説明

雨水集水装置及びその雨水集水装置を備える植物栽培システム

【課題】建物を改造することなく容易に取付け可能な雨水集水装置を提供すること。
【解決手段】雨水を導入可能な導入口7、建物躯体2に形成される排水路4の始端である雨水排水口3の周縁部に係止して雨水を導入口7に導入し得るつば部10、及び、所定水位を越える過剰な水を排水路4に排水し得る排水部9を有し、且つ雨水排水口3を通して排水路4内に嵌入自在な貯水容器5を設け、貯水容器5内に収容された水を容器外に汲み上げ可能な汲み上げ機構6を備える雨水集水装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物躯体に形成される雨水排水口に流入した雨水を貯水し得る貯水容器と、その貯水容器内に収容された水を汲み上げ可能な汲み上げ機構とを備える雨水集水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記雨水集水装置によれば、建物躯体(一般家屋、ビル等)の屋根や屋上に降る雨水を効率良く回収することができる。
尚、回収された雨水は、種々の用途(例えば、植物への散水やトイレの流し水等)で有効利用することができる。
また、この様な雨水集水装置に関する従来技術としては、前記貯水容器を備えて雨水を集水し得る集水器を、建物躯体の軒先に配設したものが提案されている。(特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特公昭56−38733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の雨水集水装置を既設の建物に取付けようとする場合、集水器を、その建物の軒先に配設するため、雨水を前記雨水排水口から集水器まで移送する排水管等を新たに設ける必要があり、その建物を改造しなければならない。
尚、建物を新設する際に前記雨水集水装置を設けようとしても、前記雨水集水装置を組み込めるようにその建物を設計する必要があり、建物の施工性が悪くなるという問題が生じていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、建物を改造することなく容易に取付け可能な雨水集水装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、雨水を導入可能な導入口、建物躯体に形成される排水路の始端である雨水排水口の周縁部に係止して雨水を前記導入口に導入し得るつば部、及び、所定水位を越える過剰な水を前記排水路に排水し得る排水部を有し、且つ前記雨水排水口を通して前記排水路内に嵌入自在な貯水容器を設け、前記貯水容器内に収容された水を容器外に汲み上げ可能な汲み上げ機構を備える点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
本発明の雨水集水装置は、建物を改造することなく、その建物に既設の雨水排水口に容易に設置することができる。
即ち、本発明の雨水集水装置を設置するには、貯水容器を、雨水排水口に嵌入させ、そのつば部を雨水排水口の周縁部に係止させるだけで良い。
雨水排水口に流入してきた雨水は、つば部上を流れて導入口に入り、貯水容器内に収容される。収容された雨水は、本発明における汲み上げ機構によって汲み上げられ、種々の用途(例えば、植物への散水やトイレの流し水等)に利用することができる。
尚、本発明の雨水集水装置においては、大雨等で大量の水が貯水容器内に流入してくるような場合であっても、貯水容器の所定水位を越えると、その過剰水が排水部から排水路に排水される構成となっているため、建物の雨水排水口から水が溢れ出て、屋上等を水浸しにする心配もない。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記汲み上げ機構が、前記貯水容器内に収容された水を汲み上げ可能な汲み上げポンプと、前記汲み上げポンプによって汲み上げられた水が流通し得る汲み上げ管とを備える点にある。
〔作用及び効果〕
本発明の雨水集水装置における汲み上げ機構は、貯水容器内に収容された水を汲み上げ可能な汲み上げポンプと、その汲み上げポンプによって汲み上げられた水が流通し得る汲み上げ管とを備える構成であるため、貯水容器内に収容された水を効率良く汲み上げることができ、貯水容器内の水をより一層利用し易くなる。
【0008】
本発明の第3特徴構成は、前記導入口に、前記雨水中に含まれる固形物を除去し得るフィルター部を設けている点にある。
〔作用及び効果〕
本発明の雨水集水装置によれば、導入口に、雨水中に含まれる固形物を除去し得るフィルター部を設けているため、固形物の蓄積による貯水容器内の容積の減少(即ち、貯水し得る雨水の量が減少する)を防止し得ると共に、固形物が除去された、より清澄な雨水を利用することができるようになる。
【0009】
本発明の第4特徴構成は、請求項1〜3のいずれか1項に記載される雨水集水装置、植物を栽培可能な植物栽培装置、並びに前記雨水集水装置によって汲み上げられた水を前記植物栽培装置に供給し得る給水機構を備える植物栽培システムである点にある。
〔作用及び効果〕
本発明の植物栽培システムによれば、潅水作業が簡便化され得、植物を効率良く栽培することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔実施形態〕
図1及び図2は、本発明の雨水集水装置1を、建物躯体2(一般家屋、ビル等)の屋上に設置したときの様子を模式的に示したものである(図1:斜視図、図2:断面図)。尚、図1及び図2中の矢印(点線)は、雨水の流れを示す。
また、図3は、本発明の雨水集水装置1における貯水容器5の斜視図である。
本発明の雨水集水装置1は、排水路4の始端である雨水排水口3に流入した雨水を貯水し得る貯水容器5と、その貯水した水を汲み上げ可能な汲み上げ機構6とを備えている。
【0011】
(貯水容器)
図1〜図3に示されるように、貯水容器5は、雨水を導入可能な導入口7、導入された雨水を貯水し得る貯水部8、所定水位を越える過剰な水をオーバーフローによって排水路4に排水し得る排水部9、並びに、雨水排水口3の周縁部に係止し得且つ導入口7に雨水を導入可能なつば部10を備えている。また、貯水容器5は、雨水排水口3を通して排水路4内に嵌入自在に形成されている。
また、本実施形態においては、導入口7に、雨水中に含まれる固形物を除去し得るフィルター部11を設ける構成としてあるが、この構成に限定されるものではなく、必要に応じて設ける構成として良い。
尚、貯水容器5が収容し得る水は、雨水に限定されるものではなく、雨水排水口3に流入し得る水であれば特に限定されるものではない。
【0012】
(汲み上げ機構)
本発明における汲み上げ機構は、貯水容器内に収容された水を汲み上げ可能な構成であれば特に限定されるものではないが、例えば、貯水容器内に収容された水を汲み上げ可能な汲み上げポンプと、汲み上げポンプによって汲み上げられた水が流通し得る汲み上げ管とを備える構成とすることができる。
図1及び図2に示すように、本実施形態における汲み上げ機構6は、貯水部8に収容された水を汲み上げ可能な汲み上げポンプ12、建物躯体2の屋根や屋上に設けられる貯水タンク13、及び、汲み上げポンプ12と貯水タンク13とを連通する汲み上げ管14を備えている。
