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難燃性ポリエステルフィルム
説明

難燃性ポリエステルフィルム

【課題】ポリエステルフィルムが本来持っている外観、透明性、機械的性質、化学的性質を損なうことなく難燃性、薄膜性、そして印字性を達成したフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエステルフィルムの厚みD(μm)と、XRFにより得られるリン含有量P(重量%)との積(D×P)が26.0以上であり、下記化学式で表される化合物を含有するポリエステルフィルムの片面に、当該フィルムの製造工程内で設けられた塗布層を有することを特徴とする難燃性ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性ポリエステルフィルムに関する。より詳しくは、本発明は、配向ポリエステルフィルムが持つ外観、透明性、機械的強度、熱的性質、電気的性質、高次加工性等の特徴を損なうことなく、難燃化、薄膜化、そして印字性を達成したフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸ポリエステルフィルムは、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、ガスバリヤー性、耐薬品性などに優れ、包装材料、電気絶縁材料、金属蒸着材料、製版材料、磁気記録材料、表示材料、転写材料、窓貼り材料など多くの用途で使用されている。
【0003】
近年のパーソナルコンピューターや携帯電話の小型化ならびに高効率化に伴う発熱増大に伴い、それらの装置のバッテリーに用いられるラベル用ポリエステルフィルムには、小型化の観点からラベルへの薄膜化要求、そして発熱由来の火災予防の観点からラベルへの難燃化要求、が強まっている。一般的に、難燃性の指標として、米国アンダーライターズラボラトリーズ(UNDERWRITERS LABORATORIES)社の規格UL94の認定が使用される場合が多い。
【0004】
ポリエステルフィルムの難燃化技術として、例えば特許文献1〜4等に開示されているように、種々のリン含有化合物、ハロゲン含有化合物、金属化合物等を添加混合または共重合溶融押出成形する方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、十分な難燃性をフィルムに付与するためには、多量の難燃性化合物を添加する必要があるため、熱安定性および機械的強度が低下する。特に有機ハロゲン化合物と二酸化アンチモンを併用した場合、良好な難燃性が得られる反面、上述の欠点が顕著であり、かつ、これらの化合物を併存下、溶融混練するとゲル化合物が発生する。
【0006】
また、特許文献5には、特定のリン化合物を用いた難燃性ポリエステルフィルムに関する発明が記載されている。当該フィルムをバッテリーラベルとして用いる場合、印字性を向上させるために、ポリエステルフィルムを製膜後、プライマ−をオフラインで塗工する必要がある。プライマ−自体は、ポリエステルフィルムのような高分子材料ではないため、一旦燃焼すると自消しにくく、難燃性は低下する。よって、発明そのもので印字機能を有すること、プライマ−層を設けた後も難燃性を有することまで、考慮した発明とは言えない。
【0007】
特許文献6には、ポリエステルフィルム製膜時に、プライマ−層を塗工することが提案されている。特許文献6に記載のポリエステルフィルムは、オフラインでプライマ−を塗工せずとも、印字性が良好であり、かつ難燃性も考慮されている。一般的に通常のプラスチックフィルムは、比表面積観点から、フィルムが薄くなるほど燃えやすくなるが、当該発明は、分厚いポリエステルフィルムを対象とするものであり、薄いフィルムについては考慮されていない。すなわち、特許文献6に開示されているフィルムでは、難燃性、印字性は満たすが、薄膜性を満たすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭51−19858号公報
【特許文献2】特公昭55−41610号公報
【特許文献3】特公昭62−61235号公報
【特許文献4】特開昭62−132955号公報
【特許文献5】特開昭63−19254号公報
【特許文献6】特開2001−158070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、ポリエステルフィルムが本来持っている外観、透明性、機械的性質、化学的性質を損なうことなく、難燃性、薄膜性、そして印字性を達成したフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、特定のフィルム構成とすることで、優れた特性を有する難燃化ポリエステルフィルムを得ることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの厚みD(μm)と、XRFにより得られるリン含有量P(重量%)との積(D×P)が26.0以上であり、下記化学式で表される化合物を含有するポリエステルフィルムの片面に、当該フィルムの製造工程内で設けられた塗布層を有することを特徴とする難燃性ポリエステルフィルム。
