説明

難燃性、柔軟性に優れた電磁波シールド用ゴムの積層体

【課題】低硬度で、形状の復元性および難燃性に優れた電磁波シールド性に優れた積層体および該積層体を用いたガスケットを提供する。
【解決手段】金属メッシュ層の両側をゴム層とする積層体において、JIS K 6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬さが5〜60である低硬度で難燃性に優れたゴム層と、金属メッシュ層として、20メッシュ〜200メッシュ、0.01mm〜0.1mmの金属メッシュを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性、柔軟性に優れた電磁波シールド用ゴムの積層体および該積層体を用いた電磁波シールド用ガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器や電子機構を内蔵する機器において、EMI(電磁干渉ないし電磁障害)またはRFI(電波障害)の対策のため、金属筐体とその扉、窓または蓋との間に電磁波シールド用ガスケットを設けることが必要とされている。上記の電磁波シールド用ガスケットとしては、弾性材料により棒状に形成された芯材の外周に、導電性繊維によって織られた導電性布を接着剤により接着して覆設したものや、導電性布の代わりにワイヤメッシュを覆設したものなどが知られている(特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、導電性繊維やワイヤメッシュは、使用時に適当な長さに切断した際に、その切断した端面からほつれてしまうという問題があった。また、芯材がスポンジ等で形成されている場合には、圧縮されても導電性布やワイヤメッシュはその変形に追随できないため折り曲がったりし劣化してしまうという問題点があった。極端な場合には亀裂が生じて本来のシールド効果が得られなくなるという可能性もある。また、芯材の外周をワイヤメッシュで覆う方法では、二重以上にメッシュが重なるために、ガスケットの硬さの上昇が問題となる。
【0003】
さらに、このようなガスケットを開閉する導電性筐体の合わせ部に装着した場合には、導電性布やワイヤメッシュに生じる折り目によって芯材が変形し、ガスケット自体の弾性が低下し、導電性筐体との密着性が悪化するという問題があった。
【0004】
このような問題点に対して、高硫黄添加の導電ゴム配合ゴムシート中に金属網体を挟み込んで電磁波シールドを図ったものもある(特許文献3、特許文献4、特許文献5)。しかしながら、これらはいずれも、高硫黄添加による弊害として硬度が高くなりすぎるために、ガスケット本来の性能である柔軟性・復元性が劣るという問題点がある。また、基材が微細な空隙部を有する金属材料からなる3次元網目状構造物(金属発泡体)の空隙部分に、エラストマー材料を緻密に充填するという方法によって電磁波遮蔽をねらったものもある(特許文献7)。しかしながら、この3次元網目状構造物では、極薄の構造が作製しにくいという問題がある。このことは、ガスケットとして重要な性能である低硬さのものが得にくいことを意味しており、複雑な形状のガスケットには不向きである。
上記のようなワイヤメッシュや3次元網目状構造物(金属発泡体)による硬さの上昇を防止するために、芯材をスポンジゴム状で形成すると、ソリッドゴム状に比較して復元性に劣ることはもちろん、難燃性においては、空隙部が存在するためにソリッドゴム状に比較して極端に劣るという問題があった。この難燃性は、電磁波シールド用ガスケットにおいては、電磁波シールド性に優れることと同等以上に要求される性能となっている。この低硬度で形状の復元性、難燃性、電磁波シールド性を全て満たす技術の確立が強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4857668号
【特許文献2】特開平2−296396号公報
【特許文献3】特開平10−298355号公報
【特許文献4】特開平11−317594号公報
【特許文献5】特開2002−361783号公報
【特許文献6】特開2007−258737号公報
【特許文献7】特開2001−119188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、このような諸問題に鑑みなされたものであり、低硬度で、形状の復元性および難燃性に優れた電磁波シールド用ガスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題に鑑み、本発明においては、金属メッシュ層の両側に、低硬度で且つ難燃性に優れたゴム層を用いた積層体が、低硬度で形状の復元性、難燃性、電磁波シールド性に優れた特長を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、次の発明を提供する。
(1)金属メッシュ層の両側をゴム層とする積層体において、該ゴム層のJIS K6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬さが、5〜60、好ましくは10〜55、さらに好ましくは15〜50である積層体。
(2)前記ゴム層が、ゴム及び/または樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)、難燃剤、軟化剤及び/または可塑剤、増粘付与剤、充填剤、加硫剤を含む(1)に記載の積層体。
(3)前記ゴムが、IIR及び/またはEP(D)Mを含む(1)〜(2)のいずれかに記載の積層体。
(4)金属メッシュ層を構成する金属メッシュが、アルミニウム、真鍮、銅、モネル、ニッケル、銀、スズ、ステンレス、チタン、ニオブから選択される金属メッシュである(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体。
(5)前記金属メッシュのメッシュサイズが、20メッシュ〜200メッシュである(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体。
(6)前記金属メッシュの厚さが、0.01mm〜0.1mmである(1)〜(5)のいずれかに記載の積層体。
(7)金属メッシュが、エキスパンドメタルまたはパンチングメタルである(1)〜(6)のいずれかに記載の積層体。
(8)積層体中に金属メッシュ層を少なくとも一層含む(1)〜(7)のいずれかに記載の積層体。
(9)ゴム層が、加硫ゴムであって、ソリッドゴム状である(1)〜(8)のいずれかに記載の積層体。
(10) (1)〜(9)のいずれかに記載の積層体において、ゴム層/金属メッシュ層/ゴム層の順に重ねて、一度に加硫する方法または、まず、ゴム層を加硫し、その上に金属メッシュ層を重ね、更にその上に新たにゴム層を重ねて、再び加硫する方法によって得られる積層体の製造方法。
(11)積層体の形状が直方体(立方体を含む)であって、その長軸あるいは短軸に沿って金属メッシュ層が形成されてなる(1)〜(10)のいずれかに記載の積層体。
