説明

難燃性フレキシブルフラットケーブル

【課題】難燃性フレキシブルフラットケーブルをノンハロゲン材料により低コストで実現することにある。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2の間に接着剤層3を介して平角導体4を挟んだ難燃性フレキシブルフラットケーブルにおいて、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2は、平角導体4を挟む内側の面とは反対側の外側の面に2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーをイソシアナート変性してなる樹脂を含有する保護層1を形成する。そして、保護層1は、その厚みを1μm以上10μm以下とし、接着剤層3は、リン系及びメラミン系難燃剤を含む構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性フレキシブルフラットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルフラットケーブルは、薄型テレビ、パソコン、プリンタ、自動車などの合理化した内部配線材料として用いられている。このフレキシブルフラットケーブルは、接着剤が付いた二枚の樹脂フィルムの間に導体を挟んで該二枚の樹脂フィルムを接着したサンドイッチ構造になっている。
【0003】
フレキシブルフラットケーブルの用途が広がるにしたがい、フレキシブルフラットケーブルに対する要求も多岐に亘ってきている。特に、OA機器、家電機器への用途では、難燃性が強く求められ、臭素系難燃剤などの毒性物質を用いないノンハロゲン材料からなる難燃性フレキシブルフラットケーブルとすることが求められている。
【0004】
このような要求を満たすために、特開2008−24042号公報、特開2007−106982号公報、特開2006−43974号公報、特開平8−77840号公報、特開2004−95373号公報、特許第4311208号公報等の方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−24042号公報
【特許文献2】特開2007−106982号公報
【特許文献3】特開2006−43974号公報
【特許文献4】特開平8−77840号公報
【特許文献5】特開2004−95373号公報
【特許文献6】特許第4311208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2008−24042号公報、特開2007−106982号公報、特開2006−43974号公報、特開平8−77840号公報において提案している方法は、接着剤の中に難燃剤を添加することにより難燃性を確保する方法であるが、有機リン化合物や金属水酸物などの高価な難燃剤を大量に添加することが必要であることから製造コストが高くなるという問題点がある。
【0007】
また、特開2004−95373号公報、特許第4311208号公報において提案している方法は、樹脂フィルムの接着剤層とは別の面に難燃性の樹脂層を形成する方法であるが、難燃性樹脂層を形成するポリアミドイミドなどの材料が高価であり、また、樹脂層形成には高温乾燥が必要であることから使用する材料が制限され、かつ、製造コストが高くなるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、難燃性フレキシブルフラットケーブルをノンハロゲン材料を用いることにより低コストで製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの間に接着剤層を介して平角導体を挟んだ難燃性フレキシブルフラットケーブルにおいて、
前記ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムは、
平角導体を挟む内側の面に接着剤層が付与され、
外側の面に2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーをイソシアナート変性してなる樹脂を含有する保護層が形成されていることを特徴とする。
【0010】
そして、前記接着剤層は、リン系及びメラミン系難燃剤を含むことを特徴とする。
【0011】
また、前記保護層は、その厚みを1〜10μmとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、難燃性フレキシブルフラットケーブルをノンハロゲン材料を用いることにより低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に基づいて実現する難燃性フレキシブルフラットケーブルを長手方向に対して横断して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の難燃性フレキシブルフラットケーブルは、外側の表面に保護層を形成した2枚の樹脂フィルムの間に接着剤層を介して平角導体を挟むように該2枚の樹脂フィルムを接合した構成である。
【0015】
この難燃性フレキシブルフラットケーブルの導体としては、省スペース性、コネクタとの接合性、配線性などの取り扱い性の観点で角断面の平角導体が望ましい。
【0016】
また、導体を挟む2枚の樹脂フィルムの材質は、電気絶縁性、耐熱性、耐湿熱性、柔軟性、難燃性、コストなどを勘案して選定する。この樹脂フィルムとしては、コストの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)フィルムが好適である。しかしながら、PET樹脂は、難燃性に乏しい材料であることから、ケーブルとしての難燃性を付与することが必要である。