【0012】
【化1】

【0013】
(上記化学式中、Aは2価または3価の有機残基であり、Qは炭素数1〜18の炭化水素であり、Zはエステル形成官能基である)
成官能基である)
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポリエステルフィルムが本来持っている外観、透明性、機械的性質、化学的性質を損なうことなく、難燃性、薄膜性、そして印字性を達成したフィルムを提供することができる。本発明のフィルムは、パーソナルコンピューターや携帯電話のバッテリーに用いられるラベル用等として好適に用いることができ、本発明の工業的価値は高い。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明でいうポリエステルとは、全ての層が口金から共溶融押出される共押出法により押し出されたものを延伸後、必要に応じて熱固定したものを指す。以下、ポリエステルフィルムとして3層構造のフィルムについて説明するが、本発明においてポリエステルフィルムは、その目的を満たす限り、3層ポリエステルフィルムに限定されるものではなく、3層以上の多層でも2層であってもよい。
【0016】
本発明において、フィルムの各層を構成する重合体は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルを主とするものであり、繰り返し構造単位の60%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−ナフタレート単位を有するポリエステルを指す。そして、上記の範囲を逸脱しない条件であれば、他の第三成分を含有していてもよい。
【0017】
芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、例えばイソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等を用いることができる。グリコール成分としては、エチレングリコール以外に、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を用いることができる。
【0018】
本発明のフィルムの各層を構成するポリエステル組成物の粘度IVは、それぞれ通常0.52〜0.75dl/g、好ましくは0.55〜0.70dl/g、さらに好ましくは0.58〜0.67dl/gの範囲である。IV値が0.52dl/g未満では、フィルムとした際のポリエステルフィルムが持つ優れた特徴である耐熱性、機械的強度等が劣る傾向がある。また、IV値が0.75dl/gを超えると、ポリエステルフィルム製造時の押出工程での負化が大きくなりすぎる傾向があり、生産性が低下する恐れがある。
【0019】
本発明の積層フィルムの全厚みD[μm]は、通常20.0〜100.0μm、好ましくは40.0〜80.0μmの範囲である。積層フィルムの全厚みが20.0μm未満では、比表面積が大きいため難燃性が発現しないことがある。一方、100.0μmを超えると、バッテリーの小型化の要求を満たすことが困難となる場合がある。
【0020】
本発明のポリエステルフィルム中のリン元素量Pは後述するXRFで求められる。リン元素量の範囲は、通常0.30〜2.00重量%、好ましくは、0.50〜1.40重量%以下、さらに好ましくは、0.60〜1.00重量%の範囲である。リン元素量が0.30重量%未満では、難燃性が発現しないことがある。一方、リン元素量が2.00重量%を超えると、テンターでフィルムが破断しやすくなり、得られたフィルムの難燃性に関しては良好であるが、機械的強度が低下する傾向がある。
【0021】
本発明では、難燃化合物として下記化学式で示されるものを使用する。
【0022】
【化2】

【0023】
上記化学式中、Aは2価または3価の有機残基であり、好ましいものとして、メチレン基、エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン等の低級アルキレン基、1,3−フェニレン、1,4フェニレンなどの、アリレーン基、1,3−キシリレン、1,4−キシリレン、などの2価の基などが挙げられる。なお、上記の炭化水素基は、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0024】
上記化学式中、Qは炭素数が1〜18の炭化水素基であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリロキシ基のほか、上記の炭化水素基が塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子により置換された基などが挙げられる。
【0025】
また、Zはエステル形成性官能基であり、具体的には、カルボキシ基、カルボキシル基の炭素原子数が1〜6のアルキルエステル、シクロアルキルエステル、アリールエステル、ヒドロキシ基、炭素原子数2〜7のヒドロキシルアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0026】
