説明

難燃性ポリマー及び改善粘度ポリマー用添加剤システム

難燃性熱可塑性ポリマー組成物であって、過半量の熱可塑性ポリマー、ホスフィン酸塩、亜鉛塩、及びメラミン塩を含む、前記ポリマーに難燃性を提供するのに有効な量の難燃性添加剤、並びに、リン、すず、及びフッ素を含有する、該組成物のせん断粘度をASTM D−3835により測定して約10,000/秒のせん断速度及び280℃の温度で約10Pa−s未満に減少させるのに十分な量の低Tgガラスを有する難燃性熱可塑性ポリマー組成物が提供される。また、ホスフィン酸塩、亜鉛塩、メラミン塩、及び低Tgガラスを含む難燃性組成物、並びに、該難燃性組成物を該溶融ポリマー中に配合することにより該難燃性熱可塑性ポリマー組成物を形成する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の引用〕
本願は、2009年9月1日に出願された米国仮出願第61/238,758号に基づく優先権を主張するものであり、該仮出願の記載を参考のために引用する。
本発明は、難燃性添加剤システム及びその熱可塑性ポリマーにおける使用に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、優れた機械的性質、成形性、及び耐化学薬品性を有するので、自動車部品、電気/電子部品、機械部品、及び他の多くの用途に使用されてきた。ある種の用途において、熱可塑性樹脂組成物は、難燃性であり高度の難燃性に対するUL−94規格を満たすことが望ましい。この要望が、熱可塑性樹脂に難燃性を付与する種々の方法に対する研究を促進してきた。
【0003】
熱可塑性樹脂組成物に難燃性を付与する一般的な方法には、種々の難燃性用共力剤(synergists)と一緒に、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA(TBBPA)及びジブロモスチレン(DBS)のポリマー又はオリゴマーのようなハロゲン化有機化合物を配合することが含まれる。しかしながら、ハロゲン化難燃剤の使用は、これらの物質がある種の熱可塑性組成物を成形するのに使用される温度で分解又は劣化する傾向があり、その劣化生成物が配合用押出機の容器、成形機の表面、及びハロゲン化難燃剤が高温で接触する他の装置の表面を腐食する可能性があるという点で、いくらかの欠点を有する。更に、このようなハロゲン化有機難燃性ポリマー又はオリゴマー状添加剤は、時間が経てばポリマー物品の表面に乳白化(bloom)する傾向を有する可能性があり、艶なし面外観、及び該材料が環境に入ることの不要な可能性を招く。
【0004】
ハロゲン化有機化合物難燃剤の代替物としてホスフィン酸塩が提案されている。しかしながら、熱可塑性ポリマーにおける難燃剤としてのホスフィン酸塩の使用は、必ずしも、物理的性質と難燃性との望ましい組合せをもたらすとは限らない。特に、熱可塑性ポリマーに難燃性を付与するのに十分高い濃度でホスフィン酸塩を配合すると、せん断粘度の望ましくない増加を招く可能性があり、それが難燃性物品を製造するための溶融処理操作における困難性を引起こしうることが知られている。
【0005】
ハロゲン化有機添加剤化合物の配合を避けるが、難燃性物品を形成する際に溶融加工性を向上させるのに十分低い粘度特性を有する、熱可塑性組成物に添加するための難燃性添加剤システムを有することが有益であろう。
【0006】
米国公開特許出願第2006/0167143号は、ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミド相溶化ブレンド、任意の導電性充填材、ホスフィン酸塩、並びに、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、タルク、及び前記難燃性増強剤の二種以上の組合せから成る群より選択される難燃性増強剤を含む組成物を開示している。2006/0167143の低融点ガラスは、200℃〜500℃のガラス転移温度を有している。該出願は、低融点ガラス材料の添加により該ポリマーブレンドの粘度を改善することに関する記載を全く含んでおらず、また、リン、すず、及びフッ素の組合せを含有する低融点ガラス材料も開示していない。
【0007】
米国公開特許出願第2008/0248278号は、表面薄層に隣接する多孔性コア層を含む複合シート材料を開示している。該多孔性コア層は、熱可塑性ポリ(アリーレンエーテル)及び該多孔性コア層の全重量に基づいて20〜80重量%の繊維を含んでいる。該ポリ(アリーレンエーテル)コアはまた、火炎遅延剤、排煙遅延剤、火炎及び排煙遅延剤、又は前記遅延剤の二種以上の組合せを含む添加剤をも含有しているが、該添加剤は塩素及び臭素を含まない。該熱可塑性物質は、所望によりスチレンホモポリマーのような粘度調整剤を含んでも良いが、それは該組成物に添加されるとせん断粘度を6000Pa−s未満に減少させることが出来る。該表面薄層は、該多孔性コア層の表面の少なくとも一部分を覆っている。該出願は、リン、すず、及びフッ素の組合せを含有する低融点ガラス材料、並びに、該ポリマーの粘度を改善するための該ガラスの使用に関する記載を全く含んでいない。
【0008】
米国公開特許出願第2006/0020064号及び第2006/0287418号は、参考のためにそれらの全体をここに引用するが、少なくとも一種の式(I)のホスフィン酸塩及び(又は)式(II)のジホスフィン酸塩及び(又は)それらのポリマー
【0009】
【化1】