【0017】
ここで、接着剤層には、ポリマー樹脂フィルム同士を接合する機能と、導体とポリマー樹脂フィルムを接合する機能が要求される。さらに、この接着剤層は、ケーブルとしての難燃性を付与するように機能することが望ましい。
【0018】
難燃性付与には、一般の難燃剤である燐酸エステル系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、メラミンシアヌレートなどの窒素系難燃剤などを使用することができる。
【0019】
保護層は、ケーブルの難燃性を低コストで高めることができるように構成する。このように機能する保護層は、2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーをイソシアナート変性した樹脂によって形成する。
【0020】
2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーは、構造内にエーテル結合を持つために難燃性が高い。したがって、従来の接着剤層に多量の難燃剤を入れてケーブルとしての難燃性を付与する必要がなく、製造コストを低減することが可能となる。
【0021】
この2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーは、分子量が低いことが好ましい。低分子量のポリフェニレンエーテル系ポリマーは、塗布によって保護層を形成するきに、トルエン等の汎用溶剤に溶け易く、ポリフェニレンエーテル系ポリマーの溶解性を改善することができるほか、保護層材料の水酸基濃度の調整が容易になる。好ましい分子量の範囲は、スチレン換算数平均分子量において、1000〜3000である。分子量が3000を大幅に超えてしまうと、保護層材料内の水酸基濃度を調整するために多量のポリフェニレンエーテル系ポリマーを添加することが必要となる。ポリフェニレンエーテル系ポリマーは、融点が高いことから、その増量は、接着フィルムのラミネート温度の上昇、接着力の低下を招く恐れがある。
【0022】
分子量が1000よりも低いと、塗装膜の強度や伸び特性が低下して機械的に弱くなる問題が生じる。
【0023】
さらに、この2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーは、イソシアナート化合物で変性させるにより両末端にイソシアナート基を有するポリマーとなり、このイソシアナート基を介して基材フィルムであるポリエチレンテレフタレート樹脂の官能基と化学的に結合して接着性が良好なものとなる。
【0024】
保護層形成用のワニスを作製するときには、2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーを予めイソシアナート変性した樹脂を用いても良いが、水酸基等の官能基を両末端に持つ2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーと、複数のイソシアナート基を有する化合物を先に変性せずにそのまま保護層材料として混合しても良い。これは、イソシアナート基と水酸基の反応性が高く、ワニス調整時及び接着剤層の乾燥時にポリフェニレンエーテル系ポリマーの水酸基と多機能イソシアナート化合物との反応が進行し、イソシアナート変性がなされるためである。予め両末端をイソシアナート基に変性したものを用いる場合には、保護層材料を混合するときに、複数のイソシアナート基を有する化合物を再度添加する必要はない。
【0025】
これらの、2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーをイソシアナート変性した樹脂は、両末端に官能基を有していることから、保護層の乾燥及びラミネート工程で高分子量化するので保護層の強度が増し、接着力の改善を図ることができる。
【0026】
低分子量で両末端に水酸基を有するポリフェニレンエーテル系ポリマーとしては、三菱ガス化学(株)製の低分子ポリフェニレンエーテルであるOPE(登録商標)を挙げることができ、イソシアナート変性ポリフェニレンエーテルとしては、例えば、OPEと各種エソシアナート化合物との反応物を挙げることができる。
【0027】
複数のイソシアナート基を有する化合物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂表面に設置した水酸基等と化学的に結合し、接着力の改善に寄与する成分である。イソシアナート基を複数有する化合物であれば何れの化合物も接着力の改善に寄与する。その例としては、ヘキサメチレンジイソシアナート及びその重合体であるポリヘキサメチレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナート、1,5−ジイソシアナトナフタレン、2,4−トリレンジイソシアナート及びその重合体であるポリ(2,4−トリレンジイソシアナート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、m−キシレンジイソシアナート等を挙げることができる。好ましいイソシアナート化合物としては、ジイソシアナート化合物が挙げられる。
【0028】
また、基材となる樹脂フィルムであるポリエチレンテレフタレート樹脂の片面(外側面)に付与する2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーをイソシアナート変性してなる保護層は、フレキシブルフラットケーブルの難燃性を確保する目的で形成するものであり、その厚さは、1μm以上10μm以下であることが望ましい。1μm未満では難燃性を確保することが困難であり、10μmを超えると樹脂フィルムであるポリエチレンテレフチレートとの密着性が不十分となって剥がれが生じる問題が発生する。
