説明

難燃性燃料の燃焼方法および装置

【課題】着火し易くかつ発熱率の高い燃料である補助燃料を燃焼炉に先行して供給して着火により火種を形成し、燃焼炉の炉盤付近の温度を難燃性の固形燃料である主燃料の燃焼可能温度に上昇させたうえ、主燃料を供給し続けて火種を保持しつつ燃焼を持続させることにより、難燃性の固形燃料であっても着火が容易でしかも安定した連続燃焼を保持できる難燃性燃料の燃焼方法および装置を提供する。
【解決手段】燃料を供給して燃焼させる炉盤6を有する燃焼炉1と、難燃性の固形燃料である主燃料と、着火し易くかつ発熱率の高い補助燃料とをそれぞれ燃焼炉に供給する供給装置とで構成される。供給装置は、補助燃料を燃焼炉に先行して供給しかつ着火して火種を形成した後に記主燃料を供給し続ける機能を備えて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性の固形燃料である主燃料を燃焼炉に供給して燃焼させる難燃性燃料の燃焼方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木質ペレット燃料を燃焼させる燃焼装置の点火方法であって、点火時に燃焼部を予熱した後に点火する方法は特開2004−191016号公報に、また、固形燃料の水分含有率が高くても燃焼が円滑に行なわれるようにして装置の性能の向上を図るものは特開2006−207865号公報にそれぞれ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−191016号公報
【特許文献2】特開2006−207865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
難燃性の固形燃料である例えば牛糞ペレットは、その含水率もまちまちであるうえ燃焼による発熱量も低いので、オイルバーナやガスバーナ等の着火手段を用いても安定した火種の形成が難しく、牛糞ペレット等はそれに他の燃料をかなりの比率で混ぜければ連続燃焼を維持することが困難であった。
しかし、牛糞ペレット等を燃料として活用することは、畜産廃棄物の処理や有効利用の面からも強く要請されるところである。
【0005】
そこで本発明は、着火し易くかつ発熱率の高い燃料である補助燃料を燃焼炉に先行して供給して着火により火種を形成し、燃焼炉の炉盤付近の温度を難燃性の固形燃料である主燃料の燃焼可能温度に上昇させたうえ、主燃料を供給し続けて火種を保持しつつ燃焼を持続させることにより、牛糞ペレットのように難燃性の固形燃料であっても着火が容易でしかも安定した連続燃焼を保持できる難燃性焼燃料の燃焼方法、およびそのための装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明の難燃性焼燃料の燃焼方法は、
難燃性の固形燃料である主燃料を燃焼炉に供給して燃焼させる方法であって、
着火し易くかつ発熱率の高い燃料である補助燃料を燃焼炉に先行して供給し、
前記先行して燃焼炉に供給された補助燃料に着火して火種を形成し、
燃焼炉の炉盤付近の温度を前記火種により前記主燃料の燃焼可能温度に上昇させ、
次いで前記主燃料を供給し続けて火種を保持しつつ燃焼を持続させる
ことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の難燃性燃料の燃焼装置は、
難燃性の固形燃料である主燃料を燃焼炉に供給して燃焼させる装置であって、
燃料を供給して燃焼させる炉盤を有する燃焼炉と、
難燃性の固形燃料である主燃料と、着火し易くかつ発熱率の高い補助燃料とをそれぞれ燃焼炉に供給する供給装置とで構成され、
前記供給装置は、補助燃料を燃焼炉に先行して供給しかつ着火して火種を形成した後に記主燃料を供給し続ける機能を備えて成る
ことを特徴とするものである。
【0008】
そして、本発明の難燃性燃料の燃焼方法においては、難燃性の固形燃料が牛糞ペレットであり、着火し易くかつ発熱率の高い燃料は木質ペレットである場合に特に効果を発揮し、燃焼炉の炉盤面上にはその中央部から火種を周辺部に移行させる撹拌装置を設けて、炉盤上の火種と離隔して主燃料を供給することが好適である。
【0009】
また、本発明の難燃性燃料の燃焼装置においては、燃焼炉の炉盤面上にはその中央部から火種を周辺部に移行させる撹拌装置を設けてあることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着火し易くかつ発熱率の高い燃料である補助燃料を燃焼炉に先行して供給して着火により火種を形成し、燃焼炉の炉盤付近の温度を難燃性の固形燃料である主燃料の燃焼可能温度に上昇させたうえ、主燃料を供給し続けて火種を保持しつつ燃焼を持続させることにより、牛糞ペレットのように難燃性の固形燃料であっても着火が容易でしかも安定した連続燃焼を保持できる効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る難燃性燃料の燃焼装置の燃焼炉を破断して示す斜視図である。
【図2】同上全体斜視図である。
【図3】同上要部の断面図である。
【図4】燃焼炉に補助燃料を供給状態を示す断面図である。
【図5】補助燃料に着火して火種を形成した状態を示す断面図である。
【図6】燃焼炉に主燃料を供給してその連続燃焼を保持している状態を示す断面図である。
