説明

難燃性樹脂配合物およびその使用

【課題】
新規な難燃性樹脂配合物およびその使用を提供する。
【解決手段】
少なくとも一種の難燃性成分, 少なくとも一種のアルカリ溶解性成分, 少なくとも一種の重合性 モノマー, 少なくとも一種の光開始剤, および少なくとも一種のエポキシ成分をそれぞれ含む難燃性樹脂配合物であって, 式 (I)のホスフィン酸塩を難燃性成分として含む難燃性樹脂配合物:
【化1】



(式中
R1 および R2は、同一であるかまたは異なりそして, 互いに独立に, 直鎖もしくは枝分かれしたC1-C6-アルキル, および/またはアリールであり;
Mは、Mg, Ca, Al, Sb, Sn, Ge, Ti, Zn, Fe, Zr, Ce, Bi, Sr, Mn, Li, Na, K, および/またはプロトン化窒素塩基であり, そしてmは、1〜4である)、およびその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な難燃性樹脂配合物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷回路を生産するには、外部影響からの導電性微量を保護するために薄い絶縁および保護層を使用する。その後のはんだ付けプロセスの間, これらの層は、好ましくないはんだとの接触を防ぐので、ソルダーレジストマスクとして働く。
【0003】
ソルダーレジストは、2つの群に分けることができるのが普通であり、2つの群は、適用プロセスによって特徴付けられることができる。適用は、スクリーン印刷することによるかまたは写真プロセスを経るかのいずれかで行われるのが普通である。慣用のスクリーン印刷レジストでは, 印刷は、導体の像を発生させるのに、スクリーンテンプレートを使用する。対照的に、光構造化性ソルダーレジストの場合は, 初めに、例えばカーテンコーティングプロセスによるかまたは他の良く知られたスプレープロセスによって、印刷回路板を全面塗布する。その後に、照射および現像プロセスで、導体の像を発生させる。
【0004】
ソルダーレジストが異なる別の特徴は、用いるそれらの構成および樹脂系である。種々のタイプのソルダーレジストの中で、とりわけ下記がある:
- 紫外線硬化性ソルダーレジスト
- 熱硬化性ソルダーレジスト
- 光構造化性ソルダーレジスト
- フレキシブル回路用ソルダーレジスト
【0005】
ソルダーレジストは、極限の状態に暴露されそして従って、下記の特性プロファイルを持たなければならない:
- はんだ槽における良好な安定性
- 極めて良好な付着力
- 溶媒および洗浄組成物に対しての極めて良好な安定性
- 湿気に対しての安定性, および高い電気絶縁抵抗
- 不燃性
【0006】
ソルダーレジストを難燃性にさせる慣用の方法は、ハロゲン化された難燃剤を使用するものである。これらの中の例は、臭素化エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂を難燃性にさせるよく知られた難燃剤は、 テトラブロモビスフェノール Aである。これを直接エポキシ樹脂中に組み込むことができる。更に、三酸化アンチモンをさらなる難燃性補助剤として用いる。
【0007】
光に敏感なソルダーレジスト用に用いることができる難燃剤の例は、臭素含有メタクリラート, 例えば、2,4,6-トリブロモフェノールメタクリラート, テトラブロモビスフェノール A モノメタクリラート, およびテトラブロモビスフェノール A ジメタクリラートである。
【0008】
しかし, 臭素化難燃剤の不利は、臭素化難燃剤がフレキシビリティーを損なうことである。加えて、幾種かの化合物は、焼却する間に、発癌性ダイオキシンを形成する疑いがある。
【0009】
事実、三酸化アンチモンは、ダイオキシンの形成に触媒作用を及ぼす。三酸化アンチモン粉塵は、さらに、気道を通して吸収され得る。動物実験では、これらの粉塵が発癌性であることを明確に立証した。加えて、製造プロセスおよび廃棄処理プロセスは、共に、従事する作業者にとって健康被害を伴う。三酸化アンチモン粉塵は、廃棄物焼却からの煤煙を経由して環境へ通過し得る。
【0010】
材料であって、環境上適合しおよびそれらの廃棄処理が危険性をもたらさないものについての一般的な要求の増大が、代替物, 特に臭素化難燃剤について調査するに至った。これらの要求を満足させるために、代替物は、臭素が含まれていたりまたはハロゲンが含まれていたりしてはならない。
【0011】
調査された代替物の内の一種は、リン酸エステルであった。しかし, 難燃性作用は、極めて小さくそして従って、難燃性効果を達成するのに、相対的に多量のリン酸エステルが必要とされる。多量のリン酸エステルを加えることの不利な作用は、硬化したフィルムの表面上に浸出ことである。
【0012】
他の代替物は、通常用いられる有機溶媒への難溶性を示したか, またはプレッシャークッカー試験(Pressure Cooker Test (PCT) )に安定でなかった (特許文献1)。従って、従来知られている難燃性ソルダーレジストの性質を改良したいと言う要求が存在する。
【特許文献1】WO2006/106892
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、極めて良好な難燃性およびフレキシビリティーを有するばかりでなく、また、はんだ槽および湿気に対しての高い安定性も有し, そしてまた、温度に対しての安定性も有するソルダーレジストを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、少なくとも一種の難燃性成分, 少なくとも一種のアルカリ溶解性成分, 少なくとも一種の重合性モノマー, 少なくとも一種の光開始剤, および少なくとも一種のエポキシ成分をそれぞれ含む難燃性樹脂配合物であって, 式 (I)のホスフィン酸塩を難燃性成分として含む難燃性樹脂配合物:
【0015】
【化1】

【0016】
式中
R1 および R2は、同一であるかまたは異なりそして, 互いに独立に, 直鎖もしくは枝分かれしたC1-C6-アルキル, および/またはアリールであり;
Mは、Mg, Ca, Al, Sb, Sn, Ge, Ti, Zn, Fe, Zr, Ce, Bi, Sr, Mn, Li, Na, K, および/またはプロトン化窒素塩基であり, そしてmは、1〜4である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
R1 および R2は、同一であるかまたは異なり, 各々の場合において互いに独立に , メチル, エチル, n-プロピル, イソプロピル, n-ブチル, tert-ブチル, n-ペンチル, および/またはフェニルであるのが好ましい。
【0018】
式 (I)のホスフィン酸塩は、ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩であるのが好ましい。
【0019】
ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩の中央粒径 (d50) は、0.1〜100 μmであり, 好ましくは1〜20 μmであるのが好ましい。
【0020】
アルカリ溶解性成分は、修飾されたエポキシアクリラートであるのが好ましい。
【0021】
重合性モノマーは、多価アルコールの多官能性アクリラートであるのが好ましい。
【0022】
多価アルコールは、ペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールであるのが好ましい。
【0023】
光開始剤は、アルファ-アミノアセトフェノンであるのが好ましい。
【0024】
ここで、化合物は、(4-メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタンであるのが好ましい。.
