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難燃性不織布シート材
説明

難燃性不織布シート材

【課題】 家電製品関係、自動車関係、鉄道車両関係、住居関係、公共建造物や宿泊・娯楽施設関係の使用に好適な難燃性及び吸音性に優れた不織布シート材の提供。
【解決手段】 難燃剤としてグアニジン系難燃剤、グアニル尿素系難燃剤、メラミン系難燃剤、ポリ燐酸アンモニウムのうちの少なくとも1種を含み、溶融ドリップ抑制剤として炭化水素化合物、多官能アルコール、ビニル重合体のうちの少なくとも1種を含む樹脂剤を表面処理したポリエステル系繊維からなる不織布シート材で、UL−94耐炎性試験規格においてV−0規格以上を満足する難燃性不織布シート材。好ましくはポリエステル系繊維の単繊維繊度が1.0〜12dtexであり、比容積が3×10−3/kg〜2×10−1/kgであり、JIS A1405(垂直入射法)に基づく吸音率が周波数2000Hz及び周波数4000Hzにおいてそれぞれ40%以上、60%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル系繊維からなる不織布シート材に対して難燃剤及び溶融ドリップ抑制剤で表面処理することにより、燃焼時にハロゲン化物などの有害ガスを発生せず、また溶融ドリップを生じさせることなくポリエステル繊維表面を炭化(チャーを形成)させて燃焼を抑制することができる難燃性不織布シート材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電気掃除機、電気洗濯機、衣類乾燥機、電気冷蔵庫、エアーコンディショナーなどの一般家電製品関係、自家用自動車やバス、トラックなどの自動車関係、電車及び気動車などの鉄道車両関係、一戸建て住宅やマンション、アパートなどの住居関係、公民館や図書館、ホール、病院、ホテル、遊技場などの公共建造物や宿泊・娯楽施設関係においては、制振性や防音性を向上させるために様々な改善策が検討されている。
【0003】
例えば、電気洗濯機の場合は洗濯、脱水及び乾燥において40〜60dB程度、電気掃除機の場合は吸引時45〜65dB程度、エアーコンディショナーの室内機で稼動時40〜55dB程度、同室外機で稼動時45〜65dB程度の騒音が発生する。また振動も同時に生じるため、制振性及び防音性の向上は人間の生活環境において、特にメンタルヘルス面で重要視されてきており、更なる改善が求められている状況にある。
【0004】
かかる問題を解決するためにメルトブロー法による不織布の内部に短繊維を吹き込んで複合化させた不織布を制振、防音材料として用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0005】
しかしながら、メルトブロー法による不織布は繊維絡合が融着によってなるものであり、立体成形時の絞りが深い(深絞り)場合は変形に追随しきれず破壊に至るという問題があり、成形性の点で大きな制約がある。またメルトブロー法による不織布は一般に融点が比較的低い重合体を用いる場合が多く、モーターやエンジンカバー周辺などの発熱体に接触する用途では安全性に問題があり適用し難い。
【0006】
更には上記方法では不織布の空間空気層における空気の粘性摩擦を受けて騒音や振動のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換された結果、制振効果、吸音効果が与えられるが、繊維絡合が融着によってなるメルトブロー法による不織布では繊維絡合が融着や接着によらないニードルパンチ法やウォータージェットパンチ(垂直高圧水流絡合法)法などによる不織布対比で伸縮変形し難いため、制振効果及び吸音効果が後者対比で小さく留まる。
【0007】
また制振、吸音効果に加えて優れた難燃性能や防炎性能を付与することも必要である。該難燃性能、防炎性能を繊維に付与するにはヘキサブロモシクロドデカン、ポリブロモジフェニルエーテル等などのハロゲン化合物を用いた難燃加工が安価であり耐久性に優れ、一般に使用されていたが、燃焼時におけるハロゲン化水素などの有害ガス発生や残渣の発生、及び化学構造的にダイオキシン類の発生が皆無ではなく、環境に与える影響が大きい。
【特許文献1】日本国特許第3126840号公報
