説明

雨水ます用フィルター

【課題】内かごの清掃作業の省力化を図ることができる雨水ます用フィルターを提供する。
【解決手段】雨水ます用フィルター1は、マスプレート102と、内かご2と、外かご3と、複数の内かご2用の吊り具4と、複数の外かご3用の吊り具5とを備えている。内かご2は、マスプレート102の孔102aの下側に隙間Saをあけて配置され、複数の吊り具4を用いてマスプレート102に着脱可能に取り付けられている。外かご3は、内かご2を囲むようにしてマスプレート102の孔102aの下側に隙間Saをあけて配置され、複数の吊り具5を用いてマスプレート102に固定されている。双方の隙間Saの高さSahは、内かご2の上端からあふれた大きなゴミがマスプレート102の孔102aから流入する雨水によって内かご2と外かご3の間の空間へ流し出すことが可能な高さに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、雨水ます用フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路の側溝等には一般的に雨水ますが設けられている。この雨水ます内には、雨水ます用フィルターが配置されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
図15に、雨水ます11内に従来の雨水ます用フィルター101が配置された状態を示す。ここで、雨水ます11の構造について説明しておく。雨水ます11は、ます本体12と、ふた13とを備えている。
【0004】
ます本体12は、側溝10内に埋設されている。このます本体12は箱型状に形成されており、上面が開口している。ます本体12の下部には排水口14が設けられており、この排水口14の内側には水平フィルター15が装着されている。ふた13は、ます本体12の上面の開口部を塞ぐように配置されており、このふた13には、2つの孔13a、13bが形成されている。
【0005】
従来の雨水ます用フィルター101は、マスプレート102と、内かご103と、外かご104とを備えている。マスプレート102は、ます本体12内で内側面12aに支持されて配置され、平板状に形成されており、中央部分に孔102aが開口されており、この孔102aは、ふた13の道路側の孔13aの下方に配置されている。
【0006】
双方のかご103、104は、マスプレート102の孔102aの下側に配置されており、外かご104はマスプレート102に固定されている。内かご103は、マスプレート102の孔102aに上方からはめ込まれて、外かご104内に配置されている。また、内かご103に形成されている格子孔103aは、外かご104に形成されている格子孔104aよりも大きく設定されている。
【0007】
以上のように構成されている従来の雨水ます用フィルター101は、降雨時には、図16に示すように、雨水Rがゴミとともにふた13の孔13aを通過して内かご103内に入る。このときに大きなゴミA(落葉等)は内かご103の格子孔103aに捕捉される。また、内かご103の格子孔103aよりも小さいゴミ(タバコのフィルター等:図示せず)は雨水Rとともに内かご103を通過して外かご104内に入り、外かご104の格子孔104aに捕捉される。
【0008】
従来の雨水ます用フィルター101は、以上のようにして雨水Rから大部分のゴミを除去している。雨水Rは外かご104を通過してます本体12内に入り、水平フィルター15を通過して排水口14から流出管16を経て、雨水貯留浸透槽や下水管(不図示)へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−119872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の雨水ます用フィルター101は、図16に示すように内かご103からゴミAがあふれると、ふた13の孔13aがすぐに詰まり、ふた13が冠水してしまう。そのため、内かご103を頻繁に取り出して清掃しなければならなかった。
【0011】
本件発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、内かごの清掃作業の省力化を図ることができる雨水ます用フィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本件発明者等は、鋭意研究の結果、前記課題を解決するために以下のような雨水ます用フィルターを採用した。
【0013】
本件発明の雨水ます用フィルターは、
雨水ますの内側面に支持されたマスプレートに設けられた孔の下側に隙間をあけて配置された内かごと、この内かごを囲むように前記マスプレートの下側に隙間をあけて配置された外かごとを備える雨水ます用フィルターであって、