エポキシ化合物は、エポキシ化ノボラックであるのが好ましい。
【0025】
難燃性樹脂配合物は、少なくとも
難燃性成分0.1〜50重量%、
アルカリ溶解性成分0.1〜65重量%,
重合性モノマー0.1〜65重量%,
光開始剤0.1〜15重量%, および
エポキシ成分0.1〜25重量%
を含むのが好ましい。
【0026】
難燃性樹脂配合物は、少なくとも
難燃性成分5〜20重量%、
アルカリ溶解性成分30〜40重量%,
重合性 モノマー5〜10重量%,
光開始剤4〜5重量%, および
エポキシ成分5〜10重量%
を含むのが特に好ましい。
【0027】
難燃性樹脂配合物は、さらに、少なくとも一種の相乗難燃性成分0.1〜30重量%, 特に1 〜20重量%を含むのが好ましく, そのような相乗難燃性成分は、メラミン, シアヌル酸のメラミン誘導体, イソシアヌル酸のメラミン誘導体, メラミン塩, 例えば、メラミンホスファート, メラミンポリホスファート, もしくはメラミンジホスファート, ジシアンジアミド, またはグアニジン化合物, 例えば、グアニジンカーボナート、グアニジンホスファート、グアニジンサルファート, および/またはエチレン尿素とホルムアルデヒドとの縮合物, またはポリリン酸アンモニウム; ケイ素の酸素化合物であり, これらは、オルトサリチル酸およびその縮合物であり, またはシリケート, ゼオライト, およびシリカ; または水酸化アルミニウムである。
【0028】
本発明は、 また、請求項1〜14のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物の、エレクトロニクスおよび電気工学用コーティングにおける、またはコーティングを製造するための使用を提供する。
【0029】
本発明は、また、 特に、請求項1〜14のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物の、ソルダーレジストとしての使用を提供する。
【0030】
本発明は、同様に、スピンコーティング, 浸漬コーティング, ドクターコーティング, カーテンコーティング, はけ塗り, 吹き付け, またはリバースロールコーティングを使用してソルダーレジストの薄層を基材に適用し, そして次いで、層を乾燥しそして照射し, アルカリ性溶液で層を現像し, そして次いで、層を熱後硬化させることを含む、難燃性ソルダーレジストの製造方法を提供する。
【0031】
基材は、硬質またはフレキシブル印刷回路板であるのが好ましい。
【0032】
フレキシブル印刷回路板は、ポリエステル, ポリイミド, アラミド繊維で強化されたエポキシ樹脂, または液晶高分子(Liquid Crystal Polymer (LCP) )をベースにした未塗被のまたは銅被覆されたプラスチックポリマーであるのが好ましい。
【0033】
ソルダーレジストの層厚さは、0.1〜50 μmであるのが好ましい。
【0034】
ホスフィン酸の塩を多数の相乗化合物と組み合わせると、とりわけ, エポキシ樹脂用の有効な難燃剤になることが判明した(EP-A-1 024 168)。ここで, ビスフェノールAおよびエピクロロヒドリンで構成されるエポキシ樹脂を、アルミナ三水和物およびアルミニウムジエチルホスフィナートを加えることによって修飾し, こうして、UL 94 V-0 分類を達成するのを可能にした。
【0035】
ホスフィン酸塩によって難燃性にされたソルダーレジストは、はんだ槽に対しての良好な安定性を有し、印刷回路板産業において用いられる慣用の基材のすべてへの, 特に、銅, 鉛/スズ, スズ-銀-銅合金への, およびエポキシ- およびフェノール-樹脂接着印刷回路板への良好な付着力を有する。ソルダーレジストは、さらに、高いフレキシビリティーを有し, そしてこのことは、また、ソルダーレジストをフレキシブル印刷回路板において使用するために適したものにする。
【0036】
M は、アルミニウム, カルシウム, チタン, 亜鉛, スズ, またはジルコニウムであるのが好ましい。
【0037】
本発明の難燃性樹脂配合物の好適なジアルキルホスフィン酸塩は、アルミニウムトリスジエチルホスフィナート, アルミニウムトリスメチルエチルホスフィナート, チタニルビスジエチルホスフィナート, チタンテトラキスジエチルホスフィナート, チタニルビスメチルエチルホスフィナート, チタンテトラキスメチルエチルホスフィナート, 亜鉛ビスジエチルホスフィナート, 亜鉛ビスメチルエチルホスフィナート, およびこれらの混合物である。
【0038】
ジアルキルホスフィン酸塩であって、それの中央粒径 (d50) が0.1〜100 μmであり, 特に1〜20 μmであるものを本発明の難燃性樹脂配合物用に使用するのが好ましい。
【0039】
もっぱら球形粒子形状を有するジアルキルホスフィン酸塩を使用し,ジアルキルホスフィン酸塩における針状晶の形態の粒子の含有量を最少にするのが好ましい。
【0040】
ジアルキルホスフィン酸塩は、 好ましくは、他のハロゲンが含まれていない難燃剤と組み合わせて、本発明の難燃性樹脂配合物用に使用することができる。
【0041】
これらの難燃剤組合せは、式 (I)のジアルキルホスフィン酸塩の少なくとも一種0.1〜20重量%および相乗難燃性成分0.1〜30重量%を含むのが好ましい。
【0042】
難燃剤組合せは、式 (I)のジアルキルホスフィン酸塩の少なくとも一種1〜10重量%および相乗難燃性成分1〜20重量%を含むのが特に好ましい。
【0043】
相乗難燃性成分は、好ましくは、ケイ素の酸素化合物であるか, またはマグネシウム化合物であるか, または亜鉛化合物またはアルミニウム化合物である。
【0044】
ケイ素の酸素化合物は、オルトサリチル酸の塩およびエステルおよびこれらの縮合物であるか, またはシリケート, ゼオライト, およびシリカであるか, またはガラス粉末, ガラス-セラミック粉末またはセラミック粉末であるのが好ましい。
【0045】
マグネシウム化合物は、水酸化マグネシウム, ヒドロタルサイト, 炭酸マグネシウム, または炭酸マグネシウムカルシウムであるのが好ましい。
【0046】
亜鉛化合物は、酸化亜鉛, スズ酸亜鉛,ヒドロキシスズ酸亜鉛, リン酸亜鉛, ホウ酸亜鉛, または硫化亜鉛であるのが好ましい。
【0047】
アルミニウム化合物は、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムであるのが好ましい。
【0048】
相乗難燃性成分は、窒素化合物および/またはリン-窒素化合物であるのが好ましい。
【0049】
窒素化合物は、式 (III)〜(VIII):
【0050】
【化2】










【0051】
(式中、
