説明

雰囲気センサ

【課題】光ファイバや光導波路を利用してガスや湿度を検知する雰囲気センサに関し、小型軽量でありながらガスや湿度を高感度で検知することができ、また製膜時間が短く、かつ、膜の強度が高く耐久性に優れ、さらに材料を分子レベルで制御するのも容易で品質の安定性に優れるとともに生産性に優れる雰囲気センサを提供する。
【解決手段】本発明は、光ファイバ又は光導波路のクラッド4の一部に形成されたコア露出部5と、コア露出部5の表面にカチオン性化合物膜8とアニオン性化合物膜9の1乃至複数回の交互積層により形成された交互積層部6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバや光導波路を利用してガスや湿度を検知する雰囲気センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ファイバを利用してガスを検知するセンサが開発されている。
従来の技術としては、(特許文献1)に「コアが雰囲気に対して露出する光露出部が形成された光ファイバと、前記光ファイバの一端側に配置され前記コアに光を入射させる光源と、前記光ファイバの他端側に配置され前記コアから出射される光のうち、特定の波長帯域の光を透過させる光フィルタと、前記光フィルタを透過した光の光量を検知する光センサと、を備えたガスセンサ」が開示されている。
(特許文献2)には、「ガスの種類によって吸収率が変化する活性色素がドープされた透明性樹脂でクラッドが形成されたセンサ用ファイバと、前記センサ用ファイバに接続され、少なくともコア又はクラッドに蛍光色素をドープした蛍光ファイバと、を有し、前記センサ用ファイバより出射される光の強度を検出することにより、ガスの濃度を測定する光ファイバセンサ」が開示されている。
【特許文献1】特開2003−279474号公報
【特許文献2】特公平8−3467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、コア内を通過する光が光露出部のコア内を反射するたびに雰囲気中の特定のガスに少しずつ吸収されて減衰するため、光センサで光量を測定することにより、光の減衰量から雰囲気中のガスを検知することができるものである。しかし、雰囲気中にあるガスによる光の吸収能は低いため、光露出部の光路が短い場合は検知感度が低いという課題を有していた。検知感度を高めるためには、光露出部を螺旋状に巻回して光路を長くする必要があり、センサの容積が大きくなるため、小型で軽量のガスセンサが得られないという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術では、チモールブルー色素をドープしたポリビニルアルコールを厚さ数μm程度に製膜して、コア材にクラッド部を形成し、センサ用ファイバを形成している(公報第2頁左欄第26行乃至第29行)。数μm程度の厚さのポリビニルアルコール製のクラッド部をコア材の全長に亘って形成するためには、色素をドープし比較的高粘度に調製したポリビニルアルコール溶液を使用し、制御された雰囲気下で製膜を行う必要があるため、製造条件管理が煩雑で、しかもクラッド部を製膜する際の厚さの制御や、色素のポリビニルアルコールへの均一な導入が難しく、安定生産が困難で品質の安定性に欠けるという課題を有していた。
(3)色素のポリビニルアルコールへの均一な導入が難しいため、色素やマトリックスポリマー(ポリビニルアルコール)の種類を変えることが困難なため、目的とする検知対象毎に組成の異なるクラッド部を形成することが難しいという課題を有していた。また、コア材とクラッド部との接着性が乏しく耐久性に欠けるという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡単な操作で、かつ短時間で製膜を行うことができ、また目的に応じて膜組成を容易に変えることができ自在性に優れ、また小型軽量でありながらガスや湿度を高感度で検知することができるとともに、膜の強度が高く耐久性に優れ、さらに材料を分子レベルで制御するのも容易で品質の安定性に優れるとともに生産性に優れる雰囲気センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明の雰囲気センサは、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の雰囲気センサは、光ファイバ又は光導波路のクラッドの一部に形成されたコア露出部と、前記コア露出部の表面にカチオン性化合物膜とアニオン性化合物膜の1乃至複数回の交互積層により形成された交互積層部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)コア露出部に形成された交互積層部が、雰囲気中のガスや湿度(水分子)に接触すると、交互積層部の官能基に水分子やガス分子が吸着され、特有の光吸収帯において、コアを通過する光の吸収率の変化量が増幅されるため、ガスや湿度を高感度で検知することができる。
(2)交互積層部は、カチオン性化合物とアニオン性化合物の静電気力又は酸−塩基相互作用により分子の集合化及び組織化が行われているので、膜の強度が高く耐久性に優れる。
