難燃性フィルム
【課題】着色加工性、難燃性に優れた難燃性フィルム及びそれを使用した加工品を提供する。
【解決手段】厚みが1〜100μmのポリエステルフィルムの一方の面に以下の[A層]を、もう一方の面に[A層]または[B層]を有する難燃性フィルム。[A層]厚みが0.1〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上であり、下記化学式(1)で示されるポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子を含有する層。
[B層]厚みが0.05〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1以上であり、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドから選ばれた少なくとも1種の樹脂中に、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含有する層。
【解決手段】厚みが1〜100μmのポリエステルフィルムの一方の面に以下の[A層]を、もう一方の面に[A層]または[B層]を有する難燃性フィルム。[A層]厚みが0.1〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上であり、下記化学式(1)で示されるポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子を含有する層。
[B層]厚みが0.05〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1以上であり、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドから選ばれた少なくとも1種の樹脂中に、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含有する層。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着色加工性、難燃性に優れた難燃性フィルム及びそれを使用した加工品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年におけるエレクトロニクス技術の発達によって電気電子機器の高性能化、多機能化、小型化、軽量化が進むことにともない、それらの材料も金属材料からプラスチック材料への転換が進んでいる。プラスチック材料のなかでも、安価で軽量でありフレキシブル性能をもつポリエステルフィルムへの転換が顕著に進んでいる。
同時に電気電子機器用の部品、例えば発光体、半導体、抵抗体、コンデンサなどの発熱部品も高性能化、小型化が進み、それら部品の使用電力と発生される発熱量も増加の一途であるため、それら部品が突然に発火する可能性が高まっており、その際にその燃焼が広がらないような難燃性も求められている。
ポリエステルフィルムの中には熱によって軟化あるいは溶融し、かつ燃焼しやすいものがある。それらの特徴のあるポリエステルフィルムには難燃性を向上させるために、臭素系やリン系などの難燃材を練り込む方法などが提案されている(特許文献1)。しかし、この方法では繰り返し炎に曝された場合には燃焼が拡大するなどの問題があり難燃性能が不十分であったことと、混入させている難燃材が燃焼条件によってはダイオキシン等を発生させることが懸念されている。
ダイオキシン等の有毒なガスを発生させない手段として、ポリエステルフィルムにシリコーン系化合物を練り込む方法や、積層させる方法などが提案されている(特許文献2、3)。しかし、この方法でも繰り返し炎に曝された場合には燃焼が拡大するなどの問題があり難燃性能が不十分であった。
そこで、ポリエステルフィルムに無機水酸化物を混入させたポリアミド酸等の樹脂を両面に積層することにより耐熱性、難燃性を付与する方法が提案されている(特許文献4)。しかし、この方法で使用されている樹脂は無色でないため、ラベルなど着色加工が必要な用途には下地の色を隠すために、金属蒸着などの後加工が必要であり適用が難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−278206号公報
【特許文献2】特開昭54−36365号公報
【特許文献3】特開平7−14950号公報
【特許文献4】特許第4311208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、このような従来技術の問題を踏まえ、着色加工性、難燃性に優れた難燃性フィルム及びそれを使用した加工品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するため本発明の難燃性フィルムは、以下の構造を有する。
厚みが1〜100μmのポリエステルフィルムの一方の面に以下の[A層]を有し前記ポリエステルフィルムのもう一方の面に以下の[A層]または[B層]を有する難燃性フィルムである。
[A層]
厚みが0.1〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上であり、
下記化学式(1)で示されるポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子(SiO2)を含有する、樹脂組成物で構成される層。
【0006】
【化1】
【0007】
[B層]
厚みが0.05〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1以上であり、
芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂中に、
水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから選ばれる無機水酸化物を含有する、樹脂組成物で構成される層。
【発明の効果】
【0008】
本発明の難燃性フィルムは、着色加工性、難燃性に優れたフィルムである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の難燃性フィルムは、厚みが1〜100μmのポリエステルフィルムの一方の面に以下の[A層]を有し、前記ポリエステルフィルムのもう一方の面に以下の[A層]または[B層]を有することを特徴とする。(なお以降[A層]と[B層]を総称して、樹脂層と記すこともある)
[A層]厚みが0.1〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上であり、後述する特定の構造を有するポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子(SiO2)を含有する、樹脂組成物で構成される層。
[B層]厚みが0.05〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1以上であり、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂中に、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから選ばれる無機水酸化物を含有する、樹脂組成物で構成される層。
【0010】
従って、本発明の難燃性フィルムは、以下の2つの実施態様を含むものである。すなわち、前記ポリエステルフィルムの両面に前記[A層]を有する態様(以下、第1の実施態様と記す)と前記ポリエステルフィルムの一方の面に前記[A層]をもう一方の面に前記[B層]を有する態様(以下、第2の実施態様と記す)である。
【0011】
本発明において樹脂層はポリエステルフィルムの両面に配置されている。両面に配置することにより、難燃性がより効果的に発現できるためである。また、前記樹脂組成物は、前記第1の実施態様は両面とも、前記第2の実施態様は少なくとも片面が前記[A層]である。前記[A層]は、特定の構造を有するポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子(SiO2)を含有する組成であることで、従来の難燃性フィルムに用いられる難燃性を付与する層よりも、着色が少なく、無色透明性が高い難燃性を付与する層となっている。このような前記[A層]を用いることで、安価で容易に着色加工ができ、様々に着色した難燃性にすぐれたフィルムを提供することが出来る。なお、前記第1の実施態様では両面に着色加工が容易に出来るので、観察面によって着色が異なる難燃性にすぐれたフィルムも提供することができる。一方、前記樹脂層のみで構成されるフィルムでは含有されている前記シリカ粒子または前記無機水酸化物の影響で電気絶縁性が低いものしか得られず、一方、前記樹脂層を有さないポリエステルフィルムのみでは、難燃性が十分とならない。ここで、無色透明性とは、白色度、全光線透過率を基準とした特性であり、それぞれ、好ましい範囲は次のとおりである。(i) 無色とは、白色度が40〜100%(好ましくは60〜100%)であることをいい、(ii)透明とは、全光線透過率が60〜100%(好ましくは70〜100%)のものをいう。そして、それぞれの測定方法は、以下のとおりである。なお、測定対象が積層されたフィルムである場合には、各層を溶剤あるいはバフ等で除去することで、目的の層を取り出して評価できる。
(i) 白色度:#188ルミラーE6SL#188本願フィルムをサンプルの背面に密着させた後、JIS P8123(1961)に準拠し、ハンター白色度:L(明度),a・b(色相・彩度)を測定し、得られた数値から次式により求める。(適用する測定機器としては、たとえば小型色彩計・白色度計・NW−11:日本電色工業社製などが使用できる) W(白色度)=100−sqr〔(100−L)^2+(a^2+b^2)〕
(ii) 全光線透過率:JIS K7361(1997)に準拠してヘーズメーターにて全光線透過率を測定する。(適用する測定機器としては、ヘーズメーター・NDH 4000:日本電色工業社製などが使用できる)
樹脂層において、前記シリカ粒子や前記無機水酸化物を含有することにより樹脂単独の場合より樹脂組成物の電気絶縁性が低くなるメカニズムについては、不明であるが、以下のように推測している。すなわち、電圧を印加した際に含有された前記シリカ粒子または前記無機水酸化物とその周辺の樹脂との電気抵抗の違いから、前記シリカ粒子または前記無機水酸化物などの電気抵抗の低い物質に電界集中が発生し、絶縁破壊されやすくなるためと推測している。
