説明

雰囲気酸素から一重項酸素を生成する光触媒を含む織物

雰囲気酸素から一重項酸素を生成する1つまたは複数の光触媒を含む織物。特定の実施形態において、織物は、一重項酸素と可逆的に反応することによって、エンドペルオキシドを形成する化合物をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府ライセンス権
米国政府は、本発明における一括払いのライセンスと、限定された状況において、特許所有者が、「軽量および低コストの柔構造繊維」、米陸軍第一次中小企業技術革新研究補助金、契約番号DAAD16-03-C-0011の契約条件によって提供される妥当な条件で、他の者にライセンスを供与することを義務付ける権利とを有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、シリアル番号第61/167,409号を有し、2009年4月7日に出願した米国仮出願の優先権を主張するものである。本出願は、シリアル番号第12/652,670号を有し、2010年1月5日に出願した同時係属出願の一部継続である。
【0003】
本発明は、雰囲気酸素から一重項酸素を生成する光触媒を含む織物に関する。特定の実施形態において、織物は、一重項酸素と可逆的に反応する化合物をさらに含む。
【背景技術】
【0004】
多くの産業、商業および住宅用施設は、屋内空間の不快な臭気を緩和するエアーフレッシュナーを使用している。このようなエアーフレッシュナーは、蝋燭、エアゾールスプレー、ポプリ、ゲル、および機械的にまたは熱により放出される製品の形態であってよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,259,122号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような製品は、臭気を中和する、さもなければカバーすることはできるが、健康への悪影響も伴う。多くの一般的エアーフレッシュナーは、喘息を悪化させ、フタラート、アセトン、クロロメタン、アセトアルデヒド、および1,4-ジオキサンなどの危険または有毒な化学薬品を含有している可能性のある化学薬品を含有する。よって、エアーフレッシュナーへの曝露が健康に与える影響は、増大する懸案事項である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
雰囲気酸素から一重項酸素を生成する光触媒を含む織物が提示される。特定の実施形態において、織物は、光触媒と、場合によって、一重項酸素と可逆的に反応する1つまたは複数の化合物とを含むコーティングを含む。
【0008】
屋内付属品が提示されるが、これら屋内付属品は、雰囲気酸素から一重項酸素を生成する光触媒を含む織物を含むものが提示される。特定の実施形態において、織物は、光触媒と、場合によって、一重項酸素と可逆的に反応する1つまたは複数の化合物とを含むコーティングを含む。屋内付属品は、家具、クッション、枕、寝具類、カーテン、および床仕上げ材からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】織物の1つの表面を示す断面図である。
【図1B】織物の2つの対向する表面を示す断面図である。
【図1C】シリルエステル連結を介して図1Aの織物の表面に付加された光触媒と、シリルアミド連結を介して図1Aの織物の表面に付加された光触媒とを示す図である。
【図2】織物積層体を示すブロック図である。
【図3】複数の光触媒部分と、場合によって、織物に化学的に結合した、複数の一重項酸素トラップ部分とを例示す図である。
【図4】複数の光触媒部分と、場合によって、織物上に配置されたプレコーティングに化学的に結合した複数の一重項酸素トラップ部分とを例示する図である。
【図5】複数の光触媒部分と、場合によって、織物の第1の表面上に配置された第1のプレコーティングに化学的に結合した複数の一重項酸素トラップ部分と、複数の光触媒部分と、場合によって、織物の第2の表面上に配置された第2のプレコーティングに化学的に結合した複数の一重項酸素トラップ部分とを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、図を参照した以下の明細書の好ましい実施形態において記載され、図の中で、同様の数は、同様または類似の要素を表す。本明細書全体を通して、「1つの実施形態」「一実施形態」、または類似の言語の言及は、実施形態に関連して記載されたある特定の特性、構造、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態の中に含まれていることを意味する。よって、本明細書全体を通して、「1つの実施形態において」「一実施形態において」という句および類似言語の出現は、必ずしも、すべてが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0011】
記載されている本発明の特性、構造、または特徴は、1つまたは複数の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。本発明の実施形態の十分な理解が得られるよう、以下の明細書において、多数の特定の詳細が列挙されている。しかし、関連分野の当業者であれば認識することだが、本発明は、1つまたは複数の特定の詳細なしで、または他の方法、構成要素、材料などを用いて実施することができる。他の場合には、周知の構造、材料、または操作は、本発明の態様を不明瞭にすることを回避するため、詳細に示されていない、または記載されていない。
【0012】
本発明は、雰囲気酸素から一重項酸素を生成する光触媒組成物を含む織物を含むものとして記載されている。本明細書は、制限的と考えられるべきではない。出願人の発明は、表面を含む任意の基材を含み、この基材において、雰囲気酸素から一重項酸素を生成する光触媒が、その表面に化学的に付加されている。他の基材として、プラスチックフィルム、ガラス、金属、木材、紙、およびこれらの組合せが、制限なしで挙げられる。
【0013】
出願人の織物は、雰囲気酸素から一重項酸素を作り出す光触媒と、場合によって、一重項酸素トラップとを組み合わせて含むコーティングを含む。「一重項酸素トラップ」とは、出願人によれば、一重項酸素と可逆的に反応する化合物を意味する。雰囲気酸素から一重項酸素を作り出す光触媒を、一重項酸素トラップと組み合わせて使用することは、Lombardiの名称での米国特許第7,259,122号(’122特許)において教示されており、その全体が本明細書によって本明細書中に参照により組み込まれている。
【0014】
特定の実施形態において、出願人の織物は、1つまたは複数のその表面上に配置された、記載された、出願人のコーティング組成物を含む。「織物」とは、出願人によれば、天然および/または合成繊維を編むこと、またはこれからフェルトを作ること、またはこれを編むこと、またはこれをかぎ針で編むことによって形成される、柔軟性のある、平坦な材料を意味する。
【0015】
特定の実施形態において、出願人の織物は、以下の反応スキーム「A」を用いて一重項酸素を作り出す。光を吸収した際に、光触媒では、一重項状態への電子の励起が起こり、続いて電子が再編成することによって、励起した三重項状態を形成する。三重項光触媒は、周囲の三重項酸素へエネルギーを移動することによって、反応性の一重項酸素を形成する。作り出された一重項酸素(1O2)は、臭気を排除することが可能な反応種である。特定の実施形態において、一重項酸素は、臭気のある化合物を酸化させることによって、匂わないような物質をもたらす。特定の実施形態において、一重項酸素は、1つまたは複数の臭気のある化合物を放出する物質および/または病原を酸化させる。
【0016】
反応スキーム「A」光触媒+光→1光触媒→3光触媒
3光触媒+3O2→光触媒+1O2
【0017】
様々な実施形態において、出願人の織物は、光触媒と1つまたは複数のペンダントシリルエステル基とを含む光触媒組成物を含む。このようなペンダントシリルエステル基は、出願人の光触媒組成物が多種多様な織物の表面に安定した共有結合を形成するのを促進させる。
【0018】
様々な実施形態において、出願人は、置換された光触媒を、1つまたは複数のシリルエステル化合物4、5、6、7、および/または8と反応させて、1つまたは複数のペンダントシリルエステル官能基IIに共有結合させることによって、出願人の光触媒組成物を形成する。
【0019】
【化1】

【0020】
様々な実施形態において、出願人の光触媒組成物は、置換アセトナフトン、置換アセトフェノン、置換アクリジン、置換アントラセン、置換アントラキノン、置換アントロン、置換アズレン、置換ベンジル、置換ベンゾフェノン、置換ベンゾピラノン、置換ベンゾキノン、置換フラボン、置換カンファーキノン、置換クリセン、置換7-デヒドロコレステロール、置換エルゴステロール、置換フルオレン、置換フルオレノン、置換エオシン、置換フルオレセイン、置換フロキシン、置換ローズベンガル、置換エリスロシン、置換インドール、置換ナフタレン、置換フェナントレン、置換フェナジン、置換チオニン、置換アズール、置換トルイジンブルー、置換メチレンブルー、置換ピレン、置換キノキサリン、置換レチノール、置換リボフラビン、置換ルブレン、置換バクテリオクロロフィル、置換クロロフィル、置換フェオフィチン、置換フェオホルビド、置換プロトクロロフィル、置換コプロポルフィリン、置換フラーレン、置換ポルフィリン、置換メタロポルフィリン、置換ポルフィン、置換ルブレン、および置換フタロシアニンからなる群から選択される、置換光触媒を含む。
【0021】
実施例1から42は、光触媒組成物21、22、23、24、25、27、28、29、30、32、33、36、37、39、40、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、57、59、60、62、64、65、66、68、69、70、72、73、74、76、77、78、80、81、82、84、85、86、88、89、91、92、93、94、96、97、99、100、101、103、104、106、107、108、110、111、112、114、115、116、118、119、120、122、123、124、126、127、129、130、131、133、134、136、137、138、140、141、142、144、145、146、148、149、150、152、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、184、186、188、および189の調製を要約している。実施例1〜42は、当業者に、本発明を作製および使用する方法をさらに例示するために提示されている。これら実施例は、限定することを意図しておらず、ここに添付された特許請求の範囲に定義された本発明の範囲にあることを意図する。
【実施例1】
【0022】
アセトナフトンCAS:93-08-3;Φ約0.5〜0.7
【0023】
【化2】