【図7】燃焼炉における持続燃焼状態を示す参考写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面において、1は燃焼炉、2は主燃料供給装置、3は補助燃料供給装置、4は温水ヒータであって、温水ヒータ4は燃焼炉1における燃焼熱を熱源として温水を生じさせるものである。
燃焼炉1の燃焼部は円筒状の外殻筒5の底部に円盤状の炉盤6を設けて成り、外殻筒5には多数の空気供給孔7が設けられている。また炉盤6にはその周辺部8に多数の空気噴出孔9が設けられており、上記空気噴出孔9を設けた周辺部8は無孔状の中央部10を囲む円環状部を形成している。
炉盤6の盤面上には撹拌装置11が設けられており、撹拌装置11は中央部10の軸心部を中心に一方向または往復方向に回転する放射状に延びる多数の撹拌棒12を有している。中心部は円錐状のカバー13で覆ってある。14は駆動装置である。炉盤6の下方は燃焼空気供給室15である。16は着火用オイルバーナである。
主燃料供給装置2は、難燃性固形燃料である主燃料のタンク17と、タンク17内の主燃料を燃焼炉1に供給するためのコンベア18および供給樋19から成り、補助燃料供給装置3は、着火し易くかつ発熱率の高い燃料である補助燃料のタンク20と、タンク20内の補助燃料を燃焼炉1に供給するためのコンベア21から成り、コンベア21は前記供給樋19に接続されている。
なお、具体例として難燃性固形燃料である主燃料は牛糞ペレット、着火し易くかつ発熱率の高い燃料である補助燃料は木質ペレットである。
【0013】
本発明の難燃性燃料の燃焼装置の始動にあたっては、補助燃料供給装置3から着火し易くかつ発熱率の高い燃料である補助燃料aを燃焼炉1に供給して着火用オイルバーナ16により補助燃料aに着火し、燃焼を始めた補助燃料aを撹拌装置11により炉盤6の周辺部8に徐々に移行させて周辺部8に火種を形成する。
このように火種が形成され続けると燃焼炉1の炉盤6付近は難燃性固形燃料である主燃料bの燃焼可能温度に上昇するので、その状態で主燃料供給装置2のコンベア18を駆動して供給樋19から燃焼炉1内の炉盤6の中央部に主燃料bの供給を開始すれば、供給された主燃料bは周辺部8の火種により水分を蒸発させながら燃焼しやすい状態となって周辺部8に徐々に移行して火種により着火される。このため主燃料bを供給し続けて火種を保持しつつ燃焼を持続させることができる。そして、燃焼炉1内においては補助燃料aによる火種に供給される主燃料bが直ちに接触しない状態を保つので、主燃料bの供給により火種が不安定になることがなく、短時間で主燃料bによる安定した燃焼状態に移行する。主燃料bの燃焼が安定状態となったならば、補助燃料aの供給を止めて主燃料bのみの燃焼状態を維持させる(図7の参考写真参照)。
なお、補助燃料aの着火と撹拌装置11による撹拌で燃焼炉1内に火種を形成する所要時間は5〜10分間程度の短時間であり、この短時間で燃焼炉1内の炉盤6付近は主燃料の燃焼可能温度に上昇する。補助燃料aの燃焼状態から主燃料bの燃焼状態への移行期には所要時間を限って両者の混合燃焼状態とすることもできる(図6参照)
【符号の説明】
【0014】
1 燃焼炉
2 主燃料供給装置
3 補助燃料供給装置
4 温水ヒータ
5 外殻筒
6 炉盤
7 空気供給孔
8 周辺部
9 空気噴出孔
10 中央部
11 撹拌装置
12 撹拌棒
13 カバー
14 駆動装置
15 燃焼空気供給室
16 着火用オイルバーナ
17 主燃料のタンク
18 コンベア
19 供給樋
20 補助燃料のタンク
21 コンベア
a 補助燃料
b 主燃料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性の固形燃料である主燃料を燃焼炉に供給して燃焼させる方法であって、
着火し易くかつ発熱率の高い燃料である補助燃料を燃焼炉に先行して供給し、
前記先行して燃焼炉に供給された補助燃料に着火して火種を形成し、
燃焼炉の炉盤付近の温度を前記火種により前記主燃料の燃焼可能温度に上昇させ、
次いで前記主燃料を供給し続けて火種を保持しつつ燃焼を持続させる
ことを特徴とする難燃性燃料の燃焼方法。
【請求項2】
難燃性の固形燃料は牛糞ペレットであり、着火し易くかつ発熱率の高い燃料は木質ペレットであることを特徴とする請求項1記載の難燃性燃料の燃焼方法。
【請求項3】
燃焼炉の炉盤面上にはその中央部から火種を周辺部に移行させる撹拌装置を設けて、炉盤上の火種と離隔して主燃料を供給することを特徴とする請求項1または2記載の難燃性燃料の燃焼方法。
【請求項4】
難燃性の固形燃料である主燃料を燃焼炉に供給して燃焼させる装置であって、
燃料を供給して燃焼させる炉盤を有する燃焼炉と、
難燃性の固形燃料である主燃料と、着火し易くかつ発熱率の高い補助燃料とをそれぞれ燃焼炉に供給する供給装置とで構成され、
前記供給装置は、補助燃料を燃焼炉に先行して供給しかつ着火して火種を形成した後に記主燃料を供給し続ける機能を備えて成る
ことを特徴とする難燃性燃料の燃焼装置。
【請求項5】
燃焼炉の炉盤面上にはその中央部から火種を周辺部に移行させる撹拌装置を設けてあることを特徴とする請求項4記載の難燃性燃料の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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