R5〜R7は、水素, C1-C8-アルキル, C5-C16-シクロアルキルもしくは -アルキルシクロアルキル(適する場合は、ヒドロキシ官能基またはC1-C4-ヒドロキシアルキル官能基で置換される), C2-C8-アルケニル, C1-C8-アルコキシ, -アシル, -アシルオキシ, C6-C12-アリールもしくは -アリールアルキル, -OR8, および -N(R8)R9(N-脂環式またはN-芳香族タイプの系を含む)であり、
R8は、水素, C1-C8-アルキル, C5-C16-シクロアルキルもしくは -アルキルシクロアルキル(適する場合は、ヒドロキシ官能基またはC1-C4-ヒドロキシアルキル官能基で置換される), C2-C8-アルケニル, C1-C8-アルコキシ, -アシル, -アシルオキシ, またはC6-C12-アリールもしくは -アリールアルキルであり、
R9〜R13は、R8と同一の基であるかさもなくば -O-R8であり,
mおよびnは, 互いに独立に, 1, 2, 3, または4であり, および
Xは、トリアジン化合物(III)と付加物を形成することができる酸である)
のもの, またはこれらの混合物であるかあるいはトリス(ヒドロキシエチル) イソシアヌラートと芳香族ポリカルボン酸とのオリゴマー性エステルであるのが好ましい。
【0052】
用いる窒素化合物またはリン-窒素化合物は、メラミン, シアヌル酸のメラミン誘導体, イソシアヌル酸のメラミン誘導体, メラミン塩, 例えば、メラミンホスファート, またはメラミンジホスファート, メラミンポリホスファート, ジシアンジアミド, アラントイン, グリコールウリレ(glycolurile), またはグアニジン化合物, 例えば、グアニジンカーボナート、グアニジンホスファート、グアニジンサルファート, ベンゾグアナミン, および/またはエチレン尿素とホルムアルデヒドとの縮合物, および/またはポリリン酸アンモニウムであり, および/またはカルボジイミドであるのが好ましい。
【0053】
上述した窒素成分またはリン-窒素成分に加えて用いることができる他の化合物は、トリス(ヒドロキシエチル) イソシアヌラートと芳香族ポリカルボン酸とのオリゴマー性エステルであり, これらは、EP-A-0 584 567に記載されている通りであり, および式(NH4)y H3-y PO4または(NH4 PO3)z,(ここで、y は、数値1〜3を取ることができ, およびz は、任意の所望の大きさの数 (約1〜10 000) であり, 典型的には、また、鎖長分布の平均値として提示される)の窒素-含有リン酸塩である。
【0054】
本発明の難燃性樹脂配合物用に使用するアルカリ溶解性化合物は、分子量が10 000〜500 000でありそして酸価が100〜300 mg KOH/gであるポリマーであるのが好ましい。 特に適した化合物は、遊離のカルボン酸官能基を有するアクリルポリマー(コポリマー)であり、そしてこれらは、不飽和カルボン酸, 例えば、メタクリル酸, アクリル酸, クロトン酸, および マレイン酸を, 一種以上のエステル, 例えば、メタクリル酸のエステル, 例えば、メチルメタクリラート, エチルメタクリラート, プロピルメタクリラート, ブチルメタクリラート, ベンジルメタクリラート, 2-エチルヘキシルメタクリラート, ヒドロキシエチルメタクリラート, またはヒドロキシプロピルメタクリラート, あるいはビニル成分, 例えば、スチレン, メチルスチレン, またはビニルトルエン, あるいはポリオレフィン化合物, 例えば、ブタジエン, イソプレン, またはクロロプレン, あるいは他に、ビニルアセタートまたはメタクリロニトリルのような化合物と共重合させることによって得ることができる。
【0055】
コポリマーの例は、アクリラートおよびメタクリラート, 例えば、アクリル酸またはメタクリル酸, および スチレンまたは置換されたスチレンで構成されるコポリマー、フェノール樹脂, 例えば、ノボラック, ポリヒドロキシスチレン, およびヒドロキシスチレンとアルキルアクリラート, アクリル酸, および/またはメタクリル酸とのコポリマーである。
【0056】
好適なコポリマーは、メチルメタクリラート/メタクリル酸のコポリマー, ベンジルメタクリラート/メタクリル酸のコポリマー, メチルメタクリラート/エチルアクリラート/メタクリル酸のコポリマー, ベンジルメタクリラート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリラートのコポリマー, メチルメタクリラート/ブチルメタクリラート/メタクリル酸/スチレンのコポリマー, およびメチルメタクリラート/ベンジルメタクリラート/メタクリル酸/ヒドロキシフェニルメタクリラートのコポリマーである。
【0057】
アルカリ溶解性成分用に好ましく適した他の化合物は、それらの分子構造中に少なくとも2個の不飽和の, エチレン性 二重結合, およびまた、少なくとも1個のカルボキシ官能基も有するポリマーまたはオリゴマーである。これらの 化合物は、例として、反応性水素原子を1個より多く含有する飽和もしくは不飽和の無水物を、エポキシ成分と不飽和モノカルボン酸とで構成される反応生成物と反応させることによって得られる(例えば: UCB ChemicalsからのEB(登録商標)9696; Nippon Kayaku Co., LTDからのKAYARAD(登録商標)TCR1025; Shin-Nakamura Chemical Co., LTDからのNK(登録商標) OLIGO EA-6340, EA-7440)。
【0058】
他の適した重合性モノマーは、 光重合性ビニルモノマー, ヒドロキシアルキルアクリラート, 例えば、2-ヒドロキシエチルアクリラートおよび2-ヒドロキシブチル アクリラート, グリコール, 例えば、エチレングリコール, ポリエチレングリコール, およびプロピレングリコールのモノ- もしくはジアクリラート, アクリルアミド, 例えば、N,N-ジメチルアクリルアミド, 多価アルコール, またはエチレンオキシド/プロピレンオキシド付加物, 例えば、ヘキサンジオール, トリメチロールプロパン, ペンタエリスリトール, またはジペンタエリスリトールの多官能価アクリラートであり, あるいはトリスヒドロキシエチルイソシアヌラート, フェノキシアクリラート, ビスフェノール A ジアクリラート,グリシジルエーテル, 例えば、グリセロールジグリシジルエーテルのアクリラートであり, あるいはメラミンアクリラートである。
【0059】
重合性成分は、また、非重合性の, フィルム形成性成分との混合物の形態でも用いることができる。このフィルム形成性成分は、物理的に乾燥したポリマーであるかまたは有機溶媒, 例えばニトロセルロースまたはセルロースアセトブチラート中のポリマーの溶液である。しかし、これらは、 また、化学的または熱硬化性樹脂, 例えば、ポリイソシアネート, ポリエポキシドまたはメラミン樹脂, または他に、ポリイミドにすることができる。熱硬化性樹脂の併用は、第一段で光重合させそして第二段で熱後処理によって架橋させる混成系として知られているものにおいて使用するために重要である。
