Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
難燃性樹脂組成物およびこれを用いた電線・ケーブル
説明

難燃性樹脂組成物およびこれを用いた電線・ケーブル

【課題】従来と同程度の金属水酸化物添加量においても、耐水性に優れた樹脂組成物及び、これを導体の絶縁体・シースに用いた電線・ケーブルを提供する。
【解決手段】水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム又は水酸化カルシウムのうち少なくとも1種以上からなる金属水酸化物の粒子を脂肪酸系材料で表面処理し、これをポリオレフィン系樹脂に添加してなる難燃性樹脂組成物において、金属水酸化物の粒子の表面が一部露出するように、脂肪酸系材料を、金属水酸化物に対し0.3mass%以上1.5mass%以下の範囲で添加したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化合物を含まない難燃性樹脂組成物およびこれを用いた電線・ケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハロゲン化合物を含まない難燃性樹脂組成物として、ポリオレフィン系樹脂に水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物を添加した組成物が用いられている。
【0003】
これらの組成物は燃焼時に塩化水素やダイオキシン等の有毒なガスが発生しないため、火災時の毒性ガスの発生や、二次災害等を防止することができ、かつ、廃却時に焼却処分を行っても問題とならない。ただし、金属水酸化物の添加による難燃効果は小さく、目的の難燃性を得られない場合が多いので、金属水酸化物の添加量を増量することや、ベースポリマーに難燃性の高いエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の極性基を有するポリマーを使用することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−183456号公報
【特許文献2】特開2008−303307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術である、金属水酸化物の添加量の増量や、EVA等の難燃性に優れたポリマーの使用は、それに伴い耐水性が低下する。例えば、酢酸ビニル(VA)の含有量が30%以上のEVA100質量部をポリマーとして使用し、金属水酸化物である水酸化マグネシウムを200質量部以上添加、すなわち高充填すると、80℃の温水に14時間浸漬後の絶縁抵抗は1×1010Ω・cm未満となり、十分な電気絶縁性を保持することが困難となる。
【0006】
そこで、本発明は、金属水酸化物を高充填しても、優れた耐水性を得られる難燃性樹脂組成物およびこれを用いた電線・ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく本発明は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム又は水酸化カルシウムのうち少なくとも1種以上からなる金属水酸化物の粒子を脂肪酸系材料で表面処理し、これをポリオレフィン系樹脂に添加してなる難燃性樹脂組成物において、前記金属水酸化物の粒子の表面が一部露出するように、前記脂肪酸系材料を、前記金属水酸化物に対し0.3mass%以上1.5mass%以下の範囲で添加した難燃性樹脂組成物である。
【0008】
前記脂肪酸系材料は、脂肪酸、脂肪酸金属塩及び脂肪酸アンモニウム塩のうち少なくとも1種以上からなることが好ましい。
【0009】
前記金属水酸化物は、ステアリン酸ナトリウム又はオレイン酸ナトリウムにより表面処理されていることが好ましい。
【0010】
前記難燃性樹脂組成物は、前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、前記金属水酸化物を150質量部以上300質量部以下添加するのが好ましい。
【0011】
前記ポリオレフィン系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)又はエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)の少なくとも1種以上を主成分とすることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記難燃性樹脂組成物を絶縁体及び/又はシース材料に用いた電線・ケーブルである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属水酸化物を高充填しても、優れた耐水性を得られる難燃性樹脂組成物およびこれを用いた電線・ケーブルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る電線の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係るケーブルの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0016】
本発明の難燃性樹脂組成物は、金属水酸化物の粒子を脂肪酸系材料で表面処理し、これをポリオレフィン系樹脂に添加してなるものであり、金属水酸化物の粒子の表面が一部露出するように、脂肪酸系材料を金属水酸化物に対し0.3mass%以上1.5mass%以下の範囲で添加する点に特徴がある。本発明においては、平均粒径の測定はレーザ回折散乱法に従う。具体的には、粒径測定装置「UPA−EX150型」(日機装株式会社製)を使用した。平均粒径には体積平均値を用いた。
【0017】
金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等を用いる。これらは、単独又は2種以上を併用しても良い。
【0018】
