説明

難燃性の、ハロゲンを含まない組成物

(1)(a)25〜90重量%のエチレンおよび10〜75重量%の酢酸ビニルを含むEVA、(b)LLDPE、(c)LDPE、(d)VLDPE、(e)HDPE、またはそれらの混合物から選択されるポリオレフィンと、(2)(f)約10〜約50重量%の、エチレンと約1重量%〜約15重量%の官能性コモノマーとのコポリマー、および(g)約50重量%〜約90重量%の、エチレンをベースとするポリマーから作製されるカップリング剤と、(3)難燃性無機充填剤とのブレンドである難燃性の、ハロゲンを含まないポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲンを含有せず、難燃性であるポリマー組成物、およびそれから作製された造形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニル(PVC)生成物は、長年市場に出ており、多種多様な用途でよく使用されている。塩素を含まない環境に向かう傾向により、建築、ならびにワイヤおよびケーブル産業などある種の市場区分では、PVCの代替物が必要とされている。複数のハロゲンを含まない難燃性化合物はすでに市場で入手できるが、困難な混合プロセスを必要とする。これらの化合物は、ワイヤおよびケーブル、ならびに床タイルの製造業者自体、専門知識をもたない場合が多いので、しばしば専門のコンパウンド業者によって生成される必要がある。
【0003】
ワイヤおよびケーブル用途では、ハロゲンを含まない難燃性材料が、火災の場合に有害ガスの発生を避けることが必要である領域で低圧ケーブルにおいて絶縁と外被とを共に提供するために望ましい。ハロゲンを含まない低圧ケーブルが有用であるこのような領域には、ホテル、病院、学校、劇場、および他のこのような公共の空間が含まれる。
【0004】
外被材料は、難燃性が高く、良好な耐熱性能および良好な物理的諸特性を有する必要がある。
【0005】
米国特許公報(特許文献1)、米国特許公報(特許文献2)、米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献4)、米国特許公報(特許文献5)は、電気ケーブル用のコーティングとしての使用に適した、PVCを含まない組成物を開示している。このような組成物には、通常はベースポリマー、ポリエチレン、またはエチレン酢酸ビニルのようなエチレン−αオレフィンコポリマー、アルミニウム三水和物や水酸化マグネシウムのような難燃性の、ハロゲンを含まない充填剤、安定剤、およびカップリング剤が含まれる。カップリング剤は、不飽和カルボン酸またはその無水物と共重合またはグラフトされたマトリックスポリマーをベースとすることができる。
【0006】
カップリング剤の目的は、難燃性充填剤をベースポリマーに結合させることである。これは、充填剤の濃度が、最終組成物の最高60〜70重量%である必要があり、したがってベースポリマーによく結合されていない場合には、生成物を非常に脆弱にする恐れがあることを考えると、必須である。
【0007】
これらのカップリング剤は、一般にエチレン、および場合によっては他の極性モノマー(アクリレート、酢酸ビニル)と、難燃性充填剤との反応を可能にするカルボン酸または無水物部分とのコポリマーとして記述することができる。シランなど知られている代替カップリング剤があるが、これらは非常に低い濃度で使用され、この用量は問題を提起している。
【0008】
(特許文献6)は、(1)エチレン酢酸ビニル一酸化炭素ターポリマー、(2)エチレン酢酸ビニルまたはポリオレフィン、(3)カルボン酸またはその無水物でグラフトされたエチレン酢酸ビニルまたはポリオレフィンであるカップリング剤、および(4)無機充填剤のブレンドを含む難燃性の、ハロゲンを含まないポリマー組成物を開示している。
【0009】
しかし、上記の従来技術文献で開示される組成物は、高い粘度値を特徴とし、したがって加工および製造が難しく、高価になる。
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,948,669号明細書
【特許文献2】米国特許第4,430,468号明細書
【特許文献3】米国特許第4,434,258号明細書
【特許文献4】米国特許第4,673,620号明細書
【特許文献5】米国特許第4,701,359号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0 893 469−A1号明細書
【特許文献7】米国特許第4,351,931号明細書
【特許文献8】米国特許第5,272,236号明細書
【特許文献9】米国特許第5,278,272号明細書
【特許文献10】米国特許第5,507,475号明細書
【特許文献11】米国特許第5,264,405号明細書
【特許文献12】米国特許第5,240,894号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、難燃性の、ハロゲンを含まないポリマー組成物であって、以下の成分
