説明

難燃性ポリアミド樹脂組成物

【課題】剛性が高く、表面平滑性、外観性に優れ、難燃性が極めて高く成形性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)60〜90質量%、ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)40〜10質量%の合計100質量部、およびBET比表面積が0.1mm/g以上であり長径/短径の比が1.5〜10である偏平ガラス繊維(C)60〜210質量部からなる難燃性ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)が結晶性ポリアミド樹脂(a1)と非晶性ポリアミド樹脂(a2)を含み、ポリアミド樹脂(A)中の非晶性ポリアミド樹脂(a2)の質量比率が、0.1≦(a2)/(A)≦0.5であり、ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)がホスフィン酸塩(b1)および/またはジホスフィン酸塩(b2)およびリン酸とメラミンとの反応生成物(b3)からなることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的強度、難燃性に優れたポリアミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は、機械的物性や耐熱性などに優れているため、電気・電子、自動車、機械、建材など多岐にわたり利用されている。最近では金属代替による樹脂化が進み、樹脂に金属同等の強度、剛性が求められている。特に、コネクターなどの電装部品や携帯用パソコンやワープロ、電子辞書、携帯電話等のOA機器に代表される電気機器の筐体部品などの家電製品に対しては、高度な難燃性が要求される。樹脂を難燃化する場合は、一般にハロゲン系難燃剤やトリアジン系難燃剤を添加する方法や樹脂にMg蒸着する方法が取られている。しかし、ハロゲン系難燃剤は燃焼時発生する腐食性のハロゲン性ガスや有害物質など、環境や人体に対する悪影響があるとされ、使用を規制する動きがあり好ましくない。
【0003】
このことから、ハロゲンフリーのトリアジン系難燃剤が注目され数多く検討がなされている。強化材を配合しない系では1/32インチの厚みでUL94 V−0規格に適合する難燃性を達成できるが、ガラス繊維等で強化した場合は、難燃剤を多量に配合したとしても、綿着火を起こし、UL94 V−0規格に適合しない問題がある。
【0004】
一方、イントメッセント型難燃剤であるリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、あるいは、ポリリン酸メラミンを多量に含有したポリアミド樹脂組成物が提案されているが、靭性をはじめとして機械的特性や耐トラッキング性などの電気特性が低下し、実用上満足なものとは言えなかった。
【0005】
さらには、ホスフィン酸塩と「メラミンとリン酸の反応物」を組み合わせた技術(例えば、特許文献1)、また、ホスフィン酸塩と「メラミンとリン酸の反応物」、金属化合物を組み合わせた技術(例えば、特許文献2)が提案され、1/16inchの成形品において難燃規格UL94V−0規格を満足することが知られている。この技術では、難燃剤を減量することが可能になり、靭性等の機械特性、耐トラッキング性等の電気特性の改良はできるが、耐衝撃性改善のために無機充填材を高配合した場合は溶融混練等の操業性を損ね、難燃性を維持しつつ高剛性、良外観成形体を得ることが可能なポリアミド樹脂組成物を得ることは難しかった。
【0006】
特許文献3では、含有するポリアミド樹脂として、結晶性ポリアミド、非晶性ポリアミドを併用して用い、難燃性を維持しつつ高剛性、良外観成形体な成形体を得ることが可能なポリアミド樹脂組成物を開示しているが、パソコン等各種家電筐体として、薄肉で高剛性、しかも良外観で難燃性を有する樹脂組成物として使用するには、特に強度、剛性面で満足なものは得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−263188号公報
【特許文献2】特開2007−23206号公報
【特許文献3】特開2010−077194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、剛性が高く、かつ表面平滑性が良くて外観性に優れ、難燃性が極めて高く、燃焼時に腐食性の高いハロゲン性ガス等の発生がなく、成形性に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、ポリアミド樹脂として結晶性ポリアミド樹脂と非晶性ポリアミド樹脂を含み、特定の無機充填材、ホスフィン酸塩を特定の割合で配合した際に前記の課題を解決できることを見出し本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
【0011】
(1)ポリアミド樹脂(A)60〜90質量%、ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)40〜10質量%の合計100質量部、およびBET比表面積が0.1mm/g以上であり長径/短径の比が1.5〜10である偏平ガラス繊維(C)60〜210質量部からなる難燃性ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)が結晶性ポリアミド樹脂(a1)と非晶性ポリアミド樹脂(a2)を含み、ポリアミド樹脂(A)中の非晶性ポリアミド樹脂(a2)の質量比率が、0.1≦(a2)/(A)≦0.5であり、ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)がホスフィン酸塩(b1)および/またはジホスフィン酸塩(b2)およびリン酸とメラミンとの反応生成物(b3)からなることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。
(2)ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)の配合比率が、(A)+(B)に対して10質量%以上20質量%未満であり、ポリアミド樹脂(A)中の非晶性ポリアミド樹脂(a2)の質量比率が0.4≦(a2)/(A)≦0.5であることを特徴とする(1)の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
(3)さらに(D)リン系酸化防止剤もしくは/および(E )ヒンダードフェノール系酸化防止剤を(A)+(B)の合計100質量部に対し合計0.1〜1質量部含有することを特徴とする(1)〜(3)の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
