説明

雪対策光ドロップケーブル

【課題】光ドロップケーブルへの着氷を抑制し、着氷による伝送特性の低下、あるいは断線に至ることがない光ドロップケーブルを提供する。
【解決手段】光ファイバ心線11の両側に間隔をあけて、アラミド繊維強化プラスチック紐からなるテンションメンバ12を配置し、両者の上に低摩擦難燃ポリエチレン、または低摩擦難燃ポリウレタン組成物により断面円形、または楕円形の保護被覆15を施し、上記光ファイバ心線11とテンションメンバ12とを結ぶ延長線上で、かつ、上記保護被覆15の外側に支持線13を配置し、この支持線13の上に外被16を、ブリッジ17を介して上記保護被覆15とともに設けてなる。上記保護被覆15の長軸/短軸の比を1〜2とし、保護被覆表面に、谷底が円弧状で、谷面と外周面とが交わる部分に微小アールを形成したV字状凹溝14を設けたもので、上記V字状凹溝の深さをと、谷底の円弧の半径を特定の寸法にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、架空光伝送ケーブルから中間光ドロップクロージャ(以下、単に光クロージャという)を経て、利用者宅へ引き込まれる雪対策光ドロップケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
架空光伝送ケーブル31は、図3に示す如く電柱32等に架渉されており、利用者宅33へは、光クロージャ34を経て引き込まれ、上記光クロージャ34と利用者宅33との間は、図2に示す光ドロップケーブル10の支持線に吊架され、その支持線は利用者住宅33に取付けられたブラケット(図示せず)等に引き留められ、それから先は、支持線と光ケーブル本体10aとは切り離されて光ケーブル本体10aだけが宅内に引き込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、光クロージャ34から利用者宅33に引き込まれる光ドロップケーブルは、屋外にあり、これが、豪雪地で引き下げられたときは、該光ドロップケーブルに着雪することとなり、雪質・気温の変化などによって着雪が大きく成長し、その重みによって大きい張力が加わることとなり、その結果光ドロップケーブルの伝送特性の低下、あるいは断線に至ることも考えられる。
【0004】
上記の状況に鑑みこの発明は、光ドロップケーブルへの着雪を抑制し、着雪による伝送特性の低下、あるいは断線に至ることがない光ドロップケーブルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためにこの発明は、光ファイバ心線の両側に間隔をあけて、アラミド繊維強化プラスチック紐からなるテンションメンバを配置し、両者の上に低摩擦難燃ポリエチレン、または低摩擦難燃ポリウレタン組成物により断面円形、または楕円形の保護被覆を施し、上記光ファイバ心線とテンションメンバとを結ぶ延長線上で、かつ、上記保護被覆の外側に支持線を配置し、この支持線の上に外被を、ブリッジを介して上記保護被覆とともに設けてなる光ドロップケーブルにおいて、上記保護被覆の長軸/短軸の比を1〜2とし、上記光ファイバ心線とテンションメンバとを結ぶ線の中点で、直交する線上の保護被覆表面に、谷底が円弧状で、谷面と外周面とが交わる部分に微小アールを形成したV字状凹溝を設けたもので、上記V字状凹溝の深さを、保護被覆の短軸の1/12〜1/7、円弧の半径を、保護被覆の短軸の1/18〜1/8とし、上記光ファイバ心線と保護被覆との間に微小ギャップを設けたものである。
【発明の効果】
【0006】
上記の如く構成するこの発明によれば、表面が曲面をなし、角張ったところがないので、着雪が大きく成長する前に落下して、光ドロップケーブルの伝送特性に悪影響を及ぼすことがなく、もちろん断線の心配がない。
【0007】
また、保護被覆および外被が低摩擦難燃ポリウレタンを採用しているので、着雪防止効果が得られ、加えて、保護被覆と光ファイバ心線との間に微小ギャップを設けているので架渉状態における着雪があっても外圧が直接光ファイバ心線に加わらず、伝送特性の低下防止効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次にこの発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
図1(a)は実施例1に係る光ドロップケーブル10の断面図で、0.25mmφの光ファイバ心線11を並列し、その両サイドに0.6mmの間隔をあけて、0.45mmφのアラミド繊維強化プラスチック紐からなるテンションメンバ12を平行配置し、更に上記テンションメンバ12と光ファイバ心線11を結ぶ延長線上に1.2mmφの亜鉛メッキ鋼線13を平行配置して低摩擦難燃ポリウレタン組成物により保護被覆15とともにブリッジ17を介して外被16を一体に押出し成形してなる。なお、上記低摩擦難燃ポリウレタン組成物は、硬度が90(HDA)以上、塩化ビニルに対する摩擦係数が0.2以下のものを採用した。また、低摩擦難燃ポリウレタン組成物に代えて低摩擦難燃ポリエチレンを採用することができる。
【0010】
上記保護被覆15の押出し成形の際にはニップルをダイスの前面より僅かに突出させて、いわゆるパイプ押出し方式を採用して光ファイバ心線11と保護被覆15との間に微小ギャップG(0.5mm以下)を設けるようにする。なお、保護被覆15の肉厚は0.8mmで外径は2.4mmφである。
【0011】
微小ギャップGを0.5mm以下としたのは、0.5mmを超えると保護被覆15のV字状凹溝の谷底部分における肉厚が薄くなり、保護被覆15が座屈する恐れがあるからである。
【0012】
また、保護被覆15の外周面長手方向には、底面が半径0.2mm、深さ0.3mmのV字状凹溝14が形成されており、ブリッジ17の高さは0.1mm、厚さは0.2mmで外被16の肉厚は0.4mm、外径は2.0mmφである。