(1)(a)25〜90重量%のエチレンおよび10〜75重量%の酢酸ビニルを含むエチレン酢酸ビニル、(b)直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、(c)低密度ポリエチレン(LDPE)、(d)超低密度ポリエチレン(VLDPE)、(e)高密度ポリエチレン(HDPE)、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリオレフィンと、
(2)(f)約1重量%〜約15重量%の官能性コモノマーを含む、約10〜約50重量%の、エチレンと1つの官能性コモノマーとからなるコポリマー、および(g)約50重量%〜約90重量%の、エチレンをベースとするポリマーを含むカップリング剤と、
(3)難燃性無機充填剤とのブレンドを含み、
場合によっては例えば酸化防止剤、二酸化チタン(耐紫外線用であり、生成物に白色を付与するため)、ステアリン酸亜鉛のような処理助剤、および紫外線安定剤を含めて、通常の添加剤をさらに含む組成物が提供される。
【0012】
成分(2)は、一方では、成分(1)ポリオレフィンと成分(3)難燃性無機充填剤とのカップリングを向上させる。この向上されたカップリングは、相溶化されていないまたはカップリングされていないアロイに比べて改善された伸びから明白である。他方、成分(2)は、粘度を低減させる。低粘度は、よりよい加工性を可能にする化合物の高いメルトフローインデックスMFIから明らかである。さらに、成分(2)は、加工することがより困難である市場の他のカップリング剤より価格が低く、それによって従来技術の欠点が克服される。
【0013】
カップリング剤である成分(2)は、非官能化エチレンコポリマーと1つの官能性コポリマーとのブレンドを使用し、その官能基が、共重合によってポリマー主鎖に組み込まれる。この共重合による官能基の組込みは、(特許文献6)にあるようなグラフトされたコポリマーの使用とは対照的である。また、この共重合による官能基の組込みは、本発明の組成物において低MFI値の実現を可能にする。
【0014】
本発明による組成物は、低粘度を発現し、加工が容易であり安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、ワイヤおよびケーブルのコーティングにおいて、または床タイルでの使用のためなどのシートの形において有用である難燃性の、ハロゲンを含まない熱可塑性ポリマー組成物に関する。これらの組成物は、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー、直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、0.920g/cm以下の比密度を有するLLDPEである超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、およびそれらの混合物から選択されるポリオレフィン;約1重量%〜約15重量%の官能性コモノマーを含む、約10〜約50重量%の、エチレンと1つの官能性コモノマーとのコポリマーと、約50重量%〜約90重量%の、エチレンをベースとするポリマーとを含むカップリング剤;ならびに難燃性無機充填剤を組み合わせることによって形成される。
【0016】
本発明によるポリマー組成物は、ワイヤおよびケーブルのコーティングに、または床タイルなどに使用するためのシートの形に形成することができ、ポリ塩化ビニル(PVC)含有組成物に類似の多数の特性を有するが、ハロゲンを含まない。本発明の組成物は、向上されたカップリング性と改善された加工性を組み合わせる。
【0017】
別段の記述のない限り、本発明の組成物中の成分それぞれについて重量百分率の範囲は、添加剤が存在すればそれを除いて算出されている。
【0018】
(成分1)
本発明の成分(1)として使用する場合のEVAコポリマーは、好ましくは25〜90重量%のエチレンおよび10〜75重量%の酢酸ビニル、より好ましくは55〜75重量%のエチレンおよび15〜30重量%の酢酸ビニルを含む。一般に、これらのEVAは、ASTM D−1238(2.16kgおよび190℃で測定)によって決定して0.05〜100g/10分の範囲、好ましくは50g/10分未満のメルトフローインデックス(MFI)を有し、当技術分野でよく知られている。
【0019】
成分(1)として使用する場合のポリエチレンは、一般にASTM D−1238(2.16kgおよび190℃で測定)によって決定して0.05〜100g/10分の範囲、好ましくは50g/10分未満のメルトフローインデックス(MFI)を有し、当技術分野でよく知られている。
【0020】
成分(1)は、ポリマー成分(1)および(2)ならびに難燃性無機充填剤(3)に対して、好ましくは本発明の組成物の1〜60重量%、より好ましくは組成物の5〜35重量%、さらにより好ましくは10〜20重量%を成す。
【0021】
(成分2)
成分(2)は、約1重量%〜約15重量%の官能性コモノマーを含む、約10〜約50重量%の、エチレンと1つの官能性コモノマーとのコポリマーと、約50重量%〜約90重量%の、エチレンをベースとするポリマーとを含むカップリング剤である。
【0022】