(4)ホスフィン酸塩(b1)が下記一般式(I)であり、ジホスフィン酸塩(b2)が下記一般式(II)であることを特徴とする(1)〜(5)の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【化1】

(式中、R、RおよびR、Rはそれぞれ直鎖あるいは分岐鎖のC〜C16アルキルを表し、RとRおよびRとRは互いに環を形成してもよい;Rは直鎖あるいは分岐鎖のC〜C10アルキレンを表す;Mはカルシウムまたはアルミニウムイオンを表す;mは2または3である;nは1または3である;xは1または2である;式(II)ではmx=2nである。)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非常に剛性が高く、かつ表面平滑性が良くて外観性に優れ、難燃性が極めて高く、燃焼時に腐食性の高いハロゲン性ガス等の発生がなく、成形性に優れた樹脂組成物を提供することができる。また、非晶性ポリアミド樹脂とハロゲン元素を含まない難燃剤を併用して用いることで、無機強化材を多く配合した場合でも、難燃剤の配合量を相対的に少なくできる。さらに、無機充填材の形状および比表面積を限定することで難燃剤の配合量を相対的にさらに少なくでき、溶融混練時の操業性の低下、成形性の低下、樹脂組成物の機械特性の低下を抑制することができる。。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、結晶性ポリアミド樹脂と非晶性ポリアミド樹脂を含む。
【0014】
結晶性とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて窒素雰囲気下で16℃/分の昇温速度により測定した融解熱量の値が、1cal/gより大きいことを意味する。
非晶性とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて窒素雰囲気下で16℃/分の昇温速度により測定した融解熱量の値が、1cal/g以下であることを意味する。
【0015】
結晶性ポリアミド樹脂としては、以下のような物が挙げられる。すなわち、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ナイロン6T/6I)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)及びこれらの共重合物、混合物がある。中でも特に、ナイロン6、ナイロン66及びこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミドが特に好ましい。これら結晶性ポリアミド樹脂は、得られる難燃性ポリアミド樹脂組成物の耐熱性を向上させる観点から、融点が160〜320℃であることが好ましく、180〜300℃であることがより好ましい。
【0016】
非晶性ポリアミド樹脂としては、以下のような物が挙げられる。すなわち、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、テレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン/ω−ラウロラクタムの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン/ω−ラウロラクタムの重縮合体等が挙げられる。また、これらの重縮合体を構成するテレフタル酸成分及び/又はイソフタル酸成分のベンゼン環が、アルキル基やハロゲン原子で置換されたものも含まれる。さらに、これらの非晶性ポリアミドは2種以上併用することもできる。好ましくは、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、又はテレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、又はイソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体とテレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体との混合物が用いられる。特に好ましくはイソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体またはそれらの混合物である。これら非晶性ポリアミド樹脂は、得られる難燃性ポリアミド樹脂組成物の耐熱性を向上させ、また、加工適性を向上させる観点から、ガラス転移温度が80〜200℃であることが好ましく、110〜170℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が、80℃未満であると、難燃性ポリアミド樹脂組成物を成形加工した際、固化しにいくため、離型不良が発生したり、成形サイクルが長くなるため好ましくなく、ガラス転移温度が、200℃を超えると、難燃性ポリアミド樹脂組成物を成形加工した際、固化が早過ぎて、ヒケやガラス浮きなどの外観不良が発生しやすく、また、混練時の溶融粘度も高くなるため、均一な混練が難しくなり好ましくない。
【0017】
またポリアミド成分の結晶性の緩和を考慮すると、この非晶性ポリアミド樹脂の融解熱量は、元素走査熱量計を用いて窒素雰囲気下で16℃/分の昇温速度により測定したとき、1cal/g以下である必要がある。
【0018】
ポリアミド樹脂の配合量は、(A)ポリアミド樹脂と(B)ハロゲン元素を含まない難燃剤の合計量((A)+(B)=100質量%)の内、60〜90質量%である必要がある。60質量%未満であると、押出時の操業性、成形加工性が低下してしまう。90質量%を超えると難燃性が劣るため好ましくない。
【0019】
また、ポリアミド樹脂には結晶性ポリアミド樹脂と非晶性ポリアミド樹脂が配合され、ポリアミド樹脂中の非晶性ポリアミド樹脂の質量比率(a2)/(A)は、0.1〜0.5である必要がある。0.1未満であると本発明のように高濃度に無機充填剤(繊維状強化材と板状ケイ酸塩)を配合した際、表面平滑性が失われノートパソコンの筐体のように外観性が必要な用途に用いることができない。0.5を超えると高濃度に無機充填剤を配合した際、これらの非晶性ポリアミドは一般的にガラス転移温度が高いため高温の金型で成形しなければ平滑な表面が得られず、また結晶性が低くなるため射出成形等での成形サイクルが延び生産性が悪くなる。
【0020】
