説明

難燃性着色樹脂組成物の製造方法

【課題】 ポリテトラフルオロエチレンを含有し、滴下防止性に優れた難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の着色された材料において、難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の特性を維持しながら、異物の発生のない成形品外観に優れた着色材料を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を溶融混練することからなる樹脂組成物の製造方法であって、成分(A)+成分(B)の合計量100重量部に対して、成分(C)を0.2〜10質量部添加することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
成分(A):ポリフェニレンエーテル(a−1)+スチレン系樹脂(a−2)
成分(B):リン系難燃剤、
成分(C):予めポリテトラフルオロエチレン(c−1)とスチレン系樹脂(c−2)とを溶融混練りして得られた、ポリテトラフルオロエチレン(c−1)0.5〜10質量%を含有する予備混練物
成分(D):着色剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂からなる滴下防止性に優れる樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ポリフェニレンエーテル、スチレン系樹脂、難燃剤およびポリテトラフルオロエチレンを主成分とする着色された樹脂組成物の製造方法であって、異物発生のない成形品の外観に優れた材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリフェニレンエーテル系樹脂は、機械的特性、電気的特性、耐酸、耐アルカリ性、耐熱性等に優れ、しかも吸水性が低く寸法安定性が良いなどの性質を備えており、電気製品、テレビハウジング、コンピューターやワープロなどのOA機器のハウジング、シャーシ材料などとして幅広く利用されているが、安全上の問題からこれらの材料には高い難燃性が要求されることが多い。
【0003】
ポリフェニレンエーテル系樹脂の難燃性を改良する目的で、トリフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル化合物を難燃剤として配合することが従来知られている。さらには前記のリン酸エステル化合物配合時の欠点である耐熱性の低下、成形加工時のリン酸エステル化合物の揮発、ブリード等を改良する目的で、分子量の大きい縮合型のリン酸エステル化合物であるレゾルシノール・ビスフェニルホスフェート化合物、ビスフェノールA−ポリフェニルホスフェート化合物等が使われてきている。
【0004】
さらに、近年火災に対する安全性の要求がとみにクローズアップされ、家電製品、OA機器等に対する米国UL(アンダーライターズ・ラボラトリー)垂直法燃焼試験の規制が年とともに厳しくなってきた。また、軽量化、経済性向上のため、製品、部品の肉厚が薄くなってきたことで燃焼時に火種が滴下し、このため他の製品や部品を損傷するといったことが生じるようになり、この火種の落下を防止する技術、いわゆる滴下防止技術の開発が強く望まれている。滴下防止技術として、難燃剤を増量する方法が知られているが、元来高価な難燃剤を大量に使用するのは経済的でなく、また、有毒ガスの発生や機械的性質の低下を助長するために好ましくない。
【0005】
ポリフェニレンエーテル系樹脂の滴下防止の従来技術として、ポリフェニレンエーテルとビニル芳香族樹脂と難燃剤とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を配合する技術が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
また、PTFEの取り扱い性を改良した技術が開示されている(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9)。
【0006】
しかしながら、いずれの従来技術においても難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂にPTFEと着色剤と添加して溶融混練することにより着色材料を得る場合において、材料そのものの色調と異なる色目の微細な異物が発生し、品格に劣る材料となることが多々指摘された。特に、コンピューターやワープロなどのOA機器のハウジング、テレビハウジング等の外観が重視される用途においては、異物が発生し外観が劣る場合には商品価値が低下し大きな問題となる。また、樹脂特性面では、PTFEまたはPTFE改質剤の種類、混練方法により異物の発生だけでなく、滴下防止性が十分に発揮されなかったり、機械特性に影響が出ることが指摘されていた。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4355126号明細書
【特許文献2】米国特許第4716196号明細書
【特許文献3】特開平11−199680号公報
【特許文献4】特開平11−209601号公報
【特許文献5】特開平09−95583号公報
【特許文献6】特開平11−29679号公報
