説明

難燃性リン元素含有エポキシ樹脂組成物

【課題】ハロゲンを含有しない、難燃性リン元素含有エポキシ樹脂組成物及び燃焼性を低減された電気的な積層板回路の提供。
【解決手段】該エポキシ樹脂組成物が、(I)非ハロゲン化リン元素含有エポキシ樹脂及び/又はリン元素含有化合物との混合物または反応生成物、またはこれらの組み合わせ、から選択された非ハロゲン化エポキシ樹脂材料と、(II)前記エポキシ樹脂を硬化するのに必要とされる化学量論的量の50%〜150%の量で存在する、(A)少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤;(B)加熱時に少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤を形成する材料;または(C)前記(A)および(B)の成分の混合物と、を含む難燃性リン元素含有エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化可能なリン元素含有エポキシ樹脂配合物に関し、具体的にはプリント配線板のための積層板および複合材料を製造するのに有用な配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的な積層板および他の複合材料を繊維強化材およびエポキシ含有マトリックス樹脂から製造することが知られている。適切なプロセスは通常、例えば以下のステップを含む:
(1) ロール塗り、浸漬、噴霧、他の周知の技術および/またはこれらの組み合わせによって、エポキシ含有配合物を基板に塗布するか、または基板内に含浸する。この基板は、例えばガラス繊維または紙を含有する製織または不織繊維マットであるのが典型的である。
(2) エポキシ配合物中の溶剤を引き抜き、任意には部分的にエポキシ配合物を硬化させるのに充分な温度で加熱することにより、含浸された基板をB段階にするので、含浸された基板を簡単に取り扱うことができる。「B段階化」ステップは普通、90℃〜210℃の温度で、1分〜15分の時間で行う。B段階化の結果得られる含浸基板は、「プレプレグ」と呼ばれる。温度は最も一般的には複合材料に対しては100℃であり、電気的な積層板に対しては200℃である。
(3) 1つまたは複数のプレプレグシートを積み重ね、あるいは電気的な積層板を所望の場合には、導電性材料、例えば銅フォイルから成る1つまたは複数のシートと交互に層を成すように積み上げる。
(4) 積み上げられたシートを高温および高圧で、樹脂を硬化して積層板を形成するのに充分な時間、プレスする。この積層化ステップの温度は通常100℃〜230℃であり、最も多くの場合165℃〜190℃である。積層化ステップは、2つ以上の段、例えば100℃〜150℃の第1段と165℃〜190℃の第2段とで行ってもよい。圧力は通常50N/cm2〜500N/cm2である。積層化ステップは通常1分〜200分の時間、最も多くの場合45分〜90分で行う。積層化ステップは任意には、(例えば連続的な積層化プロセスにおいて)より高い温度でより短い時間にわたって行ってよく、あるいは、(例えば低エネルギー・プレスプロセスにおいて)より低い温度でより長い時間にわたって行ってもよい。
(5) 任意には、結果として得られた積層板、例えば銅張積層板を所定の時間にわたって、高温および周囲圧で加熱することにより後処理することができる。後処理温度は普通120℃〜250℃である。後処理時間は普通30分〜12時間である。
【0003】
エポキシ含有積層板の調製において、エポキシ樹脂組成物中に種々様々な添加剤を取り込むことにより、結果として得られたラミネートの難燃性を改善することが知られている。多くのタイプの難燃剤が提案されているが、商業的に最も広範囲にわたって使用される添加剤はハロゲン含有添加剤、例えばテトラブロモジフェニロールプロパンであり、あるいは、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルとテトラブロモジフェニロールプロパンと反応させることにより調製されたエポキシ樹脂である。典型的には、目標難燃性レベル(標準”Underwriters Laboratory”テスト法UL94におけるV−0)に到達するためには、生成物中のポリマー総重量に基づく10〜25重量パーセントの臭素含有率を提供するような、臭素含有難燃剤のレベルが要求される。
【0004】
テトラブロモジフェニロールプロパンのようなハロゲン含有難燃剤は効果的ではあるが、しかし、環境の見地から望ましくないと考えられるものがあり、近年では難燃性要求を満たすことができる、ハロゲンを含有しないエポキシ樹脂の配合に対して関心が高まっている。
【0005】
例えばヨーロッパ特許出願公開第0384939号、同第0384940号、同第0408990号、ドイツ国特許出願公開第4308184号、同第4308185号、同第4308187号の各明細書、国際公開第96/07685号、同第96/07686号の各パンフレットに記載されているように、エポキシ樹脂配合物中にハロゲン化難燃剤の代わりにリン基剤の難燃剤を使用する提案がなされている。これらの配合物において、エポキシ樹脂とリン難燃剤が予反応させられ、これにより、二官能または多官能エポキシ樹脂を形成し、次いでこの樹脂は、アミノ架橋剤、例えばジシアンジアミド、スルファニルアミドまたは他の窒素元素含有架橋剤で硬化させられ、これにより網状構造を形成する。
【0006】
ハロゲン含有難燃剤の代わりに有用なリン基剤の難燃剤が商業的に入手可能である。例えば英国Albright and Wilson Ltd.によって供給されるAmgard(登録商標)V19およびAntiblaze(登録商標)1045(以前はAmgard(登録商標)P45)は商業的に入手可能なホスホン酸エステル難燃剤材料である。このようなホスホン酸エステルは固体または液体であってよい。
【0007】
アルキルおよびアリールで置換されたホスホン酸エステルは、エポキシ樹脂との適合性を有している。具体的には、ホスホン酸の低アルキル(つまりC1〜C4)エステルは価値を有する。なぜならば、このようなエステルは高比率のリンを含有しており、従ってこれらが取り込まれる樹脂に、良好な難燃特性を付与できるからである。しかしながら、ホスホン酸エステルは電気的な積層板の製造に際してエポキシ樹脂中でハロゲン化難燃剤の代替物として使用するには充分ではない。なぜならば、必要な難燃性を提供するのに充分な量のホスホン酸エステルを使用すると、結果として得られる硬化エポキシ樹脂の吸湿傾向が増大するからである。硬化された積層板の吸湿性は極めて重大である。なぜならば、高レベルの湿分を含有する積層板は、約260℃の温度の液体はんだ浴、つまりプリント配線板の製造における典型的なステップに導入されたときに、膨れや破損を引き起こす傾向があるからである。
【0008】
リン基剤の難燃剤を利用する別の系がヨーロッパ特許出願公開第0754728号明細書に記載されている。このヨーロッパ特許出願公開第0754728号明細書には、エポキシ樹脂に環状ホスホネートを難燃剤としてブレンドし、この環状ホスホネートを硬化された樹脂中に取り込むことにより、難燃剤エポキシ樹脂系を製造することが記載されている。エポキシ樹脂とホスホネートとの混合物は、ポリアミン、例えばトリエチルアミン、テトラアミン、ポリアミドアミン、多重塩基酸、およびこれらの無水物、例えば無水フタル酸またはヘキサヒドロフタル酸無水物と架橋される。このヨーロッパ特許出願公開第0754728号明細書において、樹脂系がUL94 V−0を満たすためには、18重量パーセントを超えるような大量のリン添加剤が必要となることが示唆されている。
【0009】
国際公開第99/00451号パンフレットにもまた、ホスホン酸エステルを利用した難燃性エポキシ樹脂組成物が開示されている。国際公開第99/00451号パンフレットには、触媒および窒素含有架橋剤の存在におけるエポキシ樹脂とホスホン酸エステルとの反応が記載されている。この架橋剤は最小2のアミン官能価を有し、好ましくはジシアンジアミドである。国際公開第99/00451号パンフレットに記載されたエポキシ樹脂は、低レベルのホスホン酸エステル難燃剤で、難燃特性を向上させた。しかしながら、この産業界では、Tgおよび難燃性の改善された難燃エポキシ樹脂がなおも必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ハロゲン含有難燃剤を必要とすることなしに、所望の難燃性基準を満たすエポキシ樹脂を採用することである。本発明のエポキシ樹脂組成物は、樹脂中に比較的低レベルのリン元素含有化合物を(例えば、固体樹脂または固体硬化配合物中に0.2重量パーセント〜3.5重量パーセントのリンを提供する)、多官能フェノール硬化剤と促進剤と触媒、および好ましい実施態様の場合、特定タイプのエポキシ樹脂との特定の組み合わせと共に採用する。多官能フェノール硬化剤、促進剤および触媒は概ね知られているが、しかし、良好な難燃性、および十分に低い吸水性の両方を有する組成物を得るために、低レベルの難燃剤と関連してこれらを使用することは今までのところ説明されていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの観点によれば、実質的にハロゲンを含有しない、難燃性の硬化可能なリン元素含有エポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂組成物が