双方の隙間の高さは、前記内かごの上端からあふれた雨水中のゴミが、前記マスプレートの孔から流入する雨水によって前記内かごと前記外かごの間の空間へ流し出すことが可能な高さに設定されていることを特徴としている。
【0014】
ここで、内かごの底部と外かごの底部との間には空間が形成されていることが好ましい。また、外かごの上端面は内かごの上端面よりも低く設置されることが好ましい。さらに、内かごと外かごはマスプレートに吊り具を用いて取り付けられ、双方の吊り具は、対応するかごの吊り下げ位置を上下に調整可能に構成されていることが好ましい。
【0015】
また、内かごに形成されている孔は、外かごに形成されている孔よりも大きく形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本件発明の雨水ます用フィルターでは、双方のかごとマスプレートとの間に隙間を設けた。これにより、内かごの上端からゴミがあふれても、そのゴミを雨水を利用して内かごと外かごの間の空間へ流し出すことが可能になる。したがって、マスプレートの孔がすぐに詰まることがないので内かごを頻繁に取り出して清掃する必要がない。よって、本件発明の雨水ます用フィルターは、内かごの清掃作業の省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本件発明の第1の実施の形態の雨水ます用フィルターの使用前の状態を示す模式図である。
【図2】同実施の形態の雨水ます用フィルターの使用中の状態を示す模式図である。
【図3】本件発明の第2の実施の形態の雨水ます用フィルターの使用前の状態を示す模式図である。
【図4】同実施の形態の雨水ます用フィルターの使用中の状態を示す模式図である。
【図5】本件発明の第3の実施の形態の雨水ます用フィルターの使用前の状態を示す模式図である。
【図6】同実施の形態の雨水ます用フィルターの使用中の状態を示す模式図である。
【図7】本件発明の第4の実施の形態の雨水ます用フィルターの使用前の状態を示す模式図である。
【図8】同実施の形態の雨水ます用フィルターの使用中の状態を示す模式図である。
【図9】本件発明の第5の実施の形態の雨水ます用フィルターの斜視図である。
【図10】同実施の形態において内かごの上部の拡大図である。
【図11】同実施の形態において内かごの出し入れの状態を示す図である。
【図12】同実施の形態において外かごの吊り下げ部分の拡大図である。
【図13】外かごの吊り下げ部分の変形例を示す図である。
【図14】雨水ます用フィルターの変形例を示す平面図である。
【図15】従来の雨水ます用フィルターの使用前の状態を示す模式図である。
【図16】従来の雨水ます用フィルターの使用中の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本件発明の実施の形態を図にしたがって説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本件発明の第1の実施の形態の雨水ます用フィルター1の使用前の状態を示す模式図である。なお、本実施の形態では従来と同じ部分には同じ符号を付している。本実施の形態の雨水ます用フィルター1は、マスプレート102と、内かご2と、外かご3と、複数の内かご2用の吊り具4と、複数の外かご3用の吊り具5とを備えている。
【0020】
内かご2は、マスプレート102の孔102aの下側に隙間Saをあけて配置されており、複数の吊り具4を用いてマスプレート102に着脱可能に取り付けられている。この内かご2は、樹脂によって円筒状に形成されており、上面が開口している。
【0021】
内かご2の外径(横幅)は、マスプレート102の孔102aの径よりも小さく設定されている。したがって、内かご2を孔102aを介して出し入れすることが可能になっている。内かご2の側部2bと底部2cとには、多数の孔2aが全体にわたって形成されている。この孔2aは、大きなゴミ(落葉等)を捕捉するものである。
【0022】
外かご3は、内かご2を囲むようにしてマスプレート102の孔102aの下側に隙間Sbをあけて配置されており、複数の吊り具5を用いてマスプレート102に固定されている。この外かご3は、樹脂によって円筒状に形成されており、上面が開口している。外かご3の側部3bと底部3cとには、多数の孔3aが全体にわたって形成されている。この孔3aは、小さなゴミ(タバコのフィルター等)を捕捉するものであり、内かご2の孔2aよりも小さく形成されている。
【0023】
