説明

難燃性樹脂組成物

【課題】 樹脂に対するピロリン酸ピペラジンの添加量が少量で、優れた難燃性を有する樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
樹脂に対してピロリン酸ピペラジン、メラミンシアヌレート、ドリップ防止剤及び金属酸化物をある一定の組成比で配合する。すなわち、樹脂を70質量部、ピロリン酸ピペラジン(成分A)を10〜70質量部、メラミンシアヌレート(成分B)を1〜30質量部、ドリップ防止剤(成分C)を0.01〜1質量部および金属酸化物(成分D)を0.1〜4質量部含有する難燃性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な難燃性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂はその軽量性、加工性、耐薬品性、耐候性、電気的特性および機械的強度等の優位性を生かして産業用および家庭用電気製品等の分野をはじめとして、建築物、室内装飾品および自動車部品等の各種の分野に多用されており、樹脂が使用される用途も拡大してきている。かかる用途の拡大に伴い、樹脂にも難燃性が要求され始め、しかも年々その要求性能が厳しくなってきている。その要求を満たすために、難燃性の良いハロゲン含有化合物を単独でもしくは酸化アンチモンなどのアンチモン化合物とを組み合わせた難燃剤が使用されている。しかし樹脂の燃焼時または成形時等にハロゲン系ガスを発生することが問題視されている。そこで、燃焼時または成形時にこれらのハロゲン系ガスを発生しない難燃性樹脂組成物が要求されている。
【0003】
ハロゲン系難燃剤の代わりとしてリン含有難燃剤が使用されているが、その有用性は限られている。その理由として、十分な難燃性を得るには、多量添加が必要な上に、リン含有難燃剤の熱的または加水分解安定性が低いことが挙げられる。その中でピロリン酸ピペラジンは、他のリン含有難燃剤と比較すると、熱的または加水分解安定性があり、優れた難燃効果を発揮するものとして注目を集めている。
【0004】
例えば特許文献1には、ピペラジン塩酸塩とピロリン酸ナトリウムとを水溶液中で反応させて、ピロリン酸ピペラジンを水難溶性の沈殿として得る方法が知られている(特許文献1)。また、特許文献2には、ピロリン酸ナトリウムを塩酸処理し、得られたピロリン酸とピペラジンとを水溶液中で反応させて、ピロリン酸ピペラジンを水難溶性の沈殿として得る方法が開示されている。
【0005】
しかしながら特許文献1〜2に開示されている方法において合成したピロリン酸ピペラジンを用いて、熱可塑性の樹脂として代表的に使用されるポリオレフィン樹脂に添加して難燃試験を行ったところ、低添加量で十分な難燃性を得ることができなかった。
【0006】
またハロゲン系難燃剤の代わりとして金属水和物が使用されている。金属水和物は、樹脂の燃焼温度において吸熱反応により分解および脱水反応を起こして樹脂の燃焼を抑制する。
【0007】
特許文献3には、ポリオレフィン樹脂に水酸化マグネシウムなどの金属水和物、シリコーンパウダー、およびメラミンシアヌレートを添加してなることを特徴とするノンハロゲン難燃性樹脂組成物を得る方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、このような樹脂組成物では、十分な難燃性をもたせる目的で金属水和物が多量に配合されているため、従来のハロゲン系の難燃性樹脂組成物に比べて、機械的特性、特に引張強度に乏しいという難点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭48-088791号公報
【特許文献2】米国特許第4599375号
【特許文献3】特開2000-178386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする課題は、ピロリン酸ピペラジンを用いて、低添加量で優れた難燃性を有する難燃性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、樹脂に対してピロリン酸ピペラジン、メラミンシアヌレート、ドリップ防止剤及び金属酸化物をある一定の組成比で配合することで、ピロリン酸ピペラジンが低添加量で高難燃の樹脂組成物を得ることに成功した。
【0012】
すなわち、本発明は、樹脂を70質量部、ピロリン酸ピペラジン(成分A)を10〜70質量部、メラミンシアヌレート(成分B)を1〜30質量部、ドリップ防止剤(成分C)を0.01〜1質量部および金属酸化物(成分D)を0.1〜4質量部含有する難燃性樹脂組成物に関する。
【発明の効果】
【0013】
燃焼時に有害なガスを発生するハロゲン系難燃剤を用いることなく、ピロリン酸ピペラジンを用いて、低添加量で十分な難燃性を有する樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明の難燃性を付与する4種成分は、種々の樹脂と組み合わせて使用することができる。特に限定されないが、上記樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと、他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等)、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂及びこれらのブレンド物あるいはフェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。中でもポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
【0016】
(ピロリン酸ピペラジン)
本発明で用いられる(A)ピロリン酸ピペラジンは、上述の特許文献1または特許文献2に記載されているピロリン酸ピペラジンを使用した。ピロリン酸ピペラジンの添加量は、少なくなると得られる難燃性樹脂組成物の難燃性が低下し、多くなると得られる難燃性樹脂組成物の機械的物性が低下することから、樹脂70質量部に対し、10〜70質量部であり、好ましくは15〜50質量部であり、より好ましくは20〜30質量部である。
【0017】
(メラミンシアヌレート)
本発明で用いられる(B)メラミンシアヌレートは、メラミンとシアヌール酸との反応生成物を粉末化したものであり、その構造内に多量の窒素原子を有し、約350℃以上の高温にさらされると窒素ガスを発生して燃焼を阻害する働きを示す。シアヌール酸にはエノール型とケト型の2つの互変異性体があるが、本発明でいうシアヌール酸はエノール型及びケト型の両方を意味するものである。メラミンシアヌレートの添加量は、少なくなると得られる難燃性樹脂組成物の難燃性が低下し、多くなると得られる難燃性樹脂組成物の機械的物性が低下することから、樹脂70質量部に対し、1〜30質量部であり、好ましくは2〜20質量部であり、より好ましくは3〜10質量部である。
【0018】
さらに、本発明に係る難燃性樹脂組成物において、燃焼時の樹脂垂れ(ドリップ)を防止するために、周知一般のドリップ防止剤を必須成分として配合する。(C)ドリップ防止剤の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−n−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ−t−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−2−エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物又はパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩、シリコンゴム類が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上混合で用いることができる。これらの中でも特にPTFEはドリップ防止効果に優れているため好適に用いられる。PTFEの添加量は、少なくなると難燃性樹脂組成物のドリップ防止効果が小さく、多くなると難燃性樹脂組成物のコストが高くなることから、樹脂70重量部に対し、0.01〜1質量部であり、好ましくは0.05〜0.7質量部であり、より好ましくは0.1〜0.5質量部である。
【0019】
さらに、本発明に係る難燃性樹脂組成物において、さらに難燃性を向上するために金属酸化物を必須成分として配合する。(D)金属酸化物の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム等が挙げられ、これらは1種類又は2種類以上混合で用いることができる。これらの中でも特に酸化チタンは難燃性、耐熱性に優れているため好適に用いられる。酸化チタンは、少なくなると得られる難燃性樹脂組成物の難燃性が低下し、多くなると得られる難燃性樹脂組成物の難燃性は高くなるが、生産時に混練物が発泡し、吐出及び樹脂圧力が不安定になる場合がある。添加量は樹脂70質量部に対し、0.1〜4質量部であり、好ましくは0.2〜2質量部であり、より好ましくは0.3〜1質量部である。
【0020】
本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等により安定化することが好ましい。
【0021】
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられ、樹脂70質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。
【0022】
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられ、樹脂70質量部に対して、0.01〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。
【0023】
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、及びチオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類が挙げられ、樹脂70質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは、0.05〜5質量部が用いられる。
【0024】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられ、樹脂70質量部に対して、0.001〜30質量部、より好ましくは、0.05〜10質量部が用いられる。
【0025】
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられ、樹脂70質量部に対して、0.001〜30質量部、より好ましくは、0.05〜10質量部が用いられる。
【0026】
本発明の難燃性樹脂組成物は、必要に応じてp−第三ブチル安息香酸アルミニウム、芳香族リン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール類等の造核剤、帯電防止剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、充填剤、顔料、滑剤、発泡剤等を添加してもよい。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明を詳細に示す。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。なお、表1の配合は、すべて質量部基準である。
【0028】
<UL−94試験>
難燃性試験はUL規格の内、UL−94(垂直燃焼試験法)に基づいて行った。長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後、炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行い、1回目と同様にして着火した火が消えるまでの時間を測定した。また、試験片から落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。
【0029】
1回目及び2回目の燃焼時間、綿着火の有無等から、UL-94規格に従って難燃性評価を行った。難燃性評価はV−0が最高であり、以下、V−1、V−2の順に難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものは燃焼とする。
【0030】
[実施例1−3及び比較例4−7]
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー製:J−750HP射出成形用グレード)70質量部に滑剤としてステアリン酸カルシウム(堺化学製:SC-P)1質量部、ピロリン酸ピペラジン16〜28.5質量部、メラミンシアヌレート(堺化学製:MC-5S)2.5〜28.5質量部、PTFE(旭硝子製:POLYFLON MPA FA-500B)を0〜0.1質量部、酸化チタン(堺化学製:R-21)0〜0.4質量部を配合して得られたポリプロピレン樹脂組成物を、ラボプラストミル(東洋精機製:10C100)を用いて160〜200℃で混練し、得られた成形体を粉砕機(DIAKO SEIKI製DAS−14)を用いてペレット化した。該ペレットを使用して190℃で射出成形し、厚さ1.6mmの試験片を得た。得られた試験片を用い、上記に準拠した難燃性試験を行った。その結果を表1に示した。
【0031】
【表1】