(I) 以下の(A)〜(D)、すなわち:
(A) 非ハロゲン化リン元素含有エポキシ樹脂;
(B) 以下の(1)(2)、すなわち:
(1) 非ハロゲン化リン元素非含有エポキシ樹脂;および
(2) リン元素含有化合物
の混合物;
(C) 以下の(1)(2)、すなわち:
(1) 非ハロゲン化エポキシ樹脂;および
(2) リン元素含有化合物
の反応生成物;または、
(D) 前記(A)〜(C)の成分のうちの2つ以上の組み合わせ、
から選択された非ハロゲン化エポキシ樹脂材料と、
(II) (A) 少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤;
(B) 好ましくは前記エポキシ樹脂を硬化するのに必要とされる化学量論的量の50%〜150%の量で存在する、加熱時に少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤を形成する材料;または
(C) 前記(A)および(B)の成分の混合物と、
(III) 任意には、前記多官能フェノール架橋剤のフェノール/ヒドロキシ基と、前記エポキシ樹脂材料のエポキシ基との反応を促進可能な触媒
とから成るエポキシ樹脂組成物が提供される。
【0012】
本発明の別の観点は、実質的にハロゲンを含有しない難燃性硬化剤組成物に向けられ、該難燃性硬化剤組成物は:
(a) 好ましくはエポキシ樹脂を硬化するのに必要とされる化学量論的量の50%〜150%の量で存在する、(i) 少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤、または、(ii) 加熱時に少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤を形成する材料、または、(iii) 前記(i)および(ii)の成分の混合物と、
(b) 好ましくはアミン、ホスフィン、ホスフェート、ヒドロキシ、無水物または酸の官能価を有し、また好ましくは最終硬化配合組成物中に0.2重量%〜3.5重量%のリンを提供するような量で存在するリン元素含有化合物と、
(c) 任意にはルイス酸阻害剤と
から成る。
【0013】
本発明の好ましい実施態様では、硬化されたエポキシ樹脂複合材料の網状構造中における脂肪鎖群の数が減少させられている。脂肪鎖群の数を少なくすると、燃焼中のメタンガスエミッションが低減されると考えられる。
【0014】
また、非ハロゲン化エポキシ樹脂とリン元素含有化合物とを反応させることにより生成される反応生成物またはエポキシアダクトは、本発明の難燃性配合物を調製するのに使用すると、驚くべきことに有利な利点をもたらすことが判った。したがって、本発明の別の観点は、リン元素含有エポキシ樹脂アダクトに向けられ、該リン元素含有エポキシ樹脂アダクトは(1)非ハロゲン化エポキシ樹脂と、(2)リン元素含有化合物との反応生成物から成る。リン元素含有化合物は好ましくは、1〜3、より好ましくは1.8〜2.2の官能価を有する連鎖延長剤である。連鎖延長剤は例えば、10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドであってよい。
【0015】
本発明は最も広い視野で見れば、(I)特定量のリン元素が存在する非ハロゲン化エポキシ樹脂材料と、(II)少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤とを含む、実質的にハロゲンを含有しない難燃性エポキシ樹脂組成物である。「実質的にハロゲンを含有しない」樹脂とは、樹脂がハロゲンを全く有さない、すなわち0%ハロゲンであるか、または樹脂が樹脂の特性または性能に影響を与えない、樹脂に対して有害でない微量のハロゲンを含有することを意味する。したがって、「実質的にハロゲンを含有しない」ことは、本明細書中では例えば、樹脂が最大10重量%のハロゲンを含有するが、しかし好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、さらにより好ましくは1重量パーセント未満、最も好ましくはゼロ重量%未満のハロゲンを樹脂組成物中に含有することを含む。
【0016】
満足できる難燃性を獲得し、耐吸水性の利点を提供するためには、樹脂組成物中のリン元素の量が、固体硬化樹脂組成物の総量に基づいて、0.2重量%〜3.5重量%、好ましくは1重量%〜3重量%、より好ましくは1.5重量%〜2.8重量%であることが重要である。
【0017】
本明細書中では、硬化剤とも呼ばれる本発明の多官能フェノール架橋剤(II)は、好ましくは少なくとも2つ以上の官能価を含有する。架橋剤(II)は、(A)少なくとも2の官能価を有するフェノール架橋剤;(B)加熱時に少なくとも2の官能価を有するフェノール架橋剤を形成する材料または化合物、または、(C)前記(A)および(B)の成分の混合物から選択されてよい。フェノール硬化剤(II)は、昇温時にエポキシ基と反応可能な少なくとも2つのフェノール−OH(ヒドロキシル基)を有するポリマーまたはモノマー化合物である。フェノール硬化剤は次のような種々のタイプの化合物を含む:
a. フェノールまたはアルキルフェノールおよびホルムアルデヒドから得られるフェノール樹脂、例えばLee & Nevill第11〜14項に記載されたようなフェノールノボラックまたはレゾール;
b. 3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸としても知られる)またはその誘導体、またはピロガロール(1,2,3−トリヒドロキシベンゾールとしても知られる)、または1,2,4−トリヒドロキシベンゾール(ヒドロキシヒドロキノンとしても知られる);
c. 1,8,9−トリヒドロキシアントラセン(ジトラノールまたは1,8,9−アントラセントリオールとしても知られる)または1,2,10−トリヒドロキシアントラセン(アントラロビンとしても知られる);
d. 2,4,5−トリヒドロキシピリミジン;
e. トリス(ヒドロキシフェニル)メタン;
f. ジシクロペンタジエンフェノールノボラック;
g. テトラフェノールエタン;および
h. スチレンおよびヒドロキシスチレンの共重合体。
【0018】
上述のいくつかのフェノール硬化剤(II)の化学構造は次の通りである:
【化1】

【0019】
多官能フェノール架橋剤(II)は、好ましくはフェノール、クレゾール、キシレノールまたは他のアルキルフェノールをホルムアルデヒドとともに縮合することにより得られるノボラックまたはクレゾールノボラックである。また本発明の場合、多官能フェノール架橋剤としてレゾールを使用することができる。
【0020】
好ましくは本発明の多官能フェノール架橋剤(II)は以下の化学構造式を有している。
【0021】
【化2】

【0022】
この場合「R」は水素またはC1−C3アルキル、例えばメチルであり;「n」は0または1〜10の整数である。「n」は好ましくは0〜5の平均値を有する。上述の式IにおいてRが好ましくは水素であると、好ましい架橋剤(II)となる。
【0023】
架橋剤(II)に対して上述の一般式Iを有する商業的に入手可能な製品は、例えばPerstorp85.36.28を含む。この製品は、平均メトラー軟化点103℃、融解粘度150℃=1.2Pa.sおよび官能価4〜5を有する、フェノールおよびホルムアルデヒドから得られるフェノール樹脂である。他の例としては、米国、Borden ChemicalからのDurite SD1731が挙げられる。
【0024】
加熱時にフェノール架橋剤(II)を形成する化合物(B)の例としては、例えば以下の化学反応式で示すような、ベンゾオキサジンを加熱することから得られるフェノール種が挙げられる:
【0025】
【化3】

【0026】
