説明

雨天作業用テント

【課題】雨天時に風が発生したときでも厳格な禁水性が保持された作業空間を確保できる雨天作業用テントを提供する。
【解決手段】雨天作業用テントは、作業空間への雨の吹き込みを防止するために張られる雨天作業用テントにおいて、上記作業空間の床面から縦立され、天頂で交差する上方に凸形の複数のフレームと、外表面に上記フレームが通されるフレームガイドが付設され、上記フレームガイドに通された上記フレームに因って天頂部が上方に凸のアーチ状および下部として柱状の空間を囲繞するように袋状に張設される1枚の防水性シートと、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、雨天においても作業を行える作業空間を確保するための雨天作業用テントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の雨天作業用テントは、作業部位に設けられて簡易雨除けを作成するための作業用テントにおいて、キャビネットの上部に取り付けられた収納手段と、上記収納手段の内部に収納されると共に、この収納手段内部に端部が取り付けられ、上記収納手段内部に収納された状態から引き出し自在とするテント体と、を具備する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−274116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、サイドカバーが重りにより展開状態が維持されているが、横からの風にあおられると、サイドカバーの隙間から作業空間に雨水が吹き込んでしまい、厳格な禁水性を保持することが難しいという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、雨天時に風が発生したときでも厳格な禁水性が保持された作業空間を確保できる雨天作業用テントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる雨天作業用テントは、作業空間への雨の吹き込みを防止するために張られる雨天作業用テントにおいて、上記作業空間の床面から縦立され、天頂で交差する逆U字形の複数のフレームと、外表面に上記フレームが通されるフレームガイドが付設され、上記フレームガイドに通された上記フレームに因って天頂部として上方に凸状および下部として柱状の空間を囲繞するように袋状に張設される1枚の防水性シートと、を具備する。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係わる雨天作業用テントの効果は、上方に凸のアーチ状のフレームが、地上部などの作業床面に置かれるフレーム受け枠に天頂で交差するようにしてアーチ状に建てられ、そのフレームに内設されるように張設されたシートにより直方体の空間が囲繞され、その空間に足場を組むことができ、高い位置での作業も行うことができる。
また、フレームの内側に1枚のシートが張設されるので、雨の吹き込みが防げて禁水性が保持される作業空間を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態
図1は、この発明の実施の形態に係わる雨天作業用テントが組み立てられた状態を正面から見た正面図である。図2は、実施の形態に係わるフレーム受け枠の平面図である。図3は、雨天作業用テントのフレームだけをフレーム受け枠に組み立てた正面図である。図4は、折り畳んだ状態の柱である。図5は、シートがシート支持体により張設されたときの開口部をシートの外側から見た背面図である。図6は、シートがシート支持体により張設されたときのファスナ部をシートの外側から見た正面図である。図7は、シートがシート支持体により張設されたときの天頂側から見た平面図である。
【0009】
この発明に係わる雨天作業用テントは、ナトリウム−硫黄電池のモジュール電池が多段に積み上げられて収納されている作業対象物としてのパッケージの扉の前面に置かれ、パッケージ内部のモジュール電池や制御装置の点検、修理および交換などを行える作業空間を確保するために用いられる。そして、モジュール電池は多段に積み上げられているので、高さが5m以上にもなる高所での作業も行うために、足場を作業空間内に設置することが必要である。さらに、パッケージ内に収納されているナトリウム−硫黄電池は、その負極物質として用いられているナトリウムが消防法上の禁水性物質に当たることから、雨水がかからないようにしなければならない。
【0010】
この発明に係わる雨天作業用テント1は、図1に示すように、作業空間を囲繞する袋状の1枚のシート2と、シート2を張設するシート支持体3と、シート支持体3が固定されるフレーム受け枠4から構成されている。