【0012】
本発明の難燃性フィルムにおいて難燃性の効果が発現するメカニズムについて詳細は不明であるが、以下のように推測している。すなわち、本発明の難燃性フィルムが炎に曝された場合に、難燃性フィルムの両面の樹脂層が、前記[A層]、[B層]にかかわらず、難燃性の炭化層として残存し、両面の難燃炭化層がポリエステルフィルム全体を被覆するように融着する効果が組み合わされることにより、高い難燃性が発現するものと推測している。
【0013】
本発明の難燃性フィルムは、着色加工性、難燃性に優れている。すなわち、本発明の難燃性フィルムを用いると、少なくとも片面が[A層]であるので、顔料などを用いる着色加工が安価で容易に可能であり、難燃性能はUL94のVTM−0規格を満たすことができ、着色加工性、難燃性に優れた難燃性フィルムを提供することができる。難燃性フィルムの少なくとも片面が無色透明性が高いと、各種ラベル用途に使用した際、無色透明性が高い層に様々な着色加工が容易になるため、難燃性能を持った様々な色彩のラベルを安価で作成することが出来る。同様に、難燃性能がUL94のVTM−0規格を満たしていると、電気電子機器の部品がなにかしらの原因で発火したとしても、難燃性フィルムに引火し炎上を広げることを防止することができる。
【0014】
[ポリエステルフィルム]
本発明において使用するポリエステルフィルムに使用するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどが好ましく用いられ、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、これらの2種以上が混合されたものであってもよく、これらに他のジカルボン酸成分やジオール成分が共重合されたものであってもよい。
【0015】
本発明において使用するポリエステルフィルムは単膜フィルムである必要はなく、本発明の効果を阻害しない範囲内ならば、2層以上の複合体フィルムとしてもよい。例えば、内層は実質的に粒子を含有せず、表層に粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層は粗大粒子を含有し、表層に微細粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層が微細な気泡を含有した層であって表層は実質的に気泡を含有しない層である複合体フィルムなどが挙げられる。また、上記例において複合体フィルムは内層と表層が異種のポリエステルフィルムであっても同種のポリエステルフィルムであってもよい。
【0016】
本発明において使用するポリエステルフィルムの厚みは1〜100μmの範囲が好ましく、10〜80μmの範囲がより好ましい。ポリエステルフィルムの厚みが1μm未満であると、樹脂層に含有されているシリカ粒子または無機水酸化物の影響により電気絶縁性が低いものとなる。また、100μmより大きくなるとポリエステルフィルムが炎に曝された場合に、ポリエステルフィルムが厚いため両面の樹脂層の層間距離が長くなり、樹脂層が難燃性の炭化層を形成はするが、その両面の難燃炭化層がポリエステルフィルムの端面も含んだ全体を被覆しにくくなりポリエステルフィルム全体を被覆する効果が弱まり、難燃性能が低下する。
【0017】
[A層]
本発明において前記[A層]を構成する樹脂組成物は、下記化学式(1)で示されるポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子(SiO2)を含有する樹脂組成物である。
【0018】
【化2】
【0019】
(1)の式のmは 5≦m≦50000 である。mが5より小さくなると樹脂として伸びがなくなり、ポリエステルフィルムにコーティングさせることが難しくなる。また、mが50000より大きくなると、樹脂の粘度が高くなり、ポリエステルフィルムにコーティングすることができない。また、Mに入る官能基はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基のようなアルキル基や、ビニル基、アリル基のようなアルケニル基や、フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基や、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基のようなアラルキル基や加水分解性を持つシラノール基などが例示され、これらのうち、合成が容易で、分子量の割に低い粘度を有し、硬化前の組成物に良好なコーティング性を与えることと、硬化後の組成物に良好な物理的性質を与えることから、Mはメチル基またはシラノール基であることが好ましく、メチル基がより好ましい。
前記化学式(1)で示されるポリジオルガノシロキサン樹脂は公知の方法によって製造することができる。例えば、金属ケイ素と酸化メチルを銅触媒の存在下で300℃前後で加熱するとジメチルジクロロシランを主体とするシラン類が生成される。ついで酸やアルカリなどで加水分解しシラノール基が生成され、さらに脱水縮合を行うことでシリコーン樹脂が生成される。
前記[A層]の厚みは、片面当たり0.1〜10μmであり、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上である。好ましくは0.2〜10μmであり。かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上である。樹脂層厚みが0.1μmより薄い場合や、前記[A層]の厚みが前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1未満である場合には難燃性の効果が薄れ、樹脂層の厚みが10μmより厚い場合には、ポリエステルフィルムと前記[A層]との接着性が低下する。
【0020】
前記[A層]は、シリカ粒子(SiO2)を含有することによって、前記の難燃性の効果を発現する。
【0021】
これらのシリカ粒子の平均粒子径は0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が小さくなるほど難燃性能が向上するが、0.01μmより小さくすると、前記ポリジオルガノシロキサン樹脂中への均一分散が難しくなるうえ、分散後の樹脂の粘性が増加してしまうため、ポリエステルフィルム上に樹脂層を積層することが難しくなる場合がある。また平均粒子径が5μmより大きくなると、ポリエステルフィルムと前記[A層]の密着性が悪くなる場合がある。
ここでの平均粒子径は、トルエン中に1mol/lの濃度で分散したシリカ粒子の分散液10mlを、超音波分散処理を30秒行ったあと、レーザー回折式粒度分布計(例えば、堀場製作所製、商品名、LA−950)を使用し測定を行い、その体積平均での平均径値を平均粒子径値とする。レーザー回折式粒度分布計で平均粒子径の測定を行う際、同時に累積頻度%径(10%、100%)を求めることができる。本発明において、シリカ粒子の累積頻度%径(10%)は平均粒子径の0.5倍以上であることが好ましく、累積頻度%径(100%)は平均粒子径の2倍以下であることが好ましい。シリカ粒子の累積頻度%径(10%)が平均粒子径の0.5倍より小さいと前記ポリジオルガノシロキサン樹脂中への均一分散が難しくなるうえ、分散後の樹脂の粘性が増加してしまう場合がある。また累積頻度%径(100%)が平均粒子径の2倍より大きいと、ポリエステルフィルムと樹脂層の密着性が悪くなる。
【0022】
シリカ粒子の[A層]中の含有割合は、前記ポリジオルガノシロキサン樹脂100質量部に対し、10〜400質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。樹脂100質量部に対し、シリカ粒子が10質量部より小さくなると、難燃性能が不十分となる場合がある。一方、シリカ粒子が400質量部より大きくなると[A層]が脆くなったり、ポリエステルフィルムと[A層]との密着性が不十分となったりする場合がある。
【0023】
[B層]
本発明において前記[B層]を構成する樹脂組成物は、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂中に、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含有する樹脂組成物である(以降、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを無機水酸化物と略記することもある)。芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂として、特に、ポリイミドが、難燃性の点から、最も好ましい。本発明において用いられるポリイミドは特に限定されないが、環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであることが好ましい。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリイミドの主鎖に環状イミド以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよい。
【0024】
前記ポリイミドは公知の方法によって製造することができる。例えば、テトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物とを脱水縮合することにより、ポリアミド酸を得る。次いで、加熱および/または化学閉環剤を用いてポリアミド酸を脱水閉環する。または、テトラカルボン酸無水物とジイソシアネートとを加熱して脱炭酸を行って重合する方法などを例示することができる。
【0025】