【0060】
本発明の樹脂配合物において用いる光開始剤は、適切に照射する間に遊離基を形成するタイプの光開始剤のいずれかを含むことができる。使用する光開始剤の例は、ベンゾインアルキルエーテル, ベンゾフェノン, ベンジルケタール, 4-アロイル-1,3-ジオキソラン, ジアルコキシアセトフェノン, アルファ-ヒドロキシ- もしくはアルファ-アミノアセトフェノン, 例えば、(4-メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタン, アルファ-ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン, モノ- もしくはビスアシルホスフィンオキシド, およびこれらの混合物である。
【0061】
エポキシ成分は、液体または固体エポキシ樹脂であるのが好ましい。金属化する間の高い安定性が要求される場合には、液体エポキシ樹脂を使用するのが好ましい。水に対しての安定性を一層良好にするためには、対照的に、メチル基またはベンゼン環を数多く有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0062】
好適なエポキシ樹脂は、ビスフェノール S タイプの樹脂, 例えば、Nippon Kayaku Co. LtdからのBPS(登録商標)-200, ACR Co. からのEPX(登録商標)-30, Dainippon Ink & Chemicals IncからのEpiculon(登録商標)EXA-1514, またはビスフェノール A 樹脂、例えば、Dainippon Ink & Chemicals. からのEpiclon(登録商標)N-3050, N-7050, N-9050, HuntsmanからのXAC(登録商標) 5005, GT(登録商標) 7004, 6484T, 6099; ビスフェノール F 樹脂、例えば、Tohto Kasei Co. からのYDF(登録商標) 2004, YDF(登録商標) 2007, 複素環式エポキシ、例えば、Nissan Chemical Industries, Ltd. からのTEPIC(登録商標), HuntsmanからのAraldite(登録商標) PT 810, エポキシ化ノボラック、例えば、Nippon Kayaku Co., Ltd製のEPPN(登録商標)201, EOCN(登録商標)103, EOCN(登録商標)1020, EOCN(登録商標)1025, Asahi Chemical Industry Co., Ltd. からのECN(登録商標)278, ECN(登録商標)292およびECN(登録商標)299, CIBA GEIGY AGからのGY(登録商標)1180, ECN(登録商標)1273 およびECN(登録商標)1299, Tohto Kasei Co. からのYDCN(登録商標)220L, YDCN(登録商標)220HH, YDCN(登録商標)702, YDCN(登録商標)704, YDPN(登録商標)601, およびYPDN(登録商標)602, Dainippon Ink & Chemicals Inc.製のEpiclon(登録商標)673, N(登録商標)680, N(登録商標)695, N(登録商標)770, およびN(登録商標)775, アミノ-官能性エポキシ樹脂、例えば、Tohto Kasei Co. からのYH(登録商標)1402 およびST(登録商標)110, Yuka Shell Co. からのYL(登録商標)931およびYL(登録商標)933, ゴム-修飾されたエポキシ樹脂、例えば、Dainippon Ink & Chemicals Inc. からのEpiclon(登録商標) TSR-601, Asahi Denka Kogyo K.K. からのEPX(登録商標)84-2およびEPX(登録商標)4061, シリコーン-修飾されたエポキシ樹脂、例えば、Asahi Denka Kogyo K.K. からの(登録商標)-1359, およびその他のエポキシ樹脂である。
【0063】
光重合反応を促進するために、アミンを加えることができ、例は、トリエタノールアミン, N-メチルジエタノールアミン, エチル p-ジメチルアミノベンゾアート, またはミヒラーズケトンである。アミンの作用は、ベンゾフェノンタイプの芳香族ケトンを加えることによって、強化することができる。酸素スカベンジャーとして使用することができるアミンの例は、置換された N,N-ジアルキルアニリンであり, これらは、EP-A-0 339 841に記載されている通りである。
【0064】
光増感剤を加えることによって、光重合反応を更に促進させることができ、光増感剤は、スペクトル感度をシフトするかまたは広げる。これらは、特に、芳香族カルボニル化合物、例えば, ベンゾフェノン誘導体, チオキサントン誘導体, アントラキノン誘導体, および 3-アシルクマリン誘導体, およびまた、3-(アロイルメチレン)チアゾリン, およびまた、エオシン染料, ローダミン染料, およびエリトロシン染料である。
【0065】
本発明の樹脂配合物は、意図した用途, および配合物の性質の関数として, 溶媒が含まれていない形態で用いることができ, または他に、慣用の溶媒を含むことができる。
【0066】
単独でまたは混合物で用いることができる適した溶媒の例は、下記である:ケトン, 例えば、アセトン, ジメチルケトン, ジエチルケトン, メチルイソブチルケトン, シクロヘキサノン, シクロペンタノン, シクロヘプタノン, イソホロン, メトキシヘキサノン, アセトニルアセトン, アセトフェノン, ベンジルエチルケトン, 3,3,5-トリメチルシクロヘキサノン, メシチルオキシド;アルコール, 例えば、メタノール, エタノール, プロパノール, ブタノール, ヘキサノール, シクロヘキサノール, フルフリルアルコール, テトラヒドロフルフリルアルコール, ベンジルアルコール, モノアルキル化グリコール, 例えば、メチルグリコール, エチルグリコール, トリエチレングリコールモノエチルエーテルまたはトリエチレングリコールモノブチルエーテル, グリコール, 例えば、エチレングリコール, プロピレングリコール, またはブチレングリコール, および それらのオリゴマー, 例えば、トリエチレングリコール;脂肪族および芳香族炭化水素, 例えば、ペンタン, ヘキサン, シクロヘキサン, メチルシクロヘキサン, ベンゼン, トルエンまたはキシレン, エーテル, 例えば、 ジエチルエーテル, ジブチルエーテル, テトラヒドロフラン, ジオキサン, エチレングリコールジメチルエーテル, ジエチレングリコールジメチルエーテル, カルボン酸エステル, 例えば、メチル, エチル, プロピル, ブチル, およびイソプロピル, およびフェニルアセタート, メチルプロピオナート, ブチルグリコラート, エチルグリコールモノ- もしくはジアセタート, メチルもしくはエチルグリコラートアセタート;ラクトン, 例えば、ブチロ- もしくはバレロラクトン;アミド, 例えば、ジメチルホルムアミド, ジメチルアセトアミド, ヘキサメチルホスホルアミド;スルホン, 例えば、ジメチルスルホン, ジブチルスルホン, またはテトラメチレンスルホン, 炭化水素の混合物, 例えば、石油エーテル, ソルベントナフサ, または水素化ナフサ。