この場合nは1よりも大きく;R’およびR’’は互いに無関係かつ別個に同一のものまたは異なるものであり、水素、C1−C10アリル基、例えばメチル、C6−C20芳香族基、例えばフェニル、またはC4−C20脂環基、例えばシクロヘキサンであってよい。
【0027】
化合物(B)の例としてはさらに、フェノールフタレインのベンゾオキサジン、ビスフェノール−Aのベンゾオキサジン、ビスフェノール−Fのベンゾオキサジン、フェノールノボラックのベンゾオキサジンが挙げられる。上述の成分(A)および(B)の混合物が使用されてもよい。
【0028】
多官能フェノール架橋剤はエポキシ樹脂組成物中で、エポキシ樹脂を硬化するのに必要とされる化学量論的量の50%〜150%の量で使用されるのが好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂を硬化するのに必要とされる化学量論的量の75%〜125%の量で、さらにより好ましくはエポキシ樹脂を硬化するのに必要とされる化学量論的量の85%〜110%の量で使用される。
【0029】
任意には、他の共架橋剤(VII)が、多官能フェノール架橋剤と組み合わせて使用されてよい。本発明において有用な適切な多官能共架橋剤については、数多くの文献、例えばEncyclopedia of Poly. Sci. & Eng.,第6巻 348-56 “Epoxy Resins”(J. Wiley & Sons 1986)に記載されている。
【0030】
本発明において有用な共架橋剤(VII)には、例えば無水物、例えばカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体、メチルシクロペンタジエンの無水マレイン酸アダクト;アミノ化合物、例えばジシアンジアミド、スルファニルアミド、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5トリアジン;カルボン酸、例えばサリチル酸、フタル酸;シアン酸エステル、例えばジシクロペンタジエニルビスフェノールのジシアン酸エステル、ビスフェノール−Aのジシアン酸塩;イソシアン酸塩、例えばMDI、TDI;およびビスマレイン酸トリアジンがある。
【0031】
好ましい1実施態様において、多官能フェノール架橋剤(II)に加えて、補助剤または共架橋剤として、例えば窒素含有架橋剤(VII)を使用することができる。窒素含有共架橋剤は最小2のアミン官能価を有する。本発明において有用な、適切な窒素含有架橋剤の例は、国際公開99/00451号パンフレットに見出すことができ、例えば、ポリアミン、ポリアミド、スルファニルアミド、ジアミノジフェニルスルホンおよびジアミノジフェニルメタンおよびジシアンジアミド、置換ジシアンジアミド、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジンを含む。本発明において窒素含有架橋剤を使用する場合、好ましい窒素含有架橋剤は、ジシアンジアミド、スルファニルアミド、および2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジンであり、より好ましくはスルファニルアミドが使用される。
【0032】
本発明において有用な共架橋剤(VII)の別の好ましい実施態様は、Gan他による1998年1月20日付け米国特許出願第09/008983号明細書、表題「エポキシ硬化系のための潜在的触媒(Latent Catalysts for Epoxy Curing Systems)」に記載されており、例えば、1500〜50,000の範囲の分子量(Mw)と15%を超える無水物含有率とを有する、スチレンと無水マレイン酸との共重合体を含む。これらの材料の商業的な例としては、それぞれ1:1,2:1および3:1のスチレン−マレイン無水物の比率を有し、かつ6,000〜15,000の範囲の分子量を有するSMA1000、SMA2000、SMA3000が挙げられる。これらはElf Atochem S.A.から入手可能である。
【0033】
本発明において共架橋剤を使用する場合、共架橋剤はエポキシ樹脂を硬化するのに必要とされる化学量論的量の40%未満の架橋量で存在する。好ましくはエポキシ樹脂中の架橋剤の量は、配合物中のエポキシ樹脂のエポキシ含有物を硬化するのに必要とされる化学量論的量の0〜40%である。
【0034】
本発明において使用される非ハロゲン化エポキシ樹脂材料(I)は概ね、リン元素を含有するか、または、本発明の樹脂組成物中にリン元素を導入する。概ねエポキシ樹脂材料(I)は30重量%〜95重量%の量で使用される。非ハロゲン化エポキシ樹脂材料成分(I)は、(A)非ハロゲン化リン元素含有エポキシ樹脂、または、(B)(1)非ハロゲン化リン元素非含有エポキシ樹脂と(2)エポキシ樹脂(B1)との反応性の有無を問わないリン元素含有化合物との混合物;(C)(1)リン元素含有エポキシ樹脂またはリン元素非含有エポキシ樹脂であってよい非ハロゲン化エポキシ樹脂と;(2)リン元素含有化合物との反応生成物、または、成分(A)〜(C)のうちの2つ以上の組み合わせから選択されてよい。
【0035】
全体的に見て、本発明に使用される非ハロゲン化エポキシ樹脂材料(I)は、1分子当たり平均して1個より多い、好ましくは少なくとも1.8個、より好ましくは少なくとも2個のエポキシ基を有する材料である。本発明の最も広い観点では、エポキシ樹脂材料は飽和または不飽和の脂肪族、環式脂肪族、芳香族、複素環式化合物であってよく、この化合物は1つよりも多い1,2−エポキシ基を有する。
【0036】
1実施態様の場合、非ハロゲン化エポキシ樹脂材料(I)は、米国特許第5,376,453号明細書に記載された樹脂から選択された非ハロゲン化リン元素含有エポキシ樹脂(A)であり、その例としては、メチルジグリシジルホスホネート、エチルジグリシジルホスホネート、プロピルジグリシジルホスホネート、ブチルジグリシジルホスホネート、ビニルジグリシジルホスホネート、フェニルジグリシジルホスホネート、および、ビフェニルジグリシジルホスホネート;メチルジグリシジルホスフェート、エチルジグリシジルホスフェート、n−プロピルジグリシジルホスフェート、n−ブチルジグリシジルホスフェート、イソブチルジグリシジルホスフェート、アリルジグリシジルホスフェート、フェニルジグリシジルホスフェート、p−メトキシフェニルジグリシジルホスフェート、p−エトキシフェニルジグリシジルホスフェート、p−プロピルオキシフェニルジグリシジルホスフェート、p−イソプロピルオキシフェニルジグリシジルホスフェート、フェニルチオジグリシジルホスフェート、トリグリシジルホスフェート、トリス(グリシジルエチル)ホスフェート、p−グリシジル−フェニルエチルグリシジルホスフェート、ベンジルジグリシジルチオホスフェート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
非ハロゲン化リン元素含有エポキシ樹脂(A)は、
(a) エポキシ樹脂と反応可能なリン元素含有化合物と、エポキシ樹脂とを反応させるか、または、
(b) リン元素含有化合物、例えばジオールをエポキシ化する
ことによって得ることもできる。エポキシ樹脂と反応可能なリン元素含有化合物と、エポキシ樹脂とを反応させることにより得られる、本発明において有用な非ハロゲン化リン元素含有エポキシ樹脂(A)の例としては、次の(a)〜(d)が挙げられる。すなわち:
【0038】
(a) (i)エポキシノバック、例えばThe Dow Chemical Companyの商標であり、同社から商業的に入手可能なD.E.N.*438またはD.E.N.*439;トリスエポキシ、例えばTactix742(Ciba Geigyの登録商標);ジシクロペンタジエンフェノールエポキシノバック;または、テトラフェノールエタンのグリシジルと、(ii)エポキシ樹脂との反応性を有するリン元素含有化合物、例えば9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、例えば日本国Sankoから商業的に入手可能な「Sanko−HCA」、またはドイツ国Schill-Seilacherから商業的に入手可能な「Struktol Polydis PD 3710」との反応生成物;または、
【0039】