本発明に用いるポリアミド樹脂の相対粘度は特に限定されないが、溶媒として96重量%濃硫酸を用いて温度が25℃で濃度が1g/dlの条件で測定した相対粘度が、1.5〜4.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5より小さいと低粘度の為、溶融混練後の引き取り性が困難となり組成物に所望の物性が得られない。また4.0より大きいと高粘度のため成形加工時の流動性が悪く、かつ金型内に樹脂が充満するまでの時間が長くなることにより、相対粘度1.5〜4.0のポリアミド樹脂に比べて、流動先端の樹脂温度が下がり、すなわちウェルド部の樹脂の接合が悪くなり、ウェルド強度が下がる。流動性の確保、樹脂の金型への転写性、成形品の外観、ウェルド強度の観点からは、相対粘度1.8〜3.0のポリアミド樹脂を使用することが好ましい。
【0021】
ハロゲン元素を含まない難燃剤としては、ホスフィン酸塩およびジホスフィン酸塩並びにそれらの重合体、ポリリン酸メラミン、シアヌル酸メラミン、赤リン、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、水酸化金属などが挙げられるが、本発明においては加工時の安定性、樹脂との混練における分散性、難燃効果の観点から、ホスフィン酸塩(b1)、ジホスフィン酸塩(b2)のいずれか、または両方を使用することが必要である。ホスフィン酸塩とはホスフィン酸と金属炭酸塩、金属水酸化物または金属酸化物を用いて水溶液中で製造され、本質的にモノマーとして存在するが、反応条件に依存して、縮合度が1〜3のポリマー性ホスフィン酸塩の形として存在する場合もある。金属成分としてはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、および/または、亜鉛イオンを含む金属炭酸塩、金属水酸化物または金属酸化物が挙げられる。
【0022】
そのようなホスフィン酸塩(b1)は下記一般式(I)で表され、ジホスフィン酸塩(b2)は下記一般式(II)で表される。
【0023】
【化2】

式中、R、RおよびR、Rはそれぞれ直鎖あるいは分岐鎖のC〜C16アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、特にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、フェニル、より好ましくはエチルであり、RとRおよびRとRは互いに環を形成してもよい。Rは直鎖あるいは分岐鎖のC〜C10アルキレン、特にメチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、イソプロピリデン、n−ブチレン、tert−ブチレン、n−ペンチレン、n−オクチレン、n−ドデシレン;アリーレン、特にフェニレン、ナフチレン、アルキルアリーレン、特にメチルフェニレン、エチルフェニレン、tert−ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチルナフチレン、tert−ブチルナフチレン;アリールアルキレン、特にフェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレン、フェニルブチレンであり、Mはカルシウム、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、好ましくはアルミニウム、亜鉛、より好ましくはアルミニウムであり、mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。式(II)ではmx=2nである。)
【0024】
ホスフィン酸塩の構成成分として適したホスフィン酸としては、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、イソブチルメチルホスフィン酸、オクチルメチルホスフィン酸、メチルフェニルホスフィン酸及びジフェニルホスフィン酸等、好ましくはジエチルホスフィン酸)が挙げられる。
【0025】
上記式(I)で表されるホスフィン酸塩の具体例としては、例えば、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛等が挙げられる。
【0026】
また、ジホスフィン酸塩の構成成分として適したジホスフィン酸としては、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)等が挙げられる。
【0027】
上記式(II)で表されるジホスフィン酸塩の具体例としては、例えば、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)亜鉛が挙げられる。
【0028】
本願発明において、特に難燃性、電気特性の観点から好ましく用いられるのは、ホスフィン酸塩としては、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、より好ましくはジエチルホスフィン酸アルミニウムであり、ジホスフィン酸塩としては、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛である。それら混合物として市販されているクラリアント社製Exolit OP1230,Exolit OP1311,Exolit OP1312,Exolit OP1314が好適に使用できる。
【0029】
ホスフィン酸塩、ジホスフィン酸塩、それらの混合物は、本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物を成形して得られる成形品の機械的物性、成形品外観の点で、平均粒子径(D50)(以下、単に「粒径」という)を100μm以下、好ましくは50μm以下とした粉末を用いるのがよい。粒径0.5〜30μmの粉末を用いると、高い難燃性が発現するばかりでなく、成形品強度も著しく高くなるので特に好ましい。なお、本発明での粒径とはレーザー散乱粒度分布計等の粒度分布測定装置を用いて粒子径分布を測定した場合の、重量累積50%の時の粒径値として定義される。
【0030】
ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)としては、ホスフィン酸塩(b1)、ジホスフィン酸塩(b2)に加えて、リン酸とメラミンの反応生成物(b3)組合わせて使用する必要がある。
【0031】
ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)として、リン酸とメラミンの反応生成物を使用すると、難燃性の効果を更に効率的に得ることができ、例えば、難燃レベルが同じV−0であっても、残炎時間を短くできる等の難燃性能の向上が見られる。また、難燃性能の制御において、難燃剤の配合の自由度が高まるため、同じ難燃レベルであっても、難燃剤の使用量を減らすことが可能である。
【0032】
ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)の内、リン酸とメラミンの反応生成物の配合割合は、難燃剤(B)全量の10〜50質量%であることが好ましい。その量が多すぎると溶融混練時の操業性が著しく悪化し、また、相対的にホスフィン酸、ジホスフィン酸の配合割合が下がるために、難燃性能が低下する。また少なすぎるとリン酸とメラミンの反応生成物を併用する効果が薄れ、難燃性能が低下する。
【0033】
リン酸とメラミンの反応生成物(b3)は、リン酸が有する水酸基とメラミンが有するアミノ基との反応によって生成したものであり、リン酸とメラミンとの実質的に等モルの反応によって得られるものである。本明細書中、リン酸は、特記しない限り、オルトリン酸、該オルトリン酸の脱水縮合によって得られるポリリン酸(例えば、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等)、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸を包含して意味するものとする。以下、リン酸とメラミンとの反応生成物はリン酸メラミンと示すものとし、例えば、オルトリン酸メラミンはオルトリン酸とメラミンとの反応生成物を意味し、ポリリン酸メラミンはポリリン酸とメラミンとの反応生成物を意味するものとする。またリン酸メラミンは各種リン酸とメラミンとの反応生成物を包含して意味するものとし、例えば、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン(例えば、ピロリン酸メラミン、三リン酸メラミン、四リン酸メラミン等)、亜リン酸メラミン、次亜リン酸メラミン、メタリン酸メラミン、およびそれらの混合物等が挙げられる。ポリリン酸メラミンとは、リン酸メラミン縮合物の総称であり、ピロリン酸メラミン、三リン酸メラミン、四リン酸メラミン等それぞれの単体もしくはそれらの混合物を示す。好ましいリン酸メラミンはオルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、またはそれらの混合物、より好ましくはポリリン酸メラミンである。
【0034】
リン酸メラミンの製法に特に制約はないが、通常は、所定のリン酸水溶液とメラミン水溶液とを、よく混合して両者の反応生成物を微粒子状に形成させたあと、濾過、洗浄、乾燥することによって製造できる。ポリリン酸メラミンの製法は、ポリリン酸にメラミンを上記のように反応しても良いし、リン酸メラミンを縮合反応させても良い。特にポリリン酸メラミンはオルトリン酸メラミンを窒素雰囲気下、加熱縮合して得ることができる。
【0035】
リン酸メラミンは市販品として入手することもできる。例えば、ポリリン酸メラミンでは、チバ・スペシャリティーケミカル社製;Melapur200/70、日産化学社製PMP−100、Welchem社製MPP等が使用可能である。
【0036】
リン酸メラミンは、本発明の組成物を成形して得られる成形品の機械的物性、成形品外観の点で、粒径を100μm以下、好ましくは50μm以下に粉砕した粉末を用いるのがよい。粒径0.5〜20μmの粉末を用いると、高い難燃性が発現するばかりでなく、成形品強度も著しく高くなるので特に好ましい。
【0037】
ポリアミド樹脂とハロゲン元素を含まない難燃剤の配合量は、(A)ポリアミド樹脂と(B)ハロゲン元素を含まない難燃剤の合計量((A)+(B)=100質量%)の内、10〜40質量%配合することが必要である。難燃剤の配合量が10質量%未満だと難燃性が劣ってしまい、40質量%を超えると押出時の操業性の低下、機械的強度の低下や金型汚染が起こるため好ましくない。
【0038】
本発明において、ポリアミド樹脂(A)に含まれる非晶性ポリアミド(a2)の割合を増やすことで、ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)の配合量を減量させることができる。すなわち非晶性ポリアミド樹脂(a2)を、0.4≦(a2)/(A)≦0.5の割合で使用するとき、ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)を、10質量%以上20質量%未満の割合で使用することが可能となる。もちろん、20質量%以上40質量%以下で使用することを妨げるものではない。難燃剤量を少量にすることによって、難燃剤を配合することにより起こりやすい押出時の操業性の低下、機械的強度の低下や金型汚染をより有効に防止することができる。これは、非晶性ポリアミド(A2)の骨格に構成されるフタル酸のベンゼン環が非常に安定なもので、燃焼しにくい性質によるものである。
【0039】
一方、非晶性ポリアミド(a2)の割合が少なくなると、上記のように非晶性ポリアミド樹脂(a2)を、0.4≦(a2)/(A)≦0.5の割合で多く含むときに比べて、難燃剤の量が多めに必要となる傾向がある。即ち、ポリアミド樹脂(A)に含まれる非晶性ポリアミド(a2)の割合が0.1≦(a2)/(A)<0.4のときは、ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)は、20〜40質量%の割合で使用するようにすればよい。
【0040】
本発明で使用する偏平ガラス繊維(C)は、定容法を用いて窒素吸着により測定されるBET比表面積が0.1mm/g以上であることが必要であり、0.125mm/g以上であることが好ましく、0.15mm/g以上であることがより好ましい。0.1mm/g未満であると機械的強度、難燃性が不足する傾向がある。また、得られる成形体が薄肉の成形体である場合、顕著に反りが発生する傾向がある。実使用においては、成形体が雰囲気中の水分を吸収し、さらに反りの程度は悪いものとなる。偏平ガラス繊維の断面形状としては、長円型、楕円型、長方形、矩形またはこれらの類似形などで、中心点を通過する最大長で定義される長径、中心点を通過する最小長で定義される短径を有する形状であれば特にそれらの形状に限定されるものではない。ガラス繊維配合ポリアミド樹脂組成物に特有の反りを低減させるには、偏平状の繊維が長径/短径の比が1.5〜10、好ましくは2.0〜6.0のものが使用される。長径/短径比が1.5未満では機械的強度の向上効果が乏しく、10を超えるとのものはガラス繊維自体の製造が困難である。また、ガラス繊維は、長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることができる。ガラス繊維はエポキシ、アミノシラン等のシランカップリング剤で表面処理したものを用いてもよい。
【0041】
偏平ガラス繊維は、平均長さは1〜15mm、好ましくは2〜10mmであることが好ましい。ここで平均長さとは、偏平ガラス繊維を顕微鏡観察し、マイクロスケールを基準として測定した20個の平均をいう。繊維の平均長さが、15mmより長いと樹脂成形時に樹脂の流動が悪くなり、作業性が悪くなり、また、1mmより短いと十分な機械的強度を確保できなくなる。
