説明

雨水活用装置

【課題】雨水をトイレ洗浄などに積極的に利用することが、電力を一切使用せずに、容易に、しかも低コストで行えるようにする。
【解決手段】雨樋23を通って流下する雨水を導く供給路31と、鉛直方向に立設され、上記供給路31を通った雨水を導入する貯水筒41…とを有する。貯水筒41は、筒状の本体筒42と、本体筒42の上下両端に固定されるキャップ部材43,44とで構成される。そして、上端のキャップ部材43には、雨水を貯水筒41内に導入する入口となるとともにオーバーフローする雨水を雨樋側に排出する出口となる連通孔が形成される。また、貯水筒41の上端より下側の部位には、内部の雨水を排出する排水部45を備え、排水部45にはトイレ等に雨水を送る送水路51,52,53を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、雨水をトイレ等に優先的に使用し、雨水の活用を図る雨水活用装置に関し、より詳しくは、電力を一切使用しない雨水活用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水をトイレ等に利用する装置として、たとえば下記特許文献1に開示された技術がある。
【0003】
この装置は、水平方向に並ぶように配設された複数の貯留部を有し、このうちの一つの貯留部である第1貯留部に、雨水を導く第1供給流路が設けられるとともに、第1貯留部の下端には雨水を排出する供給バルブが設けられている。また、第1貯留部を含む各貯留部間には、上部連通手段と下部連通手段が接続されている。上部連通手段は、オーバーフローする雨水を順に他の貯留部に導入するために、各貯留部の側面に設けられている。また、下部連通手段は、各貯留部の側面を連通するためのものであり、この下部連通手段には、第1貯留部の雨水を先に供給すべく、雨水の流れを阻止する能力が異なる逆止弁が備えられている。
【0004】
すなわち、上記のような逆止弁を有するので、給水バルブを開くと、まず第1貯留部の雨水が供給される。第1貯留部の水位が低下して第2貯留部の水位より僅かに低くなると、第2貯留部にたまった雨水が下部連通手段を通って第1貯留部に流入し、第1及び第2貯留部の水位は略同一のまま低下するというものである。
【0005】
なお、第1貯留部の雨水を先に供給するとはいっても、第1貯留部の雨水を完全に出し切ったのちに、他の貯留部の雨水を供給するというものではない。ポンプ等の動力源を用いなくても、貯留した雨水を、貯留部の雨水の位置エネルギを利用することにより必要な場所に供給できるようにするというものである。
【0006】
【特許文献1】特許第2695608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような構成では、装置が雨水を供給できる状態にあるとき、つまり雨水がたまった状態であるときには、必ず第1貯留部に雨水があることになる。このため、苔や水垢の発生など、雨水が貯留されていることによる弊害が第1貯留部に多く起る。
【0008】
また、上述のような構造では、構造上無駄が多い。すなわち、上部連通手段や下部連通手段は、貯留部の側面に設けられるため、製造のための加工等が複雑になり、コストがかかる。また、特に上部連通手段が側面に設けられていると、上部連通手段の位置が貯留部の現実の高さ(有効高さ)となって、貯留部の高さが生かされないという難点がある。
【0009】
そこで、この発明は、雨水がたまることによる弊害の発生をなくすとともに、コスト面等での効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、雨樋を通って流下する雨水を導く供給路と、鉛直方向に立設され、上記供給路を通った雨水を導入する貯水筒とを有し、該貯水筒の上端には、雨水を貯水筒内に導入する入口となるとともにオーバーフローする雨水を雨樋側に排出する出口となる連通部が形成され、貯水筒の上端より下側の部位には、内部の雨水を排出する排水部が設けられた雨水活用装置である。
【0011】
すなわち、雨水は、雨樋から供給路を通って、貯水筒の上端に形成された連通部から貯水筒に導入される。貯水筒からあふれた雨水は、連通部を通して雨樋側に流れる。そして、貯水筒内の雨水は、必要な時に排水部を通して、たとえばトイレなどに供給される。排水部は、貯水筒部の上端より下側の部位に設けられるので、ポンプ等の動力源なしに雨水の供給ができる。排水部の位置は低ければ低いほど高い圧力で排水できる。
【0012】
連通部は、貯水筒の上端に設けられるので、貯水筒の構造を簡素にできるとともに、貯水筒の高さを十分に利用できる。たとえば、貯水筒は、筒状の本体筒と、該本体筒の上下両端に固定されるキャップ部材とで構成するとよい。連通部は上端のキャップに設けられる。この結果、製造や施工が容易でコストを低減できる。