(b) (i)エポキシノバック、例えばD.E.N.*438またはD.E.N.*439;トリスエポキシ、例えばTactix742;ジシクロペンタジエンフェノールエポキシノバック;テトラフェノールエタンのグリシジル;ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル;またはビスフェノール−Fのジグリシジルエーテルと、(ii)10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、例えば日本国Sankoから商業的に入手可能な「Sanko−HQ」;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド;トリス(2−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド;ジメチル−1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメチルホネート;またはトリス(2−ヒドロキシ−4/5−メチルフェニル)ホスフィンオキシドとの反応生成物;または、
(c) エポキシ樹脂と亜リン酸塩との反応生成物;または、
(d) エポキシ樹脂とホスフィン酸との反応生成物。
【0040】
リン元素含有化合物をエポキシ化することによって得られる、本発明において有用な非ハロゲン化リン元素含有エポキシ樹脂(A)の例としては、リン元素含有化合物、例えば9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、例えば日本国Sankoから商業的に入手可能な「Sanko−HCA」、または、ドイツ国Schill-Seilacherから商業的に入手可能な「Struktol Polydis PD 3710」;10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(例えば「Sanko HCA−HQ」);ビス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド;トリス(2−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド;ジメチル−1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメチルホネート;トリス(2−ヒドロキシ−4/5−メチルフェニル)ホスフィンオキシド;トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィネート、トリス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ホスフィンオキシド;またはこれらの混合物のエポキシ化生成物が挙げられる。リン元素含有化合物のエポキシ化は通常、エピハロヒドリン、例えば当業者によく知られているエピクロロヒドリンを用いて行われる。
【0041】
本発明において有用なエポキシ樹脂のさらに別の例としては、国際公開第99/00451号パンフレットに記載されているような、少なくとも2つのエポキシ基および連鎖延長剤を含有するエポキシ化合物の反応生成物がある。本発明において有用な、国際公開第99/00451号パンフレットに記載された好ましい反応生成物は、米国特許第5,112,931号明細書に記載されたようなエポキシ−ポリイソシアネートアダクトまたはエポキシを末端基とするポリオキサゾリドンである。連鎖延長剤としてのイソシアネート化合物は例えばMDI、TDIおよびこれらの異性体を含む。
【0042】
別の好ましい実施態様において、本発明において使用される非ハロゲン化エポキシ樹脂材料(I)は、(B) (1)少なくとも2つのエポキシ基を含有する、非ハロゲン化リン元素非含有エポキシ樹脂化合物と、(2)リン元素含有化合物とのブレンドまたは混合物である。換言すれば、リン元素含有化合物(B2)とエポキシ樹脂化合物(B1)との混合物を、本発明の樹脂組成物全体に添加することにより、非ハロゲン化リン元素含有エポキシ樹脂材料(I)を現場で形成することが可能である。
【0043】
本発明において有用なリン元素含有化合物またはモノマー(B2)は、反応基、例えばフェノール基、酸根、アミノ基、無水酸基、ホスフィット基、ホスフィネート基を含有する。これらの反応基は、非ハロゲン化リン元素非含有エポキシ樹脂化合物(B1)のエポキシ基と反応することができる。
【0044】
本発明のリン元素含有化合物(B2)は、エポキシ基と反応可能な平均1以上の官能価を含有してよい。このようなリン元素含有化合物は好ましくは、平均して0.8〜5個、より好ましくは0.9〜4個、最も好ましくは1〜3個の、エポキシ樹脂と反応可能な官能基を含有する。
【0045】
本発明において有用なリン元素含有化合物(B2)には、例えば以下の化合物のうちの1つまたは複数が含まれる。すなわち:P−H官能化合物、例えばHCA、ジメチルホスフィット;ジフェニルホスフィット、エチルホスホン酸、ジエチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ビニルホスホン酸、フェノール(HCA−HQ);トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィネート、トリス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ホスフィンオキシド;無水酸化合物、例えばM−酸−AH;およびアミノ官能化合物、例えばビス(4−アミノフェニル)フェニルホスフェート、およびこれらの混合物。上述の化合物(B2)のいくつかの化学構造は次の通りである:
【0046】
【化4】

【0047】
この場合、XはCR34−(CR12n−CR56またはo−フェニリデン、nは0または1であり、R1〜R8は同一のものまたは異なるものであってよく、H,CH3またはC25を表す。
【0048】
【化5】

【0049】
本発明において有用なリン元素含有化合物(B2)には、上述の化合物、例えば化合物(A)のようなエポキシ基を有する化合物が含まれてよい。この化合物は、例えば以下の構造を有する:
【0050】
【化6】

【0051】
この場合Rは別個に、水素またはC1−C10のアルキル基、例えばメチルおよびエチルである。
【0052】
本発明の最も好ましい実施態様の場合、本発明において使用されるリン元素含有モノマー(B2)は、例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、例えば日本国Sankoから商業的に入手可能な「Sanko−HCA」、または、ドイツ国Schill-Seilacherから商業的に入手可能な「Struktol Polydis PD 3710」;10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(例えば「Sanko HCA−HQ」);ビス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド;トリス(2−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド;ジメチル−1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメチルホネート;トリス(2−ヒドロキシ−4/5−メチルフェニル)ホスフィンオキシド;トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィネート、トリス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ホスフィンオキシド;またはこれらの混合物である。
【0053】
本明細書と同日付で出願された共に係属中の米国特許出願の明細書、代理人整理番号42190、表題「リン元素含有架橋剤および該架橋剤で調製された難燃性リン元素含有エポキシ樹脂組成物(Phosphorus Element-Containing Crosslinking Agents and Flame Retardant Phosphorus Element-Containing Epoxy Resin Compositions Prepared Therewith)」には、本発明において使用可能は他のリン元素含有化合物(B2)、例えばトリス(2−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシドの異性体混合物が記載されている。
【0054】
本発明において有用な非ハロゲン化リン元素非含有エポキシ樹脂化合物(B1)は、好ましくは、アルキル脂肪族置換基を有していないかまたは少量しか有していない化合物である。このような化合物は例えば、フェノールノボラックのグリシジルエーテル、またはビスフェノール−Fのグリシジルエーテル、ビスフェノール−S、ビスフェノール−Aのグリシジルエーテル、またはフルオレン9−ビスフェニルのジヒドロキシルエーテル;またはトリスエポキシ、またはジシクロペンタジエン変性フェノールエポキシ樹脂、またはこれらの混合物である。
