説明

難燃性網状体及び難燃性積層体

【課題】 本発明は、住宅建材用途の他、郵送物の包装などに供される包装資材などの幅広い用途において用いることができる難燃性に優れた難燃性網状体を提供する。
【解決手段】 本発明の難燃性網状体は、一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを原料としてなる網状体中に赤燐系難燃剤を含有させてなることを特徴とするので、ハロゲン系難燃剤を用いた場合と異なり有害なガスを発生させることはなく、難燃性を必要とする幅広い用途に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性網状体及びこの難燃性網状体を用いた難燃性積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、寒冷地の住宅外壁と内装材との間に外部からの雨水が室内側に進入するのを防止しつつ、室内側からの湿気を円滑に室外に排出するために住宅壁用透湿性防水シートが配設されている。
【0003】
このような住宅壁用透湿性防水シートとしては、特許文献1に、透湿性と防水性を有するポリオレフィン系微多孔質シートと、ポリオレフィン系延伸テープヤーンの組布と、ポリオレフィン系繊維不織布とが積層一体化されてなる住宅壁用透湿性防水シートが提案されている。
【0004】
一方、特に都市部などにおいては住宅が密集して建築されており、万一、火災が発生した場合には、隣接する住宅への延焼をできるだけ防止する必要があるものの、上記住宅壁用透湿性防水シートは火災時に容易に燃焼することから、難燃性に優れた住宅建材が所望されていた。
【0005】
【特許文献1】実公平4−37124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、住宅建材用途の他、包装資材などの幅広い用途において用いることができる難燃性に優れた難燃性網状体及びこの難燃性網状体を用いた難燃性積層体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の難燃性網状体は、一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを原料としてなる網状体中に赤燐系難燃剤を含有させてなることを特徴とする。
【0008】
上記一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを原料としてなる網状体としては、一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムにその両面間に亘って貫通する貫通孔を多数、公知の要領にて形成してなる網状体の他に、一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを原料として形成された網状体も含まれる。
【0009】
一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを原料として形成された網状体1としては、例えば、図1又は図2に示したように、フラットヤーン1a、1a・・・を多数本、所定間隔毎に並設してなるフラットヤーン列1Aと、このフラットヤーン列1Aのフラットヤーン1aに斜行又は直交する方向に、多数のフラットヤーン1b、1b・・・を所定間隔毎に並設してなるフラットヤーン列1Bとからなり、これらのフラットヤーン列1A、1Bのフラットヤーン1a、1bの交差部を熱融着や接着剤などの公知の手段でもって一体化することにより多数の通孔1cが設けられてなるものや、このようにして得られた網状体の一面に、図3又は図4に示すように、多数本のフラットヤーン1d、1d・・・を小間隔ごとに並設してなるフラットヤーン列1Dを、網状体を形成している上記2列のフラットヤーン列1A、1Bに斜行する方向に重ね合わせ、フラットヤーン列1A(1B)のフラットヤーン1a(1b)と、フラットヤーン列1Dのフラットヤーン1dとの交差部を接着剤或いは熱融着により一体化させて多数の通孔1cを設けてなるように形成してなる網状体を挙げることができる。
【0010】
上記フラットヤーン1a、1b、1dとしては、未延伸の熱可塑性樹脂フィルムを所定幅毎に切断してなる帯状体をその長さ方向に延伸してなるものや、一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムをその延伸方向に直交する方向に所定幅に切断してなるものなどが挙げられる。
【0011】