【0013】
排水部からの排水は、必要な時に順次行え、貯水筒を複数設けた場合でも、雨水が特定の貯水筒にたまりつづけることなく、比較的速やかに排除される。この結果、雨水がたまることによる弊害をなくすことができる。
【0014】
排水部をトイレに接続する場合には、排水部に、上水をトイレタンクに給水する給水管に接続される送水管が設けられ、該送水管と給水管との間に、手動で切り換える切り換え弁が設けられるとよい。雨水が貯水筒にある間はその雨水が利用でき、雨水が出なくなった時には切り換え弁を操作することにより上水を使用する。このように手動の切り換え弁を備えることによって、雨水を優先して利用できる。しかも、電力は一切使用しなくて済む。雨水を利用しても電力を使用するのであれば、雨水を利用することの意義が減殺されるが、この点、上記のように電力を一切使用しなくて済むので、環境保全に大いに貢献する装置とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明によれば、雨水を活用して節水を図ることができる。しかも、雨水をためて非常時等に使用するという考え方ではなく、雨水を積極的に優先して使用するという考えに基づいて、装置の貯水筒の貯水による弊害の発生を抑制する。この効果に加え、装置のメンテナンスの容易化、超寿命化等の効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、雨水活用装置11を設置した状態を示す説明図である。この図に示すように、雨水活用措置11は、建物21の屋根22から雨樋23を通って流下する雨水を導く供給路31と、鉛直方向に立設された3本の貯水筒41…とを有する。雨水は、この貯水筒41内に導入され、主としてトイレ洗浄のために上水に優先して利用される。
【0017】
上記供給路31は、雨樋23の鉛直方向に延びる部分の上端側の一部を切り欠いて、この切り欠き部分23aに、横方向に横U字を描くように介装される。すなわち、雨樋23の切り欠き部分23aの上端に接続される上流側部分32と、雨樋23の切り欠き部分23aの下端に接続される下流側部分33を有する形態である。上記のように3本の貯水筒41…を備えるので、供給路31の下流側部分33は、3本の供給管34…を有する。これらの供給管34…は、雨水の入口になるとともに出口ともなる部分である。
【0018】
上記貯水筒41…は、雨樋23から遠いほう(上流側)から第1貯水筒41a、第2貯水筒41b、第3貯水筒41cと設定される。これら貯水筒41は、図2に示したように、円筒状の本体筒42と、本体筒42の上下両端に固定されるキャップ部材43,44とで構成されている。本体筒42にもキャップ部材43,44にも塩ビ製のものが使用され、特に本体筒42には既製の塩ビパイプ、具体的には直径300mm程度の塩ビパイプが好適に使用される。そして、上端に固定される上端キャップ部材43の中心には、1個の連通孔43aが形成され、この連通孔43aに上記の供給管34が接続される。
【0019】
連通孔43aは、雨水を貯水筒41内に導入する入口になるとともに、貯水筒41内が雨水で一杯になったときにオーバーフローする雨水を排出する出口ともなる部分、すなわち連通部である。この連通部は、図3に示したように、2個の連通孔43b,43cで構成し、一方の連通孔43bを雨水の入口、他方の連通孔43cを出口とするもよい。このとき、第1貯水筒41aの連通孔43bには、雨樋から接続され上流側部分32に直結された1次供給管35が接続され、他の連通孔43cには、下流側の貯水筒(第2貯水筒41b)に接続するオーバーフロー管36が接続される。このオーバーフロー管36の下流側には、供給用オーバーフロー管37が形成され、この供給用オーバーフロー管37が下流側(第2貯水筒41b)の一方の連通孔43bに接続される。同様に、第2貯水筒41bの他方の連通孔43cには、第3貯水筒41cに接続するオーバーフロー管36が接続される。このオーバーフロー管36の下流側には、供給用オーバーフロー管37が形成され、この供給用オーバーフロー管37が下流側(第3貯水筒41c)の一方の連通孔43bに接続される。そして、第3貯水筒41cの他方の連通孔43cには、雨樋23に接続するオーバーフロー管36が接続される。
【0020】
なお、上記の供給管34は、これら1次供給管35やオーバーフロー管36、供給用オーバーフロー管37を兼用するものである。
【0021】
また、本体筒42の下端に固定される下端キャップ44には、図2に示したように、内部の雨水を排出する排水部44aが設けられている。
【0022】
