説明

雪崩防止方法およびそれに用いられる雪崩防止システム

【課題】小段と雪崩防止柵との組み合わせた構造において、簡易な構造のシステム全体で雪崩を防止し、雪崩防止柵の小型軽量化が可能な雪崩防止方法および雪崩防止システムを提供する。
【解決手段】雪崩防止方法は、法面Sにおける小段2よりも下側の法面部分S2に雪崩防止柵3を立設することにより、小段2の上に積もる雪A2と連続して雪崩防止柵3の上に雪A3が積もるように小段2を拡張するし、法面Sにおける小段2よりも上側の法面部分S1に雪崩防止柵3よりも低いグライド抑止柵4を立設して、グライド抑止柵4を上側の法面部分S1の上に積もる雪A1の層の底部に接触させ、上側の法面部分S1とその上に積もる雪A1との間の摩擦を増大させることにより、上側の法面部分S1に積もる雪A1から小段2および雪崩防止柵3の上にそれぞれ積もる雪A2、A3へ与えられる荷重を軽減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪崩の発生を防止する雪崩防止方法およびそれに用いられる雪崩防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積雪地方の法面における雪崩を防止するために、法面の途中に小段が設けられ、小段の上に積もる雪と小段との間の摩擦抵抗を利用して、小段よりも上側の法面部分に積もる雪の下降を抑制している。
【0003】
しかし、多くの雪を小段だけで止めようとすれば、その分だけ幅の広い小段が必要になる。ところが、岩や巨木などが存在する場所などでは広い小段を設置するだけのスペースを確保することが困難な場合がある。
【0004】
そこで、本発明者は、特許文献1記載のように、広い小段を設ける代わりに、小段の下側の法面部分に雪崩防止柵を設け、この雪崩防止柵の上に小段と連続して雪を堆積させることができるようにすることにより、小段幅を実質的に拡張させる構造を考案している。この構造では、小段および雪崩防止柵の上に堆積する雪と小段等との間の摩擦抵抗を利用して、小段の上側の法面部分に積もる雪から受ける荷重に耐えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−85007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような構造では、小段よりも上側の法面部分に積もる雪が多い場合には、その雪からの荷重に耐えるために、小段および雪崩防止柵の上に多くの雪を保持する必要があり、そのため、雪崩防止柵が大型にならざるを得なくなる。雪崩防止柵が大型になれば、製造コストが高くなり、重量も重くなる。
【0007】
そこで、本発明では、小段と雪崩防止柵との組み合わせた構造において、簡易な構造のシステムによりシステム全体で雪崩を防止することが可能であり、雪崩防止柵の小型化および軽量化を達成することが可能な雪崩防止方法およびそれを用いた雪崩防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記の小段拡張用の雪崩防止柵による雪崩防止効果を高める手段として、その小段よりも上流側の法面での雪の滑りを抑止することがきわめて効果的であることを見出した。この法面での雪の滑りを防ぐには、背の低い簡単なグライド抑止柵の設置で足り、雪崩防止柵の大型化を招くことなく、雪崩防止効果を向上させることができる。本発明はこのような観点からなされたものである。
【0009】
すなわち、本発明の雪崩防止方法は、上記課題を解決するためのものとして、法面における雪崩の発生を防止する雪崩防止方法であって、前記法面の途中において、小段を準備する工程と、前記法面における前記小段よりも下側の法面部分に雪崩防止柵を立設することにより、前記小段の上に積もる雪と連続して前記雪崩防止柵の上に雪が積もるように当該小段を拡張する工程と、前記法面における前記小段よりも上側の法面部分に前記雪崩防止柵よりも低いグライド抑止柵を立設して、当該グライド抑止柵を当該上側の法面部分の上に積もる雪の層の底部に接触させ、当該上側の法面部分とその上に積もる雪との間の摩擦を増大させることにより、前記上側の法面部分に積もる雪から前記小段および雪崩防止柵の上に積もる雪へ与えられる荷重を軽減させる工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