【0024】
置換アセトナフトン光触媒20Aと、アミノシリルエステル4との反応により、置換アセトナフトン光触媒組成物21を得る。置換アセトナフトン光触媒20Aと、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換アセトナフトン光触媒組成物22を得る。
【0025】
置換アセトナフトン光触媒20Bと、アミノシリルエステル4との反応により、置換アセトナフトン光触媒組成物21を得る。置換アセトナフトン光触媒2OBとメルカプトシリルエステル5との反応により、置換アセトナフトン光触媒組成物22を得る。
【0026】
【化3】

【0027】
置換アセトナフトン光触媒2OCと、エポキシシリルエステル6との反応により、置換アセトナフトン光触媒組成物23を得る。置換アセトナフトン光触媒20Cと、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換アセトナフトン光触媒組成物24を得る。置換アセトナフトン光触媒20Cと、クロロシリルエステル7との反応により、置換アセトナフトン光触媒組成物25を得る。
【0028】
【化4】

【実施例2】
【0029】
アクリジンCAS:260-94-6;Φ約0.8
【0030】
【化5】

【0031】
置換アクリジン光触媒26Aと、エポキシシリルエステル6との反応により、置換アクリジン光触媒組成物29を得る。置換光触媒26Aと、イソシアナトシリルエステル7との反応により、光触媒組成物30を得る。
【0032】
置換光触媒26Bと、エポキシシリルエステル6との反応により、光触媒組成物28を得る。置換光触媒26Bと、イソシアナトシリルエステル7との反応により、光触媒組成物27を得る。
【0033】
【化6】

【0034】
置換光触媒31と、アミノシリルエステル4との反応により、光触媒組成物32を得る。置換光触媒31と、メルカプトシリルエステル5との反応により、光触媒組成物33を得る。
【0035】
【化7】

【実施例3】
【0036】
フラボンCAS:525-82-6;Φ約0.5
【0037】
【化8】

【0038】
メチル置換フラボン光触媒34と、N-ブロモスクシンイミドとの反応により、臭素化したフラボン光触媒35を得る。臭素化した置換フラボン光触媒35と、アミノシリルエステル4との反応により、置換フラボン光触媒組成物36を得る。臭素化したフラボン光触媒35と、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換フラボン光触媒組成物37を得る。
【0039】
【化9】

【実施例4】
【0040】
カンファーキノンCAS:10373-78-1;Φ約0.8
【0041】
【化10】

【0042】
置換カンファーキノン光触媒38と、アミノシリルエステル4との反応により、置換カンファーキノン光触媒組成物39を得る。置換カンファーキノン光触媒38と、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換カンファーキノン光触媒組成物40を得る。
【0043】
【化11】

【実施例5】
【0044】
クリセンCAS:218-01-9;Φ約0.6
【0045】
【化12】

【0046】
置換クリセン光触媒41の臭素化により、臭素化した化合物42を得る。置換クリセン光触媒42と、アミノシリルエステル4との反応により、置換クリセン光触媒組成物43を得る。置換クリセン光触媒42と、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換クリセン光触媒組成物44を得る。
【0047】
【化13】

【実施例6】
【0048】
7-デヒドロコレステロールCAS:434-16-2;Φ約0.8
【0049】
【化14】

【0050】
置換7-デヒドロコレステロール光触媒45と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換7-デヒドロコレステロール光触媒組成物46を得る。置換7-デヒドロコレステロール光触媒46と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換7-デヒドロコレステロール光触媒組成物47を得る。置換7-デヒドロコレステロール光触媒45と、クロロシリルエステル8との反応により、置換7-デヒドロコレステロール光触媒組成物48を得る。
【0051】
【化15】

【実施例7】
【0052】
エルゴステロールCAS:57-87-4;Φ約0.8
【0053】
【化16】

【0054】
置換エルゴステロール光触媒49と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換エルゴステロール光触媒組成物50を得る。置換エルゴステロール光触媒49と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換エルゴステロール光触媒組成物51を得る。置換エルゴステロール光触媒49と、クロロシリルエステル8との反応により、置換エルゴステロール光触媒組成物52を得る。
【0055】
【化17】

【実施例8】
【0056】
フルオレンCAS:86-73-7;Φ約1
【0057】
【化18】

【0058】
置換フルオレン光触媒53Aと、エポキシシリルエステル6との反応により、置換フルオレン光触媒組成物54を得る。置換フルオレン光触媒53Aと、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換フルオレン光触媒組成物55を得る。
【0059】
置換フルオレン光触媒53Bと、エポキシシリルエステル6との反応により、置換フルオレン光触媒組成物56を得る。置換フルオレン光触媒53Bと、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換フルオレン光触媒組成物57を得る。
【0060】
【化19】

【実施例9】
【0061】
フルオレノンCAS:486-25-9;Φ約0.8
【0062】
【化20】

【0063】
置換フルオレノン光触媒58と、アミノシリルエステル4との反応により、置換フルオレノン光触媒組成物59を得る。置換フルオレノン光触媒58と、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換フルオレノン光触媒組成物60を得る。
【0064】
【化21】

【0065】
置換フルオレノン光触媒20Bと、アミノシリルエステル4との反応により、置換フルオレノン光触媒組成物62を得る。
【0066】
【化22】

【実施例10】
【0067】
エオシンB CAS:548-24-3;Φ約0.3〜0.5
【0068】
【化23】

【0069】
置換エオシンB光触媒63と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換エオシンB光触媒組成物64を得る。置換エオシンB光触媒63と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換エオシンB光触媒組成物65を得る。置換エオシンB光触媒63と、クロロシリルエステル8との反応により、置換エオシンB光触媒組成物66を得る。
【0070】
【化24】

【実施例11】
【0071】
ジヨードフルオレセインCAS:33239-19-9;Φ約0.3〜0.5
【0072】
【化25】

【0073】
置換ジヨードフルオレセイン光触媒67と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換ジヨードフルオレセイン光触媒組成物68を得る。置換ジヨードフルオレセイン光触媒67と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換ジヨードフルオレセイン光触媒組成物69を得る。置換ジヨードフルオレセイン光触媒67と、クロロシリルエステル8との反応により、置換ジヨードフルオレセイン光触媒組成物70を得る。
【0074】
【化26】

【実施例12】
【0075】
エオシンY CAS:17372-87-1;Φ約0.5〜0.9
【0076】
【化27】

【0077】
置換エオシンY光触媒71と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換エオシンY光触媒組成物72を得る。置換エオシンY光触媒71と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換エオシンY光触媒組成物73を得る。置換エオシンY光触媒71と、クロロシリルエステル8との反応により、置換エオシンY光触媒組成物74を得る。
【0078】
【化28】

【実施例13】
【0079】
フロキシンB CAS:18472-87-2;Φ約0.4〜0.6
【0080】
【化29】

【0081】
置換フロキシンB光触媒75と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換フロキシンB光触媒組成物76を得る。置換フロキシンB光触媒75と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換フロキシンB光触媒組成物77を得る。置換フロキシンB光触媒75と、クロロシリルエステル8との反応により、置換フロキシンB光触媒組成物78を得る。
【0082】
【化30】

【実施例14】
【0083】
ローズベンガルジナトリウムCAS:632-69-9;Φ約0.8
【0084】
【化31】

【0085】
置換ローズベンガルジナトリウム光触媒79と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換ローズベンガルジナトリウム光触媒組成物80を得る。置換ローズベンガルジナトリウム光触媒79と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換ローズベンガルジナトリウム光触媒組成物81を得る。置換ローズベンガルジナトリウム光触媒79と、クロロシリルエステル8との反応により、置換ローズベンガルジナトリウム光触媒組成物82を得る。
【0086】
【化32】

【実施例15】
【0087】
エリスロシンCAS:16423-68-0;Φ約0.5〜0.6
【0088】
【化33】

【0089】
置換エリスロシン光触媒83と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換エリスロシン光触媒組成物84を得る。置換エリスロシン光触媒83と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換エリスロシン光触媒組成物85を得る。置換エリスロシン光触媒83と、クロロシリルエステル8との反応により、置換エリスロシン光触媒組成物86を得る。
【0090】
【化34】