脂肪酸系材料としては、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アンモニウム塩のうち少なくとも1種以上を用いる。脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、リノール酸等が挙げられ、より好適にはステアリン酸またはオレイン酸である。脂肪酸金属塩の金属としては、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、より好適にはナトリウムである。これらの脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸アンモニウム塩は単独または2種以上をブレンドして用いることができる。
【0019】
ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−スチレン共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−ヘキセン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、エチレン−オクテン共重合体(EOR)、エチレン共重合ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、マレイン酸グラフト低密度ポリエチレン、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体(H−SBR)、マレイン酸グラフト直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数が4〜20のαオレフィンとの共重合体、マレイン酸グラフトエチレン−メチルアクリレート共重合体、マレイン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸三元共重合体、ブテン−1を主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン−1三元共重合体などが挙げられ、より好適にはEVAである。これらは単独または2種以上をブレンドして用いることができる。
【0020】
また、より難燃性を高めるためには、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、金属水酸化物を150〜300質量部添加することが好ましい。添加量が150質量部より少ないと十分な難燃性が得られず、300質量部より多いと伸び特性が著しく低下する。
【0021】
上記以外にも必要に応じて酸化防止剤、金属不活性剤、難燃剤、難燃助剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、カーボンブラック、着色剤等の添加剤を加えることが可能である。更に、有機過酸化物により架橋したり、電子線などの放射線により架橋してもよい。
【0022】
酸化防止剤としては、特に限定はしないが、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤では1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンが、硫黄系酸化防止剤ではテトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタンが好ましい。これらは単独または2種以上をブレンドして用いることができる。
【0023】
金属不活性剤は、金属イオンをキレート形成により安定化し酸化劣化を抑制する効果があり、その構造は特に限定しないが、より好適には2’,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジドである。
【0024】
金属水酸化物以外の難燃剤としては、特に限定はしないが、例えば、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム等のホウ酸化合物、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、リン系難燃剤または、燃焼時に発泡する成分と固化する成分の混合物からなる難燃剤であるインテュメッセント系難燃剤を用いることができる。
【0025】
架橋剤としては、特に限定しないが、例えばトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)や、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)の使用が望ましい。
【0026】
次に、本発明に係る難燃性樹脂組成物の作用を述べる。
【0027】
従来は、金属水酸化物の粒子の表面処理時に、脂肪酸、脂肪酸金属塩及び脂肪酸アンモニウム塩等を用いる場合は、粒子表面を完全に処理するために2mass%以上添加することが一般的である。
【0028】
これに対し、本発明では、その脂肪酸系材料の添加量を0.3mass%以上1.5mass%以下とし、金属水酸化物の表面を部分的に処理することで、表面未処理品、2mass%表面処理品と比較し、これまでにない耐水性を付与することを可能とした。
【0029】
なお、金属水酸化物の表面処理量を0.3mass%以上1.5mass%以下とすると、金属水酸化物を高充填しても耐水性が向上するメカニズムについては以下のように考えられる。
【0030】
ここでは金属水酸化物として水酸化マグネシウムを、ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を例とする。
【0031】
本来、水酸化マグネシウムの表面には水酸基があり、EVAのエステル等の極性基と相互作用するため、密着性は高い。
【0032】
しかし、表面を未処理もしくは極めて少ない処理量(0.3mass%未満)とした場合では、水酸化マグネシウムの粒子間での水酸基の水素結合により、水酸化マグネシウムの凝集が発生する。凝集した水酸化マグネシウムは粒子間に空孔を多く持つため、水の浸入が容易となり、耐水性は低下する。
【0033】