(3)クラッドの一部に形成されたコア露出部をカチオン性化合物とアニオン性化合物の希薄液に交互に浸し、コア上に電解質ポリマーを自発的に吸着させるという簡単な操作で製膜して交互積層部を形成できるので、材料を分子レベルで制御するのが容易で品質の安定性に優れるとともに生産性にも優れ、さらに目的とする検知対象に応じて膜組成を任意に変えることができ自在性に優れる。
【0006】
ここで、光ファイバとしては、フッ素化ポリマー,ポリメタクリル酸メチル系,ポリカーボネート,ポリスチレン,含重水素ポリマー等の有機系素材で形成されたもの、石英ガラス等の無機系素材で形成されたものを用いることができる。
光導波路としては、ポリイミド系樹脂,ポリアミド系樹脂,ポリエーテル系樹脂等の有機系素材で形成されたもの、石英ガラス,シリコン等の無機系素材で形成されたものを用いることができる。また、平板状のコアを平板クラッドで挟み込んだスラブ型、芯状のコアをクラッドで取り囲んだ埋め込み型等を用いることができる。
【0007】
コア露出部は、クラッドの一部をフッ化水素,1−4ジオキサン等の薬液で溶かして形成することができる。また、クラッドが有機系素材の場合は、クラッドの一部を炎で熔融したりカッター等で削り落したりすることによっても形成することができる。
【0008】
コア露出部にカチオン性の表面処理層を形成し、表面処理層の上にアニオン性化合物、カチオン性化合物の順に吸着させ、自己組織化させることによって交互積層部を形成できる。また、アニオン性の表面処理層を形成し、表面処理層の上にカチオン性化合物、アニオン性化合物の順に吸着させ、自己組織化させることによって交互積層部を形成できる。
表面処理層としては、コア露出部を水酸化カリウム溶液等で処理し水酸基を導入する等の手段によって、水酸基,カルボキシル基,アミノ基,スルホン酸基、イソシアン酸基、アルデヒド基,ニトロ基,炭素炭素二重結合,芳香族環等の官能基を、コア露出部の表面に導入し親水化若しくは活性化するものが用いられる。
【0009】
アニオン性化合物としては、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ピリジン誘導体のいずれか1種乃至は複数種の配位子を有する有機化合物や有機金属錯体等の色素化合物を用いることができる。また、多糖類,デンドリマー化合物,エチレンジアミン類等のホスト化合物と、シアニン系,アズレニウム系,ピリリウム系,スクアリリウム系,クロコニウム系,キノン・ナフトキノン系,金属錯体系等の有機色素との錯体系の色素化合物を用いることもできる。
また、アニオン性化合物としては、スルホン酸,硫酸,カルボン酸等の負電荷を帯びることのできる官能基を有する有機化合物、例えば、ポリスチレンスルホン酸(PSS),ポリビニル硫酸(PVS),デキストラン硫酸(PSS),ポリビニル硫酸(PVS),デキストラン硫酸,コンドロイチン硫酸,ポリアクリル酸(PAA),ポリメタクリル酸(PMA),ポリマレイン酸,ポリフマル酸等の有機酸を用いることができる。アニオン性化合物が、紫外〜可視光の波長領域に光の吸収帯を有しないか、吸収帯における光の吸収率の変化が小さい場合は、アリザリンイエロー,メチルレッド,チモールブルー等のサルトン系やジアゾ系、シアニン系、アズレニウム系、ピリリウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、キノン・ナフトキノン系、金属錯体系等の有機色素を添加することができる。
アニオン性化合物膜は、カチオン性の表面処理層やカチオン性化合物膜が製膜されたコア露出部を、正味の反対電荷を有するアニオン性化合物の希薄液に浸すことによって、コア露出部に電解質ポリマーを吸着させ自己組織化させることにより製膜することができる。
【0010】
カチオン性化合物としては、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のアミン化合物のポリマー、第4級アンモニウム化合物のポリマー、塩基性アミノ酸のポリマー等の繰り返し単位中にN原子を含有するポリマー、アミンまたは第4級アンモニウム化合物の分子集合体(ミセル、二分子膜など)、アミンまたは第4級アンモニウム修飾金属ゾルなどが用いられる。例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン等を挙げることができる。また、粒径が5〜100nm程度の金属酸化物,金属等の微粒子で表面をカチオン化させたものを用いることもできる。
カチオン性化合物膜は、アニオン性の表面処理層やアニオン性化合物膜が形成されたコア露出部を、カチオン性化合物の希薄溶液や希薄分散液に浸すことによって、コア露出部に電解質ポリマーや微細粒子を吸着させ自己組織化させることにより製膜することができる。
【0011】
交互積層部において、カチオン性化合物とアニオン性化合物の集合化及び組織化は、静電気力又は酸−塩基相互作用により行われ、カチオン性化合物膜とアニオン性化合物膜が1乃至複数回交互積層される。