【0055】
最も好ましいエポキシ樹脂(B1)は、エポキシノボラック樹脂(エポキシ化されたノボラック樹脂と呼ぶこともある。この用語により、エポキシフェノールノボラック樹脂およびエポキシクレゾールノボラック樹脂の双方を包含しようとするものである。)である。このようなエポキシノボラック樹脂化合物は以下の一般化学構造式を有する。すなわち:
【0056】
【化7】

【0057】
この場合、「R」は水素またはC1−C3アルキル、例えばメチルであり、「n」は0または1〜10の整数である。「n」は好ましくは0〜5の平均値を有する。Rが好ましくは上記式IIにおいて水素であると、好ましいエポキシノボラック樹脂となる。
【0058】
(エポキシクレゾールノボラック樹脂を含む)エポキシノボラック樹脂は、例えばD.E.N.(Dow Chemical Companyの登録商標)およびQuatrex(Cibaの登録商標)およびトリスエポキシ、例えばTactix(Cibaの登録商標)742の名称でたやすく入手することができる。商業材料は一般的に、上記式の多様な種類の混合物から成り、このような混合物の便利な特徴付け方法は、多様な種類に対応するnの値の平均n’を参照することにある。本発明にしたがって使用するのに好ましいエポキシノボラック樹脂は、n’が2.05〜10の値、より好ましくは2.5〜5の値を有する樹脂である。
【0059】
さらに別の実施態様の場合、本発明の樹脂組成物全体に添加される非ハロゲン化エポキシ樹脂材料(I)は、(C)(1)非ハロゲン化エポキシ樹脂と、(2)エポキシ樹脂(1)と反応可能なリン元素含有化合物との反応生成物であってよい。非ハロゲン化エポキシ樹脂(C1)は、上述のエポキシ樹脂(A)または(B1)と同一であってよい。リン元素含有化合物(C2)は、上述のようなリン化合物(B2)と同一であってよい。本発明において有用なリン元素含有化合物の例には、ヨーロッパ特許第0806429号明細書に記載されたリン化合物も含まれる。
【0060】
本発明の組成物は、多官能フェノール架橋剤および/またはリン元素含有化合物とエポキシ樹脂との反応を促進し、エポキシ樹脂の効果を促進することのできる触媒(III)を含有してよい。
【0061】
本発明において有用な適切な触媒材料(III)としては、例えば、アミン分、ホスフィン分、アンモニウム分、ホスホニウム分、アルソニウム分またはスルホニウム分を含有する化合物が挙げられる。特に好ましい触媒は、複素環式窒素含有化合物である。
【0062】
(架橋剤とは区別される)触媒は好ましくは平均して1分子当たり1以下の活性水素分を含有する。活性水素分は、アミン基、フェノールヒドロキシル基、またはカルボン酸基に結合された水素原子を含む。例えば触媒中のアミンおよびホスフィン分は、好ましくは第三アミンまたはホスフィン分であり、アンモニウムおよびホスホニウム分は、好ましくは第四アンモニウムおよびホスホニウム分である。
【0063】
触媒として使用可能な好ましい第三アミンの中には、適切な置換基、例えばヒドロカルビルラジカル、および好ましくは脂肪族ラジカル、脂環式ラジカルまたは芳香族ラジカルによってアミンの水素が全て置換された開鎖または環式構造を有するモノアミンまたはポリアミンがある。
【0064】
これらのアミンの例には、特に1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデク−7−エン(DBU)、メチルジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ピリジンおよびキノリンが含まれる。好ましいアミンは、トリアルキル、トリシクロアルキルおよびトリアリールアミン、例えばトリエチルアミン、トリフェニルアミン、トリ(2,3−ジメチルシクロヘキシル)アミン、およびアルキルジアルカノールアミン、例えばメチルジエタノールアミンおよびトリアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミンである。弱第三アミン、例えば1M濃度の水溶液中で10未満のpHを与えるアミンが特に好ましい。特に好ましい第三アミン触媒は、ベンジルジメチルアミンおよびトリス−(ジメチルアミノメチル)フェノールである。
【0065】
適切な複素環式窒素含有触媒の例には、米国特許第4,925,901号明細書に記載された触媒が含まれる。好ましい複素環式第二および第三アミン、または本発明で採用することのできる窒素含有触媒の例としては、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イミダゾリジン、イミダゾリン、オキサゾール、ピロール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピロリジン、ピラゾール、キノキサリン、キナゾリン、フタロジン、キノリン、プリン、インダゾール、インドール、インドラジン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、ピロリン、インドリン、ピペリジン、ピペラジン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。特に好ましいのは、アルキル置換のイミダゾール;2,5−クロロ−4−エチルイミダゾール;およびフェニル置換のイミダゾール、およびこれらの混合物である。さらにより好ましいのは、N−メチルイミダゾール;2−メチルイミダゾール;2−エチル−4−メチルイミダゾール;1,2−ジメチルイミダゾール;および2−メチルイミダゾールである。特に好ましいのは、2−フェニルイミダゾールである。
【0066】
特に触媒(III)が具体的には複素環式窒素含有化合物である場合、好ましくは本発明の組成物にはルイス酸(IV)を採用することもできる。
【0067】
好ましくはルイス酸(IV)との組み合わせで使用される複素環式窒素含有触媒(III)は、例えばヨーロッパ特許出願公開第526488号、同第0458502号および英国特許第9421405.3号の各明細書に記載された触媒である。本発明において有用なルイス酸の例としては、亜鉛、錫、チタン、コバルト、マンガン、鉄、珪素、アルミニウムおよびホウ素のハロゲン化物、酸化物、水酸化物およびアルコキシド、および、例えばホウ素のルイス酸、およびホウ素のルイス酸無水物、例えばホウ酸、メタホウ酸、任意に置換されたボロキシン(例えばトリメトキシボロキシン)、ホウ素の任意に置換された酸化物、ホウ酸アルキル、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化亜鉛(例えば塩化亜鉛)および比較的弱い共役塩基を有する傾向のある他のルイス酸が挙げられる。好ましくはルイス酸はホウ素のルイス酸、またはホウ素のルイス酸の無水物、例えばホウ酸、メタホウ酸、任意に置換されたボロキシン(例えばトリメトキシボロキシン、トリメチルボロキシンまたはトリエチルボロキシン)、ホウ素の任意に置換された酸化物、またはホウ酸アルキルである。最も好ましいルイス酸はホウ酸である。これらのルイス酸は上述の複素環式窒素含有化合物と組み合わせた場合にエポキシ樹脂を硬化する上で極めて効果的である。
【0068】
ルイス酸とアミンとは、配合物中に混合する前に、または現場で触媒と混合することにより組み合わせることによって、硬化触媒を組み合わせることができる。採用されるルイス酸の量は、好ましくは複素環式窒素含有化合物1モル当たり少なくとも0.1モルであり、より好ましくは複素環式窒素含有化合物1モル当たり少なくとも0.3モルである。
【0069】
配合物は、好ましくは触媒1モル当たり5モル以下のルイス酸を含有し、より好ましくは触媒1モル当たり4モル以下のルイス酸を含有し、最も好ましくは触媒1モル当たり3モル以下のルイス酸を含有する。触媒の総量は、組成物の総量に基づいて、0.1重量%〜3重量%、好ましくは0.1重量%〜2重量%である。
【0070】