【0067】
本発明の樹脂配合物は、充填剤も含むことができる。用いる充填剤は、微粒子流体となるべきである, すなわち、充填剤の粒径は、印刷回路内のインパクターの間の間隔よりも小さくなければならない。平均粒径は、0.01〜10 μm, 好ましくは0.01〜5 μmにすることができる。平均粒径が 0.01〜1.5 μmである微粉化充填剤が特に好適である。
【0068】
適した充填剤は、コロイド状のまたは疎水化された二酸化ケイ素, マイクロタルク, マイクロマイカ, カオリン, 酸化アルミニウム, ケイ酸マグネシウム, 水酸化アルミニウム, ケイ酸カルシウム, ケイ酸アルミニウム, 炭酸マグネシウム, 炭酸カルシウム, ケイ酸ジルコニウム、磁器粉末, 三酸化アンチモン, 二酸化チタン, チタン酸バリウム, または硫酸バリウム, または上述した充填剤の混合物である。
【0069】
ポリマーマトリックスと充填剤との間の良好な付着力を達成するために、充填剤は、カップリング剤を有するのが有利である。適したカップリング剤の例は、-OH, -NH2, エポキシ, またはビニル基のような官能性基を含有するトリアルコキシシランである。例は、トリアルコキシシリルグリシドキシ- もしくは -アミノプロパン, およびトリアルコキシビニル- もしくは -アリルシランである。アルコキシ基は、炭素原子1〜12個を含有することができそして例えば, メチル, エチル, プロピル, ブチル, ヘキシル, オクチル, またはドデシルにすることができる。
【0070】
他の慣用の添加は、意図する使用の関数として、蛍光増白剤, 顔料, 染料, 湿潤剤, または流動補助剤である。厚くおよび着色したコーティングを硬化させるために、適した添加は、例として、US-A-5 013 768に記載されている通りのガラスマイクロビーズまたは微粉砕ガラス繊維である。
【0071】
本発明の難燃性樹脂配合物の貯蔵安定性を増大させおよび加工性を維持するために、沈降防止剤を加えることが特に有利である。これは、難燃剤を含む、充填剤の沈降を回避し, そして従って、それらを均一に再分散させた後に加工する必要性を回避する。配合物中の全充填剤含有量を基準にして、0.09〜4重量%の量の沈降防止剤を加えることができる。これらの沈降防止剤の例は、微粒子シリカ, モンモリロナイト, ベントーン(Bentones), またはゾノライト(xonolite)である。
【0072】
本発明の難燃性樹脂配合物は、それら自体慣用のプロセスを使用して、好ましくは高剪断力を使用し、成分を混合することによって製造する。難燃剤および, 適するならば, 他の充填剤を適した媒体, 例えば溶媒中に再分散させることによって始めるのが有利であると判明した。アセトンまたはメチルエチルケトンのようなケトンが好適であり, また、炭化水素の混合物, 例えば、ナフサまたは石油エーテルも好適である。
【0073】
カップリング剤の添加は、適する場合は、有用になり得る。生成するペーストを使用する場合に、極めて長くそして光に敏感な物質にしばしば不利な分散時間を避ける。これらの ペーストは、例として、ボールミル中で, またはロールミル上で, または高速溶解機中で製造することができる。
【0074】
本発明の難燃性樹脂配合物は、既知のコーティングプロセスにより, 例えば、スピンコーティング, 浸漬コーティング, ドクターコーティング, カーテンコーティング, はけ塗り, 吹き付けによって, 特に静電塗装およびリバース-ロールコーティングによって, 基材に均一に適用することができる。また、層-移転用積層を使用することによって, 暫定の, フレキシブルキャリヤに光感光層を適用しそして次いで、最終基材, 例えば、銅被覆された印刷回路板を塗被することも可能である。
【0075】
基材 (層キャリヤ)の適用量(層厚さ)およびその性質は、所望の応用分野に依存する。層厚さ範囲は、約 0.1 μm〜50 μmより厚い値を包含するのが普通である。
【0076】
フレキシブル印刷回路板(基材) は、ポリエチレンテレフタラート (PET) またはポリエチレンナフタラートのようなポリエステルをベースにした未塗布であるかまたは銅被覆されたプラスチック箔であるのが好ましい。
【0077】
基材, 特に印刷回路を塗被した後に、オーブン中、好ましくは80-90°Cで加熱するすることによって溶媒を除いて不粘着層を発生させて更に加工する。
【0078】
塗被した基材を、次いで、光に暴露する。 「画像化」暴露なる表現は、ここで、所定のパターン, 例えば写真透明性を含むフォトマスクを通しての暴露, 例として、塗被した基材の表面を通して移動し、こうして像を製作するようにコンピュータ制御されるレーザービームを使用した暴露ばかりでなく, およびまた、コンピュータ制御される電子ビームを使用した照射をも含む。
【0079】
材料を画像化暴露した後および現像する前に, 相対的に短い時間の熱処理を実施するのが有利になり得る。ここで, 光に暴露された部分だけが熱硬化される。用いる温度は、50〜150°Cであるのが好ましく, 80〜130°Cであるのが特に好ましく; 熱処理時間は、0.25〜100 分であるのが普通である。
【0080】
光に暴露しおよび, 適する場合に, 熱処理した後に、それ自体知られている様式で, 現像剤を使用して、保護コーティング の未暴露部位を除く。
【0081】
本発明の難燃性樹脂配合物は、水性アルカリを使用して現像することができる。 適したアルカリ現像剤水溶液は、特に、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドまたはアルカリ金属ケイ酸塩, アルカリ金属リン酸塩, アルカリ金属水酸化物, およびアルカリ金属炭酸塩の水溶液である。相対的に少ない量の湿潤剤および/または有機溶媒もまた、これらの溶液に加えていてもよい。少量を現像剤液に加えることができる代表的な有機溶媒の例は、シクロヘキサノン, 2-エトキシエタノール, トルエン, アセトン, およびまた、これらの溶媒の混合物である。
【0082】