【特許文献7】特開2000−234026号公報
【特許文献8】特開2001−2947号公報
【特許文献9】特開2001−328116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、このような現状に鑑み、滴下防止性に優れた難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の着色された材料において、従来の難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の特性を維持しながら、異物の発生のない成形品外観に優れた着色材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の研究を重ねた結果、ポリフェニレンエーテル、スチレン系樹脂、リン系難燃剤およびPTFEを含有する着色された樹脂組成物において、予めスチレン系樹脂と特定量のポリテトラフルオロエチレンとを溶融混練りして得られた予備混練物を含有する樹脂組成物の製造方法が、上記課題を解決し更に難燃性と機械特性が向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下に記載するとおりの、樹脂組成物の製造方法である。
[1]下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を溶融混練することからなる樹脂組成物の製造方法であって、成分(A)+成分(B)の合計量100重量部に対して、成分(C)を0.2〜10質量部添加することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
成分(A):ポリフェニレンエーテル(a−1)+スチレン系樹脂(a−2)
成分(B):リン系難燃剤、
成分(C):予めポリテトラフルオロエチレン(c−1)とスチレン系樹脂(c−2)とを溶融混練りして得られた、ポリテトラフルオロエチレン(c−1)0.5〜10質量%を含有する予備混練物
成分(D):着色剤
[2](C)が、ポリテトラフルオロエチレン(c−1)を10〜90質量%含有する改質PTFEを用い、ポリテトラフルオロエチレン0.5〜10質量%を含有するように予め溶融混練りされた予備混練物であることを特徴とする[1]の樹脂組成物の製造方法。
[3]成分(C)のスチレン系樹脂(c−2)が、ポリスチレンおよびまたはゴム変性ポリスチレンであることを特徴とする[2]または[3]に記載の樹脂組成物の製造方法。
[4]成分(C)のスチレン系樹脂(c−2)が、5g/10分以上のメルトフローレートを有するポリスチレンおよびまたはゴム変性ポリスチレンであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの樹脂組成物の製造方法。
[5]成分(D)として、カーボンブラックおよびまたは二酸化チタンを成分(A)+(B)の合計量100重量部に対して0.01〜10質量部添加してなることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの樹脂組成物の製造方法。
[6]ポリフェニレンエーテル(a−1)15〜90質量%とスチレン系樹脂(a−2)10〜85質量%からなる成分(A)が60〜98質量部、成分(B)のリン系難燃剤が2〜40質量部であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
[7]成分(B)のリン系難燃剤として、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示される縮合リン酸エステルを含有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、各々置換基であって各々独立に炭素数1から6のアルキル基を表し、R1、R2は各々置換基であってメチル基を表し、R3、R4は各々独立に水素原子またはメチル基を表す。nは1以上の平均値を有し、n1、n2は各々独立に0から2の整数を示し、m1、m2、m3、m4は各々独立に1から3の整数を示す。)
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂からなる着色された樹脂組成物において、滴下防止性に優れ、異物発生のない成形品の外観に優れたポリフェニレンエーテル樹脂材料を提供することを可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
<成分(A):ポリフェニレンエーテル(a−1)+スチレン系樹脂(a−2)>
[ポリフェニレンエーテル(成分(a−1))]
本発明において、成分(a−1)のポリフェニレンエーテルとしては公知のものが使用できる。すなわち、本発明でいうポリフェニレンエーテルとは、下記一般式(3)で示される重合体の総称であって、一般式(3)で示される重合体の1種単独であっても、2種以上が組合わされた共重合体であってもよい。
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、置換炭化水素基、アルコキシ基、シアノ基、フェノキシ基またはニトロ基を表し、nは重合度を表わす整数である。)
【0018】