本発明の組成物はまた、1つまたは複数の付加的な難燃剤(V)を任意に含有してよい。この付加的な難燃剤には、例えば、赤リン、カプセル化赤リン、または液状または固体状リン含有化合物、例えばポリリン酸アンモニウム、例えばClariant GmbHから入手可能な「Exolit 700」、ホスフィット、またはホスファゼン;窒素含有難燃剤および/または協力剤、例えばメラミン、メレム、シアヌル酸、イソシアヌル酸およびこれらの窒素含有化合物の誘導体;ハロゲン化難燃剤およびハロゲン化エポキシ樹脂(特に臭素化エポキシ樹脂);リン−ハロゲン含有協力化学薬品または有機酸の塩を含有する化合物;無機金属水和物、例えばSb23、Sb35、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、例えばドイツ国Martinswerke GmbHから入手可能な「Zerogen30」が含まれ、より好ましくは、三水酸化アルミニウム、例えばドイツ国Martinswerke GmbHから入手可能な「Martinal TS−610」;ホウ素含有化合物;アンチモン含有化合物;およびこれらの組み合わせが含まれる。適切な付加的な難燃剤は、例えば、「難燃剤−101のベーシックダイナミクス−過去の努力が未来の好機を創る(Flame retardants - 101 Basic Dynamics - Past efforts create future opportunities)」(Fire Retardants Chemicals Association,メリーランド州ボルティモア、Baltimore Marriot inner harbour hotel 1996年3月24-27日)の論文に記載されている。
【0071】
ハロゲンを含有する付加的な難燃剤を本発明の組成物に使用する場合、ハロゲン含有難燃剤は、エポキシ樹脂組成物中のハロゲン総含有率が10重量%未満になるような量で存在する。
【0072】
リンを含有する付加的な難燃剤が本発明の組成物中に存在する場合、リン含有難燃剤は概ね、エポキシ樹脂組成物のリン総含有率が0.2重量%〜5重量%であるような量で存在する。
【0073】
また任意には、本発明の組成物中に非難燃添加剤、例えば無機充填剤が使用されてよく、この充填剤には、例えばタルクが含まれてよい。
【0074】
本発明において無機難燃剤、非難燃添加剤または充填剤を使用する場合、本発明のエポキシ樹脂組成物中に存在する添加剤または充填剤の量は、エポキシ樹脂組成物の最終用途に応じて、概ね0重量%〜40重量%であり、好ましくは30重量%未満であり、より好ましくは10重量%未満である。
【0075】
本発明のエポキシ樹脂組成物はまた、概ねコンベンショナルなタイプの他の添加剤を任意に含有してもよい。この添加剤には、例えば安定剤、他の有機または無機添加剤、顔料、湿潤剤、流れ調整剤、紫外線ブロッカー、および蛍光添加剤が含まれる。これらの添加剤は、0〜5重量%、好ましくは3重量%未満の量で存在することができる。適切な添加剤の例は米国特許第5,066,735号明細書およびC.A.エポキシ樹脂−第2版第506-512頁(Mercel Dekker, Inc. 1988)にも記載されている。
【0076】
本発明の組成物には溶剤(VIII)が任意に使用されてもよい。溶剤を使用する場合、溶剤は例えば、プロピレングリコールメチルエーテル(Dowanol PM(登録商標))、メトキシプロピルアセテート(Dowanol PMA(登録商標))、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、メタノールおよびこれらの組み合わせを含んでよい。本発明において溶剤を使用する場合、本発明のエポキシ樹脂組成物に存在する溶剤の量は、エポキシ樹脂組成物の最終用途に応じて概ね0重量%〜50重量%であり、好ましくは10重量%〜40重量%であり、より好ましくは10重量%〜35重量%である。
【0077】
本発明のエポキシ樹脂組成物全体のハロゲン含有率が10重量%未満であるような量で、ハロゲン化エポキシ樹脂が添加されるのであれば、任意には或る一定の用途において、少量のハロゲン化エポキシ樹脂(IX)を添加することが望ましい場合がある。
【0078】
本発明の組成物は、全ての成分を任意の順序で一緒に混合することにより製造することができる。好ましくは本発明の組成物は、エポキシ樹脂から成る第1の組成物と、多官能フェノール硬化剤から成る第2の組成物とを調製することにより、製造することができる。第1の組成物または第2の組成物が、リン元素含有化合物、硬化触媒および/または窒素含有共架橋剤から成っていてもよい。他の全ての成分が同じ組成物中に存在していてよく、またはいくつかの成分が第1の組成物中に、またいくつかの成分が第2の組成物中に存在していてよい。次いで第1の組成物は第2の組成物と混合され、硬化されることにより、難燃性エポキシ樹脂を製造する。
【0079】
本発明の組成物は、当業者によく知られた技術、例えば引抜き成形、モールディング、カプセル化、コーティングによって、複合材料を製造するのに使用することができる。
【0080】
本発明は、当業者によく知られた技術によって、B段階化されたプレプレグおよび積層板を製造するのに特に有用である。
【0081】
本発明の多数の好ましい実施態様を、以下の特定の実施例に示す。
【0082】
実施例1〜5および比較例A
実施例1および2
実施例1および実施例2において、電気的に駆動される機械的な攪拌器と、空気および窒素の取込口と、サンプルポートと、コンデンサとサーモカップルとを備えた5リットルのフランジ−トップ型ガラス反応器内で、エポキシ樹脂(D.E.N.*438)とリン元素含有化合物(Struktol Polydis PD 3710)とを窒素パージ下で、100℃まで加熱した。全固形分に基づく1000ppmの反応触媒、トリフェニルエチルホスホニウムアセテートを反応器に添加し、結果として生じた混合物を130〜140℃に加熱することにより反応を開始した。反応温度を(反応器のサイズに応じて)最低160℃まで上昇させた。理論エポキシ当量(D.E.N.*438およびPolydis PD 3710のリン元素含有化合物アダクトの場合EEW=310〜330)に達するまで、反応混合物を最低165℃で、30分間維持した。さらにメチルエチルケトン(MEK)とメトキシプロピルアセテート(Dowanol*PMA)(50/50)とで、固体樹脂を80重量パーセント固溶体に希釈し、室温(H20℃)に冷却した。
【0083】
実施例5
実施例5において、実施例1および2に関して上述したものと同じ条件下で、D.E.N.*438をSanko HCA−HQと反応させ、これによりほぼ264のEEWに達した。その結果生じた固体樹脂をMEKとDowanol*PMAとで、80重量パーセント固体に稀釈した。次いでStruktol Polydis PD 3710およびPerstorp85.36.28フェノールノボラックをDowanol PMA中でブレンドすることにより、50重量%溶液を提供した。
表Iに記載した量にしたがって、80重量%を超える固溶体と、50重量%を超える溶液とを一緒に混合することにより、ここではワニスとして役立つアダクトを結果として形成した。
【0084】
実施例3および4
実施例3および実施例4において、電気的に駆動される機械的な攪拌器と、空気および窒素の取込口と、サンプルポートと、コンデンサとサーモカップルとを備えた5リットルのフランジ−トップ型ガラス反応器内で、エポキシ樹脂(D.E.N.*438)とリン元素含有化合物(Struktol Polydis PD 3710)とを窒素パージ下で、110℃まで加熱した。均質な透明混合物が得られるまで、混合物を110℃で混合した。Dowanol*PMAとMEKとを添加することにより、80重量パーセント固溶体を製造し、室温に冷却した。
【0085】
実施例1〜4
平均メトラー軟化点103℃、融解粘度150℃=1.2Pa.sおよび官能価4〜5を有する、フェノールおよびホルムアルデヒドから得られるフェノール樹脂であるPerstorp85.36.28を、Dowanol*PMAと室温で混合し、これにより50%固溶体を製造する。
【0086】
メタノールと触媒とをブレンドすることにより触媒溶液を調製し、これにより50重量%メタノール溶液を形成した。
【0087】
メタノールとホウ酸とを一緒にブレンドすることにより、ホウ酸溶液を調製し、これにより20重量%メタノール溶液を形成した。
【0088】
上述のように調製したエポキシ樹脂と、上述のように調製した硬化剤溶液と、上述のように調製した触媒溶液と、任意にはホウ酸とを室温で機械的な攪拌器によって、60分間混合し、これにより均質な混合物を製造した。付加的な溶剤(メチルエチルケトン、Dowanol*PM、Dowanol*PMA、アセトンまたはこれらの混合物)を添加し、これによりワニス粘度をフォード・カップNo.4において30〜50秒に調整した。ワニスを一晩熟成した。
【0089】
ワニスを、Caratshパイロット処理装置(3m長)を用いてガラスウェブ(フランス国Porcher SAによる品番7628/36アミンシラン仕上げ)を含浸させるのに使用した。オーブン内の熱風温度は160〜170℃であった。ワニス組成物、処理装置状態および、プレプレグおよび積層板性能を下で表Iに要約する。
【0090】