(12)積層体の形状が直方体(立方体を含む)であって、その長軸あるいは短軸の対角面上に金属メッシュ層が形成されてなる(1)〜(10)のいずれかに記載の積層体。
(13)(1)〜(12)のいずれかに記載の積層体を用いた電磁波シールド用ガスケット。
(14)(1)〜(13)のいずれかに記載の積層体を用いた液晶ディスプレイ、カーナビゲーション、携帯電話、無線機、ゲーム機、コンパクトカセット、CDプレイヤー、デジタルカメラ、テレビ、DVDプレイヤー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子レンジ、コネクターやケーブル等の長尺物、ハードディスクレコーダー、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、ビデオカメラ、プリンター、プラズマディスプレイ、ミニディスク、ラジオ、ワープロ、工作機器、ロボット、医療機器、建材、電気自動車の電気二重層キャパシタの分極式電極、電池の電極材料、計測機器及びCATVの中継機器。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって得られた積層体は、電磁波シールド性に優れていることはもちろん、難燃性、柔軟性に優れているために凹凸や比較的小さな曲率で湾曲するような部位に対しても十分追随性があり、完全に隙間を埋めることができ、電磁波の侵入を防止することが可能となる。すなわち、金属と金属との間隙に使用される電磁波シールド用のガスケット材として好適である。
具体的には、液晶ディスプレイ、カーナビゲーション、携帯電話、無線機、ゲーム機、コンパクトカセット、CDプレイヤー、デジタルカメラ、テレビ、DVDプレイヤー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子レンジ、コネクターやケーブル等の長尺物、ハードディスクレコーダー、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、ビデオカメラ、プリンター、プラズマディスプレイ、ミニディスク、ラジオ、ワープロ、工作機器、ロボット、医療機器、建材、電気自動車の電気二重層キャパシタの分極式電極、電池の電極材料、計測機器やCATV等の中継機器などの電磁波シールドに好適である。
今後益々軽薄短小化の傾向にある上記電子機器にあって、電磁波シールド性と難燃性の両立は極めて困難とされていたが、本発明によってその問題点が解決されることとなり、その意義は極めて大きい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体ついて、先ず、ゴム層は、ゴム及び/または樹脂(熱可塑性ラストマーを含む)、難燃剤、軟化剤、可塑剤、増粘付与剤、充填剤、加硫剤を含む構成からなる。
【0010】
ゴム層を構成するゴムとしては、ジエン系ゴムとして、NR、IR、BR、SBR、XSBR、CR、XCR、NBR、XNBR、HNBRなどである。非ジエン系ゴムとしては、IIR、XIIR、EP(D)M、U、Q、CSM、CM、ACM、AEM、CO、ECO、FKM、FMQ、FVMQ、MQ、VMQ、AU、EU、NORなどを挙げることができる。好ましくは、EP(D)M、NBR、HNBR、XNBR、XCR、CR、IIR、XIIRである。非ハロゲン・耐候性の観点から、特に好ましくは、IIR及び/またはEP(D)Mである。これらは、単独または二種以上を用いることができる。
【0011】
ゴム層を構成する樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)としては、たとえばポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン共重合樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂およびイミド化ポリメチルメタクリレート樹脂などがあげられる。これらは、単独または二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0012】
ゴム層を構成する難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、無機系、シリコーン化合物、ヒンダードアミン化合物、窒素化合物、有機金属化合物などである。このうち好ましくは、非ハロゲン系のリン系、無機系、シリコーン化合物、ヒンダードアミン化合物、窒素化合物、有機金属化合物である。リン系としては、芳香族リン酸エステル、芳香族縮合型リン酸エステル、Intumescent系、赤燐、赤燐+膨張性黒鉛、リン酸エステルアミドである。無機系としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水和金属化合物系、アンチモン化合物、ホウ酸亜鉛、ZrO、ゼオライトなどの無機酸化物である。上記以外にも、硫酸アンモニウム、第一リン酸アンモニウム(NH42PO4)、第二リン酸アンモニウム((NH4)2HPO4)、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム及びホウ酸などを挙げることができる。これらは、単独又は二種以上組み合わせて使用することができる。さらにゴムとの相溶性を向上させるために界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤には「陽イオン性界面活性剤(カチオン活性剤)」・「陰イオン性界面活性剤(アニオン活性剤)」・「両イオン性界面活性剤」・「非イオン性界面活性剤」の4種類があり、いずれを用いてもよい。
これらの難燃剤の添加量としては、ゴム及び/または樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)100重量部に対して、1重量部〜400重量部である。好ましくは10重量部〜300重量部である。1重量部未満では、難燃性が不足し、400重量部を超えると難燃性の効果とコストのバランスから好ましくない。
【0013】
ゴム層を構成する増粘付与剤としては、例えばステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ベヘニン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、2−エチルヘキサン酸アルミニウムの単独または二種以上の金属塩である。
このような増粘付与剤は、低硬度ゴムを作製する際に多量の軟化剤や可塑剤を添加することによるゴムの加工性への弊害を防止するために使用するものである。 金属塩としては、2−エチルヘキサン酸アルミニウムが好ましい。2−エチルヘキサン酸アルミニウムは、乾燥したものあるいは含水のままのどちらでもかまわないが、含水品は飛散が少なく扱いやすい。2−エチルヘキサン酸アルミニウムは、通常のアルミニウム石けんの製造方法つまり複分解反応を行なったもので良く(特公昭36−19125号公報、特公昭36−19379号公報、特公昭36−10476号公報、特公平7−25717号公報、フランス特許160524号等)乾燥しないままの状態が好ましいが、70℃以下で乾燥したものであれば良い。また、ジソープ、モノソープ、トリソープの組成比を変えるためにアルミニウムアルコキサイドからの製造方法と組み合わせても良い。