(式中、R及びRは同じか異なり、C〜Cの線状又は分岐状アルキル、及び(又は)アリールであり、RはC〜C10の線状又は分岐状アルキレン、C〜C10のアリーレン、アルキルアリーレン、又はアリールアルキレンであり、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、及び(又は)プロトン化窒素塩基であり、mは1〜4であり、nは1〜4であり、xは1〜4である。)
を含むナノ粒子状リン含有難燃性添加剤システムを含む、難燃性ポリマー成形用組成物を開示している。それらの引例は、ポリマー組成物に難燃性を付与するために該ホスフィン酸塩の配合を提案しているけれども、どちらの引例も該組成物中への低融点ガラスの配合を開示又は示唆していない。
【0010】
米国公開特許出願第2007/0290405号は、参考のためにその全体をここに引用するが、従来のポリマー処理方法を用いて液体相中で無機リン酸塩ガラス及び有機ポリマーを混合することにより得られる両成分の混和性を開示している。ナイロン、例えば、ポリアミド6を可塑化するためにある種の低Tgリン酸塩ガラスを使用することにより、特異なナイロンポリマー複合材料の創造を可能にする新部類の可塑剤が導入される。これらの材料は、粘度の実質的減少と共に調整可能な形態、興味深い性質、及び容易に加工できるナイロンを示す。可燃性の減少も可能である。ナイロンマトリックスに低Tgリン酸塩ガラスを少量(10容量%未満)添加すると、粘度の大幅な減少及びナイロンガラス転移温度の減少を招くと言われており、低Tgリン酸塩ガラスを60容量%まで添加できる可能性がある。該ナイロン/リン酸塩ガラス組成物にホスフィン酸塩難燃剤を添加するという記載は全くされていない。
【0011】
ポリアミドのような熱可塑性ポリマーを、リン、すず、及びフッ素を含む精選された低Tgリン酸塩ガラス、及びホスフィン酸塩難燃剤を含有する難燃性添加剤と混合することにより、低いせん断粘度と改善された難燃性との有利な組合せを有する溶融加工可能な熱可塑性組成物を製造できることが、今や見出された。なお、該リン酸塩ガラスの不在下で必要な濃度よりも小さな濃度の該ホスフィン酸塩成分を用いて、望ましい難燃性を実現することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国公開特許出願第2006/0167143号
【特許文献2】米国公開特許出願第2008/0248278号
【特許文献3】米国公開特許出願第2006/0020064号
【特許文献4】米国公開特許出願第2006/0287418号
【特許文献5】米国公開特許出願第2007/0290405号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、過半量の熱可塑性ポリマー;ホスフィン酸塩(即ち、ホスフィネート)、亜鉛塩、及びメラミン塩を、前記ポリマーに難燃性を提供するのに有効な量で含む難燃性添加剤;並びに、リン、すず、及びフッ素を含有する低Tgガラス(即ち、フルオロリン酸すずガラス)を含む、難燃性熱可塑性ポリマー組成物、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、又はポリスチレン組成物を提供する。典型的に、該低Tgガラスは、該組成物のせん断粘度をASTM D−3835により測定して約1000/秒のせん断速度及び280℃の温度で約10Pa−s未満に減少させるのに十分な量で存在する。
【0014】
また、熱可塑性ポリマーを、上記の難燃性添加剤及び低Tgガラスと溶融混合することにより、該難燃性熱可塑性ポリマー組成物を製造する方法をも提供する。
【0015】
該フルオロリン酸すずガラスは、例えば、SnF、SnO及びPを含み、200℃未満、例えば、80℃〜190℃のTgを有する。
【0016】
本発明の難燃性添加剤は典型的に、亜鉛及びメラミンの塩と一緒に、式(I)の少なくとも一種のホスフィン酸塩及び(又は)式(II)の塩及び(又は)それらのポリマー
【0017】
【化2】


