説明

難燃性蓄光樹脂

【課題】
災害時に避難経路を誘導するための表示として、蓄光顔料が用いられている。蓄光顔料を壁や床に塗付するために、母材として樹脂が用いられる。蓄光顔料を含んだ樹脂は、火災による災害時にも適用されるように、樹脂には難燃性が要求される。さらに透明性、耐摩耗性などの性質も兼ね備えた樹脂が必要である。
【解決手段】
上記性質を満たす樹脂として、常温硬化型オルガノシロキサン組成物を用いる。この樹脂に蓄光顔料を加え、硬化させることで難燃性蓄光樹脂が得られる。難燃性蓄光樹脂には、さらにガラス繊維、シリカ、およびシリコーン球を加えても良い。これらの物質は、難燃性蓄光樹脂の耐摩耗性、粘性、耐振動性を向上させるために用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃性樹脂を主体とした蓄光樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光や電灯からの光を受けた後、暗闇においてもエネルギーの供給を受けることなく長時間光を発する性質を蓄光性といい、蓄光性を有する物質を蓄光顔料という。蓄光顔料の特性は、発光色、発光輝度、残光時間(光の照射を止めてから光り続ける時間)などにより特徴付けられる。蓄光顔料には、主として硫化亜鉛を母結晶とするものと、アルミン酸ストロンチウム塩を母結晶とするものとがある。前者の蓄光顔料は黄緑色の光を発し、残光時間は0.5時間程度である。後者の蓄光顔料は、緑色の光を発し、残光時間は5時間以上である。
【0003】
長残光性を有する蓄光顔料の利用形態として、災害時に暗闇となったときの避難経路誘導表示、装飾品、時計、文房具、及び釣具など多岐にわたる。特に避難経路誘導表示は、電力が停止した状況でも発光し、人々を安全な場所へ避難させることが可能であるため、安全性の確保の観点から必要不可欠である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄光顔料は、通常粉末状であるため、避難経路誘導表示のため建造物の壁や床などに塗付する場合、樹脂と混合するのが一般的である。すなわち、粉末状では壁や床などに塗付しても飛散してしまうが、樹脂と混合して、塗付後に硬化させることにより、蓄光顔料を安定して壁や床などに固定することができる。蓄光顔料と混合するための樹脂は、蓄光顔料の発光性能を発揮させるため、高い透明性を有することが求められている。また避難経路誘導表示は、米国同時多発テロや韓国地下鉄火災など、火災時に用いられることが想定されるため、蓄光顔料と混合するための樹脂は難燃性であることが好ましい。さらに、蓄光顔料と混合した樹脂の上を人が歩くことにより樹脂が磨耗するため、蓄光顔料と混合するための樹脂は耐摩耗性を有することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は難燃性かつ透明性を有する樹脂と蓄光顔料を混合した蓄光樹脂を提供する。すなわち、第一の発明は、難燃性樹脂と、蓄光顔料とからなる難燃性蓄光樹脂を提供する。第二の発明は、第一の発明に基づき、前記難燃性樹脂が、下記化学式4
【化4】

(式中:Rは水素原子もしくはCからCのアルキル基あるいはアシル基;RないしRはそれぞれが水素原子、OR基もしくは一価の炭化水素基より選ばれた同一もしくは異なる基、nは1ないし15の数)で表される化合物の1種または2種以上からなり、且つその中のケイ素成分をSiO酸化物基準で表して50重量%以上含有している液状オルガノポリシロキサン(A)、
下記化学式5もしくは6
【化5】

【化6】

(式中:Mはアルミニウムまたはホウ素元素;Qはケイ素、チタンまたはジルコニウム元素;Rは水素原子もしくはCないしCのアルキル基、アシル基あるいはオキシム基;Rは水素原子、OR基もしくは一価の炭化水素基より選ばれた基;pは1または2;mは1ないし3の整数)で表される有機金属化合物の1種または2種以上からなる架橋剤(B)、および、亜鉛、コバルト、アルミニウムまたは錫元素の1または2種以上の含金属有機化合物であり、触媒反応ブロッキング剤が配合された硬化触媒(C)、からなり、且つ該三成分混合液組成物が含有する全金属元素成分をMOy/2酸化物基準(Mはアルミニウム、ホウ素、ケイ素、チタン、ジルコニウム元素、yは金属元素の価数)で表わして40重量%以上含有している常温硬化型オルガノシロキサン組成物である請求項1に記載の難燃性蓄光樹脂を提供する。第三の発明は、第一または第二の発明に基づいて、前記難燃性樹脂に対する蓄光顔料の割合が重量比率で5%以上30%以下である難燃性蓄光樹脂を提供する。第四の発明は、第一から第三の発明に基づいて前記蓄光顔料が、アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料である難燃性蓄光樹脂を提供する。第五の発明は、第四の発明に基づいて、前記アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料が、Sr1−n−mEuDyAl2−k(0.0001<n<0.2、0.0001<m<0.2、0.0001<k<0.2)で表される難燃性蓄光樹脂を提供する。第六の発明は、第一から第五の発明に基づいて、補強剤、増粘剤、および耐振動剤のうちいずれか一以上をさらに含む難燃性蓄光樹脂を提供する。第七の発明は、第六の発明に基づいて、前記補強剤がガラス繊維および/またはガラスフラックスである難燃性蓄光樹脂を提供する。第八の発明は、第六または第七の発明に基づいて、前記増粘剤が微粉末シリカである難燃性蓄光樹脂を提供する。第九の発明は、第六から第八の発明に基づいて、前記耐振動剤がシリコーン球および/またはシリコーン系可撓剤である難燃性蓄光樹脂を提供する。