本発明で用いられる難燃性ポリエステルを製造する際に、上記難燃化合物をポリエステル製造系に添加する方法については特に限定されない。すなわち、例えば、ジカルボン酸ジエステルとジオールとのいわゆるエステル交換法によりポリエステルを製造する際には、エステル交換反応の際に難燃化合物を添加してもよいし、エステル交換反応後の重縮合反応前または重縮合の比較的初期段階で添加することもできる。また、ジカルボン酸とジオールとのいわゆるエステル化法によりポリエステルを製造する際においても任意のエステル化段階で添加することができる。
【0027】
ポリエステルフィルム内の、リン元素量Pと厚みDとの積M(P×D)は、26.0以上であり、好ましくは33.0以上、さらに好ましくは40.0以上である。Mが26.0未満の場合、難燃性は発現しない。Mの上限は特に設けないが、PとDの上限から、200.0とすることが好ましい。
【0028】
本発明で用いる微細な不活性粒子としては、平均粒径が0.5〜3.0μm、さらには平均粒径が0.8〜2.0μmのものが好ましい。平均粒径が0.5μm未満では、作業性が劣る傾向がある。また、平均粒径が3.0μmを超えると、フィルム表面の平面性が損なわれたり、透明性が損なわれたりする恐れがある。さらに粒子の添加量は0.005〜0.5重量%、さらには0.01〜0.1重量%の範囲が好ましい。粒子の添加量が0.005重量%未満では、フィルムの巻き特性が劣る傾向がある。また、粒子の添加量が0.5重量%を超えると、フィルム表面の粗面化の度合いが大きくなり過ぎて、フィルムの透明性が損なわれる恐れがある。
【0029】
本発明で用いられる不活性粒子の例としては、酸化ケイ素、酸化チタン、ゼオライト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、セライト、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、カオリン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ素、窒化ホウ素および特公昭59−5216号公報に記載されたような架橋高分子微粉体を挙げることができるが、もちろんこれらに限定されるものではない。この際、配合する不活性粒子は単成分でもよく、また2成分以上を同時に用いてもよい。
【0030】
また、本発明においてポリエステルに不活性粒子等を含有させる方法は特に限定されないが、重合工程に添加する方法、押出機を用い粒子をあらかじめ練込みマスターバッチとする方法等が採用されるが、特に好ましい方法は、フィルム製造工程中の押出工程で直接粒子を添加混合する方法である。その際の押出機としてはベント付きの二軸押出機が好ましい。粒子の分散改良のためには、同方向二軸押出機よりも異方向二軸押出機の方が好ましい。
【0031】
本発明のフィルムとは、全ての層が口金から共溶融押出しされる共押出法により、押出されたものが二軸方向に延伸、熱固定されたものが好ましい。共押出方法としては、フィードブロックタイプまたはマルチマニホールドタイプにいずれを用いてもよい。本発明の積層フィルムの製造方法をさらに具体的に説明するが、本発明の構成要件を満足する限り、以下の例示に特に限定されるものではない。
【0032】
難燃化合物を含有したポリエステル(内層)と不活性粒子を所定量と必要に応じて難燃化合物を含有するポリエステル(両外層)を、各々別の溶融押出装置に供給し、当該ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーを押出口金内において層流状で接合積層させてスリット状のダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0033】
本発明においてはこのようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦一軸延伸フィルムとした後、フィルムの少なくとも片面に塗布液を塗布し、適度な乾燥を施すか、あるいは未乾燥で、横方向に90〜160℃で2〜6倍延伸を行い、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
【0034】
本発明のフィルムをバッテリーラベル用として用いる場合、バッテリーの名称を表記するため、印字されるのが普通である。この場合、ポリエステルフィルムは、一般的に不活性であることから印字性に乏しく、印字層との接着性を向上させるために、塗布層をあらかじめ設けることが好ましい。
【0035】
塗布層を形成する方法としては、テンター入口前(配向結晶化完了前)に塗布してテンター内で乾燥するいわゆるインラインコート法が好ましい。このような塗布は片面、両面のいずれでもよい。
【0036】
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、二軸延伸ポリエステルフィルム上に形成される塗布層としては、架橋剤と各種バインダー樹脂との組み合わせからなり、バインダー樹脂としては接着性の観点からアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。
【0037】
