説明

難燃性エポキシ樹脂組成物及びその硬化物

本発明は、(a)エポキシ樹脂及び(b)式(1)で表される構造を持つフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、該組成物の硬化方法、該組成物を用いたワニス・プリプレグ・シート、式(1)で表されるポリアミド樹脂を有効成分とするエポキシ樹脂硬化剤に関するものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、薄膜状に成形した場合でも十分なフレキシビリティを有し、ハロゲン系難燃剤、アンチモン化合物等の難燃剤を含有しないにもかかわらず難燃性を有し、耐熱性、接着性に優れているため、成形材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジスト等の広範囲の用途にきわめて有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂硬化剤、該エポキシ樹脂硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関するものである。
【背景技術】
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来、最も一般的に使用されてきたエポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂の硬化剤としては酸無水物やアミン系化合物が知られているが電気・電子部品分野では耐熱性などの信頼性の面からフェノールノボラックが使用されることが多い。また、硬化物に難燃性を賦与する目的で難燃剤が使用され、難燃剤としてはテトラブロモビスフェノールA及びそのエポキシ化物、或いはテトラブロモビスフェノールAにビスフェノールA型エポキシ樹脂を反応させた化合物などの臭素を含有する化合物が一般的に知られている。
しかしながら、前記したような臭素を含有する化合物は、難燃性には優れているものの廃棄、焼却時に環境汚染の原因となる物質を発生させる可能性がある点が指摘されている。また難燃性助剤として使用されるアンチモン化合物も同様にその毒性が懸念されている。近年の環境保護意識の高まりからエポキシ樹脂組成物においてもハロゲンフリー、アンチモンフリーの要望が高まっている。また、フェノールノボラックを硬化剤として使用したエポキシ樹脂の硬化物は信頼性には優れているものの、その硬化物は剛直でフレキシビリティーに欠ける。近年の電気・電子部品の形態としては、従来の大型パッケージやガラス繊維を基材とした剛直な基板を用いた板状のものだけではなく、ポリイミドフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムまたは金属箔等の柔軟性を持つシート状基板を用いたシート状のもの(成形物)が開発されている。該成形物は通常、シート状基板上にワニスの状態でエポキシ樹脂組成物を塗布し、溶剤を除去し、次いで塗布されたエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより製造される。この場合得られる硬化物は十分なフレキシビリティー及びポリイミドなどの基材に対する高い接着性を有することが要求される。また、電気・電子部品の信頼性という面からは硬化物の耐熱性が要求されている。
一方、従来のエポキシ樹脂の脆弱性を改良したエポキシ樹脂組成物として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂およびフェノール性水酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂の3者を含有するエポキシ樹脂組成物が特開2000−313787号公報に開示され、耐熱性と強靱性を有するものであることが記載されている。しかしシート状基板に対応できるフレキシビリティーや難燃性については触れられておらず、これらの点でまだ満足すべきものでないものと思われる。
【発明の開示】
本発明者らはこうした実状に鑑み、硬化したとき、臭素系などの難燃剤を含有すること無しに難燃性を有し、かつ耐熱性、接着性に優れ、更にシート状に成形しても十分なフレキシビリティーを有する硬化物を得ることができるエポキシ樹脂組成物を求めて鋭意研究した結果、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は、
1.(a)エポキシ樹脂及び(b)下記式(1)

(式中、l、mは平均値で、m/(l+m)≧0.05を示し、またl+mは2〜200の正数である。Arは2価の芳香族基、Arはフェノール性水酸基を有する二価の芳香属基、Ar
−NH−ph(R)n−NH−または
−NH−ph(R)n−X−ph(R)n−NH−
を示し、−ph(R)n−、−ph(R)n−若しくは−ph(R)n−はそれぞれR置換、R置換もしくはR置換のフェニレン基、または非置換のフェニレン基を示し、nは0〜3の整数、R、RまたはRは独立にC1〜C3アルキル基、C1〜C3アルコキシ基、XはO、S、CO、SOまたは単結合を示す)
で表される構造を有するポリアミド樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、
2.成分(a)中のエポキシ基1当量に対して、成分(b)中の活性水素当量が0.7〜1.2当量である上記1に記載のエポキシ樹脂組成物、
3.組成物中に含まれる全硬化剤に対する成分(b)のポリアミド樹脂の含量割合が30重量%以上である上記1に記載のエポキシ樹脂組成物、
4.組成物全体に対して成分(a)のエポキシ樹脂10〜50重量%および成分(b)の硬化剤50〜98重量%を含有する上記1に記載のエポキシ樹脂組成物、
5.Ar
−NH−ph(R)n−NH−または
−NH−ph(R)n−O−ph(R)n−NH−
で示される基である上記1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
6.成分(b)のポリアミド樹脂が下記式(3)