【0006】
第十の発明は、難燃性樹脂と、蓄光顔料とを混合して塗付剤とする混合ステップと、前記塗付剤を塗布すべき床面および/または壁面を清浄化する清浄ステップと、前記塗布剤を前記床面および/または壁面に塗付する塗付ステップと、塗付が終了してから、前記塗布剤が硬化するまで養生する養生ステップと、からなる難燃性蓄光樹脂塗布方法を提供する。第十一の発明は、第十の発明に基づいて、前記難燃性樹脂が、前記常温硬化型オルガノシロキサン組成物である、難燃性蓄光樹脂塗布方法を提供する。第十二の発明は、第十または第十一の発明に基づいて、前記難燃性樹脂に対する蓄光顔料の割合が重量比率で5%以上30%以下である難燃性蓄光樹脂塗布方法を提供する。第十三の発明は、第十から第十二の発明に基づいて、前記蓄光顔料が、アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料である難燃性蓄光樹脂塗布方法を提供する。第十四の発明は、前記アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料が、Sr1−n−mEuDyAl2−k(0.0001<n<0.2、0.0001<m<0.2、0.0001<k<0.2)で表される難燃性蓄光樹脂塗布方法を提供する。第十五の発明は、第十から第十四の発明に基づいて、前記混合ステップが、補強剤、増粘剤、および耐振動剤のうちいずれか一以上をさらに混合して塗付剤とする難燃性蓄光樹脂塗布方法を提供する。第十六の発明は、第十五の発明に基づいて、前記補強剤がガラス繊維および/またはガラスフラックスである難燃性蓄光樹脂塗布方法を提供する。第十七の発明は、第十五又は第十六の発明に基づいて、前記増粘剤が微粉末シリカである難燃性蓄光樹脂塗布方法を提供する。第十八の発明は、第十五から第十七の発明に基づいて、前記耐振動剤がシリコーン球および/またはシリコーン系可撓剤である難燃性蓄光樹脂塗布方法を提供する。
【0007】
第十九の発明は、Sr1−n−mEuDyAl2−k(0.0001<n<0.2、0.0001<m<0.2、0.0001<k<0.2)で表される蓄光顔料を提供する。第二十の発明は、SrO、Al、Eu、Dy、およびBを還元雰囲気中で焼成し、焼成混合物とする焼成ステップと、前記焼成混合物を冷却した後、酢酸およびグリセリンで洗浄する洗浄ステップと、からなる蓄光顔料製造方法を提供する。
【0008】
第二十一の発明は、照明部と、前記照明部により照明される目地を設けた路面部と、前記路面部に配置された請求項1から9のいずれか一に記載の難燃性蓄光樹脂と、からなる通路構造体を提供する。第二十二の発明は、第二十一の発明に基づき、前記目地に充填される難燃性蓄光樹脂の幅は3mm以上3cm以下であり、前記目地に充填される難燃性蓄光樹脂の深さは1mm以上1cm以下である通路構造体を提供する。第二十三の発明は、第二十一または第二十二の発明に基づいて、前記路面部に設けられた目地は、路面舗装に用いられる無機タイル、有機タイル、モルタルブロック、コンクリートブロックのいずれか一以上を組み合わせることにより生じる隙間である通路構造体を提供する。第二十四の発明は、第二十一から第二十三の発明に基づいて、前記路面部に設けられた難燃性蓄光樹脂が配置された目地が、避難誘導するための図形となるように配置されている通路構造体を提供する。第二十五の発明は、第二十一から第二十四の発明に基づいて、前記路面部に設けられた目地に配置された難燃性蓄光樹脂の耐摩耗性が、JISK5600−5−8による試験において、磨耗輪の荷重が1kg、研磨紙の種類がCS−17、回転数が1000回の場合、磨耗減量が500mg以下である通路構造体を提供する。
【0009】
第二十六の発明は、請求項1から9のいずれか一に記載の難燃性樹脂と、蓄光顔料とを混合して塗付剤とする混合ステップと、前記塗付剤を塗布すべき床面および/または壁面を清浄化する清浄ステップと、前記塗布剤を照明部により照明される通路の目地に塗付する塗付ステップと、塗付が終了してから、前記塗布剤が硬化するまで養生する養生ステップとからなる通路構造体製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、火災により停電が生じたときでも、避難経路表示が燃えることがないので、避難経路表示としての機能を失わせることがない。したがって、ビルや地下街の災害時における避難経路表示としての安全性がより向上する。また避難経路表示に用いる樹脂が燃焼することがないので、有毒性のガスが発生することもなく安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0012】