【実施例16】
【0091】
ナフタレンCAS:91-20-3;Φ約0.7〜1
【0092】
【化35】

【0093】
置換ナフタレン光触媒87と、アミノシリルエステル4との反応により、置換ナフタレン光触媒組成物88を得る。置換ナフタレン光触媒87と、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換ナフタレン光触媒組成物89を得る。
【0094】
【化36】

【0095】
置換ナフタレン光触媒90Aと、エポキシシリルエステル6との反応により、置換ナフタレン光触媒組成物91を得る。置換ナフタレン光触媒90Aと、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換ナフタレン光触媒組成物92を得る。
【0096】
置換ナフタレン光触媒90Bと、エポキシシリルエステル6との反応により、置換ナフタレン光触媒組成物93を得る。置換ナフタレン光触媒90Bと、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換ナフタレン光触媒組成物94を得る。
【0097】
【化37】

【実施例17】
【0098】
フェナントレンCAS:85-01-8;Φ約0.4〜0.6
【0099】
【化38】

【0100】
置換フェナントレン光触媒20Bと、アミノシリルエステル4との反応により、置換フェナントレン光触媒組成物96を得る。置換フェナントレン光触媒20Bと、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換フェナントレン光触媒組成物97を得る。
【0101】
【化39】

【0102】
置換フェナントレン光触媒98と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換フェナントレン光触媒組成物99を得る。置換フェナントレン光触媒98と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換フェナントレン光触媒組成物100を得る。置換フェナントレン光触媒98と、クロロシリルエステル8との反応により、置換フェナントレン光触媒組成物101を得る。
【0103】
【化40】

【実施例18】
【0104】
フェナジンCAS:92-82-0;Φ約0.8〜0.9
【0105】
【化41】

【0106】
置換フェナジン光触媒102と、アミノシリルエステル4との反応により、置換フェナジン光触媒組成物103を得る。置換フェナジン光触媒20Bと、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換フェナジン光触媒組成物104を得る。
【0107】
【化42】

【実施例19】
【0108】
チオニンCAS:581-64-6;Φ約0.6
【0109】
【化43】

【0110】
置換チオニン光触媒105と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換チオニン光触媒組成物106を得る。置換チオニン光触媒105と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換チオニン光触媒組成物107を得る。置換チオニン光触媒105と、クロロシリルエステル8との反応により、置換チオニン光触媒組成物108を得る。
【0111】
【化44】

【実施例20】
【0112】
アズールA CAS:531-53-3;Φ約0.8
【0113】
【化45】

【0114】
置換アズールA光触媒109と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換アズールA光触媒組成物110を得る。置換アズールA光触媒109と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換アズールA光触媒組成物111を得る。置換アズールA光触媒109と、クロロシリルエステル8との反応により、置換アズールA光触媒組成物112を得る。
【0115】
【化46】

【実施例21】
【0116】
アズールC CAS:531-57-7;Φ約0.71(MBに対して)
【0117】
【化47】

【0118】
置換アズールC光触媒113と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換アズールC光触媒組成物114を得る。置換アズールC光触媒113と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換アズールC光触媒組成物115を得る。置換アズールC光触媒113と、クロロシリルエステル8との反応により、置換アズールC光触媒組成物116を得る。
【0119】
【化48】

【実施例22】
【0120】
トルイジンブルーCAS:92-31-9;Φ約0.8
【0121】
【化49】

【0122】
置換トルイジンブルー光触媒117と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換トルイジンブルー光触媒組成物118を得る。置換トルイジンブルー光触媒117と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換トルイジンブルー光触媒組成物119を得る。置換トルイジンブルー光触媒117と、クロロシリルエステル8との反応により、置換トルイジンブルー光触媒組成物120を得る。
【0123】
【化50】

【実施例23】
【0124】
ニューメチレンブルーCAS:1934-16-3;Φ約1.35
【0125】
【化51】

【0126】
置換ニューメチレンブルー光触媒121と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換ニューメチレンブルー光触媒組成物122を得る。置換ニューメチレンブルー光触媒121と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換ニューメチレンブルー光触媒組成物123を得る。置換ニューメチレンブルー光触媒121と、クロロシリルエステル8との反応により、置換ニューメチレンブルー光触媒組成物124を得る。
【0127】
【化52】

【実施例24】
【0128】
ピレンCAS:129-00-0;Φ約0.8
【0129】
【化53】

【0130】
置換ピレン光触媒125と、アミノシリルエステル4との反応により、置換ピレン光触媒組成物126を得る。置換ピレン光触媒125と、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換ピレン光触媒組成物127を得る。
【0131】
【化54】

【0132】
置換ピレン光触媒128と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換ピレン光触媒組成物129を得る。置換ピレン光触媒128と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換ピレン光触媒組成物130を得る。置換ピレン光触媒128と、クロロシリルエステル8との反応により、置換ピレン光触媒組成物131を得る。
【0133】
【化55】

【実施例25】
【0134】
キノキサリンCAS:91-19-0;Φ約0.91
【0135】
【化56】

【0136】
置換キノキサリン光触媒132と、アミノシリルエステル4との反応により、置換キノキサリン光触媒組成物133を得る。置換キノキサリン光触媒132と、メルカプトシリルエステル5との反応により、光触媒組成物134を得る。
【0137】
【化57】

【0138】
置換キノキサリン光触媒135と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換キノキサリン光触媒組成物136を得る。置換キノキサリン光触媒135と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換キノキサリン光触媒組成物137を得る。置換キノキサリン光触媒135と、クロロシリルエステル8との反応により、置換キノキサリン光触媒組成物138を得る。
【0139】
【化58】

【実施例26】
【0140】
レチノールCAS:68-26-8;Φ約0.7
【0141】
【化59】

【0142】
置換レチノール光触媒139と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換レチノール光触媒組成物140を得る。置換レチノール光触媒139と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換レチノール光触媒組成物141を得る。置換レチノール光触媒139と、クロロシリルエステル8との反応により、置換レチノール光触媒組成物142を得る。
【0143】
【化60】

【実施例27】
【0144】
リボフラビン(ビタミンB2)CAS:83-88-5;Φ約0.5
【0145】
【化61】

【0146】
置換リボフラビン光触媒143と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換リボフラビン光触媒組成物144を得る。置換リボフラビン光触媒143と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換リボフラビン光触媒組成物145を得る。置換リボフラビン光触媒143と、クロロシリルエステル8との反応により、置換リボフラビン光触媒組成物146を得る。
【0147】
【化62】

【実施例28】
【0148】
ルブレンCAS:517-51-1;Φ約1
【0149】
【化63】

【0150】
置換ルブレン光触媒147と、エポキシシリルエステル6との反応により、置換ルブレン光触媒組成物148を得る。置換ルブレン光触媒147と、イソシアナトシリルエステル7との反応により、置換ルブレン光触媒組成物149を得る。置換ルブレン光触媒147と、クロロシリルエステル8との反応により、置換ルブレン光触媒組成物150を得る。
【0151】
【化64】

【実施例29】
【0152】
p-テルフェニルCAS:92-94-4;Φ約0.9
【0153】
【化65】

【0154】
置換p-テルフェニル光触媒151と、アミノシリルエステル4との反応により、置換p-テルフェニル光触媒組成物152を得る。置換p-テルフェニル光触媒151と、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換p-テルフェニル光触媒組成物153を得る。
【0155】
【化66】

【実施例30】
【0156】
バクテリオクロロフィルA CAS:17499-98-8;Φ約0.4
【0157】
【化67】

【0158】
置換バクテリオクロロフィルA光触媒154と、アミノシリルエステル4との反応により、バクテリオクロロフィルA光触媒組成物155を得る。
【0159】
【化68】

【実施例31】
【0160】
バクテリオクロロフィルB CAS:53199-29-4;Φ約0.5
【0161】
【化69】

【0162】
置換バクテリオクロロフィルB光触媒156と、アミノシリルエステル4との反応により、バクテリオクロロフィルB光触媒組成物157を得る。
【0163】
【化70】