(式中l及びmは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で表される構造を有する化合物である上記1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
7.成分(b)のポリアミド樹脂が下記式(4)

(式中l及びmは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で表される構造を有する化合物である上記1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
8.l+mが2〜20の正数である上記1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
9.成分(a)がノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上である上記1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
10.成分(a)が下記式(2)

(式中、pは平均値を表し、0.1〜10の正数を表す。)
で表されるビフェニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂である上記8に記載のエポキシ樹脂組成物、
11.硬化促進剤を含有する上記1〜4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
12.上記1〜11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解してなるワニス、
13.ワニス全体に対して、溶剤含量が10〜70重量%であり、残部が上記12に記載のエポキシ樹脂組成物であるワニス、
14.溶媒がC4〜C6の脂肪族ケトン系溶媒である上記13に記載のワニス、
15.平面状支持体の両面又は片面に請求の範囲第1〜11項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の層を有するシート、
16.平面状支持体の両面又は片面に上記1〜11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の層を硬化して得られる硬化物層を有するシート、
17.平面上支持体がポリイミドフィルム、金属箔または剥離フィルムである上記15または16に記載のシート、
18.上記12に記載のワニスを基材に含浸させ、乾燥して得られるプリプレグ、
19.上記1〜11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を加熱することを特徴とするエポキシ樹脂組成物の硬化方法、
20.下記式(1)