R1、R2、R3およびR4の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル、エチル、プロピル、アリル、フェニル、ベンジル、メチルベンジル、クロロメチル、ブロモメチル、シアノエチル、シアノ、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ニトロなどの基が挙げられる。
【0019】
本発明において好ましいポリフェニレンエーテルは、上記一般式(3)におけるR1およびR2 がアルキル基、特に炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R3、R4は、水素原子もしくは炭素原子数1〜4のアルキル基であるポリマーである。nは通常50以上が好ましい。
ポリフェニレンエーテルの具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルなどが挙げられる。中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。
【0020】
また、ポリフェニレンエーテルの共重合体としては、上記ポリフェニレンエーテル繰返し単位中にアルキル3置換フェノール、たとえば2,3,6−トリメチルフェノールを一部含有する共重合体を挙げることができる。また、これらのポリフェニレンエーテルに、スチレン系化合物がグラフトした共重合体であってもよい。スチレン系化合物グラフト化ポリフェニレンエーテルとしては、上記ポリフェニレンエーテルにスチレン系化合物として、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンなどをグラフト重合して得られる共重合体が挙げられる。
【0021】
また、ポリフェニレンエーテルは、極性基を有する化合物により変性されていてもかまわない。該化合物としては、酸ハライド、カルボニル基、酸無水物、酸アミド、カルボン酸エステル、酸アジド、スルフォン基、ニトリル基、シアノ基、イソシアン酸エステル、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基を有する化合物などが挙げられる。
本発明のポリフェニレンエーテルの分子量は、数平均分子量1000〜100000が好ましく、特に各種の物性のバランスを考慮すると6000〜60000の範囲のものが更に好ましい。
【0022】
[スチレン系重合体(成分(a−2))]
本発明での成分(a−2)スチレン系重合体は、通常のラジカル重合にて製造されるスチレン系重合体、およびシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体のどちらを用いてもよい。また、ゴム変性スチレン系樹脂も好適に用いられる。
通常のラジカル重合にて製造されるスチレン系重合体としては、スチレン化合物の単独重合物、あるいはポリフェニレンエーテルと相溶する範囲内でスチレン化合物と共重合可能な単量体との共重合物が挙げられる。上記スチレン化合物の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、ジクロルスチレン、ジブロモスチレン、トリクロルスチレン、トリブロモスチレンなどのハロゲン化スチレンなどが挙げられるが、これらの中ではスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、スチレン化合物と共重合可能な単量体の例としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリルなどのシアン化ビニルや、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などが挙げられるが、これらの中では、アクリロニトリルが好ましい。
【0023】
また、本発明においては、より優れた耐薬品性を発現させる場合においては、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を使用してもよい。上記シンジオタクチック構造とは、炭素−炭素結合から形成される主鎖に対してフェニル基あるいは置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、たとえば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができる。
【0024】
本発明において、シンジオタクチックポリスチレンとは、通常はダイアッド率75%以上、好ましくは85%以上、またはラセミペンタッド率30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するスチレン系重合体である。該スチレン系重合体は、ポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)およびこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体を包含する。なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)などが挙げられる。また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)などが挙げられる。これらの中、特に好ましいスチレン系重合体として、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)、さらにはスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体を挙げることができる。