【特許文献2】日本国特許第3126841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる従来技術の問題を解消するために創案されたものであり、その目的は電気掃除機、電気洗濯機、衣類乾燥機、電気冷蔵庫及びエアーコンディショナーなどの家電製品関係、自家用自動車やバス、トラックなどの自動車関係、電車及び気動車などの鉄道車両関係、一戸建て住宅やマンション、アパートなどの住居関係、公民館や図書館、ホール、病院、ホテル、遊技場などの公共建造物や宿泊・娯楽施設関係への使用に好適な難燃性及び吸音性に優れた不織布シート材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は難燃剤としてグアニジン系難燃剤、グアニル尿素系難燃剤、メラミン系難燃剤、ポリ燐酸アンモニウムのうちの少なくとも1種を含み、さらに溶融ドリップ抑制剤として炭化水素化合物、多官能アルコール、ビニル重合体のうちの少なくとも1種を含む樹脂剤を表面処理したポリエステル系繊維からなる不織布シート材であって、UL−94耐炎性試験規格においてV−0規格以上を満足することを特徴とする難燃性不織布シート材である。
また、本発明の難燃性不織布シート材の好ましい態様では、ポリエステル系繊維の単繊維繊度が1.0〜12dtexであり、比容積が3×10−3/kg〜2×10−1/kgであり、JIS A1405(垂直入射法)に基づく吸音率が周波数2000Hz及び周波数4000Hzにおいてそれぞれ40%以上、60%以上である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の不織布シート材によれば、優れた難燃性を示すと共に、燃焼してもハロゲン化化合物などの有害ガス発生がなく安全性にも優れた制振、吸音部材の提供が可能である。更に、本発明の不織布シート材は賦型性が良くモーターやコンプレッサー、エンジンなどが発する振動、騒音を効率良く吸収することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の不織布シート材を構成するポリエステル系繊維のガラス転移温度は55〜75℃の範囲、より好ましくは60〜70℃の範囲である。重合体はガラス転移温度付近での粘弾性効果により、振動や騒音などのエネルギー吸収が最も大きくなる。一般に家電製品に使用されるモーターなどの発熱は表面温度として50〜60℃になると言われており、振動及び騒音を吸収し熱エネルギーに変換する効果も加味すれば、該ガラス転移温度が55〜75℃の範囲であることが好ましい。
【0012】
ポリエステル系繊維としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのホモポリマーの他、これらのコポリマー、ブレンドポリマーなどから公知の溶融紡糸方法によって得られるものが例示される。また必要に応じて艶消材や酸化防止材、その他改質材が混合していてもよい。
【0013】
本発明の不織布シート材はポリエステル系不織布シート材に難燃剤及び溶融ドリップ抑制剤からなる樹脂剤を該ポリエステル系繊維に表面処理して高度の難燃性能を付与したものである。難燃剤としてはスルファミン酸グアニジン、燐酸グアニジンなどのグアニジン系難燃剤、燐酸グアニル尿素などのグアニル尿素系難燃剤、硫酸メラミン、ポリ燐酸メラミンなどのメラミン系難燃剤、ポリ燐酸アンモニウムのうちの少なくとも1種を含むものが好適に用いられる。グアニジン系難燃剤の製品としてはアピノン−101(三和ケミカル社製)、ビゴールNo.415(大京化学社製)、グアニル尿素系難燃剤の製品としてはアピノン−405(三和ケミカル社製)、メラミン系難燃剤の製品としてはアピノン−901(三和ケミカル社製)が例示される。これらの難燃剤はダイオキシン類の発生要因と成り得るハロゲン化化合物やホルムアルデヒド、重金属類などの有害物質を含まないため、好適に用いられる。
【0014】
また、溶融ドリップ抑制剤としてはデキストリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプンなどの炭化水素化合物、ペンタエリスリトール(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)などの多官能アルコール、ポリ酢酸ビニルやポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどのビニル重合体のうちの少なくとも1種を含むものが好適に用いられる。勿論、これらを適当量配合して用いることも可能であるし、これらの化合物を含む共重合体も本発明に包含される。また用途に応じて二官能や三官能、多官能の架橋剤を用いて皮膜強度の強化を図ったり、難溶性とすることも可能である。これらの物質は燃焼しても溶融ドリップ化せず、炭化し、ポリエステル系繊維表面にチャー(炭素の層)を形成するために燃焼抑制が可能である。しかもポリエステル系繊維は溶融したドリップの落下が要因で燃え広がることが多かったが、ポリエステル系繊維表面に形成されたチャー(炭素の層)の効果で溶融ドリップとならず、ドリップ落下による類焼もない。チャーの主成分は炭素であるが、炭素そのものが非常に燃え難いものであるため、チャー(炭素の層)をポリエステル系繊維表面に生成させることによって難燃効果を更に高めることができる。