実施形態1は主に請求項1及び10について説明する。実施形態2は主に請求項2、3、11及び12について説明する。実施形態3は主に請求項4、5、13、14、19及び20について説明する。実施形態4は主に請求項6、7、8、9、15、16、17及び18について説明する。実施形態5は主に請求項21、22及び26について説明する。実施形態6は主に請求項23について説明する。実施形態7は主に請求項24について説明する。実施形態8は主に請求項25について説明する。
【0013】
<実施形態1>
<実施形態1:概念>
図1に本実施形態の概念図を示した。本実施形態の難燃性蓄光樹脂は駅のホームに取り付けられたタイルの溝などに配置される。夜間に災害が起きて照明が消えた場合でも、それまでに光のエネルギーを受けていた難燃性蓄光樹脂が発光することで歩行者を避難経路へ誘導することができる。
【0014】
<実施形態1:材料構成>
本実施形態の「難燃性蓄光樹脂」は、「難燃性樹脂」と「蓄光顔料」とからなる。
【0015】
「難燃性樹脂」は、高温かつ有酸素下でも燃焼しにくい性質を有する樹脂である。具体的には、難燃性樹脂がUL規格94V−0を満たすことが好ましい。UL規格は、米国の試験機関であるUnderwriters Laboratories. Incが定めた安全規格である。また、蓄光樹脂としての発光特性を発揮するため、透明度が高いことが必要である。難燃性樹脂は、歩行者との接触により磨耗するため、メンテナンスを容易にするため、耐摩耗性が高いことが好ましい。
【0016】
「蓄光顔料」は、光による刺激を受け、その後光の刺激を止めた後も長時間発光する性質を有する物質である。蓄光顔料を構成する結晶構造は、主に硫化亜鉛、アルミン酸ストロンチウムなどである。蓄光性を発揮するためには、これらの結晶に賦活剤または共賦活剤を加えることが必要である。賦活剤または共賦活剤としては、Cu、Eu、Dy及びBなどが挙げられる。
【0017】
「難燃性蓄光樹脂」は、発光特性がJIS規格のZ9107を満たすことが好ましい。JIS規格Z9107において定められている発光特性の条件は、蓄光板に蛍光ランプD65で200ルクスの照度で20分間照射し照射を止めた後、蓄光板が発する輝度が5分後、10分後、20分後、60分後に所定の輝度を有することである。難燃性蓄光樹脂の主な使用態様は、ビルや地下街などの床や壁などに塗付し、災害時の避難経路表示として用いる場合である。この場合、歩行者との接触による磨耗を避けるため、目地などの凹部に難燃性蓄光樹脂を埋め込むように塗付するのが好ましい。また、難燃性蓄光樹脂は、照明の下では目立たないが、夜間に消灯した際には、難燃性蓄光樹脂を塗付した部分のみが浮かび上がるため、美術品としても用いることができる。
【0018】
<実施形態1:塗付方法>
図2に本実施形態の難燃性蓄光樹脂の塗付方法の一例を示す。本実施形態の難燃性蓄光樹脂の塗付方法は、混合ステップ(S0201)と、清浄ステップ(S0202)と、塗付ステップ(S0203)と、養生ステップ(S0204)とからなる。
【0019】
混合ステップ(S0201)は、難燃性樹脂と、蓄光顔料とを混合して塗付剤とする。混合ステップでは、難燃性蓄光樹脂が十分な発光特性を発揮するために、蓄光顔料が難燃性樹脂に均一に分散するように混合する。
【0020】
清浄ステップ(S0202)は、前記塗付剤を塗布すべき床面および/または壁面を清浄化する。床面などにたまったごみや埃などが、塗付剤に混入することで、樹脂の透明度が落ちるのを防止するためである。清浄ステップにより樹脂の透明度を高めて、難燃性蓄光樹脂の発光輝度及び残光時間を向上させることができる。
【0021】
塗付ステップ(S0203)は、前記塗布剤を床面および/または壁面に塗付する。塗付の前に、塗布すべき箇所には白色の塗料を塗るなどして、難燃性蓄光樹脂の発光効率を向上させても良い。また塗付剤が目的の箇所以外に付着しないように、塗付すべき箇所の周囲に養生テープを貼っても良い。
【0022】
養生ステップ(S0204)は、塗付が終了してから、前記塗布剤が硬化するまで養生する。このステップでは空気中に含まれる水分との反応により、塗付剤が自然に硬化するまで待っても良いし、水分を含んだ硬化スプレーなどを吹き付けて強制的に硬化させても良い。
【0023】
<実施形態1:効果>
本実施形態の難燃性蓄光樹脂により、火災により停電が生じたときでも、避難経路表示が燃えることがないので、避難経路表示としての機能を失わせることがない。したがって、ビルや地下街の災害時における避難経路表示としての安全性がより向上する。
【0024】
<実施形態2>
<実施形態2:概念>
本実施形態は、難燃性樹脂に難燃性、耐摩耗性などの特徴を有する常温硬化型オルガノシロキサン組成物を用いる。