(式中、R及びRは同じか異なり、線状又は分岐状アルキル、及び(又は)アリールであり、Rは線状又は分岐状アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、又はアリールアルキレンであり、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、及び(又は)プロトン化窒素塩基であり、mは1〜4であり、nは1〜4であり、xは1〜4である。)
を含む。
【0018】
多数の態様において、本発明の組成物の熱可塑性ポリマーは、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、及びポリアミドから成る群より選択され、しばしばPA−4、PA−6、PA−6,6、PA−6,10、PA−6,9、PA−6,12、PA−4,6、PA−12,12、PA−11、PA−12から成る群より選択されるものの様なポリアミド;芳香族ポリアミド;部分的芳香族ポリアミド;及びそれらの組合せ又は混合物を含む。一態様において、該ポリアミドはPA−6,6である。
【0019】
本発明の難燃性熱可塑性ポリマー組成物は、UL−94の難燃性要件V−2を満たし、一般的にはUL−94の難燃性要件V−1を満たし、典型的にはUL−94の難燃性要件V−0を満たすであろう。
【0020】
本発明の一態様は、上記のホスフィン酸塩、亜鉛塩、メラミン塩、並びに、リン、すず及びフッ素を含有する低Tgガラスを含む難燃性添加剤の組合せを提供する。
【0021】
本発明のもう一つの態様は、過半量の熱可塑性ポリマー;ホスフィン酸塩、亜鉛塩、及びメラミン塩を、前記ポリマーに難燃性を提供するのに有効な量で含む難燃性添加剤;並びに低Tgフルオロリン酸すずガラスを有する、ポリマー組成物を含む難燃性物品を対象にしている。
【0022】
有利には、前記ポリマー組成物に配合される低Tgフルオロリン酸すずガラスの濃度は、前記組成物における前記低Tgガラスの不在下でUL−94の難燃性要件V−0を達成するのに必要な難燃性添加剤の濃度と比較して、前記難燃性要件を達成するのに必要な前記難燃性添加剤の濃度を減少させるのに十分な濃度である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、
過半量の熱可塑性ポリマー、
ホスフィン酸塩、亜鉛塩、及びメラミン塩を含む、約5重量%〜約25重量%の難燃性添加剤、並びに
リン、すず、及びフッ素を含む、約1重量%〜約15重量%の低Tgガラス
を含む難燃性熱可塑性ポリマー組成物を提供する。
該ポリマー組成物は一般に、ASTM D−3835により測定して、280℃の温度、及び、約10,000/秒のせん断速度、しばしば1,000/秒のせん断速度で、約10Pa−s未満のせん断粘度を示す。また、該難燃性熱可塑性ポリマー組成物の製造方法をも提供する。
【0024】
本出願において、該組成物における熱可塑性ポリマーの量を言及する場合の用語「過半量」は、50重量%より多い量を意味する。該組成物における難燃性添加剤の量を言及する場合、「難燃性を提供するのに有効な量で」という句は、全ポリマー組成物の可燃性をその本来の目的に対する許容レベルより下まで減少させるのに十分な量を意味し、該組成物に配合される特定のホスフィン酸塩に依って変化すると理解されるべきである。該組成物における低Tgガラスの量を言及する場合、「該せん断粘度を減少させるのに十分な量で」という句は、該低Tgガラスの不在下における同様な組成物と比較して、全溶融組成物のせん断粘度を減少させる量を意味する。
【0025】
溶融加工は、幅広いポリマー物品の費用優位な製造方法であり、該方法では熱可塑性ポリマーはその溶融温度近く又はその上まで上げられ、所望の形状に押出され、注型され、又は成形される。溶融加工物品には、電子ハウジング、自動車部品、電気的接続部、金属線、コイル及びボビン等用の電気絶縁体、押出し、吹込み又は注型フィルム、不織布又は溶融吹出し繊維、モノフィラメント、トウ、布等のような成形物品が含まれる。
【0026】
全部ではないが、大部分の溶融加工技術は、比較的低い溶融粘度を有する熱可塑性ポリマーを使用するので、該溶融ポリマーが良く流れて、容易に且つ連続して金型、押出し機、又は他のこのような溶融加工装置中に移動することによって、益を得ているのである。
【0027】
本発明に有用な低Tg(ガラス転移)ガラスは、米国公開特許出願第2007/0290405号に開示されているような、すず及びフッ素を含有するフルオロリン酸すずガラスであるが、参考のために該出願の全体をここに引用する。該低Tgフルオロリン酸すずガラスは、例えば、約40〜60モル%、典型的には約50モル%のSnF、約15〜25モル%、典型的には約20モル%のSnO、及び約25〜35モル%、典型的には約30モル%のPの相対的量で、SnF、SnO、及びPを含む。
【0028】
好ましくは、該低Tgフルオロリン酸すずガラスは、200℃未満、例えば、100℃〜190℃、100℃〜175℃又は110℃〜150℃のような80℃〜190℃のTgを有する。例えば、該フルオロリン酸すずガラスは、約120℃〜130℃、即ち、約125℃のTgを有する。
【0029】
該フルオロリン酸すずガラスのTgは多数の市販用熱可塑性ポリマーの融点より低いので、該フルオロリン酸すずガラスの低いTgは、幅広い熱可塑性ポリマーの溶融加工におけるその使用を促進するものである。例えば、ポリエチレンポリマーは約120℃〜約130℃の範囲の融点を有し、ポリプロピレンは約160℃の融点を有し、ポリアミドは約210℃と約280℃間の範囲の融点を有する。かくして、該フルオロリン酸すずガラスは、大部分の溶融熱可塑性ポリマー組成物中に容易に配合することが出来るのである。
【0030】
本難燃性熱可塑性ポリマー組成物は、一般に、ホスフィン酸塩、亜鉛塩、及びメラミン塩を含む、約5重量%〜約25重量%の難燃性添加剤、並びに、約1重量%〜約15重量%の低Tgガラス、例えば、約1重量%〜約10重量%、典型的には約1重量%〜約5重量%の低Tgガラスを含む。
【0031】
本発明のホスフィン酸塩(別名ホスフィネート)は、例えば、米国公開特許出願第2006/0020064号及び第2006/0287418号に開示されている様な、式(I)を有する塩、及び(又は)式(II)の塩、及び(又は)それらのポリマー
【0032】
【化3】