雨が降り、雨水排水口3に流入してきた雨水は、つば部10上を流れて導入口7に入り、貯水部8に貯水される。貯水部8に貯水された雨水は、汲み上げポンプ12によって、汲み上げ管14を通って貯水タンク13まで汲み上げられて貯水される。貯水タンク13に貯水された雨水は、種々の用途(例えば、植物への散水やトイレの流し水等)に利用することができる。
【0013】
(設置方法)
次いで、雨水集水装置1の設置方法の概略を説明する。(図示せず)
雨水集水装置1を建物躯体2に設置するには、先ず、貯水容器5を排水路4の始端である雨水排水口3に嵌入させ、つば部10を雨水排水口3の周縁部に係止させる。このとき、貯水容器5の貯水部8は、排水路4内に設置されることとなる。
次いで、導入口7に、フィルター部11を取付ける。
最後に、フィルター部11に設けられている挿入口15から、汲み上げポンプ12(汲み上げポンプ12には、貯水タンク13と連通する汲み上げ管14が取付けられている)を挿入して、貯水容器5の底部に配置する。
【0014】
〔別実施形態〕
図4は、本発明の雨水集水装置1の別実施形態を模式的に示した断面図である。尚、上記実施形態と同様の機能を有する構成部材については、同じ符号を付して、その説明を省略し、上記実施形態と異なる点についてのみ説明する。
図4に示されるように、本実施形態における貯水容器5には、その内部に、内筒部5aが形成されている。貯水部8は、内筒部5aと外筒部5bとの間に形成されており、排水部9が、内筒部5aに設けられている。
また、本実施形態においては、貯水容器5の所定水位を越える過剰な水は、排水部9からオーバーフローして、内筒部5aの中を通って排水路4に排水される構成となっている。
【0015】
〔その他の実施形態〕
1.本発明の雨水集水装置においては、貯水容器内に各種センサー(例えば、水位センサー等)を設ける構成としても良い。
2.本発明の雨水集水装置における貯水容器は、蛇腹形状を有するものであっても良く、この場合、排水口内の排水路が曲管である場合に設置し易くなる。
【実施例】
【0016】
本発明の雨水集水装置1の実施例を以下に示す。
本発明の雨水集水装置1によって集められた水は、例えば、植物栽培に利用することが可能であり(即ち、潅水用の水として利用可能)、本発明の雨水集水装置と、適当な植物栽培装置とを組み合わせることによって、潅水作業が簡便化され得、植物を効率良く栽培することが可能な植物栽培システムを容易に構築することができる。
【0017】
(実施例1)
図5は、本発明の雨水集水装置1と、植物栽培装置とを組み合わせて構築した植物栽培システム18を模式的に示したものであり、植物栽培システム18は、雨水集水装置1、植物を栽培可能な植物栽培装置、並びに、雨水集水装置1によって汲み上げられた水を植物栽培装置に供給し得る給水機構17を備えている。
植物栽培システム18においては、雨水集水装置の貯水タンク13内に貯水されている水が、給水機構17によって、植物栽培装置に自動的に供給される構成となっている。
また特に、この植物栽培システム18を建物の屋上等で使用する場合、雨水集水装置1と植物栽培装置とを互いに近接した状態で設置することが可能であるため、雨水集水装置1の汲み上げ機構6や給水機構17における作動エネルギーの省力化を図ることができる。。
【0018】
本実施例における給水機構17及び植物栽培装置について以下に詳述する。
(給水機構)
給水機構17は、貯水タンク13に収容された水を、植物栽培装置に供給可能な給水ポンプ19、及び、給水ポンプ19と植物栽培装置とを連通する給水管20(ホース等)を備えている。
(植物栽培装置)
植物栽培装置は、図6〜図8に示すように、例えば、合成樹脂製の矩形の容器本体21を備え、その容器本体21は、植物P(図9〜図11参照)を栽培するための植栽用空間22を形成するように、底壁23とその底壁23の四辺から立設された4つの側壁24を備えている。
容器本体21の植栽用空間22は、図7を参照して、縦方向に延びる仕切り壁25と横方向に延びる区画壁26により多数の単位植栽用空間22aに区画されている。すなわち、この実施形態では、3つの仕切り壁25と3つの区画壁26によって、合計16個の単位植栽用空間22aに区画され、仕切り壁25には、植栽用水W(図9および図10参照)のための連通孔27が設けられ、さらに、左右の側壁24間にわたっては、単位植栽用空間22aの上面の一部を覆う4つの上壁28が連設されている。
【0019】
そして、図6に示す横姿勢A、つまり、植栽用空間22が上方に向けて開口する容器本体21の横姿勢Aにおいて、図9に示すように、容器本体21の底壁23と側壁24が、植栽用水(雨水)Wを貯水する横姿勢貯水部29を形成し、図7および図8に示す縦姿勢B、つまり、植栽用空間22が横側方に向けて開口する容器本体21の縦姿勢Bにおいて、図10に示すように、容器本体21の底壁23、側壁24、区画壁26、および、上壁28が、植栽用水Wを貯水する縦姿勢貯水部30を形成する。
この実施形態の場合、容器本体21の横姿勢Aにおいては、底壁23、側壁24、仕切り壁25、および、区画壁26が、合計16個の単位横姿勢貯水部29aを形成して、横方向に並ぶ4個の単位横姿勢貯水部29aが、連通孔27によってそれぞれ連通される。そして、容器本体21の縦姿勢Bにおいては、底壁23、側壁24、仕切り壁25、区画壁26、および、上壁28が、合計16個の単位縦姿勢貯水部30aを形成し、より具体的には、底壁23、側壁24、仕切り壁25、および、上壁28が、図7において最下段に位置する4個の単位縦姿勢貯水部30aを形成し、底壁23、側壁24、仕切り壁25、区画壁26、および、上壁28が、残り12個の単位縦姿勢貯水部30aを形成して、横方向に並ぶ4個の単位縦姿勢貯水部30aが、連通孔27によってそれぞれ連通されるように構成されている。
【0020】
容器本体21の横姿勢貯水部29と縦姿勢貯水部30には、それら貯水部29,30内における植栽用水Wを一定量以下に維持するためのオーバーフロー用の筒状体31が設けられ、その筒状体31の一端開口部がオーバーフロー用の排水口32に、他端開口部が排水出口33に構成されている。
すなわち、この実施形態では、図7を参照して、左側の4個の単位植栽用空間22aと右側の4個の単位植栽用空間22aとの合計8個の単位植栽用空間22aに、それぞれ筒状体31が設けられている。各筒状体31の排水口32は、その排水口32の排水始端部が、図9に示す横姿勢Aにおいて、容器本体21の底壁23から上壁28側へ所定距離aだけ離れた位置で、かつ、図10に示す縦姿勢Bにおいて、容器本体21の側壁24または区画壁26から単位植栽用空間22a内に所定距離bだけ離れた位置に設けられ、隣接する単位植栽用空間22aが、筒状体31の排水口32と排水出口33を介して互いに連通されるとともに、図7において最下方に位置する2個の筒状体31については、その排水出口33が側壁24に開口した状態とされ、さらに、その側壁24と対向する側壁24には、給水口34が2つ設けられている。
なお、所定距離aとbについては、互いに同じ距離であって、また、互いに異なる距離であってもよい。