次いで、 立ち代わって、保護コーティングを相対的に高い温度で硬化させることができる。温度 > 150°C が好適である。
【0083】
こうして得られた印刷またはフレキシブル回路は、本発明の難燃性樹脂配合物を含み, その上にかけられた要件を満たす保護層を有する。電気的性質の障害は無かった, そしてはんだ槽における安定性の相当の改良があり, 事実、こうして複数のはんだ槽サイクルを可能にした。
【0084】
下記の例における生成物の物理的性質は、下記の通りにして求めた。得られた結果を表 Iに掲記する。
可燃性
試験片を作製するために、初めに、厚さ25 μm の200 mm x 50 mm ポリイミドフィルム(CAPTON(登録商標) 100 H, Toray-DuPont Co. Ltd.) の一方の側面上にスクリーン印刷するすることによって、ソルダーレジストを適用した。 70°Cで乾燥した後に、ポリイミドフィルムの反対の側面にソルダーレジストを同じようにして適用した。次いで、マスクした後に、慣用の方法を用いて試験片を光に暴露し, この後に、現像しそして熱硬化した。
【0085】
試験する前に, 試験片を23°Cおよび相対湿度50%で48時間状態調節した。燃焼試験を、Underwriters Laboratories Inc., U.S.A. (UL)のUL 94-VTMに従って実施した。
【0086】
粘着性
ソルダーレジストを基材に適用しそしてその後70°Cで乾燥した後に、試験片を冷却して室温にしそしてコーティング表面の粘着性を、指接触を用いた下記の尺度で評価した:
A: 不粘着性
B: わずかに粘着性
C: 粘着性
【0087】
グレー レベル/感光性
グレーレベル測定のために, フィルムストリップであって、それの透明性が複数の段 (21-段シュタウファー(Stouffer) ウェッジ) で継続的に低下したものを、ソルダーレジスト上に置いた。現像プロセスの後に、洗い流しの影響を受けやすい最も遠い段を見出した。グレーレベルが高い程、感光性が高くなる。
【0088】
フレキシビリティー
難燃性ソルダーレジストを塗被したポリイミドフィルムを、圧力0.5 MPaで1 秒間180°に折り曲げた。ここで、ソルダーレジストの配向性を出力した。次いで、試験片を光学顕微鏡下でソルダーレジストの亀裂について研究した:
A: 硬化されたソルダーレジスト中に亀裂無し
C: ソルダーレジスト中に亀裂
【0089】
はんだ浴内での安定性
はんだ付けプロセスをシミュレートするために、ソルダーレジストを銅被覆されたポリイミドフィルムに適用した後に、融剤 (H-10F) を塗被した。次いで、試験片を、260°Cのはんだ槽内に5 秒間浮くように入れた。サイクルを繰り返しそして各々の繰り返しの前に、ソルダーレジストの目視変化, 例えばふくれの検査を行った。変化の無いサイクルの最大数を書き留めた。
【0090】
PCT (Pressure Cooker Test)
高圧力釜試験(High-Pressure Cooker Test) は、一般に、ソルダーレジストと基材との間の結合を試験することができる。このために, IPC-TM-650 2.6.16に従って、難燃性ソルダーレジストを塗被した銅被覆されたポリイミドフィルムの試験片を、あらかじめ所定の量の水を投入しておいたオートクレーブに入れた。次いで、水を沸点にもたし, こうしてオートクレーブ内に過圧 (0.2 MPa) を発生させた。これらの条件下で96 時間老化させた後に、試験片を取り出しそして室温で10 分間状態調節した。次いで、試験片を、温度が288°Cであるはんだ槽の中に20 秒間浸漬した。次いで、試験片を、層間剥離, 浸出, および変色について目視研究した。
A: 層間剥離, 変色, または浸出が無い
B: 所々に層間剥離, 変色, または浸出
C: ひどい層間剥離, 変色, および浸出
研究のために、光に敏感な樹脂配合物を用いた。
【0091】
コーティングの個々の成分を互いに混合しそして次いで、基材に広げた。乾燥-フィルムソルダーレジストを使用しなかった場合に、初めに、相対的に高い温度で乾燥することによって、溶媒を除いた。次いで、適する場合に、塗被した基材を、画像化マスクを通して光に暴露させそして次いで、アルカリ水溶液で洗浄することにより硬化されていない領域を除くことによって、現像した。次いで、得られた保護層を、カルボン酸とエポキシ成分との間で架橋を開始させることによって、熱硬化させた。
【0092】
本発明を下記の例によって例示する。
【実施例】
【0093】
実施例1
下記の成分を混合することによって、ソルダーレジストを作製した:
EA(登録商標) 6340 (カルボン酸基を有するエポキシアクリラート (ノボラックタイプ), Shin-Nakamara Chemical Co., Ltd) 40重量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート (Aldrich Chemical Co.) 5重量%
Epiclon(登録商標)N-695 (クレゾールノボラック, Dainippon Ink & Chemicals Inc.) 10重量%
IRGACURE(登録商標)907 (光重合用開始剤, Ciba Geigy Corp.) 4重量%
KAYACURE(登録商標)DETX-S (光重合用開始剤, Nippon Kayaku Co., Ltd.) 0.5重量%
Aerosil(登録商標)380 (二酸化ケイ素, Degussa) 5重量%
硫酸バリウム(Sachtleben Bergbau GmbH) 17重量%
アルミニウムジエチルホスフィナート 15重量%
Hostaperm(登録商標)Blue A4R (フタロシアニンブルー, Clariant Produkte Deutschland GmbH) 0.5重量%
SWASOL(登録商標)1500 (芳香族溶媒の混合物, Cosmo Oil Co., Ltd.) 1重量%
MODAFLOW(登録商標)(流動添加剤, MONSANTO COMPANY) 1重量%
Curezol(登録商標)VT (2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジン, Shikoku Chemicals Corp.) 1重量%
【0094】
掲記するそれぞれの構成に相当する混合物を、3ロールミルで繰り返し混合することによって製造した。次いで、スクリーン印刷によって混合物を基材に適用しそして70°Cで30分間乾燥させた。使用した基材は、下記を含むものであった:
a) 片面-銅被覆されたポリイミドフィルム (UPISEL(登録商標)N, Ube Kosan Co., Ltd, 厚さ: 25 μm) または
b) 厚さ25 μmの未塗布のポリイミドフィルム(CAPTONE(登録商標)100 H, Toray-DuPont Co., Ltd).