(式中、R及びRは同じか異なり、C〜Cの線状又は分岐状アルキルのようなアルキル、及び(又は)アリールであり、RはC〜C10の線状又は分岐状アルキレン、C〜C10のアリーレン、アルキルアリーレン、又はアリールアルキレンであり、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、及び(又は)プロトン化窒素塩基であり、mは1,2,3又は4であり、nは1,2,3又は4であり、xは1,2,3又は4である。)
であるが、それらの両出願を参考のためにそれらの全体としてここに引用する。
【0033】
〜Cの線状又は分岐状アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、ネオペンチル、及び、既述の炭素数の他の分岐状異性体であり、例えば、メチル、エチル、又はプロピルである。
【0034】
一態様において、MはCa、Al、Sn、Ti、Zr又はZnである。もう一つの態様において、該ホスフィン酸塩は、式(I)のものである。特定の一態様において、該ホスフィン酸塩は、式(I)のものであり、R及びRは各々エチルであり、MはAlであり、例えば、以下の式
【0035】
【化4】


のホスフィン酸塩である。
【0036】
該ホスフィン酸塩に加えて、該難燃性添加剤は、酸化亜鉛、すず酸亜鉛、ヒドロキシすず酸亜鉛、リン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛、又はそれらの組合せのような亜鉛塩、及び、ポリリン酸メラミン、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、シアヌル酸メラミン、又はそれらの組合せのようなメラミン塩を含む。
【0037】
該難燃性添加剤は、一般に、該ホスフィン酸塩及びメラミン塩を該亜鉛塩よりも多い量で含有する。典型的に、該ホスフィン酸塩は、最も多い量で存在し、例えば、該難燃性添加剤の50〜70%が該ホスフィン酸塩である。例えば、該難燃性添加剤は、約40〜84重量%の該ホスフィン酸塩、約15〜55重量%の該メラミン塩、及び約1〜15重量%の該亜鉛塩を含有していてよい。例えば、該難燃性添加剤は、約50〜80重量%の該ホスフィン酸塩、約19〜40重量%の該メラミン塩、及び約1〜10重量%の該亜鉛塩を含有する。
【0038】
UL−94、垂直燃焼試験による各可燃性の分類基準は、以下の通りである。
【0039】
V−0: 試料の長軸が火炎と平行になるように置かれた試料において、点火用火炎除去後の発炎燃焼及び(又は)くすぶりの平均時間が10秒を超えてはならず、垂直に置かれた試料のいずれもが脱脂綿を点火する燃焼粒子の滴下を生成してはならない。
【0040】
V−1: 試料の長軸が火炎と平行になるように置かれた試料において、点火用火炎除去後の発炎燃焼及び(又は)くすぶりの平均時間が30秒を超えてはならず、垂直に置かれた試料のいずれもが脱脂綿を点火する燃焼粒子の滴下を生成してはならない。
【0041】
V−2: 試料の長軸が火炎と平行になるように置かれた試料において、点火用火炎除去後の発炎燃焼及び(又は)くすぶりの平均時間が30秒を超えてはならないが、垂直に置かれた試料は綿を点火する燃焼粒子の滴下を生成する。
【0042】
最も厳しい可燃性分類、V−0を満たすためには、上記の式(I)又は(II)のホスフィン酸塩を含有する難燃性添加剤を少なくとも約18重量%、ポリマー組成物に配合することが典型的に必要である。しかしながら、高濃度のホスフィン酸塩の配合は、溶融ポリマー粘度の望ましくない増加を招くことが時々ある。
【0043】
面白いことには、多くの場合、該難燃性添加剤の少なくとも一部をフルオロリン酸すずガラスで置き換えると、重大な性状である炭(char:木炭)の形成のような難燃性が増大する一方で、溶融ポリマー粘度が有利に減少することが見出された。かくして、本発明の特定の態様は、該ホスフィン酸塩/亜鉛/メラミン難燃性添加剤と該フルオロリン酸すずガラスとの間の相乗作用により、優れた加工特性と一緒に改善された難燃性が与えられるポリマー組成物を提供する。
【0044】
例えば、約10重量%〜約20重量%の間のホスフィン酸塩含有難燃性添加剤と約1重量%〜約5重量%の間の低Tgフルオロリン酸すずガラスを含む熱可塑性ポリマー組成物は、これらの有益な性質を示すことが見出されており、例えば、該組成物の多数は、約280℃の温度で約1000/秒のせん断速度で約10Pa−s程度の低いせん断粘度、約9Pa−s程度の低いせん断粘度さえ有しながら、UL−94の難燃性要件V−0を満たしている。特に、約15〜18重量%のホスフィン酸塩含有難燃性添加剤と約2〜3重量%の低Tgガラスを含む熱可塑性ポリアミド組成物は、優れた加工性及びせん断粘度加工性を有しながら、UL−94の難燃性要件V−0を満たすことが見出された。
【0045】
対照的に、該フルオロリン酸すずガラスの不在下で、UL−94の難燃性要件V−0を満たすのに必要な量(約18重量%)のホスフィン酸塩含有難燃性添加剤を有する同様なポリマー組成物は、約280℃の温度で約1000/秒のせん断速度で、5倍よりも高い約52Pa−sのせん断粘度を有することが見出された。
【0046】
本組成物の難燃活性は優れているが、本発明のフルオロリン酸すずガラスをホスフィン酸塩含有難燃剤と組合せると、特に炭の形成の相乗的増加を示す明白な証拠が見出されている。例えば、UL−94垂直火炎試験は、各試料に2回の10秒間火炎適用を受けさせ、該火炎の除去後に該試料が燃焼し続ける時間を測定するが、それは「燃焼時間」(“burn time”)として知られている。第一の燃焼時間よりも短い第二の燃焼時間は、良好な炭の形成の証拠である。
【0047】
本明細書における実施例に示されているように、該ホスフィン酸塩含有難燃剤のみ又は該フルオロリン酸すずガラスを含有するポリアミド組成物は、少数の例外はあるが、第一の燃焼時間と比較して、より長い第二燃焼時間を示す。一つの例外は、ごくわずかな難燃性を示し、第一の火炎適用の間に広範囲で燃焼する、5%のホスフィン酸塩含有難燃剤を含有する試料である。他方、該ホスフィン酸塩含有難燃剤と該フルオロリン酸すずガラスの両方を含有するポリアミド組成物は、第一の燃焼時間と比較して、より短い第二燃焼時間を示し、(唯一つの例外は、第一の火炎適用後に燃焼時間を全く示さなかった、15%のホスフィン酸塩含有難燃剤と15%のフルオロリン酸すずガラスを含有する組成物である)。かくして、ホスフィン酸塩含有難燃剤とフルオロリン酸すずガラスとの組合せは、顕著な難燃性を与えるだけでなく、該二成分の組合せは、もしかすると、少なくとも部分的にいくらか相違するメカニズムによって機能すると思われる。
【0048】
また、該データは、例えば、二つの火炎適用の全組合せ燃焼時間により分るように、18%及び20%のホスフィン酸塩含有難燃剤を含有する組成物については優れた難燃性結果が記録されているが、いくらか同じように機能する、10%又は5%のホスフィン酸塩含有難燃剤のみを含有する組成物及び5%のフルオロリン酸すずガラスを含有する組成物からは、より劣った結果が記録されていることも示している。全燃焼時間は下記の表に再生されている。かくして、前述の18%ホスフィン酸塩含有難燃剤の推奨は根拠が確かであると思われる。
【0049】
他方において、18%又は20%のホスフィン酸塩含有難燃剤についての結果に等しいかそれよりも良い難燃性結果が、2%のフルオロリン酸すずガラスと16%のホスフィン酸塩含有難燃剤を含有する組成物、及び5%のフルオロリン酸すずガラスと15%のホスフィン酸塩含有難燃剤を含有する組成物について得られる。かくして、本発明の添加剤組合せを使用することにより、同じ全添加剤濃度で、同等の又はより良いUL−94の難燃性、より大きな炭の形成、及び非常により良いせん断粘度が得られるのである。
【0050】
【表1】