上記ポリイミドの製造方法として、ポリアミド酸を得て、次いで、加熱および/または化学閉環剤を用いて脱水閉環する方法を用いる場合には、以下の脱水剤や触媒が好適に用いられる。脱水剤としては、例えば無水酢酸などの脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。また、触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。本発明においては、これらの中でも特にヒドロキシピリジン系化合物、イミダゾール系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を触媒として用いることが好ましい。ヒドロキシピリジン系化合物、イミダゾール系化合物には脱水閉環反応を促進する効果があることから、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することにより低温、かつ、短時間の熱処理で脱水閉環できるので、生産効率が良くなるため好ましい。その使用量は、より好ましくはポリアミド酸の繰り返し単位に対して10モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上である。添加量がポリアミド酸の繰り返し単位に対してかかる好ましい範囲であると、低温、かつ、短時間においても脱水閉環させる効果を十分に維持できる。脱水閉環しないポリアミド酸繰り返し単位が残存していても良いが、ポリアミド酸が十分に脱水閉環して、ポリイミドになった割合が高くなると、樹脂層の耐溶剤性および耐湿熱性が向上するため、より好ましい。添加量の上限は特に限定されないが、原料価格を低く抑える観点から一般にポリアミド酸の繰り返し単位に対して300モル%以下であることが好ましい。
【0026】
前記[B層]の樹脂層の厚みは、片面当たり0.05〜10μmで、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1以上が好ましく、より好ましくは0.1〜10μmでかつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上である。樹脂層の厚みが0.05μmより薄い場合や、樹脂層の厚みが前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1未満である場合は難燃性の効果が薄れ、樹脂層の厚みが10μmより厚い場合には、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性が低下する。
【0027】
前記[B層]は、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含有することで、高温に曝されたときにときに、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムが分解して水を生成する。これによって、前記の難燃性の効果が発現しやすくなる。無機水酸化物としては水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを用いるが、難燃性の点で特に好ましいのは水酸化マグネシウムである。また、水酸化アルミニウムは、熱可塑性樹脂層を高温高湿下においた場合でも、樹脂層の劣化を促進することが少ないため好ましい。
【0028】
上述の無機水酸化物の平均粒子径は0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が小さくなるほど難燃性能が向上するが、0.01μmより小さくすると、前記樹脂中への均一分散が難しくなる場合があるうえ、分散後の樹脂の粘性が増加してしまう場合もあるため、ポリエステルフィルム上に[B層]を積層することが難しくなる場合がある。また平均粒子径が5μmより大きくなると、ポリエステルフィルムと[B層]の密着性が悪くなる場合がある。
ここでの平均粒子径は、N−メチル−2−ピロリドン中に1mol/lの濃度で分散した無機水酸化物の分散液10mlを、超音波分散処理を30秒行ったあと、レーザー回折式粒度分布計(例えば、堀場製作所製、商品名、LA−950)を使用し測定を行い、その体積平均での平均径値を平均粒子径値とする。レーザー回折式粒度分布計で平均粒子径の測定を行う際、同時に累積頻度%径(10%、100%)を求めることができる。本発明において、無機水酸化物の累積頻度%径(10%)は平均粒子径の0.5倍以上であることが好ましく、累積頻度%径(100%)は平均粒子径の2倍以下であることが好ましい。無機水酸化物の累積頻度%径(10%)が平均粒子径の0.5倍より小さいと樹脂中への均一分散が難しくなるうえ、分散後の樹脂の粘性が増加してしまう。また累積頻度%径(100%)が平均粒子径の2倍より大きいと、ポリエステルフィルムと前記樹脂層の密着性が悪くなる。
【0029】
無機水酸化物の[B層]中の含有割合は、前記樹脂100質量部に対し、10〜400質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。樹脂100質量部に対し、無機水酸化物が10質量部より小さくなると、非可燃性ガスの発生が小さくなり、難燃性能が不十分となる場合がある。一方、無機水酸化物が400質量部より大きくなると[B層]が脆くなったり、ポリエステルフィルムと[B層]との密着性が不十分となったりする場合がある。
【0030】
本発明においては、ポリエステルフィルムと樹脂層との間にプライマー層が積層されていてもよい。ここで、プライマー層とは、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性を高める効果を有する層である。ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性が高いと、難燃性フィルムを加工する加工工程において、樹脂層がはがれる等の不都合を生じにくくなる。プライマー層の積層方法は特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルムとの共押出によって設ける方法、ポリエステルフィルムおよび/または樹脂層にプライマー層形成成分を溶解した溶液を塗布後、乾燥する方法など任意である。プライマー層の材料としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、異なる2種類以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。これらの樹脂は、変性体であってもよく共重合体であってもよい。また、プライマー層には、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、エポキシ樹脂、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
【0031】
本発明において、ポリエステルフィルム、樹脂層には、本発明の効果が阻害されない範囲内で、各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などが含有されていてもよい。例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
【0032】
本発明の難燃性フィルムは、着色加工性、難燃性に優れるものである。少なくとも片面に無色透明層を設けているため着色加工が安価で容易に実施でき、難燃性フィルム中にハロゲン含有成分、リン含有成分などの難燃材を添加しなくても、十分な難燃性を有するため、ポリエステルフィルム本来の機械的特性を低下させずに難燃性を持たせることができる。また、ダイオキシンや加工工程を汚染するようなガスの発生も抑制することができる。そのため本発明の難燃性フィルムは、LEDライト用カバーレイ、フレキシブルプリント基板、フラットケーブル、などの電気絶縁材料をはじめとして、難燃性ラベル、粘着テープなどの各種工業材料として好適に使用できる。
【実施例】
【0033】
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
【0034】
(1)難燃性フィルムの厚み測定及びポリエステルフィルムと樹脂層の厚み相対比較
ミクロトーム(大和光機工業(株)製“リトラトーム”REM−710)を用いて難燃性フィルムからフィルム断面を厚み方向に潰すことなく切り出し、その断面を(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型を用いて、250倍〜5000倍の間で各層厚みに応じて倍率を変更しながら観察し、各樹脂層の厚み、およびポリエステルフィルムの厚みを測定した。なお、ポリエステルフィルム(プライマー層を含む)の厚みをt2,樹脂層の厚みについては、先に塗布した方を便宜的に第1の樹脂層、後に塗布した方を第2の樹脂層として、それぞれの厚みをt11,t12と表した。
なお、各層の厚み測定箇所は難燃性フィルム断面内で無作為に3ヶ所抽出し、各層の厚みを上記倍率の中で有効数字として2桁が保証できる倍率で測定(3桁目を4捨5入)しその平均値を各層の厚みとした。また、観察画像の上下方向がフィルムの厚み方向と、左右方向がフィルム面方向とそれぞれ平行になるようにした。測定結果を、t11/t2、t12/t2と共に表1に示した。
【0035】
(2)難燃性
UL94(AUGUST 19、1992)のVTM−0測定の規格(評価n数、判定基準含む)に従い、難燃性フィルムを切り出し、測定を行った。上記規格内であるサンプルを○、規格外であるサンプルを×とし、○を良好とした。
【0036】
(3)ポリエステルフィルムと樹脂層の密着性
難燃性フィルムの両面に、ポリエステルフィルムを貫通しないように1mm2のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをクロスカットを入れた面上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離した。残存した樹脂層の個数により2段階評価(○:100、×:0〜99)した。○を接着性良好とした。
【0037】
なお、測定箇所は難燃性フィルム内で各面それぞれ無作為に3箇所抽出、測定を行い、全て○の評価結果であれば、密着性評価を○とした。
【0038】
(4)着色加工性
難燃性フィルムの[A層]側から(第1の樹脂層が[A層]であれば、第1の樹脂層側から、第1の樹脂層が[A層]でなければ、第2の樹脂層側から)、分光測色計(コニカミノルタ(株)製CM−2500d)を用いて、YI値(黄色度:ASTM E 313−96)の測定を行い、YI値が0以上55以下になるサンプルを合格(○)、それ以外のサンプルを×とした。
【0039】
<樹脂層形成用の塗布液>
(1)塗布液A