各貯水筒41…の排水部44aは、図1に示したように一つに纏められ、その先の送水管51,52,53が、建物内や屋外の適宜場所に延ばされている。なお、各排水部44aには、手動で開閉する開閉切り換え用のコック(図示せず)を備え、各貯水筒41…ごとに雨水使用の要否を選択できるようにするもよい。各貯水筒41…同士が接続されても高い水位を保持できる。また、たとえば上流側のものからなど、雨水を順番に使用することができる。
【0023】
図1の例で、51は屋内に延びる第1送水管、52は屋外に延びる第2送水管、53は屋外または屋内に延びる第3送水管である。第1送水管51は、図4に示したように、上水をトイレタンクに供給する給水管55に接続される。そして、この給水管55と第1送水管51との間には、手動で切り換える切り換え弁56が設けられている。図中56aは、切り換えのためのつまみである。上記の第2送水管52は庭への散水や花への水遣り、洗車等に利用するためのものである。上記の第3送水管53は、フィルタ57を介在させており、飲料に利用できるようにするためのものである。その他、たとえば洗濯等にも使用できるようにするもよい。
【0024】
なお、上記の貯水筒41…は、上記のように3本であるほか、たとえば図5(a)に示したように1本であるも、図5(b)に示したように4本であるも、必要とされる適宜本数に設定するとよい。
【0025】
以上のように構成された雨水活用装置11では、雨が降ると、建物21の屋根22に降り注がれた雨水が貯水筒41…内に導入される。すなわち、屋根22を伝って落ちる雨水が雨樋23に入り、雨樋23に入った雨水が、供給路31を通って、上流がわに位置する貯水筒41…から順に入る。上流側の貯水筒41がいっぱいになると次の下流側の貯水筒41が満たされ、このようにして貯水筒が雨水で満たされる。また、時間あたりの降雨量が多い場合には、上流側の貯水筒41から順に入るとは限らず、各貯水筒41…に平行して雨水の流入が成される。貯水筒41…に入りきらずあふれた雨水は、建物21の雨樋23を通って、建物21の下端部分に排出される。
【0026】
そして、貯水筒41…に入った雨水は、必要に応じてすぐさま使用される。すなわち、各送水管51,52,53が開放されると、各貯水筒41…内の雨水は、圧力により排出される。降雨中は特に、トイレの洗浄用、また水道が止まってしまった場合の飲料用として有効に使用される。雨が降っていないときも同様であるが、第2送水管を通して供給される雨水は散水等にも好適に使用でき、雨水の有効利用が図れる。
【0027】
第1送水管51を通って供給する雨水は切り換え弁56によりトイレタンク54に供給される構造であるので、基本的には第1送水管51とトイレタンク54とが連通するように切り換えておくことによって、雨水を優先して使用できる。そして、雨水がなくなったときには、切り換え弁56を切り換えて上水を使用する。切り換え弁56の駆動は人手によって行うので、電力は一切かからない。
【0028】
このようにして、雨水を貯留しておき非常時に備えるのではなく、積極的に雨水を利用するようにすることで、上水の使用量を確実に減らし、経済的なメリットを得られる。また、積極的に雨水を利用するため、貯水筒41…内の新陳代謝を活発にし、貯水筒41…内に苔や水垢が発生することを抑え、メンテナンス負担の低減や装置の長寿命化等を図ることができる。
【0029】
また、貯水筒41…は上述のように、本体筒42と、キャップ部材42,43とで構成され、連通孔43a,43b,43cや排水部44aはキャップ部材43,44に設けられるので、本体筒42には加工をする必要がない。このため、各部材42,43,44の構造が簡素である上に、組み立てなど、雨水活用装置11の製造、施工が容易であり、コストの低減を図ることもできる。
【0030】
さらに、連通孔43a,43b,43cは上記のようにキャップ部材43に設けられるので、貯水筒41の高さをそのまま十分に生かすことができ、たとえ1階建ての建物に備えた場合でも、より強い水勢をもって雨水を供給できる。
【0031】
以下、その他の形態について説明する。この説明において、上記の構成と同一又は同等の部位については、同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
図6は、トイレを2階に有する建物21に備えられた雨水活用装置11の説明図であり、この図に示すように、3本の貯水筒41…のうち、上流側の第1貯水筒41aと第2貯水筒41bにおける長さ方向の中間位置に排水部45が設けられている。この排水部45に屋内のトイレタンク54に向かって延びる第1送水管51が接続されている。
【0032】
第1貯水筒41a、第2貯水筒41b内の排水部45の下側には上げ底部46が形成され、上げ底部46より下側は、中空に形成され、あるいは適宜の重錘が充填されている。
【0033】