【0051】
ポリアミド組成物における10%のフルオロリン酸すずガラスだけの存在は、かなり良好な燃焼時間を与えたが、本発明の組合せで見られる改善された炭の形成の証拠は全くなく、第一火炎時間と第二火炎時間は同じであり、他の高性能システムからは見られなかった燃焼滴下がこの組成物から観察されたことも注目されるべきである。ポリアミド組成物における20%のフルオロリン酸すずガラスの存在は、同様の総体的な結果を与え、第二の火炎適用の間に燃焼滴下が観察された。しかしながら、10%より多いフルオロリン酸すずガラスの存在は、一般的に、全体的な加工又は費用に対して理想的であるとは考えられない。
【0052】
本発明の方法において、熱可塑性ポリマーは、全組成物に難燃性及び低せん断粘度を付与するのに十分な量の、上述のホスフィン酸塩含有添加剤及び低Tgフルオロリン酸すずガラスと組合せられる。前述の成分の組合せは、任意の公知手段によって、例えば、溶融処理の前にそれらの乾燥成分を混合することによって、又は、溶融ポリマーを含有する加熱ミキサー中にそれらの無機成分を、均質な混合物を得るのに十分な時間をかけて、別個に供給することによって、成し遂げることが出来る。この点で、該難燃性ポリマー組成物は、所望の難燃性物品に直接溶融加工しても良いし、又はそれを押出して後の用途用にペレットに切断しても良い。
【0053】
本発明に使用するのに適した熱可塑性ポリマーには、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、スチレンポリマー等が含まれる。例えば、PA−4、PA−6、PA−6,6、PA−6,10、PA−6,9、PA−6,12、PA−4,6、PA−12,12、PA−11、PA−12、芳香族ポリアミド、部分的芳香族ポリアミド、及びそれらの組合せ又は混合物のような多数のポリアミドのどれもが本発明に使用するのに適している。特定の一態様において、該ポリアミドはPA−6,6である。
【0054】
本発明はまた、上述したように、式I及び(又は)式IIのホスフィン酸塩、亜鉛塩、メラミン塩、並びに、リン、すず、及びフッ素を含有する低Tgガラスを含む難燃性添加剤の組合せをも提供する。本発明の有利な態様において、該ホスフィン酸塩含有添加剤及び該低Tgガラスは、約10:1〜約1:1の難燃性添加剤対低Tgガラスの重量比で存在し、所望により少量の熱可塑性ポリマーとの組合せで、難燃性添加剤システムを形成する。例えば、該難燃性添加剤組合せは、該組合せが添加されるポリマーシステムに依って、10:1〜5:1、3:1〜1:1、6:1〜3:1のホスフィン酸塩含有添加剤−対−低Tgガラスの重量比を有する。そのように形成された難燃性添加剤組合せは、次に包装し、難燃性物品に溶融加工されるポリマーとの後の組合せのために、末端消費者にそのまま輸送することが出来る。組合せ及び対象のポリマーとの混合の際、輸送される難燃性添加剤システムの濃度は、難燃性及び低せん断粘度を得るのに適切なポリマー中濃度まで低くされる。
【0055】
本発明の特定の態様には、以下のものが含まれる。
【0056】
ホスフィン酸塩、亜鉛塩、及びメラミン塩を含む難燃性添加剤、並びにSnF、SnO及びPを含み、80℃〜190℃、好ましくは110℃〜150℃、最も好ましくは120℃〜130℃のTgを有する低Tgフルオロリン酸すずガラスを含む、ポリマーに難燃性を付与するための難燃性添加剤システムであって、
前記難燃性添加剤の前記低Tgガラスに対する重量比が、10:1と1:1の間であり、
該ホスフィン酸塩が、式(I)の塩及び(又は)式(II)の塩及び(又は)それらのポリマー
【0057】
【化5】