【0011】
フレーム受け枠4は、図2に示すように、上底2.4m、下底2.9m、高さ1.3mの台形の上底と両側辺に位置するアングル5と、台形の4隅に溶接で縦立されている外径1.9cm、長さ10cmの管6から構成されている。アングル5は、荷姿のときは4つの部分に分割されており、組み立てるときは、ネジ締めされる。アングル5は、アルミニウム等辺山形鋼、管6はアルミニウムパイプからできている。このフレーム受け枠4が作業床面に載置される。なお、フレーム受け枠4の大きさは例示しただけで、作業対象物のパッケージなどに対して適切な大きさに設定すればよい。
【0012】
シート支持体3は、図3に示すように、2本のフレーム7からなる。そして、フレーム7は、2.9m間隔で縦立されている2本の柱8と、縦立されている2本の柱8の上端部8aを跨るように固定された上方に凸のアーチ状の梁9とから構成されている。
この2本のフレーム7は、フレーム受け枠4の対角に位置する管6に柱8の下端部8bが挿入されて、梁9の頂点付近で交差するようにして建てられている。
このように、2本のフレーム7が天頂部で交差されているので、水平方向の剛性は均一となり、風の向きが色々であってもシート2を確実に支持できる。
【0013】
柱8と梁9は、図4に示すように、それぞれ複数のパイプ10から構成されており、パイプ10の一方の端部に外径が小さなジョイント部11がパイプ10の延びる方向に溶接して固定されている。そして、柱8または梁9として組み立てるとき、パイプ10の他方の端部にジョイント部11を挿入することにより1本の柱8または梁9となる。そのうえ、組み立てたとき1本の柱8または梁9になるように、パイプ10の中をロープ12が通されており、組のパイプ10は一塊として取り扱うことができるとともに、組み立てる順番も揃っているので、組立に要する時間が短くてすむ。パイプ10は、アルミニウムパイプからできている。
【0014】
シート2は、図5、図6に示すように、底面14、背面15aに設けられている開口部16および正面15bに設けられているファスナ部19の部分を除いてシームレスであり、シート2自体は表面が撥水処理を施されており、雨水を通すことがない。
シート2は、シート支持体3により張設されたとき、天頂部15cが上方に凸のアーチ形になり、その下部に4つの壁に相当する正面15a、背面15b、2つの側面が形成される。
このように天頂部15cが上方に凸のアーチ形になっているので、雨が降っても開口部のない側面を伝わって流れるので、天頂部15cに溜まることがない。
【0015】
図示しないパッケージの扉に相対する台形の上底に該当する背面15aに、図5に示したように、開口部16が設けられている。この開口部16は、作業対象のナトリウム−硫黄電池が収納されているパッケージに設けられている扉に面するように配置される。
また、開口部16の外縁に図5に示すように、フラップ部17が設けられている。
また、フラップ部17には、フラップ部17を作業空間側に引っ張り力を加えながら係止する係止ロープ18が適当な間隔をおいて取り付けられている。
また、開口部16が設けられている背面15aに相対する正面15bには、図6に示すように、作業者が作業空間に出入りするときに開閉するファスナ部19が設けられている。
【0016】
また、シート2には、フレーム7を通すことができるフレームガイド20がフレーム7の建てられたときの位置に沿うように外表面に貼付されている。このフレームガイド20は、フレーム7が通されているとき、内径が2.4cm位のトンネル状である。
また、天頂部15cのフレームガイド20は、図7に示すように、対角線上に貼付されている。
【0017】
次に、ナトリウム−硫黄電池のパッケージの前面に雨が入り込まない作業空間を確保するための雨天作業用テント1の組立について説明する。
フレーム受け枠4をパッケージの扉の前面に組み立てて設置する。
次に、フレーム7の柱8を4本、梁9を2本組み立てる。
次に、シート2を拡げる。
次に、梁9をシート2の天頂部15cのフレームガイド20に2本の梁9が天頂で交差するように通す。
次に、柱8をシート2の側面のフレームガイド20に通して行き、上端部8aで梁9の端部と連結する。
次に、フレーム7がフレームガイド20に通されたまま、シート2の天頂部15cが上に向くように90度起こす。
次に、シート2の背面15aの開口部16がパッケージの扉の前に配置できるようにしながら、柱8をそれぞれフレーム受け枠4の管6に挿入し、固定する。
次に、底面14のフラップ部17を挟持部材としての磁石によりフレーム受け枠4のアングル5に挟み込む。さらに背面15aの開口部16のフラップ部17も挟持部材としての磁石によりパッケージの扉の外側に挟み込む。