かかる雪崩防止方法によれば、まず、小段の下側の法面部分に雪崩防止柵を立設して小段を拡張し、これら小段および雪崩防止柵の上に積もる雪が当該小段等との間で生じる摩擦抵抗を利用して、小段の上側の法面部分に積もる雪から受ける荷重に耐えるようしている。そして、この小段の上側の法面部分の雪から受ける荷重自体は、小段よりも上側の法面部分に立設された、雪崩防止柵よりも低いグライド抑止柵によって軽減される。すなわち、このグライド抑止柵を当該上側の法面部分の上に積もる雪の層の底部に接触させることにより、当該上側の法面部分とその上に積もる雪との間の摩擦を増大させ、それによって、上側の法面部分に積もる雪から小段および雪崩防止柵の上に積もる雪へ与えられる荷重を軽減させている。そのため、小段、雪崩防止柵および当該雪崩防止柵より低いグライド抑止柵の組合せにより、雪崩防止柵の大型化を伴うことなく、雪崩防止効果を顕著に高めることが可能である。換言すれば、従来のような小段および雪崩防止柵を組み合わせた構造と同様の雪崩防止効果を維持しながら、雪崩防止柵を小型化することが可能になり、それに伴って、製造コストおよび重量の低減が可能になる。
【0011】
本発明の雪崩防止方法で用いられるグライド抑止柵は、小段や雪崩防止柵のようにそれらの上に積もった雪の重量に比例する摩擦抵抗を利用して小段の上側の法面部分に積もる雪の滑りを防止するのではなく、小段の上側の法面部分の上に積もる雪の層の底部に接触させて摩擦を増大させており、雪崩防止柵とは雪の滑りを止める作用が異なっている。そのため、グライド抑止柵は、小段の上側の法面部分の上に積もる雪の層の底部に接触させて摩擦を増大させることができる程度の高さがあればよく、グライド抑止柵の高さを雪崩防止柵の高さよりも低く設定することが可能である。
【0012】
また、上記の本発明の雪崩防止方法に用いられる雪崩防止システムは、上記の雪崩防止方法に用いられる雪崩防止システムであって、前記法面の途中に形成された前記小段と、前記法面における前記小段よりも下側の法面部分に立設され、前記小段の上に積もる雪と連続するように雪を堆積させることが可能な雪受け面を有する雪崩防止柵と、前記法面における前記小段よりも上側の法面部分に立設され、当該法面部分の表面から突出して、前記小段の上側の法面部分に積もる雪が当該法面部分に沿って谷側へすべる動きに抵抗する摩擦抵抗を増大させることが可能な突出部を有するグライド抑止柵と、を備えており、前記雪受け面の高さは、前記小段の表面に沿って当該小段の谷側縁部から延長した面よりも上側に来るような高さに設定されており、前記突出部の高さは、前記雪受け面の高さよりも低くなるように設定されていることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、小段よりも上側の法面部分に立てられたグライド抑止柵は、当該法面部分から突出する突出部を有しており、当該突出部により、小段の上側の法面部分に積もる雪が当該法面部分に沿って谷側へすべる動きに抵抗する摩擦抵抗を増大させることが可能である。これにより、上側の法面部分に積もる雪から小段および雪崩防止柵の上に積もる雪へ与えられる荷重を軽減させることができる。そのため、小段、雪崩防止柵および当該雪崩防止柵より低いグライド抑止柵の組合せにより、雪崩防止柵の大型化を伴うことなく、雪崩防止効果を顕著に高めることが可能である。換言すれば、従来のような小段および雪崩防止柵を組み合わせた構造と同様の雪崩防止効果を維持しながら、雪崩防止柵を小型化することが可能になり、それに伴って、製造コストおよび重量の低減が可能になる。
【0014】
また、グライド抑止柵は、小段の上側の法面部分に積もる雪の層の中にくい込んだ状態で、当該雪の層と法面部分との間の摩擦抵抗を増大させており、雪崩防止柵のように雪の層全体を雪受け面で受ける構造と異なるため、グライド抑止柵に作用するモーメントは、雪崩防止柵に作用するモーメントよりも低く、グライド抑止柵が転倒するおそれは雪崩防止柵よりも低くなっている。そのため、グライド抑止柵は、雪崩防止柵よりも小型かつ軽量なものを採用することが可能である。さらに、複数のグライド抑止柵を上側の法面部分に設置することが容易になる。
【0015】
また、前記グライド抑止柵の高さは、前記上側の法面部分の表面から50〜100cmの高さであるのが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、グライド抑止柵の高さが上側の法面部分の表面から100cm以内の範囲では、上側の法面部分の上に積もる雪の密度が法面部分の表面からの高さが100cmを超える範囲の雪の密度よりも十分に高いので、グライド抑止柵が上記の50〜100cmの範囲に突出することによって、上側の法面部分とその上に積もる雪との間の摩擦を増大させて上側の法面部分に積もる雪全体の滑り(グライド)を確実に防止でき、それとともにグライド抑止柵の大型化を抑制することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の雪崩防止方法におよびそれに用いられる雪崩防止システムによれば、グライド抑止柵を小段の上側の法面部分に設置することによって、上側の法面部分に積もる雪から小段および雪崩防止柵の上に積もる雪へ与えられる荷重を軽減させることができ、小段、雪崩防止柵およびグライド抑止柵を組み合わせた簡易な構造のシステムによってシステム全体で雪崩を防止することができる。また、雪崩防止柵を多くの雪を受けるために大型化する必要性が低減するため、雪崩防止柵の小型化および軽量化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の雪崩防止方法に用いられる雪崩防止システムが設置された法面を示す断面図である。