又、上記網状体1の他に、図5に示したような網状体2であってもよい。具体的には、この網状体2は、多数の太幅網部2a、2a・・・を所定間隔毎に並設してなる太幅網部列2Aと、互いに隣接する太幅網部2a、2a同士を該太幅網部2a、2aに対して斜行した状態に連結している細幅網部2b、2b・・・を多数、太幅網部2a、2a・・・に交差する方向(太幅網部2aの長さ方向)に所定間隔毎に並設してなる細幅網部列2Bとからなり、太幅網部2aと細幅網部2bとで囲まれた部分によって通孔2Cが形成されてなる網状体を2枚、第一網状体21、第二網状体22とし、これら第一、第二網状体21、22をそれらの太幅網部2a、2a同士が互いに直交又は斜行した状態に積層一体化されてなる。
【0012】
上記網状体2の製造方法としては、図6及び図7に示したように、後述する赤燐系難燃剤を含有する一軸延伸熱可塑性樹脂フィルム4、4を二枚用意し、各一軸延伸熱可塑性樹脂フィルム4に一定長さのスリット4a、4a・・・を多数本、その長さ方向を延伸方向に合致させ且つ延伸方向に隣接するスリット4a、4a同士を互いに一部が重なり合った状態に形成してスリット列4Aを形成し、このスリット列4Aを延伸方向に直交する方向に所定間隔毎に形成する。なお、スリット4a、4a・・・は、一のスリット4aに注目した時、スリット4aの一端側にて重なり合っているスリット4a’と、スリット4aの他端側にて重なり合っているスリット4a”とは、スリット4aを挟んで互いに反対側となるように形成されている。
【0013】
次に、各一軸延伸熱可塑性樹脂フィルム4をその延伸方向に直交する方向(幅方向)に引っ張ってスリット4a、4a・・・をその幅方向に拡張した状態として、スリット列4A、4A間のフィルム部分を太幅網部2aとし、スリット4a、4a間のフィルム部分を細幅網部2bとした第一、第二網状体21、22を形成し、これらの第一、第二網状体21、22の太幅網部2a、2a同士が互いに斜行又は直交した状態に重ね合わせて、第一、第二網状体21、22同士を任意の箇所にて熱融着又は接着剤を介して積層一体化させることによって網状体2を製造することができる。
【0014】
更に、上記網状体3としては、図8に示すように、フラットヤーンを経糸31及び緯糸32として平織りし、経糸31と緯糸32との交差部を接着剤或いは熱融着により一体化させると共に、これらの経糸31と緯糸32とで囲まれた隙間によって多数の通孔33、33・・・を設けてなる網状体や、このようにして得られた網状体の一面に、図9に示すように、網状体の経糸31及び緯糸32と斜行する方向に、多数本のフラットヤーン34a、34a・・を小間隔ごとに並設してなるフラットヤーン列34を重ね合わせ、網状体の経糸31及び緯糸32と、重ね合わせたフラットヤーン列34のフラットヤーン34a、34a・・・との交差部を接着剤或いは熱融着により一体化させて形成した多数の通孔を設けてなる網状体が挙げられる。
【0015】
なお、網状体1、3を構成するフラットヤーンとは、熱可塑性樹脂フィルムを融点以下、好ましくは融点未満の適当な温度に加熱し、縦方向に数倍以上引き伸ばしてテープ状とした一軸延伸テープである。上記フラットヤーンの製造方法としては、例えば、(1)押出機に熱可塑性樹脂及び後述する赤燐系難燃剤を供給し、溶融混練した後、押出機から押出して熱可塑性樹脂フィルムを製膜し、この熱可塑性樹脂フィルムをその幅方向(押出方向に直交する方向)に所定間隔毎に押出方向に切断して帯状体を製造し、この帯状体をその長さ方向に2〜10倍延伸加工してフラットヤーンを製造する方法、(2)押出機に熱可塑性樹脂及び赤燐系難燃剤を供給し、溶融混練した後、押出機から押出して熱可塑性樹脂フィルムを製膜し、この熱可塑性樹脂フィルムを縦方向に2〜10倍延伸加工して一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを製造し、この一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムをその延伸方向がフラットヤーンの長さ方向になるように所定幅に切断してフラットヤーンを製造する方法が挙げられる。
【0016】
又、上記フラットヤーンの製造に用いられる熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリエチレン系樹脂、アイソタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂などが挙げられ、これらの熱可塑性樹脂は単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。なお、上記エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどが挙げられる。
【0017】
更に、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、上記フラットヤーンの製造に用いられる熱可塑性樹脂フィルムに耐候剤などの添加剤を添加してもよい。
