説明

電 池

【目的】 外部への液漏れの心配がなく、長期信頼性及び安全性が高く、しかも、小型であっても、高性能で、高エネルギー密度を有する電池を提供する。
【構成】 下記一般式(1)で示される高分子鎖を含有する三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体と電解質塩を溶媒に溶解し、活性放射線の照射及び/又は加熱によって架橋して得られる固体電解質を用いた電池。ただし、上記溶媒は、上記重合体に対し220〜950重量%の割合で使用される。


(式中、R'は炭素数1〜6のアルキル基、R"は水素又はメチル基を示す。m及びnはそれぞれ0または1以上の数を示し、m+n≧35である。)

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオン伝導性に優れた高分子固体電解質を用いた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】最近のマイクロエレクトロニクス化は、各種電子機器のメモリーバックアップ用電源に代表されるように、電池の電子機器内収納、エレクトロニクス素子および回路との一体化に伴って、電池の小型化、軽量化、薄型化とさらに高エネルギー密度を有する電池とが要望されている。1次電池の分野では、既にリチウム電池などの小型、軽量の電池が実用化されているが、その用途分野は限られたものである。そこで、従来の鉛電池、ニッケル−カドミウム電池に代わる電池として、より小型軽量化が可能な非水電解液を用いた二次電池が注目されているが、電極活物質のサイクル特性、自己放電特性などの実用物性を満足するものは見いだされていない。
【0003】そこで、本発明者等は、イオン伝導性高分子化合物薄膜を使用して、小型軽量で高エネルギー密度を有する薄型電池〔単位セル当たりの厚さが100〜500μm (シート状電池)〕を製造することを検討しているが、上記イオン伝導性高分子化合物を薄膜化して使用する場合に、それに充分匹敵する品質を有する薄膜状金属リチウムを作成することが技術的に多少困難なこと、電池の製造工程が複雑となることが問題となってきた。更に、二次電池として使用する場合、リチウムのデンドライトの生成および界面の不動態化と言った問題が原因で、金属リチウムの使用が制限されるといった問題も生じてきた。
【0004】そのため、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−スズ合金に代表されるリチウム金属含有合金の研究が盛んに行われている。しかしながら、リチウム−アルミニウム合金に代表されるように、これらの合金は合金の強度が低いため、充放電の繰り返しによって電極のわれや微細化を生じることからサイクル特性の向上にはなっていない。
【0005】また、他のリチウムのデンドライト生成を抑制する方法としては、電解質塩の選択、セパレータの改善などの検討が試みられており、セパレータに関しては従来から使用されているポリプロピレン製不織布、ガラス繊維製不織布などを積層することにより、リチウムデンドライトの抑制が試みられているが、本質的な解決には至っていない。
【0006】従って、現在多くの研究機関においては、電極活物質として層状化合物のインターカレーション、またはドーピング現象を利用したものについて特に研究されており、これらは、その充電・放電における電気化学反応の際に、理論的には複雑な化学反応を起こさないことから、極めて優れた充放電サイクル性能が期待される。
【0007】一方、従来、電気化学反応を利用した電池や電池以外の電気化学デバイス、すなわち電気二重層キャパシタ、エレクトロクロミック素子などの電解質としては、一般的に液体電解質、特に有機電解液にイオン性化合物を溶解したものが用いられてきたが、液体電解質は、部品外部への液漏れ、電極物質の溶出、揮発などが発生しやすいため、長期信頼性などの問題や、封口工程での電解液の飛散などが問題となった。
【0008】これら耐漏液性、長期保存性を改良するためには、高いイオン伝導性を有するイオン伝導性高分子化合物すなわち固体電解質を使用するのが好ましいが、従来のイオン伝導性高分子化合物の使用では、前述の如く、電池の製造工程の複雑化、金属リチウムの使用の制限等の問題があり、長期信頼性および安全性に優れ、しかも高性能、高エネルギー密度を有する小型軽量電池を提供することは困難であった。