【0025】
このようなシンジオタクチックポリスチレンは、たとえば不活性炭化水素溶媒中または溶媒の不存在下に、チタン化合物、および水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を重合することにより製造することができ(たとえば特開昭62−104818号公報、特開昭63−268709号公報)、また市販のものを使用することもできる。
【0026】
本発明樹脂組成物において、成分(a−1)ポリフェニレンエーテルと成分(a−2)スチレン系樹脂との併用比率は難燃性、機械特性、耐熱性、成形流動性および加工性により任意に併用可能であるが、一般には、(a−1)ポリフェニレンエーテル/成分(a−2)スチレン系樹脂(質量比)は、100/0〜15/85の範囲が好ましく、好ましくは95/5〜20/80、より好ましくは90/10〜20/80、更に好ましくは80/20〜30/70の範囲である。(a)ポリフェニレンエーテルの割合は、成分(a−1)+成分(a−2)=100質量部に対して、耐熱性と難燃性の観点から15質量部以上が好ましく、成形流動性と加工性の観点からは95重量部以下が好ましい。
スチレン系樹脂としてホモポリスチレンを併用した場合は、成形流動性および加工性に優れる。スチレン系樹脂としてゴム変性スチレン系樹脂を併用した場合は、機械特性特に耐衝撃性に優れる。
【0027】
<成分(B):リン系難燃剤>
本発明での成分(B)リン系難燃剤としては、赤リン、有機リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスホルアミド化合物等が挙げられる。
有機リン酸エステル化合物の具体例としては、トリフェニルフォスフェート、フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニル−ビス(3,5,5′−トリ−メチル−ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2−エチル−ヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ−(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)p−トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5′−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)、ジフェニル−(3−ヒドロキシフェニル)ホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、2−ナフチルジフェニルフォスフェート、1−ナフチルジフェニルフォスフェート、ジ(2−ナフチル)フェニルフォスフェート等が挙げられる。
この中で、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示される芳香族系縮合リン酸エステル化合物が好ましい。
【0028】
【化4】

【0029】
【化5】

【0030】
(式(1)及び(2)中、Q1、Q2、Q3、Q4は、各々置換基であって各々独立に炭素数1から6のアルキル基を表し、R1、R2は各々置換基であってメチル基を表し、R3、R4は各々独立に水素原子またはメチル基を表す。nは1以上の平均値を有し、n1、n2は各々独立に0から2の整数を示し、m1、m2、m3、m4は各々独立に1から3の整数を示す。)
【0031】
これらの芳香族系縮合リン酸エステル化合物は、一般にn=1〜3が90%以上の混合物であり、n=4以上の多量体やその他の副生成物からなる混合物として入手できる。例えば、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル化合物(大八化学(株)製、CR741)やビスフェノールA−ビス(ジキシレニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル化合物などのビスフェノールA類の芳香族系縮合リン酸エステル、レゾルシン−ビス(ジキシレニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル化合物(大八化学(株)製、PX200)やレゾルシン−ビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル化合物(大八化学(株)製、CR−733S)などのレゾルシン類の芳香族系縮合リン酸エステルが挙げられる。レゾルシン類およびビスフェノールA類の芳香族系リン酸エステル化合物は、揮発性、耐熱性面において好ましく、更に酸価が0.5以下、好ましくは0.1以下のレゾルシン類およびビスフェノールA類の芳香族縮合リン酸エステル化合物が耐水性および電気特性面からより好ましく、特にビスフェノールA類の芳香族縮合リン酸エステル化合物が好ましい。
【0032】