乾燥したフラスコに、秤量したシリコーン樹脂溶液(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製SD−7226)をトルエンで固形分濃度が10質量%になるように希釈した後、微粉末シリカ粒子(DEGUSSA(株)製“ACEMATT(登録商標)”OK607、体積平均粒子径2.0μm)を固形分濃度が10質量%となるようにトルエンに分散させた溶液を添加し、固形分質量比でシリコーン樹脂/シリカ粒子=100/50 となるようにし、これを塗布液Aとした。
【0040】
(2)塗布液Ba
乾燥したフラスコに、秤量したポリイミド溶液(東レ(株)製“トレニース(登録商標)”#3000)をN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が10質量%になるように希釈した後、水酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製“ハイジライト(登録商標)”H−42M、体積平均粒子径1.1μm)を固形分濃度が10質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液を添加し、固形分質量比でポリアミド酸/水酸化アルミニウム=100/100 となるようにした。さらに塗布前に2−メチルイミダゾールをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これを塗布液Baとした。
(3)塗布液Bm
水酸化アルミニウム粒子の代わりに水酸化マグネシウム粒子(堺化学工業(株)製MGZ−3、体積平均粒子径0.1μm)を用いた以外は塗布液Baと同様にして塗布液Bmを調製した。
(4)塗布液C
シリカ粒子を含有しない以外は塗布液Aと同様にして塗布液Cを調整した。
(5)塗布液D
水酸化アルミニウム粒子を含有しない以外は塗布液Baと同様にして塗布液Dを調整した。
<プライマー層形成用の塗布液>
下記のポリエステル樹脂に対して、オキサゾリン基含有化合物として、(株)日本触媒製“エポクロス(登録商標)”WS−700を、固形分質量比で75/25となるように混合し、固形分濃度を3質量%としたものをプライマー層形成用の塗布液とした。
・ポリエステル樹脂
・酸成分
テレフタル酸 60モル%
イソフタル酸 14モル%
トリメリット酸 20モル%
セバチン酸 6モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 28モル%
ネオペンチルグリコール 38モル%
1,4−ブタンジオール 34モル%
上記ポリエステル樹脂(Tg:20℃)をアンモニア水で水性化した水分散体とした。
〔実施例1〕
体積平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015質量%、体積平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005質量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(以降、PETペレットと記載することがある)を減圧乾燥した後、押出機に供給し、285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルム(以降、基材PETフィルムと呼ぶ)とした。この基材PETフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材PETフィルムの濡れ張力を55mN/mとした。基材PETフィルムの両面にプライマー層形成用の塗布液を塗布した。ついで、プライマー層形成用の塗布液を塗布した基材PETフィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に105℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、さらに、220℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了したPETフィルム(厚み25μm)を得た。
さらにこのPETフィルムの両面に、塗布液Aを塗布し、130℃で乾燥後、200℃で熱処理して両面に[A層](厚み各3μm)を有する難燃性フィルムを得た。
〔実施例2、3〕
PETフィルムの片面に、第1の樹脂層を形成するため塗布液Aを塗布して[A層](厚み3μm)を形成し、その反対面に第2の樹脂層を形成するためそれぞれ塗布液Ba(実施例2)、塗布液Bm(実施例3)、を塗布して[B層](厚み各3μm)を形成した以外は実施例1と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔実施例4、5〕
第1の樹脂層および第2の樹脂層の片面当りの厚みを8.0μmとなるように塗布液Aまたは塗布液Baを塗布した以外は、実施例1と同様にして(実施例4)、実施例2と同様にして(実施例5)、難燃性フィルムを得た。
〔実施例6、7〕
第2の樹脂層を形成するための塗布液Baを形成後の[B層]の厚みがそれぞれ厚み1.5μm(実施例6)、8.0μm(実施例7)となるように塗布液Baを塗布した以外は実施例2と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔実施例8〕
PETフィルムの第2の樹脂層の厚みが8.0μmとなるように塗布液Aを塗布した以外は実施例1と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔実施例9〕
第1の樹脂層を厚み8.0μmとなるように塗布液Aを塗布した以外は実施例2と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔実施例10〕
PETフィルムの代わりにポリエチレンナフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製“テオネックス”厚み25μm)を使用した以外は実施例1と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔比較例1、2〕
PETフィルムの一方の面に、第1の樹脂層を形成するため塗布液Aを塗布し、その反対面に第2の樹脂層を形成するためそれぞれ塗布液C(比較例1)、塗布液D(比較例2)、を塗布した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例3、4〕
第1の樹脂層および第2の樹脂層の両方の樹脂層の片面当たりの厚みを0.05μmとした以外は、それぞれ実施例1と同様にして(比較例3)、実施例2と同様にして(比較例4)フィルムを得た。
〔比較例5、6〕
第1の樹脂層および第2の樹脂層の両方の樹脂層の片面当たりの厚みを15μmとなるように各塗布液を塗布した以外は、それぞれ実施例1と同様にして(比較例5)、実施例2と同様にして(比較例6)フィルムを得た。
〔比較例7、8〕
PETフィルムの第2の樹脂層の[A層]の厚みがそれぞれ0.05μm、15μmとなるように塗布液Aを塗布した以外は、それぞれ実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例9、10〕
第2の樹脂層層の厚みがそれぞれ0.05μm(比較例9)、15μm(比較例10)となるように塗布液Baを塗布した以外は、それぞれ実施例2と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例11、12〕
第1の樹脂[A層]の厚みがそれぞれ0.05μm(比較例11)、15μm(比較例12)となるように塗布液Aを塗布した以外は、それぞれ実施例2と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例13〕
PETフィルムとして厚みが0.8μmのものを用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例14〕
PETフィルムとして厚みが125μmのものを用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例15〕
PETフィルムの両面に塗布液Baを塗布した以外は実施例1と同様にフィルムを得た。
実施例1〜10、比較例1〜15の特性評価の結果を表1に示す。実施例1〜10は全ての項目において良好であったが、比較例1〜15はいずれかの項目で不良な点があった。
【0041】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の難燃性フィルムは、着色加工性、難燃性に優れた難燃性フィルムである。本発明の難燃性フィルムは、電気絶縁材料をはじめとして、磁気記録材料、コンデンサ用材料、包装材料、建築材料、各種工業材料として好適に使用できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は着色加工性、難燃性に優れた難燃性フィルム及びそれを使用した加工品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年におけるエレクトロニクス技術の発達によって電気電子機器の高性能化、多機能化、小型化、軽量化が進むことにともない、それらの材料も金属材料からプラスチック材料への転換が進んでいる。プラスチック材料のなかでも、安価で軽量でありフレキシブル性能をもつポリエステルフィルムへの転換が顕著に進んでいる。
同時に電気電子機器用の部品、例えば発光体、半導体、抵抗体、コンデンサなどの発熱部品も高性能化、小型化が進み、それら部品の使用電力と発生される発熱量も増加の一途であるため、それら部品が突然に発火する可能性が高まっており、その際にその燃焼が広がらないような難燃性も求められている。
ポリエステルフィルムの中には熱によって軟化あるいは溶融し、かつ燃焼しやすいものがある。それらの特徴のあるポリエステルフィルムには難燃性を向上させるために、臭素系やリン系などの難燃材を練り込む方法などが提案されている(特許文献1)。しかし、この方法では繰り返し炎に曝された場合には燃焼が拡大するなどの問題があり難燃性能が不十分であったことと、混入させている難燃材が燃焼条件によってはダイオキシン等を発生させることが懸念されている。
ダイオキシン等の有毒なガスを発生させない手段として、ポリエステルフィルムにシリコーン系化合物を練り込む方法や、積層させる方法などが提案されている(特許文献2、3)。しかし、この方法でも繰り返し炎に曝された場合には燃焼が拡大するなどの問題があり難燃性能が不十分であった。