塗布剤中におけるアクリル系樹脂の配合量は、通常5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%の範囲である。アクリル系樹脂の配合量が5重量%未満の場合は、活性エネルギー線硬化樹脂層との接着性が不十分となることがあり、70重量%を超える場合は、塗布層自体の延伸追随性が悪化し、塗膜の均一性が悪化する恐れがある。
【0038】
塗布剤中におけるポリエステル系樹脂の配合量は、通常10〜85重量%、好ましくは15〜70重量%の範囲である。ポリエステル系樹脂の配合量が10重量%未満の場合は、十分な接着力が発揮されないことがあり、85重量%を超える場合は、耐固着性が不十分となる傾向がある。
【0039】
架橋剤樹脂としては、メラミン系、エポキシ系、オキサゾリン系樹脂が用いられるが、塗布性、耐久接着性の点で、メラミン系樹脂が特に好ましい。メラミン系樹脂は、特に限定されるものではないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
【0040】
また、メラミン系樹脂としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体からなる縮合物のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。
【0041】
上記エーテル化に用いる低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどを好ましく使用することができる。官能基としては、イミノ基、メチロール基、あるいはメトキシメチル基やブトキシメチル基等のアルコキシメチル基を1分子中に有するもので、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などを用いることができる。それらの中でもメチロール化メラミン樹脂が最も好ましい。さらに、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えばp−トルエンスルホン酸などの酸性触媒を用いることもできる。
【0042】
塗布剤中におけるメラミン樹脂の配合量は、通常1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲である。架橋剤樹脂の配合量が1重量%未満の場合は、耐久接着性が十分発揮されず、耐溶剤性の改良効果が不十分となる場合があり、50重量%を超える場合は、十分な接着性が発揮されないことがある。
【0043】
本発明において、フィルムの滑り性、固着性などをさらに改良するため、塗布層中に無機系粒子や有機系粒子を含有させるのが好ましい。
【0044】
塗布剤中における粒子の配合量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。かかる配合量が0.5重量%未満では、耐ブロッキング性が不十分となる場合があり、10重量%を超えると、フィルムの透明性を阻害し、画像の鮮明度が落ちる傾向がある。
【0045】
無機粒子としては、二酸化ケイ素、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモン等が挙げられる。これらの中では、二酸化ケイ素が安価でかつ粒子径が多種あるので利用しやすい。
【0046】
有機粒子としては、炭素−炭素二重結合を一分子中に2個以上含有する化合物(例えばジビニルベンゼン)により架橋構造を達成したポリスチレンまたはポリアクリレートポリメタクリレートが挙げられる。
【0047】
上記の無機粒子および有機粒子は表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
【0048】
また、塗布層は、帯電防止剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
塗布剤は、水を主たる媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的または造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は、水に溶解する範囲で使用することが好ましい。有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。これらの有機溶剤は、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
【0049】
塗布剤の塗布方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されているような、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターまたはこれら以外の塗布装置を使用することができる。
【0050】
塗布層は、ポリエステルフィルムの片面だけに形成してもよいし、両面に形成してもよい。片面にのみ形成した場合、その反対面には必要に応じて上記の塗布層と異なる塗布層を形成して他の特性を付与することもできる。なお、塗布剤のフィルムへの塗布性や接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施してもよい。また、表面特性をさらに改良するため、塗布層形成後に放電処理を施してもよい。