(式中、R及びRは同じか異なり、C〜Cの線状又は分岐状アルキル、及び(又は)アリールであり、RはC〜C10の線状又は分岐状アルキレン、C〜C10のアリーレン、アルキルアリーレン、又はアリールアルキレンであり、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、及び(又は)プロトン化窒素塩基であり、mは1〜4であり、nは1〜4であり、xは1〜4である。)
の少なくとも1種である、
前記難燃性添加剤システム。
【0058】
例として、該フルオロリン酸すずガラスが、40〜60モル%のSnF、15〜25モル%のSnO、及び25〜35モル%のPを含み、80℃〜190℃のTgを有し、フルオロリン酸すずガラスが、50モル%のSnF、20モル%のSnO、及び30モル%のPを含む、上記の難燃性添加剤システム。
【0059】
該ホスフィン酸塩が、しばしば式(I)の少なくとも1種の塩であり、一態様において、該ホスフィン酸塩が
【0060】
【化6】


である。
【0061】
他の特定の態様は、熱可塑性ポリマーと、ポリマー組成物の全重量に基づいて6〜40重量%の、上記添加剤システムの任意のものとを溶融混合することにより、難燃性熱可塑性ポリマー組成物を製造する方法を提供する。特定の一態様において、該熱可塑性ポリマーは、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、及びポリアミドから成る群から、好ましくはポリアミドから選択される。
【0062】
本発明の特定のポリマー組成物は、
過半量の熱可塑性ポリマー、
ホスフィン酸塩、亜鉛塩、及びメラミン塩を含む、5重量%〜25重量%、好ましくは10〜20重量%の難燃性添加剤、並びに、
リン、すず、及びフッ素を含み、200℃より低いTgを有する、1重量%〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の低Tgガラス
を含む難燃性熱可塑性ポリマー組成物を含み、
例えば、該組成物は、10〜20重量%の前記難燃性添加剤、及び2〜3重量%の前記低Tgガラスを含有していてよい。
【0063】
例として、
該熱可塑性ポリマーが、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、及びポリアミドから成る群より選択され、
該ホスフィン酸塩が、式(I)及び(又は)式(II)及び(又は)それらのポリマー
【0064】
【化7】