以上のように構成されている雨水ます用フィルター1は、従来と同様な方法で雨水Rから大部分のゴミを除去する。これについて説明すると、降雨時には、図2に示すように、雨水Rがゴミとともにふた13の孔13a、マスプレート102の孔102aを通過して内かご2内に入る。ここで大きなゴミA(落葉等)は、内かご2の孔2aで捕捉される。続いて、内かご2の孔2aよりも小さいゴミ(タバコのフィルター等:図示せず)は雨水Rとともに内かご2を通過して外かご3内に入り、外かご3の孔3aで捕捉される。
【0024】
このようにしてゴミが除去された雨水Rは、外かご3を通過してます本体12内に入り、水平フィルター15を通過して排水口14から流出管16を経て雨水貯留浸透槽や下水管(不図示)へ排出される。
【0025】
そして、本実施の形態の雨水ます用フィルター1では、双方のかご2、3とマスプレート102との間に隙間Saを設けている。双方の隙間Saの高さSah(図1参照)は、内かご2の上端からあふれた大きなゴミAがマスプレート102の孔102aから流入する雨水Rによって内かご2と外かご3の間の空間へ流し出すことが可能な高さに設定されている。この高さは、本実施の形態では、例えば20mm〜50mmに設定される。
【0026】
したがって、図2に示すように内かご2の上端から落葉等の大きなゴミAがあふれても、この隙間Saを利用してゴミAを内かご2と外かご3の間の空間へ流し出すことが可能になる。そのため、マスプレート102の孔102aやふた13の孔13aがすぐに詰まることがないので、内かご2を頻繁に取り出して清掃する必要がない。よって、本実施の形態の雨水ます用フィルター1は、内かご2の清掃作業の省力化を図ることができる。
【0027】
また、本実施の形態の雨水ます用フィルター1では、双方のかご2、3の底部2c、3cの間に空間Sbを設けている。このため、内かご2の底部2cがゴミAで詰まっても、内かご2からしみでた雨水Rは、この空間Sbを通って外かご3の底部3cから排出することが可能になる。このように本実施の形態の雨水ます用フィルター1では、双方のかご2、3の底部2c、3cが面接している場合に比べ、外かご3の底部3cから雨水Rを排出することが可能になる分、雨水Rの排出効率を高めることができる。
【0028】
また、本実施の形態の雨水ます用フィルター1では、内かご2の孔2aを外かご3の孔3aよりも大きく形成したので、内かごの孔2aがゴミですぐに詰まるのを防ぐことができる。よって、本実施の形態の雨水ます用フィルター1は、雨水Rの排出効率の低下を抑えることができる。
【0029】
また、本実施の形態の雨水ます用フィルター1では、双方のかご2、3を樹脂で形成したので、雨水ます用フィルター1全体の軽量化を図ることができ、内かご2の清掃作業の作業性を高めることができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
図3は、本件発明の第2の実施の形態の雨水ます用フィルター6の使用前の状態を示す模式図である。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。本実施の形態の雨水ます用フィルター6は、マスプレート102と、内かご2と、外かご7と、複数の内かご2用の吊り具4と、複数の外かご7用の吊り具8とを備えている。
【0031】
双方のかご2、7は、樹脂により円筒状に形成されている。そして、外かご7の上端面が内かご2の上端面よりも低く設置されている。具体的には、外かご7の上端面を、第1の実施の形態の外かご3(図1参照)の上端面よりも高さが低くなるように形成している。外かご7の側部7bと底部7cとには、多数の孔7aが全体にわたって形成されている。この孔7aは、第1の実施の形態の外かご3の孔3aと同じものである。
【0032】
このようにして外かご7の上端面を内かご2の上端面よりも低く設置した場合には、外かご7とマスプレート102との間の隙間Scの高さSchが、内かご2とマスプレート102との間の隙間Saの高さSahよりも大きくなる。したがって、図4に示すように内かご2の上端から落葉等の大きなゴミAがあふれても、そのゴミAを雨水Rによって内かご2と外かご7の間の空間やます本体12内の方へ流し出すことが可能になる。そのため、マスプレート102の孔102aの詰まり、ふた13の孔13aの詰まり、隙間Sa、Sc自体の詰まりを確実に抑えることが可能になる。よって、本実施の形態の雨水ます用フィルター6は、第1の実施の形態の雨水ます用フィルター1に比べて内かご2を取り出す頻度がさらに抑えられ、内かご2の清掃作業をさらに省力化できる。
【0033】
なお、第1の実施の形態の外かご3を使用する場合には、外かご3を本実施の形態の吊り具8を用いてマスプレート102に取り付ければ、外かご3の上端面を内かご2の上端面よりも低く設置することが可能である。
【0034】
(第3の実施の形態)