【0042】
ガラス繊維としては偏平ガラス繊維のほかに、偏平ガラス繊維による機械的強度、難燃性の向上、反りの低減効果を損ねない範囲で、断面が丸型のガラス繊維を併用しても良い。
【0043】
偏平ガラス繊維(C)の配合量は、(A)ポリアミド樹脂と(B)ハロゲン元素を含まない難燃剤からなる樹脂組成物100質量部に対し、60〜210質量部、好ましくは70〜200質量部、である。60質量部未満であると強度、剛性、耐熱性が満足されず、210質量部を超えると溶融混錬加工性や成形加工性が悪くなる。また、偏平断面を有する偏平ガラス繊維は、円形ガラス断面を有するガラス繊維を用いるよりも単位面積あたりの表面積が広くなった分、ポリアミド樹脂組成物を成形した後の成形品表面に占める偏平ガラス繊維の比率が高まり、偏平ガラス繊維の不燃特性のために成形品の難燃性が高まる傾向がある。このように、偏平ガラス繊維が成形体表面を覆う状態となることで、熱や酸素の遮蔽効果が大きく難燃性が顕著に向上する。偏平ガラス使用による難燃性向上効果にともない、得られる難燃性ポリアミド樹脂組成物中の難燃剤の含有量を減らすことができ、得られる難燃性ポリアミド樹脂組成物の押出加工性、成形性が向上し、また、脆さが改善され、強度、剛性、特にウェルド強度が向上する。
【0044】
難燃性ポリアミド樹脂組成物は、(D)リン系酸化防止剤または/および(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することにより、さらに成形性に優れたものとすることができる。
【0045】
(D)リン系酸化防止剤は、無機化合物でも有機化合物でもよく、特に制限はない。好ましいリン系化合物としては、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸マンガン、などの無機リン酸塩、トリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−36」、分子量633)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−24G」、分子量604)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−8」、分子量733)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−4C」、分子量633)、テトラ(トリデシル−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどの有機リン化合物が挙げられる。これらは単独であるいはこれらの混合物で用いることができる。
【0046】
一般的には、射出成形における離型性を向上させるための添加剤としては、脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)があるが、それらの化合物は可燃性を有するため、添加することにより難燃性の低下が生じる。通常、リン系酸化防止剤等の酸化防止剤は、熱による樹脂の劣化、色の退化を抑制するために処方するためのもので、離型性を付与する目的で使用されるものではないが、リン系酸化防止剤を用い、本来の酸化防止機能だけでなく、難燃剤の難燃特性を低下させることなく離型性をより向上させ得ることが見出された。特にペンタエリスリトールジホスファイト骨格を有し、分子量が600以上800未満のリン系酸化防止剤、例えばビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−36」、分子量633)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−24G」、分子量604)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−8」、分子量733)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−4C」、分子量633)が特に好ましい。それらの中でも、耐熱性に優れる、PEP−36、PEP−24Gが最も好適に使用できる。
【0047】
リン系酸化防止剤は、本発明に使用する難燃剤であるホスフィン酸塩、ジホスフィン酸塩と均一に混ざりやすく、難燃剤の分解を防ぐため、難燃性を損なうことがない。また、ポリアミド樹脂の分子量低下を防ぐため、押出加工時の操業性、成形性、機械物性に優れた樹脂組成物を得ることができる。特に成形時の離型性、成形時の発生ガスの減少に飛躍的な効果が得られる。例えば、連続射出成形を行った場合、金型のガスベントが詰まりにくく、長期連続成形を行っても、成形不良が生じず、金型清掃の回数を減らすことができる。
【0048】
(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤とは、少なくとも1つのフェノール基を含有し、その芳香族部分が置換基としてフェノール性ヒドロキシル基を有する炭素に直接隣接する少なくとも1つの位置、好ましくは両方の位置で置換される有機化合物を意味する。ヒドロキシル基に隣接する置換基は、1個から10個の炭素原子を有するアルキル基から適切に選択されたアルキル遊離基であり、好ましくは、三級ブチル基である。ヒンダードフェノールの分子量は、適切なのものは、少なくとも約260、好ましくは少なくとも約500、より好ましくは少なくとも約600である。最も好ましいのは、高温での低揮発性、特に配合物の成形に使用される加工温度で低揮発性を有するヒンダードフェノールであり、昇温速度10℃/minで常温から400℃まで加熱した時の10%TGA減量温度が、少なくとも290℃、より好ましくは少なくとも300℃、最も好ましくは310℃を有するものとしてさらに特徴付けることもできる。