【0095】
基材に適用した後に、紫外線ランプ (照射エネルギー: 500 mJ/cm2, 発光極大 365 nm)を使用して、マスクを通してソルダーレジストを光に暴露させた。次いで、力価1%の炭酸ナトリウム水溶液を使用して、未暴露領域を除いた。次いで、立ち代わって、ソルダーレジストそれ自体を、150°Cで60分間熱後硬化させた。
【0096】
実施例 2
実施例1から類推して, 下記のソルダーレジストを製造しそして試験した。アルミニウムジエチルホスフィナートを、アルミニウムジエチルホスフィナートおよび水酸化アルミニウムで構成される難燃剤混合物に換えた:
EA(登録商標)6340 30重量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート(Aldrich Chemical Co.) 5重量%
Epiclon(登録商標)N-695 10重量%
IRGACURE(登録商標)907 4重量%
KAYACURE(登録商標)DETX-S 0.5重量%
Aerosil(登録商標)380 5重量%
硫酸バリウム(Sachtleben Bergbau GmbH) 17重量%
アルミニウムジエチルホスフィナート 10重量%
水酸化アルミニウム (HIGILITE(登録商標)H43M, Showa Denko K.K.) 15重量%
Hostaperm(登録商標)Blue A4R 0.5重量%
SWASOL(登録商標)1500 1重量%
MODAFLOW(登録商標) 1重量%
Curezol(登録商標)VT 1重量%
【0097】
実施例 3
実施例1から類推して, 下記のソルダーレジストを製造しそして試験した。アルミニウムジエチルホスフィナートを、アルミニウムジエチルホスフィナートおよびメラミンで構成される難燃剤混合物に換えた:
EA(登録商標)6340 40重量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート(Aldrich Chemical Co.) 5重量%
Epiclon(登録商標)N-695 10重量%
IRGACURE(登録商標)907 4重量%
KAYACURE(登録商標)DETX-S 0.5重量%
Aerosil(登録商標)380 5重量%
硫酸バリウム(Sachtleben Bergbau GmbH) 17重量%
アルミニウムジエチルホスフィナート 10重量%
メラミン (Melamine(登録商標)Grade 003, DSM, NL) 5重量%
Hostaperm(登録商標)Blue A4R 0.5重量%
SWASOL(登録商標)1500 1重量%
MODAFLOW(登録商標) 1重量%
Curezol(登録商標)VT 1重量%
【0098】
実施例 4
実施例1から類推して, 下記のソルダーレジストを製造しそして試験した。アルミニウムジエチルホスフィナートを、アルミニウムジエチルホスフィナートおよびメラミンシアヌラートで構成される難燃剤混合物に換えた:
EA(登録商標)6340 30重量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート(Aldrich Chemical Co.) 5重量%
Epiclon(登録商標)N-695 10重量%
IRGACURE(登録商標)907 4重量%
KAYACURE(登録商標)DETX-S 0.5重量%
Aerosil(登録商標)380 5重量%
硫酸バリウム(Sachtleben Bergbau GmbH) 17重量%
アルミニウムジエチルホスフィナート 10重量%
メラミンシアヌラート (DSM, NL) 10重量%
Hostaperm(登録商標)Blue A4R 0.5重量%
SWASOL(登録商標)1500 1重量%
MODAFLOW(登録商標) 1重量%
Curezol(登録商標)VT 1重量%
【0099】
実施例 5
実施例1から類推して, 下記のソルダーレジストを製造しそして試験した。アルミニウムジエチルホスフィナートを、アルミニウムジエチルホスフィナートおよびメラミンホスファートで構成される難燃剤混合物に換えた:
EA(登録商標) 6340 30重量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート(Aldrich Chemical Co.) 5重量%
Epiclon(登録商標) N-695 10重量%
IRGACURE(登録商標) 907 4重量%
KAYACURE(登録商標) DETX-S 0.5重量%
Aerosil(登録商標) 380 5重量%
硫酸バリウム(Sachtleben Bergbau GmbH) 17重量%
アルミニウムジエチルホスフィナート 10重量%
メラミンホスファート (DSM, NL) 10重量%
Hostaperm(登録商標) Blue A4R 0.5重量%
SWASOL(登録商標) 1500 1重量%
MODAFLOW(登録商標) 1重量%
Curezol(登録商標) VT 1重量%
【0100】
実施例 6
実施例1から類推して, 下記のソルダーレジストを製造しそして試験した。アルミニウムジエチルホスフィナートを、アルミニウムジエチルホスフィナートおよびメラミンおよびホウ酸亜鉛で構成される難燃剤混合物に換えた:
EA(登録商標) 6340 30重量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート(Aldrich Chemical Co.) 5重量%
Epiclon(登録商標) N-695 10重量%
IRGACURE(登録商標) 907 4重量%
KAYACURE(登録商標) DETX-S 0.5重量%
Aerosil(登録商標) 380 5重量%
硫酸バリウム(Sachtleben Bergbau GmbH) 17重量%
アルミニウムジエチルホスフィナート 7重量%
メラミン (DSM, NL) 10重量%
ホウ酸亜鉛 (Firebrake(登録商標) ZB, US Borax & Chemical Corporation, USA) 3重量%
Hostaperm(登録商標) Blue A4R 0.5重量%
SWASOL(登録商標) 1500 1重量%
MODAFLOW(登録商標) 1重量%
Curezol(登録商標) VT 1重量%
【0101】
比較例 1
実施例1から類推して, 下記のソルダーレジストを比較のために、製造しそして試験した。アルミニウムジエチルホスフィナートに代えて、市販されているリン酸エステルを難燃剤として用いた:
EA(登録商標) 6340 40重量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート(Aldrich Chemical Co.) 5重量%
Epiclon(登録商標) N-695 10重量%
IRGACURE(登録商標) 907 4重量%
KAYACURE(登録商標) DETX-S 0.5重量%
Aerosil(登録商標) 380 5重量%
硫酸バリウム(Sachtleben Bergbau GmbH) 17重量%
PX(登録商標) 200 (芳香族 リン酸エステル, Daihachi Chemical Industry Co., Ltd) 15重量%
Hostaperm(登録商標) Blue A4R 0.5重量%
SWASOL(登録商標) 1500 1重量%
MODAFLOW(登録商標) 1重量%
Curezol(登録商標) VT 1重量%
【0102】
比較例 2
実施例1から類推して, 下記のソルダーレジストを比較のために、製造しそして試験した。アルミニウムジエチルホスフィナートに代えて、市販されている臭素化エポキシ樹脂を難燃剤として用いた:
EA(登録商標) 6340 40重量%
ジペンタエリスリトールヘキサアクリラート(Aldrich Chemical Co.) 5重量%
Epiclon(登録商標) N-695 10重量%
IRGACURE(登録商標) 907 4重量%
KAYACURE(登録商標) DETX-S 0.5重量%
Aerosil(登録商標) 380 5重量%
硫酸バリウム(Sachtleben Bergbau GmbH) 17重量%
EPIKOTE(登録商標) 5051 (臭素化エポキシ樹脂, Japan Epoxy Resins Co., Ltd) 20重量%
Hostaperm(登録商標) Blue A4R 0.5重量%
SWASOL(登録商標) 1500 1重量%
MODAFLOW(登録商標) 1重量%
Curezol(登録商標) VT 1重量%
【0103】