カップリング剤成分(2)の第1下位成分(f)は、エチレンと、無水マレイン酸またはその官能性等価物とのコポリマーであるマレイン化ポリオレフィンとすることができる。このような等価物には、マレイン酸および/またはその塩など無水マレイン酸の誘導体、マレイン酸ジエステル、マレイン酸モノエステル、イタコン酸、フマル酸、フマル酸モノエステル、および/またはこれらのうちの任意の混合物が含まれる。マレイン酸ジエステルまたはモノエステル(マレイン酸半エステル)には、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、およびn−ブチルアルコールなどC1〜C4アルコールのエステルが含まれる。好ましくは、マレイン化ポリオレフィンは、エチレン、および無水マレイン酸、および/またはマレイン酸半エステルを含む。より好ましくは、マレイン化ポリオレフィンは、無水マレイン酸および/またはマレイン酸半エステル、特にモノエチルマレアート(MAME)を含む。
【0023】
本明細書で有用なマレイン化ポリオレフィンは、高圧ラジカル重合方法で得られる。本発明の実施において使用に適した高圧方法は、例えば米国特許公報(特許文献7)に記載されている。
【0024】
カップリング剤成分(2)は、第2下位成分(g)として、エチレンをベースとするポリマー(ベース樹脂)を含む。ベース樹脂は、高密度ポリエチレン(HDPE);低密度ポリエチレン(LDPE);直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE);超低密度ポリエチレン(ULDPE);メタロセン触媒を使用したエチレンとα−オレフィンモノマーとのコポリマー(メタロセンポリエチレン、すなわちMPE);エチレン/プロピレンコポリマー;またはエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)のようなターポリマーとすることができる。
【0025】
さらに、適切なベース樹脂は、エチレンおよび極性モノマーから調製されたエチレンコポリマーを含むことができる。このような適切なコポリマーには、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、エチレンアクリル酸および/またはメタクリル酸コポリマーから誘導される塩、エチレンアクリル酸エステルコポリマー、エチレンメタクリル酸エステルコポリマー、および/またはこれらのうちの任意の混合物を含めて、エチレンアクリレートコポリマーおよびエチレンビニルアセタートコポリマーが含まれる。エチレン酸コポリマーは、E/X/Yコポリマーとして記述することができる(ただし、Eは、エチレンであり、Xは、α,βエチレン性ジカルボン酸誘導体、具体的には無水マレイン酸および無水マレイン酸のモノエステルであり、Yは、アクリレート(アクリル酸メチルまたはアクリル酸ブチル)や酢酸ビニルのような軟化用コモノマーである。
【0026】
好ましくは、ベース樹脂は、軟質ポリマーである。より好ましくは、ベース樹脂は、MPE、LLDPE、およびエチレンとアクリレートとのエチレンコポリマーである。最も好ましくは、ベース樹脂は、MPEである。
【0027】
特定の理論に拘泥するものではないが、MPEは、その実質的に線状の構造および狭い分子量分布のため、本発明の実施において好ましいものとなり得る。MPE技術は、本発明の第2成分として望ましいものとなり得る、高い柔軟性および低い結晶化度をもつより低い密度のMPEを作製することができる。
【0028】
MPE技術は、例えば米国特許公報(特許文献8);米国特許公報(特許文献9)、米国特許公報(特許文献10)、米国特許公報(特許文献11)、および米国特許公報(特許文献12)に記載されている。
【0029】
カップリング剤成分(2)は、カップリング剤の全重量に対して約10〜約50重量%のエチレン無水マレイン酸コポリマーまたはその官能性等価物を含む。カップリング剤は、好ましくは約10〜約45重量%のマレイン化ポリオレフィンを含み、組成物は、より好ましくは約15〜約40重量%のマレイン化ポリオレフィン、最も好ましくは約15〜約35重量%のマレイン化ポリオレフィンを含む。
【0030】
カップリング剤は、カップリング剤組成物の全重量に対して約50〜約90重量%の、エチレンをベースとするポリマーを含む。カップリング剤は、好ましくは約55〜約90重量%、より好ましくは約60〜約85重量%、最も好ましくは約65〜約85重量%の、エチレンをベースとするポリマーを含む。
【0031】
上記に挙げる概括的定義に包含されるカップリング剤の一例は、EMAME(エチレンとモノエチルマレアートとのコポリマー)およびエチレンとアルキルアクリレートとのコポリマーの溶融ブレンドである。
【0032】
したがって、カップリング剤である成分(2)は、その第1下位成分(f)として、非官能化エチレンコポリマーと1つの官能性コポリマーとのブレンドを使用すし、その官能基が、共重合によってポリマー主鎖に組み込まれる。典型的な例は、モノエチルマレアートで共重合された、すなわちMAME官能基が共重合によって組み込まれたエチレンであるEMAMEである。別の例は、MAH官能基も共重合によって組み込まれた、エチレンと無水マレイン酸とのコポリマーであるEMAHである。この共重合による官能性コポリマーの官能基の組込みは、無水マレイン酸でグラフトされたエチレン酢酸ビニルであるEVA+MAHに代表される、(特許文献6)にあるようなグラフトされたコポリマーの使用とは対照的である。また、下記の実施例によって実証されるように、この共重合による官能基の組込みは、本発明の組成物において低MFI値の実現を可能にする。