【実施例32】
【0164】
クロロフィルA CAS:479-61-8;Φ約0.5〜0.7
【0165】
【化71】

【0166】
置換クロロフィルA光触媒158と、アミノシリルエステル4との反応により、置換クロロフィルA光触媒組成物159を得る。
【0167】
【化72】

【実施例33】
【0168】
クロロフィルB CAS:519-62-0;Φ約0.7〜0.8
【0169】
【化73】

【0170】
置換クロロフィルB光触媒160と、アミノシリルエステル4との反応により、置換クロロフィルB光触媒組成物161を得る。
【0171】
【化74】

【実施例34】
【0172】
フェオフィチンA CAS:603-17-8;Φ約0.6〜0.7
【0173】
【化75】

【0174】
置換フェオフィチンA光触媒162と、アミノシリルエステル4との反応により、置換フェオフィチンA光触媒組成物163を得る。
【0175】
【化76】

【実施例35】
【0176】
フェオフィチンB CAS:3147-18-0;Φ約0.7〜0.8〜
【0177】
【化77】

【0178】
置換フェオフィチンB光触媒164と、アミノシリルエステル4との反応により、置換フェオフィチンB光触媒組成物165を得る。
【0179】
【化78】

【実施例36】
【0180】
フェオホルビドA CAS:15664-29-6;Φ約0.4〜0.7
【0181】
【化79】

【0182】
置換フェオホルビドA光触媒166と、アミノシリルエステル4との反応により、置換フェオホルビドA光触媒組成物167を得る。
【0183】
【化80】

【実施例37】
【0184】
プロトクロロフィリドCAS:20369-67-9;Φ約0.7〜0.8
【0185】
【化81】

【0186】
置換プロトクロロフィリド光触媒168と、アミノシリルエステル4との反応により、置換プロトクロロフィリド光触媒組成物169を得る。
【0187】
【化82】

【実施例38】
【0188】
プロトクロロフィルCAS:14751-08-7;Φ約0.6〜0.8
【0189】
【化83】

【0190】
置換プロトクロロフィル光触媒170と、アミノシリルエステル4との反応により、置換プロトクロロフィル光触媒組成物171を得る。
【0191】
【化84】

【実施例39】
【0192】
コプロポルフィリンI CAS:531-14-6;Φ約0.6
【0193】
【化85】

【0194】
置換コプロポルフィリンI光触媒172と、アミノシリルエステル4との反応により、置換コプロポルフィリンI光触媒組成物173を得る。
【0195】
【化86】

【実施例40】
【0196】
フラーレン-C60 CAS:99685-96-8;Φ約1
【0197】
【化87】

【0198】
置換フラーレン-C60光触媒174と、アミノシリルエステル4との反応により、置換フラーレン-C60光触媒組成物175を得る。
【0199】
【化88】

【0200】
置換フラーレン-C60光触媒176と、クロロシリルエステル8との反応により、置換フラーレン-C60光触媒組成物177を得る。
【0201】
【化89】

【0202】
置換フラーレン-C60光触媒178と、アミノシリルエステル4との反応により、置換フラーレン-C60光触媒組成物179を得る。
【0203】
【化90】

【実施例41】
【0204】
テトラフェニルポルフィリンCAS:917-23-7;Φ約0.6〜0.7
【0205】
【化91】

【0206】
置換テトラフェニルポルフィリン光触媒180と、クロロシリルエステル8との反応により、置換テトラフェニル-ポルフィリン光触媒組成物181を得る。
【0207】
【化92】

【0208】
テトラフェニルポルフィリン光触媒182と、アミノシリルエステル4との反応により、テトラフェニル-ポルフィリン光触媒組成物183を得る。テトラフェニル-ポルフィリン光触媒182と、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換テトラフェニルポルフィリン光触媒組成物184を得る。
【0209】
【化93】

【実施例42】
【0210】
メタロ-テトラフェニルポルフィリン;Φ約0.6〜0.9
【0211】
【化94】

【0212】
置換メタロ-テトラフェニルポルフィリン光触媒185と、クロロシリルエステル8との反応により、置換メタロ-テトラフェニルポルフィリン光触媒組成物186を得る。
【0213】
【化95】

【0214】
置換メタロ-テトラフェニルポルフィリン光触媒187と、アミノシリルエステル4との反応により、置換メタロ-テトラフェニルポルフィリン光触媒組成物188を得る。置換メタロ-テトラフェニルポルフィリン光触媒187と、メルカプトシリルエステル5との反応により、置換メタロ-テトラフェニルポルフィリン光触媒組成物189を得る。
【0215】
【化96】

【実施例43】
【0216】
メチレンブルーCAS:61-73-4;Φ約0.5
【0217】
【化97】

【0218】
置換メチレンブルー光触媒195と、ブロモシリルエステル196との反応により、置換メチレンブルー光触媒組成物197を得る。
【0219】
【化98】

【0220】
出願人は、従来の水性コーティング装置および方法を用いて、様々な基材上へとこれらの光触媒組成物IIIを配置した。以下の実施例44は、本発明を作製および使用する方法を当業者へさらに例示するために、提示されている。実施例44は、これら実施例は、限定することを意図しておらず、出願人の発明の範囲であることを意図する。
【実施例44】
【0221】
テトラスルホニルクロリド置換アルミニウムフタロシアニン光触媒190(0.2グラム)をエタノール中に溶解した(200プルーフ;10mL)。超音波処理を使用した。トリエチルアミン(0.08g)を光触媒190溶液に加えた。アミノプロピルトリエトキシシラン、化合物4、(0.14g)を光触媒溶液に加えることによって、光触媒組成物191を形成した。この光触媒組成物191を、暗所で、室温で3時間撹拌した。
【0222】
【化99】

【0223】
濃縮水酸化アンモニウムを用いて、約95mLの水と5mLの水酸化アンモニウム濃縮溶液を混合することによって、約100mLの5%v/v水酸化アンモニウム溶液を調製した。様々な実施形態において、出願人は、約5%〜約25%v/vの間の、上記の、光触媒組成物191の水酸化アンモニウム中エタノール/トリエチルアミン溶液を含むコーティング組成物を調製した。Table 1(表1)は、典型的な配合物を列挙している。
【0224】
【表1】