(式中、l、mは平均値で、m/(l+m)≧0.05を示し、またl+mは2〜200の正数である。Arは2価の芳香族基、Arはフェノール性水酸基を有する二価の芳香属基、Ar
−NH−ph(R)n−NH−または
−NH−ph(R)n−X−ph(R)n−NH−
を示し、−ph(R)n−、−ph(R)n−若しくは−ph(R)n−はそれぞれR置換、R置換もしくはR置換のフェニレン基、または非置換のフェニレン基を示し、nは0〜3の整数、R、RまたはRは独立にC1〜C3アルキル基、C1〜C3アルコキシ基、XはO、S、CO、SOまたは単結合を示す)
で表される構造を有するポリアミド樹脂を有効成分とするエポキシ樹脂硬化剤、
21.Ar
−NH−ph(R)n−NH−または
−NH−ph(R)n−O−ph(R)n−NH−
で示される基である上記20に記載のエポキシ樹脂硬化剤、
に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明において使用されるポリアミド樹脂としては、ポリマー構造中に前記式(1)で表される構造を持つフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂が使用される。このようなフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂は、例えば特開平8−143661号公報に具体的に記載されているフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂と同様に、前記式(1)に対応するフェノール性水酸基を有する芳香族ジカルボン酸(以下フェノール性水酸基含有芳香族ジカルボン酸ともいう)、前記式(1)に対応するフェノール性水酸基を有しない芳香族ジカルボン酸と前記式(1)に対応する芳香族ジアミン(後記式(i)または(ii)で表わされるジアミン)とを縮重合させることにより製造することができる。
縮重合に際しては、縮合剤としての亜リン酸エステルとピリジン誘導体の存在下に行うと、官能基であるフェノール性水酸基を保護することなしに、更にフェノール性水酸基と他の反応基、例えばカルボキシル基やアミノ基との反応を起こすことなしに、直鎖状の芳香族ポリアミド樹脂を容易に製造できる。また、縮重合に際して高温を必要としない、すなわち約150℃以下で縮重合可能という利点も有する。
前記式(1)に対応する芳香族ジアミンとしては、下記式
(i)HN−ph(R)n−NHまたは
(ii)HN−ph(R)n−X−ph(R)n−NH
(式中、−ph(R)n−、−ph(R)n−若しくは−ph(R)n−はそれぞれR置換、R置換もしくはR置換のフェニレン基、または非置換のフェニレン基を示し、nは0〜3の整数、R、RまたはRは独立にC1〜C3アルキル基、C1〜C3アルコキシ基、XはO、S、CO、SOまたは単結合を示す)で表わされる芳香族ジアミンが挙げられ、式(i)のフェニレンジアミンまたは式(ii)でX=Oであるジアミノジフェニルエーテルが好ましい。
上記式(i)または(ii)の芳香族ジアミンとしては、例えばm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−トリレンジアミン等のフェニレンジアミン誘導体;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル等のジアミノジフェニルエーテル誘導体;3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル等のジアミノジフェニルチオエーテル誘導体;4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン誘導体;4,4’−ジアミノジフェニルスルフォキサイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン等のジアミノジフェニルスルホン誘導体;ベンチジン、3,3’−ジメチルベンチジン、3,3’−ジメトキシベンチジン等のベンチジン誘導体;3,3’−ジアミノビフェニル;p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、o−キシリレンジアミン等のキシリレンジアミン誘導体等が挙げられ、フェニレンジアミン誘導体またはジアミノジフェニルエーテル誘導体が好ましく、3,4’−ジアミノジフェニルエーテルが溶剤溶解性、難燃性の面から特に好ましい。これらは1種又は2種以上混合して用いても良い。
本発明で使用する前記フェノール性水酸基含有芳香族ジカルボン酸としては、芳香族環が1つのカルボキシル基と1つ以上の水酸基を有する構造であれば特に制限はなく、例えば5−ヒドロキシイソフタル酸、4−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシイソフタル酸、3−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシテレフタル酸等ベンゼン環上に1つのヒドロキシ基と2つのカルボキシル基を有するジカルボン酸を挙げることができる。
また本発明で使用するポリアミド樹脂用の前記フェノール性水酸基を有しない芳香族ジカルボン酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−オキシ二安息香酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−、メチレン二安息香酸、4,4’−メチレン二安息香酸、4,4’−チオ二安息香酸、3,3’−カルボニル二安息香酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルフォニル二安息香酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。通常ベンゼン環上に2つのカルボキシル基を有するジカルボン酸が好ましい。
該フェノール性水酸基を有しない芳香族ジカルボン酸とフェノール性水酸基を持つ芳香族ジカルボン酸との割合は、フェノール性水酸基含有芳香族ジカルボン酸を全ジカルボン酸に対して5モル%以上含有させることが好ましく、10モル%以上含有させることがより好ましい。この割合で両ジカルボン酸を使用した場合、得られるポリアミド樹脂は式(1)において、通常m/(l+m)≧0.05、好ましくはm/(l+m)≧0.1となる。なお、mとlの値はゲルパーミエーションクロマトグラフィーやNMR等により測定可能である。
縮合剤として使用される前記亜リン酸エステルとしては、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリ−o−トリル、亜リン酸ジ−o−トリル、亜リン酸トリ−m−トリル、亜リン酸トリ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−トリル、亜リン酸ジ−p−クロロフェニル、亜リン酸トリ−p−クロロフェニル、亜リン酸ジ−p−クロロフェニル等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、亜リン酸エステルと共に使用するピリジン誘導体としては、ピリジン、2−ピコリン、3−ピコリン、4−ピコリン、2,4−ルチジンなどを例示することができる。