【0025】
<実施形態2:材料構成>
本実施形態の「難燃性蓄光樹脂」は、「難燃性樹脂」と「蓄光顔料」とからなる。
【0026】
「難燃性樹脂」は、前記液状オルガノポリシロキサン(A)、前記架橋剤(B)、および前記硬化触媒(C)、からなり、且つ該三成分混合液組成物が含有する全金属元素成分をMOy/2酸化物基準(Mはアルミニウム、ホウ素、ケイ素、チタン、ジルコニウム元素、yは金属元素の価数)で表わして40重量%以上含有している常温硬化型オルガノシロキサン組成物である。常温硬化型オルガノシロキサン組成物は特許文献1において示されている組成物と同一であって、現在は鈴木産業株式会社からセラトンNPという商品名で製造・販売されている。
【特許文献1】特公平7−72250号
【0027】
常温効果型オルガノシロキサン組成物は、Si−O結合を含んでおり、これ以上酸化されないので、難燃性を有する。また無溶剤であるため、溶剤の臭いがなく、塗付する際に作業者に不快感を与えることがない。また、無機質であるため、耐薬品性、耐酸性及びたい汚染性に優れており、メンテナンスが容易である。
【0028】
「蓄光顔料」の割合は、「難燃性蓄光樹脂」に対して重量比率で5%以上30%以下であることが好ましい。蓄光顔料の割合が5%以下になると、難燃性蓄光樹脂の発光輝度が弱く、避難経路表示としての機能が十分に果たせない。また、蓄光顔料の割合が30%以上になると、難燃性蓄光樹脂の難燃性や耐摩耗性などの性能が弱くなる。蓄光顔料の割合は、さらに好ましくは難燃性蓄光樹脂に対して重量比率で約15%である。蓄光顔料の種類および性質については実施形態1と同様である。
【0029】
<実施形態2:塗付方法>
本実施形態の難燃性蓄光樹脂の塗付方法は実施形態1と同様なので省略する。
【0030】
<実施形態2:効果>
本実施形態の難燃性蓄光樹脂を用いることにより、難燃性がよりいっそう強くなり、避難経路表示としての安全性がより向上する。
【0031】
<実施形態3>
<実施形態3:概念>
本実施形態は、蓄光顔料にアルミン酸ストロンチウムを用いることで、発光輝度および残光時間をより向上させた難燃性蓄光樹脂に関する。
【0032】
<実施形態3:材料構成>
本実施形態の「難燃性蓄光樹脂」は、「難燃性樹脂」と「蓄光顔料」とからなる。「難燃性樹脂」については実施形態1と同様である。
【0033】
「蓄光顔料」は、アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料である。アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料とは、Sr、Al、Oを主要構成元素とする蓄光顔料である。アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料は、前記元素以外に、Eu、Dy、Bなどの元素を微量に含んでいる。アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料は、従来用いられていた硫化亜鉛型結晶に比べ発光輝度及び残光時間が飛躍的に向上し、かつ人体にも無害である。
【0034】
アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料は、Sr1−n−mEuDyAl2−k(0.0001<n<0.2、0.0001<m<0.2、0.0001<k<0.2)で表されることがさらに好ましい。ここで、Euは光の刺激を止めた後も発光する発光中心としての機能を有する。すなわち、アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料の発光は、Eu原子の4f軌道と5d軌道間の電子遷移によるものであると考えられている。DyとBは欠陥複合体を形成し、その欠陥複合体が供給する正孔が前記電子と結びつくことで発光を助ける役割を有していると考えられている。
【0035】
Sr1−n−mEuDyAl2−k(0.0001<n<0.2、0.0001<m<0.2、0.0001<k<0.2)で表される蓄光顔料は、SrO、Al、Eu、Dy、およびBを約1300℃で焼成することで得られる。結晶に取り込まれたホウ素(B)は、長残光を発揮する物質であるが、結晶に取り込まれなかったホウ素は逆に発光輝度を減少させる要因になると考えられている。したがって、蓄光顔料は焼成後、酢酸によって洗浄し、余分なホウ素を取り除いても良い。
【0036】
<実施形態3:塗付方法>
本実施形態の難燃性蓄光樹脂の塗付方法は実施形態1と同様なので省略する。
【0037】
<実施形態3:効果>
本実施形態は、蓄光顔料にアルミン酸ストロンチウムを用いることで、難燃性蓄光樹脂の発光輝度及び残光時間を向上させることができる。
【0038】
<実施形態4>
<実施形態4:概念>
本実施形態は、補強剤、増粘剤、および耐振動剤を加えることで、難燃性蓄光樹脂の耐摩耗性及び耐衝撃性などを向上させた難燃性蓄光樹脂に関する。
【0039】
<実施形態4:材料構成>