そこで、ポリエステルフィルムに無機水酸化物を混入させたポリアミド酸等の樹脂を両面に積層することにより耐熱性、難燃性を付与する方法が提案されている(特許文献4)。しかし、この方法で使用されている樹脂は無色でないため、ラベルなど着色加工が必要な用途には下地の色を隠すために、金属蒸着などの後加工が必要であり適用が難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−278206号公報
【特許文献2】特開昭54−36365号公報
【特許文献3】特開平7−14950号公報
【特許文献4】特許第4311208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、このような従来技術の問題を踏まえ、着色加工性、難燃性に優れた難燃性フィルム及びそれを使用した加工品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するため本発明の難燃性フィルムは、以下の構造を有する。
厚みが1〜100μmのポリエステルフィルムの一方の面に以下の[A層]を有し前記ポリエステルフィルムのもう一方の面に以下の[A層]または[B層]を有する難燃性フィルムである。
[A層]
厚みが0.1〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上であり、
下記化学式(1)で示されるポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子(SiO2)を含有する、樹脂組成物で構成される層。
【0006】
【化1】
【0007】
[B層]
厚みが0.05〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1以上であり、
芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂中に、
水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから選ばれる無機水酸化物を含有する、樹脂組成物で構成される層。
【発明の効果】
【0008】
本発明の難燃性フィルムは、着色加工性、難燃性に優れたフィルムである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の難燃性フィルムは、厚みが1〜100μmのポリエステルフィルムの一方の面に以下の[A層]を有し、前記ポリエステルフィルムのもう一方の面に以下の[A層]または[B層]を有することを特徴とする。(なお以降[A層]と[B層]を総称して、樹脂層と記すこともある)
[A層]厚みが0.1〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上であり、後述する特定の構造を有するポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子(SiO2)を含有する、樹脂組成物で構成される層。
[B層]厚みが0.05〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1以上であり、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂中に、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから選ばれる無機水酸化物を含有する、樹脂組成物で構成される層。
【0010】
従って、本発明の難燃性フィルムは、以下の2つの実施態様を含むものである。すなわち、前記ポリエステルフィルムの両面に前記[A層]を有する態様(以下、第1の実施態様と記す)と前記ポリエステルフィルムの一方の面に前記[A層]をもう一方の面に前記[B層]を有する態様(以下、第2の実施態様と記す)である。
【0011】
本発明において樹脂層はポリエステルフィルムの両面に配置されている。両面に配置することにより、難燃性がより効果的に発現できるためである。また、前記樹脂組成物は、前記第1の実施態様は両面とも、前記第2の実施態様は少なくとも片面が前記[A層]である。前記[A層]は、特定の構造を有するポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子(SiO2)を含有する組成であることで、従来の難燃性フィルムに用いられる難燃性を付与する層よりも、着色が少なく、無色透明性が高い難燃性を付与する層となっている。このような前記[A層]を用いることで、安価で容易に着色加工ができ、様々に着色した難燃性にすぐれたフィルムを提供することが出来る。なお、前記第1の実施態様では両面に着色加工が容易に出来るので、観察面によって着色が異なる難燃性にすぐれたフィルムも提供することができる。一方、前記樹脂層のみで構成されるフィルムでは含有されている前記シリカ粒子または前記無機水酸化物の影響で電気絶縁性が低いものしか得られず、一方、前記樹脂層を有さないポリエステルフィルムのみでは、難燃性が十分とならない。ここで、無色透明性とは、白色度、全光線透過率を基準とした特性であり、それぞれ、好ましい範囲は次のとおりである。(i) 無色とは、白色度が40〜100%(好ましくは60〜100%)であることをいい、(ii)透明とは、全光線透過率が60〜100%(好ましくは70〜100%)のものをいう。そして、それぞれの測定方法は、以下のとおりである。なお、測定対象が積層されたフィルムである場合には、各層を溶剤あるいはバフ等で除去することで、目的の層を取り出して評価できる。
(i) 白色度:#188ルミラーE6SL#188本願フィルムをサンプルの背面に密着させた後、JIS P8123(1961)に準拠し、ハンター白色度:L(明度),a・b(色相・彩度)を測定し、得られた数値から次式により求める。(適用する測定機器としては、たとえば小型色彩計・白色度計・NW−11:日本電色工業社製などが使用できる) W(白色度)=100−sqr〔(100−L)^2+(a^2+b^2)〕
(ii) 全光線透過率:JIS K7361(1997)に準拠してヘーズメーターにて全光線透過率を測定する。(適用する測定機器としては、ヘーズメーター・NDH 4000:日本電色工業社製などが使用できる)
樹脂層において、前記シリカ粒子や前記無機水酸化物を含有することにより樹脂単独の場合より樹脂組成物の電気絶縁性が低くなるメカニズムについては、不明であるが、以下のように推測している。すなわち、電圧を印加した際に含有された前記シリカ粒子または前記無機水酸化物とその周辺の樹脂との電気抵抗の違いから、前記シリカ粒子または前記無機水酸化物などの電気抵抗の低い物質に電界集中が発生し、絶縁破壊されやすくなるためと推測している。
【0012】
本発明の難燃性フィルムにおいて難燃性の効果が発現するメカニズムについて詳細は不明であるが、以下のように推測している。すなわち、本発明の難燃性フィルムが炎に曝された場合に、難燃性フィルムの両面の樹脂層が、前記[A層]、[B層]にかかわらず、難燃性の炭化層として残存し、両面の難燃炭化層がポリエステルフィルム全体を被覆するように融着する効果が組み合わされることにより、高い難燃性が発現するものと推測している。
【0013】
本発明の難燃性フィルムは、着色加工性、難燃性に優れている。すなわち、本発明の難燃性フィルムを用いると、少なくとも片面が[A層]であるので、顔料などを用いる着色加工が安価で容易に可能であり、難燃性能はUL94のVTM−0規格を満たすことができ、着色加工性、難燃性に優れた難燃性フィルムを提供することができる。難燃性フィルムの少なくとも片面が無色透明性が高いと、各種ラベル用途に使用した際、無色透明性が高い層に様々な着色加工が容易になるため、難燃性能を持った様々な色彩のラベルを安価で作成することが出来る。同様に、難燃性能がUL94のVTM−0規格を満たしていると、電気電子機器の部品がなにかしらの原因で発火したとしても、難燃性フィルムに引火し炎上を広げることを防止することができる。
【0014】
[ポリエステルフィルム]
本発明において使用するポリエステルフィルムに使用するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどが好ましく用いられ、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、これらの2種以上が混合されたものであってもよく、これらに他のジカルボン酸成分やジオール成分が共重合されたものであってもよい。
【0015】
本発明において使用するポリエステルフィルムは単膜フィルムである必要はなく、本発明の効果を阻害しない範囲内ならば、2層以上の複合体フィルムとしてもよい。例えば、内層は実質的に粒子を含有せず、表層に粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層は粗大粒子を含有し、表層に微細粒子を含有する層を設けた複合体フィルム、内層が微細な気泡を含有した層であって表層は実質的に気泡を含有しない層である複合体フィルムなどが挙げられる。また、上記例において複合体フィルムは内層と表層が異種のポリエステルフィルムであっても同種のポリエステルフィルムであってもよい。
【0016】
本発明において使用するポリエステルフィルムの厚みは1〜100μmの範囲が好ましく、10〜80μmの範囲がより好ましい。ポリエステルフィルムの厚みが1μm未満であると、樹脂層に含有されているシリカ粒子または無機水酸化物の影響により電気絶縁性が低いものとなる。また、100μmより大きくなるとポリエステルフィルムが炎に曝された場合に、ポリエステルフィルムが厚いため両面の樹脂層の層間距離が長くなり、樹脂層が難燃性の炭化層を形成はするが、その両面の難燃炭化層がポリエステルフィルムの端面も含んだ全体を被覆しにくくなりポリエステルフィルム全体を被覆する効果が弱まり、難燃性能が低下する。
【0017】
[A層]
本発明において前記[A層]を構成する樹脂組成物は、下記化学式(1)で示されるポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子(SiO2)を含有する樹脂組成物である。
【0018】
【化2】
【0019】