縮合剤として使用される前記ピリジン誘導体は通常、有機溶媒に添加して用いられる。該有機溶媒としては亜リン酸エステルと実質的に反応せず、かつ上記芳香族ジアミンと上記芳香族ジカルボン酸とを良好に溶解させる性質を有するほか、反応生成物であるフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂に対する良溶媒であることが望ましい。この様な有機溶媒としては、N−メチルピロリドンやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒が挙げられ、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。通常、ピリジン誘導体と溶媒の混合物中で、ピリジン誘導体が5〜30重量%を占める量で添加した混合物が使用される。
また、重合度の大きいポリアミド樹脂を得るには、上記亜リン酸エステルとピリジン誘導体の他に、塩化リチウム、塩化カルシウムなどの無機塩類を添加することが好ましい。
以下、式(1)のポリアミド樹脂の製造方法をより具体的に説明する。
まず、ピリジン誘導体を含む有機溶媒からなる混合溶媒中に亜リン酸エステルを添加し、これに芳香族ジカルボン酸と、該ジカルボン酸1モルに対して0.5〜2モルの芳香族ジアミンを添加し、次いで窒素などの不活性雰囲気下で加熱撹拌する。反応終了後、反応混合物をメタノール及びヘキサンなどの貧溶媒中に投じて精製重合体を分離した後、再沈殿法によって精製を行って副生成物や無機塩類などを除去することにより、目的とするポリアミド樹脂を得ることができる。
上記製造方法において縮合剤である亜リン酸エステルの添加量は、通常、カルボキシル基に対して等モル以上であるが、30倍モル以上は効率的ではない。ピリジン誘導体の量はカルボキシル基に対して等モル以上であることが必要であるが、実際には反応溶媒としての役割を兼ねて大過剰使用されることが多い。上記ピリジン誘導体と有機溶媒とからなる混合物の使用量は、理論上得られるポリアミド樹脂100重量部に対して、5〜30重量部となるような範囲が好ましい。反応温度は、通常60〜180℃である。反応時間は反応温度により大きく影響される。いかなる場合にも反応液が最高粘度(最高の重合度)を示すまで反応系を撹拌することが好ましく、通常数分〜20時間である。
上記、好ましい平均重合度を有するフェノール性水酸基含有芳香族ポリアミド樹脂の固有粘度値(30℃における0.5g/dlのN,N−ジメチルアセトアミド溶液で測定)は0.1〜4.0dl/gの範囲内であり、通常0.2〜2.0dl/g、好ましくは0.35〜0.70dl/g、特に好ましくは0.40〜0.60dl/gの範囲にある。一般に好ましい平均重合度を有するか否かは、固有粘度を参照することにより判断する。固有粘度が0.1dl/gより小さいと、成膜性や芳香族ポリアミド樹脂としての性質出現が不十分であるため、好ましくない。逆に固有粘度が4.0dl/gより大きいと、重合度が高すぎ溶剤溶解性が悪くなり、かつ成形加工性が悪くなるといった問題が発生する。
ポリアミド樹脂の重合度を調節する簡便な方法としては、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とのどちらか一方を過剰に使用する方法を挙げることができる。一般に、いずれか一方を大過剰に使用すると分子量は小さくなり、過剰に使用した原料に対応する末端を持つポリアミド樹脂が得られる。できるだけ高分子量のポリアミド樹脂を得るには等モルが好ましいが、接着性などの観点からすると、両末端がアミノ基(式(1)の右末端に水素原子、左末端にHN−Ar−NH−が結合した化合物)であるポリアミド樹脂が好ましい。このようなポリアミド樹脂は芳香族ジカルボン酸に対して、芳香族ジアミンを0.1〜20モル%、好ましくは0.2〜15モル%、更に好ましくは0.5%〜15モル%程度過剰に使用したとき得られる。場合により、1〜5モル%過剰が最も好ましい。
上記で得られる式(1)のポリアミド樹脂におけるl+mの合計(平均重合度)は重合条件、原料化合物等により変わるので一概には言えないが通常l+m=2〜200の範囲である。2〜40程度が低粘度で作業性の面から優れている。また、10以上になるとフィルム化可能な硬化物が得られるようになり、20以上ではフィルムに適した硬化物となり、30以上ではよりフィルム化に適した硬化物が得られ、50〜200程度のものは柔軟性に富んだ硬化物が得られる。柔軟性を有する硬化物は、本発明のエポキシ樹脂組成物をフィルム状に加工して使用する場合に好ましい。このように本発明のポリアミド樹脂は、これを含む組成物の硬化物の用途によってその平均重合度を適宜選択するのが好ましい。フィルム化等の用途を考えると、と硬化物の柔軟性と共に作業性(低粘度)を兼ね備えたものが好ましく、該平均重合度の値が10〜60程度、好ましくは20〜55程度最も好ましくは40前後、即ち、35〜45のものが最も好ましい。
好ましい粘度は前記固有粘度値を指標にするのが好ましい。
以上のようにして得られた式(1)のポリアミド樹脂はエポキシ樹脂硬化剤として適しており、これを有効成分とするエポキシ樹脂硬化剤として使用される。
本発明のエポキシ樹脂組成物中における該ポリアミド樹脂の含量は、通常該組成物全体に対して30%(重量:以下特に断らないかぎり同じ)以上、好ましくは40%以上であり、更に好ましくは50%以上であり、上限は通常98%以下、好ましくは95%以下程度である。
本発明のエポキシ樹脂組成物に使用されるエポキシ樹脂としては種々のものが使用できる。電気・電子部品用として使用されているものであれば、特に制限はない。例えば脂環式エポキシ樹脂、芳香族系エポキシ樹脂;ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応物;二重結合を過酸化物などで酸化することにより得られる脂環式若しくは直鎖状のエポキシ樹脂等が使用できる。本発明で使用されるエポキシ樹脂はエポキシ当量(JIS−K−7236に基づいて測定)で、通常50g/eq〜600g/eq程度のものであり、好ましくは100g/eq〜450g/eq程度、より好ましくは120g/eq〜350g/eq程度である。
上記エポキシ樹脂中で、硬化物の難燃性の面から芳香族系エポキシ樹脂が好ましい。好ましい芳香族系エポキシ樹脂としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環のような芳香族環を有し、1分子中にエポキシ基を2個以上有するものであるならば特に限定はされない。具体的にはノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