ホスファゼン化合物は、下記一般式(4)で示される環状および直鎖状の構造を有するものであるが、環状構造化合物が好ましく、n=3および4の6員環および8員環のフェノキシホスファゼン化合物が特に好ましい。
【0033】
【化6】

【0034】
(ここで、Rはそれぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族基または芳香族基を表し、nは3以上の整数である。)
さらに、これらの化合物は、フェニレン基、ビフェニレン基および下記一般式(5)で示される基からなる群より選ばれる架橋基によって架橋されていても良い。
【0035】
【化7】

【0036】
(式中Xは、−C(CH−、−SO−、−S−または−O−を示す。)
一般式(4)で示されるホスファゼン化合物は、公知の化合物であり、例えばJames E.Mark,Harry R. Allcock,Robert West著、”Ino−rganic Polymers”Pretice−Hall International,Inc.,1992,p61−p140に記載されている。これらホスファゼン化合物を得るための合成例は、特公平3−73590号公報、特開平9−71708号公報、特開平9−183864号公報および特開平11−181429号公報等に開示されている。例えば非架橋環状フェノキシホスファゼン化合物の合成においては、H.R.Allcock著、“Phosphorus−Nitrogen Compounds“,Academic Press,(1972)に記載の方法に準じて、ジクロルホスファゼンオリゴマー(3量体62%、4量体38%の混合物)1.0ユニットモル(115.9g)を含む20%クロルベンゼン溶液580gに、ナトリウムフェノラートのトルエン溶液を撹拌下で添加した後、110℃で4時間反応させ、精製後、非架橋環状フェノキシホスファゼン化合物が得られる。
【0037】
ホスファゼン化合物は、化合物中のリン含有量が通常のリン酸エステル化合物よりも高いため、少量の添加でも十分な難燃性を確保でき、加水分解性や熱分解性にも優れるため、その結果樹脂組成物の物性低下が抑えられるので、本発明でのリン系難燃剤としては特に好ましい化合物である。更に酸価が0.5以下のホスファゼン化合物が難燃性、耐水性および電気特性面からより好ましい。
本発明での成分(B)リン系難燃剤は、(A)、(B)の合計100質量部に対して、2〜40質量部が好ましく、より好ましくは5〜35質量部、更に好ましくは7〜30質量部を配合する。2質量部以上で難燃効果が得られ、40重量部以下において難燃性は十分であり経済的にも好ましい。
【0038】
<成分(C):スチレン系樹脂とポリテトラフルオロエチレンとの予備混練物>
本発明のスチレン系樹脂(c−2)とポリテトラフルオロエチレン((c−1):以下、PTFEと記す)との予備混練物(C)は、スチレン系樹脂(c−2)と溶融混練りして得られたポリテトラフルオロエチレン(c−1)0.5〜10質量%を含有する予備混練物である。予備混練物(C)のPTFEの含有量が0.5質量%以上であれば大量のマスターバッチを配合する必要がなく経済的であり、所望の組成の樹脂組成物が得られ易い。一方、ポリテトラフルオロエチレンの含有量が10質量%以下において、マスターバッチが作成し易く、また組成物において異物が発生し難いため好ましい。
【0039】
本発明組成物は、(A)+(B)の合計100質量部に対して、予備混練物(C)を0.2〜10質量部配合する。予備混練物(C)が0.2質量部以上、且つPTFEが0.01質量部以上においては滴下防止効果が発揮され易く、予備混練物(C)が10質量部以下即ちPTFEが1.0質量部以下において滴下防止効果は十分であり、また経済的である。また、PTFEとして1.0質量部以上配合した場合には、難燃性が逆に劣ることがある。予備混練物(C)の好ましい配合量は、0.5〜5質量部であり、PTFEの配合量としては0.02〜0.5質量部である。
【0040】
本予備混練物(C)は、押出機好ましくは二軸押出し機を用いて、一般的なポリスチレンの加工温度、例えばシリンダー温度160〜280℃、好ましくは180〜250℃程度の設定温度で溶融混練り・押出しを経て、ストランドを裁断して円柱状ペレットのマスターバッチとして調製される。ストランド引取りせずに、ホットカット法やアンダーウォーターカット法により丸粒子状に調製することもできる。
【0041】
ここで用いられるポリテトラフルオロエチレンは、PTFE粉体そのものでも良いが、PTFEを10〜90質量%、好ましくは15〜70質量%含有し、他樹脂により取り扱い性が改善された改質PTFEが好ましい。このような改質PTFEは、例えば特開平09−95583号や特開平11−29679号等に記載されており、商品としてはメタブレン(三菱レイヨン(株))やBLENDEX 449(ケムチュラ社)の商品名で販売されている。
また、予備混練物(C)で用いられるスチレン系樹脂(c−2)は、ポリスチレンおよびまたはゴム変性ポリスチレンが好ましい。メルトフローレートが5g/10分以上、特に10g/10分以上のポリスチレンおよびまたはゴム変性ポリスチレンは、押出機により予備混練物を得るときにサージングが少ないなど押出性に優れ、ストランド引き取り性にも優れる。
【0042】