【0015】
難燃剤及び溶融ドリップ抑制剤は適当量配合及び混合して樹脂剤となす。配合割合については特に限定するものではないが、重量比率として難燃剤:溶融ドリップ抑制剤=95:5〜50:50、好ましくは難燃剤:溶融ドリップ抑制剤=90:10〜60:40の範囲で調整すればよい。難燃剤及び溶融ドリップ抑制剤を配合した樹脂剤はポリエステル系不織布シートに、パッドドライキュア法、パッドスチームキュア法等の公知の方法によって繊維表面に処理される。樹脂剤の付与量(ピックアップ)はマングルの窄液線圧や樹脂粘度、濃度等によって適宜調整することが可能である。処理条件についても特に限定されないが、パッドドライキュア法の場合は薬剤乾燥温度90〜120℃程度、キュアリング温度110〜160℃程度で不織布シート材の目付や薬剤付与量、薬剤の配合等々により適宜設定すればよい。
【0016】
また、本発明の不織布シート材はUL―94耐炎性試験規格に準じた評価によりV−0規格以上を満足することが必要である。該耐炎性試験規格がV−0規格未満のV−1、V−2、HBクラスではモーターやコンプレッサー、エンジン等を発熱源とする発火による燃焼を想定した場合、難燃性として十分な性能を持つとは言い難い。該耐炎性試験規格がV−0規格以上のV−0、5VA、5VBの高耐燃焼性を保持することによって類焼を免れ、大事故を未然に防ぐことができる。
【0017】
本発明の不織布シート材に用いるポリエステル系繊維の単繊維繊度は好ましくは1.0〜12dtex、より好ましくは1.0〜8.0dtexである。該単繊維繊度が1.0dtex未満の細繊度ではヘタリ易く形態安定性が悪いものとなり嵩高性を維持し難く、12dtexを超過するものは吸音性能に対する寄与が小さいものとなり吸音材として好ましいものにはならない。また言うまでもなく単繊維繊度や繊維断面は一様である必要はなく、複数の繊度のものを混合して使用したり、異なる断面形状を有するものを混合して使用しても構わない。また必要に応じて複数のウェッブを積層しニードルパンチ法など繊維絡合部が融着、接着によらない絡合によって一体化した不織布シート材も本発明に包含される。勿論、上記ウェッブは単一のものでなくてもよく異種の組合せによるものも使用できる。
【0018】
更に、本発明の不織布シート材の比容積は3×10−3/kg〜2×10−1/kg、より好ましくは1×10−2/kg〜5×10−2/kgであることが制振性、防音性を向上させる観点で望ましい。防音及び制振の効果は不織布の空間空気層における空気の粘性摩擦を受けて騒音及び振動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されることによって達成されるものである。該比容積が3×10−3/kg未満では不織布における繊維充填量が多くなり過ぎるため、空間空気量が小さくなり結果として十分な防音、制振効果を与えることができない。また該比容積が2×10−1/kgを超過する範囲では不織布の空間空気量は大きくなるものの繊維充填量が少なく留まるため、形態安定性が損なわれ好ましい範囲ではない。
【0019】
本発明の不織布シート材を構成する繊維は長繊維及び短繊維のいずれの形態であってもよいが、短繊維の使用が特に好ましい。特に短繊維は機械的捲縮などによる微細クリンプを有するために嵩高効果を得やすいためである。繊維の絡合部が融着や接着により一体化されているもの、いわゆるメルトブロー法、フラッシュ紡糸法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法等の方法は上記の如く深絞り成形により破壊されるなど賦型性に難があるため、より賦型し易いニードルパンチ法、ウォータージェットパンチ法(垂直高圧水流絡合法)によるものが好ましい。短繊維を本発明の不織布シート材に用いる場合は、繊維長として38〜150mm、好ましくは50〜100mmとすることがカード機等の操業性を考えても好ましい。
