【0023】
赤リンとしては、紫外線硬化前の一括被覆混合液中の分散性を向上させるために、0.5μm〜50μmの粒子径を有する微粒子が好ましく、さらに1μm〜20μmの粒子径を有する微粒子がさらに好ましい。
赤リンの添加量が、一括被覆4に含まれる紫外線硬化型樹脂100重量部に対して5重量部以上30重量部以下が好ましく、5重量部以上20重量部以下がより好ましい。
【0024】
なお、金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物、ならびに赤リンの粒子径は、適切な溶媒に分散させた分散液の状態でレーザー回折・散乱方式粒子径測定装置(マイクロトラックBlueRaytrac、日機装株式会社)を使用し求めることができる。
【0025】
紫外線硬化型リン化合物としては、下記式(1)で示される化合物であることが好ましい。
【化1】

(1)
式(1)中、Rは水素またはメチル基であり、R’は水素、炭素数1〜18のアルキル基またはフェニル基であり、Xは2価の有機基であり、Yはメチレン基または単結合であり、aは0〜3の整数、bは0<a≦3となる値、c=3−bとなる数を表わす。
紫外線硬化後の一括被覆4の物性をbで制御することが可能である。R’は水素または炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。Xは炭素数2〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基がより好ましい。
窒素含有リン酸塩紫外線硬化型リン化合物の添加量が、一括被覆4に含まれる紫外線硬化型樹脂100重量部に対して5重量部以上40重量部以下が好ましく、5重量部以上30重量部以下がより好ましい。
【0026】
窒素含有リン酸塩としては、リン酸、ピロリン酸およびポリリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のリン酸種と、アンモニア、メラミン、エチレンジアミンおよびピペラジンからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン種と、を含むものが好ましい。これに該当するものとしては、リン酸アンモニア、リン酸メラミン、リン酸エチレンジアミン、リン酸ピペラジン、ピロリン酸アンモニア、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸エチレンジアミン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸アンモニア、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸エチレンジアミン、ポリリン酸ピペラジンから選ばれる1種類または2種類以上のものを使用することができる。チャーや発泡断熱皮膜形成による難燃作用が大きい点から、これらの中でもポリリン酸塩が好ましく、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンが特に好ましい。
窒素含有リン酸塩の添加量が、一括被覆4に含まれる紫外線硬化型樹脂100重量部に対して5重量部以上40重量部以下が好ましく、5重量部以上30重量部以下がより好ましい。
【0027】
一括被覆4に用いる紫外線硬化型樹脂は、少なくともアクリルオリゴマーとアクリルモノマーと紫外線反応型開始剤からなる液状組成物からなることが好ましい。また、アクリルオリゴマー、アクリルモノマーは目標とする一括被覆4の物性を考慮して、架橋密度や、親水基/疎水基のバランスを選択し組み合わせて使用される。また、紫外線反応開始剤は、一括被覆4の表面と深さ方向の硬化性を同時に対応できるように、種類と添加量と、分散度を考慮し使用される。
【実施例】
【0028】
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0029】
〔実施例1〕
(一括被覆)
紫外線硬化型樹脂(デソライトR3194,JSR株式会社)150.5g(100重量部)をプラスチック容器に量り取り、それに水酸化アルミニウム粉末(APYRAL 40VS1,Nabaltec AG)30.1g(20重量部)、および赤リン(ノーバエクセル140F,燐化学工業株式会社)15.0g(10重量部)を加えた。均一になるまでよく攪拌し、紫外線硬化前一括被覆混合液を得た。
(プラスチック光ファイバリボン作製法)
リボン用プラスチック光ファイバ心線11は、プラスチック光ファイバ1がGI−POF(全フッ素型GI−POF,コア径80μmΦ、線径200μmΦ:旭硝子株式会社製「FONTEX」)で、このGI−POFの外周に25μmの厚みで被覆した1層目のプライマリコートと、このプライマリコートの外周に25μmの厚みで被覆した2層目目のセカンダリコートと、から構成されている。プラスチック光ファイバ心線11を平行に4本並べて、その外周に上記の手順で調製した、紫外線硬化前一括被覆混合液を被覆すると同時に、紫外線を照射(高圧水銀灯ランプ:3.5kW/cm2、出力50%、線速50m/min)し、一括被覆4を形成して、プラスチック光ファイバリボン21を得た。この実施の形態のプラスチック光ファイバリボン21のリボン厚さは0.3mmで、リボン幅は1.1mmであった。
(難燃性評価法)
難燃性評価法はUL 1581(Underwriters Laboratories)(UL VW−1)に従い実施した。
【0030】
〔実施例2〕
紫外線硬化型樹脂(デソライトKF2713,JSR株式会社)150.9g(100重量部)をプラスチック容器に量り取り、それに水酸化アルミニウム粉末(APYRAL 40VS1,Nabaltec AG)30.1g(20重量部)、および赤リン(ノーバエクセル140F,燐化学工業株式会社)15.5g(10重量部)を加えた。均一になるまでよく攪拌し、紫外線硬化前一括被覆混合液を得た。
プラスチック光ファイバリボン作製法と難燃性評価法は実施例1と同じである。
【0031】
〔実施例3〕
紫外線硬化型樹脂(デソライトR3194,JSR株式会社)149.7g(100重量部)をプラスチック容器に量り取り、それに水酸化アルミニウム粉末(APYRAL 200SM,Nabaltec AG)30.0g(20重量部)、および赤リン(ノーバエクセル140F,燐化学工業株式会社)14.7g(10重量部)を加えた。均一になるまでよく攪拌し、紫外線硬化前一括被覆混合液を得た。
プラスチック光ファイバリボン作製法と難燃性評価法は実施例1と同じである。
【0032】
〔実施例4〕
紫外線硬化型樹脂(デソライトR3194,JSR株式会社)151.0g(100重量部)をプラスチック容器に量り取り、それに水酸化アルミニウム粉末(APYRAL 40VS1,Nabaltec AG)14.9g(10重量部)、赤リン(ノーバエクセル140F,燐化学工業株式会社)15.4g(10重量部)、およびリン酸トリアクリレート(ビスコート3PA,大阪有機化学工業株式会社)を29.7g(20重量部)添加した。を加えた。均一になるまでよく攪拌し、紫外線硬化前一括被覆混合液を得た。
プラスチック光ファイバリボン作製法と難燃性評価法は実施例1と同じである。
【0033】
〔実施例5〕
紫外線硬化型樹脂(デソライトR3194,JSR株式会社)150.3g(100重量部)をプラスチック容器に量り取り、それに水酸化アルミニウム粉末(APYRAL 40VS1,Nabaltec AG)60.1g(40重量部)、および赤リンポリリン酸メラミン(ホスメル,日産化学工業株式会社)29.9g(20重量部)を加えた。均一になるまでよく攪拌し、紫外線硬化前一括被覆混合液を得た。
プラスチック光ファイバリボン作製法と難燃性評価法は実施例1と同じである。
【0034】
〔比較例1〕
紫外線硬化型樹脂(デソライトR3194,JSR株式会社)151.6g(100重量部)をプラスチック容器に量り取り、紫外線硬化前一括被覆混合液を得た。
プラスチック光ファイバリボン作製法と難燃性評価法は実施例1と同じである。
【0035】
〔比較例2〕
紫外線硬化型樹脂(デソライトR3194,JSR株式会社)150.2g(100重量部)をプラスチック容器に量り取り、それに水酸化アルミニウム粉末(APYRAL 40VS1,Nabaltec AG)30.1g(20重量部)を加えた。均一になるまでよく攪拌し、紫外線硬化前一括被覆混合液を得た。
プラスチック光ファイバリボン作製法と難燃性評価法は実施例1と同じである。
【0036】
〔比較例3〕
紫外線硬化型樹脂(デソライトR3194,JSR株式会社)149.5g(100重量部)をプラスチック容器に量り取り、それに水酸化アルミニウム粉末(APYRAL 40VS1,Nabaltec AG)120.2g(80重量部)、および赤リン(ノーバエクセル140F,燐化学工業株式会社)19.9g(10重量部)を加えた。均一になるまでよく攪拌し、紫外線硬化前一括被覆混合液を得た。
プラスチック光ファイバリボン作製法と難燃性評価法は実施例1と同じである。
【0037】
結果を表1に示す。
【表1】