図3に本実施形態の材料構成を示した。本実施形態の「難燃性蓄光樹脂」(0300)は、「難燃性樹脂」(0301)および「蓄光顔料」(0302)に、「補強剤」(0303)、「増粘剤」(0304)、および「耐振動剤」(0305)のうち一以上を加えたものからなる。
【0040】
「難燃性樹脂」(0301)および「蓄光顔料」(0302)については実施形態1から3と同様である。
【0041】
「補強剤」(0303)は、難燃性蓄光樹脂(0300)の耐摩耗性を向上させるために添加する物質である。補強剤(0303)として、例えばガラス繊維および/またはガラスフラックスを用いても良い。ガラス繊維には長繊維と短繊維とがあるが、ここでは長繊維を主として用いる。補強剤(0303)として、ガラス繊維を用いる場合、補強剤としての効果を十分に発揮するためには、長さは1mm以上1cm以下であることが好ましい。補強剤は難燃性樹脂(0301)に対し、重量比率で5〜30%添加することが好ましい。
【0042】
「増粘剤」(0304)は、硬化前の難燃性樹脂(0301)の粘性率を上昇させ、塗付する際に周囲に広がらないように加えるものである。増粘剤(0304)として、例えば微粉末シリカを用いても良い。シリカとは二酸化ケイ素の別名であり、シロキサン結合(SiとOの結合)からなるネットワーク構造を持つ。増粘剤(0304)は、難燃性樹脂(0301)に対し、重量比率で1〜10%添加することが好ましい。
【0043】
「耐振動剤」(0305)は、難燃性蓄光樹脂(0301)の衝撃に対する強度を上昇させるために加えるものである。耐振動剤(0305)として、例えばシリコーン球および/またはシリコーン系可撓剤を用いても良い。シリコーン樹脂は、大きさが5〜50μmのものである。シリコーン系可撓剤は、メトキシ基の官能基を有している液状材料である。耐振動剤(0305)は、難燃性樹脂(0301)に対し、重量比率で3〜20%添加することが好ましい。
【0044】
<実施形態4:塗付方法>
図4に本実施形態の難燃性蓄光樹脂の塗付方法の一例を示す。本実施形態の難燃性蓄光樹脂の塗付方法は、混合ステップ(S0401)と、清浄ステップ(S0402)と、塗付ステップ(S0403)と、養生ステップ(S0404)とからなる。
【0045】
混合ステップ(S0401)は、難燃性樹脂と、蓄光顔料とを混合し、さらに補強剤、増粘剤および耐振動剤のうち一以上を加える。増粘剤を加える場合は、最後に加えることが好ましい。先に増粘剤を加えると、粘性が高くなり材料の混合が十分に行えなくなるからである。その他の材料については、混合の順番は特に問わない。
【0046】
清浄ステップ(S0402)、塗付ステップ(S0403)、および養生ステップ(S0404)については実施形態1と同様である。
【0047】
<実施形態4:効果>
本実施形態の難燃性蓄光樹脂は、耐摩耗性、耐振動性が向上し、さらに塗付する際にも周囲に広がりにくいという特徴を有する。したがって、メンテナンスが容易になり、さらに塗付する際に作業が容易になる。
【0048】
<実施形態5>
<実施形態5:概念>
図5に本実施形態の概念図を示す。本実施形態は、通路のタイルなどの目地に蓄光顔料と樹脂とを含む難燃性蓄光樹脂を埋め込んだ通路構造体に関する。通路構造体は、災害時などに暗闇になった場合、平常時に照明部から受けた光によって蓄積されたエネルギーを光として発する。歩行者は、発光する難燃性蓄光樹脂を辿って避難口に辿りつくことができる。
【0049】
<実施形態5:構成>
図6に本実施形態における通路構造体の概略図を示す。図6に示す「通路構造体」(0600)は、「照明部」(0601)と、「路面部」(0602)と、「難燃性蓄光樹脂」(0603)とから構成される。
【0050】
「照明部」(0601)は、人工的に発光する装置である。照明部(0601)として、例えば、蛍光灯、LEDなどが挙げられる。照明部(0601)が発する光は、可視光(波長が約400〜700nm)とは限らず、その成分の一部または全部が、紫外光(波長が約400nm以下)や赤外光(波長が約700nm以上)であっても良い。
【0051】
「路面部」(0602)は、照明部(0601)により照明される目地を設けた路面である。路面とは人が歩行する通路であって、屋内、屋外を問わない。路面部(0602)の例として、歩行者用道路、地下道、ビル内部の通路などが挙げられる。目地は路面に設けられた細長い凹部である。路面に設けられた目地の全てが照明部(0601)により光を受けることは必要ではなく、一部が照明部(0601)により光を受けない位置にあっても良い。目地は難燃性蓄光樹脂から発せられた光を反射するため、下地が白色であることが好ましい。
【0052】
「難燃性蓄光樹脂」(0603)は、路面部(0602)の目地に配置された、請求項1から9のいずれか一に記載の難燃性蓄光樹脂である。難燃性蓄光樹脂(0603)は、路面部(0602)の全ての目地に配置されている必要はなく、目地の一部にのみ配置されていても良い。特に、照明部(0601)から光を受けない位置にある目地には、難燃性蓄光樹脂(0603)を配置しなくても良い。難燃性蓄光樹脂(0603)のその他の構成については実施形態1から4と同様である。