硬化物の十分な難燃性、フレキシビリティーを確保するためには上記エポキシ樹脂の中でビフェニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、前記式(2)で表されるエポキシ樹脂が特に好ましい。式(2)のエポキシ樹脂は、例えばNC−3000、NC−3000−H(いずれも日本化薬(株)製)などとして市販品が容易に入手可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤としては、式(1)で表される構造を有するポリアミド樹脂以外に他の硬化剤を併用しても良い。併用し得る硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノールノボラック、トリフェニルメタン及びこれらの変性物、イミダゾール、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。式(1)で表されるポリアミド樹脂が全硬化剤中に占める割合としては通常20%以上、好ましくは30%以上、更に好ましくは40%〜100%である。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、硬化剤のエポキシ基と反応しうる活性基の当量において、通常0.4〜1.5、好ましくは0.6〜1.3、更に好ましくは0.7〜1.2当量が好ましい。本発明の前記式(1)におけるポリアミドの場合、エポキシ基と反応しうるフェノール性水酸基当量(活性水素当量)である。該活性水素当量はNMR等により測定可能であるが、実施例においては便宜上フェノール性水酸基を有するジアミンの仕込量からの計算値で示した。
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。硬化促進剤の具体例としては例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により無機充填材を含有することができる。無機充填材の具体例としてはシリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。無機充填材は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明の好ましいエポキシ樹脂組成物は、式(1)においてArがフェニレン基、Arがヒドロキシ置換フェニレン基、Arが−NH−ph(R)n−NH−または−NH−ph(R)n−O−ph(R)n−NH−で表される基であるポリアミド樹脂、式(2)で表されるエポキシ樹脂及び必要に応じて硬化促進剤を含むものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。例えば、エポキシ樹脂と式(1)のポリアミド樹脂を含む硬化剤、並びに必要により硬化促進剤及び無機充填材、配合剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することより本発明のエポキシ樹脂組成物を得ることができる。該樹脂組成物は必要に応じて成形をした後、従来知られている方法と同様の方法、例えば熱硬化等の方法で容易にその硬化物とすることができる。具体的には該樹脂組成物を必要に応じて溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。該硬化物は耐熱性の点から、ガラス転位温度が高い方が好ましく、例えばDMA法でのガラス転位温度が200℃以上、より好ましくは220℃以上のものが好ましい。上限は特にないが柔軟性をも有する必要があるので、通常300℃以下程度ある。
本発明のワニスは、本発明のエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解して得られる。該溶剤としては、例えばγ−ブチロラクトン類、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤、テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤が挙げられる。これらのうちケトン系溶剤、特にC4〜C6の脂肪族ケトン系溶剤が、本発明の樹脂組成物を均一混合するために適している。得られたワニス中の固形分濃度は通常10〜80重量%、好ましくは10〜70重量%である。
本発明のエポキシ樹脂組成物の層を有するシートは、上記のワニスを支持体、通常平面状支持体上に塗布し、乾燥することにより得ることができる。この場合通常支持体としては剥離シートが使用される場合が多い。
本発明のエポキシ樹脂組成物の層を硬化して得られる硬化物層を有するシートは、上記のワニスを支持体(基材)上、通常平面状支持体上塗布し、乾燥して得られる層を熱により硬化させることにより得ることができる。即ち上記のワニスをそれ自体公知のグラビアコート法、スクリーン印刷、メタルマスク法、スピンコート法などの各種塗工方法により平面状支持体上に乾燥後の厚さが所望の厚さ、例えば5〜100μmになるように塗布後乾燥して該樹脂組成物の層を得る。どの塗工法を用いるかは基材の種類、形状、大きさ、塗膜の膜厚により適宜選択される。基材としては、例えばポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種高分子及び/またはその共重合体から作られるフィルム、或いは銅箔等の金属箔であり、ポリイミド又は金属箔が好ましい。このようにして得られた、該樹脂組成物の層を有するシートは、そのまま次の硬化用に使用することもできるし、また、用途に応じて、支持体として剥離フィルムを使用し、必要に応じて表面を保護シートで覆い、使用時に保護シートをはがして、他の支持体上に該樹脂組成物の層を貼り付けた上、剥離フィルムを剥がして、必要に応じて加工した後、次の硬化の処理に付してもよい。
次ぎに前記で得られた該樹脂組成物の層を加熱することにより硬化物層を有するシートを得ることができる。本発明のシートの好ましい用途としてはフレキシブル印刷配線用基板、カバーレイ材料、ボンディングシート等のフレキシブル印刷配線板材料が挙げられ、本発明のエポキシ樹脂組成物はこれらを構成する接着剤として作用する。
また本発明のエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグを得るには、該樹脂組成物を上記の溶剤に溶解したワニスを、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥することにより得ることができる。得たプリプレグは熱プレス成形等により、成形及び硬化を行い、硬化物を得ることができる。この際の溶剤含量は、該樹脂組成物と該溶剤の合計に対して、通常10〜70%、好ましくは15〜70%程度である。
【実施例】
次に本発明を更に実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。
【実施例1】
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、5−ヒドロキシイソフタル酸45.5部、イソフタル酸41.5部、m−フェニレンジアミン55.1部、塩化リチウム3.4部、N−メチル−2−ピロリドン344部、ピリジン115.7部を加え撹拌溶解させた後、亜リン酸トリフェニル251部を加えて90℃で4時間反応させフェノール性水酸基含有ポリアミド樹脂の溶液を得た。この反応溶液を室温に冷却した後、メタノール500部に投入し下記式(3)