また、表面を2mass%以上で処理した場合では、水酸化マグネシウムの粒子の表面は、処理剤で覆われてしまうため、水酸化マグネシウムの粒子とEVA間での密着は低く、耐水性は低くなる。
【0034】
ここで、表面を0.3mass%以上1.5mass%以下で処理した場合、水酸化マグネシウムの一部が処理剤で覆われることにより、水酸化マグネシウム同士での凝集は発生せず、また残りの一部の水酸基とEVAとの相互作用により、耐水性は向上する。
【0035】
本発明に係る難燃性樹脂組成物としては、平均粒径が0.8〜1μmのものを好適に用いることができる。金属水酸化物の平均粒径が1μmより大きいと、粒子の総表面積が小さく、粒子表面全体が脂肪酸系材料で覆われ、耐水性が低下する。また、平均粒径が0.8μmより小さい金属水酸化物は入手困難であり、その範囲における本発明の効果は実験により確認できていない。
【0036】
また、金属水酸化物の表面処理剤は脂肪酸系と、シラン系に大別され、本発明者らの検討では、脂肪酸系のみに効果があり、シラン系では効果が認められなかった。
【0037】
以上要するに、本発明の難燃性樹脂組成物によれば、金属水酸化物に添加する脂肪酸系材料を0.3mass%以上1.5mass%以下としたことで、金属水酸化物を高充填しても、優れた耐水性を得られる。
【0038】
次に、本発明に係る難燃性樹脂組成物を用いた電線・ケーブルについて説明する。
【0039】
本発明に係る電線・ケーブルは、上述した難燃性樹脂組成物を、絶縁体やシースの被覆材料として用いたものである。この一例を図1及び図2に示す。
【0040】
図1は、導体1に絶縁体2を被覆した電線10を示したものであり、絶縁体2に本発明の難燃性樹脂組成物を用いたものである。また、図2は、図1の電線10を介在4と共に撚り合わせ、押え巻きテープ5を施し、最外層をシース3として押出し被覆したケーブル20を示したものであり、絶縁体2及び、シース3に本発明の難燃性樹脂組成物を用いたものである。
【0041】
導体1は、導体径や材質について特に限定されるものではなく、また、絶縁体2及びシース3の厚さについても特に制限されるものではなく、用途に応じて最適なものをそれぞれ適宜選択できる。
【0042】
電線10は、例えば、バンバリミキサーや加圧ニーダ等の通常用いられる混練機で均一に混練した難燃性樹脂組成物を、押出成形機等により導体1の外周に押出被覆するなどして製造できる。
【0043】
本発明に係る難燃性樹脂組成物を絶縁体やシース材料に用いた電線・ケーブルは、その難燃性樹脂組成物中に含まれる金属水酸化物の粒子の表面が一部露出するように脂肪酸系材料で予め表面処理されており、金属水酸化物を高充填した場合でも、優れた耐水性を有する。
【実施例】
【0044】
以下に、本発明の実施例1〜15,16〜30及び比較例1〜7について説明する。
【0045】
本実施例1〜15及び比較例1〜7では、まず、金属水酸化物の表面処理を行った。
【0046】
実施例1では、表面処理をしていない水酸化マグネシウム(平均粒径1μm)に水を加えて100g/lの水酸化マグネシウムスラリーを調整した後、これを50℃で攪拌し、水酸化マグネシウムに対して0.3mass%ステアリン酸ナトリウムを滴下し2時間攪拌し、その後、ろ過、洗浄、乾燥、粉砕を行って、表面処理した金属水酸化物を調製した。
【0047】
実施例2〜15及び比較例1〜7では、材料や配合比を変えて、実施例1と同様の方法で、表面処理した金属水酸化物を調製した。
【0048】
次に、各配合割合で各種成分(金属水酸化物は表面処理済みのもの)を配合し、加圧ニーダによって開始温度40℃、終了温度190℃で混練後、混練物をペレット状に成形した。
【0049】
この混練物を、8インチオープンロールでシート形状とし、180℃でプレスし規定の厚さ(1mm厚)のシートを作製した。また、この混練物を、図1に示した電線10の絶縁体2として、厚さ0.81mm、設定温度200℃で押出し、その後、電子線を照射して電線を作製した。電子線の照射量は30kGyとした。導体1としては、銅導体を用いた。
【0050】
また、本実施例16〜30では、まず、金属水酸化物の表面処理を行った。
【0051】
実施例16では、表面処理をしていない水酸化マグネシウム(平均粒径0.8μm)に水を加えて100g/lの水酸化マグネシウムスラリーを調整した後、これを50℃で攪拌し、水酸化マグネシウムに対して0.3mass%ステアリン酸ナトリウムを滴下し2時間攪拌し、その後、ろ過、洗浄、乾燥、粉砕を行って、表面処理した金属水酸化物を調製した。
【0052】
実施例17〜30では、材料や配合比を変えて、実施例16と同様の方法で、表面処理した金属水酸化物を調製した。
【0053】
次に、各配合割合で各種成分(金属水酸化物は表面処理済みのもの)を配合し、加圧ニーダによって開始温度40℃、終了温度190℃で混練後、混練物をペレット状に成形した。
【0054】
この混練物を、8インチオープンロールでシート形状とし、180℃でプレスし規定の厚さ(1mm厚)のシートを作製した。また、この混練物を、図1に示した電線10の絶縁体2として、厚さ0.81mm、設定温度200℃で押出し、その後、電子線を照射して電線を作製した。電子線の照射量は30kGyとした。導体1としては、銅導体を用いた。
【0055】
シート及び電線の評価は以下に示す方法により判定した。
【0056】
(1)耐水性試験
作製した1mm厚シートを、80℃の温水に14時間浸漬後、体積抵抗率を測定した。1×1013Ω・cm以上のものを◎(裕度を持って合格)、1×1010Ω・cm以上1×1013Ω・cm未満のものを○(合格)、1×1010Ω・cm未満のものを×(不合格)とした。
【0057】
(2)引張試験
作製した電線を、JIS C 3005に準拠して引張試験を行った。引張強さは、10.5MPa未満のものを×(不合格)、10.5MPa以上13.0MPa未満のものを○(合格)、それ以上のものを◎(裕度を持って合格)とした。伸びは、150%未満のものを×(不合格)、150%以上300%未満のものを○(合格)、それ以上のものを◎(裕度を持って合格)とした。