【0053】
前記目地に充填される難燃性蓄光樹脂の幅は3mm以上3cm以下であり、前記目地に充填される難燃性蓄光樹脂の深さは1mm以上1cm以下であるのが好ましい。このような値が好ましい理由は、難燃性蓄光樹脂の幅が3mm以下の場合、視力の弱い人にとっては、暗闇において難燃性蓄光樹脂を視認することが困難であるため、避難経路を示す構造体としては効果が少なく、難燃性蓄光樹脂の幅が3cm以上あるいは、深さが1cm以上の場合、難燃性蓄光樹脂の量が多くなり、コストがかかり、難燃性蓄光樹脂の深さが1mm以下の場合、難燃性蓄光樹脂が目地から剥離しやすくなるからである。
【0054】
<実施形態5:塗付方法>
図7に本実施形態の通路構造体製造方法の流れを示す。本実施形態の通路構造体製造方法は、難燃性蓄光樹脂生成ステップ(S0701)と、清浄ステップと(S0702)と、塗付ステップ(S0703)と、養生ステップ(S0704)とからなる。
【0055】
難燃性蓄光樹脂生成ステップ(S0701)は、請求項1から9のいずれか一に記載の難燃性樹脂と、蓄光顔料とを混合して塗付剤とする。蓄光顔料、樹脂及び硬化剤については実施形態1で説明したのと同様である。
【0056】
清浄ステップ(S0702)は、前記塗付剤を塗布すべき床面および/または壁面を清浄化する。難燃性蓄光樹脂を塗布する前に、目地を清掃すれば、異物が難燃性蓄光樹脂に混合せず、樹脂の透明度が向上し、より高い発光特性が実現される。
【0057】
塗付ステップ(S0703)は、前記塗布剤を照明部により照明される通路の目地に塗付する。難燃性蓄光樹脂は時間の経過とともに硬化するため、硬化する前に迅速に目地に配置する。目地が白色でない場合は、難燃性蓄光樹脂の配置の前に、目地に白色の塗料を塗っても良い。また、難燃性蓄光樹脂が周囲の路面に分散しないよう、目地以外の部分にはマスキングテープや養生テープを張っても良い。
【0058】
養生ステップ(S0704)は、前記難燃性蓄光樹脂が硬化するまで養生する。塗付ステップ(S0703)において、マスキングテープや養生テープを張っていた場合には、難燃性蓄光樹脂が硬化する前にこれらのテープを剥がすのが好ましい。難燃性蓄光樹脂が硬化した後では、テープに難燃性蓄光樹脂が固着してしまい、剥がすことが困難となるからである。
【0059】
<実施形態5:効果>
本実施形態の通路構造体を用いることにより、災害時や停電時などに暗闇となったときでも、避難経路を歩行者にとってわかりやすく表示することができる。また、本実施形態の通路構造体は、難燃性蓄光樹脂が、目地に埋め込まれていることにより、歩行者にとって障害とならず、かつ歩行者との接触による磨耗の機会を減らすことができる。
【0060】
<実施形態6>
<実施形態6:概念>
本実施形態は、難燃性蓄光樹脂が配置される目地をタイルとタイルのすき間とした通路構造体に関する。
【0061】
<実施形態6:構成>
本実施形態において、路面部(0602)に設けられた目地は、路面舗装に用いられる無機タイル、有機タイル、モルタルブロック、コンクリートブロックのいずれか一以上を組み合わせることにより生じる隙間である。路面部(0602)は、異種のタイル又はブロックを組み合わせたものでも良い。例えば、正方形型の有機タイルと無機タイルとを市松状に組み合わせた構造であっても良い。タイル同士は、隙間なく配置できる場合であっても、ある程度の隙間を設けると、蓄光充填剤を配置しやすくなる。
【0062】
タイルの形状は、正方形だけでなく、長方形、三角形、六角形などでも良い。また、同じ形状のタイルを組み合わせるだけでなく、正方形と長方形、三角形と六角形などのように異種の形状のタイル同士を組み合わせても良い。
【0063】
その他の構成については実施形態5と同様である。
【0064】
<実施形態6:効果>
路面は通常硬い材質で構成されているため、難燃性蓄光樹脂を配置するための溝を掘るのは困難である場合が多い。本実施形態では、難燃性蓄光樹脂を配置される目地を、タイルやブロックなどのすき間としたことで、新たに溝を掘る必要がない。また難燃性蓄光樹脂がタイル同士を結合する接着剤としての役割も有するようになり、路面に敷いたタイルの安定性が高まる。また、難燃性蓄光樹脂を目地に埋めることにより、タイルやブロックの目地により、ピンヒールのかかとが目地に挟まりつまづくことを防止することができる。
【0065】
<実施形態7>
<実施形態7:概念>
本実施形態は、目地に配置された難燃性蓄光樹脂が、避難経路の道筋や方向を示すことで、歩行者がより容易に避難口に辿りつくことができるように構成された通路構造体に関する。
【0066】
<実施形態7:構成>
本実施形態は、難燃性蓄光樹脂(0603)が、避難誘導するための図形となるように配置されている。避難誘導するための図形とは、例えば避難方向を示すような矢印形状や、○、×などの簡単な図形、避難経路を示す標識などである。
【0067】