で表される樹脂を析出させた。この析出した樹脂を更にメタノール500部で洗浄した後メタノール還流して精製し、120部のポリアミド樹脂(A)を得た。得られたポリアミド樹脂(A)の固有粘度は0.49dl/g(ジメチルアセトアミド溶液、30℃)であり、式(3)において、1の値は約6、mの値は約6、エポキシ基と反応しうる活性水素当量は417g/eqであった。
【実施例2】
実施例1においてm−フェニレンジアミン55.1部を3,4’−ジアミノジフェニルエーテル102部に代えた以外は同様に反応を行い、下記式(4)

で表されるポリアミド樹脂(B)166部を得た。得られたポリアミド樹脂(B)の固有粘度は0.56dl/g(ジメチルアセトアミド溶液、30℃)であり、式(4)において、lの値は約20、mの値は約20、エポキシ基と反応しうる活性水素当量は633g/eqであった。
【実施例3】
実施例2において5−ヒドロキシイソフタル酸の使用量を13.0部、イソフタル酸の使用量を71.1部にした以外は実施例2と同様に反応を行い前記式(4)で表される樹脂を析出させた。この析出した樹脂を更にメタノール500部で洗浄した後メタノール還流して精製し、163部のポリアミド樹脂(C)を得た。得られたポリアミド樹脂(C)の固有粘度は0.54dl/g(ジメチルアセトアミド溶液、30℃)であり、式(4)において、lの値は約34、mの値は約6、エポキシ基と反応しうる活性水素当量は1868g/eqであった。
応用実施例1〜4
実施例1、2で得られたポリアミド樹脂(A)または(B)に対しエポキシ樹脂として前記式(2)で表されるエポキシ樹脂NC−3000(日本化薬株式会社製、エポキシ当量275g/eq、軟化点58℃、p=2.5)(表中でNC−3000)、及び液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂RE−310S(日本化薬株式会社成、エポキシ当量184g/eq)(表中でRE−310)を、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン(TPP)を、溶剤としてシクロペンタノンを表1に示される重量比で混合し本発明のワニスを得た。