【0021】
つぎに、この植物栽培装置の使用方法について説明する。
例えば、ベランダなどのような比較的水平な面上に載置して使用する場合には、容器本体21を図6および図9に示す横姿勢Aにし、各単位植栽用空間22a内に市販の植栽床材や植栽用土壌などを収納して植物Pを植栽する。植栽用水Wの給水は、給水管20(ホースなど)からの放水によって、上方に向けて開口する植栽用空間22から行うことも、また、図10及び図9に示すように、給水口34に給水管20(ホースなど)を接続して行うこともできる。
例えば、給水口34から給水する場合であれば、横方向に並ぶ4個の単位植栽用空間22aが連通孔27により連通されているので、まず、図9において最右方に位置する4個の単位植栽用空間22aに植栽用水Wが給水される。そして、植栽用水Wが底壁23からほぼaのレベルに達すると、植栽用水Wは、筒状体31の排水口32から排水出口33を経て、図9において左方に隣接する単位植栽用空間22aに流出し、最終的には、全ての単位植栽用空間22aに給水される。
その際、排水口32の始端部が底壁23から上壁28側へ所定距離aだけ離れた位置に位置しているので、植栽用水Wは、各単位植栽用空間22aにおいて底壁23からほぼaのレベル以下に維持され、したがって、そのaのレベル以下の部位が、単位横姿勢貯水部29aとなる。
【0022】
また、擁壁などのような比較的鉛直な面に沿って配置して使用する場合には、容器本体21を図7、図8、および、図10に示す縦姿勢Bにし、各単位植栽用空間22a内に市販の植栽床材や植栽用土壌などを収納して植物Pを植栽する。その場合も、植栽用水Wの給水は、給水管20(ホースなど)からの放水によって、横側方に向けて開口する植栽用空間22から行うことも、また、給水口34に給水管20(ホースなど)を接続して行うこともできる。
給水口34から給水する場合であれば、まず、図10において最上方に位置する4個の単位植栽用空間22aに植栽用水Wが給水され、その単位縦姿勢貯水部30aに貯水される。そして、植栽用水Wが区画壁26からほぼbのレベルに達すると、植栽用水Wは、筒状体31の排水口32から排水出口33を経て、図10において下方に隣接する単位植栽用空間22aに流出し、最終的には、全ての単位植栽用空間22aに給水される。その際、排水口32の始端部が区画壁26および側壁24から所定距離bだけ上方へ突出しているので、植栽用水Wは、各単位植栽用空間22aにおいて区画壁26および側壁24からほぼbのレベル以下に維持され、したがって、そのbのレベル以下の部位が、単位縦姿勢貯水部30aとなる。
【0023】
このように、植物栽培装置は、容器本体21を横姿勢Aにして使用することも、また、縦姿勢Bにして使用することもでき、いずれの姿勢においても、筒状体31の排水口32が、オーバーフロー用の排水口を兼用することになる。
さらに、この植物栽培装置は、容器本体21をひとつだけ使用して植栽することも可能であるが、容器本体21を載置するベランダや擁壁の面積などに応じて、複数の容器本体21を並列配置して使用することもでき、その一例を示したのが図11である。
この図11の例では、6個の容器本体21が、植栽用空間22を同一方向に向けて並列載置され、その隣接する容器本体21間において、上方に位置する容器本体21の排水口32が、排水出口33と給水口34を介して下方に位置する容器本体21の植栽用空間22に連通接続されて、スタンドF1を有するフレームFに保持されている。
【0024】
つぎに、植物栽培装置の別の実施形態について説明するが、重複説明を避けるため、先の実施形態で説明した構成部品や同じ作用を有する構成部品については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として異なる構成についてのみ説明する。
【0025】
(1)先の実施形態では、3つの仕切り壁25と区画壁26により、植栽用空間22を16個の単位植栽用空間22aに区画した例を示したが、区画する単位植栽用空間22aの個数については、特に16個に限るものではなく、2個以上の単位植栽用空間22aに区画して実施することができる。
また、植栽用空間22を複数の単位植栽用空間22aに区画する場合、図12に示すように、区画壁26を使用せず、仕切り壁25のみを使用して複数の単位植栽用空間22aに区画することもできる。この場合には、容器本体21の縦姿勢Bにおいて、複数の単位植栽用空間22aが横方向に並んで、互いに隣接する単位植栽用空間22aが、仕切り壁25に設けられた植栽用水用の連通孔27を介して連通されることになる。
換言すると、先の実施形態では、植栽用空間22を仕切り壁25と区画壁26によって、容器本体21の縦姿勢Bにおいて、横方向と上下方向に並ぶ多数の単位植栽用空間22aに区画した例を示したが、図12の実施形態では、先の実施形態において、横方向に並ぶ4個の単位植栽用空間22aにより容器本体21を構成したような態様となっている。
そして、図12に示した実施形態では、オーバーフロー用の筒状体31と給水口34がひとつずつ設けられている。
【0026】
さらに、植栽用空間22を複数の単位植栽用空間22aに区画する場合、図13に示すように、仕切り壁25を使用せず、区画壁26のみを使用して複数の単位植栽用空間22aに区画することもできる。つまり、先の実施形態において、上下方向に並ぶ4個の単位植栽用空間22aにより容器本体21を構成したような態様で実施することもでき、この場合には、容器本体21の縦姿勢Bにおいて、複数の単位植栽用空間22aが上下方向に並んで、互いに隣接する単位植栽用空間22aが、区画壁26に設けられたオーバーフロー用の排水口32を介して連通されることになる。
そして、図13に示した実施形態では、その排水口32と給水口34が、互いに異なる位置に配置されている。すなわち、容器本体21の縦姿勢Bにおいて、排水口32と給水口34が右と左に交互に配置され、この容器本体21を上下方向に連結した際、上方に位置する容器本体21の排水口32と下方に位置する容器本体21の給水口34が同じ位置に位置するように構成されている。このような構成は、先の実施形態で示した容器本体21に適用することもできる。
【0027】
(2)また、特に図示はしないが、植栽用空間22を単位植栽用空間22aに区画することなく、単一の植栽用空間22を有する状態で実施することもできる。
その場合には、底壁23と側壁24が、植栽用空間22と横姿勢貯水部29を形成し、底壁23、側壁24、および、上壁28が縦姿勢貯水部30を形成することになる。
【0028】
(3)これまでの実施形態では、主として植物栽培装置の構成について説明したが、実際の実施に際しては、植物栽培装置をできるだけ簡単に製造して安価に提供することも重要な課題となる。そこで、図14〜図16を参照して、植物栽培装置を簡単に製造するための具体的な製造例について言及する。
図14に示すものは、植物栽培装置における容器本体のひとつの半製品21Aとひとつの側壁24であり、容器本体の半製品21Aは、先の実施形態で示した底壁23、底壁23の三辺から立設された3つの側壁24、3つの仕切り壁25、および、上壁28を一体的に備え、合成樹脂による一体成形品で構成されている。