積層回数は、コア露出部の長さや個数にもよるが、1〜15回好ましくは2〜10回が好適である。雰囲気センサは、コアを伝送される光の吸収率が雰囲気によって変化することを利用し、吸収率のベースラインとの差分強度によってガス濃度や湿度を検知するので、積層回数が2〜10回のときは、吸収率が大きくなるためセンサの感度を高くでき、かつ製膜の生産性を上げることができる。積層回数が2回より少なくなると、雰囲気に対して変化する光の吸収率の変化が小さくなり、センサの感度が小さくなる傾向がみられる。積層回数が10回より増えるにつれ、感度が低下する傾向や、カチオン性化合物膜とアニオン性化合物膜を交互に製膜する回数が増えるため生産性が低下する傾向がみられ、15回を超えると、この傾向が著しくなるため好ましくない。
【0012】
コア露出部の長さとしては、光の進行方向に沿って10〜50mm好ましくは10〜30mmが好適に用いられる。コア露出部が10mmより短くなるにつれ、光の吸収率の変化が小さくなりセンサの感度が低下する傾向がみられる。このため、交互積層部の積層回数を増やして、より厚く製膜を行う必要があり、生産性が低下する傾向がみられる。
コア露出部が長くなるにつれ、吸収率の変化が大きくなるので薄い膜(交互積層部)でも十分な感度を達成できるが、30mmより長くなるにつれ、吸収率の変化が飽和に達し逆にセンサの感度が低下する傾向がみられ、50mmより長くなると、この傾向が著しくなるため好ましくない。
【0013】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の雰囲気センサであって、前記アニオン性化合物膜が、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピリジン誘導体のいずれか1種乃至は複数種の配位子を有する有機化合物又は有機金属錯体で形成された構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピリジン誘導体のいずれか1種乃至は複数種の配位子を有する有機化合物や有機金属錯体は、水分子の吸着能が高いので湿度センサとしての感度を高めることができ、さらに吸着水分子の毛管凝縮が生じ難いため、増湿時と減湿時におけるヒステリシスも生じ難く高精度の湿度測定ができ再現性に優れる。
(2)ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピリジン誘導体やそれらの金属錯体は、吸光係数が非常に高く、また安定した酸化還元特性を示すため、ガス分子の吸着・脱着によって吸収帯が敏感に変化し、さらにヒステリシスが生じ難いため、少ない積層回数でも、感度が高く高精度のガス検知を行うことができる。また、ポルフィリン誘導体は、ソーレー帯と呼ばれる400〜500nm付近の鋭い吸収帯と、Q帯と呼ばれる500〜700nm付近の吸収帯を有しており、これらは近紫外線や可視光の波長と重なるため、近紫外線や可視光を利用した小型のセンサを製造することができる。
【0014】
ここで、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピリジン誘導体のいずれか1種乃至は複数種の配位子を有する有機化合物や有機金属錯体としては、テトラキススルホフェニルポルフィリン等のポルフィリン、Fe,Co,Mn,Zn,Ni,Ru,Cr等と結合したポルフィリン錯体、中心部の水素2原子をCr,Zn,Cu,Co,Ni,Mn,Fe等で置換した金属フタロシアニン、ビピリジン,ターピリジン,フェナントロリン等のピリジン誘導体、ピリジン誘導体と遷移金属イオンからなる錯体を用いることができる。検知対象が湿度の場合は、これらの有機金属錯体が好適に用いられる。有機金属錯体の中心金属イオンと水分子の錯形成により水分子の吸着が起こり、さらに湿度条件によって錯形成と脱離の平衡が速やかに起こることにより、ガス等の妨害成分の影響を受けることなく、相対湿度1%以下の精度の高い湿度測定が可能になるからである。
【0015】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の雰囲気センサであって、前記交互積層部が、有機色素を含有した構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)有機色素により、光吸収帯の帯域を広げたり光吸収帯における吸収率の変化量を大きくしたりすることができ、検知感度を高めることができる。
【0016】
ここで、有機色素としては、アリザリンイエロー,メチルレッド,チモールブルー等のサルトン系やジアゾ系、シアニン系、アズレニウム系、ピリリウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、キノン・ナフトキノン系、金属錯体系等を用いることができる。
【0017】
有機色素を含有したアニオン性化合物膜は、カチオン性の表面処理層やカチオン性化合物膜が製膜されたコア露出部を、正味の反対電荷を有するアニオン性化合物と有機色素の混合溶液に浸すことによって、コア露出部に電解質ポリマーを吸着させ自己組織化させることにより製膜することができる。