【0225】
出願人のコーティング組成物が1つまたは複数の一重項酸素トラップをさらに含む実施形態において、これら一重項酸素トラップ化合物を、上記の、光触媒組成物191のエタノール/トリエチルアミン/水酸化アンモニウム混合物に加える。本明細書中で以下に記載されている特定の実施形態において、出願人の一重項酸素スカベンジャーは、置換ピリドンを含む。
【実施例45】
【0226】
出願人のコーティング組成物は、例えば、これらに限定されないが、ポリプロピレン織物、ワタ織物、ポリエステル織物、ナイロン織物などを含めた様々なフィルムおよび織物に塗布することができる。この実施例43では、KapplerからProvent 10000の登録商標で市販されているスパンボンド式ポリプロピレンをコーティング基材として使用した。このコーティング基材は、最初にポリウレタンプレコーティングで前処理された。例えばおよびこれらに限定されないが、Chemturaから市販されているWitCoBond UCX-281Fを、5%〜約10%w/wの水性混合物中でProvent 10000の表面に塗布した。このポリウレタンプレコーティングは、ローリングまたはスプレーのいずれかにより塗布した。ポリウレタンプレコーティングの塗布後、プレコーティングされたProvent 10000は、周囲条件で一晩乾燥させた。
【0227】
次いで、実施例44のコーティング組成物を、ローリングまたはスプレーのいずれかで、ポリウレタンでプレコートしたProvent 10000に塗布した。処理された表面を、100℃で1〜2分間乾燥させた。
【0228】
出願人は、実施例45の処理された織物は、様々な臭気に対して自己浄化することを発見した。「臭気に対して自己浄化する」とは、出願人によれば、実施例45の処理された織物を臭気物質に曝露すること、続いて、処理された/曝露された織物を太陽光または屋内照明のいずれかに曝露することによって、対照/未処理の織物に対して、処理された/曝露された/照射された織物からの臭気を効果的に排除することを意味する。未処理の/臭い物質に曝露された/照射された織物は、臭気物質の臭気を保持する。しかし、これとは著しく対照的に、実施例45の処理された織物を用いた場合、処理された/臭気物質に曝露された/照射された織物は、臭気物質の臭気を保持しない。
【実施例46】
【0229】
例えば、実施例45の処理された織物は、たばこの煙の臭いに対して自己浄化する。実施例44の方法を用いて、Tシャツをコーティング組成物で処理することによって、実施例45の処理された織物をTシャツの形態で得た。処理されたTシャツを第1のハンガーにかけ、第1のポリエチレン袋の中でつるした。コーティングされてないTシャツ対照を第2のハンガーにかけ、第2のポリエチレン袋の中でつるした。
【0230】
たばこの煙を第1の袋および第2の袋の両方に挿入することによって、処理されたTシャツおよび対照Tシャツの両方をたばこの煙に曝露した。次いで第1の袋および第2の袋を密閉した。処理されたTシャツおよび対照Tシャツを、それぞれの密閉したポリエチレン袋の内で1時間保存した。
【0231】
その後、処理されたTシャツおよび未処理のTシャツを、それぞれの袋から取り出し、屋内の蛍光照明に2時間曝露した。ASTM E679-91(「Standard Practice for Determination of Odor and Taste Thresholds by a Forced-Choice Ascending Concentration Series Method of Limits(上昇濃度系列の強制選択極限法による臭味の閾値決定のための標準的技法)」)に従い、4人の臭気査定員からなるパネルが、独立して、処理されたTシャツおよび未処理のTシャツの両方の臭いを嗅いだ。臭気査定員のそれぞれが、未処理のTシャツは、たばこの煙の臭気を保持していたが、処理されたTシャツは、たばこの煙の臭気を保持していなかったと報告した。
【実施例47】
【0232】
加えて、実施例45の処理された織物は、メルカプタンに対して自己浄化する。実施例44の方法を用いて、Tシャツをコーティング組成物で処理することによって、実施例45の処理された織物をTシャツの形態で得た。処理されたTシャツを第1のハンガーにかけ、第1のポリエチレン袋の中でつるした。コーティングされてないTシャツ対照を第2のハンガーにかけ、第2のポリエチレン袋の中でつるした。
【0233】
エチルメルカプタン臭気物質を含有するプロパンガスを第1の袋と第2の袋の両方に挿入することによって、処理されたTシャツおよび対照Tシャツの両方をエチルメルカプタン臭気物質に曝露した。次いで第1の袋および第2の袋を密閉した。処理されたTシャツおよび対照Tシャツをそれぞれの密閉したポリエチレン袋の内で1時間保存した。当業者であれば理解するように、エチルメルカプタンは、液化プロパン100グラム当たり3.3ミリグラムの添加量で、プロパンガスに加える。
【0234】
その後、処理されたTシャツおよび未処理のTシャツを、それぞれの袋から取り出し、屋内の蛍光照明に2時間曝露した。ASTM E679-91(「Standard Practice for Determination of Odor and Taste Thresholds by a Forced-Choice Ascending Concentration Series Method of Limits(上昇濃度系列の強制選択極限法による臭味の閾値決定のための標準的技法)」)に従い、4人の臭気査定員からなるパネルが、独立して、処理されたTシャツおよび未処理のTシャツの両方の臭いを嗅いだ。臭気査定員のそれぞれが、未処理のTシャツは、エチルメルカプタンの臭気を保持していたが、処理されたTシャツは、エチルメルカプタンの臭気を保持していなかったと報告した。
【実施例48】
【0235】
当業であれば理解するように、多くの臭気は、様々な生物学的因子、例えば細菌などにより生成される。Salt Lake City、UtahのNelson Laboratoriesで、バイオバーデン試験を実施した。実施例45の処理された織物およびProvent 10000を含む未処理の試験織物の表面の上の好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌のレベルを求めた。対照織物と試験織物の両方を、通常の蛍光照明のみに曝した。
【0236】
【表2】

【0237】
TABLE 2(表2)は、バイオバーデン試験結果を要約している。表2は、出願人の試験織物は、好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌に対してそれぞれ、処理された織物の細菌レベル、79CFU、30CFU、および151CFUを含むことを示すデータを列挙している。TABLE 2(表2)は、出願人の対照織物は、好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌に対してそれぞれ、未処理の織物の細菌レベル、189CFU、256CFU、および451CFUを含むことを示すデータをさらに列挙し、ここでは、処理された織物の細菌レベルは、匹敵する未処理の織物の細菌レベルより低い。
【実施例49】
【0238】
The American Association of Textile Chemists and Colorists(米国繊維化学技術・染色技術協会「AATCC」)は、微生物学試験を対象とする試験方法AATCC 100を公布した。
【0239】
AATCC 100は、抗菌の活性の度合を評価するための定量的手順を提供する。
【0240】
試験微生物を液体培地内で成長させる。本明細書中で上に記載されている出願人のコーティングを評価するために使用された試験プロトコルでは、肺炎桿菌(「K.pneumoniae」)を利用した。K.pneumoniaeは、厚いリポポリサッカリド表面膜層を含む、グラム陰性の、棒状の形状をした細菌である。K. pneumoniaeは、多くの殺生物剤および抗生剤に耐性があることで知られている。
【0241】
K.pneumoniaeの濃度を標準化した。微生物培地を滅菌した栄養溶液中で希釈した。
【0242】
対照織物の見本は、未処理のProvent 10000織物を含んだ。試験織物の見本は、実施例45の処理された織物を含んだ。対照および試験織物の見本に微生物を接種した。AATCC 100抗菌試験手順に従い、1.0mLの試験生物懸濁液を約1,000,000CFU/mLで試験試料に接種した。
【0243】
接種は、微生物の懸濁液が織物見本のみに接触するように実施した。大容量の中和培養液中で溶出し、これに続き希釈およびプレーティングを行うことにより、対照および試験織物の両方についての細菌レベルを、「時間ゼロ」の時点で求めた。
【0244】
追加の接種された対照織物および試験織物に、1000 Wattで、3600-3700 Luxハロゲンランプで2時間照射を行った。インキュベーションおよび照射後、生物を、試験織物および対照織物から中和媒体へと抽出した。これを適宜希釈し、プレーティングする。このプレートを37±1℃で24時間インキュベートさせた。標準的CFU(コロニー形成単位)カウント法を実施した。次いで初濃度および対照織物と比較した微生物の減少を計算した。TABLE 3(表3)は、試験織物および対照織物上に検出されたK. pneumoniaeのレベルを要約している。
【0245】
【表3】

【実施例50】
【0246】
【化100】

【0247】
光触媒組成物192の調製
アルミニウムフタロシアニンテトラスルホニルクロリド190(2g)を10mLのアセトン中に溶解した。超音波処理を使用することによって、染料の溶解を促進させた。炭酸カリウム(無水;>4当量、約1.3g)を染料溶液に加えた。結果として生じた混合物を室温で撹拌した。アミノプロピルトリエトキシシラン(Silquest A-1100、Momentive Performance materials、Inc.、North Greenbush、NY);2当量、0.91g)およびn-ドデシルアミン(2当量、0.76g)を、5mLのエタノール(200プルーフ)に混合すると、透明な溶液が生じた。この透明な混合物を、アルミニウムフタロシアニンテトラスルホニルクロリド溶液に、10分の時間内でゆっくりと滴加することによって、光触媒組成物192を調製した。追加のエタノール(5mL)を、光触媒組成物192溶液に加えた。結果として生じた光触媒組成物192溶液は、コーティング配合物中での使用の少なくとも2時間前から室温で激しく撹拌させておいた。
【0248】
コーティング配合物:
TABLE 4(表4)は、光触媒組成物192を用いた出願人のコーティング配合物を要約している。
【0249】
【表4】

【0250】
処理された織物の調製:
実施例45の方法を利用した。処理された織物を75℃(オーブン設定80℃)で13〜16分間乾燥させた。
【0251】
抗菌試験:
本明細書中で上の実施例49において記載されているAATCC 100試験手順を用いて、この実施例50の処理された織物を評価した。TABLE 5(表5)は、K. pneumoniaeおよび本明細書中ですぐ上に記載されている光触媒組成物192を含むコーティング配合物のバッチ番号1で処理された織物を用いたAATCC試験結果を要約している。
【0252】
【表5】

【実施例51】
【0253】
【化101】

【0254】
光触媒組成物194の調製
アルミニウムフタロシアニンテトラスルホニルクロリド190(2g)を、10mLのアセトン中に溶解した。超音波処理を使用することによって、染料の溶解を促進させた。炭酸カリウム(無水;>4当量、約1.3g)を染料溶液に加えた。結果として生じた混合物を室温で撹拌した。アミノプロピルトリエトキシシラン(Silquest A1100;2当量、0.91g)およびDUOMEEN C(Akzo Nobel Surface Chemistry AB, Stenungsund, Sweden、2当量、0.52g)を、5mLのアセトンと混合すると、透明な溶液が生じた。DUOMEEN Cは、ココプロピレンジアミン(CAS[61791-63-7])とR-NH-(CH2)3-NH2(式中、Rは、C8〜C18直鎖アルキル炭化水素を含む)の混合物を含む。
【0255】
この透明な混合物を、光触媒組成物190溶液に10分の時間内でゆっくりと滴加することによって、中間体193を形成した。結果として生じた中間体193を、溶液中で、室温で2時間激しく撹拌させた。追加の炭酸カリウム(約0.6g)を中間体183混合物に加え、続いてアセトン(5mL)中硫酸ジメチルアルキル化剤(0.8g)を滴加することによって、光触媒組成物194を形成した。光触媒組成物194は、溶液中で、コーティング配合物中での使用の少なくとも2時間前から室温で激しく撹拌させておいた。
【0256】
【表6】