【0020】
また、本発明の不織布シート材の吸音率はJIS A1405(垂直入射法)に準じる方法で評価し、周波数2000Hz及び4000Hzにおいてそれぞれ40%以上、60%以上であることが望ましい。周波数500Hz程度の低周波数領域は不織布にフィルム状のシートを積層することにより吸音率を向上させることが可能であるが、逆に2000Hz以上の高周波数領域の吸音率が極端に悪くなってしまうという相反する位置にある。騒音成分として高周波数成分が多いモーターやコンプレッサーなどによる騒音を防止することを念頭におき、高周波数成分の吸音率を上げつつ低周波数成分の吸音率も可能な限り向上させるべく検討を重ねた結果、本発明に到達した。
【0021】
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、周波数2000Hz及び周波数4000Hzの吸音率をそれぞれ40%以上、60%以上、より好ましくはそれぞれ50%以上、80%以上とすることによって高周波数成分が主たる騒音成分となるモーターやコンプレッサーの発する騒音を可能な限り抑制することができることを見出した。周波数2000Hz及び周波数4000Hzの吸音率がそれぞれ40%未満、60%未満の領域では吸音効果が少なく留まり、不快感を伴うものとなり好ましくない。高周波数領域の吸音率がそれぞれ上記の範囲内に存在することによって不快な騒音、振動を抑制することが可能となる。
【実施例】
【0022】
本発明を下記実施例により更に詳細に説明する。尚、本文中及び実施例中の特性値は下記測定方法に準じて評価されるものである。また言うまでもないが本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0023】
(耐炎性評価試験)
UL(Underwriter Laboratories Inc.)耐炎性評価規格UL−94に準じた評価方法で評価した。
【0024】
(比容積)
不織布シート材を20cm角に切出し、その重量を秤量し1m当たりに換算し目付(g/m)を得た。次いで20g/cmの荷重下で厚み(mm)を求めて、目付と厚みから比容積(m/kg)に単位換算して求めた。
【0025】
(ガラス転移温度)
オリエンテック社製RHEOVIBRON MODEL RHEO−1021及びDDV−01FPを用いて内部透過損失(tanδ)のピーク温度を求めた。
【0026】
(吸音率)
JIS A1405(垂直入射法)に準じた方法で吸音率を評価した。測定周波数として500Hz、2000Hz、4000Hzの値を採用した。
【0027】
(実施例1)
単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートセミダル丸断面短繊維(ガラス転移温度62℃)を用い開繊機及びカード機を通した後、常法に従いニードルパンチ不織布を得た。また、燐酸グアニジン系難燃剤(大京化学社製 ビゴールNo.415)とポリ酢酸ビニル系溶融ドリップ抑制剤(大京化学社製 レジノールM)とを薬剤重量分率として90:10の混合比で樹脂溶液を調製し、上記ニードルパンチ不織布をパッドドライキュア法により処理(2ディップ2ニップ)した。パディングにおける絞り率は140%、乾燥条件は110℃×300秒間、キュアリング条件は170℃×100秒間であり、薬剤付与量(乾燥時)は難燃加工後の不織布シート材総重量に対して40重量%であった。
【0028】
乾燥後の難燃加工不織布シートの比容積は2.8×10−2/kgであり、繊維絡合部は全く融着、接着されていない。またUL―94耐炎性試験ではV−0規格を満足しており、難燃性能も良好なものであった。更に吸音率は周波数500Hzで12%、2000Hzで78%、4000Hzで95%と低周波数側の吸音性能はやや乏しかったが、高周波数側は吸音性能としても良好なものであり、吸音材として好ましい性能を有するものであった。また燃焼時においてはハロゲン化水素などの有害ガス発生がなく、炭化してチャー(炭素の層)を繊維表面に形成するために溶融ドリップが生じず、類焼も抑制できるものであった。
【0029】
(実施例2)