また、カチオン性化合物膜に有機色素を含有させることもできる。この場合は、カチオン性化合物と有機色素の混合溶液を調製する際に、混合溶液の正味の電荷が、アニオン性化合物の希薄液の電荷と反対になるように、有機色素の濃度を調整すればよい。
有機色素を含有した交互積層部において、カチオン性化合物とアニオン性化合物の集合化及び組織化は、静電気力又は酸−塩基相互作用により行われ、カチオン性化合物膜とアニオン性化合物膜が1乃至複数回交互積層される。
【0018】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の雰囲気センサであって、前記コア露出部及び前記交互積層部が、光の進行方向に複数個、間隔をあけて形成された構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)コア露出部及び交互積層部が、光の進行方向に複数個、間隔をあけて形成されているので、間隔をあけて設けた交互積層部のアニオン性化合物やカチオン性化合物の種類を異ならせることができ、各々の交互積層部で検知可能なガスの種類を異ならせることができるため応用性に優れる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の雰囲気センサによれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)コア露出部に形成された交互積層部が、雰囲気中のガスや湿度(水分子)に接触すると、交互積層部の官能基に水分子やガス分子が吸着され、特有の吸収帯において、コアを通過する光の吸収率の変化量が増幅されるため、ガスや湿度を高感度で検知することができる雰囲気センサを提供できる。
(2)交互積層部は、カチオン性化合物とアニオン性化合物の静電気力又は酸−塩基相互作用により分子の集合化及び組織化が行われているので、膜の強度が高く耐久性に優れた雰囲気センサを提供できる。
(3)コア露出部をカチオン性化合物とアニオン性化合物の希薄液に交互に浸し、コア上に電解質ポリマーを自発的に吸着させるという簡単な操作で製膜して交互積層部を形成できるので、材料を分子レベルで制御するのが容易で品質の安定性に優れるとともに生産性にも優れ、さらに目的とする検知対象に応じて膜組成を任意に変えることができ自在性に優れた雰囲気センサを提供できる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピリジン誘導体のいずれか1種乃至は複数種の配位子を有する有機化合物や有機金属錯体は、水分子の吸着能が高いので湿度センサとしての感度を高めることができ、さらに吸着水分子の毛管凝縮が生じ難いため、増湿時と減湿時におけるヒステリシスも生じ難く高精度の湿度測定ができ再現性に優れた雰囲気センサを提供できる。
(2)ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピリジン誘導体やそれらの金属錯体は、吸光係数が非常に高く、また安定した酸化還元特性を示すため、ガス分子の吸着・脱着によって吸収帯が敏感に変化し、さらにヒステリシスが生じ難いため、少ない積層回数でも、感度が高く高精度のガス検知を行うことができる雰囲気センサを提供できる。また、ポルフィリン誘導体は、ソーレー帯と呼ばれる400〜500nm付近の鋭い吸収帯と、Q帯と呼ばれる500〜700nm付近の吸収帯を有しており、これらは近紫外線や可視光の波長と重なるため、近紫外線や可視光を利用した小型の雰囲気センサを提供できる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)有機色素により、光吸収帯の帯域を広げたり光吸収帯における吸収率の変化量を大きくしたりすることができ、検知感度の高い雰囲気センサを提供できる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)コア露出部及び交互積層部が、光の進行方向に複数個、間隔をあけて形成されているので、間隔をあけて設けた交互積層部のアニオン性化合物やカチオン性化合物の種類を異ならせることができ、各々の交互積層部で検知可能なガスの種類を異ならせることができるため応用性に優れた雰囲気センサを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における雰囲気センサの模式断面図であり、図2は実施の形態1における雰囲気センサの製造方法を説明する模式図である。
図中、1は実施の形態1における雰囲気センサ、2は光ファイバ、3は光ファイバ2のコア、4は光ファイバ2のクラッド、5はクラッド4の一部を除去してコア3の一部を露出させたコア露出部、6はコア露出部5の表面に形成された交互積層部、7はコア3の表面に形成された表面処理層、8は繰り返し単位中にN原子を含有するポリマー等により表面処理層7の上に製膜されたカチオン性化合物膜、9はフタロシアニン誘導体,ポルフィリン誘導体,ピリジン誘導体のいずれか1種乃至は複数種の配位子を有する有機化合物や有機金属錯体、多糖類,デンドリマー化合物,エチレンジアミン類等のホスト化合物と、シアニン系,アズレニウム系,ピリリウム系,スクアリリウム系,クロコニウム系,キノン・ナフトキノン系,金属錯体系等の有機色素との錯体系の色素化合物等によりカチオン性化合物膜8の上に製膜されたアニオン性化合物膜である。交互積層部6は、カチオン性化合物膜8とアニオン性化合物膜9が1乃至複数回交互に積層されて形成されている。