【0018】
そして、上記難燃性網状体1〜3中には赤燐系難燃剤が含有されている。この赤燐系難燃剤には、赤燐単独も含まれるが酸化され易く不安定であり取扱性が悪いので、赤燐の表面を合成樹脂で被覆していることが好ましい。このような合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ、エポキシ樹脂が好ましい。
【0019】
又、赤燐系難燃剤のレーザー式粒度測定機による平均粒径は、小さすぎても大きすぎても、一軸延伸熱可塑性樹脂フィルム中における分散性が低下するので、1〜40μmが好ましく、2〜9μmがより好ましい。
【0020】
更に、網状体中における赤燐系難燃剤の含有量は、少ないと、難燃性網状体の難燃性が低下することがある一方、多いと、難燃性網状体の引張強度が低下するので、網状体を構成している熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
【0021】
そして、網状体中には赤燐系難燃剤に加えて難燃助剤を含有させてもよい。このような難燃助剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ピロアンチモン酸ソーダ、二酸化錫などが挙げられ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが好ましい。なお、難燃助剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0022】
又、網状体の機械的強度を更に向上させるべく、図10及び図11に示したように、難燃性網状体1〜3の一面又は両面に難燃性基材5を積層一体化させて難燃性積層体6としてもよい。このような難燃性基材5としては、アルミニウム箔などの金属箔や難燃性熱可塑性樹脂シートなどが挙げられる。難燃性網状体1〜3の両面に難燃性基材5を積層一体化させる場合には、二枚の難燃性基材は同一であっても相違してもよい。なお、図10及び図11では、図1に示した網状体を用いた場合を示したが、これに限定されるものではない。
【0023】
上記難燃性熱可塑性樹脂シートとしては、非発泡シートであっても発泡シートであってもよく、通常の非発泡シートや発泡シート中に、上記赤燐系難燃剤と、必要に応じて上記難燃助剤とを汎用の手段でもって含有させることによって難燃性熱可塑性樹脂シートを製造することができる。
【0024】
そして、非発泡シート又は発泡シート中に含有される赤燐系難燃剤の量は、少ないと、難燃性積層体の難燃性が低下することがある一方、多いと、難燃性積層体の引張強度が低下することがあるので、非発泡シート又は発泡シートを構成している熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
【0025】
又、難燃性網状体1〜3の少なくとも一面に難燃性基材5を積層一体化させるにあたっては、金属箔の場合には接着剤や熱可塑性樹脂が用いられ、難燃性熱可塑性樹脂シートの場合には、難燃性網状体1〜3を構成している熱可塑性樹脂と、難燃性熱可塑性樹脂シート5を構成している熱可塑性樹脂との熱融着力によって行なってもよいが、アルミニウム箔と同様に接着剤や熱可塑性樹脂を用いてもよい。このような接着剤としては、特に限定されず、例えば、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤などが挙げられ、ウレタン系接着剤が好ましい。又、上記熱可塑性樹脂としては、難燃性網状体1〜3と、難燃性熱可塑性樹脂シート5又は金属箔とを一体化させることができれば、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂が挙げられる。
【0026】
更に、上記接着剤又は上記熱可塑性樹脂にも、上記赤燐系難燃剤と、必要に応じて上記難燃助剤とを汎用の手段でもって含有させることによって、難燃性積層体6の難燃性をより向上させることができる。接着剤又は熱可塑性樹脂中に含有される赤燐系難燃剤の量は、少ないと、難燃性積層体の難燃性が低下することがある一方、多いと、接着剤の接着力又は熱可塑性樹脂の熱融着力が低下することがあるので、接着剤又は熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
【0027】
このように、本発明の難燃性網状体1〜3は、網状体中に赤燐系難燃剤を含有させていることから有毒ガスを発生しないにもかかわらず優れた難燃性を発揮し、幅広い難燃用途に用いることができる。
【0028】