ポリフェニレンエーテル、スチレン系樹脂およびリン系難燃剤との難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂材料にPTFEと着色剤とを添加して溶融混練することにより着色材料を得る場合において、材料そのものの色調と異なる色目の微細な異物が発生し、品格に劣る製品となることが多々指摘された。この微細な異物は、PTFEと着色剤との凝集に基因すると考えられ、PTFEと着色剤とが凝集しやすいためではないかと考えられる。このような不具合は、上記の改質PTFEによっても解消することはできなかった。
【0043】
予備混練物(C)を用いることにより、着色材料においてもこのような不具合が解消され、外観に優れた異色異物のない成形品を得ることができる。
予備混練物(C)として添加されるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)はポリフェニレンエーテル系樹脂中では分子状に溶融分散することはなく、フィブリル構造に分散した形態をとり、それにより滴下防止効果が発揮されると言われている。ここで、滴下防止とは、樹脂材料が燃焼する際、溶融物が滴下するのを抑制する働きのことであり、UL燃焼試験規格において、滴下物がない材料は難燃性ランクが高く判定される。
滴下防止性に効果があるポリテトラフルオロエチレンは、一般に分子量が10万以上、好ましくは20万〜300万程度のものである。
【0044】
<成分(D):着色剤>
本発明において用いられる成分(D)の着色剤は、一般に熱可塑性樹脂の着色剤として利用されるものであれば有機系、無機系、染料系、顔料系の種類を問わず全て利用可能であるが、特にポリフェニレンエーテル系樹脂材料の加工温度に耐えうる高温加工に優れた着色剤が好ましい。
PTFEと着色剤とを添加して溶融混練することによりポリフェニレンエーテル系樹脂材料組成物を得る場合において、材料そのものの色調と異なる色目の微細な異物の発生は、特に二酸化チタンやカーボンブラックを用いた白色、グレー色、黒色の着色において顕著であり、特に材料全体の色調に比較して白さや黒さが異なる異物が目立ちやすい。樹脂の加工時に溶融しない無機および有機の顔料を着色剤として用いた場合に、異物が目立ちやすい傾向にある。
予備混練物(C)を用いることにより、二酸化チタンやカーボンブラックによる着色材料においてもこのような不具合が解消され、外観に優れた異色異物のない成形品を得ることができる。着色剤は成分(A)+(B)の合計量100重量部に対して0.01〜10質量部添加することが好ましい。
【0045】
本発明の樹脂組成物の製造方法は、予備混練物(C)を用いることが必須であり、公知の溶融混練り方法が利用できる。例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法等を用いることができるが、2軸スクリュー押出機または単軸スクリュー押出機が好適である。その中で、より好ましい製造方法としては、着色剤を添加せずにポリフェニレンエーテル粉体、スチレン系樹脂ペレットおよび難燃剤とを溶融混練して得られる未着色の予備混練物ペレットを予め作成し、次の工程で予備混練物ペレットと追加のスチレン系樹脂、(C)PTFE予備混練物、(D)着色剤、その他の添加剤とを溶融混合して所望の着色された最終の材料を製造する方法が、安定した色調と品質の材料が得られるため好ましい。
【0046】
本発明の樹脂組成物においては、必要に応じて周知の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーをさらにブレンドしてもよい。熱可塑性樹脂としては、スチレン系共重合樹脂、共役ジエン化合物とスチレン化合物とのブロック共重合樹脂及びその水添物、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、共役ジエン化合物とスチレンとのブロック共重合体及びその水添物からなる熱可塑性エラストマー、エチレンとプロピレンおよび又はオクテンとの共重合体からなるオレフィン系エラストマーなどが挙げられる。
【0047】
本発明の樹脂組成物には必要に応じ、各種添加剤を添加することが好ましい。添加剤は、プラスチックおよびゴム状重合体等の配合に一般的に配合されるものであれば特に限定はない。添加剤の例として、「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)などに記載された添加剤が挙げられる。具体例として、ゴム用軟化剤として用いられるナフテン系、パラフィン系、芳香族系のプロセスオイルや脂肪酸エステル類、脂肪族2塩基酸エステル類、フタル酸エステル類、エポキシ化大豆油等の可塑剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;有機ポリシロキサン、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、リン系以外の難燃剤、PTFE以外の難燃助剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;ガラスフレーク、タルク、クレー、マイカ等の無機充填剤などである。これらの添加剤は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0048】