単繊維繊度4.5dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートセミダル丸断面短繊維(ガラス転移温度60℃)を用い開繊機及びカード機を通した後、常法に従いニードルパンチ不織布を得た。また、燐酸グアニル尿素系難燃剤(三和ケミカル社製 アピノン−405)とペンタエリスリトール(三菱ガス化学社製)とを薬剤重量分率として92:8の混合比で樹脂水溶液を調製し、上記ニードルパンチ不織布をパッドドライキュア法により処理(2ディップ2ニップ)した。パディングにおける絞り率は140%、乾燥条件は110℃×300秒間、キュアリング条件は160℃×80秒間であり、薬剤付与量(乾燥時)は難燃加工後の不織布シート材総重量に対して42重量%であった。
【0030】
乾燥後の難燃加工不織布シートの比容積は2.7×10−2/kgであり、繊維絡合部は全く融着、接着されていない。またUL―94耐炎性試験ではV−0規格を満足しており、難燃性能も良好なものであった。更に吸音率は周波数500Hzで15%、2000Hzで82%、4000Hzで96%と低周波数側の吸音性能はやや乏しかったが、高周波数側は吸音性能としても良好なものであり、吸音材として好ましい性能を有するものであった。また燃焼時においてはハロゲン化水素などの有害ガス発生がなく、炭化してチャー(炭素の層)を繊維表面に形成するために溶融ドリップが生じず、類焼も抑制できるものであった。
【0031】
(実施例3)
単繊維繊度4.5dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートセミダル丸断面短繊維(ガラス転移温度60℃)を用い開繊機及びカード機を通した後、常法に従いニードルパンチ不織布を得た。また、燐酸グアニジン系難燃剤(三和ケミカル社製 アピノン−303)とカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業社製)とを薬剤重量分率として85:15の混合比で樹脂水溶液を調製し、上記ニードルパンチ不織布をパッドドライキュア法により処理(2ディップ2ニップ)した。パディングにおける絞り率は140%、乾燥条件は110℃×300秒間、キュアリング条件は160℃×80秒間であり、薬剤付与量(乾燥時)は難燃加工後の不織布シート材総重量に対して40重量%であった。
【0032】
乾燥後の難燃加工不織布シートの比容積は3.0×10−2/kgであり、繊維絡合部は全く融着、接着されていない。またUL―94耐炎性試験ではV−0規格を満足しており、難燃性能も良好なものであった。更に吸音率は周波数500Hzで11%、2000Hzで80%、4000Hzで94%と低周波数側の吸音性能はやや乏しかったが、高周波数側は吸音性能としても良好なものであり、吸音材として好ましい性能を有するものであった。また燃焼時においてはハロゲン化水素などの有害ガス発生がなく、炭化してチャー(炭素の層)を繊維表面に形成するために溶融ドリップが生じず、類焼も抑制できるものであった。
【0033】
(実施例4)
単繊維繊度4.5dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートセミダル丸断面短繊維(ガラス転移温度60℃)を用い開繊機及びカード機を通した後、常法に従いニードルパンチ不織布を得た。また、燐酸メラミン系難燃剤(三和ケミカル社製 アピノン−901)とカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業社製)とを薬剤重量分率として85:15の混合比で樹脂水溶液を調製し、上記ニードルパンチ不織布をパッドドライキュア法により処理(2ディップ2ニップ)した。パディングにおける絞り率は140%、乾燥条件は110℃×300秒間、キュアリング条件は160℃×80秒間であり、薬剤付与量(乾燥時)は難燃加工後の不織布シート材総重量に対して40重量%であった。
【0034】
乾燥後の難燃加工不織布シートの比容積は2.8×10−2/kgであり、繊維絡合部は全く融着、接着されていない。またUL―94耐炎性試験ではV−0規格を満足しており、難燃性能も良好なものであった。更に吸音率は周波数500Hzで12%、2000Hzで78%、4000Hzで95%と低周波数側の吸音性能はやや乏しかったが、高周波数側は吸音性能としても良好なものであり、吸音材として好ましい性能を有するものであった。また燃焼時においてはハロゲン化水素などの有害ガス発生がなく、炭化してチャー(炭素の層)を繊維表面に形成するために溶融ドリップが生じず、類焼も抑制できるものであった。
【0035】
(実施例5)
