説明

雷撃表示装置

【課題】複数回の落雷を確実に表示することができる雷撃表示器を提供すること。
【解決手段】複数回の雷撃を表示できる長さを有する表示帯22と、表示帯22を格納する格納ドラム23と、表示帯22を所定長さ巻き取るとともに表示窓13に対向する位置に配置された巻取りドラム21とにより構成され、帯状バネ31とからなる蓄勢手段とを備え、駆動信号により蓄勢手段の畜力を少なくとも巻取りドラム21の表示領域が変更される程度に移動させるように開放させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電線等の鉄塔等に取り付けられ、雷撃の回数を容易に視認できる雷撃表示器に関する。
【背景技術】
【0002】
落雷による保守点検や、閃絡事故の復旧工事を効率的に行うために、特許文献1に見られるような各鉄塔には雷撃表示器が鉄塔に設置されている。
この表示器は、落雷が検知されたときに、係止ピンの係止を解き、自重と表示体受けの重量によって表示体受けを開方向に回動させ、表示体を外部に露出させて落雷を表示するように構成されている。
【特許文献1】特開2002-51450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、表示体が一個しか収容されていないので、2回目以降の落雷に対しては表示することができないという問題がある。このような問題に対しては同一の表示体を複数個ケースに収容することが考えられるが、大型化するという問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは複数回の落雷を確実に表示することができる雷撃表示器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような課題を達成するために本発明においては、雷撃検知対象物に取り付け可能なケースに、雷撃を表示する表示帯、及び雷撃を検出して駆動信号を出力する雷撃検出手段と、前記駆動信号により前記表示帯に表示動作を行わせる雷撃表示器において、前記ケースは表示窓を有し、また前記表示体が、複数回の雷撃を表示できる長さを有する表示帯と、前記表示帯を格納する保存ドラムと、前記表示帯を所定長さ巻き取るとともに前記表示窓に対向する位置に配置された巻取りドラムとにより構成され、さらに、前記駆動手段が、弾性体からなる蓄勢手段と、前記駆動信号により前記蓄勢手段の畜力を少なくとも前記巻取りドラムの表示領域が変更される程度に移動させるように開放させる制御機構とを備える。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば蓄勢手段に予め溜められている機械的エネルギを開放させて表示帯を所定量ずつ移動させるため、表示手段の駆動に電気エネルギが不要となり長期間に亘って多数回の雷撃をそれぞれの雷撃を区別して表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明の実施形態例を図面に基づき説明する。
図1、図2は本発明に係る雷撃表示器1の一実施例を示すものであり、また図3、図4は要部機構を示すために簡素化した構成図である。なお、後述する巻取り用のギヤードモータは、2つのドラム21、23の隙間に配置されているが、図3においては構造を簡素化して図示するためにはモータ34を下方に配置した状態で示されている。
雷撃を監視する対象物、例えば鉄塔などに固定する金具11を備えたケース12には後述する表示帯22を外部から容易に視認することができる表示窓13が形成されている。
【0007】
図2は背面側から見た構造を、また図3は側面から見た構造を示すものであって、表示窓13に対向する位置には表示ドラムを兼ねる巻取りドラム21が、また背面側には表示帯22を格納しておく格納ドラム23が平行に配置されている。
巻取りドラム21の回転軸21aの一端部、この実施例では下部側に帯状バネ31の付勢力を受けつつ回転する駆動用ドラム24が接続されている。帯状バネ31の他端側は蓄勢状態で収容する収容ドラム25に接続されている。なお、収容ドラム25は、伝達手段32を介してギヤードモータ34に接続され、また格納ドラム23は、その回転軸23aの下端側をクラッチ機構26を介してギヤードモータ34が接続されている。
【0008】
また巻取りドラム21は、ソレノイド35により駆動されて接離する爪36と共同するカム板37がその回転軸21aに結合されており、この爪36により回転が制御される。この爪36はソレノイド35が励磁された場合にはカム板37の凹部37a(図5)から離脱できる位置まで移動して駆動用ドラム24の拘束を開放するように構成されている。
【0009】
なお、この実施例ではカム板37の凹部37aを1箇所としているが、表示窓13の表示領域が切り替わる程度に回転させればよく、カム板37の凹部37aを等間隔に複数個所形成しても同様の作用を奏する。
【0010】