図5は、本件発明の第3の実施の形態の雨水ます用フィルター9の使用前の状態を示す模式図である。なお、本実施の形態では、第2の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。本実施の形態の雨水ます用フィルター9は、マスプレート102と、内かご2と、外かご7と、複数の内かご2用の吊り具91と、複数の外かご7用の吊り具92とを備えている。
【0035】
そして、本実施の形態では、複数の吊り具91、92が、それぞれ、内かご2の吊り下げ位置、外かご7の吊り下げ位置を上下に調整可能なように構成されている。以下に具体的に説明する。
【0036】
内かご2用の吊り具91は、2枚の調整プレート93と、2本のワイヤ94と、2つの固定具96とを備えている。2枚の調整プレート93は、内かご2の側部2bの上部に対向して取り付けられている。この調整プレート93には、複数の孔93aが上下に間隔をおいて設けられている。固定具96はマスプレート102に取り付けられている。この固定具96はネジ止め式であり、ボルト96aとナット96bとを備えている。
【0037】
ワイヤ94の一端は、調整プレート93の孔93aに係止されている。ワイヤ94の他端は、マスプレート102の孔102aの外側に設けられた通し孔102bを介して固定具96のボルト96aとナット96bとの間に係止されている。したがって、ワイヤ94の一端を係止する調整プレート93の孔93aの位置を変えることにより、内かご2の吊り下げ位置を上下に調整することが可能になっている。
【0038】
外かご7用の吊り具92は、2枚の調整プレート93と、2本のワイヤ95と、2つの固定具96とを備えている。2枚の調整プレート93は、外かご7の側部7bの上部に対向して取り付けられている。
【0039】
ワイヤ95の一端は、調整プレート93の孔93aに係止されている。ワイヤ95の他端は、固定具96のボルト96aとナット96bとの間に係止されている。したがって、ワイヤ95の一端を係止する調整プレート93の孔93aの位置を変えることにより、外かご7の吊り下げ位置を上下に調整することが可能になっている。
【0040】
なお、内かご2の吊り具を、調整プレート93を使用せずにワイヤ94と固定具96とから構成しても良い。この場合には、ワイヤ94の他端を内かご2の孔2aに係止することになる。同様に、外かご7の吊り具も、調整プレート93を使用せずにワイヤ95と固定具96とから構成しても良い。この場合には、ワイヤ95の他端を外かご7の孔7aに係止することになる。したがって、孔2a、7aの位置を上下に変えることにより、双方のかご2、7の吊り下げ位置をそれぞれ上下に調整することが可能になる。
【0041】
このように双方のかご2、7の吊り下げ位置を上下に調整すると、双方のかご2、7とマスプレート102との間の隙間Sa、Scの高さSah、Schを、降雨時におけるゴミの流入量に応じて自由に変えることができる。例えば、ゴミの流入量が多い場合には、双方の隙間Sa、Scの高さSah、Schを通常よりも大きく設定する。
【0042】
したがって、図6に示すように、内かご2の上端から落葉等の大きなゴミAがあふれても、ゴミAとマスプレート102の孔102aとの間に余裕があるので、そのゴミAを雨水Rによって内かご2と外かご7の間の空間やます本体12内の方へ容易に流し出すことが可能になる。その結果、マスプレート102の孔102aの詰まり、ふた13の孔13aの詰まり、隙間Sa、Sc自体の詰まりをより確実に抑えることが可能になる。よって、本実施の形態の雨水ます用フィルター9は、ゴミの流入量に関わらず、内かご2の清掃作業を確実に省力化できる。
【0043】
(第4の実施の形態)
図7は、本件発明の第4の実施の形態の雨水ます用フィルター21の使用前の図である。なお、本実施の形態では、第2の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。本実施の形態の雨水ます用フィルター21は、マスプレート102と、内かご22と、外かご7と、複数の内かご22用の吊り具4と、複数の外かご7用の吊り具8とを備えている。
【0044】
内かご22は、マスプレート102の孔102aの下側に隙間Sdをあけて配置され、複数の吊り具4を用いてマスプレート102に着脱可能に取り付けられている。この内かご22は、樹脂によって円筒状に形成されており、上面が開口している。
【0045】
内かご22の外径(横幅)は、マスプレート102の孔102aの径よりも小さく設定されている。したがって、内かご22を孔102aを介して出し入れすることが可能になっている。内かご22の側部22bと底部22cとには、多数の孔22aが全体にわたって形成されている。この孔22aは、上記の各実施の形態の内かご2の孔2aと同じものである。そして、本実施の形態では、内かご22の上端22dが、ふた13の孔13aに近い側から下方へ斜めにカットされている。