【0024】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における雰囲気センサについて、図2を参照しながら、以下その製造方法を説明する。
図中、8aはカチオン性化合物を水等の溶媒に溶解若しくは分散させたカチオン性化合物希薄液、9aはアニオン性化合物を水等の溶媒に溶解若しくは分散させたアニオン性化合物希薄液である。
まず、光ファイバ2のクラッド4の一部を、フッ化水素,1−4ジオキサン等の薬液で溶かしたり炎で熔融若しくはカッター等で削り落したりして、コア露出部5を形成する。次いで、コア露出部5を水酸化カリウム溶液等で処理し、コア露出部5の表面に水酸基等の官能基を導入した表面処理層7を形成する。
次いで、表面処理層7を形成したコア露出部5を、カチオン性化合物希薄液8aに浸すことにより、表面処理層7の上にカチオン性化合物を吸着させ自己組織化させたカチオン性化合物膜8を製膜する。
次に、カチオン性化合物膜8を形成したコア露出部5を、アニオン性化合物希薄液9aに浸すことにより、カチオン性化合物膜8の上にアニオン性化合物を吸着させ自己組織化させたアニオン性化合物膜9を製膜する。
カチオン性化合物膜8とアニオン性化合物膜9の交互積層を1乃至複数回繰り返すことにより、最外層にアニオン性化合物膜9が製膜された交互積層部6を形成する。
【0025】
以上のように、本発明の実施の形態1における雰囲気センサは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)コア露出部5に形成された交互積層部6が、雰囲気中のガスや湿度(水分子)に接触すると、交互積層部6の官能基に水分子やガス分子が吸着され、色素化合物に特有の吸収帯において、コア3を通過する光の吸収率の変化量が増幅されるため、ガスや湿度を高感度で検知することができる。
(2)交互積層部6は、カチオン性化合物とアニオン性化合物の静電気力又は酸−塩基相互作用により分子の集合化及び組織化が行われているので、膜の強度が高く耐久性に優れる。
(3)コア露出部5をカチオン性化合物とアニオン性化合物の希薄液に交互に浸し、コア3上に電解質ポリマーを自発的に吸着させるという簡単な操作で製膜して交互積層部6を形成できるので、材料を分子レベルで制御するのが容易で品質の安定性に優れるとともに生産性にも優れる。
(4)ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピリジン誘導体のいずれか1種乃至は複数種の配位子を有する有機化合物や有機金属錯体は、水分子の吸着能が高いので湿度センサとしての感度を高めることができ、さらに吸着水分子の毛管凝縮が生じ難いため、増湿時と減湿時におけるヒステリシスも生じ難く高精度の湿度測定ができ再現性に優れる。
(5)ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピリジン誘導体やそれらの金属錯体は、吸光係数が非常に高く、また安定した酸化還元特性を示すため、ガス分子の吸着・脱着によって吸収帯が敏感に変化し、さらにヒステリシスが生じ難いため、少ない積層回数でも感度が高く高精度のガス検知を行うことができる。また、ポルフィリン誘導体は、ソーレー帯と呼ばれる400〜500nm付近の鋭い吸収帯と、Q帯と呼ばれる500〜700nm付近の吸収帯を有しており、これらは近紫外線や可視光の波長と重なるため、近紫外線や可視光を利用した小型のセンサを製造することができる。
【0026】
なお、本実施の形態においては、アニオン性の表面処理層7を形成することにより、表面処理層7の上にカチオン性化合物、アニオン性化合物の順に吸着させて交互積層部6を形成した場合について説明したが、カチオン性の表面処理層7を形成した場合は、アニオン性化合物、カチオン性化合物の順に吸着させて交互積層部6を形成することができる。
また、色素化合物を用いてアニオン性化合物膜9を形成した場合について説明したが、ポリスチレンスルホン酸(PSS),ポリビニル硫酸(PVS),デキストラン硫酸(PSS),ポリビニル硫酸(PVS),デキストラン硫酸,コンドロイチン硫酸,ポリアクリル酸(PAA),ポリメタクリル酸(PMA),ポリマレイン酸,ポリフマル酸等のアニオン性化合物と、アリザリンイエロー,メチルレッド,チモールブルー等の有機色素との混合溶液を用いて、有機色素を含有したアニオン性化合物膜を形成する場合もある。また、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン等のカチオン性化合物と有機色素との混合溶液を用いて、有機色素を含有したカチオン性化合物膜を形成する場合もある。これらの場合も、交互積層部6の官能基に水分子やガス分子が吸着され、有機色素に特有の吸収帯において、コア3を通過する光の吸収率の変化量が増幅されるため、ガスや湿度を高感度で検知することができる。