【図2】図1の雪崩防止柵の側面図である。
【図3】図1の雪崩防止柵の正面図である。
【図4】図1のグライド抑止柵の側面図である。
【図5】図1のグライド抑止柵の正面図である。
【図6】図1の雪崩防止システムを用いて雪崩を防止する状態を示す断面説明図である。
【図7】本発明の比較例である小段と雪崩防止柵との組合せで雪崩を防止する状態を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る雪崩防止方法およびそれに用いられる雪崩防システムについて説明する。
【0020】
本実施形態に係る雪崩防止方法は、法面Sにおける雪崩の発生を防止する雪崩防止方法であり、図1に示される雪崩防止システム1を用いて行われる。この方法では、法面Sの途中に設けられた小段2を拡張するために、雪崩防止柵3を法面Sの小段2よりも下側の法面部分S2に設けて雪崩防止効果を高めている。さらに、当該法面Sの小段2よりも上流側の法面部分S1での雪の滑りを抑止するために、雪崩防止柵3よりも低い簡単な構造のグライド抑止柵4を設けることにより、雪崩防止柵3の大型化を招くことなく、システム全体によって雪崩防止効果を向上させている。
【0021】
本実施形態に係る雪崩防止方法は、具体的には、図1および図6に示されるように、法面Sの途中(法面部分S1とS2との間)において、小段2を準備する工程と、当該法面Sにおける小段2よりも下側の法面部分S2に雪崩防止柵3を立設することにより、小段2の上に積もる雪A2と連続して雪崩防止柵3の上に雪A3が積もるように当該小段2を拡張する工程と、法面Sにおける小段2よりも上側の法面部分S1に雪崩防止柵3よりも低いグライド抑止柵4を立設して、当該グライド抑止柵4を当該上側の法面部分S1の上に積もる雪A1の層の底部に接触させ、当該上側の法面部分S1とその上に積もる雪A1との間の摩擦を増大させることにより、上側の法面部分S1に積もる雪A1から小段2の上に積もる雪A2および雪崩防止柵3の上に積もる雪A3へ与えられる荷重を軽減させる工程とを含むことを特徴としている。
【0022】
(雪崩防止システム1)
本実施形態の雪崩防止方法に用いられる雪崩防止システム1は、図1および図6に示されるように、法面Sの途中に形成された小段2と、雪崩防止柵3と、グライド抑止柵4とから構成されている。
【0023】
小段2は、法面Sの途中、すなわち、法面Sの法面部分S1とS2との間に水平方向に切り開いて形成されている。本実施形態における小段2の傾斜角度はほぼ0度に設定されている。
【0024】
小段2の幅Laは、後段で詳述するように、法面Sの傾斜角度θ、法面Sが形成された地域における積雪深さH(例えば、最大積雪深さ)、雪の密度σなどの条件に基づいて設定される。
【0025】
雪崩防止柵3は、図2〜3に示されるように、複数の台座部11と、それぞれの台座部11に立設された複数の支柱12と、雪受け部13と、連結部14と、台座部固定部材15とを備えている。
【0026】
台座部11は、複数の平らな鋼板またはI型鋼などからなり、法面Sにおける小段2の下側の法面部分S2の表面に面接触して設置できるような形状を有している。
【0027】
台座部11は、組立作業の軽減や雪の荷重などの諸条件を考慮して、軽量かつ高強度の鋼板やプレキャストコンクリート板などで製造されるのが好ましい。
【0028】
複数の支柱12は、H型鋼などからなる柱状体であり、台座部11から垂直に立ち上がっている。本実施形態では、台座部11を構成する鋼板にそれぞれ1本ずつ支柱12が立設されている。
【0029】
複数の支柱12のうち雪崩防止柵3の両端の支柱12は、台座部11の山側端部11a(すなわち、小段2に近い側の端部)よりも谷側端部11b(小段2に遠い側の端部)に近い位置に配置されており、台座部11における支柱12よりも山側の部分11cは、雪を載せることが可能な形状を有する。
【0030】
雪受け部13は、支柱12の間に架設され、当該支柱12の間で雪を受けることが可能な形状を有する。本実施形態の雪受け部13は、支柱12の間に、丸鋼などからなる複数の梁材16が間隔をあけて水平方向に配置されたものである。複数の梁材16によって構成された雪受け部13の山側を向く面には、雪受け面13aが形成されている。雪受け面13aは、図6に示されるように、小段2の上に積もる雪A2と連続するように法面部分S2の上の雪A3を堆積させることが可能な形状を有する。また、雪受け面13aの高さh1は、小段2の表面に沿って当該小段2の谷側縁部から延長した面Eよりも上側に来るような高さh1に設定されている。