次に、係止ロープ18をフレーム受け枠4のアングル5、パッケージ内に引っ張りながら他端を固定する。
【0018】
このように、フラップ部17が磁石によりアングル5またはパッケージに挟持されるので、風があっても雨が作業空間に吹き込むことを防ぐことができる。
また、フラップ部17が係止ロープにより張力が加えられているいので、風が強く吹いていてもフラップ部17が巻き上げられることがない。
【0019】
このような雨天作業用テント1は、2本のフレーム7がフレーム受け枠4に天頂で交差するようにしてアーチ状に建てられているので、フレーム7により直方体の空間が囲繞され、その空間に足場を組むことができ、高い位置での作業も行うことができる。
また、フレーム7によりその内側に1枚のシート2が張設されるので、禁水性が保持される作業空間を得ることができる。
また、開口しているところにフラップ部17が付けられており、そのフラップ部17を磁石またはマジックテープ(登録商標)などで、フレーム受け枠4やナトリウム−硫黄電池のパッケージに固定することができるので、雨水の吹き込みを防止することができる。
また、天頂部15cが上方に凸のアーチ形をしているので、パッケージの一番上の段に収納されているモジュール電池に対しても、頭上に余裕を持った姿勢で作業を進めることができる。
【0020】
なお、フレーム受け枠4の形状が台形として説明したが、長方形であっても同様な雨天作業用テントを得ることができる。
また、フレーム7の数を2本として説明してきたが、3本以上のフレーム7を用いることにより、より大きな作業空間を確保でき、さらに、太径のパイプを使用することで剛性のより大きな雨天作業用テントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態に係わる雨天作業用テントが組み立てられた状態を正面から見た正面図である。
【図2】実施の形態に係わるフレーム受け枠の平面図である。
【図3】雨天作業用テントのフレームだけをフレーム受け枠に組み立てた正面図である。
【図4】折り畳んだ状態の柱である。
【図5】シートがシート支持体により張設されたときの開口部をシートの外側から見た背面図である。
【図6】シートがシート支持体により張設されたときのファスナ部をシートの外側から見た正面図である。
【図7】シートがシート支持体により張設されたときの天井側から見た平面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 雨天作業用テント、2 シート、3 シート支持体、4 フレーム受け枠、5 アングル、6 管、7 フレーム、8 柱、9 梁、10 パイプ、11 ジョイント部、12 ロープ、14 底面、15a 背面、15b 正面、15c 天頂部、16 開口部、17 フラップ部、18 係止ロープ、19 ファスナ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業空間への雨の吹き込みを防止するために張られる雨天作業用テントにおいて、
上記作業空間の床面から縦立され、天頂で交差する上方に凸形の複数のフレームと、外表面に上記フレームが通されるフレームガイドが付設され、上記フレームガイドに通された上記フレームに因って天頂部が上方に凸状および下部として柱状の空間を囲繞するように袋状に張設される1枚の防水性シートと、を具備することを特徴とする雨天作業用テント。
【請求項2】
上記シートは、背面に作業対象物に面した開口部が設けられ、上記作業対象物に挟持部材により挟持されるフラップ部が上記開口部の外周から延ばされていることを特徴とする請求項1に記載する雨天作業用テント。
【請求項3】
上記フラップ部に上記フラップ部を張設する係止ロープが付設されていることを特徴とする請求項2に記載する雨天作業用テント。
【請求項4】
上記フレームは、一端に被嵌合部、他端に嵌合部が形成されている複数のパイプから構成され、
上記複数のパイプは、連結される順番に上記パイプの内側に通されたロープにより整列され、上記被嵌合部を他の上記パイプの上記嵌合部に嵌合することにより連結されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載する雨天作業用テント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−257759(P2006−257759A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77288(P2005−77288)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】