例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4‘−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2−チオビス(4−メチル−6−1−ブチルフェノール)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロキシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスファスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4、6−トリス(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルスルホン酸エチルカルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2‘−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4‘−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス[3,3‘−ビス−(4’−ヒドロキシ−3‘−T−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5‘−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、d−α−トコフェロールなどが挙げられる。これらは単独であるいはこれらの混合物で用いることができる。適切なヒンダードフェノール 化合物には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のIrganox 1010やIrganox 1098がある。
【0049】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、難燃性を若干低下させる傾向にあるが、本発明に使用する難燃剤であるホスフィン酸塩、ジホスフィン酸塩、添加が好ましいリン酸とメラミンの縮合物の分解を高効率に防止でき、押出加工時の操業性、成形性、機械物性に優れたポリアミド樹脂組成物を得ることができる。特に連続射出成形を行った場合、金型のガスベントが詰まりにくく、長期連続成形を行っても、成形不良が生じず、金型清掃の回数を減らすことができる。
【0050】
これらの酸化防止剤は単独、併用、どちらでも使用できるが、併用することで相乗効果が発生し、さらに押出加工時の操業性、成形性、機械物性に優れたポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
【0051】
(D)リン系酸化防止剤または/および(E)ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、(A)と(B)の合計100質量部に対し、(D)と(E)の合計が0.01〜5質量部である必要があり、好ましくは0.05〜4質量部である。その量が多すぎると、押出加工時の安定性、成形性、機械物性を低下させ、少なすぎると、成形時の金型からの離型性の低下や、金型ガスベントの詰まりが発生し、連続射出成形が困難になる。
【0052】
本発明では任意成分として脂肪族アミン、脂肪酸の金属塩、エチレンビスアミド化合物、脂肪族アミドからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が用いることができる。本成分が無くとも、本発明の目的は達成されるが、流動性、離型性の向上を図る際には本成分を添加することができる。中でも難燃性にも寄与するシリコーン化合物が好ましく、最適はシリコーンオイルである。添加量としては(A)と(B)の合計100質量部に対して0.05〜2質量部であり、好ましくは0.1〜1.5質量部、更に好ましくは0.1〜1質量部である。
【0053】
シリコーンオイルとは、シロキサン結合を骨格とし、そのケイ素に有機基などが直接結合した有機ケイ素化合物である。ケイ素に直接結合した有機基としては、メチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基、トリフルオロプロピル基およびそれらの併用などが知られているが、これらを有する公知のシリコーンオイルを特に制限なく使用できる。また有機基の一部がエポキシ基、アミノ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、エステル基、クロロアルキル基、炭素数3個以上のアルキル基、ヒドロキシル基などを有する置換基で置換されたシリコーンオイルも使用可能である。
【0054】
シリコーンオイルの具体例としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪族エステル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイルなどのオイル状シリコーン類が挙げられる。
【0055】
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物には、目的を損なわない範囲で、他の成分、例えば顔料、染料等の着色剤や、熱安定剤、耐候性改良剤、核剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤等の添加剤、他の樹脂ポリマー等を添加することが出来る。
【0056】
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、2軸押出機を用いて200〜350℃の温度で溶融混錬することが好ましく、難燃性と機械的特性を両立させるためには、無機質充填材以外の原料を十分に溶融混合した後に、無機質充填材を添加し、減圧脱気することが好ましい。
【0057】
本発明の難燃性ポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形など公知の方法によって成形することができ、たとえば、コネクター、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、スイッチ等の電気、電子、自動車用途の各種成形品、携帯用パソコンやワープロ等のOA機器に代表される電気機器の筐体部品等に成形される。特に、薄肉成形で用いる筐体においては、機械的強度と難燃性を生かして好適に用いることができる。
【実施例】
【0058】
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例ならびに比較例での使用材料および評価方法料は次の通りである。
【0059】
1.使用材料
(1)ポリアミド樹脂
(i)結晶性ポリアミド樹脂
・ ポリアミド66 :(融点265℃、相対粘度2.4、融解熱量21cal/g;ローディア社製24AD1)、以下「PA66」と称す。
・ ポリアミド6:(融点220℃、相対粘度1.9、融解熱量18cal/g;ユニチカ社製A1012)、以下「PA6」と称す。
(ii)非晶性ポリアミド樹脂
・ イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体(ガラス転移温度125℃、相対粘度1.9、融解熱量0.1cal/g;ユニチカ社製CX−3000)、以下、「CX−3000」と称す。
・ イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体(ガラス転移温度138℃、相対粘度2.0、融解熱量0.1cal/g;三菱エンジニアリングプラスチック社製X21)、以下、「X21」と称す。