また、コア露出部5を光ファイバ2の一箇所に形成した場合について説明したが、コア露出部5及び交互積層部6を、光の進行方向に複数個、間隔をあけて形成する場合もある。この場合は、間隔をあけて設けた交互積層部のアニオン性化合物やカチオン性化合物の種類を異ならせることができ、各々の交互積層部で検知可能なガスの種類を異ならせることができるため応用性に優れた雰囲気センサを提供できる。
また、光ファイバ2を用いた場合について説明したが、平板状のコアを平板クラッドで挟み込んだスラブ型、芯状のコアをクラッドで取り囲んだ埋め込み型等の光導波路を用いる場合もある。この場合も同様の作用が得られる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
石英ガラス製のコアにフッ素化ポリマー等の有機系素材でクラッドが形成された光ファイバを準備し、炎でクラッドを熔融させることにより長さ1cmに亘ってクラッドを除去し、長さ1cmのコア露出部を形成した。コア露出部を濃硫酸(96%)で洗浄し、イオン交換水で十分洗浄した後、水酸化カリウムの1wt%エタノール溶液(エタノール/水=3:2,v/v)に10分間浸漬した。イオン交換水で十分洗浄した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥させ、コア露出部のコアの表面に水酸基を有する表面処理層を形成した。
次に、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA、分子量Mr=200000−350000、20wt%水溶液、東京化成工業製)(カチオン性化合物)の水溶液(5mg/mL)にコア露出部を10〜20分間浸漬した後、イオン交換水で十分洗浄し、窒素ガスを吹き付けて乾燥させ、表面処理層の上にカチオン性化合物膜を製膜した。
次に、テトラキススルホフェニルポルフィリン(TSPP、分子量Mr=934.99、東京化成工業製)(アニオン性化合物)の水溶液(1mmol/L)に基板を10〜20分間浸漬した後、イオン交換水で十分洗浄し、窒素ガスを吹き付けて乾燥させ、カチオン性化合物膜の上にアニオン性化合物膜を製膜した。
このようにして、カチオン性化合物膜とアニオン性化合物膜の製膜を行い、カチオン性化合物膜(PDDA)とアニオン性化合物膜(TSPP)が1層ずつの交互積層部が形成された実験例1の雰囲気センサを得た。
【0028】
(実験例2〜15)
カチオン性化合物膜とアニオン性化合物膜の製膜を交互に2〜15回繰り返し行った以外は、実験例1と同様にして、カチオン性化合物膜(PDDA)とアニオン性化合物膜(TSPP)が各々2〜15層ずつの交互積層部が形成された実験例2〜15の雰囲気センサを得た。
【0029】
(実験例21〜30)
長さ2cmのコア露出部を形成し、カチオン性化合物膜とアニオン性化合物膜の製膜を交互に1〜10回繰り返し行った以外は、実験例1〜10と同様にして、長さ2cmのコア露出部にカチオン性化合物膜(PDDA)とアニオン性化合物膜(TSPP)が各々1〜10層ずつの交互積層部が形成された実験例21〜30の雰囲気センサを得た。
【0030】
(実験例31〜40)
長さ3cmのコア露出部を形成し、カチオン性化合物膜とアニオン性化合物膜の製膜を交互に1〜10回繰り返し行った以外は、実験例1〜10と同様にして、長さ3cmのコア露出部にカチオン性化合物膜(PDDA)とアニオン性化合物膜(TSPP)が各々1〜10層ずつの交互積層部が形成された実験例31〜40の雰囲気センサを得た。
【0031】
(雰囲気センサの吸収率の測定)
得られた雰囲気センサのコアに、波長200〜850nmの光を入射し、出射された光の吸収率を測定した。
図3は雰囲気センサの吸収率の測定装置の模式図であり、図4は実験例1〜10の雰囲気センサの波長に対する吸収率の測定結果であり、図5は実験例1〜10、実験例21〜40の雰囲気センサの交互積層回数に対する波長700nmにおける吸収率の測定結果である。なお、図4において、数字は実験例1〜10を示している。また、図5において、黒丸は実験例1〜10(コア露出部の長さ1cm)、白三角は実験例21〜30(コア露出部の長さ2cm)、黒三角は実験例31〜40(コア露出部の長さ3cm)の測定結果を示している。
図3において、10は交互積層部6が形成された光ファイバ2の一端が接続され光ファイバ2に光を入射する光源、11は光ファイバ2の他端が接続され光ファイバ2から出射された光を検出する光検出器、12は交互積層部6が形成された雰囲気センサ1が配置されたチャンバ、13はチャンバ12にガスを導入する供給口、14はチャンバ12からガスを排出する排出口である。
なお、光検出器11はオーシャンオプティックス社のスペクトロメータ(S1024DW)を用い、光源10はオーシャンオプティックス社(HL2000)を用いた。また、雰囲気センサの吸収率は、乾燥空気をチャンバ12の供給口13から1L/分の流速で導入し、温度25℃の条件下で測定した。なお、コア露出部及び交互積層部が形成されていない光ファイバの吸収率は、全波長帯において0である。