【0009】例えば、この種の固体電解質としては、末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体鎖を有する三官能性の高分子、低分子アルキレンオキシド共重合体、ポリ塩化ビニル及び電解質塩などの組み合わせによる高分子固体電解質(特開平3−177409号公報)や、同じく末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体と無機イオン塩及びプロピレンカーボネート等の有機溶媒とを組み合わせた固体電解質(特開昭63−94501号公報)などが知られているが、これらは、容量的にも、機械強度的にも、問題があり、高エネルギー密度を有する小型軽量電池の製造を可能とするものではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、イオン伝導性高分子化合物を改良し、液漏れの心配が全くなく、長期信頼性および安全性に優れた、小型であっても、高性能、高エネルギー密度を有する電池を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決することを目指して鋭意検討の結果、高分子電解質として、ある特定数以上の単量体単位からなるアルキレンオキシド重合体鎖を有する三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体を用い、かつ、これに特定割合の範囲の溶媒及び電解質塩を加えて、光・電子などの活性放射線及び/又は加熱によって架橋することにより、機械的強度に優れると共に、従来の電解液に匹敵する電気伝導度を有し、溶媒のブリードアウトのない固体電解質が得られること、及びこれを電池の固体電解質に用いることにより優れた性能を有する電池が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0012】本発明の電池は、三官能性高分子化合物を、電解質塩と共に溶媒に溶解し、活性放射線の照射及び/又は加熱によって架橋して得られる固体電解質を使用するものであり、上記三官能性高分子化合物として、各々の官能性高分子鎖が一般式(1)で示される高分子鎖である三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体を使用し、かつ上記溶媒の使用量が該三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体に対し220〜950重量%であることに特徴を有するものである。
【0013】
【化2】


(式中、R'は炭素数1〜6のアルキル基、R"は水素又はメチル基を示す。mおよびnはそれぞれ0または1以上の数を示し、m+n≧35である。)
【0014】本発明において、上記固体電解質は、電極材料上に、上記重合体と電解質塩と溶媒からなる混合物(以下、固体電解質組成物と述べる)をコーティングし、活性放射線の照射及び/又は加熱によって架橋して、固体電解質層を形成した状態で使用されてもよいが、電極活性物質と一体化して、複合電極に構成して使用するのが好ましい。この場合、電解質層(セパレータ)及びカレントコレクターと接触する活性物質の実表面積を増加させることが可能となり、サイクル特性が向上した、高性能の電極を得ることができる。
【0015】代表的な電池の構成は、上記三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体を、電解質塩と溶媒と正極活物質と混合し、活性放射線の照射及び/又は加熱によって、架橋して得た正極活物質と一体化した固体電解質を複合正極とし、この正極と負極の間に、上記三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体と電解質塩と溶媒の混合物を、活性放射線の照射及び/又は加熱によって、架橋して得た固体電解質をセパレータとして存在させたものである。
【0016】上記三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体と電解質塩と溶媒を混合架橋して得た固体電解質(イオン伝導性高分子化合物)の層をセパレータとして使用することにより、負極周辺におけるリチウムのデンドライト生成を抑制することが可能となり、更に、機械的強度に優れ、熱的、電気化学的に安定なセパレータの提供が可能となる。
【0017】本発明の電池に使用する固体電解質の原料である「三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体」は、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン等の三個の活性水素を有する化合物を出発物質とし、これにアルキレンオキシド類を開環重合させて得た三官能性アルキレンオキシド重合体に、更にアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和有機酸をエステル化反応させるか、又はアクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリド等の酸クロリド類を脱塩酸反応させることによって得られる化合物であり、具体的には、例えば次式(2)で示される化合物が例示される。