【0051】
塗布層の厚みは、最終的な乾燥厚さとして、通常0.02〜0.5μm、好ましくは0.03〜0.3μmの範囲である。塗布層の厚さが0.02μm未満の場合は、本発明の効果が十分に発揮されない。塗布層の厚さが0.5μmを超える場合は、フィルムが相互に固着しやすくなる。特にフィルムの高強度化のために塗布処理フィルムを再延伸する場合は、工程中のロールに粘着しやすくなる。上記の固着の問題は、特にフィルムの両面に同一の塗布層を形成する場合に顕著に現れる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性測定法を以下に示す。
【0053】
(1)フィルムの厚さD[μm]
マイクロメーターで測定した。
【0054】
(2)製膜性の評価
無定形シートを縦延伸後、横延伸する際、横延伸機(テンター)において、延伸時にフィルムが破断する状況を、下記3ランクの基準で判定評価した。
ランク○:ほとんどフィルム破断を起こさず生産性良好
ランク△:時折フィルム破断を生じ、生産性に劣る
ランク×:常に破断を生じ、生産性は全くない
【0055】
(3)リン元素量P[重量%]
XRF:蛍光X線分析装置(島津製作所社製型式「XRF−1800」)を用いて、下記表1に示す条件下で、単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。
【0056】
【表1】

【0057】
(4)難燃性
アンダーライターズラボラトリーズ社発行のプラスチック材料の燃焼性試験規格UL94の垂直燃焼試験方法に準じ、UL94VTM試験を行う。評価基準については、本試験方法は燃焼試験評価結果がばらつくこと、および、ULのフォローアップサービスは最大3回まで機会が与えられること、から1種のポリエステルフィルムサンプルに対し、VTM試験の一連の評価作業を3回行うこととした。以下に、難燃性評価手順について説明する。
(i)UL94のVTM試験に準ずる試験片を30本準備する。
(ii)iの中から無作為に10本を選択する。
(iii)試験片5本に対しUL94VTM試験を行い、VTM−0に合格すれば終了。不合格であれば、残りの試験片5本に対しUL94VTM試験を行い、VTM−0の合否を判断する。
(iv)iiとiiiの作業を3回繰り返す。
(v)ivで得られた3回の結果を評価する。評価基準は以下の通り。
ランク◎ VTM−0に3回合格
ランク○ VTM−0に2回合格
ランク△ VTM−0に1回合格
ランク× VTM−0に0回合格。
受理状態(23℃/50%RH/48h)にて、評価が◎/○/△であったら、エージング後(70℃/168h後)に対して同様の手順でVTM試験を実施し、VTM−0の合否判断を行う。
【0058】
(5)印字性
ポリエステルフィルム上に、寺西化学工業 油性マーカー マジックインキ 極細黒 M700−T1 で、長さ50mmの線を引く。30秒後、セロハンテープを上から貼り付ける。15秒後、セロハンテープを高速で剥がす。目視観察し、下記基準で印字性評価した。
○:マジック跡が残っている
×:マジック跡がかすれて、ほとんど残っていない
【0059】
(6)粘度(IV)
ポリエステルフィルムをフェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒中に溶解し、毛細管粘度計を用いて、1.0(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、粘度:IVを算出した。その際、Huggins定数を0.33と仮定した。
【0060】
以下の実施例および比較例で用いたポリエステル原料の製造方法は以下のとおりである。
≪ポリエステルAの製造≫
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・4水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了した。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルの粘度は0.66であった。
【0061】
≪ポリエステルBの製造≫
ポリエステルAの製造において、エステル交換終了後に、下記化学式(a)で示される難燃剤化合物、10−[2,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニルプロピル]−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドをポリマーに対し、リン元素量が1.5重量%にとなるよう添加すること以外はポリエステルAと同様の方法でポリエステルBを得た。得られたポリエステルの粘度は0.65であった。
【0062】
【化3】

【0063】
≪ポリエステルCの製造≫
ポリエステルBの製造において、難燃剤化合物添加量をポリマーに対するリン元素量を3.0重量%とする以外は、ポリエステル−Bと同様の方法でポリエステルCを得た。得られたポリエステルの粘度は0.60であった。
≪ポリエステルDの製造≫