【0014】
2−エチルヘキサン酸アルミニウムの形状は、粉末、粒状、ペレット、シート状、ブロック状、塊状、ペースト状等があるが、これらに限定されるものではない。2−エチルヘキサン酸アルミニウムは、単独でもさしつかえないが、本発明を逸脱しないかぎり、これに適量の従来公知のアルミニウム石けん類例えばステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、カプリン酸アルミニウム等を配合したものであっても良い。また2−エチルヘキサン酸アルミニウムを製造する時に各種の脂肪酸を添加して反応して製造したものであっても良い。
【0015】
増粘付与剤の添加量は、軟化剤及び/または可塑剤100重量部に対して0.1重量部〜100重量部である。0.1重量部未満では、増粘することが困難であり、また、100重量部を超えると、機械的強度が劣り好ましくない。
【0016】
また増粘速度を促進するために増粘促進剤を添加することができる。増粘促進剤としては、炭素数が8〜24である飽和及び/または不飽和脂肪酸であることが好ましい。例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、ウンデジレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などがあげられる。このうち、ステアリン酸はゴム配合に通常、加工助剤として用いられるものである。ただし、室温では固体状であるため、増粘促進にはオレイン酸がより好ましい。
増粘促進剤の添加量は、軟化剤及び/または可塑剤100重量部に対して、0.1重量部〜100重量部である。0.1重量部未満では増粘促進効果が乏しく、また100重量部を超えると、スリップするため、混練工程で充分な練りが困難になる傾向がある。
【0017】
ゴム層を構成する軟化剤としては、鉱物油系軟化剤と植物油系軟化剤が挙げられ、例えば、鉱物油系軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどの各種オイルである。植物油系軟化剤としては、ひまし油、錦実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、ヤシ油、落花生油、パイン油、トール油などである。これらは単独あるいは二種以上を併用してもよい。軟化剤の添加量は、ゴム及び/または樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)100重量部に対し、10重量部〜1000重量部である。さらに好ましくは30重量部〜500重量部である。この範囲を超えると、硬度が高過ぎたり、混練り加工性が劣り好ましくない。
【0018】
ゴム層を構成する可塑剤としては、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニルなどのアジピン酸ジアルキルエステル化合物;アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジn−ヘキシルなどのアゼライン酸ジアルキルエステル化合物;セバシン酸ジn−ブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)などのセバシン酸ジアルキルエステル化合物;フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸ジアルキルエステル化合物;イソフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、イソフタル酸ジイソオクチルなどのイソフタル酸ジアルキルエステル化合物;テトラヒドロフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、テトラヒドロフタル酸ジn−オクチル、テトラヒドロフタル酸ジイソデシルなどのテトラヒドロフタル酸ジアルキルエステル化合物;トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリn−オクチル、トリメリット酸トリイソデシル、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリn−ヘキシル、トリメリット酸トリイソノニルなどのトリメリット酸トリアルキルエステル化合物;下記一般式(1)で表される化学構造(「COOH」はカルボキシル基を表す。)を有する二塩基酸とエ−テル結合含有アルコールとの二塩基酸エステル化合物などが挙げられる。これらの可塑剤は、単独あるいは二種以上を併用してもよい。可塑剤の添加量は、ゴム及び/または樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)100重量部に対し、10重量部〜1000重量部である。さらに好ましくは30重量部〜500重量部である。この範囲を超えると、硬度が高くなり過ぎたり、混練り加工性が劣り好ましくない。
【0019】
ゴム層を構成する充填剤としては、例えばカーボンブラック、重質炭酸カルシウム、胡粉、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、カオリンクレー、焼成クレー、パイロフライトクレー、シラン処理クレー、天然ケイ酸、合成無水ケイ酸、合成含水ケイ酸、合成ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、フェライト、カオリン、セリサイト、タルク、微粉タルク、ウォラスナイト、ゼオライト、ゾーノトナイト、マイカ、アスベスト、PMF(Processed Mineral Fiber: 加工鉱物繊維)、セピオライト、チタン酸カリウム、エレスタダイト、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイドロタルサイト、フライアシュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、フェノール樹脂、尿素樹脂、スチレン系樹脂、サラン樹脂等の有機系バルン、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維(チョップドストランド、ロービング、ミルドガラス繊維、ガラスフレーク)、カットファイバー、ロックファイバー、ミクロファイバー、炭酸繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、再生ゴム、ゴム粉末、エボナイト粉末、セラック、木粉等が挙げられる。これらの充填剤は、単独または二種以上を混合して使用することができる。