【0018】
【化3】


(式中、Rは三官能性出発物質の残基、R'は炭素数1〜6のアルキル基、R"は水素又はメチル基を示す。mおよびnはそれぞれ0または1以上の数を示し、m+n≧35である。)
【0019】上記三官能性アルキレンオキシド重合体の合成に用いるアルキレンオキシド類としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン等を列挙できるが、とりわけエチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドが好ましい。また、その単量体単位数は、三官能性アルキレンオキシド重合体の各官能性高分子鎖、すなわちポリアルキレンオキシド鎖について35以上が必要である。単量体単位数が35未満である場合には、溶媒を該三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体に対し220重量%以上混合して架橋することが困難であり、架橋物の機械的物性が著しく劣ると共に、架橋物表面への溶媒のブリードアウトが激しい。
【0020】本発明の電池の固体電解質に用いる「溶媒」としては、該三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体に対し相溶性のあるものであれば、いずれも好適に使用できるが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン及び水からなる群から選ばれた一種又は二種以上を使用するのが好ましい。
【0021】上記溶媒の三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体に対する割合は、220〜950重量%であり、220重量%未満の場合には、得られる固体電解質の伝導度が低い。逆に950重量%を越えると、含浸物の機械的強度が著しく低下する。
【0022】本発明の電池の固体電解質に用いる「電解質塩」は、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、硝酸リチウム、チオシアン酸リチウム、過塩素酸リチウム、トリフロロメタンスルホン酸リチウム、四ホウフッ化リチウム、ビストリフロロメチルスルホニルイミドリチウム、トリストリフロロメチルスルホニルメチドリチウム、チオシアン酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、トリフロロメタンスルホン酸ナトリウム、四ホウフッ化ナトリウム、チオシアン酸カリウム、過塩素酸カリウム、トリフロロメタンスルホン酸カリウム、四ホウフッ化カリウム、チオシアン酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム及びトリフロロメタンスルホン酸マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、該電解質塩の使用量は、上記溶媒に対して1〜30重量%であるのが好ましい。
【0023】本発明の電池で使用する固体電解質は、三官能性末端アクロイル変性アルキレンオキシド重合体と電解質塩と溶媒を含む均一混合液を、ナイフコーター、バーコーター、グラビアコーター、スピンコーター等により、基材に均一に塗布した後、紫外線、可視光線、電子線等の高エネルギー電磁波の照射又は加熱により架橋させることにより得られる。上記混合液は、三官能性末端アクロイル変性アルキレンオキシド重合体に、予め電解質塩を溶解した溶媒を均一に混合する方法で製造しても、また、三官能性末端アクロイル変性アルキレンオキシド重合体に溶媒を均一に混合した後、電解質塩を溶解する方法で製造してもよい。
【0024】なお、この混合液には、必要に応じて、トリメチルシリルベンゾフェノン、ベンゾイン、2−メチルベンゾイン、4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、アントラキノン等の光重合開始剤や過酸化ベンゾイル、過酸化メチルエチルケトン等の重合開始剤を添加してもよい。