特に、難燃性網状体として上述した難燃性網状体1〜3を用いることによって、網状体に優れた引張強度を付与することができ、難燃性に加えて機械的強度の要求される用途にも幅広く用いることができる。
【0029】
そして、難燃性網状体1〜3の少なくとも一面に難燃性基材5を積層一体化させて難燃性積層体6とすることによって、優れた難燃性を維持しつつ、引張強度などの機械的強度をより向上させることができ、更に、断熱性や防水機能などを付与することもでき、断熱材の補強シートなどの建材用途、宅配などの輸送時において郵送物の包装のために用いられる包装袋などの用途に用いることができる。
【0030】
難燃性基材5として透湿性を有する難燃性熱可塑性樹脂シートを用いることによって、難燃性積層体6は、雨水に対する防水性を有し且つ透湿性を有する透湿性防水シートとして使用することができる。
【0031】
又、難燃性基材5としてアルミニウム箔を用いることによって、難燃性積層体6に断熱性を付与することができ、食品保冷用袋などの用途の他、断熱材などの建築用途にも好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の難燃性網状体は、一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを原料としてなる網状体中に赤燐系難燃剤を含有させてなることを特徴とするので、ハロゲン系難燃剤を用いた場合と異なり有害なガスを発生させることはなく、難燃性を必要とする幅広い用途に適用することができる。
【0033】
そして、上記難燃性網状体において、網状体中に水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムを含有させている場合には、難燃性網状体の難燃性をより向上させることができ、難燃性を特に必要とする用途にも好適に用いることができる。
【0034】
更に、上記難燃性網状体において、網状体が、フラットヤーンを多数本、所定間隔毎に並設してなるフラットヤーン列と、このフラットヤーン列のフラットヤーンに交差する方向に多数のフラットヤーンを所定間隔毎に並設してなるフラットヤーン列とからなり、これらのフラットヤーン列のフラットヤーンの交差部を一体化することにより多数の通孔が設けられてなる場合には、フラットヤーンは、それらの長さ方向において高い引張強度を有していると共に、フラットヤーンが互いに交差した状態に一体化されていることから、網状体は、その縦横方向に優れた引張強度を有している。
【0035】
又、上記難燃性網状体において、網状体が、多数の太幅網部を所定間隔毎に並設してなる太幅網部列と、互いに隣接する太幅網部同士を該太幅網部に対して斜行した状態に連結している細幅網部を多数、所定間隔毎に並設してなる細幅網部列とからなり、且つ、太幅網部と細幅網部とで囲まれた部分によって通孔が形成されてなる第一、第二網状体をそれらの太幅網部同士が互いに交差した状態に積層一体化されてなる場合には、太幅網部及び細幅網部は共にその長さ方向に高い引張強度を有しており、これら太幅網部及び細幅網部は縦横に交差した状態にて配列されていることから、網状体は、その縦横方向に優れた引張強度を有している。
【0036】
更に、上記難燃性網状体において、網状体が、フラットヤーンを経糸及び緯糸として織成し、フラットヤーン間に多数の通孔が形成されている場合には、フラットヤーンは、それらの長さ方向において高い引張強度を有していると共に、フラットヤーンが互いに交差した状態にして織成一体化されていることから、網状体は、その縦横方向に優れた引張強度を有している。
【0037】
又、本発明の難燃性積層体は、上記網状体の少なくとも一面に難燃性基材が積層一体化されているので、ハロゲン系難燃剤と異なって有害なガスを発生させることがないと共に引張強度などの機械的強度に優れており、難燃性及び機械的強度を必要とする幅広い用途に適用することができる。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
高密度ポリエチレン(融点:135℃)100重量部及び赤燐系難燃剤マスターバッチ50重量部を押出機に供給して200℃にて溶融混練して押出機の先端に取り付けたダイスから押出して厚さが120μmの長尺状の難燃性高密度ポリエチレンフィルムを得た。
【0040】
得られた難燃性高密度ポリエチレンフィルムをその幅方向に所定間隔毎に長さ方向に切断して難燃性帯状体を作製し、この難燃性帯状体をその長さ方向に120℃にて6倍に延伸して、赤燐系難燃剤を含有する幅が3mmの難燃性フラットヤーンを製造した。
【0041】
上記赤燐系難燃剤マスターバッチは、高密度ポリエチレン(融点:135℃)53.5重量%、赤燐系難燃剤組成物16.5重量%及び水酸化マグネシウム30.0重量%からなり、上記赤燐系難燃剤組成物(赤燐:93重量%、エポキシ樹脂:1重量%、水酸化アルミニウム:6重量%)は、赤燐がエポキシ樹脂でマイクロカプセル化された平均粒径が5μmの赤燐系難燃剤と水酸化アルミニウムとからなる。