【0031】
梁材16は、Uボルトなどの固定部材17によって各支柱12の山側側面12aに固定されている。
【0032】
連結部14は、複数の支柱12のうち雪崩防止柵3の両端の支柱12の山側側面12aと台座部11の当該支柱12よりも山側の部分11cとの間を連結する柱状の部材であり、引張荷重だけでなく山側からの雪圧による曲げ荷重に耐えられる強度を有する材料で製造され、例えば、角型鋼やH型鋼などによって製造される。連結部14が、支柱12の山側側面12aと台座部11の当該支柱12よりも山側の部分2cとの間を斜め方向に連結するので、支柱12と台座部11との間の連結がより強固になる。なお、図示されていないが、複数の支柱12のうち雪崩防止柵3の中間の支柱12に対しても、山側または谷側から支持する連結部材を設けてもよい。
【0033】
台座部固定部材15は、台座部11を法面部分S2に固定するための部材であり、本実施形態ではケミカルアンカーが採用されている。なお、ケミカルアンカー以外にも、台座部11を法面部分S2に固定できる部材であれば種々の部材を採用することが可能である。雪崩防止部材1の雪受け部13が雪A3から受ける外力の大部分は台座部固定部材15に伝達される。台座部固定部材15に伝達された力は、台座部固定部材15と法面部分S2との間の摩擦抵抗によって受け止められる。
【0034】
本実施形態の雪崩防止柵3は、支柱12の高さが法面部分S2の表面から1.5m程度に設定されており、雪受け面13aの高さh1は、1.5mよりも若干低い高さに設定されている。
【0035】
(グライド抑止柵4)
図4〜5に示されるグライド抑止柵4は、法面Sにおける小段2よりも上側の法面部分S1に立設されている。グライド抑止柵4は、複数の台座部21と、突出部22と、台座部固定部材23とから構成されている。
【0036】
台座部21は、雪崩防止柵3の台座部11と同様に、複数の平らな鋼板またはI型鋼などからなり、法面Sにおける小段2の上側の法面部分S1の表面に面接触して設置できるような形状を有しており、軽量かつ高強度の鋼板やプレキャストコンクリート板などで製造される。
【0037】
突出部22は、図6に示されるように、法面部分S1の表面から突出して、小段2の上側の法面部分S1に積もる雪A1が当該法面部分S1に沿って谷側へすべる動きに抵抗する摩擦抵抗を増大させることが可能な部分である。
【0038】
本実施形態の突出部22は、図4〜5に示されるように、複数の支柱24と、当該支柱24の間に架設された1本の梁材25とから構成されている。突出部22は、雪崩防止柵3における複数の梁材16および当該梁材16を補強する連結部14を有する雪受け部13と比較して簡易な構造になっている。なお、この突出部22の梁材25は、雪崩防止柵3の梁材16と共用することが可能である。
【0039】
支柱24は、上記の雪崩防止柵3の支柱12と同様に、H型鋼などからなる柱状体であり、台座部21から垂直に立ち上がっている。本実施形態では、台座部21を構成する鋼板にそれぞれ1本ずつ支柱24が立設されている。
【0040】
梁材25は、丸鋼などからなり、支柱24の間に水平方向に配置されている。梁材25は、Uボルトなどの固定部材26によって各支柱24の山側側面24aに固定されている。
【0041】
突出部22の高さh2は、積雪深さを考慮して設定され、雪崩防止柵2の雪受け面13aの高さh1よりも低くなるように設定されている。本実施形態では、突出部22の高さh2は、法面部分S1の表面から0.5m程度に設定されている。
【0042】
このグライド抑止柵4では、グライド抑止柵4の突出部22の高さh2が積雪深さHよりも低くても、法面部分S1の上に積もる雪A1の下側の部分は上から圧縮されて密度が高くなっているので、突出部22が雪A1の下側の圧密された部分に接触することにより、法面部分S1の上に積もる雪A1の全体的な滑りを止めることが可能である。例えば、豪雪地帯において雪が2m程度積もる場合でも、地表から1m以内の高さでは雪が圧縮されて密度が高くなっている。
【0043】
そのため、グライド抑止柵4の突出部22の高さh2法面部分S1の表面から50〜100cmの高さに設定されていれば、グライド抑止柵4の高さh2が上側の法面部分S1の表面から100cm以内の範囲では、積雪の多い地域において100cmを超える積雪があっても、上側の法面部分S1の上に積もる雪A1の密度が100cmを超える範囲の雪の密度よりも十分に高いので、グライド抑止柵4が上記の50〜100cmの範囲に突出することによって、上側の法面部分S1とその上に積もる雪A1との間の摩擦を増大させて上側の法面部分S1に積もる雪A1全体の滑り(グライド)を確実に防止できる。