【0020】
ゴム層を構成する加硫剤としては、用いられるゴムの種類により、硫黄系加硫剤、有機過酸化物、キノイド加硫剤、樹脂加硫剤、金属酸化物加硫剤、含硫黄有機化合物、アミン加硫剤、トリアジン系加硫剤、ポリオール加硫剤、金属石けん加硫剤、マレイミド系加硫剤、ヒドロシリル化反応用架橋剤等を適宜選択して使用される。
【0021】
硫黄系加硫剤としては、例えば粉末硫黄、硫黄華、高分散性硫黄、不溶性硫黄、沈降硫黄、表面処理硫黄、コロイド硫黄、塩化硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄等が挙げられる。これらの硫黄系加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。また、加硫・架橋剤として硫黄系加硫剤を使用する場合には、加硫促進剤を併用することもできる。
【0022】
加硫促進剤としては、例えばヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド・アンモニア等のアルデヒドアンモニア類;n−ブチルアルデヒドーアニリン縮合品、ブチルアルデヒドーモノブチルアミン縮合品、ヘプトアルデヒドーアニリン反応品、トリクロトニリデン・テトラミン等のアルデヒドアミン類;ジフェニルグアニジン、ジーoートリルグアニジン、オルト・トリル・ビグアニド、ジカテコール・ホウ酸のジオルト・トリル・グアニジン塩等のグアニジン塩類;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド等のチアゾール類;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド等のスフェンアミド類;チオカルバニド、エチレン・チオ尿素(2−メルカプトイミダゾリン)、ジエチル・チオ尿素、ジブチル・チオ尿素、混合アルキルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジラウリルチオ尿素等のチオ尿素類;ジメチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチル・カルバミン酸ナトリウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジーn−ブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジル・ジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレン・ジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸テルル、ジエチル・ジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸銅、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉄、ジメチル・ジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチル・ジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレン・ジチオカルバミン酸ピペコリン、活性化ジチオカルバメート等のジチオカルバミン酸塩類;テトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、活性テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、テトラブチルチウラム・ジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・テトラスルフィド、混合アルキル・チウラム・ジスルフィド等のチウラム類;イソプロピル・キサントゲン酸ナトリウム、イソプロピル・キサントゲン酸亜鉛、ブチル・キサントゲン酸亜鉛等のザンテート類;4,4’−ジチオジモルホリン、アミノジアルキルジチオホスフェート、亜鉛−o,o−n−ブチル・ホスホロジチオエート、3−メルカプトイミダゾリン−チオン−2、チオグリコール酸エステル等が挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独または二種以上を混合して使用することができる。
【0023】
有機過酸化物としては、例えば1,1−ジ第三ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ第三ブチルパーオキサイド、第三ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオキシ)ヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(第三ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、第三ブチルパーオキシ−イソプロピルカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、第三ヘキシルパーオキシネオヘキサネート、ジ(3−メチル−3−メチロキシブチル)パーオキシジカーボネート、第三ブチルパーオキシネオデカネート、第三ヘキシルパーオキシネオデカネート、第三ブチルパーオキシネオヘキサネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、第三ヘキシルパーキシピバレート、第三ブチルパーヘキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクテート、アセチルパーオキサイド、第三ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサネート)、ベンゾイルパーオキサイド、第三ブチルパーオキシイソイソブチレート、1,1−ビス(第三ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、第三ブチルパーオキシマレイックアシッド、第三ブチルパーオキシラウレート、第三ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサネート、シクロヘキサノンパーオキサイド、第三ブチルパーオキシアリルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(第三ブチルパーオキシ)オクタン、第三ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(第三ブチルパーオキシ)ブタン、第三ブチルパーオキシベンゾエート、ブチル−4,4−ビス(第三ブチルパーオキシ)バレレート、ジ第三ブチルジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、α,α’−ビス(第三ブチルパーオキシ−mーイソプロピル)シクロヘキサン、ジイソプロピルベンゼン−ヒドロパーオキサイド、pーメンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、第三ブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独または二種以上を混合して使用することができる。