【0029】
言い換えると、図14に示す半製品21Aは、図12に示した植物栽培装置の容器本体21において、手前側に位置する側壁24を容器本体21から取り外したような構成とされ、さらに、この半製品21Aには、オーバーフロー用の筒状体31と排水口32を形成するための柱状体31Aと、給水口34を形成するための突起34Aが一体的に形成されている。
そして、半製品21Aと別体に構成された側壁24の三辺には、半製品21Aへの係合用の段部35が形成され、図14に示した半製品21Aにおいて、その上方に位置する上端縁36が、側壁24の段部35と係合するように構成され、図14に示した半製品21Aにおいて、その下方に位置する側壁24の三辺にも、別体に構成された側壁24の段部35と同じ段部35が形成されている。
なお、図中の37は、突起34Aが嵌入する凹入部であり、図中の38は、植栽用水Wの通流を助長するための凹入溝である。
【0030】
この容器本体の半製品21Aは、合成樹脂製の一体成形品であるため、比較的簡単かつ安価に製造することができ、当然のことながら、単純な形状の側壁24も、合成樹脂により簡単かつ安価に製造することができる。
そして、例えば、ひとつの半製品21Aとひとつの側壁24を使用し、半製品21Aの上端縁36に側壁24の段部35を係合させるとともに、必要に応じて接着剤などを用いて互いに接着し、柱状体31Aに貫通孔、つまり、オーバーフロー用の排水口32(図15参照)を穿設することにより、図12に示したような植物栽培装置の容器本体21を簡単に作製することができる。
【0031】
さらに、図15および図16に示すように、半製品21Aの上端縁36に他の半製品21Aの段部35を係合させて多数の半製品21Aを順次積み重ね、最上段に位置する半製品21Aの上端縁36に側壁24の段部35を係合させることにより、任意の高さの植物栽培装置を形成することができる。その際、上方に位置する半製品21Aの突起34Aが、下方に位置する半製品21Aの凹入部37に嵌入することになり、また、上述したように、柱状体31Aに貫通孔を穿設してオーバーフロー用の排水口32を形成することができる。さらに、最上段に位置する半製品21Aの突起34Aのうち、例えば、図15において底壁23あるいは上方に位置する側壁24に貫通孔を穿設して給水口34とし、場合によっては、その給水口34に給水用のホースを接続するためのホース接続具39を取り付ける。また、必要に応じて、左側に位置する突起34Aにも、さらに、下方に位置する半製品21Aの突起34Aにも、それぞれ貫通孔を穿設して側方に隣接する図外の植物栽培装置への給水口34として使用することができる。なお、最上段に位置する半製品21Aの突起34Aのうち、例えば、図15において右側に位置する突起34Aに貫通孔を穿設して給水口34としてもよい。
そして、必要に応じて、多数段に積み重ねた半製品21Aの角部にアングル材40を配置し、かつ、各半製品21Aとアングル材40を適当な連結具41により連結することによって植物栽培装置自体を強固なものとし、横方向にも並列配置して擁壁などに沿って配設することが可能となる。
【0032】
(実施例2)
図17は、上記実施例1とは別の植物栽培システム18を模式的に示したものであり、植物栽培システム18は、雨水集水装置1、植物を栽培可能な植物栽培装置16b、並びに、雨水集水装置1によって汲み上げられた水を植物栽培装置16bに供給し得る給水機構17を備える。
植物栽培システム18においては、雨水集水装置の貯水タンク13内に貯水されている水が、給水機構17によって、植物栽培装置16bに自動的に供給される構成となっている。
また特に、この植物栽培システム18を建物の屋上等で使用する場合、雨水集水装置1と植物栽培装置とを互いに近接した状態で設置することが可能であるため、雨水集水装置1の汲み上げ機構6や給水機構17における作動エネルギーの省力化を図ることができる。
本実施例における給水機構17及び植物栽培装置16bについて以下に詳述する。
(給水機構)
給水機構17は、貯水タンク13に収容された水を、植物栽培装置16bに供給可能な給水ポンプ19、及び、給水ポンプ19と植物栽培装置16bとを連通する給水管20(ホース等)を備えている。
(植物栽培装置)
図18及び図19は、植物栽培装置16bの第1実施形態を示している(図18は表側、図19は裏側)。植物栽培装置16bは、植物Pに潅水する水を貯水可能な貯水トレー52、植物Pを栽培可能な栽培床材55を収容し得る複数の円形の受部53、及び貯水トレー52の上方を覆うカバー部54とから構成されている。また、図19に示されるように、貯水トレー52には、受部53同士の間にトレー上げ底部52aが形成されている。
図20は、栽培床材55を受部53に収容した状態において、図18において矢視線Aで示した植物栽培装置16bの断面を模式的に示したものである。
尚、栽培床材55としては、例えば、適当な植栽用土がその中に入れられており、且つ底に穴を設けられている植木鉢やプランター等、あるいは、植栽用土そのものを栽培床材として使用することが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、少なくとも底部から水が流入し、植物の根部が、その流入水を吸水し得る状態で収容され得るものであれば良い。植栽用土は、植物を園芸栽培することができる固形培地であれば如何なるものでもよく、例えば、赤玉土、鹿沼土、腐葉土、ピート、水苔などの天然の植栽用土の他に、バーミキュライト、パーライト、ウレタン樹脂やフェーノール樹脂などの各種発泡樹脂材、ロックウール、ハイドロボールなどの人工の植栽用土が挙げられる。また、その形状も図に例示するものに限らず、ブロック状、砂状、粒状や塊状等各種の形状のものを適宜選択して用いることができる。砂状や粒状あるいは塊状等の形状の培地を用いる場合は、これら培地が漏れ出さない網状の袋等に入れて用いることもできる。
【0033】
貯水トレー52には、隣接する貯水トレー52を互いに連通接続することが可能な接続ノズル56(接続部)が2箇所設けられており、接続ノズル56はさらに、水の流れる方向によって、流入用接続ノズル56a(流入用接続部)と流出用接続ノズル56b(流出用接続部)とに区別される。
図20に示されるように、流入用接続ノズル56aと、別の貯水トレー52の流出用接続ノズル56bとは、接続ホース66を介して、取り外し自在に連通接続することが可能であり、尚且つ接続ホース66を介して、貯水トレー52から別の貯水トレー52へ水が流れ得る構成となっている。従って、接続ホース66を介して、貯水トレー52の流入用接続ノズル56aと、別の貯水トレー52の流出用接続ノズル56bとの接続を繰り返して行けば、必要に応じて任意の数の貯水トレー52を連通接続することが可能であり、そのようにして相互に連通接続された複数の貯水トレー52の全てに水を供給することができる。
【0034】