【0042】
この難燃性フラットヤーン1a、1a・・・を7mm間隔で多数本互いに平行に並設させて難燃性フラットヤーン列1Aを形成し、この難燃性フラットヤーン列1Aの難燃性フラットヤーン1a、1a・・・と直交する方向に、上記難燃性フラットヤーン1a、1a・・・と同じ難燃性フラットヤーン1b、1b・・・を7mm間隔で多数本並設させてなる難燃性フラットヤーン列1Bを重ね合わせて網状積層体を作製し、この網状積層体をその厚さ方向に加熱狭圧することによって、これら2列の難燃性フラットヤーン列1A、1Bにおける互いに交差する難燃性フラットヤーン1a、1b同士をこれらの交差部において熱融着一体化させて難燃性網状体1を製造した。
【0043】
(実施例2)
低密度ポリエチレン(融点:107℃)100重量部及び赤燐系難燃剤マスターバッチ50重量部を押出機に供給して350℃にて溶融混練し、押出機の先端に取り付けたダイスから厚さが30μmの難燃性低密度ポリエチレンシートを押出した。
【0044】
上記赤燐系難燃剤マスターバッチは、低密度ポリエチレン(融点:107℃)53.5重量%、赤燐系難燃剤組成物16.5重量%及び水酸化マグネシウム30.0重量%からなり、上記赤燐系難燃剤組成物(赤燐:93重量%、エポキシ樹脂:1重量%、水酸化アルミニウム:6重量%)は、赤燐がエポキシ樹脂でマイクロカプセル化された平均粒径が5μmの赤燐系難燃剤と水酸化アルミニウムとからなる。
【0045】
得られた難燃性低密度ポリエチレンシートを実施例1で得られた難燃性網状体の一面に重ね合わせて積層体を形成し、この積層体をその厚さ方向に加熱挟圧することによって、難燃性網状体の一面に難燃性低密度ポリエチレンシートを積層一体化して難燃性積層体を得た。
【0046】
(実施例3)
実施例1で用いた赤燐系難燃剤組成物50重量%を含有する低密度ポリエチレンを用いて、厚さが7μmのアルミニウム箔を実施例1で得られた網状体の一面に積層一体化して難燃性積層体を得た。
【0047】
(実施例4)
高密度ポリエチレン(融点:135℃)100重量部及び赤燐系難燃剤マスターバッチ50重量部を押出機に供給して200℃にて溶融混練して押出機の先端に取り付けたダイスから押出して厚さが120μmの長尺状の難燃性高密度ポリエチレンフィルムを得た。
【0048】
得られた難燃性高密度ポリエチレンフィルムをその幅方向に所定間隔毎に長さ方向に切断して難燃性帯状体を作製し、この難燃性帯状体をその長さ方向に120℃にて6倍に延伸して、赤燐系難燃剤を含有する幅が3mmの難燃性フラットヤーンを製造した。
【0049】
上記赤燐系難燃剤マスターバッチは、高密度ポリエチレン(融点:135℃)50.0重量%、赤燐系難燃剤組成物20.0重量%及び水酸化マグネシウム30.0重量%からなり、上記赤燐系難燃剤組成物(赤燐:76重量%、フェノール樹脂:12重量%、水酸化マグネシウム:12重量%)は、赤燐がフェノール樹脂でマイクロカプセル化された平均粒径が10〜15μmの赤燐系難燃剤と水酸化マグネシウムとからなる。
【0050】
この難燃性フラットヤーン1a、1a・・・を7mm間隔で多数本互いに平行に並設させて難燃性フラットヤーン列1Aを形成し、この難燃性フラットヤーン列1Aの難燃性フラットヤーン1a、1a・・・と直交する方向に、上記難燃性フラットヤーン1a、1a・・・と同じ難燃性フラットヤーン1b、1b・・・を7mm間隔で多数本並設させてなる難燃性フラットヤーン列1Bを重ね合わせて網状積層体を作製し、この網状積層体をその厚さ方向に加熱狭圧することによって、これら2列の難燃性フラットヤーン列1A、1Bにおける互いに交差する難燃性フラットヤーン1a、1b同士をこれらの交差部において熱融着一体化させて難燃性網状体1を製造した。
【0051】
(実施例5)
実施例4で用いた赤燐系難燃剤組成物50重量%を含有する低密度ポリエチレンを用いて、厚さが7μmのアルミニウム箔を実施例4で得られた網状体の一面に積層一体化して難燃性積層体を得た。
【0052】
(比較例1)
赤燐系難燃剤組成物を用いなかったこと以外は実施例1と同様の要領でフラットヤーンを製造し、このフラットヤーンを用いて実施例1と同様の要領で網状体を得た。
【0053】
(比較例2)
難燃性網状体の代わりに比較例1で得られた網状体を用いたこと以外は実施例2と同様にして積層体を製造した。
【0054】
(比較例3)
厚さが7μmのアルミニウム箔を比較例1で得られた網状体の一面に低密度ポリエチレンを用いて積層一体化して積層体を得た。
【0055】