【0257】
処理された織物の調製:
実施例45の方法を利用した。処理された織物を、75℃(オーブン設定80℃)で13〜16分間乾燥させた。
【0258】
抗菌試験:
本明細書中で上の実施例49において記載されているAATCC 100試験手順を用いて、この実施例51の処理された織物を評価した。TABLE 6(表7)は、K.pneumoniaeおよび本明細書中のすぐ上に記載されている光触媒組成物194を含むコーティング配合物のバッチ番号1で処理された織物を用いたAATCC試験結果を要約している。
【0259】
【表7】

【0260】
光強度約1,000 Luxを10分間与える蛍光電球および白熱電球の照明下で、照明曝露実験を行った。当業者であれば理解するように、1,000 Luxの光強度とは、Illuminating Engineering Society of North America(北米照明学会)(「IESNA」)で特定された、病院および関連医療施設の特定の領域内で推奨されている室内の光強度に相当する。IESNAとは、建物設計および消費財などに対する照明に関して基準/ガイドラインを設ける専門組織である。特に、IESNA Recommended PracticesおよびANSI Standardsでは、病院の環境に対する照明レベル(Luxで)は、それぞれ一般的照明に対して500 Luxおよび審査/治療に対して1000 Luxを推奨している。この実施例51のコーティングで処理された織物の出願人による照射は、その処理された織物が光触媒組成物194を含むとして、病院の治療/審査施設における処理された織物の使用を模倣している。
【0261】
インキュベーター内で、37〜38℃の温度設定で、暗所での実験を行った。観察された対数減少値を、時間0分の曝露での対照織物からのCFUカウントと比較して計算した。TABLE 6(表7)の結果から、照明への曝露から10分後の観察された対数減少値は、照明による活性化(対数減少値1.673)と暗反応(対数減少値2.34)を合わせたものであったことが実証される。
【0262】
出願人のバイオバーデン試験およびAATCC試験は、1つまたは複数の出願人の光触媒組成物を含む出願人のコーティングで処理された織物は、表面の病原菌に対して自己浄化作用があることを定量的に実証している。
【0263】
特定の実施形態において、出願人のコーティング組成物は、1つまたは複数の実施形態の光触媒組成物IIIと、1つまたは複数の一重項酸素スカベンジャー、すなわち一重項酸素と可逆的に反応する化合物とを組み合わせて含む。出願人は、N-置換-2-ピリドン10は、光触媒組成物IIIおよび雰囲気酸素の存在下で、照射により一重項酸素をトラップすることによって、1,4-エンドペルオキシド15を得ることを見出した。出願人は、このようなN-置換-2-ピリドニルエンドペルオキシド15は、時間の経過と共に一重項酸素を効率的に放出することをさらに見出した。
【0264】
【化102】

【0265】
出願人は、一重項酸素スカベンジャーとしてこれら化合物を使用する効力を求めるため、N-置換-2-ピリドン200A、200B、200C、200D、200E、300A、300B、300C、300D、および400Aを調製および試験した。
【0266】
【化103】

【0267】
出願人は、N-メチルエステル置換ピリドン200A、200B、200C、200D、200E、およびN-イソアミル-2-メチルピリドン300A、300B、300C、300D、およびN-イソブチル-2-メチルピリドン400Aの一重項酸素トラップ-放出プロセスについての定量的データを実験により求めた。すべてのピリドンは、試験前にカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0268】
テトラフェニルポルフィリン(“TPP”)と組み合わせた各ピリドンの混合物をクロロホルム中で調製した。それぞれの個々の溶液のUV-Vis吸収スペクトルおよび混合物のものを記録した。
【0269】
石英キュベット内の混合物溶液をシリコーンセプタムねじ口で密閉した。FSQ-RG495フィルター(黄色;λ>495nm)および熱い鏡(IRフィルター)を介して、Xeアークランプ(150W)を溶液に照射した。ランプ筺体から2フィート離してキュベット試料を置いた。照射中、酸素の微細な流れ(Omegaミクロ流量計;流速は10での読取値;0.342ml/min)を溶液にバブリングした。これらλmax260〜340nmにおいて、ピリドンの消費をUV-Vis吸収分光法により観察した。
【0270】
続いて、照射を行った溶液は、40℃での溶液の吸収スペクトルが記載される前に、暗所で、40℃で1分間、温度制御細胞ホルダー内に放置しておいた。各ピリドンの再分化が、時間の関数としてそのλmax記録の変化により観察された。
【0271】
2つの個々の化合物が、吸収バンドを重複した場合、方程式(1)に示されているように、混合物中のある特定の波長での光吸収は、その波長でのそれぞれ個々の成分からの光吸収の合計に等しい。
Am 1bC1 2bC2 (1)
【0272】
エンドペルオキシド付加反応物の熱分解は、一次反応の速度論に従うことが予想された。よって、完全な速度の法則は、方程式(2)および(3)を用いて表現される:
一次反応;[エンド]t = [エンド]0 e-kt (2)
In[エンド]t = -kt + In[エンド]0 (3)
【0273】
エンドペルオキシド放出反応の進行をピリドン吸収の増加により観察し、よって様々な反応時間でのエンドペルオキシドの濃度が、方程式(4)および(5)で計算できる。
[エンド]t=[エンド]0-[ピリドン]t (4)
[ピリドン]t = A(ピリドン)t/εピリドン(5)
【0274】
TABLE7(表8)から16(表17)は、置換ピリドンからのエンドペルオキシドの形成と、一重項酸素を再生するためのそのエンドペルオキシドの堆積の両方に対する動力学的データを列挙している。実験した10のエンドペルオキシドに対して測定された半減期は、約1時間から約9.6時間まで様々であった。
【0275】
【表8】

【0276】
【表9】

【0277】
【表10】

【0278】
【表11】

【0279】
【表12】

【0280】
【表13】

【0281】
【表14】

【0282】
【表15】

【0283】
【表16】

【0284】
【表17】

【0285】
ピリドンのN-原子の位置での立体障害基の置換は、エンドペルオキシドの分解速度の増加を示した。ピリドンのN-原子の位置でのイソ-アミル基の置換は、メチルエステル基での置換の約5倍へと放出速度を増加させた。一重項酸素のトラップおよび放出の両方で最も良い成績のピリドンは、5-メチル-N-イソアミル-2-ピリドンである。
【0286】
【化104】

【0287】
出願人は、ペンダントシリルエステル基を含むように、これらの置換ピリドン化合物を改変した。例えば、置換ピリドン300Cを、クロロホルム中でN-ブロモスクシンイミドと反応させることにより、臭素化した置換ピリドン305Cを得る。臭素化した、置換ピリドン305Cと、メルカプトシリルエステル7との反応により、置換N-イソアミルピリドン310C(ピリドン310Cは、ペンダントシリルエステル基を含む)を得る。
【0288】
【化105】

【0289】
同様に、置換ピリドン200B、200C、200D、200E、300B、300D、および400Aを改変することによって、それぞれがペンダントシリルエステル基を含む、置換ピリドン210B、210C、210D、210E、310B、310D、および410Aを形成することができる。
【0290】
【化106A】

【化106B】

【0291】
出願人は、置換ピリドン200Aをアミノシリルエステル4と反応させることによって、ペンダントシリルエステル基を含むピリドン210Aを形成した。
【0292】
【化107】

【0293】
同様の化学反応を使用することによって、ピリドン215B、215C、215D、および215Eを含有するペンダントシリルエステルを形成することができる。
【0294】
【化108】