【0025】また、前述した如く、電極活性物質と一体化して複合電極に形成されるのが好ましいが、この場合、三官能性末端アクロイル変性アルキレンオキシド重合体と電解質塩と溶媒を含む均一混合液(固体電解質組成物)を電極活物質と混合し、活性放射線の照射及び/又は加熱によって、前記重合体を架橋するのよい。この際、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等のカーボン、金属粉末、導電性金属酸化物等の電子伝導性物質が併含されてもよい。
【0026】固体電解質組成物と電極活物質の配合割合は、電極活物質によって適当に選ばれればよいが、例えば、層状化合物のインターカレーションを利用した電池においては、電解質のイオン伝導度が最大となる付近が好ましく、またドーピング現象を利用する電池においては、充放電により、電解質中のイオン濃度が変化に対応する必要がある。
【0027】なお、本発明の電池では、固体電解質組成物(又はこれと電極活物質の配合物)を電極材料の表面に、コーティングして、架橋させ、電極表面に均一な固体電解質層(又は複合電極)を形成するのが好ましいが、この場合、公知のコーティング手段、例えば、ロールコーティング、ドクターブレードコーティング、スピンコーティング、バーコーティング、キャストコーティングなどがいずれも使用できる。
【0028】次に、本発明で複合正極に使用する正極活物質としては、次のような電池電極材料が挙げられる。例えば、CuO 、Cu2O、Ag2O、CuS 、CuSO4 などのI族金属化合物、TiS2、SiO2、SnO などのIV族金属化合物、V2O5、V6O12 、VOX 、Nb2O5 、Bi2O3 、Sb2O3 などのV族金属化合物、CrO3、Cr2O3 、MoO3、WO3 、SeO2などのVI族金属化合物、MnO2、Mn2O3 などのVII族金属化合物、Fe2O3 、FeO 、Fe3O4、Ni2O3 、NiO 、CoO3、CoO などのVIII族金属化合物、または、一般式LiX MX2、Lix MNY X 2 (M、N はIからVIII族の金属、X は酸素、硫黄などのカルコゲン化合物を示す)などで表される、例えば、リチウム−コバルト系複合酸化物あるいはリチウム−マンガン系複合酸化物などの金属化合物、さらに、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、ポリアセン系材料などの導電性高分子化合物、擬グラファイト構造炭素質材料などであるが、これらに限定されるものではない。
【0029】また、本発明の電池の負極に使用する負極活材料としては、金属リチウム、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−鉛、リチウム−スズ、リチウム−アルミニウム−スズ、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金等が一般に使用されるが、これらに限定されるものではなく、金属ナトリウム等のアルカリ金属又はその合金やポリアセチレン又はポリチオフェン等のカチオンドープが可能な導電性高分子等も使用できる。なお、これらは単独で使用されても2種以上併用されてもよい。
【0030】更に、固体電解質組成物と混合し、硬化して複合負極に形成される負極活物質としては、負極に使用する負極活性材料としれ例示したもの、及びカーボン等の炭素質材料が挙げられる。勿論これらに限られるものではなく、また、これらの負極活物質は単独で使用されても、2種以上併用されてもよい。上記炭素質材料としては、X線回折等による分析結果が、格子面間隔(d002) 3.35から3.40Åa軸方向の結晶子の大きさ La 200Å以上c軸方向の結晶子の大きさ Lc 200Å以上真密度 2.35から2.25g/cm3で、異方性のピッチを2000℃以上の温度で焼成した炭素粉末(平均粒子径15μm 以下)、あるいは炭素繊維であるのが好ましい。
【0031】なお、複合正極及び/又は複合負極を製造する際に、均一な混合分散液を得るために、分散剤と分散媒を添加してもよく、また、増粘剤、増量剤、粘着補助剤等を添加することも可能である。更に、正極集電板としては、アルミニウム、ステンレス、チタン、銅等の材質を使用するのが好ましく、また、負極集電板としては、ステンレス、鉄、ニッケル、銅等の材質を使用するのが好ましい。
【0032】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体の合成例〕