図8に本実施形態の通路構造体の一例を示す。図8に示す通路構造体は、三角形状のタイルを組み合わせ、タイルの目地の一部に難燃性蓄光樹脂を配置したものである。目地のうち、太線で示された部分にのみ難燃性蓄光樹脂を配置すると、暗闇になったときに矢印形状が浮かび上がる。
【0068】
図9は、難燃性蓄光樹脂を矢印形状に配置した通路構造体により、暗闇時に避難経路が示されている様子である。難燃性蓄光樹脂(0901)を単に線上に配置した場合は、歩行者はどの方向に逃げれば良いかわからず、逆方向に避難するおそれがある。図9のように矢印形状に難燃性蓄光樹脂(0901)を配置すれば、歩行者は避難口の方向を間違うことがなく、より安全性が向上する。
【0069】
その他の構成は実施形態5と同様である。
【0070】
<実施形態7:効果>
本実施形態の通路構造体は、難燃性蓄光樹脂が避難経路を示すための図形となっていることで、歩行者がより容易に避難経路にたどり着くことができ、安全性の向上につながる。
【0071】
<実施形態8>
<実施形態8:概念>
本実施形態は、難燃性蓄光樹脂を耐摩耗性の高いものとした通路構造体に関する。
【0072】
<実施形態8:構成>
本実施形態は、難燃性蓄光樹脂(0603)の耐摩耗性が、JISK5600−5−8による試験において、磨耗輪の荷重が1kg、研磨紙の種類がCS−17、回転数が1000回の場合、磨耗減量が500mg以下である。JISK5600−5−8は日本工業標準調査会によって定められた耐磨耗性の規格で、研磨紙を取り付けた回転軸を一定の荷重及び回転数で回転させ、磨耗重量を測定することにより、耐摩耗性を数値化するための規格である。すなわち、所定の試験条件において、磨耗重量が少ないほど耐摩耗性が高いことを示す。磨耗輪の形状、試験方法など詳細な条件はJISK5600−5−8に記載されている。耐摩耗性が上記水準以下であると、難燃性蓄光樹脂(0603)が磨耗により消耗しやすくなり、再度難燃性蓄光樹脂を塗付する必要がありコストがかかるため好ましくない。
【0073】
その他の構成は実施形態1と同様である。
【0074】
<実施形態8:効果>
本実施形態の通路構造体は、耐摩耗性の高い難燃性蓄光樹脂を用いることにより、難燃性蓄光樹脂を何度も塗付し直す必要がなく、コストの削減につながる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施形態1を説明するための概念図。
【図2】実施形態1の塗付方法の一例を示す図。
【図3】実施形態4の材料構成を示す図。
【図4】実施形態4の塗付方法の一例を示す図。
【図5】実施形態5を説明するための概念図。
【図6】実施形態5の通路構造体の概略図。
【図7】実施形態5の塗付方法を説明した図。
【図8】実施形態7の通路構造体の一例。
【図9】実施形態7の通路構造体により避難経路を誘導する様子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性樹脂と、蓄光顔料とからなる難燃性蓄光樹脂。
【請求項2】
前記難燃性樹脂が、下記化学式1
【化1】

(式中:Rは水素原子もしくはCからCのアルキル基あるいはアシル基;RないしRはそれぞれが水素原子、OR基もしくは一価の炭化水素基より選ばれた同一もしくは異なる基、nは0ないし15の数)で表される化合物の1種または2種以上からなり、且つその中のケイ素成分をSiO酸化物基準で表して50重量%以上含有している液状オルガノポリシロキサン(A)、
下記化学式2もしくは3
【化2】

【化3】

(式中:Mはアルミニウムまたはホウ素元素;Qはケイ素、チタンまたはジルコニウム元素;Rは水素原子もしくはCないしCのアルキル基、アシル基あるいはオキシム基;Rは水素原子、OR基もしくは一価の炭化水素基より選ばれた基;pは1または2;mは1ないし3の整数)で表される有機金属化合物の1種または2種以上からなる架橋剤(B)、および、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、リン酸または錫元素の1または2種以上の含金属有機化合物であり、触媒反応ブロッキング剤が配合された硬化触媒(C)、からなり、且つ該三成分混合液組成物が含有する全金属元素成分をMOy/2酸化物基準(Mはアルミニウム、ホウ素、ケイ素、チタン、ジルコニウム元素、yは金属元素の価数)で表わして40重量%以上含有している常温硬化型オルガノシロキサン組成物である、請求項1に記載の難燃性蓄光樹脂。
【請求項3】
前記難燃性樹脂に対する蓄光顔料の割合が重量比率で5%以上30%以下である、請求項1または2に記載の難燃性蓄光樹脂。
【請求項4】
前記蓄光顔料が、アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料である、請求項1から3のいずれか一に記載の難燃性蓄光樹脂。
【請求項5】
前記アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料が、Sr1−n−mEuDyAl2−k(0.0001<n<0.2、0.0001<m<0.2、0.0001<k<0.2)で表される、請求項4に記載の難燃性蓄光樹脂。