【0060】
(2)難燃剤
(i)ホスフィン酸塩
・ ジエチルホスフィン酸塩アルミニウム(粒径20μm)、以下「DEPAL」と称す。
(ii)リン酸とメラミンとの反応生成物
・ ポリリン酸メラミン(粒径20μm;チバ・スペシャリティーケミカル社製Melapur200/70)、以下「Melapur」と称す。
(iii)その他の難燃剤
・ シアヌル酸メラミン(粒径8μm;チバ・スペシャリティーケミカル社製MC25)、以下「MC25」と称す。
【0061】
(3)ガラス繊維
(i)偏平ガラス繊維
・ 長円形型断面の偏平ガラス繊維(繊維長3mm、長短径比4、比表面積0.14mm/g、シラン系表面処理有:日東紡社製CSG3J−820S)、以下「偏平GF1」と称す。
・ 長円形型断面の偏平ガラス繊維(繊維長3mm、長短径比4、比表面積0.09mm/g、シラン系表面処理有:日東紡社製CSG3PA820S)、以下「偏平GF2」と称す。
(ii)非偏平ガラス繊維
・ 円形断面のガラス繊維(繊維長3mm、平均繊維径10μm、比表面積0.15mm/g
:旭ファイバーグラス社製03JAFT69)、以下「円形GF」と称す。
【0062】
(4) 酸化防止剤
(i)リン系酸化防止剤
・ ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカ社製アデカスタブPEP−36)、以下「PEP−36」と称す。
(ii)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
・ ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャリティケミカルズ製Irganox1010)、以下「Irganox」と称す。
【0063】
(5)シリコーンオイル
・ メチルフェニルシリコーンオイル(GE東芝シリコーン社製TSF4300)
【0064】
2.評価
a)溶融混練時の操業性
3穴のダイスが設けられた2軸押出機(東芝機械製TEM37)を用いてシリンダー温度280℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量35kg/h、ストランドの引き取り速度を40m/分の条件下で10kg生産した時、ストランドの状況を目視にて確認した。操業時にストランドがまったく切れないものを”○”、1度でも切れたものを”×”としてランク付けした。ランク”○”を操業性が良好と判断し、合格とした。
【0065】
b)曲げ強度および曲げ弾性率
ファナック製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度100℃で1点ゲートで試験片(長さ150mm、幅10mm、厚さ3mm)を成形し、ASTM D790に準じて測定した。曲げ強度250MPa以上、曲げ弾性率12GPa以上を合格とした。
【0066】
c)難燃性
ファナック製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度100℃で試験片を成形し、表1に示すUL94(米国Under Writers Laboratories Inc.で定められた規格)の評価基準に従って測定した。なお試験片の厚みは1/32インチ(約0.8mm)とした。ここではV−1以上を合格とした。また、難燃性の測定時の総残炎時間も示した。例えば、難燃レベルが同じV−0であったとしても、総残炎時間が短い方が、難燃性が優れていることを示す。
【0067】
【表1】

なお、表1に示されるV−0〜V−2の何れにも該当しない規格外の難燃レベルを「V−not」と表示する。「V−not」とは難燃性を有さないことを示す。
【0068】
d)連続成形時の離型性
ファナック製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度100℃にて、サイクル10秒で、浅いコップ形状(肉厚1.5mm、外径40mm、深さ30mm)を用いて成形品を500ショット連続成形したときの451〜500ショット目の成形品の突き出しピンの痕の有無を目視観察した。5個以上のピンの痕が認められるものを”×”、1〜4個のピンの痕が認められるものを”○”、まったく認められないものを”◎”としてランク付けした。ランク”○”と”◎”が、良好な離型性を示すものとし、合格とした。
【0069】
e)連続成形時のガスベントの詰まり
d)の成形終了後に、深さ3μm、幅1mmのガスベントを目視確認し、完全に詰まっているものを”×”、やや詰まりがあるものを”△”、詰まりが見られないものを”○”としてランク付けした。ランク”○”を合格とした。
【0070】
f)滞留安定性
サイクル5分で成形する以外はd)と同様にして50ショット連続成形したときの成形品の突き出しピンの痕の有無を目視観察した。5個以上のピンの痕が認められるものを”×”、1〜4個のピンの痕が認められるものを”○”、まったく認められないものを”◎”としてランク付けした。ランク”○”と ”◎”が、良好な滞留安定性を示すものとし、合格とした。
【0071】
g)表面粗さ
50mm×90mm×2mmの平板成形板を用いて、任意の10部分を小坂研究所社製の表面粗さ測定器(サーフコーダSE−3400)にて表面の平均粗さ(μm)を測定した。20μm以下を合格とした。
【0072】
h)ウェルド部の曲げ弾性率
ファナック製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度100℃で両端から2点ゲートで試験片(長さ150mm、幅10mm、厚さ3mm)を成形し、中央部にできたウェルド部に対し、ASTM D790に準じて測定した。ウェルド部の曲げ弾性率は、特に、ウェルド部の応力に対するたわみの程度を示す尺度であるが、もし、ウェルド部の曲げ弾性率が、十分高くないと、成形品として実用に供した場合、繰り返しの応力負荷によって、ウェルド部から破断に至ることがあり、外観的な問題のみならず、ウェルド部の曲げ弾性率は十分高いことが望まれる。ここで、次式により b)曲げ弾性率と、g)ウェルド部の曲げ弾性率の比をとり、曲げ弾性率比とした。
曲げ弾性率比=(ウェルド部の曲げ弾性率)/(曲げ弾性率)
曲げ弾性率比は、0.6%以上が好ましく、0.65以上であることがさらに好ましい。
【0073】
i)反り
ファナック製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度100℃にて、1.6mmt、φ100mm円盤型のテストピースを成形し、水平盤にテストピースを静置させ、三豊製作所製AE100三次元測定機を用いて以下の4点を測定し、下式にて反り量を測定した。反り量は、成形後空気にできるだけ触れないようにアルミ袋に24時間以上保管したサンプル(絶乾状態)と40℃水中に24時間浸漬後のサンプル(吸湿状態)の測定を行った。