【実施例】
【0029】
以下に発明の実施例を示す。
【0030】
図1は、本発明に基づいて実現する難燃性フレキシブルフラットケーブルを長手方向に対して横断して示す正面図である。この難燃性フレキシブルフラットケーブルは、外側面に保護層1を形成した基材フィルムである2枚のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2の内側面に接着剤層3を形成し、複数本の平角導体4を接着剤層3側に挟んで前記ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2同士を接合した構造である。
【0031】
接着剤層3は、非晶性ポリエステル樹脂(東洋紡社製 バイロン200)を50重量部、非晶性ポリエステル樹脂(東洋紡社製 バイロン670)を50重量部、リン酸アルミ系難燃剤(クラリアント化学社製 Exolit OP1230)を50重量部、メラミンシアヌレート(堺化学社製 MC5S)を20重量部、微粒子シリカ(アエロジル社製 アエロジルR972)を3重量部、二酸化チタン(石原産業社製 R820)を5重量部、トルエンを300重量部、を秤量、攪拌混合することにより接着剤層ワニスを作製して塗布することにより形成した。
【0032】
難燃性評価は、フラットケーブルの垂直燃焼試験(UL758 VW−1)で評価した。5本の試験片中5本とも自己消火したものを〇(合格)、2本〜4本自己消火したものを△(不合格)、自己消火が1本以下のものを×(不合格)とした。
【0033】
保護層1は、両末端に水酸基を有する2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーとしてオリゴフェニレンエーテル(スチレン換算数平均分子量1000 三菱ガス化学社製 OPE)を20重量部、ヘキサメチレンジイソシアナート(和光純薬社製)を10重量部、トルエン70部を秤量、攪拌混合することにより保護層ワニスを作製して塗布することにより形成した。
【実施例1】
【0034】
両面をコロナ放電処理した厚さ12μmの2枚のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2の各外側面に保護層ワニスを塗布して5μmの厚さの保護層1を形成し、さらに、各ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2の各内側面に接着剤層ワニスを塗布して23μmの接着剤層3を形成して接着性樹脂フィルムを構成した。
【0035】
平角導体4は、幅0.50mm、厚さ0.022mmのもの40本を0.50mmの導体間ピッチで前記2枚の接着性樹脂フィルムの内側(接着剤層3側)に挟むように配置して該接着性樹脂フィルム同士を貼り合わせ、熱ロールで130℃、0.8MPaで加圧することにより難燃性フレキシブルフラットケーブルを製造した。
【0036】
製造した難燃性フレキシブルフラットケーブルの難燃性を評価したところ、5本中5本とも自己消火していたため、評価を〇とした。高い難燃性を実現することができたことがわかる。
【0037】
保護層1によって難燃性が付与されていることから、接着剤層3を形成する接着剤層ワニスに添加する難燃剤を少なくすることができ、ノンハロゲン材料により安価な難燃性フレキシブルフラットケーブとすることができた。
【実施例2】
【0038】
実施例1と同様な方法で、保護層1の厚さを変えた難燃性フレキシブルフラットケーブルを製造した。その他の構成は実施例1と同一である。
【0039】
保護層1の厚さを3μmとした。
【0040】
保護層1の厚さは十分であり、実施例1と同様な難燃性試験において評価は〇であり、高い難燃性を有していることを確認することができた。
【0041】
保護層1によって難燃性が付与されていることから、接着剤層3を形成する接着剤層ワニスに添加する難燃剤を少なくすることができ、ノンハロゲン材料により安価な難燃性フレキシブルフラットケーブとすることができた。
【実施例3】
【0042】
実施例1と同様な方法で、保護層1の厚さを変えた難燃性フレキシブルフラットケーブルを製造した。その他の構成は実施例1と同一である。
【0043】
保護層1の厚さを1μmとした。保護層1の厚さは十分であり、実施例1と同様な難燃性試験において評価は〇であり、高い難燃性を有していることを確認することができた。
【0044】
保護層1によって難燃性が付与されていることから、接着剤層3を形成する接着剤層ワニスに添加する難燃剤を少なくすることができ、ノンハロゲン材料により安価な難燃性フレキシブルフラットケーブとすることができた。
【実施例4】
【0045】
実施例1と同様な方法で、保護層1の厚さを変えた難燃性フレキシブルフラットケーブルを製造した。その他の構成は実施例1と同一である。
【0046】
保護層1の厚さを10μmとした。
【0047】
保護層1の厚さは十分であり、実施例1と同様な難燃性試験において評価は〇であり、高い難燃性を有していることを確認することができた。
【0048】
保護層1によって難燃性が付与されていることから、接着剤層3を形成する接着剤層ワニスに添加する難燃剤を少なくすることができ、ノンハロゲン材料により安価な難燃性フレキシブルフラットケーブとすることができた。
【実施例5】
【0049】
実施例1と同様な方法で、保護層1の厚さを変えた難燃性フレキシブルフラットケーブルを製造した。その他の構成は実施例1と同一である。