また、図20における矢印は、水の流れる方向を示しており、流入用接続ノズル56aから流入した水は、一旦貯水トレー52内の貯水空間58に貯水される。尚、貯水空間58とは、接続ノズル56の内周面の最も下側の位置から貯水トレー52の底面の位置までに存在する、水の貯水可能な最大空間を意味する。そして、貯水空間58一杯に貯留水59が貯まると、オーバーフローによって流出用接続ノズル56bから流出する。また、受部53の底部53aには、貯水空間58に連通する貫通口57(給水部)が設けられており、尚且つ底部53aは、接続ノズル56の内周面の最も下側の位置(すなわち、貯水空間58一杯に水を貯水した際にとり得る貯留水59の最大水位T)よりも低位置tにあるよう構成されている。
従って、貯水空間58に水を流入させてオーバーフローさせる際、貯留水59は、貫通口57を通って受部53の中に湧き出し、貯留水59の水面の高さ(T)から底部53aの高さ(t)を差し引いた水位を有する水が受部53内に常時供給される。尚、貯水空間58の深さ、又は受部53の深さや幅を変更することによって、受部53内に供給される水の量を調節し、栽培条件(植物の種類等)に合った適度な量の水を常時供給(潅水)することも可能である。
【0035】
また、カバー部54の上面部における流出用接続ノズル56b側には、貯水空間58を外部に連通する空気抜き部74を設けている。そして、この空気抜き部74から貯水空間58に溜まる空気を外部に排出している。従って、空気の滞留によって貯留水59をオーバーフローによって流出用接続ノズル56bに流出し難くなるのを防止できるので、複数の貯水トレー52を相互に連通接続した場合には、それら複数の貯水トレー52の全てに対する水の供給を的確に行い易くなる。
【0036】
植物栽培装置16bを使用する際は、例えば、緑化する建物の敷地や屋上の広さに合わせて複数の植物栽培装置16bを接続・配置する。そのようにして組み立てられた植物栽培装置16b群の中には、未接続の流入用接続ノズル56aと流出用接続ノズル56bとがそれぞれ1つずつ存在することになる。そして、その未接続の流入用接続ノズル56aに給水管20(ホースなど)を接続して水を供給すると、各植物栽培装置16bの貯水トレー52がオーバーフローを順次繰り返すことによって、全ての植物栽培装置16bに水が供給される。全ての植物栽培装置16bの貯水トレー52が水で一杯になると、未接続の流出用接続ノズル56bから水が流出するので、その未接続の流出用接続ノズル56bを適当な配管や流水路等につないで排水する。尚、未接続の流入用接続ノズル56aと流出用接続ノズル56bとをホース等でつなぎ、ポンプを介して、適度に外部から水を補給しながら水を循環させるような構成とすることも可能である。
【0037】
植物栽培装置16bは、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて、公知の成形技術(射出成形法、ブロー成形法等が挙げられるが、好ましくはブロー成形法)により製造することが可能である。
【0038】
図21〜図26は、植物栽培装置16bの第2実施形態を示している。
図21に示されるように、第2実施形態の植物栽培装置16bは、植物に潅水する水を貯水可能な貯水トレー52と、一体成形の植物栽培容器64(植物Pを栽培可能な栽培床材55を収容し得る複数の受部53と、貯水トレー52の上方を覆うカバー部54とが一体成形された一体成形体)とから構成されており、貯水トレー52と植物栽培容器64は、分離自在に嵌合可能である。
【0039】
図22は、栽培床材55を受部53に収容した状態において、図21において矢視線B−Bで示した第2実施形態の植物栽培装置16b(貯水トレー52と植物栽培容器64とが嵌合した状態)の断面を模式的に示したものである。
図21及び図22に示されるように、第2実施形態における植物栽培装置16bの貯水トレー52には、上述の実施形態と同様に、隣接する貯水トレー52を互いに連通接続することが可能な接続ノズル56(接続部)が2箇所設けられており、接続ノズル56はさらに、水の流れる方向によって、流入用接続ノズル56a(流入用接続部)と流出用接続ノズル56b(流出用接続部)とに区別される。
さらに、第2実施形態における貯水トレー52には、植物栽培容器64を載置可能な載置部60が設けられており、載置部60には湧水口60aが設けられている。流入用接続ノズル56aから流入した水は、湧水口60aから湧き出して載置部60上に流れ出し、上述の実施形態と同様に貯水空間58に貯水される。
そして、貯水空間58一杯に貯留水59が貯まると、オーバーフローによって流出用接続ノズル56bから流出する。尚、上述の実施形態と同様に、受部53の底部53aには、貯水空間58に連通する貫通口57(給水部)が設けられており、尚且つ底部53aは、接続ノズル56の内周面の最も下側の位置(すなわち、貯水空間58一杯に水を貯水した際にとり得る貯留水59の最大水位T)よりも低位置tにあるよう構成されている。また、上述の実施形態と同様に、貯水トレー52の上面部における流出用接続ノズル56b側には、空気抜き部74を設けている。
従って、貯水空間58に水を流入させてオーバーフローさせる際、湧水口60aから湧き出して載置部60上に流れ出した貯留水59は、貫通口57を通って受部53の中に湧き出し、貯留水59の水面の高さ(T)から底部53aの高さ(t)を差し引いた水位を有する水が受部53内に常時供給される。尚、貯水空間58の深さ、載置部60の高さ、あるいは受部53の深さや幅を変更することによって、受部53内に供給される水の量を調節し、栽培条件(植物の種類等)に合った適度な量の水を常時供給(潅水)することも可能である。
尚、第2実施形態における複数の植物栽培装置16b(貯水トレー52)の接続方法、使用方法並びにその製造方法は、上述した実施形態と同様である。
【0040】
植物栽培容器64は、図22に示すように、底部の外方側部分において下方側から上方側に折り返すことにより二重壁部75を設けて中央側部分を上げ底することにより下方側を開放した凹状に形成している。そして、二重壁部75で囲む空間に貯水トレー52を配置させることによって、貯水トレー52の全体を植物栽培容器64にて覆うようにしている。従って、貯水トレー52における貯水空間58の全体を植物栽培容器64にて覆うことができるので、貯水空間58の全体において植物栽培容器64による遮光効果を得ることができ貯留水中での藻類の発生を効果的に抑制することができる。
【0041】
植物栽培容器64と貯水トレー52とを嵌合するために、貯水トレー52には第1嵌合部76が設けられ、植物栽培容器64には第2嵌合部77が設けられている。第1嵌合部76は、貯水トレー52の外周部においてその上方側部分を外側に突出した凸状に形成している。第2嵌合部77については、植物栽培容器64の二重壁部75において内方側に突出した凸部77aを設け、その凸部77aの上方に形成された凹状部を第2嵌合部77としている。そして、第1嵌合部76と第2嵌合部77とを嵌合させて植物栽培容器64を貯水トレー52に装着するようにしている。
第2嵌合部77における凸部77aは、植物栽培容器64の二重壁部75に設けているので、植物栽培容器64において剛性を高めた部分に第2嵌合部77を設けている。従って、第1嵌合部76と第2嵌合部77との嵌合が外れ難く、植物栽培容器64を貯水トレー52に的確に装着し易くなる。
【0042】