(1)の式のmは 5≦m≦50000 である。mが5より小さくなると樹脂として伸びがなくなり、ポリエステルフィルムにコーティングさせることが難しくなる。また、mが50000より大きくなると、樹脂の粘度が高くなり、ポリエステルフィルムにコーティングすることができない。また、Mに入る官能基はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基のようなアルキル基や、ビニル基、アリル基のようなアルケニル基や、フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基や、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基のようなアラルキル基や加水分解性を持つシラノール基などが例示され、これらのうち、合成が容易で、分子量の割に低い粘度を有し、硬化前の組成物に良好なコーティング性を与えることと、硬化後の組成物に良好な物理的性質を与えることから、Mはメチル基またはシラノール基であることが好ましく、メチル基がより好ましい。
前記化学式(1)で示されるポリジオルガノシロキサン樹脂は公知の方法によって製造することができる。例えば、金属ケイ素と酸化メチルを銅触媒の存在下で300℃前後で加熱するとジメチルジクロロシランを主体とするシラン類が生成される。ついで酸やアルカリなどで加水分解しシラノール基が生成され、さらに脱水縮合を行うことでシリコーン樹脂が生成される。
前記[A層]の厚みは、片面当たり0.1〜10μmであり、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上である。好ましくは0.2〜10μmであり。かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上である。樹脂層厚みが0.1μmより薄い場合や、前記[A層]の厚みが前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1未満である場合には難燃性の効果が薄れ、樹脂層の厚みが10μmより厚い場合には、ポリエステルフィルムと前記[A層]との接着性が低下する。
【0020】
前記[A層]は、シリカ粒子(SiO2)を含有することによって、前記の難燃性の効果を発現する。
【0021】
これらのシリカ粒子の平均粒子径は0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が小さくなるほど難燃性能が向上するが、0.01μmより小さくすると、前記ポリジオルガノシロキサン樹脂中への均一分散が難しくなるうえ、分散後の樹脂の粘性が増加してしまうため、ポリエステルフィルム上に樹脂層を積層することが難しくなる場合がある。また平均粒子径が5μmより大きくなると、ポリエステルフィルムと前記[A層]の密着性が悪くなる場合がある。
ここでの平均粒子径は、トルエン中に1mol/lの濃度で分散したシリカ粒子の分散液10mlを、超音波分散処理を30秒行ったあと、レーザー回折式粒度分布計(例えば、堀場製作所製、商品名、LA−950)を使用し測定を行い、その体積平均での平均径値を平均粒子径値とする。レーザー回折式粒度分布計で平均粒子径の測定を行う際、同時に累積頻度%径(10%、100%)を求めることができる。本発明において、シリカ粒子の累積頻度%径(10%)は平均粒子径の0.5倍以上であることが好ましく、累積頻度%径(100%)は平均粒子径の2倍以下であることが好ましい。シリカ粒子の累積頻度%径(10%)が平均粒子径の0.5倍より小さいと前記ポリジオルガノシロキサン樹脂中への均一分散が難しくなるうえ、分散後の樹脂の粘性が増加してしまう場合がある。また累積頻度%径(100%)が平均粒子径の2倍より大きいと、ポリエステルフィルムと樹脂層の密着性が悪くなる。
【0022】
シリカ粒子の[A層]中の含有割合は、前記ポリジオルガノシロキサン樹脂100質量部に対し、10〜400質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。樹脂100質量部に対し、シリカ粒子が10質量部より小さくなると、難燃性能が不十分となる場合がある。一方、シリカ粒子が400質量部より大きくなると[A層]が脆くなったり、ポリエステルフィルムと[A層]との密着性が不十分となったりする場合がある。
【0023】
[B層]
本発明において前記[B層]を構成する樹脂組成物は、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂中に、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含有する樹脂組成物である(以降、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを無機水酸化物と略記することもある)。芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂として、特に、ポリイミドが、難燃性の点から、最も好ましい。本発明において用いられるポリイミドは特に限定されないが、環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマーであることが好ましい。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、ポリイミドの主鎖に環状イミド以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていてもよい。
【0024】
前記ポリイミドは公知の方法によって製造することができる。例えば、テトラカルボン酸および/またはその酸無水物と、脂肪族一級ジアミンおよび/または芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もしくは二種以上の化合物とを脱水縮合することにより、ポリアミド酸を得る。次いで、加熱および/または化学閉環剤を用いてポリアミド酸を脱水閉環する。または、テトラカルボン酸無水物とジイソシアネートとを加熱して脱炭酸を行って重合する方法などを例示することができる。
【0025】
上記ポリイミドの製造方法として、ポリアミド酸を得て、次いで、加熱および/または化学閉環剤を用いて脱水閉環する方法を用いる場合には、以下の脱水剤や触媒が好適に用いられる。脱水剤としては、例えば無水酢酸などの脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。また、触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。本発明においては、これらの中でも特にヒドロキシピリジン系化合物、イミダゾール系化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を触媒として用いることが好ましい。ヒドロキシピリジン系化合物、イミダゾール系化合物には脱水閉環反応を促進する効果があることから、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を添加することにより低温、かつ、短時間の熱処理で脱水閉環できるので、生産効率が良くなるため好ましい。その使用量は、より好ましくはポリアミド酸の繰り返し単位に対して10モル%以上であり、さらに好ましくは50モル%以上である。添加量がポリアミド酸の繰り返し単位に対してかかる好ましい範囲であると、低温、かつ、短時間においても脱水閉環させる効果を十分に維持できる。脱水閉環しないポリアミド酸繰り返し単位が残存していても良いが、ポリアミド酸が十分に脱水閉環して、ポリイミドになった割合が高くなると、樹脂層の耐溶剤性および耐湿熱性が向上するため、より好ましい。添加量の上限は特に限定されないが、原料価格を低く抑える観点から一般にポリアミド酸の繰り返し単位に対して300モル%以下であることが好ましい。
【0026】
前記[B層]の樹脂層の厚みは、片面当たり0.05〜10μmで、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1以上が好ましく、より好ましくは0.1〜10μmでかつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上である。樹脂層の厚みが0.05μmより薄い場合や、樹脂層の厚みが前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1未満である場合は難燃性の効果が薄れ、樹脂層の厚みが10μmより厚い場合には、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性が低下する。
【0027】
前記[B層]は、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含有することで、高温に曝されたときにときに、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムが分解して水を生成する。これによって、前記の難燃性の効果が発現しやすくなる。無機水酸化物としては水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを用いるが、難燃性の点で特に好ましいのは水酸化マグネシウムである。また、水酸化アルミニウムは、熱可塑性樹脂層を高温高湿下においた場合でも、樹脂層の劣化を促進することが少ないため好ましい。
【0028】
上述の無機水酸化物の平均粒子径は0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。平均粒子径が小さくなるほど難燃性能が向上するが、0.01μmより小さくすると、前記樹脂中への均一分散が難しくなる場合があるうえ、分散後の樹脂の粘性が増加してしまう場合もあるため、ポリエステルフィルム上に[B層]を積層することが難しくなる場合がある。また平均粒子径が5μmより大きくなると、ポリエステルフィルムと[B層]の密着性が悪くなる場合がある。