実施例4のプレプレグおよび積層板ワニスは付加的に、ドイツ国Martinswerke GmbHから得られる三水酸化アルミニウムであるMartinal TS−610を含有した。
【0091】
本明細書中に採用したIPCテスト法は、次のような電気的な積層板の工業基準(The Institute for Interconnection And Packaging Electronic Circuits, 3451 Church Street, Evanston, Illinois 60203)である:
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
実施例1〜5のフェノール硬化積層系が、比較例Aのジシアンジアミド硬化系よりも著しく高い耐湿性(より長い耐性時間におけるより低い吸水性)を呈することを示す。
【0095】
実施例6〜9
下記の表IIに示した実施例6,7,8および9を、上述の「ポリエポキシおよびリン元素含有化合物アダクトのための一般的な製造手順」に従って、具体的には実施例5に関して記載したように調製する。結果として得られたアダクトの特性を表IIに示す。
【0096】
【表3】

【0097】
有機溶剤およびエポキシ樹脂におけるHCA−HQの溶解度は極めて低く、エポキシ樹脂との予備反応なしにHCA−HQを使用することは極めて難しい。しかしHCA−HQは高い耐熱性(Tg>130℃)を有し、硬化ポリマーのための良好な難燃性を有する。HCA−HQは、フェノール官能値2を有し、エポキシ樹脂の分子量を増大させるための連鎖延長剤として役立つ。実施例6〜9は、液体エポキシ樹脂の分子量および融解粘度を適切な値、例えば150℃において0.4〜1.2Pasに増大可能であることを示す。
【0098】
樹脂を硬化剤、ジシジアミド(2phr)、ホウ酸(0.7phr)および触媒、2−フェニルイミダゾール(1.4phr)と、溶剤、Dowanol*PMA中でブレンドすることにより、上述の実施例8の樹脂をワニス組成物にした。ワニスは200秒の、170℃におけるゲル時間反応度と、135℃のTgとを有した。ワニスを190℃で90分間硬化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的にハロゲンを含有しない、難燃性リン元素含有エポキシ樹脂組成物であって、該エポキシ樹脂組成物が
(I) 以下の(A)〜(D)、すなわち:
(A) 非ハロゲン化リン元素含有エポキシ樹脂;
(B) 以下の(1)(2)、すなわち:
(1) 非ハロゲン化リン元素非含有エポキシ樹脂;および
(2) リン元素含有化合物
の混合物;
(C) 以下の(1)(2)、すなわち:
(1) 非ハロゲン化エポキシ樹脂;および
(2) リン元素含有化合物
の反応生成物;または、
(D) 前記(A)〜(C)の成分のうちの2つ以上の組み合わせ、
から選択された非ハロゲン化エポキシ樹脂材料と、
(II) (A) 少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤;
(B) 加熱時に少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤を形成する材料;または
(C) 前記(A)および(B)の成分の混合物
とを含むことを特徴とする、難燃性リン元素含有エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記多官能フェノール架橋剤が、前記エポキシ樹脂を硬化するのに必要とされる化学量論的量の50%〜150%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記リン元素含有化合物が、エポキシ、ホスフィン、ヒドロキシ、無水物、アミンまたは酸の官能価から選択された官能価を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
固体に基づく前記非ハロゲン化エポキシ樹脂材料の量が、前記組成物の30〜95重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記リン元素含有化合物が、前記硬化組成物中に0.2重量%〜3.5重量%のリンを提供するのに充分な量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、
(III) 前記多官能フェノール架橋剤のフェノール/ヒドロキシ基と、前記エポキシ樹脂材料のエポキシ基との反応を促進可能な触媒
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記触媒が0.1重量%〜3重量%の量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、
(IV) ルイス酸
を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記ルイス酸が、触媒1モル当たり最大4モルの量で存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記触媒がアミン触媒化合物である、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記触媒が複素環式窒素含有化合物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記触媒が、2−フェニルイミダゾール;2−メチルイミダゾール;2−エチル,4−メチルイミダゾールおよびイミダゾールから成る群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記ルイス酸がホウ素含有化合物である、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記ルイス酸が、ホウ酸、メタホウ酸、ボロキシンおよびホウ酸アルキルから成る群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が(V)難燃剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記難燃剤(V)が、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、赤リン、カプセル化赤リン、ポリリン酸アンモニウムおよびこれらの混合物である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記難燃剤(V)が、10重量%未満の量のハロゲン化ビスフェノールAである、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記難燃剤(V)が、テトラブロモビスフェノールAである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が、
(VI) 充填剤
を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項20】
前記充填剤(VI)が無機充填剤である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、
(VII) 前記多官能フェノール架橋剤(II)とは異なる多官能共架橋剤
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記多官能共架橋剤(VII)が、無水物、少なくとも2のアミン官能価を有する窒素含有架橋剤、およびスチレン無水マレイン酸共重合体から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記共架橋剤(VII)が、前記エポキシ樹脂を硬化するのに必要とされる化学量論的量の0%〜40%の量で存在する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記リン元素含有エポキシ樹脂(A)が、リン含有化合物をエポキシド化することにより得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記リン元素含有エポキシ樹脂(A)が、エポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂と反応可能なリン元素含有化合物とを反応させることにより得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記エポキシ樹脂(B1)または(C1)が、エポキシ−ポリイソシアネート共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記イソシアネートが、MDI,TDIまたはこれらの異性体である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、