合成例1(化合物A−1)7リットル(以下、Lと記載する)のオートクレーブに、グリセリン(出発物質)92g、水酸化カリウム(触媒)9.5g及びエチレンオキシド4,700gを仕込み、130℃で5時間反応させた後、中和及び脱塩処理を行って、三官能性エチレンオキシド重合体4,610gを得た。このものの分子量は4,720(水酸基価より算出)であった。2Lの四つ口フラスコに、上記三官能性エチレンオキシド重合体944g(0.2モル)、アクリル酸65g(0.9モル)、トルエン500g、及び触媒として濃硫酸2gを仕込み、攪拌しつつ、還流下に水を溜去しながら10時間反応させた後、中和及び脱塩精製を行い、トルエンを溜去して目的の三官能性末端アクリロイル変性エチレンオキシド重合体を得た。このものの分子量は4,890(GPCより算出)であった。
【0033】合成例2(化合物A−2)7Lのオートクレーブに、グリセリン92g、水酸化カリウム15.0g、エチレンオキシド3,700g及びプロピレンオキシド1,240gを仕込み、115℃で7時間反応させた後、中和及び脱塩処理を行って、三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体4,990gを得た。このものの分子量は5,020(水酸基価より算出)であった。2Lの四つ口フラスコに、上記三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体1,004g(0.2モル)、アクリル酸65g(0.9モル)、トルエン500g、及び触媒として濃硫酸3gを仕込み、攪拌しつつ、還流下に水を溜去しながら10時間反応させた後、中和及び脱塩精製を行い、トルエンを溜去して目的の三官能性末端アクリロイル変性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体を得た。このものの分子量は5,180(GPCより算出)であった。
【0034】合成例3(化合物A−3)表1に示す如く、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの使用量を変化させた以外は、合成例2と同様の方法で、分子量7,290(GPCより算出)の三官能性末端アクリロイル変性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体を得た。
【0035】合成例4(化合物A−4)20Lのオートクレーブに、グリセリン92g、水酸化カリウム46g、エチレンオキシド7,950g及びプロピレンオキシド5,250gを仕込み、115℃で10時間反応させた後、中和及び脱塩処理を行って、三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体13,270gを得た。このものの分子量は13,260(水酸基価より算出)であった。3Lの四つ口フラスコに、上記三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体1,326g(0.1モル)、アクリル酸32.5g(0.45モル)、トルエン1000g、及び触媒としてパラトルエンスルホン酸10gを仕込み、攪拌しつつ、還流下に水を溜去しながら12時間反応させた後、中和及び脱塩精製を行い、トルエンを溜去して目的の三官能性末端アクリロイル変性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体を得た。このものの分子量は13,420(GPCより算出)であった。
【0036】合成例5(化合物A−5)20Lのオートクレーブに、グリセリン92g、水酸化カリウム51g、エチレンオキシド3,980g及びプロピレンオキシド10,500gを仕込み、115℃で12時間反応させた後、中和及び脱塩処理を行って、三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体14,500gを得た。このものの分子量は14,520(水酸基価より算出)であった。3Lの四つ口フラスコに、上記三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体1,452g(0.1モル)、アクリル酸32.5g(0.45モル)、トルエン1000g及び触媒としてパラトルエンスルホン酸10gを仕込み、攪拌、還流下に水を溜去しながら10時間反応させた後、中和及び脱塩精製を行い、トルエンを溜去して目的の三官能性末端アクリロイル変性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体を得た。このものの分子量は14,680(GPCより算出)であった。