【0032】
図4から、実験例1〜10の雰囲気センサは、400〜500nm、500〜750nmに吸収帯を有していることがわかった。これらの吸収帯は、ポルフィリン誘導体の400〜500nm付近のソーレー帯と500〜700nm付近のQ帯とほぼ一致する。また、交互積層回数が増えるにつれ吸収率が大きくなるが、積層回数が7回以上で吸収率の変化がほぼ飽和することがわかった。
図5から、コア露出部が長くなるにつれ、少ない積層回数で吸収率の変化が飽和することがわかった。また、検知感度の高い雰囲気センサを得るためには、コア露出部の長さが2cm(実験例21〜30)の場合、積層回数は4回程度で十分なこと、コア露出部の長さが3cm(実験例31〜40)の場合、積層回数は1回で十分なことがわかった。
【0033】
(実験例10の雰囲気センサのガス検知特性)
次に、実験例10の雰囲気センサを用いて、アンモニアガスの検知特性を測定した。
図3に示すチャンバ12内に実験例10の雰囲気センサを配置した後、乾燥空気をチャンバ12の供給口13から1L/分の流速で導入し、光検出器11が検出した出射光の強度と、所定濃度のアンモニアガスをチャンバ12の供給口13から1L/分の流速で導入し、光検出器11が検出した出射光の強度と、の差分強度を、温度25℃の条件下で測定した。
図6は、100ppb〜30ppmのアンモニアガスに対する実験例10の雰囲気センサの差分強度の測定結果である。
図6から、300〜400nm、400〜500nm、500〜700nm、700〜750nmの波長において差分強度に大きな変化がみられ、その変化は、ガスの濃度が増すにつれ大きくなることがわかった。
【0034】
図7は100ppb〜40ppmのアンモニアガスと乾燥空気とを約5分毎に切り替えてチャンバに導入した場合の実験例10の雰囲気センサの出射光(波長470nm)の強度を測定した結果である。
図7から、実験例10の雰囲気センサは0.5ppm程度の微量ガスにも応答し、また乾燥空気の導入によって、出射光の強度が可逆的に変化することがわかった。
【0035】
図8は5ppmと1ppmのアンモニアガスと乾燥空気とを所定時間毎に切り替えてチャンバに導入した場合の実験例10の雰囲気センサの出射光(波長660nm)の応答率を測定した結果である。なお、応答率はアンモニアガスを導入しないときの出射光の強度で規格化した値である。
図8から、実験例10の雰囲気センサは、アンモニアガスの濃度が5ppmから1ppmに変化して1/5になると、応答率が約1/5になることがわかった。このことから、実験例10の雰囲気センサは、ガス濃度に対して定量的に応答することがわかった。
【0036】
(実験例5、10、15の雰囲気センサのガス検知特性)
図9は100ppb〜40ppmのアンモニアガスに対する実験例5、10、15の雰囲気センサの差分強度(波長750nm)を測定した結果である。横軸はガス濃度(対数表示)であり、縦軸は差分強度(mV)を示している。また、実験例5、10、15の雰囲気センサは、各々、5回、10回、15回と交互積層回数で表記した。
図9から、実験例5、10、15の雰囲気センサの差分強度は、いずれもガス濃度に対して定量的に変化することがわかった。特に、実験例10の雰囲気センサのガス濃度に対する差分強度の直線の傾きが最も大きいことから、最も高感度であることがわかった。また、1ppm以下においても差分強度が変化していることから、1ppm以下の微量ガスも検知可能であることがわかった。
【0037】
(実験例10の雰囲気センサの湿度検知特性)
次に、実験例10の雰囲気センサを用いて、湿度の検知特性を測定した。
図3に示すチャンバ12内に実験例10の雰囲気センサを配置した後、乾燥空気をチャンバ12の供給口13から1L/分の流速で導入し、光検出器11が検出した出射光の強度と、所定の相対湿度の空気をチャンバ12の供給口13から1L/分の流速で導入し、光検出器11が検出した出射光の強度と、の差分強度を、温度25℃の条件下で測定した。
図10は、相対湿度7%、30%、80%に対する実験例10の雰囲気センサの差分強度の測定結果である。
図10から、湿度が高くなるにつれ、450〜650nmの波長における差分強度が大きくプラス側に変化する傾向がみられることがわかった。これにより、実施例の雰囲気センサは、湿度を検知するセンサとして使用できる可能性があることがわかった。
【0038】
ここで、本実施例の雰囲気センサは、前述のとおり、アンモニア等のガスによっても差分強度が変化するため、湿度とガスのどちらの影響で差分強度が変化したかを識別できなければ、雰囲気センサとして利用することが難しいと考えられる。
そこで、湿度に対する雰囲気センサの差分強度の測定結果と、アンモニアガスに対する雰囲気センサの差分強度の測定結果と、を比較した。
図11は相対湿度70%における実験例10の雰囲気センサの差分強度の測定結果と、40ppmのアンモニアガスに対する実験例10の雰囲気センサの差分強度の測定結果とをプロットした図である。