【0058】
(3)難燃性試験
電線形状での垂直燃焼試験(VW−1)を行った。VW−1試験は作製した電線を、UL subject 758に準拠して試験し、判定は燃焼時間30秒未満のものを◎(裕度を持って合格)、30秒以上1分未満のものを○(合格)、1分以上のものを×(不合格)とした。
【0059】
各種成分及びその配合(質量部)と、試験の評価結果を表1,表2及び表3に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
表1及び3に示した実施例1〜15及び16〜30では、耐水性を示す指標である体積抵抗率が1×1010Ω・cm以上と良好な特性を示している。
【0064】
実施例1〜4及び16〜19で水酸化マグネシウムの表面処理剤であるステアリン酸ナトリウムの処理量を変更したが、規定の0.3mass%以上1.5mass%以下では良好であり、また0.5mass%以上1.0mass%以下ではさらに優れた耐水性を示す。また実施例5及び20に示したように、規定の範囲内であれば他の表面処理剤でも良好な耐水性を示す。実施例6及び21に示したように、2種以上の脂肪酸系処理剤を併用しても良好な耐水性を示す。
【0065】
ベースポリマーであるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の酢酸ビニル(VA)含有量を変更した場合、42mass%品を使用した実施例7及び22、33mass%品を使用した実施例3、28mass%品を使用した実施例8及び23と比較すると、VA含有量が高い方が耐水性が低下する傾向があるが、表面処理剤の添加量が規定の範囲内であればすべての実施例において、耐水性は良好である。
【0066】
ベースポリマーにEVA以外のポリマーを使用しても耐水性は良好である。エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)を使用した実施例9及び24、LDPEとEVAを併用した実施例10及び25においても良好な耐水性を示している。
【0067】
実施例11〜14及び26〜29で水酸化マグネシウムの添加量を変更したが、添加量が少ないほど難燃性は低下し、添加量を120部とした実施例11及び26では難燃性に裕度が無い。また添加量が多いほど伸びは低下し、添加量を330部とした実施例14及び29では伸び特性に裕度が無い。耐水性と難燃性、機械特性を両立する上では、水酸化マグネシウムの添加量は150部以上300部以下であることが好ましい。その他の難燃剤としてメラミンシアヌレートを併用して添加した実施例15及び30では、水酸化マグネシウムを単独で添加した実施例3及び18と比較して難燃性がより向上しており、添加は好ましい。
【0068】
これに対し、表2に示すように、表面処理剤の添加量が規定より少ない、もしくは多い場合の耐水性は低下する。
【0069】
表面処理剤としてステアリン酸ナトリウムを使用し、処理量が規定より少ない比較例1、規定より多い比較例2共に耐水性が不十分であった。また表面処理剤をオレイン酸ナトリウムとし、処理量が規定より少ない比較例3、規定より多い比較例4も同様に耐水性が不十分であった。更に、処理剤を併用した場合も合計の処理量が規定より少ない比較例5、及び規定より多い比較例6についても耐水性が不十分であった。また、シラン系の表面処理剤であるトリメトキシビニルシランを使用した比較例7についても耐水性は不十分であった。
【0070】
以上より、本発明による難燃性樹脂組成物を絶縁体やシース材料に用いた電線・ケーブルは、ベースポリマーに金属水酸化物を高充填した場合でも、優れた耐水性を有することがわかる。
【符号の説明】
【0071】
1 導体
2 絶縁体
3 シース
4 介在
5 押え巻きテープ
10 電線
20 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム又は水酸化カルシウムのうち少なくとも1種以上からなる金属水酸化物の粒子を脂肪酸系材料で表面処理し、これをポリオレフィン系樹脂に添加してなる難燃性樹脂組成物において、
前記金属水酸化物の粒子の表面が一部露出するように、前記脂肪酸系材料を、前記金属水酸化物に対し0.3mass%以上1.5mass%以下の範囲で添加したことを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【請求項2】
前記脂肪酸系材料は、脂肪酸、脂肪酸金属塩及び脂肪酸アンモニウム塩のうち少なくとも1種以上からなる請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項3】
前記金属水酸化物は、ステアリン酸ナトリウム又はオレイン酸ナトリウムにより表面処理されている請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、前記金属水酸化物を150質量部以上300質量部以下添加した請求項1〜3いずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリオレフィン系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)又はエチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)の少なくとも1種以上を主成分とする請求項1〜4いずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載の難燃性樹脂組成物を絶縁体及び/又はシース材料に用いたことを特徴とする電線・ケーブル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−102307(P2012−102307A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5365(P2011−5365)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】