【0024】
また、加硫・架橋剤として有機過酸化物を使用する場合には、共架橋剤を併用することもできる。共架橋剤としては、例えば硫黄、pーキノンジオキシム、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’ージベンゾイルキノンジオキシム、NーメチルーN’ー4ージニトロソアニリン、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、ジペンタメチレンチウラムペンタスルフィド、ジニトロソベンゼン、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアジンチオール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメトロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルメラミン、ジビニルアジペート、ビニルブチラート、ビニルステアレート、液状ポリブタジエンゴム、液状ポリイソプレンゴム、液状スチレンーブタジエンゴム、液状アクリロニトリルーブタジエンゴム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アルミニウム、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸第一錫、(メタ)アクリル酸マグネシウム等が挙げられる。これらの共架橋剤は、単独または二種以上を混合して使用することができる。
【0025】
キノイド加硫剤としては、例えばp−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロベンゼン等が挙げられる。これらのキノイド加硫剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
樹脂加硫剤としては、例えばアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド縮合物、トリアジン−ホルムアルデヒド縮合物、オクチルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール・スルフィド樹脂、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。金属酸化物加硫剤としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物加硫剤は、単独または二種以上を混合して使用することができる。
【0026】
含硫黄有機加硫剤としては、例えばモルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、N、N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、チウラムポリスルフィド、2ー(4’ーモルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。これらの含硫黄有機加硫剤は、単独または二種以上を混合して使用することができる。
【0027】
ポリアミン系加硫剤としては、例えばヘキサメチレンジアミンカルバメ−ト、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレン・テトラミン、テトラエチレン・ペンタミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)カルバメ−ト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、アンモニウムベンゾエ−ト等が挙げられる。これらのポリアミン系加硫剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。トリアジン系加硫剤としては、例えば2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらのトリアジン系加硫剤は、単独または二種以上を混合して使用することができる。
【0028】
ポリオ−ル加硫剤としては、例えばビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAF、ハイドロキノン、ペンタエリトリト−ル等が挙げられる。これらのポリオール系加硫剤は、単独または二種以上を混合して使用することができる。金属石けん加硫剤としては、例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等が挙げられる。これらの金属石けん加硫剤は、単独または二種以上を混合して使用することができる。マレイミド系加硫剤としては、例えばN,N’−m−フェニレンジマレイミド等が挙げられる。
【0029】
ヒドロシリル化反応用架橋剤としては、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されないが、例えば、直鎖状、分岐状、環状、または三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。ケイ素原子に結合している有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
【0030】
このようなオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、およびこれらのオルガノポリシロキサンの二種以上の混合物が例示される。
【0031】
ヒドロシリル化反応を促進させるためのヒドロシリル化反応用触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、イリジウム系触媒、パラジウム系触媒、ルテニウム系触媒が例示され、好ましくは、白金系触媒である。具体的には、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金 、アルコール変性塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体、これらの白金系触媒を含むメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性有機樹脂粉末を例示することができる。
【0032】