【0037】合成例6(化合物A−6)30Lのオートクレーブに、トリメチロールプロパン(出発物質)134g、水酸化カリウム68g及びエチレンオキシド10,600gを仕込み、140℃で11時間反応させた。次いで、プロピレンオキシド8,800gを加え、110℃で更に15時間反応させた後、中和及び脱塩処理を行って、三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体19,500gを得た。このものの分子量は19,420(水酸基価より算出)であった。3Lの四つ口フラスコに、上記三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体1,942g(0.1モル)、メタクリル酸39g(0.45モル)、トルエン1,200g及び触媒としてパラトルエンスルホン酸20gを仕込み、攪拌、還流下に水を溜去しながら10時間反応させた後、中和及び脱塩精製を行い、トルエンを溜去して目的の三官能性末端メタクリロイル変性エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロック共重合体を得た。このものの分子量は19,630(GPCより算出)であった。
【0038】合成例7(化合物A−7)表1に示す如く、アルキレンオキシドとしてプロピレンオキシドを単独で使用した以外は、合成例2と同様の方法で、分子量8,970(GPCより算出)の三官能性末端アクリロイル変性プロピレンオキシド重合体を得た。
【0039】合成例8(化合物A−8)20Lのオートクレーブに、トリメチロールプロパン(出発物質)134g、水酸化カリウム48g及びブチレンオキシド11,900gを仕込み、120℃で18時間反応させた。次いで、中和及び脱塩処理を行って、三官能性ブチレンオキシド重合体12,000gを得た。このものの分子量は12,030(水酸基価より算出)であった。3Lの四つ口フラスコに、上記三官能性ブチレンオキシド重合体1,203g(0.1モル)、アクリル酸33g(0.46モル)、トルエン1,500g及び触媒としてパラトルエンスルホン酸30gを仕込み、攪拌、還流下に水を溜去しながら10時間反応させた後、中和及び脱塩精製を行い、トルエンを溜去して目的の三官能性末端アクリロイル変性ブチレンオキシド重合体を得た。このものの分子量は12,200(GPCより算出)であった。
【0040】合成例9(化合物A−9)表1に示す如く、アルキレンオキシドとしてエチレンオキシドとブチレンオキシドを使用した以外は、合成例2と同様の方法で、分子量7,700(GPCより算出)の三官能性末端アクリロイル変性エチレンオキシド−ブチレンオキシドランダム共重合体を得た。
【0041】合成例10(化合物A−10)10Lのオートクレーブに、グリセリン92g、水酸化カリウム24g、プロピレンオキシド6,970g及びブチレンオキシド1,100gを仕込み、110℃で15時間反応させた。反応終了後、中和及び脱塩処理を行って、三官能性プロピレンオキシド−ブチレンオキシドランダム共重合体8,100gを得た。このものの分子量は8,145(水酸基価より算出)であった。2Lの四つ口フラスコに、上記三官能性プロピレンオキシド−ブチレンオキシドランダム共重合体814.5g(0.1モル)、メタクリル酸39g(0.45モル)、トルエン1,000g及び触媒として硫酸5gを仕込み、攪拌、還流下に水を溜去しながら10時間反応させた後、中和及び脱塩精製を行い、トルエンを溜去して目的の三官能性末端メタクリロイル変性プロピレンオキシド−ブチレンオキシドランダム共重合体を得た。このものの分子量は8,360(GPCより算出)であった。
【0042】合成例11(化合物B−1:比較例)5Lのオートクレーブに、グリセリン92g、水酸化カリウム11g、エチレンオキシド2,640g及びプロピレンオキシド870gを仕込み、115℃で8時間反応させた。次いで、中和及び脱塩処理を行って、三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体3,580gを得た。このものの分子量は3,600(水酸基価より算出)であった。2Lの四つ口フラスコに、上記三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体720g(0.2モル)、アクリル酸65g(0.9モル)、トルエン1,000g及び触媒としてパラトルエンスルホン酸5gを仕込み、攪拌、還流下に水を溜去しながら10時間反応させた後、中和及び脱塩精製を行い、トルエンを溜去して目的の三官能性末端アクリロイル変性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体を得た。このものの分子量は3,760(GPCより算出)であった。