ポリエステルAの製造において、エステル交換終了後に、平均粒径が2.3μmのシリカ粒子0.1重量部とする以外はポリエステルAと同様の方法でポリエステル−Dを得た。得られたポリエステルの粘度は0.65であった。
また、以下の実施例、比較例で用いた配向結晶化完了前に塗布する水性塗料の固形分比および内容は下記のとおりである。
【0064】
<水性塗料の固形分比>
水性塗料a/水性塗料b/水性塗料c/水性塗料d=55/30/10/5
<水性塗料の内容>
水性塗料a:テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール/=24/25/1/25/25モル比のポリエステル分散体
水性塗料b:メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メチロールアクリルアミド=50/40/10モル比の乳化重合体
水性塗料c:ヘキサメトキシメチルメラミン
水性塗料d:酸化ケイ素の水分散体(粒子径=0.06μm)
【0065】
実施例1:
ポリエステルA/ポリエステルC=54/46のブレンド原料を、285℃に設定したメインの押出機に、ポリエステルA/ポリエステルC/ポリエステルD=49/46/5のブレンド原料を285℃に設定したサブの押出機に送り込んだ。ここでメインもサブも押出機は同方向の二軸押出機を使用した。単位時間あたりの吐出量比について、メイン:サブ=80:20とした。サブ押出機のポリマーをフィルムの表裏2層(最外層)に分岐した後、ギヤポンプ、フィルターを介して、メインサブ押出機からのポリマーとフィードブロックで合流させシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、厚み1950μmの実質的に非晶質のシートを得た。得られた非晶質シートを縦方向に83℃で3.3倍延伸した後、上記記載の水性塗料を塗布し、その後横方向に120℃で3.2倍延伸し、230℃で熱処理を施し、2.5μm/20μm/2.5μmの厚み構成で全層厚み25μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を下記表2に示す。
【0066】
実施例2〜10:
表2に示す原料配合比、ならびに厚みにて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果も表2に示す。
【0067】
比較例1〜3:
下記表3に示す原料配合比、ならびに厚みにて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果も表3に示す。
【0068】
比較例4:
表3に示す原料配合比にて、フィルム厚み75μmとなるよう、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得る検討を行ったが、テンター内で破断が多発し、製膜を断念した。リン量は破断後のフィルム破片をXRFで測定することで得られたが、フィルムの変形がひどいため、難燃性の評価はできず。
【0069】
比較例5:
水性塗料を塗工しないことを除いて、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表3に示す。
【0070】
実施例11:
下記表2に示す原料配合比、厚みで、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得る検討を行った。評価結果から、リン量は少なくても難燃性の良好なフィルムであることは確認できたが、フィルムが分厚いために実用上問題となるものであった。
【0071】
【表2】

【0072】

【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のフィルムは、例えば、パーソナルコンピューターや携帯電話のバッテリーに用いられるラベル用等として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィルムの厚みD(μm)と、XRFにより得られるリン含有量P(重量%)との積(D×P)が26.0以上であり、下記化学式で表される化合物を含有するポリエステルフィルムの片面に、当該フィルムの製造工程内で設けられた塗布層を有することを特徴とする難燃性ポリエステルフィルム。
【化1】

(上記化学式中、Aは2価または3価の有機残基であり、Qは炭素数1〜18の炭化水素であり、Zはエステル形成官能基である)
【請求項2】
ポリエステルフィルムの厚みDが20.0〜100.0μmで、XRFにより得られるリン含有量Pが0.30〜2.00重量%である請求項1記載の難燃性ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2012−136611(P2012−136611A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288979(P2010−288979)
【出願日】平成22年12月25日(2010.12.25)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】