基準点a,b:水平盤に接地している2点
反り点c,d:反りが大きい2点
反り量計算式 反り量(mm)=|(c+d)/2−(a+b)/2|
【0074】
j)ガラス繊維の比表面積
全自動ガス吸着装置を用い、ガラス繊維束0.2gをセット後、窒素ガスを用いて相対圧力0〜1の間で吸着、脱離曲線を測定した。この測定結果よりBET多点法により解析して、ガラス繊維束の比表面積を測定した。
【0075】
実施例1
結晶性ポリアミド樹脂(a1−1)が55.3質量部、非晶性ポリアミド(a2−1)が23.7質量部、難燃剤(B−1)が12.6質量部、難燃剤(B−2)が8.4質量部の合計100質量部に対し、ガラス繊維(C−1)が100質量部になるように2軸押出機(東芝機械製TEM37)を用いてシリンダー設定温度280℃、スクリュー回転200rpm、吐出量35kg/hの条件下で、ガラス繊維以外を基部より投入し、ガラス繊維をサイドフィードして混練し、ストランド状に取り出し、冷却後カッターで造粒し、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットを前記した測定方法にて諸特性を調べた。その結果を表2に示す。
【0076】
実施例1〜16
各成分の配合割合を表2に示すようにし、実施例3,10,14の2軸押出機のシリンダー温度260℃にした以外は実施例I−1と同様にしてペレットを得て、諸特性を調べた。その結果を表2に示す。
【0077】
【表2】

【0078】
比較例1〜12
各成分の配合割合を表3に示すようにし、実施例1と同様にしてペレットを得て、諸特性を調べた。その結果を表3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
実施例1〜16は本発明の要件を満足するため、ガスベントの詰まり、滞留安定性等の操業性が改善され、成形体の離型性、機械特性、難燃性、表面粗さ、反り抑制効果に優れた難燃性ポリアミド樹脂組成物が得られた。
【0081】
比較例1〜4は本発明以外のガラス繊維を用いたため反り特性に劣るものであった。
【0082】
比較例5は非晶ポリアミドを添加しなかったため表面粗さに劣るものであった。
【0083】
比較例6は非晶ポリアミドの割合が大きいためストランドの冷却を迅速に行うことができず、引取り困難で操業性に劣り、また射出成形時の金型内での硬化が短いサイクルで終了せず離型性に劣るものであった。
【0084】
比較例7はリン酸とメラミンの縮合物を添加しなかったため、難燃性に劣るものであった。
【0085】
比較例8は、本発明以外の難燃剤シアヌル酸メラミンを用いたため、難燃性に劣るものであった。
【0086】
比較例9は難燃剤の添加量が少ない(そのことは同時にポリアミド樹脂の量が多いことを意味する)ため難燃性能が低かった。
【0087】
比較例10は難燃剤の添加量が多い(そのことは同時にポリアミド樹脂の量が少ないことを意味する)ため混練時のストランドの引き取りを行うことができず、樹脂ペレットの採取ができなかった。
【0088】
比較例11は偏平ガラス繊維の添加量が少なく曲げ弾性率が低いものとなった。
【0089】
比較例12は扁平ガラス繊維の添加量が多すぎ混練時のストランドの引き取りを行うことができず、樹脂ペレットの採取ができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の反り量の評価における成形品の斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
a,b,c,d:測定部位












【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂(A)60〜90質量%、ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)40〜10質量%の合計100質量部、およびBET比表面積が0.1mm/g以上であり長径/短径の比が1.5〜10である偏平ガラス繊維(C)60〜210質量部からなる難燃性ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂(A)が結晶性ポリアミド樹脂(a1)と非晶性ポリアミド樹脂(a2)を含み、ポリアミド樹脂(A)中の非晶性ポリアミド樹脂(a2)の質量比率が、0.1≦(a2)/(A)≦0.5であり、ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)がホスフィン酸塩(b1)および/またはジホスフィン酸塩(b2)およびリン酸とメラミンとの反応生成物(b3)からなることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
ハロゲン元素を含まない難燃剤(B)の配合比率が、(A)+(B)に対して10質量%以上20質量%未満であり、ポリアミド樹脂(A)中の非晶性ポリアミド樹脂(a2)の質量比率が0.4≦(a2)/(A)≦0.5であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
さらに(D)リン系酸化防止剤もしくは/および(E )ヒンダードフェノール系酸化防止剤を(A)+(B)の合計100質量部に対し合計0.1〜1質量部含有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
ホスフィン酸塩(b1)が下記一般式(I)であり、ジホスフィン酸塩(b2)が下記一般式(II)であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の難燃性ポリアミド樹脂組成物。
【化1】

(式中、R、RおよびR、Rはそれぞれ直鎖あるいは分岐鎖のC〜C16アルキルを表し、RとRおよびRとRは互いに環を形成してもよい;Rは直鎖あるいは分岐鎖のC〜C10アルキレンを表す;Mはカルシウムまたはアルミニウムイオンを表す;mは2または3である;nは1または3である;xは1または2である;式(II)ではmx=2nである。)。

【図1】
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【公開番号】特開2012−214559(P2012−214559A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79349(P2011−79349)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】