【0013】
なお、本実施例における上記の各部分の寸法は、単なる実施例であって特許請求の範囲を拘束するものではない。
【実施例2】
【0014】
図1(b)は実施例2に係る光ドロップケーブル10の断面図で、0.25mmφの光ファイバ心線11を並列し、その両サイドに0.4mmの間隔をあけて、0.45mmφのアラミド繊維強化プラスチック紐からなるテンションメンバ12を平行配置し、更に上記テンションメンバ12と光ファイバ心線11を結ぶ延長線上に1.2mmφの亜鉛メッキ鋼線13を平行配置して保護被覆15とともにブリッジ17を介して外被16を一体に押出し成形してなる。
【0015】
上記保護被覆15の押出し成形の際にはニップルをダイスの前面より僅かに突出させて、いわゆるパイプ押出し方式を採用して光ファイバ心線11と保護被覆15との間に微小ギャップG(0.5mm以下)を設けるようにする。なお、保護被覆15の肉厚は、長軸側0.8×短軸側0.6mm、外径は、長軸側2.4mm×短軸側2.0mmである。なお、微小ギャップGを0.5mmとしたのは実施例1と同じ理由である。
【0016】
また、保護被覆15の外周面長手方向には、底面が半径0.2mm、深さ0.3mmのV字状凹溝14が形成されており、ブリッジ17の高さは0.1mm、厚さは0.2mmで外被16の肉厚は0.4mm、外径は2.0mmφである。
【0017】
なお、本実施例における上記の各部分の寸法は、単なる実施例であって特許請求の範囲を拘束するものではない。
【実施例3】
【0018】
図1(c)は実施例3で、11は外径0.25mmの光ファイバ心線を4心平行配置した4心光ファイバテープ心線、12は上記光ファイバテープ心線の両側に間隔をあけて配置した0.45mmφのアラミド繊維強化プラスチック紐からなるテンションメンバ、13は1.2mmφの亜鉛メッキ鋼線で、これらの上に低摩擦難燃性ポリウレタン組成物により短軸2.0mm×長軸4.0mmの楕円形保護被覆と、ブリッジ17を介して外径2.0mmφの外被を設けている。
【0019】
上記保護被覆15の成形は、パイプ押し出し法を採用し、光ファイバテープ心線11と保護被覆15との間に、短軸側0.11mm、長軸側0.35mmの微小ギャップGを形成し保護被覆15の外周面長さ方向に谷底が円弧状で、谷面と外周面が交わる部分に微小アールRを形成したV字状凹溝14を設ける。ここで上記微小ギャップGは、短軸側、長軸側とも0.5mmまで広げることができるが、それを超えるものは、実施例1,2と同じ理由で広げることは好ましくない。なお、上記以外は、実施例1、実施例2と基本的に同様であるから説明を省略する。
【0020】
なお、本実施例における上記の各部分の寸法は、単なる実施例であって特許請求の範囲を拘束するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上説明した如くこの発明によれば、表面が曲面をなし、角張ったところがないので、着雪が大きく成長する前に落下して、光ドロップケーブルの伝送特性に悪影響を及ぼすことがなく、もちろん断線の心配がない。
【0022】
また、保護被覆および外被が低摩擦難燃ポリウレタンを採用しているので、着雪防止効果が得られ、加えて、保護被覆と光ファイバ心線との間に微小ギャップを設けているので架渉状態における着雪があっても外圧が直接光ファイバ心線に加わらず、伝送特性の低下防止効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る光ドロップケーブルの断面図で(a)実施例1、(b)実施例2、(c)実施例3
【図2】従来技術に係る光ドロップケーブルの断面図
【図3】光ドロップケーブルの引き込み工事説明図
【符号の説明】
【0024】
10 光ドロップケーブル
10a 光ケーブル本体
11 光ファイバ(テープ)心線
12 テンションメンバ
13 亜鉛メッキ鋼線(支持線)
14 V字状凹溝
15 保護被覆
16 外被
17 ブリッジ
31 架空光伝送ケーブル
32 電柱
33 利用者宅
34 中間光ドロップクロージャ
35 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ心線の両側に間隔をあけて、アラミド繊維強化プラスチック紐からなるテンションメンバを配置し、両者の上に低摩擦難燃ポリエチレン、または低摩擦難燃ポリウレタン組成物により断面円形、または楕円形の保護被覆を施し、上記光ファイバ心線とテンションメンバとを結ぶ延長線上で、かつ、上記保護被覆の外側に支持線を配置し、この支持線の上に外被を、ブリッジを介して上記保護被覆とともに設けてなる光ドロップケーブルにおいて、上記保護被覆の長軸/短軸の比を1〜2とし、上記光ファイバ心線とテンションメンバとを結ぶ線の中点で、直交する線上の保護被覆表面に、谷底が円弧状で、谷面と外周面とが交わる部分に微小アールを形成したV字状凹溝を設けたことを特徴とする雪対策光ドロップケーブル。
【請求項2】
上記V字状凹溝の深さを、保護被覆の短軸の1/12〜1/7、円弧の半径を、保護被覆の短軸の1/18〜1/8としたことを特徴とする請求項1に記載の雪対策光ドロップケーブル。
【請求項3】
上記光ファイバ心線と保護被覆との間に微小ギャップを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の雪対策光ドロップケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−330265(P2006−330265A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152372(P2005−152372)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000108742)タツタ電線株式会社 (76)
【Fターム(参考)】