上記の本発明のワニス4種をPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmになるように塗布し180℃で1時間加熱することにより硬化せしめ、PETフィルムを除去してシート状のサンプル(厚さ12,5ミクロン)を得た。得られたサンプルはいずれも折り曲げてもひび割れすることがなく十分なフィルム形成能を有していた。この硬化物をUL94−VTMに従って難燃性の試験を行った。またこれらのサンプルをDMA(Dynamic Mechanical Analysis)によりガラス転移温度を測定した。更に得られたワニスを、アプリケータを用いて乾燥後の厚さが10μmになるように厚さ25μmのポリイミドフィルム(ユーピレックス25SGA 宇部興産株式会社製)に塗布した。100℃で10分間乾燥させ溶剤を除去した後、樹脂層に、更に同じポリイミドフィルムを重ね、180℃で1時間硬化反応を行った。それぞれのサンプルについて剥離(90度剥離)の度合いを観察した。結果を表2に示す。

なお表中の難燃試験の項のV−0はプラスチックの難燃度では最も燃えにくい評価である。
剥離試験は、貼り合わせたフィルムを固定した上、貼り合わせた2枚のフィルムの一方を直角(90度)にゆっくりと引っ張り、剥がれの度合いを調べた。表中における凝集破壊というのは2枚のフィルムが全く剥がれること無く、フィルムが破れてしまうことである。
応用実施例5〜8
実施例2、3で得られたポリアミド樹脂(B)または(C)に対しエポキシ樹脂としてトリフェニルメタン型エポキシ樹脂EPPN−502H(日本化薬株式会社製、エポキシ当量170g/eq、軟化点65℃)(表中でEPPN−502H)または液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂RE−304S(日本化薬株式会社製、エポキシ当量170g/eq)(表中でRE−304S)を、硬化促進剤として2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(2PHZ)を、溶剤としてシクロペンタノンを表3に示される重量比で混合し本発明のワニスを得た。

上記の本発明のワニス4種をPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmになるように塗布し180℃で1時間加熱することにより硬化せしめ、PETフィルムを除去してシート状のサンプルを得た。得られたサンプルはいずれも折り曲げてもひび割れすることがなく十分なフィルム形成能を有していた。この硬化物をUL94−VTMに従って難燃性の試験を行った。またこれらのサンプルをDMAによりガラス転移温度を測定した。更に得られたワニスを、アプリケータを用いて乾燥後の厚さが10μmになるように厚さ25μmのポリイミド(ユーピレックス25SGA 宇部興産株式会社製)、及び厚さ18μの表面処理銅箔の粗面に塗布した。100℃で10分間乾燥させ溶剤を除去した後、樹脂層に、更に同じポリイミドフィルムまたは表面処理銅箔の粗面を重ね、熱板プレス装置を用い180℃で1時間硬化反応を行った。それぞれのサンプルについて剥離の度合いを観察した。結果を表4に示す。

【産業上の利用可能性】
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、薄膜状に成形した場合でも十分なフレキシビリティーを有し、しかもその硬化物はハロゲン系難燃剤やアンチモン化合物等のを含有しないにもかかわらず難燃性を有し、かつ耐熱性、接着性に優れているため、成形材料、注型材料、積層材料、塗料、接着剤、レジストなどの広範囲の用途にきわめて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エポキシ樹脂及び(b)下記式(1)