【0046】
したがって、図8に示すように内かご22の上端から落葉等の大きなゴミAがあふれた場合には、そのゴミAが落下しやすくなるので、そのゴミAを内かご22と外かご7の間の空間やます本体12内の方へ容易に流し出すことが可能になる。そのため、マスプレート102の孔102aの詰まり、ふた13の孔13aの詰まり、隙間Sd、Sc自体の詰まりを確実に抑えることができる。よって、本実施の形態の雨水ます用フィルター21では、内かご22の清掃作業を確実に省力化できる。
【0047】
さらに、外かご7の上端を内かご22と同様に斜めにカットしても良い。この場合には、外かご7に入った落葉等の大きなゴミAをます本体12内へ容易に落とすことが可能になり、外かご7が大きなごみAで詰まるのが抑えられ、雨水の排出効率を高い状態で維持できるという効果を得ることができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、内かご22と外かご7の高さを固定していたが、第3の実施の形態で説明した吊り具91、92を用いて双方のかご22、7の高さを変えるようにしても良い。
【0049】
(第5の実施の形態)
図9は、本件発明の第5の実施の形態の雨水ます用フィルター31の斜視図である。なお、本実施の形態では、上記の実施の形態と同じ部分には同じ符号を付し、異なる部分を中心にして説明する。本実施の形態の雨水ます用フィルター31は、マスプレート102と、内かご32と、外かご33と、内かご32用の2つの吊り具34と、外かご33用の4つの吊り具35とを備えている。
【0050】
内かご32は、マスプレート102の孔102aの下側に隙間Saをあけて配置され、2つの吊り具34を用いてマスプレート102に着脱可能に取り付けられている。
【0051】
また、この内かご32は円筒状に形成されて上面が開口している。これを具体的に説明すると、内かご32の側部32bは、樹脂製の網を円筒状に丸めて両端を紐で結ぶ等して形成されている。内かご32の底部32cは、側部32bと同様に樹脂製の網から形成されている。この底部32cは、側部32bの下端部に紐等で取り付けられている。
【0052】
したがって、この内かご32は、側部32bと底部32cを形成している網の目が孔32aを形成している。この孔32aは、上記の各実施の形態で説明した内かごの孔と同様に大きなゴミ(落葉等)を捕捉するものである。
【0053】
また、側部32bの上下端部には、保持部材321がそれぞれ装着されている。この保持部材321は樹脂によってリング状に形成されており、内かご32の形状を保持するものである。双方の保持部材321の内部には、図10に示すように補強部材322が設けられている。この補強部材322は金属製であって、リング状に形成されている。なお、図10では上側の保持部材321を示している。
【0054】
さらに、図10において、保持部材321の上面には、一対の切り欠き321a,321aが対向して形成されている。この切り欠き321a,321aによって、補強部材322の一部が対向して露出している。この露出した部分には、取っ手323の両端が引っ掛けられている。この取っ手323は金属によって逆U字状に形成されている。
【0055】
また、2つの吊り具34は、それぞれ金属によって鉤状に形成されている。各吊り具34は、引っ掛け部34aと、支持部34bとから形成されている。引っ掛け部34aは、図9に示すようにマスプレート102の孔102aの周縁部に引っ掛けられて固定されている。支持部34bは、図10に示すように、その下端部34cが上側の保持部材321の外側面(内かご32の外側面)に固定されている。
【0056】
また、図11に示すように、内かご32の外径(横幅)は、マスプレート102の孔102aの径よりも小さく設定されている。これにより、作業者は、取っ手323を持って内かご32を孔102aを介して出し入れすることにより内かご32の着脱が可能になっている。このときに、吊り具34,34は、支持部34b,34bがマスプレート102の孔102aの内周面に当接するように形成されている。したがって、この吊り具34,34と孔102aは、内かご32を出し入れするときのガイドになる。よって、本実施の形態の雨水ます用フィルター31は、内かご32の出し入れをスムーズに行うことができる。
【0057】
さらに、内かご32は、保持部材321と補強部材322とによって形状が常に保持されているので、出し入れの際の変形を防ぐこともできる。
【0058】
次に、外かご33について説明する。図9に示すように外かご33は、内かご32を囲むようにしてマスプレート102の孔102aの下側に隙間Scをあけて配置されており、4本の吊り具35を用いてマスプレート102に固定されている。なお、外かご33の底部33cと内かご32の底部32cとの間には、上記の各実施の形態と同様に空間Sbが設けられている。