このような構成の雨水活用装置11では、供給路31を通る雨水は、まず第1貯水筒41aに導入され、つづいて第2貯水筒41bに導入され、これらが一杯になったときに、第3貯水筒41c内に流下してゆく。
【0034】
なお、時間あたりの降雨量が多い場合には、雨水は、供給路31の下流側部分33に流れた時には、上流側の貯水筒41…から順にたまるのではなく、上流側の貯水筒41にたまりつつ下流側の貯水筒41にもたまるという、雨水の流れが起る。このため、トイレ用に使用される第1貯水筒41a、第2貯水筒41にたまる一方で、散水等用、飲料用に使用される第3貯水筒41cにもたまることがあるので、トイレ用には優先して使用しつつも、散水等にも使用できる雨水活用装置11となる。
【0035】
図7は、図6に示した雨水活用装置11と実質的に同一構造の装置において、第1貯水筒41aと第2貯水筒41bを第3貯水筒41cよりも短く設定し、これらを支持台46で所定高さに支持した構造である。
【0036】
図8は、1階と2階にトイレを有する建物21に備えられた雨水活用装置11の説明図であり、各階のトイレに雨水を供給できるように、第1貯水筒41aと第2貯水筒41bの下端に排水部44aを備えるほか、これらの長さ方向の中間位置にも排水部45を備えている。
【0037】
図9は、図6、図7に示した雨水活用装置11に使用し得る供給路31の他の例を示し、この図に示すように、供給路31における下流側部分33の一部に段部33aを設けて段部33aよりも下流側の高さを高くすることで、第1貯水筒41a、第2貯水筒41bに対して優先して貯水できるようにしたものである。この構成によれば、雨水をトイレへ優先して使用できる。
【0038】
このように、貯水筒41…の数や排水部45の位置などと、供給路31の構造との組み合わせによって、必要に応じた所望の使用態様を得られる雨水活用装置11とすることができる。
【0039】
図10は、貯水筒41の他の例を示す斜視図であり、この図に示すように、貯水筒41は、平面視正方形をなす角筒状に形成するもよい。この貯水筒41は、長さ方向で分割される複数の筒担体47,48,49からなり、これらを現場において接続する。筒担体の個数は必要な長さ等に応じて適宜設定される。接続箇所にはフランジ47a,48a,49aが設けられ、ボルト等により固定される。また、上端の筒担体47の上端は閉塞され、上端面47bが形成され、この上端面47bに2個の連通孔43b,43cが形成されている。この連通孔43b,43cにそれぞれ、供給路31の供給管等が接続される。図示例では2個の連通孔43b,43cを備えたが、1個の連通孔43aを備えるもよい。また、下端の筒担体49の下端も閉塞され、側面に排水部44aが形成される。
【0040】
貯水筒41がこのような角筒状である場合には、角筒の一辺の長さと同一長さの直径を有する円筒状の貯水筒に比して容量を多くすることができる。
【0041】
図11、図12は、貯水筒内において雨水の水位を上げるための水位上昇手段を示す。
トイレ、散水等、飲料用には、上記の構造で充分な水勢が得られ、良好な使用ができる。それでも、たとえば洗車など、より強い水勢が欲しい場合には、これらのような水位上昇手段を備えることで、電力なしで所望の雨水供給が可能となる。
【0042】
図11に示した水位上昇手段61は、貯水筒41の下側部分に備えられ、雨水をためる拡張縮小可能な袋状の貯水袋62と、この貯水袋62の下端から、貯水筒41の内底部にまで延設された伸縮可能な蛇腹状の連通筒63と、貯水袋62の底面を支え、ばね64によって上方に付勢される付勢部材65とを有する。貯水袋62の上端は貯水筒41の内周面に固定され、連通筒63の内部は排水部44aに連通している。
【0043】
このような構成によれば、貯水筒41内に流入する雨水は、貯水袋62、連通筒63に入る。雨水の量が比較的少ない場合には、付勢部材65の付勢力により、雨水の水位が図11の実線で示したように上昇される。一方、雨水の量が多いと、雨水の重量によって付勢部材65が押し下げられ、貯水袋62は拡張して容積を拡大しつつ、水位を高く保った状態のまま連通筒63を縮めて雨水を受け入れる。
【0044】
このような作用をするので、水位上昇手段61を備えない場合の水位が図11に一点鎖線で示した位置である場合でも、水位上昇手段61を備えると図11に実線で示したような位置に水位が上がる。この結果、より高い水勢で雨水を供給できる。
【0045】
図12に示した水位上昇手段61も、貯水筒41の下側部分に備えられ、上下に離間配置された通水性を有するメッシュ状の支持部材66,67と、これらの間に支持される棒状の芯部材68と、芯部材68の周面に設けられた弾性部材69とを有する。弾性部材69は、弾力性を有するスポンジ状部材69aの表面を防水性の被覆材69bで被覆して形成される。弾性部材69と貯水筒41の内周面との間には適宜の隙間が設けられる。