【0032】
表1はピロリン酸ピペラジン、メラミンシアヌレート、PTFEおよび酸化チタンとの本発明に従う組合せを示す。これらの組み合わせにより、良好な難燃性を見出した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂に対して、ピロリン酸ピペラジン(成分A)、メラミンシアヌレート(成分B)、ドリップ防止剤(成分C)および金属酸化物(成分D)を含有する難燃性樹脂組成物。
【請求項2】
樹脂70質量部に対して、ピロリン酸ピペラジン(成分A)を10〜70質量部、メラミンシアヌレート(成分B)を1〜30質量部、ドリップ防止剤(成分C)を0.01〜1質量部および金属酸化物(成分D)を0.1〜4質量部含有する難燃性樹脂組成物。
【請求項3】
上記(成分C)ドリップ防止剤がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である請求項1又は2記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項4】
上記(成分D)金属酸化物が酸化チタンである請求項1、2又は3記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項5】
上記樹脂がポリオレフィン樹脂である請求項1、2、3又は4記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項6】
上記樹脂がポリプロピレン樹脂である請求項1、2、3又は4記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項7】
上記樹脂がポリエチレン樹脂である請求項1、2、3又は4記載の難燃性樹脂組成物。









【公開番号】特開2011−148936(P2011−148936A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12622(P2010−12622)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)
【Fターム(参考)】