その他、ゴム層には、通常のゴムで使用されている各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、老化防止剤、酸化防止剤、加工助剤、活性剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、滑剤、奪水剤、ワックス、活性剤、光安定剤、カップリング剤、内部離型剤、スコーチ防止剤、発泡剤、発泡助剤、抗菌剤、素練り促進剤、蓄熱剤、電子導電付与剤、イオン導電付与剤、熱伝導付与剤、放熱剤、蓄光剤、着色剤等を添加することもできる。
【0033】
発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジアミノベンゼン、アゾシクロヘキシルニトリル等のアゾ系加熱発泡剤、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチルN,N’−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ系加熱発泡剤、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)、トルエンスルフォニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルフォニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド系加熱発泡剤等の有機系加熱発泡剤、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、カルシウムアジド等の無機系加熱発泡剤が使用できる。加熱発泡剤の使用量は、目的とする発泡体の物性に応じて適宜調整すればよい。また、必要に応じて、発泡剤と併用して発泡助剤を使用してもよい。発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸、尿酸またはその誘導体などがあげられる。
安定剤(老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)としては、つぎの化合物があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
老化防止剤としては、フェニルα−ナフチルアミン(PAN)、オクチルヂフェニルアミン、N,N‘−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N‘−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPN)、N,N‘−ジアリル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン誘導体、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、アルキル化フェニレンジアミン、4,4’−α、α−ジメチルベンジルジフェニルアミン、p,p−トルエンスルフォニルアミノジフェニルアミン、N−フェニル−N‘−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロプロピル)−p−フェニレンジアミン、ジアリルフェニレンジアミン混合物、ジアリル−p−フェニレンジアミン混合物、N−(1−メチルヘプチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン誘導体などのアミン系老化防止剤、2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)などのイミダゾール系老化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのフェノール系老化防止剤、ニッケルジエチル−ジチオカーバメイトなどのリン酸塩系老化防止剤、トリフェニルホスファイトなどの2次老化防止剤などがあげられる。これらの老化防止剤は単独あるいは二種以上を併用してもよい。
【0035】
また、光安定剤や紫外線吸収剤としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−2−シアノ−3,3‘−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−ジアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、モノグリコールサリチレート、オキザリック酸アミド、2,2‘,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどがあげられる。これら安定剤は単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0036】
加工助剤としては、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸塩、高級脂肪族アミン、高級脂肪酸アミド、高級アルコール、リン酸エステルなどを挙げることができる
【0037】
導電付与剤としては、炭素系、金属系(合金含む)、金属複合系、磁性材料である。炭素系は、炭素繊維、炭素複合繊維、カーボンブラック、黒鉛などである。金属系は、金属繊維、金属粉末、金属フレーク。金属複合系は、金属表面処理繊維であり、例えば金属めっき繊維、金属コーティング繊維、金属被覆繊維、金属蒸着繊維である。磁性材料は、軟磁性粉、各種フェライト、(ニッケルマンガン系など)、酸化亜鉛ウィスカーである。
【0038】
本発明のゴム層は、JIS K6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬さが、5〜60である。好ましくは10〜55である。さらに好ましくは15〜50である。5未満では、機械的強度が不足し好ましくない。一方、60を超えると成形物の柔軟性が乏しくなり、凹凸や比較的小さな曲率で湾曲するような部位に対しての追随性が不十分となり、隙間を埋めることができなくなり電磁波シールド性に支障を来たし好ましくない。
【0039】
本発明の金属メッシュ層を構成する金属メッシュとしては、金属単独でメッシュ化したもの、または金属表面処理繊維をメッシュ化したものである。さらに、金属多孔体(発泡金属)も金属単独のメッシュに含まれる。
金属単独でメッシュ化する場合、その金属としては、アルミニウム、真鍮、銅、モネル、ニッケル、銀、スズ、ステンレス、チタン、ニオブ、鉄、金、プラチナ等であり、これら金属の2種以上の合金(例えば銅−ニッケル合金、ステンレス等)、さらには金属化合物等の金属系材料が用いられる。また、酸化防止等、必要に応じて表面をメッキ処理したものも適宜に用いることができる。そのうち、アルミニウム、真鍮、銅、モネル、ニッケル、銀、スズ、ステンレス、チタン、ニオブなど、延性のある金属が好ましい。 中でも、アルミニウムが、柔らかいこと、価格的にも好ましい。
【0040】