(式中、R及びRは同じか異なり、C〜Cの線状又は分岐状アルキル、及び(又は)アリールであり、RはC〜C10の線状又は分岐状アルキレン、C〜C10のアリーレン、アルキルアリーレン、又はアリールアルキレンであり、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、及び(又は)プロトン化窒素塩基であり、mは1〜4であり、nは1〜4であり、xは1〜4である。)
の少なくとも1種の塩であり、そして
該低Tgガラスが、SnF、SnO及びPを含み、80℃〜190℃、好ましくは110℃〜150℃、最も好ましくは120℃〜130℃のTgを有するフルオロリン酸すずガラスである、
難燃性熱可塑性ポリマー組成物。
【0065】
しばしば、先述の難燃性熱可塑性ポリマー組成物におけるホスフィン酸塩は、式(I)の少なくとも1種の塩である。しばしば、先述の難燃性熱可塑性ポリマー組成物におけるフルオロリン酸すずガラスは、40〜60モル%のSnF、15〜25モル%のSnO、及び25〜35モル%のPを含む。
【0066】
上記難燃性熱可塑性ポリマー組成物の任意の組成物における難燃性添加剤は、40〜84重量%、好ましくは50〜50重量%のホスフィン酸塩、15〜55重量%、好ましくは19〜40重量%のメラミン塩、及び、1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の亜鉛塩を含有する。
【0067】
ポリアミド、好ましくはPA−4、PA−6、PA−6,6、PA−6,10、PA−6,9、PA−6,12、PA−4,6、PA−12,12、PA−11、PA−12、芳香族ポリアミド、及び部分的芳香族ポリアミドから成る群より選択されるポリアミド、最も好ましくはPA−6,6が、該組成物において都合良く使用される。
【0068】
例えば、特定の難燃性熱可塑性ポリマー組成物において、
該フルオロリン酸すずガラスは、40〜60モル%のSnF、15〜25モル%のSnO、及び25〜35モル%のPを含み、
該難燃性添加剤は、40〜84重量%、好ましくは50〜50重量%のホスフィン酸塩、15〜55重量%、好ましくは19〜40重量%のメラミン塩、及び、1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の亜鉛塩を含有し、そして
該ポリマーは、ポリアミド、好ましくはPA−4、PA−6、PA−6,6、PA−6,10、PA−6,9、PA−6,12、PA−4,6、PA−12,12、PA−11、PA−12、芳香族ポリアミド、及び部分的芳香族ポリアミドから成る群より選択されるポリアミド、最も好ましくはPA−6,6である。
【0069】
該難燃性熱可塑性ポリマー組成物は、勿論、安定剤、着色剤、蛍光増白剤、充填材、加工助剤等のような、他の標準的添加剤を含有することが出来る。ガラス繊維のような強化材も該組成物中に存在していてもよく、例えば、商業目的のため一般に使用されている標準ガラス繊維を30%含む強化ポリアミド組成物を用いて優れた結果が得られている。
【0070】
本発明の難燃性熱可塑性ポリマー組成物は、電子ハウジング、自動車部品、電気的接続部、金属線、コイル及びボビン等用の電気絶縁体、押出し、吹込み又は注型フィルム、不織布又は溶融吹出し繊維、モノフィラメント、トウ(tows)、布等のような難燃性物品を形成する用途を見出している。
【実施例】
【0071】
以下の実施例において、略語FRAにより表されるホスフィン酸塩含有難燃性添加剤は、ホスフィン酸塩:
【0072】
【化8】


と、ピロリン酸メラミン又は同等物と、ホウ酸亜鉛との、重量で約60%:36%:4%の組合せである。
【0073】
略語P−Glassにより表される低Tgフルオロリン酸塩ガラスは、約50モル%のSnF、約20モル%のSnO、及び約30モル%のPを含み、約125℃のTgを有する。
【0074】
熱可塑性試料は、ブラベンダー(Brabender)3要素3ゾーン電気ミキサー中、75rpmのローター回転数及び265℃の温度で、選択量のFRA及びP−Glassを60グラムの乾燥PA−6,6(Zytel(登録商標)101、デラウェア州ウィルミントン、du Pont de Nemours and Company製)と混合することにより調製した。試料は、次に、粉砕し1/16インチの試験棒に成形し、UL−94垂直燃焼試験手順を用いて検査した。この手順においては、成形試験棒を2回の10秒間火炎適用に処し、各配合に対して5本の試験棒を試験する。各火炎適用後に該棒が消火する時間を記録し、該棒に対して時間1(T1)及び時間2(T2)として報告される。該UL−94垂直燃焼試験手順は、材料を、不合格からUL−94 V−0まで四つの区分に分類している。検査目的のために、5本の成形試験棒すべてについて、T1及びT2に対する全燃焼時間を集計して、滴下挙動の観察と一緒に比較した。PA−6,6のブランクを他の試料と同じ熱履歴に処した。結果を表1に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
上記の配合物について、280℃の温度、360秒の溶融時間、及びX300−40(0.762x30.480mm)ダイで、3種の異なるせん断速度、10,000/秒、1,000/秒、及び100/秒において、ASTM D−3835による毛細管流動度測定試験を行った。表2は、主要な毛細管流動度測定結果を示している。
【0077】
【表3】

【0078】
表1及び2に提示されたデータは、減少量のFRAに低Tgガラスを添加することにより得られる、優れた難燃性及び減少したせん断粘度を例証している。
【0079】
追加の配合物を、上のように試験棒に加工し、UL−94垂直燃焼試験手順を用いて試験した。結果を表3に示す。
【0080】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性熱可塑性ポリマー組成物であって、
過半量の熱可塑性ポリマー、
ホスフィン酸塩、亜鉛塩、及びメラミン塩を含む、5重量%〜25重量%、好ましくは10〜20重量%の難燃性添加剤、並びに、
リン、すず、及びフッ素を含み、200℃より低いTgを有する、1重量%〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の低Tgガラス
を含む上記ポリマー組成物。
【請求項2】
該熱可塑性ポリマーが、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、及びポリアミドから成る群より選択され、
該ホスフィン酸塩が、式(I)及び(又は)式(II)及び(又は)それらのポリマー
【化1】