【0044】
なお、グライド抑止柵4の突出部22の高さh2が50cm未満であれば、突出部22と雪A1との接触面積が小さくなるので、グライド抑止効果が十分得られないおそれがある。一方、突出部22の高さh2が100cmを超えると100cmを超えた部分は十分に圧密されていない雪の部分に接触するのでグライド抑止効果の目立った向上がなくなるばかりか、グライド抑止柵4が大型になるので好ましくない。そのため、十分なグライド抑止効果が得られ、かつ、グライド抑止柵4の大型化を抑制できる点で、グライド抑止柵4の突出部22の高さh2を50〜100cmの範囲に設定することが好ましい。
【0045】
このように、小段2の上の法面部分S1にグライド抑止柵4を設けることにより、法面部分S1との摩擦を増加させて、小段2の上の法面部分S1に積もる雪A1からの圧力を低減させることが可能であり、それにより、小段2を拡張するための雪崩防止柵3への負担を軽減することができる。それにより、小段2の上流側に背の低いグライド抑止柵4を設けることによって、小段2、雪崩防止柵3および当該雪崩防止柵3より低いグライド抑止柵4の組合せにより、雪崩防止柵3の大型化を伴うことなく、雪崩防止効果を顕著に高めることが可能である。換言すれば、従来のような小段2および雪崩防止柵3を組み合わせた構造と同様の雪崩防止効果を維持しながら、雪崩防止柵3を小型化することが可能になる。
【0046】
しかも、グライド抑止柵4によって小段2の上側の法面部分S1に積もる雪A1の全体の滑りを防止するので、雪崩防止柵3の上に積もる雪A3の表層部分が当該雪崩防止柵3の谷側に押し出されたひさし(雪庇)R1の成長を抑えることが可能である。
【0047】
(本実施形態に係る雪崩防止方法の力学的考察)
つぎに図6を参照しながら、本実施形態に係る雪崩防止方法を力学的な観点から考察する。
【0048】
上記実施形態の雪崩防止方法のように、小段2の上側の法面部分S1にグライド抑止柵4を設けて法面部分S1と雪A1との間の摩擦抵抗を増大させることにより、斜面雪圧力P1の水平成分PH1を、グライド抑止柵4を設けない場合(後段の比較例参照)と比較して低減させることが可能である。これにより、当該水平成分PH1に対抗して雪崩を防止する抵抗力、すなわち、小段2における雪圧抵抗力Pa1および小段拡張用の雪崩防止柵3における雪圧抵抗力Pb1の合力(Pa1+Pb1)も小さくて済むと考えられる。
【0049】
以下、斜面雪圧力P1の水平成分PH1、小段2における雪圧抵抗力Pa1、および雪崩防止柵3における雪圧抵抗力Pb1をそれぞれ算出する。
【0050】
ここで、法面S全体における積雪深さをHとする。小段2およびその下側の法面部分S2における雪との摩擦についての摩擦係数をμ0とする。一方、小段2の上側の法面部分S1には、グライド抑止柵4が設けられているので、上側の法面部分S1における摩擦抵抗は他の部分における摩擦抵抗よりも大きくなっているので、上側の法面部分S1における雪との摩擦についての摩擦係数をμ1とする。ここでは、μ1>μ0の関係が成立する。
【0051】
(1)法面部分S1の斜面雪圧力P1の算出
上側の法面部分S1における当該法面部分S1に沿って谷側へ向かう雪の圧力、すなわち、法面部分S1の斜面雪圧力P1(t/m)は、以下のようにして求められる。
【0052】
ここで、
・荷重圏の長さ:L(m)(ここで、荷重圏とは、法面部分S1上の雪A1において水平分力PH1が発生していると推定される領域をいう。)
・法面部分S1の傾斜角:θ(度)、
・法面Sの全体および小段2における雪の密度:σ、
とした場合、
荷重圏の範囲の積雪重量W0(t/m)は、W=L・cosθ・H・σとなる。したがって、斜面雪圧力P1は、積雪重量W0における法面部分S1に沿って谷側へ向かう成分から摩擦抵抗を引いた大きさ、すなわち、
P1=W0(sinθ−μ1・cosθ)となる。
【0053】
ここで、斜面雪圧力P1の水平成分PH1は、PH1=P1cosθ=W0(sinθ−μ1・cosθ)・cosθとなる。
【0054】
(2)小段2における雪圧抵抗力Pa1の算出
小段2の傾斜角を0とし、小段2の幅をLaとした場合、小段幅Laの積雪重量Wa(t/m)は、
Wa=La・H・σとなる。
【0055】
したがって、小段2における積雪重量Waによって生じる小段2の表面とその上の雪との間の摩擦抵抗によって生じる小段2における雪圧抵抗力Pa1は、小段2と雪との間の摩擦係数をμ0として、
Pa1=Wa(sin0°−μ0・cos0°)=―μ0・Wa
=―μ0・La・H・σとなる。
【0056】
(3)雪崩防止柵3における雪圧抵抗力Pb1の算出
雪崩防止柵3における雪圧抵抗力Pb1は、上側の法面部分S1において発生する斜面雪圧力P1の水平成分PH1と小段2における雪圧抵抗力Pa1との差よりも大きい場合に、雪崩を防止できる。