(VIII) 溶剤
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、
(IX) エポキシ樹脂組成物中のハロゲン含有率が10重量%未満であるような量のハロゲン化エポキシ樹脂化合物
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記エポキシ樹脂が、エポキシノボラック、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンのエポキシ、クレゾールエポキシノボラック、ジシクロペンタジエン変性エポキシノボラック、テトラフェノールエタンのグリシジルまたはこれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記リン元素含有化合物が、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド;10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド;トリス(2−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド;ジメチル−1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメチルホネート;トリス(2−ヒドロキシ−4/5−メチルフェニル)ホスフィンオキシド;ジメチルホスフィット;ビニルホスホン酸;トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィネート、トリス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ホスフィンオキシド;またはこれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
前記多官能フェノール架橋剤が2〜10官能フェノールノボラックである、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
前記リン含有エポキシ樹脂が、(i)エポキシノボラック、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンのエポキシ、ジシクロペンタジエン変性フェノールエポキシノボラック、またはテトラフェノールエタンのグリシジルと、(ii)9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドとの反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
前記リン元素含有エポキシ樹脂が、(i)エポキシノボラック、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンのエポキシ、ジシクロペンタジエン変性フェノールエポキシノボラック、テトラフェノールエタンのグリシジル、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、またはビスフェノール−Fのジグリシジルエーテルと、(ii)10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド;トリス(2−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド;ジメチル−1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメチルホネート;トリス(2−ヒドロキシ−4/5−メチルフェニル)ホスフィンオキシド;ジメチルホスフィット;ビニルホスホン酸;トリス(4−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィネート、トリス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ホスフィンオキシド;またはこれらの混合物から選択されたリン元素含有化合物との反応生成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
前記多官能フェノール架橋剤が、フェノールまたはアルキルフェノールおよびホルムアルデヒドから得られるフェノール樹脂;トリス(ヒドロキシフェノール)メタン;ジシクロペンタジエンフェノールノボラック;テトラフェノールエタン;またはこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
前記成分II(B)がベンゾオキサジンを基剤とする材料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
前記成分II(B)が、フェノールフタレインのベンゾオキサジン、ビスフェノール−Aのベンゾオキサジン、ビスフェノール−Fのベンゾオキサジン、フェノールノボラックのベンゾオキサジン、およびこれらの混合物から選択される、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
UL94(垂直テスト)に基づくV−Oの防火材料分類を提供する、請求項1に記載の組成物。
【請求項39】
請求項1に記載の組成物から製造された「B段階」材料。
【請求項40】
請求項1に記載の組成物から製造された積層板。
【請求項41】
実質的にハロゲンを含有しない、難燃性リン元素含有エポキシ樹脂組成物を製造する方法であって、該方法が
(I) 以下の(A)〜(D)、すなわち:
(A) 非ハロゲン化リン元素含有エポキシ樹脂;
(B) 以下の(1)(2)、すなわち:
(1) 非ハロゲン化リン元素非含有エポキシ樹脂;および
(2) リン元素含有化合物
の混合物;
(C) 以下の(1)(2)、すなわち:
(1) 非ハロゲン化エポキシ樹脂;および
(2) リン元素含有化合物
の反応生成物;または、
(D) 前記(A)〜(C)の成分のうちの2つ以上の組み合わせ、
から選択された非ハロゲン化エポキシ樹脂材料と、
(II) (A) 少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤;(B) 加熱時に少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤を形成する材料;または(C) 前記(A)および(B)の成分の混合物
とを混合するステップから成ることを特徴とする、難燃性リン元素含有エポキシ樹脂組成物を製造する方法。
【請求項42】
エポキシ樹脂に添加可能な、実質的にハロゲンを含有しない、難燃性硬化剤組成物であって、該難燃性硬化剤組成物が:
(i) リン元素含有化合物と;
(ii) (a) 少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤;
(b) 加熱時に少なくとも2のヒドロキシ官能価を有する多官能フェノール架橋剤を形成する材料;または
(c) 前記(a)および(b)の成分の混合物
を含むことを特徴とする、難燃性硬化剤組成物。
【請求項43】
前記組成物がルイス酸阻害剤を含む、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
リン元素含有エポキシ樹脂アダクトであって、(1)非ハロゲン化エポキシ樹脂と、(2)リン元素含有化合物との反応生成物から成ることを特徴とする、リン元素含有エポキシ樹脂アダクト。
【請求項45】
前記リン元素含有化合物が、10−(2’,5’−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドである、請求項44記載のアダクト。

【公開番号】特開2012−197441(P2012−197441A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−113710(P2012−113710)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【分割の表示】特願2001−543649(P2001−543649)の分割
【原出願日】平成12年12月11日(2000.12.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】