【0043】合成例12(化合物B−2:比較例)5Lのオートクレーブに、トリメチロールプロパン134g、水酸化カリウム5.4g、エチレンオキシド1,320g及びプロピレンオキシド350gを仕込み、115℃で5時間反応させた。次いで、中和及び脱塩処理を行って、三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体1,790gを得た。このものの分子量は1,800(水酸基価より算出)であった。3Lの四つ口フラスコに、上記三官能性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体900g(0.5モル)、アクリル酸162g(2.25モル)、トルエン1,000g及び触媒としてパラトルエンスルホン酸5gを仕込み、攪拌、還流下に水を溜去しながら10時間反応させた後、中和及び脱塩精製を行い、トルエンを溜去して目的の三官能性末端アクリロイル変性エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体を得た。このものの分子量は1,960(GPCより算出)であった。
【0044】合成例13(化合物B−3:比較例)10Lのオートクレーブに、グリセリン92g、水酸化カリウム20g、エチレンオキシド1,352g及びブチレンオキシド4,330gを仕込み、115℃で11時間反応させた。次いで、中和及び脱塩処理を行って、三官能性エチレンオキシド−ブチレンオキシドランダム共重合体5,730gを得た。このものの分子量は5,740(水酸基価より算出)であった。2Lの四つ口フラスコに、上記三官能性エチレンオキシド−ブチレンオキシドランダム共重合体574g(0.1モル)、メタクリル酸39g(0.45モル)、トルエン1,000g及び触媒として硫酸5gを仕込み、攪拌、還流下に水を溜去しながら10時間反応させた後、中和及び脱塩精製を行い、トルエンを溜去して目的の三官能性末端アクリロイル変性エチレンオキシド−ブチレンオキシドランダム共重合体を得た。このものの分子量は5,930(GPCより算出)であった。各合成例で得た三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体の構成を表1に示す。
【0045】
【表1】


【0046】〔正極活物質の合成例〕攪拌機、温度計、冷却管及び滴下漏斗を備えた1Lの四つ口フラスコに、アニリン20g、塩酸18ml及び水250mlを加えた。これを0℃に冷却した後、過硫酸アンモニウム49gを水120gに溶解した液を滴下漏斗より4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間攪拌した。その後、沈殿物を濾取し、洗液が中性になるまで水洗した後、更にエタノールを用いて洗液が透明になるまで洗浄した。この洗浄物を真空乾燥し、濃褐色の脱ドープポリアニリン10.2gを得た。この脱ドープポリアニリン10gをN−メチル−2−ピロリドン300gに溶かし、フェニルヒドラジン2gを加えて還元した。反応終了後、アセトンにて再沈殿させ、析出した固体を濾別後、アセトンで洗浄した後、乾燥して灰色の正極活物質(以下、「還元ポリアニリン」という)8.0gを得た。
【0047】〔電池の製作例〕
実施例1正極活物質として還元ポリアニリン8gを使用し、これに、三官能性末端アクリロイル変性エチレンオキシド重合体(化合物A−1)1重量部、プロピレンカーボネート4重量部及び過塩素酸リチウム0.4重量部からなる架橋前の固体電解質組成物2gとカーボンブラック(ケッチェンブラックEC600J)2gを加え、窒素雰囲気中にて、ボールミルを用いてよく粉砕、混合した後、厚さ20μm 、直径12mmのステンレススチール板上に流延し、エレクトロカーテン式電子線照射装置(出力200KV、照射線量5Mrad) を用いて架橋させ、厚さ30μm の正極を得た。この正極上に更に前記架橋前の固体電解質組成物をワイヤコータにて塗布し、前記と同様に電子線照射装置を用いて架橋を行い、厚さ50μm の固体電解質層を形成させた。次いで、以上の固体電解質層を金属リチウム(厚さ50μm 、直径12mm)と貼り合わせ、図2に示すフッ素樹脂製セル中に密閉して、新規リチウム電池を得た。測定の結果、本電池の開放電圧は3.4V、放電容量110mA h/g であった。因みに、この特性は液体の電解質を用いた既存のリチウム電池に匹敵する。
【0048】実施例2〜9及び比較例1、2架橋前の固体電解質の組成を表2の通りに変更した以外は、実施例1と全く同様にして電池を得た。得られた電池の特性を表2に示す。
【0049】
【表2】


【0050】比較例3化合物A−1の代わりに化合物B−1を使用した以外は、実施例1と全く同様の方法で正極を得ようと試みたが、架橋不十分であった。また、念のため、架橋前の固体電解質組成物単独で、架橋を試みたが、固体電解質とならず、電池を作成することができなかった。