【0033】
カップリング剤成分(2)は、好ましくは組成物の1〜50重量%を成し、好ましくは成分(1)、(2)、および(3)の全重量の1〜15重量%を成す。
【0034】
(成分3)
成分(3)は、難燃性無機充填剤である。適切な充填剤は、当技術分野で知られている。特有の好ましい難燃性無機充填剤には、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、焼成粘土、タルカム、ポリリン酸アンモニウム、およびそれらの混合物が含まれる。他の難燃性無機充填剤には、ポリリン酸アンモニウムおよび含リンメラミンシアヌレートの単独、またはホウ酸亜鉛のような相乗剤との組合せが含まれる。
【0035】
成分(3)は、ポリマー成分および難燃性無機充填剤に対して好ましくは本発明の組成物の20〜85重量%、より好ましくは組成物の50〜70重量%、さらにより好ましくは60〜70重量%を成す。
【0036】
(添加剤)
そのポリマーおよび難燃性無機充填剤成分に加えて、本発明の組成物は、ポリマーコンパウンド技術分野において知られている酸化防止剤、紫外線安定剤、滑沢剤(例えば、オレアミド)、粘着防止剤、帯電防止剤、ワックス、顔料、二酸化チタン、タルク、および他の処理助剤(例えば、ステアリン酸亜鉛)など通常の添加剤とブレンドすることができる。添加剤は、ポリマー成分、難燃性充填剤、および添加剤に対して全組成物の最高約10重量パーセントを成すことができる。
【0037】
(ブレンディング)
本発明の組成物は、ポリマー材料、難燃性充填剤、およびオプションの添加剤を、通常の混練装置、例えばゴム用ロール機、ブラベンダーミキサ、バンバリーミキサ、Buss−Koニーダ、ファレル連続ミキサ、または二軸連続ミキサを使用してブレンドすることによって調製することができる。混合時間は、均質なブレンド、および無水マレイン酸基と難燃性充填剤(成分(3))との適切な反応を得るのに十分な程度にすべきである。通常は、混合時間約5分間、および混合温度160℃で十分である。ポリマーブレンドが非均質である場合、追加の混合が必要である。
【実施例】
【0038】
以下の実施例によって、本発明をさらに理解することができる。この実施例では、部および百分率は重量によるものであり、温度は摂氏度である。
【0039】
【表1】

【0040】
表1は、試料1〜7として特定された異なる7個の組成物の成分(1)、(2)、および(3)の量を重量%で示す。
【0041】
全試料では、成分(1)は、2つの下位成分(1)−1および(1)−2の混合物からなるものであった。下位成分(1)−1は、エルバックス(ELVAX)(登録商標)265という商標で本願特許出願人から入手可能なエチレン酢酸ビニル(EVA)であった。下位成分(1)−2は、PELLD−2045という商標でダウケミカルカンパニー(Dow Chemical Company)から入手可能な直鎖低密度ポリエチレンであった。
【0042】
試料2および5は、(特許文献6)に記載されるタイプの比較カップリング剤(2)−C1を含有した。カップリング剤は、この比較例では、本願特許出願人からフサボンド(FUSABOND)(登録商標)MB226Dという商標で入手可能な、グラフトされたMAH官能基を有する直鎖低密度ポリエチレンからなるものであった。
【0043】
試料3および6は、アトフィナ(Atofina)からロタダー(LOTADER)(登録商標)3420という商標で入手可能な、エチレンとアクリレートと無水マレイン酸とのターポリマーEEMAHからなる比較カップリング剤(2)−C2を含有した。
【0044】
試料4および7のカップリング剤は、本発明による低コストの改質剤であった。これは、MFIが30であり、実験用高圧反応器で作製されたエチレンと6重量%のモノエチルマレアート(MAME)とのコポリマー15重量%;およびエチレンをベースとするポリマー、すなわち本願特許出願人からエルバロイ(ELVALOY)(登録商標)3427 ACという商標で入手可能な、MFIが4であるエチレンと27重量%のブチレンアクリレートとのコポリマー85%をベースとするプレコンパウンドからなるものであった。前記プレコンパウンドを、同方向回転二軸押出機で、標準状態、すなわち溶融温度設定150〜200℃で調製し、その間2成分を「ごま塩状」ブレンドとして供給した。
【0045】
全ての試料の無機充填剤成分(3)は、Martinswerke GmbHからマグニフィン(Magnifin)(登録商標) OL 104LEという商標で入手可能なアルミニウム三水和物(ATH)であった。
【0046】
要約すれば、試料1、2、3、5、および6は、比較組成物であり、試料4および7は、本発明による例を表す。
【0047】