【0059】
また、外かご33は円筒状に形成されて上面が開口している。これを具体的に説明すると、外かご33の側部33bは、樹脂製の網を円筒状に丸めて両端を紐で結ぶ等して形成されている。外かご33の底部33cは、側部33bと同様に樹脂製の網から形成されている。この底部33cは、側部33bの下端部に紐等で取り付けられている。
【0060】
したがって、この外かご33は、側部33bと底部33cを形成している網の目が孔33aを形成している。この孔33aは、上記の各実施の形態で説明した外かごの孔と同様に小さなゴミ(タバコのフィルター等)を捕捉するものであり、内かご32の孔32aよりも小さく形成されている。
【0061】
また、側部33bの上下端部には、保持部材331がそれぞれ装着されている。この保持部材331は樹脂製であり、リング状に形成されている。そして、この保持部材331は外かご33の形状を保持するものである。双方の保持部材331の内部には、それぞれ補強部材(図示せず)が設けられている。この補強部材は金属製であり、リング状に形成されている。
【0062】
図12に示すように上側の保持部材331は、2つの樹脂製のリング部材332が上下に重ねられて形成されている。上側のリング部材332の外周面には、4つの取付部333が設けられている。この4つの取付部333は、上側のリング部材332の外周面で等間隔(十字方向)に配置されている。各取付部333は側方に突出して形成されている。また、各取付部333には、取付孔(図示せず)が上下に貫通して設けられている。
【0063】
また、4つの吊り具35は、外かご33の上下位置の調整が可能になっている。これを具体的に説明すると、図9と図12に示すように、各吊り具35は、支持棒35aと、3つのナット35bとを備えている。
【0064】
支持棒35aは、マスプレート102の孔102aの周囲に設けられた取付孔(図示せず)と、保持部材331の取付部333の取付孔(図示せず)とを貫通して上下に長く配置されている。この支持棒35aにはねじが切られている。
【0065】
3つのナット35bの内の1つは、図9に示すようにマスプレート102の上方から支持棒35aの上端部に螺合してマスプレート102の上面に固定されている。残りの2つのナット35bは、図12に示すように取付部333を挟むようにして支持棒35aに螺合されている。
【0066】
以上のように構成されている4つの吊り具35において、外かご33の上下位置を調整する場合には、取付部333を挟んでいる2つのナット35bを緩めて、支持棒35aと取付部333との取り付け位置を上下に調整する。つまり、本実施の形態の雨水ます用フィルター31では、外かご33の位置を内かご32よりも低く位置した状態で、外かご33の高さを簡単に調整することが可能になる。言い換えると、外かご33とマスプレート102との間の隙間Scの高さSchを、内かご32とマスプレート102との間の隙間Saの高さSahよりも大きくした状態で簡単に調整することが可能になる。
【0067】
したがって、ゴミの流入量が多い場合でも、外かご33の位置を通常よりも低く設定することにより隙間Scの高さSchが大きくなるので、内かご32の上端からあふれた落葉等の大きなゴミを雨水によって内かご32と外かご33の間の空間やます本体12内の方へ確実に流し出すことが可能になる。そのため、マスプレート102の孔102aの詰まり、ふた13の孔13aの詰まり、隙間Sa、Sc自体の詰まりを確実に抑えることが可能になる。よって、本実施の形態の雨水ます用フィルター31は、第2の実施の形態の雨水ます用フィルター6に比べて内かご32を取り出す頻度がさらに抑えられ、内かご32の清掃作業をさらに省力化できる。
【0068】
なお、本実施の形態で説明した取付部333の他に、図13に示すような取付部433が挙げられる。この取付部433は樹脂で形成されており、外かご33の上端部に装着された保持部材431に固定されている。そして、この取付部433は、外かご用取付部433aと、吊り具用取付部433bとを備えている。
【0069】
外かご用取付部433aはU字状に形成されている。この外かご用取付部433aは、保持部材431を下方から左右に挟むように配置されている。吊り具用取付部433bは、外かご用取付部433aの上端に結合しており、吊り具用取付部433bとともに保持部材431の上下から挟むように配置されている。また、吊り具用取付部433bは、外かご用取付部433aから側方へ延びて形成されている。吊り具用取付部433bの先端部には、取付孔(図示せず)が上下に貫通して設けられている。
【0070】