植物栽培容器64は、その内部を中空状に成形してあり、その内部空間を外部に連通する開口部78を設けている。この開口部78には、その開口部78を閉塞する蓋部材79を着脱自在に設けている。そして、蓋部材79を取り外して開口部78から水や砂などを植物栽培容器64の内部空間に注入して蓋部材79を装着することにより植物栽培容器64を錘として利用することができる。従って、屋上などに設置した場合でも、風などによる植物栽培容器64の移動や転倒を抑制できる。そして、植物栽培容器64を持ち運ぶときには、蓋部材79を取り外して開口部78から注入した水や砂などを取り除くことにより、容易に持ち運ぶことができる。
【0043】
また、図23に示すように、植物栽培容器64に浮力を付与し得るフロート部63(空気を閉じ込めた空間)を設け、植物栽培容器64が、池や川、湖などの水面65に浮揚し得る構成とすることも可能である。
尚、植物栽培容器64の有する浮力は、その受部53に栽培床材55を収容した状態で、受部53の底部53aが、水面65よりも低位置にあるように調整されおり、その浮力を調整することによって、受部53内に供給される水の量を調節することも可能である。
【0044】
植物栽培容器64は、受部53及びフロート部63を有した一体成形品として構成されている。そして、フロート部63は、受部53の底部53aが池や川、湖などの水面65よりも低位置になるように植物栽培容器64を浮揚可能とするように構成している。つまり、中空状の植物栽培容器64の内部空間に空気を充填して蓋部材79にて開口部78を閉塞することにより、植物栽培容器64にフロート部63を形成してある。
植物栽培容器64は、受部53を備えた中央側部分を上げ底して下方側を開放した凹状に形成しており、植物栽培容器64の容器本体の縁部を受部53の底部53aよりも低位置となるように構成している。そして、受部53の周部にフロート部63を形成することにより、受部53の底部53aよりも低位置までフロート部63を形成できるようにしている。従って、フロート部63にて得られる浮力をより大きくすることができ、受部53の底部53aが池や川、湖などの水面65よりも低位置になり過ぎて、植物Pへの水の供給量が過剰になるのを抑制することができる。
【0045】
このようにして、植物栽培装置16bを池や川、湖などに浮かべて使用することができる。この場合、植物栽培容器64には、隣接する植物栽培容器64を互いに接続することができるように連結部61が設けられており、連結部61は孔61aを有する。接続する際は、隣接する植物栽培容器64の互いの連結部61同士を重ねて、孔61aの位置を合わせ、重なり合った2つの孔61aを貫通し得る適当な連結部材62(ボルトなど)を内嵌して連結することが可能である。
【0046】
連結部61は、カバー部54に備えてあり、平面視にて矩形状に形成された植物栽培容器64の4辺のそれぞれにおいてその中央部分に配置している。連結部61は、図23に示すように、一側部に設けた連結部61と他側部に設けた連結部61とで上下方向に異なる位置に夫々配置して、横方向(水平方向)に隣接する植物栽培容器64の連結部61同士を上下に重ね合わせた状態で植物栽培容器64同士を連結可能に構成している。そして、横方向(水平方向)に隣接する植物栽培容器64を連結するときには、横方向(水平方向)の一方側(図23中上側)では隣接する植物栽培容器64の連結部61よりも上側になるように連結部61同士を重ね合わせ、且つ、横方向(水平方向)の他方側(図23中下側)では隣接する植物栽培容器64の連結部61よりも下側になるように連結部61同士を重ね合わせて、植物栽培容器64同士を連結することにより、上下方向における各植物栽培容器64の位置を合わせるようにしている。
【0047】
また、連結部61は、植物栽培容器64の外側部において内方側に凹入した部分において水平方向に延びるように設けられている。そして、横方向(水平方向)に隣接する植物栽培容器64を連結するときには、連結部61同士を重ね合わせることにより植物栽培容器64の容器本体同士が接触する状態で連結するようにしている。従って、複数の植物栽培容器64のそれぞれに備えたフロート部63の浮力を協同して得ることができ、複数の植物栽培容器64を一体的に浮揚させることができる。また、植物栽培容器64の容器本体において、一側部に備える連結部61の上面又は下面が、他側部に備える連結部61の下面又は上面と略同一高さになるように配置している。従って、上下方向における各植物栽培容器64の位置を合わせながら、植物栽培容器64の容器本体同士が接触する状態で連結することができる。
【0048】
また、図24〜図26は、第2実施形態の別形態を示したものである。すなわち、図24に示すように、別形態の植物栽培容器64においては、受部53の幅をより大きなものとして、その底部53aに複数(図24においては3箇所だが、これに限定されるものではない)の貫通口57を設ける構成としている(上記図21においては、植物栽培容器64において、1つの受部53に対して、一つの貫通口57を設ける構成としている)。
図25は、図24において矢視線Cで示した第2実施形態の植物栽培装置16b(貯水トレー52と植物栽培容器64とが嵌合した状態)の断面を模式的に示したものである。図25に示すように、貯水トレー52には、トレー上げ底部52aが形成されており、必要最小限の貯水空間58を設けることによって、使用する水を節約することができる。尚、上述の実施形態と同様に、植物栽培容器64の開口部78には、その開口部78を閉塞する蓋部材79が着脱自在に設けられている。
この第2実施形態の別形態では、上述の実施形態と同様に、貯水トレー52に第1嵌合部76を設け且つ植物栽培容器64に第2嵌合部77を設けているが、図21〜図23に示すものとは配設位置及び形状を変更している。すなわち、図25に示すように、第1嵌合部76は、貯水トレー52の上面部のうち、水平方向の両端部及び中央部を上方に突出した凸部にて構成している。また、第2嵌合部77は、植物栽培容器64の底部のうち、水平方向の両端部分及び中央部を上げ底にした凹部にて構成している。そして、凸状の第1嵌合部76と凹状の第2嵌合部77とが嵌合するように、植物栽培容器64を貯水トレー52上に載置することにより、植物栽培容器64を貯水トレー52に装着するようにしている。
図26は、図24及び図25にて示した植物栽培容器64を池や川、湖などの水面65に浮揚させている場合を示している。この場合も、上述の実施形態と同様に、フロート部63は、受部53の底部53aが池などの水面65よりも低位置になるように植物栽培容器64を浮揚可能とするように構成してあり、植物栽培容器64には、上述の実施形態と同様に、横方向(水平方向)に隣接する植物栽培容器64と連結可能とする連結部61を設けている。
【0049】
図27は、図24〜図26にて示した植物栽培装置16bの別形態を示したものである。すなわち、図27に示すように、貯水トレー52の湧水口60aを、植物栽培容器64を貯水トレー52に装着した状態において、受部53の底部53aに設けた貫通口57と横方向に異なる位置となるように配置している(上記図24及び図25においては、貯水トレー52の湧水口60aを、植物栽培容器64を貯水トレー52に装着した状態において、受部53の底部53aに設けた貫通口57と横方向に同じ位置となるように配置している)。このように、湧水口60aと貫通口57とを横方向に異なる位置とすることにより、植物Pの根が貫通口57を通過しても湧水口60aを通して貯水空間58に侵入するのを抑制している。従って、貯水空間58において植物Pの根が抵抗となって貯留水59の流れが阻害されるのを防止することができる。