得られた難燃性網状体、難燃性積層体、網状体及び積層体について難燃性をUL−94 VTM法に準拠して測定し、第11.1表に基づいて分類し、その結果を表1に示した。なお、実施例1及び実施例4の難燃性網状体は燃焼しなかったが、熱によって縮んでしまい燃焼性を分類できなかった。比較例1の網状体は燃焼して縮んでしまい分類はできなかった。
【0056】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の難燃性網状体を示した平面図である。
【図2】本発明の難燃性網状体の他の一例を示した平面図である。
【図3】本発明の難燃性網状体の他の一例を示した平面図である。
【図4】本発明の難燃性網状体の他の一例を示した平面図である。
【図5】本発明の難燃性網状体の他の一例を示した平面図である。
【図6】図5の難燃性網状体の分解斜視図である。
【図7】図5の難燃性網状体の原料となる一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを示した斜視図である。
【図8】本発明の難燃性網状体の他の一例を示した平面図である。
【図9】本発明の難燃性網状体の他の一例を示した平面図である。
【図10】本発明の難燃性積層体を示した斜視図である。
【図11】本発明の難燃性積層体の他の一例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1〜3 難燃性網状体
1A フラットヤーン列
1B フラットヤーン列
1D フラットヤーン列
1a フラットヤーン
1b フラットヤーン
1c 通孔
1d フラットヤーン
2A 太幅網部列
2B 細幅網部列
2C 通孔
2a 太幅網部
2b 細幅網部
31 経糸
32 緯糸
33 通孔
34 フラットヤーン列
34a フラットヤーン
4A スリット列
4 一軸延伸熱可塑性樹脂フィルム
5 難燃性基材
6 難燃性積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを原料としてなる網状体中に赤燐系難燃剤を含有させてなることを特徴とする難燃性網状体。
【請求項2】
網状体中に水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムを含有させていることを特徴とする請求項1に記載の難燃性網状体。
【請求項3】
網状体が、フラットヤーンを多数本、所定間隔毎に並設してなるフラットヤーン列と、このフラットヤーン列のフラットヤーンに交差する方向に多数のフラットヤーンを所定間隔毎に並設してなるフラットヤーン列とからなり、これらのフラットヤーン列のフラットヤーンの交差部を一体化することにより多数の通孔が設けられてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の難燃性網状体。
【請求項4】
網状体が、多数の太幅網部を所定間隔毎に並設してなる太幅網部列と、互いに隣接する太幅網部同士を該太幅網部に対して斜行した状態に連結している細幅網部を多数、所定間隔毎に並設してなる細幅網部列とからなり、且つ、太幅網部と細幅網部とで囲まれた部分によって通孔が形成されてなる第一、第二網状体をそれらの太幅網部同士が互いに交差した状態に積層一体化されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の難燃性網状体。
【請求項5】
網状体が、フラットヤーンを経糸及び緯糸として織成し、フラットヤーン間に多数の通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の難燃性網状体。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の難燃性網状体の少なくとも一面に難燃性基材が積層一体化されていることを特徴とする難燃性積層体。
【請求項7】
難燃性基材が金属箔又は難燃性熱可塑性樹脂シートであることを特徴とする請求項6に記載の難燃性積層体。
【請求項8】
難燃性熱可塑性樹脂シートが発泡シートであることを特徴とする請求項7に記載の難燃性積層体。
【請求項9】
網状体と難燃性基材とが接着剤を介して積層一体化されており、この接着剤中に赤燐系難燃剤が含有されていることを特徴とする請求項6乃至請求項8の何れか1項に記載の難燃性積層体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−156781(P2008−156781A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346958(P2006−346958)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】