説明

雪運搬装置およびこの雪運搬装置を備えた手動リフター

【課題】安価で、かつ操作を容易とした上で、家庭における除雪作業の労働力の軽減
【解決手段】手動リフター1におけるフォーク部12に支持される支持部31と、当該支持部31に前後回動可能に軸支され、前方回動によって収容した雪を出すことが可能な構成とする雪収容部32と、当該雪収容部32を後方回動させるための引っ張り部33とを含む雪運搬装置3を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪運搬装置およびこの雪運搬装置を備えた手動リフターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋周りに積もった雪を除雪するには、スコップやそり状の雪運搬具(通称ママさんダンプと称される)を用いて人力により行ったり、エンジンやモーター等で作動する除雪機を用いて除雪を行ったりしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記人力による除雪は、極めて重労働であり、特に除雪した雪を積み上げる際において腰を痛めたり、雪上での作業であるため滑って転んだりして思わぬ怪我をする可能性が有る。
除雪機については、簡単、かつ迅速に除雪を行えるものの、相当高価であるとともに、その操作が慣れていないとうまく除雪できないし、しかも、燃料コストやメンテナンスコスト等の各種コストも要する。
なお、本願出願人の知り得る範囲において、前記課題を解決する除雪機に関する先行技術文献情報は無い。
【0004】
本発明は、安価で、かつ操作を容易とした上で、家庭における除雪作業の労働力の軽減を課題とし、この課題を解決する雪運搬装置およびこの雪運搬装置を備えた手動リフターの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記目的を達成するため、下記の技術的手段を採用した。
手動リフターに支持される雪運搬装置であって、前記雪運装置は、手動リフターにおけるフォーク部に支持される支持部と、当該支持部に前後回動可能に軸支され、前方回動によって収容した雪を出すことが可能な構成とする雪収容部と、当該雪収容部を後方回動させるための引っ張り部とを含むことを特徴とする雪運搬装置とした(第1発明)。
また、雪を運搬可能とする手動リフターであって、雪上を滑走可能な滑走部と、上下動可能に支持される雪運搬装置とを含み、当該雪運搬装置は、手動リフターにおけるフォーク部に支持される支持部と、当該支持部に前後回動可能に軸支された雪収容部と、当該雪収容部を後方回動させるための引っ張り部とを含むことを特徴とする手動リフターにした(第2発明)。
前記引っ張り部は、操作性及び仕舞性を良好とする観点から略紐状体とすることが好ましく(第3発明)、この場合、さらに操作性を良好とする観点から、前記引っ張り部を挿通する挿通部を上端部に備えた手動リフターとすることが好ましい(第4発明)。
前記略紐状体とは、ロープやチェーン、あるいはワイヤー等の可撓性を有する周知の構成のものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、下記の優れた効果が期待できる。
第1発明によれば、雪運搬装置は、手動リフターによって運搬されるとともに、上下動し、任意の場所および高さにおいて前方回動させることによって収容された雪を出すことができる。
また、第2発明によれば、手動リフターは、滑走部によって雪上を滑走可能であるので雪の運搬が容易にでき、しかも、雪運搬装置を上下動させて任意高さにおいて前方回動させることによって収容された雪を出すことができる。
また、第3発明によれば、引っ張り部が略紐状体であるので、操作が簡単であるとともに、仕舞性も良好である。
また、第4発明によれば、引っ張り部を常に定位置に保持することができるので、引っ張り部の引っ張り操作をさらに簡単にすることができ、しかも迅速な操作をすることができる。
したがって、安価で、かつ操作を容易とした上で、家庭における除雪作業の労働力の軽減を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
なお、本形態では、手動リフターの説明において雪運搬装置を説明する。
【0008】
本形態の手動リフター1は、基本的には、略L型のフレーム11の短手側の下端部に車輪1Aが支持される一方、長手側にフォーク部12が上下動可能に支持され、当該フォーク部12の上下動を操作する操作ハンドル1Bと、当該操作ハンドル1Bの回転運動によって前記フォーク部12を上下動させる滑車機構部1Cを備えた周知の構造のものである。
また、前記手動リフター1は、フレーム11における短手側と長手側、フォーク部12が分解可能にされいている。
このような手動リフター1には、前記フレーム11の下端部に設けられた滑走部2と、フォーク部12に抜き挿し可能に支持された雪運搬装置3と、雪運搬装置3における後述する引っ張り部33を挿通保持する挿通部4が備えられている。
【0009】
滑走部2は、雪上を前後滑走可能な略ソリ状または略スキー状あるいは略スノーボード状を呈する形態のものであり、フレーム11の短手側の下端部に対して着脱可能に取り付けられている。
また、前記滑走部2は、前記車輪1Aの下側に位置し、使用時において車輪1Aが地面に接触しないようにしている。
なお、前記滑走部の取り付け構造は、ボルト・ナット(図示せず)等の周知の構造で可能である。
【0010】