【0050】
図28(A)、(B)及び図29は、植物栽培装置16bの第3実施形態を示している。図28(A)に示されるように、植物栽培装置16bは、上述の実施形態と同様に、植物に潅水する水を貯水可能な貯水トレー52、植物を栽培可能な栽培床材を収容し得る複数の円形の受部53、及び貯水トレー52の上方を覆うカバー部54とから構成されている。
貯水トレー52には、隣接する貯水トレー52を互いに連通接続することが可能な接続ノズル56(接続部)が2箇所設けられており、接続ノズル56はさらに、水の流れる方向によって、流入用接続ノズル56a(流入用接続部)と流出用接続ノズル56b(流出用接続部)とに区別される。
さらに、貯水トレー52には、取付け部67(取付け凸部67a及び取付け凹部67b)が設けられており、取付け凸部67aは、壁面68に予め取付けられている本体取付け金具69に掛止可能であり、また、取付け凹部67bは、同じく壁面68に予め取付けられている保護カバー取付け金具70に掛止可能に構成してある。
すなわち、第3実施形態における植物栽培装置16bは、図28(A)に示されるように、取付け凸部67aと取付け凹部67bとをそれぞれ、本体取付け金具69と保護カバー取付け金具70に掛止することによって、壁面68に設置することができる。尚、本体取付け金具69と取付け凸部67aには、ボルトが貫通し得るボルト孔73がそれぞれ設けられており、それぞれのボルト孔73を合わせて、本体取付け金具69に取付け凸部67aを取付け、ボルト孔73に適当な長さのボルトを通し、本体取付け金具69の反対側からナット等を取付けて固定すれば、植物栽培装置16bを壁面68により確実に固定することができる。
また、保護カバー取付け金具70には、保護カバー部材71(保護カバー部材を構成する材質としては、例えば、ステンレス、FRP(強化プラスチック)等が挙げられる)がヒンジ連結されており、上下に揺動し得る構成となっている。尚、保護カバー部材71には、複数の開口部71aと、係止部71bが設けられている。
図28(A)及び(B)に示されるように、第3実施形態の植物栽培装置16bにおいては、その取付け部67を本体取付け金具69と保護カバー取付け金具70に掛止した後、植物栽培装置16bを覆うように保護カバー部材71を上方に持ち上げて、保護カバー部材の係止部71bを植物栽培装置16bの上面部に設けられている段差(被係止部72)に引っ掛けて固定することができるように構成されている。
このとき、図28(B)に示されるように、保護カバー部材71における開口部71aの位置と大きさは、植物栽培装置16bの受部53を塞がないように、受部53の位置と大きさに合わせて設けられている。
また、図29は、第3実施形態の別形態を示したものである。すなわち、この別形態の植物栽培装置16bにおいては、受部53の幅をより大きなものとして、その底部53aに複数(図29においては3箇所だが、これに限定されるものではない)の貫通口57を設ける構成としている(上記図28においては、植物栽培装置16bにおいて、1つの受部53に対して、一つの貫通口57を設ける構成としている)。
【0051】
上述の植物栽培装置16bの形状(円形、四角形、六角形など)、あるいは、植物栽培装置16bの内部に配置される受部の形状や個数については、特に制限は無く、必要に応じて任意の構成を採用することができる。
上述の実施形態においては、接続ホースを介して複数の植物栽培装置16bを連通接続する構成としているが、これに限定されるものではなく、接続ノズル同士を直接連通接続するような構成としても良い。
植物栽培装置16bに設けられる接続ノズル(接続部)の設置位置やその数は、上述の実施形態に限定されるものでなく、オーバーフローによって適切な給水・排水が可能な構成であるならば、その設置位置や数については任意である。従って例えば、植物栽培装置16bの形状が四角形であり、各辺の中央部に合計4箇所の接続ノズルを設ける構成とした場合、接続ノズルを上述の実施形態のように2箇所しか設けていない植物栽培装置16bに比べて、その植物栽培装置16bを複数接続した際に形成される全体形状のバリエーションを増やすことができるので、建物の敷地や屋上の広さ又はその形状に合わせて本発明の植物栽培装置16bを設置する作業がより容易になる。尚、未接続(未使用)の接続ノズルについては、適宜、適当な栓を設けるなどして水が流れないようにしても良い。
【0052】
(実施例3)
図30は、雨水回収制御部80、及び水道水供給部90等をさらに備える植物栽培システム18の概略を模式的に示したものである。
本実施例における植物栽培システム18は、雨水集水装置1、植物を栽培可能な植物栽培装置(本実施例における植物栽培装置は、上記実施例1における容器本体21、又は上記実施例2における植物栽培装置16bに相当するものである)、並びに、雨水集水装置1によって汲み上げられた水を植物栽培装置に供給し得る給水機構17(給水管20)を備える。
【0053】
図30及び図31(イ)に示すように、雨水集水装置1における貯水容器5の上部には、雨水回収制御部80を取付けるための取付け設置部86が設けられている。取付け設置部86には、雨水回収制御部80を載置可能な開口縁87(図31(ロ))、貯水容器5の貯水部8に雨水を導入し得る複数の導入口7、並びに電源コード等を通し得る切り欠き部89が設けられている。
図30及び図31に示すように、雨水回収制御部80は、第1水位センサー81、第2水位センサー82、第3水位センサー83、及び第4水位センサー84を備えており、雨水回収制御部80を取付け設置部86に取付ける際は、第1水位センサー81、第2水位センサー82、及び第3水位センサー83を取付け設置部86の開口部88から導入し、雨水回収制御部80の本体を開口縁87上に設置する。
【0054】
雨水回収制御部80は、第1水位センサー81、第2水位センサー82、及び第3水位センサー83によって、貯水容器5に貯水された水の水位を検出することが可能であり、第4水位センサー84によって貯水タンク13内に貯水された水の水位を検出することができる。
雨水回収制御部80は、貯水容器5内の水の水位が、第1水位センサー81により検出される水位L1以上に上がると、配線85を通じて汲み上げポンプ12に指令を出して汲み上げポンプ12を作動させ、貯水容器5内に収容されている水を貯水タンク13に汲み上げるように制御し、一方、水位が、第2水位センサー82により検出される水位L2よりも低い位置に下がると、汲み上げポンプ12を停止させるよう制御する。
さらに、雨水回収制御部80は、第4水位センサー84によって貯水タンク13内に貯水された水の水位を検出することが可能であり、貯水タンク13の水が満水状態となり、第4水位センサー84によって貯水タンク13内の水位がL3(図30参照)となったことが検出されると、汲み上げポンプ12を速やかに停止させる構成となっている。