(式中、R及びRは同じか又は異なり、C〜Cの線状又は分岐状アルキル、及び(又は)アリールであり、RはC〜C10の線状又は分岐状アルキレン、C〜C10のアリーレン、アルキルアリーレン、又はアリールアルキレンであり、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、及び(又は)プロトン化窒素塩基であり、mは1〜4であり、nは1〜4であり、xは1〜4である。)
の少なくとも1種の塩であり、そして
該低Tgガラスが、SnF、SnO及びPを含み、80℃〜190℃、好ましくは110℃〜150℃、最も好ましくは120℃〜130℃のTgを有するフルオロリン酸すずガラスである、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項3】
該ホスフィン酸塩が、式(I)の少なくとも1種の塩である、請求項2記載のポリマー組成物。
【請求項4】
該フルオロリン酸すずガラスが、40〜60モル%のSnF、15〜25モル%のSnO、及び25〜35モル%のPを含む、請求項2記載のポリマー組成物。
【請求項5】
該難燃性添加剤が、40〜84重量%、好ましくは50〜50重量%のホスフィン酸塩、15〜55重量%、好ましくは19〜40重量%のメラミン塩、及び1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の亜鉛塩を含有する、請求項2、3又は4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
該ポリマーが、ポリアミド、好ましくはPA−4、PA−6、PA−6,6、PA−6,10、PA−6,9、PA−6,12、PA−4,6、PA−12,12、PA−11、PA−12、芳香族ポリアミド及び部分的芳香族ポリアミドから成る群より選択されるポリアミド、最も好ましくはPA−6,6である、請求項2、3又は4に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
10〜20重量%の前記難燃性添加剤、及び2〜3重量%の前記低Tgガラスを含む、請求項1、2、3又は4に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
該フルオロリン酸すずガラスが、40〜60モル%のSnF、15〜25モル%のSnO、及び25〜35モル%のPを含み、
該難燃性添加剤が、40〜84重量%、好ましくは50〜50重量%のホスフィン酸塩、15〜55重量%、好ましくは19〜40重量%のメラミン塩、及び1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の亜鉛塩を含有し、そして
該ポリマーが、ポリアミド、好ましくはPA−4、PA−6、PA−6,6、PA−6,10、PA−6,9、PA−6,12、PA−4,6、PA−12,12、PA−11、PA−12、芳香族ポリアミド及び部分的芳香族ポリアミドから成る群より選択されるポリアミド、最も好ましくはPA−6,6である、
請求項2又は3に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
ホスフィン酸塩、亜鉛塩、及びメラミン塩を含む難燃性添加剤、並びに、SnF、SnO及びPを含み、80℃〜190℃、好ましくは110℃〜150℃、最も好ましくは120℃〜130℃のTgを有する低Tgフルオロリン酸すずガラスを含む、ポリマーに難燃性を付与するための難燃性添加剤システムであって、
前記難燃性添加剤の前記低Tgガラスに対する重量比が、10:1と1:1の間であり、
該ホスフィン酸塩が、式(I)の塩及び(又は)式(II)の塩及び(又は)それらのポリマー
【化2】


(式中、R及びRは同じか又は異なり、C〜Cの線状又は分岐状アルキル、及び(又は)アリールであり、RはC〜C10の線状又は分岐状アルキレン、C〜C10のアリーレン、アルキルアリーレン、又はアリールアルキレンであり、MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K、及び(又は)プロトン化窒素塩基であり、mは1〜4であり、nは1〜4であり、xは1〜4である。)
の少なくとも1種である、
上記難燃性添加剤システム。
【請求項10】
該フルオロリン酸すずガラスが、40〜60モル%のSnF、15〜25モル%のSnO、及び25〜35モル%のPを含む、請求項9記載の難燃性添加剤システム。
【請求項11】
該ホスフィン酸塩が、式(I)の少なくとも1種の塩である、請求項9記載の難燃性添加剤システム。
【請求項12】
該ホスフィン酸塩が、
【化3】


である、請求項9記載の難燃性添加剤システム。
【請求項13】
該ポリマー組成物の全重量に基づいて6〜40重量%の請求項9記載の添加剤システムと、熱可塑性ポリマーとを溶融混合することにより、難燃性熱可塑性ポリマー組成物を製造する方法。
【請求項14】
該熱可塑性ポリマーが、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、及びポリアミドから成る群、好ましくはポリアミドから選択される、請求項13記載の方法。

【公表番号】特表2013−503938(P2013−503938A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527960(P2012−527960)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2010/047220
【国際公開番号】WO2011/028675
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブラベンダー
【出願人】(512051468)ザ ユニバーシティ オブ サザン ミシシッピー リサーチ ファウンデーション (1)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】