金属表面処理繊維をメッシュ化する場合は、例えば金属めっき繊維、金属コーティング繊維、金属被覆繊維、金属蒸着繊維である。
金属被覆繊維としては、炭素繊維の表面に金属含有量が炭素繊維の質量に対して1〜100質量%、好ましくは20〜50質量%の金属酸化物で被覆したもので、例えば、炭素繊維を金属酸化物の前駆体溶液である金属アルコキシド、金属塩化物、金属硫化物、金属硝酸塩、金属酢酸塩等の水溶性アルコキシドまたは塩類の水や有機溶媒若しくはこれらの混合物溶液に浸漬させ、炭素繊維表面に金属イオンあるいは化合物を供給、吸着させながら、加熱酸化反応により炭素繊維表面にフェライト化合物等の金属酸化物被膜を生成させることによって製造される。その他にメッキ法(電解、無電解)、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、蒸着法などにより金属を被覆する方法であってもよい。この金属被覆炭素繊維の原料となる炭素繊維としては、市販されている一般的なフェノール樹脂、レーヨン、ポリアクリロニトリル等の高分子繊維、石油系ピッチ、炭素系ピッチ、液晶系ピッチ等のピッチ系繊維等を原料とする炭素繊維の何れも使用でき、特に限定されるものではない。しかし、製造の容易さおよび得られる品質の安定性等の観点から、主としてポリアクリロニトリル系繊維が好ましい。
【0041】
炭素繊維に被覆する金属の量は、炭素繊維100重量部に対して1〜100重量部の範囲内となるよう用いることが好ましい。金属量が1重量部未満となると電磁波シールド性が低下する傾向にあり、100重量部を超えると比重が増大する傾向にあり好ましくない。また、被覆された金属層の厚さは0.05〜2.0μm、好ましくは0.1〜1.0μmである。
【0042】
炭素繊維に被覆される金属酸化物は、Ni、Fe、Cr、Mn、Cu、Zn、Co、Al、Si、Ti、Zr、Ga、Sn、V等の少なくとも一種類以上の金属を含む酸化物であり、これらの金属酸化物の中でも、磁性酸化物であるNiフェライト等のフェライト化合物を被覆した炭素繊維は、特に電磁波吸収機能を発揮するので好ましい。尚、炭素繊維の金属被覆は、金属酸化物で被覆することに限定されるものではなく、メッキ法、蒸着法などによって、金属膜で被覆することでもよい。
【0043】
金属メッシュ層に用いられる金属メッシュは、そのメッシュ化の方法として、織網と多孔体の方法がある。織網としては、平織、綾織、畳織、スパークメタル、クランプ等があり、一体物としてエキスパンドメタル、パンチングメタルがある。このうち、特にエキスパンドメタル、パンチングメタルが、形成される網目が継ぎ目を持たない一体型構造のため、力学的な強度、特にせん断変形応力は、他の金網に比べ非常に優れており好ましい。また、所定のサイズに裁断しても、端面からのほつれも生じない。

【0044】
金属メッシュ層に用いられる金属メッシュのメッシュサイズは、20メッシュ〜200メッシュ、好ましくは30メッシュ〜150メッシュ、さらに好ましくは40メッシュ〜100メッシュである。20メッシュ未満では、電磁波シールド性に問題があり、200メッシュを超えると、ゴム層(A)との密着性に問題が生じ、好ましくない。(なお、ここでは、多孔体においては、1インチ当りの孔(セル)の数がn個の場合を、便宜的にnメッシュと表現する)
金属メッシュ層に用いられる金属メッシュの厚さは、0.01mm〜0.1mmである。好ましくは0.02mm〜0.08mm、さらに好ましくは0.03mm〜0.06mmである。0.01mm未満では、メッシュの強度が不足し、0.1mmを超えると硬さが高くなり好ましくない。
本発明の積層体は、難燃性と復元性が必要とされるため、加硫成形物が好ましい。特にその形態は、スポンジゴム状よりもソリッドゴム状が好ましい。スポンジゴム状では、セル(空隙)が存在するために難燃性と復元性に関しては、ソリッドゴム状に比し大幅に劣る。
【0045】
上記、ゴム層、金属メッシュ層を積層化するにあたって、本発明の積層体の構成は、金属メッシュ層の両側をゴム層とするものであり、金属メッシュ層が一層の場合は、ゴム層/金属メッシュ層/ゴム層の構成である。金属メッシュ層が二層の場合は、ゴム層/金属メッシュ層/ゴム層/金属メッシュ層/ゴム層の構成である。三層以上の場合も、両側がゴム層となる構成の繰り返しとなる。
ゴム層は、全て同一組成であってもよいし、また各々異なる組成であってもよい。一方、金属メッシュ層は、同一金属メッシュであってもよいし、各々異なる金属メッシュであってもよい。
本発明の積層体の形状としては、多角柱、凸多角柱、角丸多角柱、星多角柱、円柱、楕円柱、長円柱などが挙げられる。このうち、圧縮永久歪の観点から、中空を除いた形状が好ましい。特に好ましくは、凸多角柱であり、さらに好ましくは直方体(立方体を含む)である。
積層体の形状が,直方体(立方体を含む)であって、その長軸あるいは短軸に沿って金属メッシュ層が形成されているのが好ましい。
積層体の形状が,直方体(立方体を含む)であって、長軸あるいは短軸の対角面上に金属メッシュ層が形成されるのがより好ましい。この場合は、いずれの軸方向からの電磁波に対しても、シールド可能となる。
【0046】
次に本発明の積層体の製造方法について述べる。
本発明のゴム層は、以下に示す二つの方法のいずれかによって得ることができる。
(1)[二段練り方法] 適当な容器に軟化剤及び/又は可塑剤を計量し、次いで、増粘付与剤、増粘促進剤を計量して前記容器内に入れて混合する。この場合常温又は加熱しながら撹拌してもよい。このようにして得られた増粘物と、ゴム及び/または樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)、難燃剤、充填剤を混練機に投入して混練りする。
(2)[一段練り方法] ゴム及び/または樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)、難燃剤、軟化剤及び/または可塑剤、増粘付与剤、増粘促進剤、充填剤を混練機に順次投入して混練中の発熱を利用して増粘させることにより混練りする方法。
【0047】
上記のいずれの方法においても、混練時に加硫剤、加硫促進剤その他の添加剤を添加してもよい。また、混練物を取り出して後、ロール等で添加してもよい。上記混練機としては、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等である。
【0048】
ゴム層と、金属メッシュ層からなる積層体は、次のいずれかの方法によって成形することができる。
(一)ゴム層の上に金属メッシュ層を重ね、更にその上にゴム層を重ねて一度に加硫する方法。
(二)予めゴム層を加硫して、その上に金属メッシュ層を重ね、更にその上にゴム層を重ねて再び加硫する方法。
【0049】
本発明によって得られた積層体は、電磁波シールド性に優れていることはもちろん、難燃性、柔軟性に優れているために凹凸や比較的小さな曲率で湾曲するような部位に対しても十分追随性があり、完全に隙間を埋めることができ電磁波の侵入を防止することが可能となる。すなわち、金属と金属との間隙に使用される電磁波シールド用のガスケット材として好適である。