【0057】
すなわち、Pb1>PH1−Pa1であれば、雪崩は生じない。
【0058】
ここで、雪崩防止柵3によって小段2の幅LaがLcまで拡張すると考えて、拡張した小段の幅Lcにおける雪圧抵抗力Pa1+Pb2がPH1以上になる場合に雪崩が発生しないと考えられる。PH1とPa1+Pb2がつりあうときには、
PH1=Pa1+Pb1=μ0・Lc・H・σの関係になるので、
Lc=PH1/(μ0・H・σ)と求めることができる。
【0059】
よって、雪崩防止柵3によって小段2の幅を拡張するために必要な長さLbは、
Lb=Lc−La=PH1/(μ0・H・σ)−La
=P1cosθ/(μ0・H・σ)−La
=W0(sinθ−μ1・cosθ)・cosθ/(μ0・H・σ)−La(式1)
となる。
【0060】
したがって、雪崩防止柵3が小段2から水平方向に長さLb延ばした長さの位置まで雪を受けることができるように、雪崩防止柵3の雪受け面13aにおける小段2の谷側端部2aからの距離X1および高さh1が設定される。
【0061】
ここで、本実施形態では、小段2の上側の法面部分S1には、グライド抑止柵4が設けられているので、上側の法面部分S1における摩擦抵抗は他の部分における摩擦抵抗よりも大きくなっており、上側の法面部分S1における雪との摩擦についての摩擦係数をμ1は、他の部分における摩擦係数μ0よりも大きいので(μ1>μ0)、小段2の幅を拡張する長さLbを求める上の(式1)を見れば、摩擦係数μ1をμ0に置き換えた場合と比較して、Lbは小さくなる。よって、雪崩防止柵3における距離Xおよび高さYを短縮して、雪崩防止柵3の小型化を達成することが可能であることがわかる。
【0062】
(比較例)
一方、本発明の比較例として、図7に示されるように、小段2の上側の法面部分S1のグライド抑止柵4を有していない場合を考えると、当該法面部分S1における摩擦抵抗は他の部分と同じ条件となるので、小段2および法面S全体(上側の法面部分S1と下側の法面部分S2の両方)における雪との摩擦についての摩擦係数がμ0となる。
【0063】
この比較例のシステム7では、小段2の上流側にグライド抑止柵4が無いので、小段2の上側の法面部分S1と雪A1との間の摩擦抵抗が、上記実施形態(図6)のシステムと比較して低くなるので、法面部分S1の斜面雪圧力P2が増大する。そのため、小段2の上に積もる雪A2および雪崩防止柵3の上に積もる雪A3は、この上側の法面部分S1に積もる雪A1から受ける圧力が増大する分を受けることができるように、多く必要になる。そのため、小段2を拡張するための雪崩防止柵3が大きくせざるを得ないので、雪崩防止柵3の小型化が困難になる。
【0064】
具体的には、図5の比較例の構造における斜面雪圧力P2ならびにその水平成分PH2、小段2における雪圧抵抗力Pa2、および雪崩防止柵3における雪圧抵抗力Pb2を算出すれば、以下のようになる。
【0065】
(1)法面部分S1の斜面雪圧力P2の算出
上記の実施形態と同様に、荷重圏の長さL(m)、法面部分S1の傾斜角θ(度)、法面Sおよび小段2全体における雪の密度σとした場合、
荷重圏の範囲の積雪重量W0(t/m)は、W=L・cosθ・H・σであり、法面部分S1の斜面雪圧力P2は、積雪重量W0における法面部分S1に沿って谷側へ向かう成分から摩擦抵抗を引いた大きさ、すなわち、
P2=W0(sinθ−μ0・cosθ)となる。
【0066】
ここで、斜面雪圧力P2の水平成分PH2は、PH2=P2cosθ=W0(sinθ−μ0・cosθ)・cosθとなる。
【0067】
(2)小段2における雪圧抵抗力Pa2の算出
小段2の傾斜角を0とし、小段2の幅を上記実施形態と同様にLaとした場合、小段幅Laの積雪重量Wa(t/m)は、
Wa=La・H・σとなる。
【0068】
したがって、小段2における積雪重量Waによって生じる小段2の表面とその上の雪との間の摩擦抵抗によって生じる小段2における雪圧抵抗力Pa2は、小段2と雪との間の摩擦係数をμ0として、
Pa2=Wa(sin0°−μ0・cos0°)=−μ0・Wa
=−μ0・La・H・σとなる。
【0069】
(3)雪崩防止柵3における雪圧抵抗力Pb2の算出
雪崩防止柵3における雪圧抵抗力Pb2は、上側の法面部分S1において発生する斜面雪圧力P2の水平成分PH2と小段2における雪圧抵抗力Pa2との差よりも大きい場合に、雪崩を防止できる。
【0070】
すなわち、Pb2>PH2−Pa2であれば、雪崩は生じない。
【0071】
ここで、雪崩防止柵3によって小段2の幅LaがLccまで拡張すると考えて、拡張した小段の幅Lccにおける雪圧抵抗力Pa2+Pb2がPH2以上になる場合に雪崩が発生しないと考えられる。このとき、
PH2=Pa2+Pb2=μ0・Lcc・H・σの関係になるので、