ここでの平均粒子径は、N−メチル−2−ピロリドン中に1mol/lの濃度で分散した無機水酸化物の分散液10mlを、超音波分散処理を30秒行ったあと、レーザー回折式粒度分布計(例えば、堀場製作所製、商品名、LA−950)を使用し測定を行い、その体積平均での平均径値を平均粒子径値とする。レーザー回折式粒度分布計で平均粒子径の測定を行う際、同時に累積頻度%径(10%、100%)を求めることができる。本発明において、無機水酸化物の累積頻度%径(10%)は平均粒子径の0.5倍以上であることが好ましく、累積頻度%径(100%)は平均粒子径の2倍以下であることが好ましい。無機水酸化物の累積頻度%径(10%)が平均粒子径の0.5倍より小さいと樹脂中への均一分散が難しくなるうえ、分散後の樹脂の粘性が増加してしまう。また累積頻度%径(100%)が平均粒子径の2倍より大きいと、ポリエステルフィルムと前記樹脂層の密着性が悪くなる。
【0029】
無機水酸化物の[B層]中の含有割合は、前記樹脂100質量部に対し、10〜400質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。樹脂100質量部に対し、無機水酸化物が10質量部より小さくなると、非可燃性ガスの発生が小さくなり、難燃性能が不十分となる場合がある。一方、無機水酸化物が400質量部より大きくなると[B層]が脆くなったり、ポリエステルフィルムと[B層]との密着性が不十分となったりする場合がある。
【0030】
本発明においては、ポリエステルフィルムと樹脂層との間にプライマー層が積層されていてもよい。ここで、プライマー層とは、ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性を高める効果を有する層である。ポリエステルフィルムと樹脂層との接着性が高いと、難燃性フィルムを加工する加工工程において、樹脂層がはがれる等の不都合を生じにくくなる。プライマー層の積層方法は特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルムとの共押出によって設ける方法、ポリエステルフィルムおよび/または樹脂層にプライマー層形成成分を溶解した溶液を塗布後、乾燥する方法など任意である。プライマー層の材料としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などを用いることができる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、異なる2種類以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。これらの樹脂は、変性体であってもよく共重合体であってもよい。また、プライマー層には、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、エポキシ樹脂、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
【0031】
本発明において、ポリエステルフィルム、樹脂層には、本発明の効果が阻害されない範囲内で、各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などが含有されていてもよい。例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン化合物、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。
【0032】
本発明の難燃性フィルムは、着色加工性、難燃性に優れるものである。少なくとも片面に無色透明層を設けているため着色加工が安価で容易に実施でき、難燃性フィルム中にハロゲン含有成分、リン含有成分などの難燃材を添加しなくても、十分な難燃性を有するため、ポリエステルフィルム本来の機械的特性を低下させずに難燃性を持たせることができる。また、ダイオキシンや加工工程を汚染するようなガスの発生も抑制することができる。そのため本発明の難燃性フィルムは、LEDライト用カバーレイ、フレキシブルプリント基板、フラットケーブル、などの電気絶縁材料をはじめとして、難燃性ラベル、粘着テープなどの各種工業材料として好適に使用できる。
【実施例】
【0033】
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
【0034】
(1)難燃性フィルムの厚み測定及びポリエステルフィルムと樹脂層の厚み相対比較
ミクロトーム(大和光機工業(株)製“リトラトーム”REM−710)を用いて難燃性フィルムからフィルム断面を厚み方向に潰すことなく切り出し、その断面を(株)日立製作所製の透過型電子顕微鏡HU−12型を用いて、250倍〜5000倍の間で各層厚みに応じて倍率を変更しながら観察し、各樹脂層の厚み、およびポリエステルフィルムの厚みを測定した。なお、ポリエステルフィルム(プライマー層を含む)の厚みをt2,樹脂層の厚みについては、先に塗布した方を便宜的に第1の樹脂層、後に塗布した方を第2の樹脂層として、それぞれの厚みをt11,t12と表した。
なお、各層の厚み測定箇所は難燃性フィルム断面内で無作為に3ヶ所抽出し、各層の厚みを上記倍率の中で有効数字として2桁が保証できる倍率で測定(3桁目を4捨5入)しその平均値を各層の厚みとした。また、観察画像の上下方向がフィルムの厚み方向と、左右方向がフィルム面方向とそれぞれ平行になるようにした。測定結果を、t11/t2、t12/t2と共に表1に示した。
【0035】
(2)難燃性
UL94(AUGUST 19、1992)のVTM−0測定の規格(評価n数、判定基準含む)に従い、難燃性フィルムを切り出し、測定を行った。上記規格内であるサンプルを○、規格外であるサンプルを×とし、○を良好とした。
【0036】
(3)ポリエステルフィルムと樹脂層の密着性
難燃性フィルムの両面に、ポリエステルフィルムを貫通しないように1mm2のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをクロスカットを入れた面上に貼り付け、ゴムローラーを用いて、荷重19.6Nで3往復させ、押し付けた後、90度方向に剥離した。残存した樹脂層の個数により2段階評価(○:100、×:0〜99)した。○を接着性良好とした。
【0037】
なお、測定箇所は難燃性フィルム内で各面それぞれ無作為に3箇所抽出、測定を行い、全て○の評価結果であれば、密着性評価を○とした。
【0038】
(4)着色加工性
難燃性フィルムの[A層]側から(第1の樹脂層が[A層]であれば、第1の樹脂層側から、第1の樹脂層が[A層]でなければ、第2の樹脂層側から)、分光測色計(コニカミノルタ(株)製CM−2500d)を用いて、YI値(黄色度:ASTM E 313−96)の測定を行い、YI値が0以上55以下になるサンプルを合格(○)、それ以外のサンプルを×とした。
【0039】
<樹脂層形成用の塗布液>
(1)塗布液A
乾燥したフラスコに、秤量したシリコーン樹脂溶液(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製SD−7226)をトルエンで固形分濃度が10質量%になるように希釈した後、微粉末シリカ粒子(DEGUSSA(株)製“ACEMATT(登録商標)”OK607、体積平均粒子径2.0μm)を固形分濃度が10質量%となるようにトルエンに分散させた溶液を添加し、固形分質量比でシリコーン樹脂/シリカ粒子=100/50 となるようにし、これを塗布液Aとした。
【0040】
(2)塗布液Ba
乾燥したフラスコに、秤量したポリイミド溶液(東レ(株)製“トレニース(登録商標)”#3000)をN−メチル−2−ピロリドンで固形分濃度が10質量%になるように希釈した後、水酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製“ハイジライト(登録商標)”H−42M、体積平均粒子径1.1μm)を固形分濃度が10質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに分散させた溶液を添加し、固形分質量比でポリアミド酸/水酸化アルミニウム=100/100 となるようにした。さらに塗布前に2−メチルイミダゾールをポリアミド酸の繰り返し単位に対して100モル%添加し、これを塗布液Baとした。
(3)塗布液Bm
水酸化アルミニウム粒子の代わりに水酸化マグネシウム粒子(堺化学工業(株)製MGZ−3、体積平均粒子径0.1μm)を用いた以外は塗布液Baと同様にして塗布液Bmを調製した。
(4)塗布液C
シリカ粒子を含有しない以外は塗布液Aと同様にして塗布液Cを調整した。
(5)塗布液D
水酸化アルミニウム粒子を含有しない以外は塗布液Baと同様にして塗布液Dを調整した。
<プライマー層形成用の塗布液>
下記のポリエステル樹脂に対して、オキサゾリン基含有化合物として、(株)日本触媒製“エポクロス(登録商標)”WS−700を、固形分質量比で75/25となるように混合し、固形分濃度を3質量%としたものをプライマー層形成用の塗布液とした。
・ポリエステル樹脂
・酸成分
テレフタル酸 60モル%
イソフタル酸 14モル%
トリメリット酸 20モル%
セバチン酸 6モル%
・ジオール成分
エチレングリコール 28モル%
ネオペンチルグリコール 38モル%
1,4−ブタンジオール 34モル%
上記ポリエステル樹脂(Tg:20℃)をアンモニア水で水性化した水分散体とした。
〔実施例1〕
体積平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015質量%、体積平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005質量%含有するポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット(以降、PETペレットと記載することがある)を減圧乾燥した後、押出機に供給し、285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.3倍延伸し、一軸延伸フィルム(以降、基材PETフィルムと呼ぶ)とした。この基材PETフィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材PETフィルムの濡れ張力を55mN/mとした。基材PETフィルムの両面にプライマー層形成用の塗布液を塗布した。ついで、プライマー層形成用の塗布液を塗布した基材PETフィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、90℃で乾燥後、引き続き連続的に105℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、さらに、220℃の加熱ゾーンで熱処理を施し、結晶配向の完了したPETフィルム(厚み25μm)を得た。