【0050】
(実施例)以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない
実施例および比較例中の各種評価は、次のようにして行った。
(硬さ試験)
JIS K6253に従い測定した。
(電磁波シールド性)
KEC法(電界、磁界)100KHz〜1GHzの電磁波シールド性を測定した。テスターはアンリツ電気製のMA8602Bを用いた。
(難燃性)
UL94規格に従って評価した。
【実施例1】
【0051】
本発明のゴム層として、表1のゴム層1を用いた。ゴム層1の配合内容で、二段練り方法により、ニーダー混練り及びロール作業を行った。いずれも良好な作業性であった。このものについて、2.5mmでシート出しの後、160mm×160mm×2.5mmに予備成形したものを、170℃、15分プレス加硫し、加硫シートを作製した。このシートからJIS3号ダンベル試験片を打ち抜き、硬さ試験(JIS K6253)を行った。JIS K6253デュロメータ硬さタイプAは、38であった。
積層体は、金属メッシュ層を構成する金属メッシュとしてコスモ社製のエキスパンドメタル(アルミ製、40メッシュ、厚さ0.04mm)の金属メッシュを用い、ゴム層/金属メッシュ層/ゴム層の順に重ねて、170℃で15分間プレス加硫し、150mm×150mm×2mmの積層体を得た。
積層体の硬さは、40であった。次にこの積層体を用いて電磁波シールド性を測定した。その結果を表2に示した。電界、磁界ともに優れたシールド性を示した。
さらに、難燃性は、UL94 V0を満たした。
【実施例2】
【0052】
ゴム層として表1のゴム層2を用いた他は、実施例1と同様にして評価した。JIS K6253デュロメータ硬さタイプAが、30であった。
一方、積層体の硬さは、32であった。次にこの積層体を用いて電磁波シールド性を測定した。その結果を表3に示した。電界、磁界ともに優れたシールド性を示した。
さらに、難燃性は、UL94 V0を満たした。
【実施例3】
【0053】
ゴム層として表1のゴム層3を用い、金属メッシュとして、コスモ社製のエキスパンドメタル(アルミ製、80メッシュ、厚さ0.06mm)を用いた他は、実施例1と同様にして評価した。
積層体の硬さは、39であった。次にこの積層体を用いて電磁波シールド性を測定した。
その結果を表4に示した。電界、磁界ともに優れたシールド性を示した。
さらに、難燃性は、UL94 V0を満たした。
(比較例1)
【0054】
金属メッシュを用いない他は、実施例1と同様にして評価した。結果を表5に示した。電磁波シールド性が著しく劣った。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属メッシュ層の両側をゴム層とする積層体において、該ゴム層のJIS K6253に規定されるタイプAデュロメータにより測定される硬さが、5〜60、好ましくは10〜55、さらに好ましくは15〜50である積層体。
【請求項2】
前記ゴム層が、ゴム及び/または樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)、難燃剤、軟化剤及び/または可塑剤、増粘付与剤、充填剤、加硫剤を含む請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
ゴム層を構成するゴムが、IIR及び/またはEP(D)Mを含む請求項1〜請求項2のいずれかに記載の積層体。
【請求項4】
金属メッシュ層を構成する金属メッシュが、アルミニウム、真鍮、銅、モネル、ニッケル、銀、スズ、ステンレス、チタン、ニオブから選択される金属メッシュである請求項1〜請求項3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
前記金属メッシュのメッシュサイズが、20メッシュ〜200メッシュである請求項1〜請求項4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
金属メッシュの厚さが、0.01mm〜0.1mmである請求項1〜請求項5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
金属メッシュが、エキスパンドメタルまたはパンチングメタルである請求項1〜請求項6のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
積層体中に金属メッシュ層を少なくとも一層含む請求項1〜請求項7のいずれかに記載の積層体。
【請求項9】
ゴム層が、加硫ゴムであって、ソリッドゴム状である請求項1〜請求項8のいずれかに記載の積層体。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれかに記載の積層体において、ゴム層/金属メッシュ層/ゴム層の順に重ねて一度に加硫する方法、または、まず、ゴム層を加硫し、その上に金属メッシュを重ね、更にその上に新たにゴム層を重ねて加硫方法によって得られる積層体の製造方法。
【請求項11】
積層体の形状が直方体(立方体を含む)であって、その長軸あるいは短軸に沿って金属メッシュ層が形成されてなる請求項1〜請求項10のいずれかに記載の積層体。
【請求項12】
積層体の形状が直方体(立方体を含む)であって、その長軸あるいは短軸の対角面上に金属メッシュ層が形成されてなる請求項1〜請求項10のいずれかに記載の積層体。
【請求項13】
請求項1〜請求項12のいずれかに記載の積層体を用いた電磁波シールド用ガスケット。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のいずれかに記載の積層体を用いた液晶ディスプレイ、カーナビゲーション、携帯電話、無線機、ゲーム機、コンパクトカセット、CDプレイヤー、デジタルカメラ、テレビ、DVDプレイヤー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子レンジ、コネクターやケーブル等の長尺物、ハードディスクレコーダー、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、ビデオカメラ、プリンター、プラズマディスプレイ、ミニディスク、ラジオ、ワープロ、工作機器、ロボット、医療機器、建材、電気自動車の電気二重層キャパシタの
分極式電極、電池の電極材料、計測機器及びCATVの中継機器。

【公開番号】特開2011−25501(P2011−25501A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172970(P2009−172970)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(302067844)株式会社ツーワン (12)
【Fターム(参考)】