一方、吊り具35は、支持棒35aの下端部が、吊り具用取付部433bの取付孔に通されて配置されており、2つのナット35bが、この吊り具用取付部433bを挟むようにして支持棒35aに螺合されている。
【0071】
したがって、吊り具35は、この取付部433に取り付けられた場合でも、2つのナット35bを緩めて支持棒35aと取付部433との取り付け位置を上下に調整することが可能になる。また、この取付部433は、保持部材431に直接設けられていないので、上記の保持部材331のように保持部材431を2つの部材から構成する必要がなく、単一の部材から構成することができる。よって、この取付部433を使用した場合には、保持部材431の製造コストを抑えることができる。
【0072】
以上、本件発明にかかる実施の形態を例示したが、これらの実施の形態は本件発明の内容を限定するものではない。また、本件発明の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0073】
例えば、図14(a)に示すように、内かご2と外かご3は円筒状に形成される他に、(b)や(c)に示すように四角形の筒状に形成されても良い。また、孔2a、3aは、必ずしもかご全体に設けなくても良い。例えば、外かご3が四角形の筒状に形成されている場合には、(c)に示すように四隅を除いた部分に孔3aを設けるようにしても良い。なお、図14では、第1の実施の形態の内かご2と外かご3の場合を示したが、その他の実施の形態で説明した内かごや外かごの場合でも同様にしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように本件発明の雨水ます用フィルターは、内かごの清掃作業の省力化を図ることができる。したがって、本件発明の雨水ます用フィルターを、雨水ます用フィルターの技術分野で十分に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 雨水ます用フィルター
2 内かご
2a 内かごの孔
2c 内かごの底部
3 外かご
3a 外かごの孔
3c 外かごの底部
4 内かご用の吊り具
5 外かご用の吊り具
6 雨水ます用フィルター
7 外かご
7a 外かごの孔
7c 外かごの底部
8 外かご用の吊り具
9 雨水ます用フィルター
11 雨水ます
12a 内側面
21 雨水ます用フィルター
22 内かご
22a 内かごの孔
22c 内かごの底部
31 雨水ます用フィルター
32 内かご
32a 内かごの孔
32c 内かごの底部
33 外かご
33a 外かごの孔
33c 外かごの底部
34 内かご用の吊り具
35 外かご用の吊り具
91 内かご用の吊り具
92 外かご用の吊り具
102 マスプレート
102a マスプレートの孔
Sa 隙間
Sb 空間
Sc 隙間
Sd 隙間
Sah 隙間の高さ
Sch 隙間の高さ
A 落葉等の大きなゴミ
R 雨水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水ますの内側面に支持されたマスプレートに設けられた孔の下側に隙間をあけて配置された内かごと、この内かごを囲むように前記マスプレートの下側に隙間をあけて配置された外かごとを備える雨水ます用フィルターであって、
双方の隙間の高さは、前記内かごの上端からあふれた雨水中のゴミが、前記マスプレートの孔から流入する雨水によって前記内かごと前記外かごの間の空間へ流し出すことが可能な高さに設定されていることを特徴とする雨水ます用フィルター。
【請求項2】
請求項1に記載の雨水ます用フィルターにおいて、
前記内かごの底部と前記外かごの底部との間には空間が形成されていることを特徴とする雨水ます用フィルター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の雨水ます用フィルターにおいて、
前記外かごの上端面を前記内かごの上端面よりも低く設置したことを特徴とする雨水ます用フィルター。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の雨水ます用フィルターにおいて、
前記内かごと前記外かごは、前記マスプレートに吊り具を用いて取り付けられ、
双方の吊り具は、対応するかごの吊り下げ位置を上下に調整可能に構成されていることを特徴とする雨水ます用フィルター。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の雨水ます用フィルターにおいて、
前記内かごに形成されている孔を、前記外かごに形成されている孔よりも大きく形成したことを特徴とする雨水ます用フィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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