【0050】
保護層1の厚さを13μmとした。
【0051】
保護層1の厚さは十分であり、実施例1と同様な難燃性試験において評価は〇であり、高い難燃性を有していることを確認することができた。
【0052】
保護層1によって難燃性が付与されていることから、接着剤層3を形成する接着剤層ワニスに添加する難燃剤を少なくすることができ、ノンハロゲン材料により安価な難燃性フレキシブルフラットケーブとすることができた。
【0053】
しかしながら、保護層1を比較的厚く形成したために、ケーブル折り曲げ時に保護層1と基材の樹脂フィルム2との密着性が不十分であり、保護層1の厚さは10μm以下が好ましいことが分かった。
【実施例6】
【0054】
実施例1と同様な方法で、保護層1の厚さを変えた難燃性フレキシブルフラットケーブルを製造した。その他の構成は実施例1と同一である。
【0055】
保護層4の厚さを0.5μmとした。
【0056】
実施例1と同様な難燃性試験において、後述の比較例1よりは難燃性が優れるものの実施例1よりは不十分であることを確認したため△とした。これは、保護層1が薄すぎて該保護層1により付与される難燃性が不十分であるためであり、保護層1の厚さは1μm以上が好ましいことが分かった。
【実施例7】
【0057】
実施例1と同様な方法で、保護層1の厚さを変えた難燃性フレキシブルフラットケーブルを製造した。その他の構成は実施例1と同一である。
【0058】
保護層1の厚さを20μmとした。
【0059】
保護層1によって難燃性が付与されていることから難燃性は十分であり(評価は〇)、接着剤層3を形成する接着剤層ワニスに添加する難燃剤を少なくすることができ、ノンハロゲン材料により安価な難燃性フレキシブルフラットケーブとすることができた。
【0060】
しかしながら、保護層1を厚くしたために、ケーブル折り曲げ時に基材の樹脂フィルム1から保護層1が一部剥離した。このことから、保護層1の厚さは10μm以下が好ましいことが分かった。
〔比較例1〕
【0061】
保護層1を形成せずに、実施例1と同様な方法で難燃性フレキシブルフラットケーブを製造した。
【0062】
接着剤層3を形成する接着剤層ワニスに添加する難燃剤は少なく、且つ難燃性を付与する保護層1も形成されていないことから、実施例1と同様な難燃性試験において難燃性が低く、評価を×とした。
〔比較例2〕
【0063】
保護層1を5μmのポリイミド膜とし、それ以外は、実施例1と同様な方法で難燃性フレキシブルフラットケーブを製造した。
【0064】
実施例1と同様な難燃性試験において評価は〇であり、十分な難燃性を有することを確認した。
【0065】
しかしながら、ポリイミド膜は、材料費が高く、しかも膜形成には高温焼付けが必要であり、コスト高になる問題が発生した。
〔比較例3〕
【0066】
接着剤層ワニスとして、非晶性ポリエステル樹脂(東洋紡社製 バイロン200)を50重量部、非晶性ポリエステル樹脂(東洋紡社製 バイロン670)を50重量部、リン酸アルミ系難燃剤(クラリアント化学社製 Exolit OP1230)を100重量部、メラミンシアヌレート(堺化学社製 MC5S)を20重量部、微粒子シリカ(アエロジル社製 アエロジルR972)を3重量部、二酸化チタン(石原産業社製 R820)を5重量部、トルエン 300重量部を秤量、攪拌混合してリン酸アルミ系難燃剤を増量したワニスを作製し、この接着剤層3を形成した。その他は、比較例1と同様に構成した。
【0067】
保護層1を形成していないので、接着剤層ワニスに多くの難燃剤を添加して難燃性を付与したが、リン酸アルミ系難燃剤は高価であることから、コスト高になる問題が発生した。
【0068】
表1は、実施例1〜実施例7に関する事項を示し、表2は、比較例1〜3に関する事項を示している。表において、基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム2を意味する。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【符号の説明】
【0071】
1…保護層、2…ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、3…接着剤層、4…平角導体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの間に接着剤層を介して平角導体を挟んだ難燃性フレキシブルフラットケーブルにおいて、
前記ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムは、
平角導体を挟む内側の面に接着剤層が形成され、
外側の面に2,6−ジメチルフェニレンエーテルを繰り返し単位として有するポリフェニレンエーテル系ポリマーをイソシアナート変性してなる樹脂を含有する保護層が形成されていることを特徴とする難燃性フレキシブルフラットケーブル。
【請求項2】
請求項1において、前記接着剤層は、リン系及びメラミン系難燃剤を含むことを特徴とする難燃性フレキシブルフラットケーブル。
【請求項3】
請求項1において、前記保護層の厚みを1μm以上10μm以下とすることを特徴とする難燃性フレキシブルフラットケーブル。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−195060(P2012−195060A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56158(P2011−56158)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】