試料1〜7を、「結合」下で上記に示したように調製し、その破断点伸び、引張強さ、およびメルトフローインデックス(MFI)を測定するための試験にかけた。破断点伸びおよび引張強さは、ツビック(Zwick)引張試験機で標準ISO 527−1に従って測定した。MFIは、ASTM 1246に従って160℃/21.6kgで測定した。それぞれの試料について得られた測定値を表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】
比較試料1は、カップリング剤を含有しなかった。測定された破断点伸び、引張強さ、およびMFIはすべて低い値であったことが理解できる。これは、製造上の問題を招く不十分なカップリング、および低流動性/高粘度を示唆するものである。
【0050】
一方では、比較試料2および5が、他方では、3および6が、改善されたカップリングを示唆するより大きい(改善された)伸びおよび引張強さを示すが、依然として製造上の問題を招く低流動性/高粘度を示唆する低MFI値を有する。さらに、このカップリングの改善は、カップリング剤のコスト、および高い加工コストのため相対的に高いコストを伴う。
【0051】
本発明による試料4および7は、十分な/良好なカップリングを示唆する良好な/大きい伸びおよび引張強さを、高MFI(高流動性、低粘度)ならびにカップリング剤の低コストおよびより低い加工コストによって実質的により低いコストと組み合わせて示す。
【0052】
表2から、本発明は、全て本明細書の上記に記載したように測定して、特に20超の破断点伸び、11超の引張強さ、およびはるかに3を超えた、特に3.3超のMFIを組み合わせた難燃性ポリマー組成物を提供することが理解できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性の、ハロゲンを含まないポリマー組成物であって、以下の成分:
(1)(a)25〜90重量%のエチレンおよび10〜75重量%の酢酸ビニルを含むエチレン酢酸ビニル、(b)直鎖低密度ポリエチレン、(c)低密度ポリエチレン、(d)超低密度ポリエチレン、(e)高密度ポリエチレン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリオレフィンと、
(2)(f)約1重量%〜約15重量%の官能性コモノマーを含む、約10〜約50重量%の、エチレンと1つの官能性コモノマーとからなるコポリマー、および(g)約50重量%〜約90重量%の、エチレンをベースとするポリマーを含むカップリング剤と、
(3)難燃性無機充填剤と
のブレンドを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
成分(1)が組成物の1〜60重量%を成し、成分(2)が組成物の1〜50重量%を成し、成分(3)が組成物の20〜85重量%を成すことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(1)が組成物の5〜35重量%を成し、成分(2)が組成物の1〜15重量%を成し、成分(3)が組成物の50〜70重量%を成すことを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(3)が、アルミニウム三水和物、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、焼成粘土、タルカム、ポリリン酸アンモニウム、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分(2)の下位成分(f)が、エチレンと無水マレイン酸またはその官能性等価物とからなるコポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
成分(2)の下位成分(f)が、エチレンとモノエチルマレアートとのコポリマー(EMAME)からなることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
下位成分(g)のエチレンをベースとするポリマーが、高密度ポリエチレン(HDPE);低密度ポリエチレン(LDPE);直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE);超低密度ポリエチレン(ULDPE);メタロセン触媒を使用したエチレンとα−オレフィンモノマーとのコポリマー(メタロセンポリエチレン、すなわちMPE);エチレン/プロピレンコポリマー;およびエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)のようなターポリマーから選択されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物から形成されることを特徴とする造形品。

【公表番号】特表2007−512426(P2007−512426A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541679(P2006−541679)
【出願日】平成16年11月23日(2004.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/039439
【国際公開番号】WO2005/054361
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】