雪運搬装置3は、前記フォーク部12に支持される支持部31と、当該支持部31に前後回動可能に軸支された雪収容部32と、当該雪収容部32を後方回動させるための前述の引っ張り部33とから構成されている。
前記支持部31は、基本的には、周知のパレット状を呈するものであり、前記フォーク部12に抜き挿しされる嵌合部31Aと、前記雪収容部32を前後回動可能に支持する支持板31Bとから構成されている。
前記雪収容部32は、前方と上方が開放された略箱状に形成され、前方下端部が前記支持板31Bの前端部に軸支され、収容された雪を捨てる際には、前方へ回動させて前方開放部32Aから雪を滑り落とすようにし、雪を落とし終わったら後方へ回動させて元に戻す。
【0011】
前記雪収容部32の前方開放部32Aには、当該前方開放部32Aを閉塞する閉塞板3Aが取付けられるようにした雪運搬装置1にしてもよい。(図4参照)
前記閉塞版3Aは、雪を入れる際には取り外されて前方開放部32Aを開放状態にし、運搬時には取り付けられて前方開放部32Aを閉塞する。
また、前記閉塞板3Aは、下半部32Cと上半部32Dとに分割されるとともに、下半部32Cが開閉可能に上半部32Dに軸支されていて、雪収容部32を前方へ回動させると雪が滑り落ちる際に生じる圧力によって前記下半部32Cが開いて形成される開口部32Eから雪を滑り落とすようにしてもよい。
また、本形態の雪運搬装置1は、前記閉塞板3Aを取り付けた状態で、湯水(たとえば、風呂の残り湯等)を雪収容部32に流し入れて収容された雪を溶かすことも可能である。
【0012】
本形態の引っ張り部33は、ロープを用いており、前記雪収容部32の上端後方に固定されていて、この引っ張り部33を引っ張ることによって雪収納部32を後方回転させるようにしている。
前記引っ張り部33を挿通保持する挿通部4は、前記フレーム11の長手側上端部の中央に固着された略逆U型のものであり、この挿通部4の空間部41に前方から後方へ引っ張り部33が挿通される。
前記のように挿通された引っ張り部33は、挿通部4によって定位置が保持され、使用者の目の前に必ず位置するようにされる。
【0013】
以下、前記構成の手動リフター1を用いた除雪作業について説明する。
まず、前記フォーク部を最下位置にした状態で前記雪運搬装置3をフォーク部12に挿し込むとともに、引っ張り部33を挿通部4に挿通する。
最下部に位置させた状態で雪運前記雪収納部32の前方開放部32Aや上方開放部32Bから雪を入れる。(図5参照)
そして、手動リフター1を雪捨て場に移動させ、雪捨て場においてフォーク部12を上昇させて雪運搬装置3を目的とする高さに位置させる。
その高さにおいて前記雪収納部32を前方回動させて雪を滑り落とし(図6参照)、滑り落としたら引っ張り部33を後方に引っ張って雪収納部32を元の位置に戻す。
その後、手動リフター1を除雪する場所へ移動させるとともに、フォーク部12を下降させ雪運搬装置3を最下位置にして、前記した作業を繰り返す。
【0014】
なお、本発明は、例示した実施の形態に限定するものでは無く、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の手動リフターは、雪上における荷物運搬においても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る手動リフターの側面図。
【図2】同、正面図。
【図3】本発明に係る雪運搬装置の斜視図(a)、手動リフターの斜視図(b)。
【図4】雪運搬装置の他の例を示す斜視図。
【図5】除雪作業を示す斜視図。
【図6】除雪作業を示す斜視図。
【符号の説明】
【0017】
1:手動リフター
12:フォーク部
2:滑走部
3:雪運搬装置
31:支持部
32:雪収容部
33:引っ張り部
4:挿通部
41:空間部
32A:前方開放部
32B:上方開放部
3A:閉塞板
32C:下半部
32D:上半部
32E:開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動リフターに支持される雪運搬装置であって、前記雪運装置は、手動リフターにおけるフォーク部に支持される支持部と、当該支持部に前後回動可能に軸支され、前方回動によって収容した雪を出すことが可能な構成とする雪収容部と、当該雪収容部を後方回動させるための引っ張り部とを含むことを特徴とする雪運搬装置。
【請求項2】
雪を運搬可能とする手動リフターであって、雪上を滑走可能な滑走部と、上下動可能に支持される雪運搬装置とを含み、当該雪運搬装置は、手動リフターにおけるフォーク部に支持される支持部と、当該支持部に前後回動可能に軸支された雪収容部と、当該雪収容部を後方回動させるための引っ張り部とを含むことを特徴とする手動リフター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の雪運搬装置であって、前記引っ張り部は、略紐状体であることを特徴とする雪運搬装置。
【請求項4】
前記引っ張り部が挿通される挿通部を上端部に備えたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の手動リフター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−205919(P2006−205919A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21503(P2005−21503)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(505036294)
【Fターム(参考)】