紫外線硬化型樹脂A:デソライトR3194,JSR株式会社
紫外線硬化型樹脂B:デソライトKF2713,JSR株式会社
水酸化アルミニウムA:APYRAL 40VS1,Nabaltec AG
水酸化アルミニウムB:APYRAL 200SM,Nabaltec AG
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明により、プラスチック光ファイバを用いた光ファイバリボンの難燃化を達成できる。
【符号の説明】
【0039】
1 プラスチック光ファイバ
2 補強層
3 紫外線硬化型樹脂
4 一括被覆
11 光ファイバ心線
21 プラスチック光ファイバリボン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のプラスチック光ファイバ心線を平行に配置し、前記複数本の光ファイバ心線の外周に一括被覆を備えたプラスチック光ファイバリボンであって、前記一括被覆が、金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と、赤リン、紫外線硬化型リン化合物および窒素含有リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、紫外線硬化型樹脂とを含み、前記金属化合物の添加量が前記紫外線硬化型樹脂に対して5重量部以上70重量部以下である難燃プラスチック光ファイバリボン。
【請求項2】
前記プラスチック光ファイバ心線を構成するプラスチック光ファイバが、屈折率分布型(GI型)プラスチック光ファイバである請求項1に記載のプラスチック光ファイバリボン。
【請求項3】
前記プラスチック光ファイバ心線を構成するプラスチック光ファイバが、C−H結合を実質的に有しない非晶質透明フッ素樹脂を材料とする、請求項1または2に記載の難燃プラスチック光ファイバリボン。
【請求項4】
前記プラスチック光ファイバ心線を構成するプラスチック光ファイバの周囲が補強層で被覆され、さらに該補強層の周囲が、少なくとも1層以上の紫外線硬化型樹脂で被覆された請求項1〜3のいずれかに記載の難燃プラスチック光ファイバリボン。
【請求項5】
前記金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、酸化チタン、酸化ケイ素からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれかに記載の難燃プラスチック光ファイバリボン。
【請求項6】
前記金属水酸化物および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物として、0.05μm〜100μmの粒子径を有する微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の難燃プラスチック光ファイバリボン。
【請求項7】
前記赤リンとして、0.5μm〜50μmの粒子径を有する微粒子を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の難燃プラスチック光ファイバリボン。
【請求項8】
前記紫外線硬化型リン化合物として、下記式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の難燃プラスチック光ファイバリボン。
【化1】

(1)
(式(1)中、Rは水素またはメチル基であり、R’は水素、炭素数1〜18のアルキル基またはフェニル基であり、Xは2価の有機基であり、Yはメチレン基または単結合であり、aは0〜3の整数、bは0<a≦3となる値、c=3−bとなる数を表わす。)
【請求項9】
前記窒素含有リン酸塩として、リン酸、ピロリン酸およびポリリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のリン酸種と、アンモニア、メラミン、エチレンジアミンおよびピペラジンからなる群から選ばれる少なくとも1種のアミン種と、を含む窒素含有リン酸塩を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の難燃プラスチック光ファイバリボン。

【図1】
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【公開番号】特開2013−73029(P2013−73029A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212116(P2011−212116)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】