【0295】
特定の実施形態において、出願人のコーティング組成物は、1つまたは複数のシリルエステル置換ピリドン210A、210B、215B、210C、215C、210D、215D、210E、215E、310B、310D、および/または410Aを、出願人のエタノール/トリエチルアミン/光触媒組成物III混合物と組み合わせて含む。特定の実施形態において、1つまたは複数のN-メチルエステルで置換されたピリドンシリルエステルで置換されたピリドン210A、210B、215B、210C、215C、210D、215D、210E、215E、310B、310D、および/または410Aは、コーティング組成物中に存在する光触媒IIIのモル数に基づき、約0.10〜約50モル過剰で存在する。
【0296】
結果として生じるコーティングは、外気および照明の両方に曝露された場合一重項酸素を作り出す。出願人は、太陽光および人工の照明の両方、すなわち白熱および/または蛍光の両方が、1つまたは複数の実施形態の出願人の光触媒組成物IIIを含むコーティングに、一重項酸素を効果的に作り出させることを見出した。1つまたは複数の実施形態の出願人の光触媒組成物を、シリルエステル置換ピリドン210B、210C、210D、210E、310B、310Dおよび/または410Aから形成された、1つまたは複数のエンドペルオキシドと組み合わせて含むコーティングを保持する織物/基材が暗い環境に配置されることで、1つまたは複数の光触媒組成物III部分が一重項酸素を作り出さなくなった場合には、1つまたは複数のエンドペルオキシドが分解されることで一重項酸素を放出し、これら1つまたは複数のエンドペルオキシドは、TABLE 2(表2)から11(表12)に列挙した半減期を有する。
【0297】
任意のコーティング配合物に使用されている置換ピリドン一重項酸素トラップは、出願人の光触媒組成物/ピリドンコーティングでコーティングされた織物/基材が置かれることになる、予測される暗さの時間に基づき選択される。例えば、1〜2時間の暗さの期間が予測される場合、この織物/基材は、1つまたは複数の実施形態の出願人の光触媒組成物を、1つまたは複数の置換ピリドン310Cと組み合わせて含むコーティングでコーティングされることになる。2〜4時間の暗さの期間が予測される場合、この織物/基材は、1つまたは複数の実施形態の出願人の光触媒組成物IIIを、1つまたは複数の置換ピリドン310B、310D、および/または410Aと組み合わせて含むコーティングでコーティングされることになる。4〜6時間の暗さの期間が予測される場合、この織物/基材は、1つまたは複数の実施形態の出願人の光触媒組成物を、1つまたは複数の置換ピリドン210E、310D、および/または410Aと組み合わせて含むコーティングでコーティングされることになる。6〜10時間の暗さの期間が予測される場合、この織物/基材は、1つまたは複数の実施形態の出願人の光触媒組成物を、1つまたは複数の置換ピリドン210B、210C、210D、および/または210Eと組み合わせて含むコーティングでコーティングされることになる。10時間を超える暗さの期間が予測される場合、この織物/基材は、1つまたは複数の実施形態の出願人の光触媒組成物を、1つまたは複数の置換ピリドン210B、210C、および/または210Dと組み合わせて含むコーティングでコーティングされることになる。
【0298】
特定の実施形態において、出願人のコーティングは、1つまたは複数の光触媒を、1つまたは複数の、上述のような一重項酸素トラップ分子/部分と組み合わせて含む。これらの実施形態において、出願人の1つまたは複数の光触媒は、日中に一重項酸素を生成するが、この場合一重項酸素の一部分が利用可能なままであることよって、病原菌を酸化させ、生成された一重項酸素の一部分は、1つまたは複数の一重項酸素トラップにより捕捉され、すなわち保存され、次いでその保存された一重項酸素が、夜間の間ずっと放出されることによって、出願人のコーティングに、徐放性の汚染除去能力を提供する。
【0299】
出願人の織物は、その1つまたは複数の表面上に配置された、本明細書中で上に記載されている出願人のコーティング組成物を含む。「織物」とは、出願人によれば、天然および/または合成繊維を編むこと、またはこれからフェルトを作ること、またはこれを編むこと、またはこれをかぎ針で編みことにより形成される、柔軟性のある、平坦な材料を意味する。特定の実施形態において、織物1000は、ポリプロピレンを含む。特定の実施形態において、織物1000は、ポリ塩化ビニルを含む。特定の実施形態において、織物1000は、ワタを含む。特定の実施形態において、織物10010は、麻布を含む。特定の実施形態において、織物1000は、皮革を含む。特定の実施形態において、織物1000は、毛糸を含む。特定の実施形態において、織物1000は、竹材を含む。特定の実施形態において、織物1000は、絹を含む。特定の実施形態において、織物1000は、ナイロンを含む。特定の実施形態において、織物1000は、ポリウレタンを含む。特定の実施形態において、織物1000は、ポリビニルアルコールを含む。
【0300】
例示された図1Aの実施形態において、出願人の織物1000は、表面1010を含む。図1Aは、ヒドロキシル基(-OH)とアミノ基(-NH2)とを含む表面1010を示している。
【0301】
特定の実施形態において、表面1010は、1つまたは複数の光触媒組成物21、22、23、24、25、27、28、29、30、32、33、36、37、39、40、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、57、59、60、62、64、65、66、68、69、70、72、73、74、76、77、78、80、81、82、84、85、86、88、89、91、92、93、94、96、97、99、100、101、103、104、106、107、108、110、111、112、114、115、116、118、119、120、122、123、124、126、127、129、130、131、133、134、136、137、138、140、141、142、144、145、146、148、149、150、152、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、184、186、188、および189で処理される。
【0302】
ここで図1Cを参照されたい。上に列挙した光触媒組成物のうちのいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のヒドロキシル基と反応させることによって、シリルエステル基を介して、光触媒を織物表面に化学的に結合させることができる。そのまま図1Cを参照されたい。上に列挙した光触媒組成物のうちのいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のアミノ基と反応させることによって、シリルアミド基を介して、光触媒を織物表面に化学的に結合させることができる。
【0303】
特定の実施形態において、表面1010を、1つまたは複数のN-置換-2-ピリドン200A、200B、200C、200D、200E、300A、300B、300C、300D、および400Aで処理することによって、図3に示されている織物300を得る。上に列挙したN-置換-2-ピリドンのうちのいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のヒドロキシル基と反応させることによって、シリルエステル基を介して、N-置換-2-ピリドンを織物表面に化学的に結合させることができる。上に列挙したN-置換-2-ピリドンのうちのいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のアミノ基と反応させることによって、シリルアミド基を介して、N-置換-2-ピリドンを織物表面に化学的に結合させることができる。
【0304】
例示された図1Bの実施形態において、出願人の織物1000は、対向する表面1010および1020を含む。特定の実施形態において、表面1010および1020は、それぞれ独立して、1つまたは複数の光触媒組成物21、22、23、24、25、27、28、29、30、32、33、36、37、39、40、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、57、59、60、62、64、65、66、68、69、70、72、73、74、76、77、78、80、81、82、84、85、86、88、89、91、92、93、94、96、97、99、100、101、103、104、106、107、108、110、111、112、114、115、116、118、119、120、122、123、124、126、127、129、130、131、133、134、136、137、138、140、141、142、144、145、146、148、149、150、152、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、184、186、188、および189で処理される。
【0305】
特定の実施形態において、出願人の織物は、多層積層体を含む。例示された図2の実施形態において、織物積層体2000は、第1の織物2010と、第2の織物2020と、第3の織物2030とを含む。織物積層体の1つまたは複数の外側の表面、例えば織物積層体2000などは、出願人のコーティング組成物で処理することができ、この場合、このコーティング組成物は、本明細書中に記載されている1つまたは複数の光触媒組成物と、場合によって、本明細書中に記載されている1つまたは複数の酸素トラップ化合物とを含む。
【0306】
ここで図3を参照されたい。特定の実施形態において出願人の織物300は、複数の光触媒組成物と、場合によって、その表面に化学的に結合した複数の一重項酸素トラップとを含む。図1Bに従い、他の実施形態において、複数の光触媒組成物、および場合によって、複数の一重項酸素トラップは、織物1000の2つ以上の表面に化学的に結合する。
【0307】
例示された図3の実施形態において、織物300は、光触媒組成物310と、これに化学的に結合した光触媒組成物330とを含み、場合によって、一重項酸素トラップ320と、これに化学的に結合した一重項酸素トラップ340とを組み合わせて含む。特定の実施形態において、一重項酸素トラップ320は、第1の構造を含み、一重項酸素トラップ340は、第2の構造を含み、この場合第1の構造は、第2の構造と異なる。特定の実施形態において、光触媒組成物310は、第1の構造を含み、光触媒組成物330は、第2の構造を含み、この場合第1の構造は、第2の構造と異なる。
【0308】
特定の実施形態において、光触媒組成物310は、1つまたは複数の光触媒組成物21、22、23、24、25、27、28、29、30、32、33、36、37、39、40、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、57、59、60、62、64、65、66、68、69、70、72、73、74、76、77、78、80、81、82、84、85、86、88、89、91、92、93、94、96、97、99、100、101、103、104、106、107、108、110、111、112、114、115、116、118、119、120、122、123、124、126、127、129、130、131、133、134、136、137、138、140、141、142、144、145、146、148、149、150、152、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、184、186、188、および189を含む。特定の実施形態において、光触媒組成物330は、1つまたは複数の光触媒組成物21、22、23、24、25、27、28、29、30、32、33、36、37、39、40、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、57、59、60、62、64、65、66、68、69、70、72、73、74、76、77、78、80、81、82、84、85、86、88、89、91、92、93、94、96、97、99、100、101、103、104、106、107、108、110、111、112、114、115、116、118、119、120、122、123、124、126、127、129、130、131、133、134、136、137、138、140、141、142、144、145、146、148、149、150、152、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、184、186、188、および189を含む。