(式中、l、mは平均値で、m/(l+m)≧0.05を示し、またl+mは2〜200の正数である。Arは2価の芳香族基、Arはフェノール性水酸基を有する二価の芳香属基、Ar
−NH−ph(R)n−NH−または
−NH−Ph(R)n−X−ph(R)n−NH−
を示し、−ph(R)n−、−ph(R)n−若しくは−ph(R)n−はそれぞれR置換、R置換もしくはR置換のフェニレン基、または非置換のフェニレン基を示し、nは0〜3の整数、R、RまたはRは独立にC1〜C3アルキル基、C1〜C3アルコキシ基、XはO、S、CO、SOまたは単結合を示す)
で表される構造を有するポリアミド樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、
【請求項2】
成分(a)中のエポキシ基1当量に対して、成分(b)中の活性水素当量が0.7〜1.2当量である請求の範囲第1に記載のエポキシ樹脂組成物、
【請求項3】
組成物中に含まれる全硬化剤に対する成分(b)のポリアミド樹脂の含量割合が30重量%以上である請求の範囲第1に記載のエポキシ樹脂組成物、
【請求項4】
組成物全体に対して成分(a)のエポキシ樹脂2〜50重量%および成分(b)の硬化剤50〜98重量%を含有する請求の範囲第1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
【請求項5】
Ar
−NH−ph(R)n−NH−または
−NH−ph(R)n−O−ph(R)n−NH−
で示される基である請求の範囲第1〜4項のいずれか1項項に記載のエポキシ樹脂組成物、
【請求項6】
成分(b)のポリアミド樹脂が下記式(3)

(式中l及びmは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で表される構造を有する化合物である請求の範囲第1〜4項のいずれか1項項に記載のエポキシ樹脂組成物、
【請求項7】
成分(b)のポリアミド樹脂が下記式(4)

(式中l及びmは式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
で表される構造を有する化合物である請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
【請求項8】
l+mが2〜20の正数である請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
【請求項9】
成分(a)がノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂及びトリフェニルメタン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上である請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
【請求項10】
成分(a)が下記式(2)

(式中、pは平均値を表し、0.1〜10の正数を表す。)
で表されるビフェニル骨格含有ノボラック型エポキシ樹脂である請求の範囲第8項に記載のエポキシ樹脂組成物、
【請求項11】
硬化促進剤を含有する請求の範囲第1〜4項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、
【請求項12】
請求の範囲第1〜11項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を溶剤に溶解してなるワニス、
【請求項13】
ワニス全体に対して、溶剤含量が10〜70重量%であり、残部が請求の範囲第12項に記載のエポキシ樹脂組成物であるワニス、
【請求項14】
溶媒がC4〜C6の脂肪族ケトン系溶媒である請求の範囲第13項に記載のワニス、
【請求項15】
平面状支持体の両面又は片面に請求の範囲第1〜11項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の層を有するシート、
【請求項16】
平面状支持体の両面又は片面に請求の範囲第1〜11項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の層を硬化して得られる硬化物層を有するシート、
【請求項17】
平面上支持体がポリイミドフィルム、金属箔または剥離フィルムである請求の範囲第16項または第17項に記載のシート、
【請求項18】
請求の範囲第12項に記載のワニスを基材に含浸させ、乾燥して得られるプリプレグ、
【請求項19】
請求の範囲第1〜11項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を加熱することを特徴とするエポキシ樹脂組成物の硬化方法、
【請求項20】
下記式(1)

(式中、l、mは平均値で、m/(l+m)≧0.05を示し、またl+mは2〜200の正数である。Arは2価の芳香族基、Arはフェノール性水酸基を有する二価の芳香属基、Ar
−NH−ph(R)n−NH−または
−NH−ph(R)n−X−ph(R)n−NH−
を示し、−ph(R)n−、−ph(R)n−若しくは−ph(R)n−はそれぞれR置換、R置換もしくはR置換のフェニレン基、または非置換のフェニレン基を示し、nは0〜3の整数、R、RまたはRは独立にC1〜C3アルキル基、C1〜C3アルコキシ基、XはO、S、CO、SOまたは単結合を示す)
で表される構造を有するポリアミド樹脂を有効成分とするエポキシ樹脂硬化剤、
【請求項21】
Ar
−NH−ph(R)n−NH−または
−NH−ph(R)n−O−ph(R)n−NH−
で示される基である請求の範囲第20項に記載のエポキシ樹脂硬化剤、

【国際公開番号】WO2004/048436
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【発行日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510290(P2005−510290)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015157
【国際出願日】平成15年11月27日(2003.11.27)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】