Lcc=PH2/(μ0・H・σ)となる。
【0072】
よって、雪崩防止柵3によって小段2の幅を拡張するために必要な長さLbbは、
Lbb=Lcc−La=PH2/(μ0・H・σ)−La
=P2cosθ/(μ0・H・σ)−La
=W0(sinθ−μ0・cosθ)・cosθ/(μ0・H・σ)−La(式2)
となる。
【0073】
ここで、この比較例では、小段2の上側の法面部分S1にグライド抑止柵4が設けられていないので、比較例の斜面雪圧力P2の水平成分PH2(=W0(sinθ−μ0・cosθ)・cosθ)は、上記実施形態の斜面雪圧力P1の水平成分PH1(=W0(sinθ−μ1・cosθ)・cosθ)より、大きくなる。そのため、(式2)におけるLbbは上記の(式1)のLbよりも大きくなる。この結果をみれば、グライド抑止柵4が省略された比較例では、雪崩防止柵3における距離X2および高さh11が短縮することが困難であり、雪崩防止柵3を小型化することが難しいことがわかる。
【0074】
また、図7に示される比較例では、上記実施形態のようにグライド抑止柵4を有していないので、小段2の上側の法面部分S1に積もる雪A1の全体の滑りを抑えることが困難であるので、雪崩防止柵3の上に積もる雪A3の表層部分が当該雪崩防止柵3の谷側に押し出されて雪庇R2が大きく成長するおそれがある。
【0075】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の雪崩防止方法では、まず、小段2の下側の法面部分S2に雪崩防止柵3を立設して小段2を拡張し、これら小段2および雪崩防止柵3の上にそれぞれ積もる雪A2、A3が当該小段2等(小段2および雪崩防止柵3など)との間で生じる摩擦抵抗を利用して、小段2の上側の法面部分S1に積もる雪A1から受ける荷重に耐えるようしている。そして、この小段2の上側の法面部分S1の雪A1から受ける荷重自体は、小段2よりも上側の法面部分S1に立設された、雪崩防止柵3よりも低いグライド抑止柵4によって軽減される。すなわち、このグライド抑止柵4を当該上側の法面部分S1の上に積もる雪A1の層の底部に接触させることにより、当該上側の法面部分S1とその上に積もる雪A1との間の摩擦を増大させ、それによって、上側の法面部分S1に積もる雪A1から小段2および雪崩防止柵3の上にそれぞれ積もる雪A2、A3へ与えられる荷重を軽減させている。そのため、小段2、雪崩防止柵3および当該雪崩防止柵3より低いグライド抑止柵4の組合せにより、雪崩防止柵3の大型化を伴うことなく、雪崩防止効果を顕著に高めることが可能である。換言すれば、従来のような小段2および雪崩防止柵3を組み合わせた構造と同様の雪崩防止効果を維持しながら、雪崩防止柵3を小型化することが可能になり、それに伴って、製造コストおよび重量の低減が可能になる。
【0076】
本発明の雪崩防止方法で用いられるグライド抑止柵4は、小段2や雪崩防止柵3のようにそれらの上に積もった雪の重量に比例する摩擦抵抗を利用して小段2の上側の法面部分S1に積もる雪A1の滑りを防止するのではなく、小段2の上側の法面部分S1の上に積もる雪A1の層の底部に接触させて摩擦を増大させており、雪崩防止柵3とは雪の滑りを止める作用が異なっている。そのため、グライド抑止柵4は、小段2の上側の法面部分S1の上に積もる雪A1の層の底部に接触させて摩擦を増大させることができる程度の高さがあればよく、グライド抑止柵4の高さを雪崩防止柵3の高さよりも低く設定することが可能である。
【0077】
(2)
本実施形態の雪崩防止システム1では、小段2よりも上側の法面部分S1に立てられたグライド抑止柵4は、当該法面部分から突出する突出部22を有しており、当該突出部22により、小段2の上側の法面部分S1に積もる雪A1が当該法面部分に沿って谷側へすべる動きに抵抗する摩擦抵抗を増大させることが可能である。これにより、上側の法面部分S1に積もる雪A1から小段2および雪崩防止柵3の上に積もる雪A3へ与えられる荷重を軽減させることができる。そのため、小段2、雪崩防止柵3および当該雪崩防止柵3より低いグライド抑止柵4の組合せにより、雪崩防止柵3の大型化を伴うことなく、雪崩防止効果を顕著に高めることが可能である。換言すれば、従来のような小段2および雪崩防止柵3を組み合わせた構造と同様の雪崩防止効果を維持しながら、雪崩防止柵3を小型化することが可能になり、それに伴って、製造コストおよび重量の低減が可能になる。
【0078】