【0046】
このような構成によれば、貯水筒41内に流入する雨水は、下から順にたまる。このとき、たまった雨水は弾性部材69を押し縮める。逆にいえば、弾性部材69が雨水の侵入をその弾性力で阻み、雨水の水位を上昇させる。たまる雨水の量が多ければ多いほど、弾性部材69は押し縮められ、水位を保った状態でより多くの雨水を受け入れる。
【0047】
このような作用をするので、水位上昇手段61を備えない場合の水位が図12に一点鎖線で示した位置である場合でも、水位上昇手段61を備えると図12に実線で示したような位置に水位が上がる。この結果、より高い水勢で雨水を供給できる。
【0048】
この発明の構成と、上記一形態の構成との対応において、
この発明の第1供給管とオーバーフロー管は、上記の供給管34に対応し、
以下同様に、
供給用オーバーフロー管とオーバーフロー管は、供給管34に対応し、
連通部は、連通孔43a,43b,43cに対応し、
送水管は、第1送水管51に対応するも、
この発明は上記の一形態の構成に限定されるものではなく、その他の形態を採用することができる。
【0049】
たとえば、切り換え弁は、常態において送水管からの雨水を使用する切り換え状態となるように、たとえば付勢等の適宜手段によって規制しておくとよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】雨水活用装置の設置状態を示す側面図。
【図2】貯水筒の分解斜視図。
【図3】供給路の他の例を示す側面図。
【図4】切り換え弁部分の構造説明図。
【図5】他の例に係る雨水活用装置の部分側面図。
【図6】他の例に係る雨水活用装置の設置状態を示す側面図。
【図7】他の例に係る雨水活用装置の設置状態を示す側面図。
【図8】他の例に係る雨水活用装置の設置状態を示す側面図。
【図9】供給路の他の例を示す側面図。
【図10】貯水筒の他の例を示す分解斜視図。
【図11】水位上昇手段を備えた貯水筒の断面図。
【図12】水位上昇手段を備えた貯水筒の断面図。
【符号の説明】
【0051】
11…雨水活用装置
23…雨樋
31…供給路
34…供給管
35…1次供給管
36…オーバーフロー管
37…供給用オーバーフロー管
41…貯水筒
42…本体筒
43…キャップ部材
43a,43b,43c…連通部
44…キャップ部材
44a…排水部
45…排水部
51…第1送水管
54…トイレタンク
55…給水管
56…切り換え弁
61…水位上昇手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨樋を通って流下する雨水を導く供給路と、
鉛直方向に立設され、上記供給路を通った雨水を導入する貯水筒とを有し、
該貯水筒の上端には、雨水を貯水筒内に導入する入口となるとともにオーバーフローする雨水を雨樋側に排出する出口となる連通部が形成され、
貯水筒の上端より下側の部位には、内部の雨水を排出する排水部が設けられた
雨水活用装置。
【請求項2】
前記貯水筒が複数本設けられるとともに、
1本の貯水筒の連通部には、雨樋から接続される1次供給管と、次の貯水筒に接続するオーバーフロー管とを備え、
その他の貯水筒の連通部には、上記オーバーフロー管の下流側に位置する供給用オーバーフロー管と、次の貯水筒または雨樋に接続するオーバーフロー管とを備えた
請求項1に記載の雨水活用装置。
【請求項3】
前記貯水筒が、筒状の本体筒と、該本体筒の上下両端に固定されるキャップ部材とで構成された
請求項1または請求項2に記載の雨水活用装置。
【請求項4】
前記排水部に、上水をトイレタンクに給水する給水管に接続される送水管が設けられ、該送水管と給水管との間に、手動で切り換える切り換え弁が設けられた
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の雨水活用装置。
【請求項5】
前記貯水筒内に、流入する雨水の水位を上げる水位上昇手段が設けられた
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の雨水活用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−57798(P2009−57798A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228040(P2007−228040)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(501270830)アルビンハウス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】