本発明の樹脂配合物を使用して作製したソルダーレジストは、優れたフレキシビリティー, および良好な付着力および絶縁性, およびまた、極めて良好な難燃性, およびはんだ浴中での優れた安定性, 湿気に対しての安定性, および温度に対しての安定性を有する(表 1)。本発明の難燃性樹脂配合物は、硬質およびフレキシブルの両方の印刷回路板用保護コーティングとして用いることができる。
【0104】
特に, 本発明の樹脂配合物を使用して作製しおよび従って、アルミニウムジエチルホスフィナートで修飾された、硬質およびフレキシブル印刷回路板用ソルダーレジストは、照射することによって架橋させることができる。本発明の樹脂配合物を使用して作製した難燃性ソルダーレジストは、はんだ浴中での極めて良好な安定性を示し, その間、浸出, 変色, または層間剥離は、観察され無かった。本発明の樹脂配合物を使用して作製した難燃性ソルダーレジストの架橋度, および付着力は、印刷回路板産業において慣用のすべての基材に関して, 特に、銅, 鉛/スズ, およびまた、エポキシ樹脂およびポリイミドに関して極めて良好である。
【0105】
本発明の樹脂配合物を使用して作製しおよび従って、アルミニウムジエチルホスフィナートで修飾されたソルダーレジストは、暴露した後に、アルカリ水溶液を使用して、容易にそして特に環境上適合した様式で現像することができる。硬化されたソルダーレジストは、脆性でなく, 代わりに優れたフレキシビリティーを示し, そしてこのことは、フレキシブル印刷回路板において適用するために特に大きな興味がある。
【0106】
本発明の樹脂配合物を使用して作製しおよび従って、アルミニウムジエチルホスフィナートで修飾されたソルダーレジストは、ハロゲンが含まれておらずそして優れた防火性能を示す。加える量が相対的に少ない場合でさえ、UL 94 VTM-0 分類を達成する。
【0107】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の難燃性成分, 少なくとも一種のアルカリ溶解性成分, 少なくとも一種の重合性 モノマー, 少なくとも一種の光開始剤, および少なくとも一種のエポキシ成分をそれぞれ含む難燃性樹脂配合物であって, 式 (I)のホスフィン酸塩を難燃性成分として含む難燃性樹脂配合物を提供する:
【化1】


式中
R1 および R2は、同一であるかまたは異なりそして, 互いに独立に, 直鎖もしくは枝分かれしたC1-C6-アルキル, および/またはアリールであり;
Mは、Mg, Ca, Al, Sb, Sn, Ge, Ti, Zn, Fe, Zr, Ce, Bi, Sr, Mn, Li, Na, K, および/またはプロトン化窒素塩基であり, そしてmは、1〜4である。
【請求項2】
R1 および R2が、同一であるかまたは異なり, メチル, エチル, n-プロピル, イソプロピル, n-ブチル, tert-ブチル, n-ペンチル, および/またはフェニルである、請求項1記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項3】
式 (I)のホスフィン酸塩がジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩である、請求項1または2記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項4】
ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩の中央粒径 (d50) が0.1〜100 μmであり, 1〜20 μmであるのが好ましい、請求項1〜3のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項5】
アルカリ溶解性成分が修飾されたエポキシアクリラートである、請求項1〜4のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項6】
重合性モノマーが多価アルコールの多官能性アクリラートである、請求項1〜5のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項7】
多価アルコールが、ペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールである、請求項6記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項8】
光開始剤が、アルファ-アミノアセトフェノンである、請求項1〜7のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項9】
化合物が、(4-メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタンである、請求項8記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項10】
エポキシ化合物が、エポキシ化ノボラックである、請求項1〜9のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項11】
少なくとも
難燃性成分0.1〜50重量%、
アルカリ溶解性成分0.1〜65重量%,
重合性モノマー0.1〜65重量%,
光開始剤0.1〜15重量%, および
エポキシ成分0.1〜25重量%
を含む、請求項1〜10のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項12】
少なくとも
難燃性成分5〜20重量%、
アルカリ溶解性成分30〜40重量%,
重合性 モノマー5〜10重量%,
光開始剤4〜5重量%, および
エポキシ成分5〜10重量%
を含む、請求項1〜11のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項13】
さらに、少なくとも一種の相乗難燃性成分0.1〜30重量%,好ましくは1 〜20重量%を含み, そのような相乗難燃性成分は、メラミン, シアヌル酸のメラミン誘導体, イソシアヌル酸のメラミン誘導体, メラミン塩, 例えば、メラミンホスファート, メラミンポリホスファート, もしくはメラミンジホスファート, ジシアンジアミド, またはグアニジン化合物, 例えば、グアニジンカーボナート、グアニジンホスファート、グアニジンサルファート, および/またはエチレン尿素とホルムアルデヒドとの縮合物, またはポリリン酸アンモニウム; ケイ素の酸素化合物であり, これらは、オルトサリチル酸およびその縮合物であり, またはシリケート, ゼオライト, および シリカ; または水酸化アルミニウムである、請求項1〜12のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物の、エレクトロニクスおよび電気工学用コーティングにおける、またはコーティングを製造するための使用。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一に記載の難燃性樹脂配合物の、ソルダーレジストとしての使用。
【請求項16】
スピンコーティング, 浸漬コーティング, ドクターコーティング, カーテンコーティング, はけ塗り, 吹き付け, またはリバースロールコーティングを使用してソルダーレジストの薄層を基材に適用し, そして次いで、層を乾燥しそして層に光を暴露し, アルカリ性溶液で層を現像し, そして次いで、層を熱後硬化させることを含む、請求項15記載の難燃性ソルダーレジストの製造方法。
【請求項17】
基材が、硬質またはフレキシブル印刷回路板である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
フレキシブル印刷回路板が、ポリエステル, ポリイミド, アラミド繊維で強化されたエポキシ樹脂, または液晶高分子(LCP) をベースにした未塗被のまたは銅被覆されたプラスチックポリマーである、請求項16または17記載の方法。
【請求項19】
ソルダーレジストの層厚さが0.1〜50 μmである、請求項16〜18のいずれか一に記載の方法。

【公開番号】特開2008−260910(P2008−260910A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−3781(P2008−3781)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(398025878)クラリアント・インターナシヨナル・リミテッド (74)
【Fターム(参考)】