また、グライド抑止柵4は、小段2の上側の法面部分S1に積もる雪A1の層の中にくい込んだ状態で、当該雪A1の層と法面部分S1との間の摩擦抵抗を増大させており、雪崩防止柵3のように雪A3の層全体を雪受け面13aで受ける構造と異なるため、グライド抑止柵4に作用するモーメントは、雪崩防止柵3に作用するモーメントよりも低く、グライド抑止柵4が転倒するおそれは雪崩防止柵3よりも低くなっている。そのため、グライド抑止柵4は、雪崩防止柵3における支柱12を補強する連結部14などが不要になり、雪崩防止柵3よりも小型かつ軽量なものを採用することが可能である。さらに、複数のグライド抑止柵4を上側の法面部分S1に設置することが容易になる。
【0079】
(3)
本実施形態の雪崩防止システム1では、グライド抑止柵4の高さが上側の法面部分S1の表面から100cm以内の範囲では、上側の法面部分S1の上に積もる雪A1の密度が法面部分S1の表面からの高さが100cmを超える範囲の雪の密度よりも十分に高いことを考慮して、グライド抑止柵4の突出部22の高さh2が50〜100cmの範囲に設定されている。これによって、上側の法面部分S1とその上に積もる雪A1との間の摩擦を増大させて上側の法面部分S1に積もる雪A1全体の滑り(グライド)を確実に防止でき、それとともにグライド抑止柵4の大型化を抑制することが可能である。
【0080】
(変形例)
上記実施形態に係るグライド抑止柵4では、法面部分S1に積もる雪A1が当該法面部分S1に沿って谷側へすべる動きに抵抗する摩擦抵抗を増大させるための突出部として、複数の支柱24と、当該支柱24の間に架設された1本の梁材25とからなる突出部22を有するグライド抑止柵4を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、法面上の雪のすべり抵抗を増大させることが可能なものであれば種々の態様の突出部を有するグライド抑止柵を採用することが可能である。例えば、コンクリートによって台座部と突出部とが一体形成された構造のグライド抑止柵を採用してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 雪崩防止システム
2 小段
3 雪崩防止柵
4 グライド抑止柵
13 雪受け部
13a雪受け面
14連結部
22 突出部
S 法面
S1 小段上側の法面部分
S2 小段下側の法面部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
法面における雪崩の発生を防止する雪崩防止方法であって、
前記法面の途中において、小段を準備する工程と、
前記法面における前記小段よりも下側の法面部分に雪崩防止柵を立設することにより、前記小段の上に積もる雪と連続して前記雪崩防止柵の上に雪が積もるように当該小段を拡張する工程と、
前記法面における前記小段よりも上側の法面部分に前記雪崩防止柵よりも低いグライド抑止柵を立設して、当該グライド抑止柵を当該上側の法面部分の上に積もる雪の層の底部に接触させ、当該上側の法面部分とその上に積もる雪との間の摩擦を増大させることにより、前記上側の法面部分に積もる雪から前記小段および雪崩防止柵の上に積もる雪へ与えられる荷重を軽減させる工程と、
を含むことを特徴とする雪崩防止方法。
【請求項2】
請求項1記載の雪崩防止方法に用いられる雪崩防止システムであって、
前記法面の途中に形成された前記小段と、
前記法面における前記小段よりも下側の法面部分に立設され、前記小段の上に積もる雪と連続するように雪を堆積させることが可能な雪受け面を有する雪崩防止柵と、
前記法面における前記小段よりも上側の法面部分に立設され、当該法面部分の表面から突出して、前記小段の上側の法面部分に積もる雪が当該法面部分に沿って谷側へすべる動きに抵抗する摩擦抵抗を増大させることが可能な突出部を有するグライド抑止柵と、
を備えており、
前記雪受け面の高さは、前記小段の表面に沿って当該小段の谷側縁部から延長した面よりも上側に来るような高さに設定されており、
前記突出部の高さは、前記雪受け面の高さよりも低くなるように設定されている
ことを特徴とする雪崩防止システム。
【請求項3】
前記グライド抑止柵の高さは、前記上側の法面部分の表面から50〜100cmの高さである、
請求項1に記載の雪崩防止システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−104214(P2013−104214A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248348(P2011−248348)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成23年5月20日 社団法人日本雪氷学会東北支部主催の2011年度東北支部大会(日本雪氷学会東北支部・日本雪工学会北東北支部の合同開催)において論文要旨集をもって発表し、かつ、同大会においてスライド「雪崩対策に伴う斜面雪圧の実規模野外観測」を用いて発表
【出願人】(000192615)神鋼建材工業株式会社 (61)
【出願人】(506044627)
【Fターム(参考)】