さらにこのPETフィルムの両面に、塗布液Aを塗布し、130℃で乾燥後、200℃で熱処理して両面に[A層](厚み各3μm)を有する難燃性フィルムを得た。
〔実施例2、3〕
PETフィルムの片面に、第1の樹脂層を形成するため塗布液Aを塗布して[A層](厚み3μm)を形成し、その反対面に第2の樹脂層を形成するためそれぞれ塗布液Ba(実施例2)、塗布液Bm(実施例3)、を塗布して[B層](厚み各3μm)を形成した以外は実施例1と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔実施例4、5〕
第1の樹脂層および第2の樹脂層の片面当りの厚みを8.0μmとなるように塗布液Aまたは塗布液Baを塗布した以外は、実施例1と同様にして(実施例4)、実施例2と同様にして(実施例5)、難燃性フィルムを得た。
〔実施例6、7〕
第2の樹脂層を形成するための塗布液Baを形成後の[B層]の厚みがそれぞれ厚み1.5μm(実施例6)、8.0μm(実施例7)となるように塗布液Baを塗布した以外は実施例2と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔実施例8〕
PETフィルムの第2の樹脂層の厚みが8.0μmとなるように塗布液Aを塗布した以外は実施例1と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔実施例9〕
第1の樹脂層を厚み8.0μmとなるように塗布液Aを塗布した以外は実施例2と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔実施例10〕
PETフィルムの代わりにポリエチレンナフタレート(帝人デュポンフィルム(株)製“テオネックス”厚み25μm)を使用した以外は実施例1と同様にして難燃性フィルムを得た。
〔比較例1、2〕
PETフィルムの一方の面に、第1の樹脂層を形成するため塗布液Aを塗布し、その反対面に第2の樹脂層を形成するためそれぞれ塗布液C(比較例1)、塗布液D(比較例2)、を塗布した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例3、4〕
第1の樹脂層および第2の樹脂層の両方の樹脂層の片面当たりの厚みを0.05μmとした以外は、それぞれ実施例1と同様にして(比較例3)、実施例2と同様にして(比較例4)フィルムを得た。
〔比較例5、6〕
第1の樹脂層および第2の樹脂層の両方の樹脂層の片面当たりの厚みを15μmとなるように各塗布液を塗布した以外は、それぞれ実施例1と同様にして(比較例5)、実施例2と同様にして(比較例6)フィルムを得た。
〔比較例7、8〕
PETフィルムの第2の樹脂層の[A層]の厚みがそれぞれ0.05μm、15μmとなるように塗布液Aを塗布した以外は、それぞれ実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例9、10〕
第2の樹脂層層の厚みがそれぞれ0.05μm(比較例9)、15μm(比較例10)となるように塗布液Baを塗布した以外は、それぞれ実施例2と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例11、12〕
第1の樹脂[A層]の厚みがそれぞれ0.05μm(比較例11)、15μm(比較例12)となるように塗布液Aを塗布した以外は、それぞれ実施例2と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例13〕
PETフィルムとして厚みが0.8μmのものを用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例14〕
PETフィルムとして厚みが125μmのものを用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
〔比較例15〕
PETフィルムの両面に塗布液Baを塗布した以外は実施例1と同様にフィルムを得た。
実施例1〜10、比較例1〜15の特性評価の結果を表1に示す。実施例1〜10は全ての項目において良好であったが、比較例1〜15はいずれかの項目で不良な点があった。
【0041】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の難燃性フィルムは、着色加工性、難燃性に優れた難燃性フィルムである。本発明の難燃性フィルムは、電気絶縁材料をはじめとして、磁気記録材料、コンデンサ用材料、包装材料、建築材料、各種工業材料として好適に使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚みが1〜100μmのポリエステルフィルムの一方の面に以下の[A層]を有し、
前記ポリエステルフィルムのもう一方の面に以下の[A層]または[B層]を有する
難燃性フィルム。
[A層]
厚みが0.1〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上であり、下記化学式(1)で示されるポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子(SiO2)を含有する樹脂組成物で構成される層。
【化1】
[B層]
厚みが0.05〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1以上であり、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂中に、
水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから選ばれる無機水酸化物を含有する樹脂組成物で構成される層。
【請求項2】
前記ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートから構成されるフィルムである請求項1に記載の難燃性フィルム。
【請求項3】
前記[A層]のシリカ粒子の含有量が[A層]の樹脂100質量部に対し10〜400質量部であり、
前記[B層]の無機水酸化物の含有量が[B層]の樹脂100質量部に対し10〜400質量部である請求項1または2に記載の難燃性フィルム。
【請求項4】
前記シリカ粒子および/または前記無機水酸化物の平均粒子径が0.01〜5μmである請求項1〜3のいずれかにに記載の難燃性フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなるLEDライト用カバーレイ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなる難燃性ラベル。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなるフラットケーブル。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなるフレキシブルプリント基板。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなる粘着テープ。
【請求項1】
厚みが1〜100μmのポリエステルフィルムの一方の面に以下の[A層]を有し、
前記ポリエステルフィルムのもう一方の面に以下の[A層]または[B層]を有する
難燃性フィルム。
[A層]
厚みが0.1〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの10分の1以上であり、下記化学式(1)で示されるポリジオルガノシロキサン樹脂中にシリカ粒子(SiO2)を含有する樹脂組成物で構成される層。
【化1】
[B層]
厚みが0.05〜10μm、かつ前記ポリエステルフィルムの厚みの20分の1以上であり、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリベンゾイミダゾールおよびポリフェニレンオキサイドからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂中に、
水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから選ばれる無機水酸化物を含有する樹脂組成物で構成される層。
【請求項2】
前記ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートから構成されるフィルムである請求項1に記載の難燃性フィルム。
【請求項3】
前記[A層]のシリカ粒子の含有量が[A層]の樹脂100質量部に対し10〜400質量部であり、
前記[B層]の無機水酸化物の含有量が[B層]の樹脂100質量部に対し10〜400質量部である請求項1または2に記載の難燃性フィルム。
【請求項4】
前記シリカ粒子および/または前記無機水酸化物の平均粒子径が0.01〜5μmである請求項1〜3のいずれかにに記載の難燃性フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなるLEDライト用カバーレイ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなる難燃性ラベル。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなるフラットケーブル。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなるフレキシブルプリント基板。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性フィルムを用いてなる粘着テープ。
【公開番号】特開2012−187736(P2012−187736A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51119(P2011−51119)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】
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