図11から、湿度の影響で450〜650nmの波長における差分強度がプラス側に変化するのに対し、アンモニアガスの影響により、450〜650nmの波長における差分強度がマイナス側に変化することがわかった。実施例の雰囲気センサは、プラス側とマイナス側のどちらに差分強度が変化するかを測定することにより、湿度とガスのどちらの影響によるものかを識別することができ、アンモニア等のガスだけでなく、湿度も検知可能なセンサとして使用できることがわかった。
【0039】
本実施例においては、アンモニアガスについて測定した結果について説明したが、これに限定するものではなく、アンモニア,ピリジン等のアミン系ガス、塩素,塩化水素等の含塩素ガス、トルエンなど芳香族揮発性化合物(VOCs)、各種アルコール等についても検知可能であることを確認した。
また、アニオン性化合物としてポルフィリン誘導体を用いた場合について説明したが、これに限定するものではなく、フタロシアニン誘導体、ピリジン誘導体のいずれか1種乃至は複数種の配位子を有する有機化合物や有機金属錯体を用いた場合にも、検知可能であることを確認した。また、アリザリンイエロー,チモールブルー,メチルレッド等の有機色素を用いた場合にも、検知可能であることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、光ファイバや光導波路を利用してガスや湿度を検知する雰囲気センサに関し、簡単な操作で、かつ短時間で製膜を行うことができ、また目的に応じて膜組成を容易に変えることができ自在性に優れ、また小型軽量でありながらガスや湿度を高感度で検知することができるとともに、膜の強度が高く耐久性に優れ、さらに材料を分子レベルで制御するのも容易で品質の安定性に優れるとともに生産性に優れた雰囲気センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施の形態1における雰囲気センサの模式断面図
【図2】実施の形態1における雰囲気センサの製造方法を説明する模式図
【図3】雰囲気センサの吸収率の測定装置の模式図
【図4】実験例1〜10の雰囲気センサの吸収率の測定結果
【図5】実験例1〜10、実験例21〜40の雰囲気センサの交互積層回数に対する波長700nmにおける吸収率の測定結果
【図6】100ppb〜30ppmのアンモニアガスに対する実験例10の雰囲気センサの差分強度の測定結果
【図7】100ppb〜40ppmのアンモニアガスと乾燥空気とを約5分毎に切り替えてチャンバに導入した場合の実験例10の雰囲気センサの出射光(波長470nm)の強度を測定した結果
【図8】5ppmと1ppmのアンモニアガスと乾燥空気とを所定時間毎に切り替えてチャンバに導入した場合の実験例10の雰囲気センサの出射光(波長660nm)の応答率を測定した結果
【図9】100ppb〜40ppmのアンモニアガスに対する実験例5、10、15の雰囲気センサの差分強度(波長750nm)を測定した結果
【図10】相対湿度7%、30%、80%に対する実験例10の雰囲気センサの差分強度の測定結果
【図11】相対湿度70%における実験例10の雰囲気センサの差分強度の測定結果と、40ppmのアンモニアガスに対する実験例10の雰囲気センサの差分強度の測定結果とをプロットした図
【符号の説明】
【0042】
1 雰囲気センサ
2 光ファイバ
3 コア
4 クラッド
5 コア露出部
6 交互積層部
7 表面処理層
8 カチオン性化合物膜
8a カチオン性化合物希薄液
9 アニオン性化合物膜
9a アニオン性化合物希薄液
10 光源
11 光検出器
12 チャンバ
13 供給口
14 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ又は光導波路のクラッドの一部に形成されたコア露出部と、前記コア露出部の表面にカチオン性化合物膜とアニオン性化合物膜の1乃至複数回の交互積層により形成された交互積層部と、を備えていることを特徴とする雰囲気センサ。
【請求項2】
前記アニオン性化合物膜が、ポルフィリン誘導体,フタロシアニン誘導体,ピリジン誘導体のいずれか1種乃至複数種の配位子を有する有機化合物又は有機金属錯体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の雰囲気センサ。
【請求項3】
前記交互積層部が、有機色素を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の雰囲気センサ。
【請求項4】
前記コア露出部及び前記交互積層部が、光の進行方向に複数個、間隔をあけて形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の雰囲気センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−236857(P2009−236857A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86429(P2008−86429)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(802000031)財団法人北九州産業学術推進機構 (187)
【Fターム(参考)】