【0055】
また、図30及び図32に示すように、本実施例の植物栽培システム18における貯水タンク13には、水道水供給部90が設けられている。水道水供給部90は、水道水の通る水道管91、水道水を供給する蛇口92、並びに水道管91に枢支連結されるアーム部93等で構成されており、アーム部93には、水道管91に設けられた弁取付け孔94を介して水道管91を閉塞自在に上下に移動し得る弁95、並びに浮力を有する浮き部96が取付けられている。
図32に示すように、水道水供給部90においては、水道水を供給可能な水道管91が、貯水タンク13の側面部に設けられている水道管取付け孔97を介して貯水タンク13内に挿入されており、蛇口92から水道水が貯水タンク13内に補給される構成となっている。
【0056】
アーム部93に取付けられている浮き部96は、貯水タンク13内の水に浮いており、貯水タンク13内の水位に合わせて上下に移動し得る。そして、弁95は、アーム部93によって、その浮き部96の上下移動に連動して、水道管91を開放又は閉塞し得るように上下に移動する構成となっている。
即ち、図32(イ)に示すように、貯水タンク13内の水位がL4未満となった場合、浮き部96はL4よりも低い位置に移動すると共に、アーム部93を介して、弁95も下方に移動することによって水道管91が開放され、水道水が蛇口92より供給される。
また、図32(ロ)に示すように、水道水や雨水が補給されて貯水タンク13内の水位がL4以上となった場合、浮き部96がその浮力によって上方に移動すると共に、アーム部93を介して、弁95が上方に移動することによって、水道管91が閉塞され、水道水の補給が止まる。
従って、本実施例の植物栽培システム18においては、雨水回収制御部80、及び水道水供給部90を備えることによって、貯水タンク13内に貯水される水の量は、常にその水位が、L3〜L4の間に維持されることとなる。
【0057】
また、図30に示されるように、本実施例においては、貯水タンク13を、植物栽培装置よりも高い位置に設け、貯水タンク13における給水管20の取付け位置を水位L4よりも低い位置に設けており、給水管20に設けた給水弁98を開放すると位置エネルギーの差によって、貯水タンク13内の水が植物栽培装置16b,21に供給される仕組みとなっている。
従って以上より、本実施例の植物栽培システム18においては、雨水と水道水とを併用することによって、植物への潅水作業を完全に自動化することができる。
尚、図示しないが、雨水回収制御部80や汲み上げポンプ12に必要とされる電力については、建物躯体の屋上等に設置された太陽光発電機器から供給されるような構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の雨水集水装置を、建物躯体に形成された雨水排水口に設置したときの様子を模式的に示した斜視図
【図2】本発明の雨水集水装置を、建物躯体に形成された雨水排水口に設置したときの様子を模式的に示した断面図
【図3】本発明の雨水集水装置における貯水容器の斜視図
【図4】本発明の雨水集水装置(別実施形態)を、建物躯体に形成された雨水排水口に設置したときの様子を模式的に示した断面図
【図5】本発明の雨水集水装置と植物栽培装置とを組み合わせて構築した植物栽培システムを模式的に示した図
【図6】横姿勢における植物栽培装置の斜視図
【図7】縦姿勢における植物栽培装置の一部切欠き正面図
【図8】図2におけるIII−III線断面図
【図9】横姿勢における植物栽培装置の要部断面図
【図10】縦姿勢における植物栽培装置の要部断面図
【図11】縦姿勢における植物栽培装置の斜視図
【図12】別の実施形態の横姿勢における植物栽培装置の斜視図
【図13】別の実施形態の横姿勢における植物栽培装置の斜視図
【図14】別の実施形態の植物栽培装置の分解斜視図
【図15】別の実施形態の植物栽培装置の組立て過程を示す斜視図
【図16】別の実施形態の植物栽培装置の組立て状態を示す斜視図
【図17】本発明の雨水集水装置と植物栽培装置とを組み合わせて構築した植物栽培システムを模式的に示した図
【図18】植物栽培装置(第1実施形態)の表側の外観斜視図
【図19】植物栽培装置(第1実施形態)の裏側の外観斜視図
【図20】植物栽培装置(第1実施形態)の断面図
【図21】植物栽培装置(第2実施形態)の外観斜視図
【図22】植物栽培装置(第2実施形態)の断面図
【図23】植物栽培装置(第2実施形態)の断面図
【図24】植物栽培装置(第2実施形態)の外観斜視図
【図25】植物栽培装置(第2実施形態(別形態))の断面図
【図26】植物栽培容器の断面図
【図27】植物栽培装置(第2実施形態(別形態))の断面図
【図28】植物栽培装置(第3実施形態)の外観斜視図
【図29】植物栽培装置(第3実施形態(別形態))の外観斜視図
【図30】本発明の雨水集水装置と植物栽培装置とを組み合わせて構築した植物栽培システムを模式的に示した図
【図31】貯水容器及び取付け設置部の側面図(イ)及び平面図(ロ)
【図32】貯水タンクの要部拡大図
【符号の説明】
【0059】
1 雨水集水装置
2 建物躯体
3 雨水排水口
4 排水路
5 貯水容器
5a 内筒部
5b 外筒部
6 汲み上げ機構
7 導入口
8 貯水部
9 排水部
10 つば部
11 フィルター部
12 汲み上げポンプ
13 貯水タンク
14 汲み上げ管
15 挿入口
16 植物栽培装置
17 給水機構
18 植物栽培システム
19 給水ポンプ
20 給水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水を導入可能な導入口、建物躯体に形成される排水路の始端である雨水排水口の周縁部に係止して雨水を前記導入口に導入し得るつば部、及び、所定水位を越える過剰な水を前記排水路に排水し得る排水部を有し、且つ前記雨水排水口を通して前記排水路内に嵌入自在な貯水容器を設け、前記貯水容器内に収容された水を容器外に汲み上げ可能な汲み上げ機構を備える雨水集水装置。
【請求項2】
前記汲み上げ機構が、前記貯水容器内に収容された水を汲み上げ可能な汲み上げポンプと、前記汲み上げポンプによって汲み上げられた水が流通し得る汲み上げ管とを備える請求項1に記載の雨水集水装置。
【請求項3】
前記導入口に、前記雨水中に含まれる固形物を除去し得るフィルター部を設けている請求項1又は2のいずれか1項に記載の雨水集水装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載される雨水集水装置、植物を栽培可能な植物栽培装置、並びに前記雨水集水装置によって汲み上げられた水を前記植物栽培装置に供給し得る給水機構を備える植物栽培システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2009−114760(P2009−114760A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289929(P2007−289929)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000001904)サントリー株式会社 (319)