ケース12には落雷検知センサや、このセンサの落雷検出信号によって落雷表示動作を駆動制御する図示しない回路手段が収容されている。これらの落雷検知センサや落雷表示の駆動制御回路は周知であるので、その説明は省略する。また、回路手段やソレノイド35を駆動する電池14が収容され。この電池14は、外部に太陽電池を設置して常時を充電するように構成できる。
【0011】
この実施例において落雷検知センサにより雷撃が検出されると、ソレノイド35が励磁される。この励磁は、好ましくは爪36をカム板37の凹部37aから後退させるに足る移動量で、かつ爪36が凹部37aから離脱してカム板37の周面に移動するに足る時間のパルスであることが好ましい。これにより、爪36がカム板37の凹部37aから離脱し、カム板37が回動して爪36がカム板37の周面に当接し、以後凹部37aが爪36に対向するまで帯状バネ31の蓄勢力で回転する。
なお、今の状態ではクラッチ26によりモータ34や収容ドラム25との接続が断たれているので、表示帯22を巻き取る以外のエネルギの消費は可及的に防止されている。
【0012】
これにより巻取りドラム21は蓄勢手段3のトルクにより回動を開始して格納ドラム23の表示帯22を所定長さ分、この実施例では巻取りドラム21の一回転分を巻き取る。巻取りドラム21の回動に同期してカム板37が回動し、カム板37の段差部37aが爪36に対向した時点で爪36が段差部37aに落ち込んでカム板37を拘束する。
これにより巻取りドラム21の表面には新しいパターン、もしくは色が移動し、窓13から新しいパターンや色が表示されることになる。言うまでも無くこれらパターンや色と回数とを対応させておくことにより雷撃を受けた回数を容易に知ることができる。
【0013】
このように巻取りドラム21は、蓄勢手段に予め溜められている機械エネルギにより駆動されるため、可及的に大きなエネルギを要する表示帯22の駆動に電力がほとんど不要となるから、電池14の消耗を可及的に抑制することができる。
【0014】
以下、雷撃を検出する度に上記の動作を繰り返し、雷撃の都度、表示帯22の異なるパターン、もしくは色を表示窓13から露出させ、雷撃の回数を表示する。
【0015】
このようにして表示帯22の全領域が巻取りドラム21に巻き取られてしまうと、外部端子41に外部電源を接続してクラッチ26を作動させてギヤードモータ34と格納ドラム23を接続させ、ギヤードモータ34を駆動する。これにより巻取りドラム21に巻き上げられている表示帯22が格納ドラム23に巻き戻され、同時に蓄勢手段の帯状バネ31が巻き上げられて蓄勢される。
【0016】
なお、上述の実施例においては勢手段の帯状バネ31をモータ34により巻き上げるように構成されているが、駆動軸38に着脱可能なレバーにより回動するようにしても同様の作用を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の雷撃表示器の概観を示す斜視図である。
【図2】図(A)、(B)は、それぞれ同上雷撃表示器の一実施例を示す背面側から見た平面図、及び側面から見た平面図である。
【図3】同上雷撃表示器の主要機構部を側面から見た示す図である。
【図4】同上主要機構部の底面から見た図である。
【図5】同上装置のカム板の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 雷撃表示器 3 蓄勢手段 11 固定用金具 12 ケース 13 表示窓 21 巻取りドラム 22 表示帯 23 格納ドラム 31 帯状バネ 34 モータ 35 ソレノイド 36 爪 37 カム板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雷撃検知対象物に取り付け可能なケースに、雷撃を表示する表示帯、及び雷撃を検出して駆動信号を出力する雷撃検出手段と、前記駆動信号により前記表示帯に表示動作を行わせる雷撃表示器において、
前記ケースは表示窓を有し、
また前記表示体が、複数回の雷撃を表示できる長さを有する表示帯と、前記表示帯を格納する格納ドラムと、前記表示帯を所定長さ巻き取るとともに前記表示窓に対向する位置に配置された巻取りドラムとにより構成され、
さらに、前記駆動手段が、弾性体からなる蓄勢手段と、前記駆動信号により前記蓄勢手段の畜力を少なくとも前記巻取りドラムの表示領域が変更される程度に移動させるように開放させる制御機構とからなる雷撃表示装置。
【請求項2】
前記制御機構は、前記巻取りドラムの回転に連動し、かつ凹部を有するカム板と、前記凹部から離脱する爪と、前記爪を駆動する電磁駆動手段とから構成されている請求項1に記載の雷撃表示装置。
【請求項3】
前記駆動手段には外部からのエネルギにより回転する駆動手段が接続されている請求項1、又は請求項2のいずれかに記載の雷撃表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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