単繊維繊度4.5dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートセミダル丸断面短繊維(ガラス転移温度60℃)を用い開繊機及びカード機を通した後、常法に従いニードルパンチ不織布を得た。また、ポリ燐酸アンモニウムとカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業社製)とを薬剤重量分率として90:10の混合比で樹脂水溶液を調製し、上記ニードルパンチ不織布をパッドドライキュア法により処理(2ディップ2ニップ)した。パディングにおける絞り率は140%、乾燥条件は110℃×300秒間、キュアリング条件は160℃×80秒間であり、薬剤付与量(乾燥時)は難燃加工後の不織布シート材総重量に対して44重量%であった。
【0036】
乾燥後の難燃加工不織布シートの比容積は3.1×10−2/kgであり、繊維絡合部は全く融着、接着されていない。またUL―94耐炎性試験ではV−0規格を満足しており、難燃性能も良好なものであった。更に吸音率は周波数500Hzで13%、2000Hzで80%、4000Hzで95%と低周波数側の吸音性能はやや乏しかったが、高周波数側は吸音性能としても良好なものであり、吸音材として好ましい性能を有するものであった。また燃焼時においてはハロゲン化水素などの有害ガス発生がなく、炭化してチャー(炭素の層)を繊維表面に形成するために溶融ドリップが生じず、類焼も抑制できるものであった。
【0037】
(実施例6)
単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートセミダル丸断面短繊維(ガラス転移温度62℃)を用い開繊機及びカード機を通した後、常法に従いニードルパンチ不織布を得た。また、燐酸グアニジン系難燃剤(大京化学社製 ビゴールNo.415)とポリ酢酸ビニル系溶融ドリップ抑制剤(大京化学社製 レジノールM)、ポリビニルアルコールとを薬剤重量分率としてそれぞれ90:8:2の混合比で樹脂水溶液を調製し、上記ニードルパンチ不織布をパッドドライキュア法により処理した。パディングにおける絞り率は140%、乾燥条件は110℃×300秒間、キュアリング条件は170℃×100秒間であり、薬剤付与量(乾燥時)は難燃加工後の不織布シート材総重量に対して43重量%であった。
【0038】
乾燥後の難燃加工不織布シートの比容積は3.0×10−2/kgであり、繊維絡合部は全く融着、接着されていない。またUL―94耐炎性試験ではV−0規格を満足しており、難燃性能も良好なものであった。更に吸音率は周波数500Hzで13%、2000Hzで80%、4000Hzで92%と低周波数側の吸音性能はやや乏しかったが、高周波数側は吸音性能としても良好なものであり、吸音材として好ましい性能を有するものであった。また燃焼時においてはハロゲン化水素などの有害ガス発生がなく、炭化してチャー(炭素の層)を繊維表面に形成するために溶融ドリップが生じず、類焼も抑制できるものであった。
【0039】
(比較例1)
単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートセミダル丸断面短繊維(ガラス転移温度62℃)を用い開繊機及びカード機を通した後、常法に従いニードルパンチ不織布を得た。得られたポリエステル不織布に対してビーム染色機を用い、臭素化脂環族系難燃剤(日華化学社製 ニッカファイノンTS−55)の含有量が処理後の繊維総重量に対し12重量%となるように浴温120℃条件で吸尽処理した。尚、処理液はイン−アウトとなるよう循環処理した。上記吸尽処理を施した後、脱水し表面温度120℃のシリンダーローラーで乾燥処理を施した。
【0040】
乾燥後の難燃加工不織布シートの比容積は2.6×10−2/kgであり、繊維絡合部は全く融着、接着されていない。吸音率については周波数500Hzで12%、2000Hzで80%、4000Hzで93%と低周波数側の吸音性能はやや乏しかったが、高周波数側は吸音性能としても良好なものであり、吸音材としては好ましい性能を有するものであった。しかし燃焼試験では溶融ドリップが生じて類焼を招き、UL―94耐炎性試験におけるV−0規格を満足したものにはならず、防炎性能として好適なものにはならなかった。
【0041】
(比較例2)
単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートセミダル丸断面短繊維(ガラス転移温度62℃)を用い開繊機及びカード機を通した後、常法に従いニードルパンチ不織布を得た。また、有機窒素燐系難燃剤(日華化学社製 ニッカファイノンP−100)を調製して樹脂水溶液とし、上記ニードルパンチ不織布をパッドドライキュア法により処理した。パディングにおける絞り率は100%、乾燥条件は110℃×300秒間、キュアリング条件は170℃×100秒間であり、薬剤付与量(乾燥時)は難燃加工後の不織布シート材総重量に対して18重量%であった。