【0309】
特定の実施形態において、一重項酸素トラップ320は、1つまたは複数のN-置換-2-ピリドン200A、200B、200C、200D、200E、300A、300B、300C、300D、および400Aを含む。特定の実施形態において、一重項酸素トラップ340は、1つまたは複数のN-置換-2-ピリドン200A、200B、200C、200D、200E、300A、300B、300C、300D、および400Aを含む。
【0310】
図4は、コーティング405が、織物1000の第1の表面上に配置された織物400を例示している。特定の実施形態において、コーティング405は、本明細書中で上の実施例43において記載されているポリウレタンプレコーティングを含む。特定の実施形態において、出願人のプレコーティング405は、第1の複数の光触媒組成物320と第2の複数の光触媒組成物340とを含む出願人のコーティング組成物で処理される。特定の実施形態において、出願人のプレコーティング405は、第1の複数の一重項酸素トラップ310と、第2の複数の一重項酸素トラップ330とを場合によって含む、出願人のコーティング組成物で処理される。
【0311】
上記の光触媒組成物のいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のヒドロキシル基と反応させることによって、シリルエステル基を介して、光触媒をコーティング405の表面に化学的に結合させることができる。上に列挙した光触媒組成物のいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のアミノ基と反応させることによって、シリルアミド基を介して、光触媒をコーティング405の表面に化学的に結合させることができる。
【0312】
上に列挙したN-置換-2-ピリドンのいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のヒドロキシル基と反応させることによって、シリルエステル基を介して、N-置換-2-ピリドンをコーティング405の表面に化学的に結合させることができる。上に列挙したN-置換-2-ピリドンのいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のアミノ基と反応させることによって、シリルアミド基を介して、N-置換-2-ピリドンをコーティング405の表面に化学的に結合させることができる。
【0313】
図5は、コーティング405が、織物1000の第1の表面上に配置され、コーティング505が、織物1000の第2の表面上に配置された織物500を例示している。特定の実施形態において、コーティング505は、本明細書中で上の実施例43において記載されているポリウレタンプレコーティングを含む。特定の実施形態において、出願人のプレコーティング505は、第1の複数の光触媒組成物520と、第2の複数の光触媒組成物540とを含む出願人のコーティング組成物で処理される。特定の実施形態において、出願人のプレコーティング505は、第1の複数の一重項酸素トラップ510と、第2の複数の一重項酸素トラップ530とを場合によって含む出願人のコーティング組成物で処理される。
【0314】
特定の実施形態において、一重項酸素トラップ510は、1つまたは複数のN-置換-2-ピリドン200A、200B、200C、200D、200E、300A、300B、300C、300D、および400Aを含む。特定の実施形態において、一重項酸素トラップ530は、1つまたは複数のN-置換-2-ピリドン200A、200B、200C、200D、200E、300A、300B、300C、300D、および400Aを含む。
【0315】
特定の実施形態において、光触媒組成物520は、1つまたは複数の光触媒組成物21、22、23、24、25、27、28、29、30、32、33、36、37、39、40、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、57、59、60、62、64、65、66、68、69、70、72、73、74、76、77、78、80、81、82、84、85、86、88、89、91、92、93、94、96、97、99、100、101、103、104、106、107、108、110、111、112、114、115、116、118、119、120、122、123、124、126、127、129、130、131、133、134、136、137、138、140、141、142、144、145、146、148、149、150、152、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、184、186、188、および189を含む。特定の実施形態において、光触媒組成物540は、1つまたは複数の光触媒組成物21、22、23、24、25、27、28、29、30、32、33、36、37、39、40、43、44、46、47、48、50、51、52、54、55、56、57、59、60、62、64、65、66、68、69、70、72、73、74、76、77、78、80、81、82、84、85、86、88、89、91、92、93、94、96、97、99、100、101、103、104、106、107、108、110、111、112、114、115、116、118、119、120、122、123、124、126、127、129、130、131、133、134、136、137、138、140、141、142、144、145、146、148、149、150、152、153、155、157、159、161、163、165、167、169、171、173、175、177、179、181、183、184、186、188、および189を含む。
【0316】
上記の光触媒組成物のいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のヒドロキシル基と反応させることによって、シリルエステル基を介して、光触媒をコーティング405の表面に化学的に結合させることができる。上に列挙した光触媒組成物のいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のアミノ基と反応させることによって、シリルアミド基を介して、光触媒をコーティング405の表面に化学的に結合させることができる。
【0317】
上に列挙したN-置換-2-ピリドンのいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のヒドロキシル基と反応させることによって、シリルエステル基を介して、N-置換-2-ピリドンをコーティング405の表面に化学的に結合させることができる。上に列挙されたN-置換-2-ピリドンのいずれか1つの上に配置されたペンダントシリルエステル基を、表面のアミノ基と反応させることによって、シリルアミド基を介して、N-置換-2-ピリドンをコーティング405の表面に化学的に結合させることができる。
【0318】
本発明の好ましい実施形態を詳細に例示してきたが、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、これら実施形態への修正および適合が、当業者に起こりうることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と、雰囲気酸素から一重項酸素を生成する光触媒とを含む織物であって、前記光触媒が前記表面に化学的に付加される織物。
【請求項2】
前記織物が、臭気に対して自己浄化する、請求項1に記載の織物。
【請求項3】
前記織物が、たばこの煙の臭気に対して自己浄化する、請求項2に記載の織物。
【請求項4】
一重項酸素と可逆的に反応することによって、エンドペルオキシドを形成する化合物をさらに含む、請求項1に記載の織物。
【請求項5】
前記化合物が、前記光触媒に化学的に付加される、請求項4に記載の織物。
【請求項6】
2つ以上の前記化合物が、前記光触媒に付加される、請求項4に記載の織物。
【請求項7】
前記光触媒が、シリルエステル結合を介して、前記表面に化学的に結合される、請求項1に記載の織物。
【請求項8】
前記化合物が、シリルエステル結合を介して、前記表面に化学的に結合される、請求項4に記載の織物。
【請求項9】
前記織物が、病原菌に対して自己浄化する、請求項1に記載の織物。
【請求項10】
好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌のそれぞれに対する、処理された織物の細菌レベルをさらに含む織物であって、前記光触媒を含まない織物は、好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌のそれぞれに対する、未処理の織物の細菌レベルを含み、
前記好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌のそれぞれに対する前記処理された織物細菌レベルが、前記好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌のそれぞれに対する前記未処理の織物の細菌レベルよりもそれぞれ低い、請求項9に記載の織物。
【請求項11】
織物を含む屋内付属品であって、前記織物が、表面と、前記表面に化学的に付加された雰囲気酸素から一重項酸素を生成する光触媒とを含む、屋内付属品。
【請求項12】
家具、クッション、枕、寝具類、カーテンおよび床仕上げ材からなる群から選択される、請求項11に記載の屋内付属品。
【請求項13】
前記織物が、臭気に対して自己浄化する、請求項12に記載の屋内付属品。
【請求項14】
前記織物が、たばこの煙の臭気に対して自己浄化する、請求項13に記載の屋内付属品。
【請求項15】
前記織物が、一重項酸素と可逆的に反応することによって、エンドペルオキシドを形成する化合物をさらに含む、請求項11に記載の屋内付属品。
【請求項16】
前記光触媒が、シリルエステル結合を介して、前記表面に化学的に結合している、請求項15に記載の屋内付属品。
【請求項17】
前記化合物が、シリルエステル結合を介して、前記織物に化学的に結合している、請求項16に記載の屋内付属品。
【請求項18】
前記織物が、病原菌に対して自己浄化する請求項11に記載の屋内付属品。
【請求項19】
前記織物が、好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌のそれぞれに対する、処理された織物の細菌レベルをさらに含む屋内付属品であって、前記光触媒を含まない織物は、好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌のそれぞれに対する、未処理の織物の細菌レベルを含み、
前記好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌のそれぞれに対する前記処理された織物の細菌レベルが、前記好気性、嫌気性、および芽胞形成性細菌のそれぞれに対する前記未処理の織物の細菌レベルよりもそれぞれ低い、請求項18に記載の屋内付属品。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−523507(P2012−523507A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504840(P2012−504840)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/030304
【国際公開番号】WO2010/118180
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511244159)
【出願人】(511244160)
【Fターム(参考)】