【請求項6】
補強剤、増粘剤、および耐振動剤のうちいずれか一以上をさらに含む、請求項1から5のいずれか一に記載の難燃性蓄光樹脂。
【請求項7】
前記補強剤がガラス繊維および/またはガラスフラックスである、請求項6に記載の難燃性蓄光樹脂。
【請求項8】
前記増粘剤が微粉末シリカである、請求項6または7に記載の難燃性蓄光樹脂。
【請求項9】
前記耐振動剤がシリコーン球および/またはシリコーン系可撓剤である、請求項6から8のいずれか一に記載の難燃性蓄光樹脂。
【請求項10】
難燃性樹脂と、蓄光顔料とを混合して塗付剤とする混合ステップと、
前記塗付剤を塗布すべき床面および/または壁面を清浄化する清浄ステップと、
前記塗布剤を前記床面および/または壁面に塗付する塗付ステップと、
塗付が終了してから、前記塗布剤が硬化するまで養生する養生ステップと、
からなる難燃性蓄光樹脂塗布方法。
【請求項11】
前記難燃性樹脂が、前記常温硬化型オルガノシロキサン組成物である、請求項10に記載の難燃性蓄光樹脂塗布方法。
【請求項12】
前記難燃性樹脂に対する蓄光顔料の割合が重量比率で5%以上30%以下である、請求項10または11に記載の難燃性蓄光樹脂塗布方法。
【請求項13】
前記蓄光顔料が、アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料である、請求項10から12のいずれか一に記載の難燃性蓄光樹脂塗布方法。
【請求項14】
前記アルミン酸ストロンチウム系蓄光顔料が、Sr1−n−mEuDyAl2−k(0.0001<n<0.2、0.0001<m<0.2、0.0001<k<0.2)で表される請求項13に記載の難燃性蓄光樹脂塗布方法。
【請求項15】
前記混合ステップが、補強剤、増粘剤、および耐振動剤のうちいずれか一以上をさらに混合して塗付剤とする、請求項10から14のいずれか一に記載の難燃性蓄光樹脂塗布方法。
【請求項16】
前記補強剤がガラス繊維および/またはガラスフラックスである、請求項15に記載の難燃性蓄光樹脂塗布方法。
【請求項17】
前記増粘剤が微粉末シリカである、請求15または16に記載の難燃性蓄光樹脂塗布方法。
【請求項18】
前記耐振動剤がシリコーン球および/またはシリコーン系可撓剤である、請求15から17のいずれか一に記載の難燃性蓄光樹脂塗布方法。
【請求項19】
Sr1−n−mEuDyAl2−k(0.0001<n<0.2、0.0001<m<0.2、0.0001<k<0.2)で表される蓄光顔料。
【請求項20】
SrO、Al、Eu、Dy、およびBを還元雰囲気中で焼成し、焼成混合物とする焼成ステップと、
前記焼成混合物を冷却した後、酢酸およびグリセリンで洗浄する洗浄ステップと、
からなる蓄光顔料製造方法。
【請求項21】
照明部と、
前記照明部により照明される目地を設けた路面部と、
前記路面部に配置された請求項1から9のいずれか一に記載の難燃性蓄光樹脂と、からなる通路構造体。
【請求項22】
前記目地に充填される難燃性蓄光樹脂の幅は3mm以上3cm以下であり、前記目地に充填される難燃性蓄光樹脂の深さは1mm以上1cm以下である、請求項21に記載の通路構造体。
【請求項23】
前記路面部に設けられた目地は、路面舗装に用いられる無機タイル、有機タイル、モルタルブロック、コンクリートブロックのいずれか一以上を組み合わせることにより生じる隙間である請求項21または22に記載の通路構造体。
【請求項24】
前記路面部に設けられた難燃性蓄光樹脂が配置された目地が、避難誘導するための図形となるように配置されている、請求項21から23のいずれか一に記載の通路構造体。
【請求項25】
前記路面部に設けられた目地に配置された難燃性蓄光樹脂の耐摩耗性が、JISK5600−5−8による試験において、磨耗輪の荷重が1kg、研磨紙の種類がCS−17、回転数が1000回の場合、磨耗減量が500mg以下である、請求項21から24のいずれか一に記載の通路構造体。
【請求項26】
請求項1から9のいずれか一に記載の難燃性樹脂と、蓄光顔料とを混合して塗付剤とする混合ステップと、
前記塗付剤を塗布すべき床面および/または壁面を清浄化する清浄ステップと、
前記塗布剤を照明部により照明される通路の目地に塗付する塗付ステップと、
塗付が終了してから、前記塗布剤が硬化するまで養生する養生ステップと、
からなる通路構造体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−51171(P2007−51171A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−235052(P2005−235052)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(501334327)TDOグラフィックス株式会社 (14)
【出願人】(599012684)
【Fターム(参考)】