【0042】
乾燥後の難燃加工不織布シートの比容積は2.7×10−2/kgであり、繊維絡合部は全く融着、接着されていない。吸音率については周波数500Hzで12%、2000Hzで82%、4000Hzで92%と低周波数側の吸音性能はやや乏しかったが、高周波数側は吸音性能としても良好なものであり、吸音材としては好ましい性能を有するものであった。しかし燃焼試験では溶融ドリップが生じて類焼を招き、UL―94耐炎性試験におけるV−0規格を満足したものにはならず、防炎性能として好適なものにはならなかった。
【0043】
(比較例3)
単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレートセミダル丸断面短繊維(ガラス転移温度62℃)を用い開繊機及びカード機を通した後、常法に従いニードルパンチ不織布を得た。また、含窒素含アンチモン系難燃剤(日華化学社製 ネオステッカーFRC−105)を調製して樹脂水溶液とし、上記ニードルパンチ不織布をパッドドライキュア法により処理した。パディングにおける絞り率は100%、乾燥条件は110℃×300秒間、キュアリング条件は170℃×100秒間であり、薬剤付与量(乾燥時)は難燃加工後の不織布シート材総重量に対して20重量%であった。
【0044】
乾燥後の難燃加工不織布シートの比容積は3.0×10−2/kgであり、繊維絡合部は全く融着、接着されていない。吸音率については周波数500Hzで13%、2000Hzで80%、4000Hzで92%と低周波数側の吸音性能はやや乏しかったが、高周波数側は吸音性能としても良好なものであり、吸音材としては好ましい性能を有するものであった。しかし燃焼試験では溶融ドリップが生じて類焼を招き、UL―94耐炎性試験におけるV−0規格を満足したものにはならず、防炎性能として好適なものにはならなかった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の不織布シート材は優れた難燃性を示し、燃焼してもハロゲン化化合物などの有害ガス発生がなく安全性にも優れる。また軽量で賦型性が良くモーターやコンプレッサー、エンジンなどが発する振動、騒音を効率よく吸収することができるなど、電気掃除機、電気洗濯機、衣類乾燥機、電気冷蔵庫、エアーコンディショナーなどの一般家電製品関係、自家用自動車やバス、トラックなどの自動車関係、電車及び気動車などの鉄道車両関係、一戸建て住宅やマンション、アパートなどの住居関係、公民館や図書館、ホール、病院、ホテル、遊技場などの公共建造物や宿泊・娯楽施設関係への使用に好適な制振、吸音部材として優れた効果を奏するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃剤としてグアニジン系難燃剤、グアニル尿素系難燃剤、メラミン系難燃剤、ポリ燐酸アンモニウムのうちの少なくとも1種を含み、さらに溶融ドリップ抑制剤として炭化水素化合物、多官能アルコール、ビニル重合体のうちの少なくとも1種を含む樹脂剤を表面処理したポリエステル系繊維からなる不織布シート材であって、UL−94耐炎性試験規格においてV−0規格以上を満足することを特徴とする難燃性不織布シート材。
【請求項2】
ポリエステル系繊維の単繊維繊度が1.0〜12dtexであり、比容積が3×10−3/kg〜2×10−1/kgであることを特徴とする請求項1記載の難燃性不織布シート材。
【請求項3】
JIS A1405(垂直入射法)に基づく吸音率が周波数2000Hz及び周波数4000Hzにおいてそれぞれ40%以上、60%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性不織布シート材。

【公開番号】特開2007−332491(P2007−332491A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165676(P2006−165676)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(595010932)東洋染色工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】