本発明の樹脂組成物は、各種成形体として、電子・電気機器内部部品や外装体、事務機内部部品や外装体、機械部品、住宅や乗り物などの床材、壁材、天井材などの用途に用いることができる。特に、外観が重視される部品や外装体用途に好適である。
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例に使用した成分および成分の調製を以下に示した。
【0050】
(1)成分A:ポリフェニレンエーテルおよびスチレン系樹脂
(a−1):ポリフェニレンエーテル(PPE)
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フエニレンエーテル(旭化成ケミカルズ(株)製、
S201A/202A=1/3(質量比)の混合物)
(a−2):スチレン系樹脂
(HIPS):ハイインパクトポリスチレン(PSジャパン(株)製、ポリスチレン
H9302)。
(GPPS):ホモポリスチレン(PSジャパン(株)製、ポリスチレン685)
(2)成分(B):リン系難燃剤
ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル
化合物(大八化学(株)製、CR741)
【0051】
(3)成分(C):スチレン系樹脂とポリテトラフルオロエチレンとの予備混練物
(C−1):PTFEを50質量%含有したアクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合物で改質された改質PTFE(三菱レイヨン(株)製;商品名メタブレンA3800)とメルトフローレート21g/10分(ISO1123、200℃、5kg)のゴム変性ポリスチレン(PSジャパン(株)製、PSJ−ポリスチレン433)との質量比10/90の予備混練物を以下の方法で作成した。スクリュウ径25mm、L/D=42の同方向回転二軸押出機を用い、バレル設定温度200℃、150rpm、10kg/hrの条件で溶融混練りし、押出されたストランドをストランドカッターで引き取り、水冷冷却して約3mm径、3mm長のほぼ均一なペレットに裁断した。
【0052】
(C−2):PTFEを20質量%含有したアクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合物で改質された改質PTFE(三菱レイヨン(株)製;商品名メタブレンA3000)と、メルトフローレート8g/10分(ISO1123、200℃、5kg)のポリスチレン(PSジャパン(株)製、PSJ−ポリスチレン666)との質量比25/75での予備混練物を(C−1)と同様の操作により溶融・押出・裁断を行い、約3mm径、3mm長のほぼ均一な予備混練物ペレットを得た。
【0053】
(C−3):PTFEを20質量%含有したアクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合物で改質された改質PTFE(三菱レイヨン(株)製;商品名メタブレンA3000)とメルトフローレート2.2g/10分(ISO1123、200℃、5kg)のポリスチレン(PSジャパン(株)製、PSJ−ポリスチレン685)との質量比25/75の予備混練物を(C−1)と同様の操作により溶融・押出しを行ったが、サージングの発生とストランドの引き取り性がよくないため、均一なペレットにすることが難しかった。このため、(C−3)は実施例、比較例では用いなかった。
【0054】
(4)成分(D):着色剤
(D−1)二酸化チタン(ICI社製、RTC−30)
(D−2)カーボンブラック(三菱化学(株)製、三菱カーボン#50)
【0055】
[実施例1]
PPE、HIPS、GPPSおよび難燃剤を表1に示す割合の組成で、70mmφ2軸押出機(Werner & Pfleiderer Corporation製、ZSK70)を用い、シリンダー設定最高温度300℃、回転数300rpm、900kg/hrにて、バレル途中から真空脱気しながら溶融混合・押出して、成分(A)、(B)の溶融混合物ペレットを作成した。この際、難燃剤FR−1は押出機バレル後段から液状でフィードした。また、安定剤として、トリフェニルホスファイト、酸化亜鉛および硫化亜鉛を各0.15質量部添加した。
次に、得られた成分(A)、(B)の溶融混合物ペレット、追加のHIPS(上記HIPS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水添物(旭化成ケミカルズ(株)、タフテックH1272)、成分(C)の予備混練物(C−1)、成分(D)の着色剤としての二酸化チタンおよびカーボンブラック並びに展着剤としてのミネラルオイル0.1質量部を表1の組成に計量し、ドラムブレンダーにて15分混合した。混合したものを押出し機ホッパーに供給し、スクリュー径50mmの単軸押出機を使用し、シリンダー設定最高温度260℃、回転数150rpm、100kg/hrにて押出し、グレーに着色された樹脂組成物ペレットを得た。
得られたペレットを、型締め圧80トンの射出成形機を用いて、加熱シリンダー温度270℃、金型温度70℃で射出成形して試験片を作成し、以下の特性を測定した。結果を表1に示す。
【0056】
(1)異物の判定
上記の成形条件にて、50mm×90mm×2.5mm厚みのプレートを成形し、プレート全体の色調と異なる微細な異色異物の有無を目視判定した。異物がほとんどない場合は○、僅かに確認できる場合(1〜3個程度)は△、それ以上に異物が目立つ場合は×、著しく目立つ場合は××とした。
(2)難燃性
UL−94に準じて、0.8mm厚みの燃焼性試験を行った。
(3)アイゾッド衝撃強度
ASTM−D−256に従い、測定温度23℃、ノッチ付きで試験し、アイゾッド衝撃強度(J/m)を測定した。
(4)引張り伸度
ASTM−D−638に従い、測定温度23℃、試験速度5mm/分で試験し、引張り強度、引張り伸度(%)を測定した。
【0057】
[実施例2、比較例1、2]
実施例2として、実施例1の予備混練物(C−1)に代えて、予備混練物(C−2)をPTFEとしての配合量が同量になるように添加して実施例1と同様の操作により、実施例2の着色された樹脂組成物ペレットを得た。
比較例1として、実施例1の予備混練物(C−1)に代えて、改質PTFE(三菱レイヨン(株)製;商品名メタブレンA3800)をPTFEとしての配合量が同量になるように添加して実施例1と同様の操作により、比較例1の着色された樹脂組成物ペレットを得た。
比較例2として、実施例1の予備混練物(C−1)に代えて、粉体状PTFE(ダイキン工業製、商品名ポリフロンFA500)をPTFEとしての配合量が同量になるように添加して実施例1と同様の操作により、比較例2の着色された樹脂組成物ペレットを得た。
それぞれ得られたペレットを、実施例1と同様に特性を評価し、表1の結果を得た。
【0058】
【表1】

【0059】
[実施例3、4および比較例3、4]
表2の配合組成で、実施例1と同様の操作により組成物を調製した。組成物の評価結果を表2に示す。
【0060】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の樹脂組成物は、難燃性が必要な各種成形体として、電子・電気機器内部部品や外装体、事務機内部部品や外装体、機械部品、住宅や乗り物などの床材、壁材、天井材などの用途に用いることができる。特に、外観が重視される部品や外装体用途に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を溶融混練することからなる樹脂組成物の製造方法であって、成分(A)+成分(B)の合計量100重量部に対して、成分(C)を0.2〜10質量部添加することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
成分(A):ポリフェニレンエーテル(a−1)+スチレン系樹脂(a−2)
成分(B):リン系難燃剤、
成分(C):予めポリテトラフルオロエチレン(c−1)とスチレン系樹脂(c−2)とを溶融混練りして得られた、ポリテトラフルオロエチレン(c−1)0.5〜10質量%を含有する予備混練物
成分(D):着色剤
【請求項2】
成分(C)が、ポリテトラフルオロエチレン(c−1)を10〜90質量%含有する改質PTFEを用い、ポリテトラフルオロエチレン0.5〜10質量%を含有するように予め溶融混練りされた予備混練物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
成分(C)のスチレン系樹脂(c−2)が、ポリスチレンおよびまたはゴム変性ポリスチレンであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
成分(C)のスチレン系樹脂(c−2)が、5g/10分以上のメルトフローレートを有するポリスチレンおよびまたはゴム変性ポリスチレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
成分(D)として、カーボンブラックおよびまたは二酸化チタンを成分(A)+(B)の合計量100重量部に対して0.01〜10質量部添加してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
ポリフェニレンエーテル(a−1)15〜90質量%とスチレン系樹脂(a−2)10〜85質量%からなる成分(A)が60〜98質量部、成分(B)のリン系難燃剤が2〜40質量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
成分(B)のリン系難燃剤として、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示される縮合リン酸エステルを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
【化1】

【化2】

(式(1)、(2)中、Q1、Q2、Q3、Q4は、各々置換基であって各々独立に炭素数1から6のアルキル基を表し、R1、R2は各々置換基であってメチル基を表し、R3、R4は各々独立に水素原子またはメチル基を表す。nは1以上の平均値を有し、n1、n2は各々独立に0から2の整数を示し、m1、m2、m3、m4は各々独立に1から3の整数を示す。)

【公開番号】特開2008−214410(P2008−214410A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50949(P2007−50949)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】