【0051】比較例4化合物A−1の代わりに化合物B−2を使用し、プロピレンカーボネートの量を3重量部とした以外は、実施例1と全く同様の方法で正極を得ようと試みた。この場合も、比較例3と同様の結果となった。
【0052】比較例5化合物A−1の代わりに化合物B−3を使用し、プロピレンカーボネートの量を3重量部とした以外は、実施例1と全く同様の方法で電池を作成したが、セルからの液漏れが観察され、実用性ある電池を得ることはできなかった。
【0053】実施例10下記a)〜c)の手順にしたがって、本発明のシート状電池を作製した。
a)二酸化マンガン(正極活物質)とアセチレンブラック(導電剤)の85:15(重量比)混合物Xと、化合物A−3、過塩素酸リチウム、プロピレンカーボネート及びアゾビスイソブチロニトリルの10:1:25:0.05(重量比)混合物Yを準備し、これらの混合物を、乾燥不活性ガス雰囲気中、10:3(重量比)の割合で混合した。次いで、この混合物を、ステンレス鋼からなる正極集電板の表面に導電性カーボン被膜を形成した集電体上にキャストコーティングし、その後、乾燥不活性ガス雰囲気中、100℃で1時間放置することにより硬化させ、複合正極を得た。正極集電板上に形成した複合正極被膜の厚みは、60μm であった。
b)電池の負極活物質としてリチウム金属を用い、これをステンレス鋼からなる負極集電板上に圧着した。次に、上記リチウム金属上に、化合物A−3と過塩素酸リチウムとプロピレンカーボネートとアゾビスイソブチロニトリルの30:6:150:0.05(重量比)混合物を、キャストコーティングし、乾燥不活性ガス雰囲気中、100℃で1時間放置して、硬化させた。このようにして得た固体電解質層の厚みは、20μm であった。
c)b)で得た固体電解質/リチウム/負極集電板と、a)で得た正極集電板/複合正極を接触させることにより、図1のシート状電池を作製した。図1の1はステンレス鋼からなる正極集電板で、外装も兼ねており、2は本発明の固体電解質を用いた複合正極であり、3は本発明の固体電解質、4は金属リチウムからなる負極、5はステンレス鋼からなる負極集電板(外装も兼ねている)である。なお、6は変性ポリプロピレンからなる封口材である。
【0054】比較例6化合物A−1の代わりにポリエチレングリコールトリアクリレートを用いた以外は、実施例10と同様の方法でシート状電池を製造した。実施例10および比較例6のシート状電池の電極面積は、作製工程によって種々変更することが可能であるが、本実施例10および比較例6では、その電極面積を100cm2としたものを作製した。これらのシート状電池を25℃ 0.1mA/cm2で放電したときの初期放電特性および60℃100 日保存後の放電特性を調べた。図3はセル作製直後の放電特性(初期放電特性)、図4は60℃100 日保存後の放電特性を示したものである。図3および図4の結果から明らかなように、本発明の実施例10のシート状電池は比較例6のシート状電池と比較して、初期放電特性および60℃100 日保存後の放電特性が優れていることが認められる。
【0055】実施例11下記の手順にしたがって、シート状電池を作製した。
a)五酸化バナジウム(正極活物質)とアセチレンブラック(導電剤)の85:15(重量比)混合物Xと、化合物A−4、六フッ化ヒ酸リチウム、エチレンカーボネート及び2−メチルテトラヒドロフランの10:1:10:30(重量比)混合物Yを準備し、これらの混合物を、乾燥不活性ガス雰囲気中、10:3の重量比率で混合した。次いで、得られた混合物を、ステンレス鋼からなる正極集電板の表面に導電性カーボン被膜を形成した集電板上にキャストコーティングし、乾燥不活性ガス雰囲気中、100℃で1時間放置することにより硬化させた。正極集電板上に形成した複合正極被膜の厚みは、60μm であった。
b)電池の負極活物質としてリチウム金属を用い、これをステンレス鋼からなる負極集電板上に圧着した。次に、上記リチウム金属上に、化合物A−4、六フッ化ヒ酸リチウム、エチレンカーボネート及び2−メチルテトラヒドロフランの30:6:30:60(重量比)混合物を、キャストコーティングし、乾燥不活性ガス雰囲気中、100℃で1時間放置することにより硬化させた。このようにして得た固体電解質層の厚みは、20μm であった。
c)b)で得た固体電解質/リチウム/負極集電板と、a)でた正極集電板/複合正極を接触させることにより、実施例10と同様のシート状電池を得た。
【0056】比較例7化合物A−2の代わりにポリエチレングリコールトリアクリレートを使用した以外は実施例11と同様の方法でシート状電池を製造した。実施例11、比較例7のシート状電池の電極面積は、作製工程によって種々変更することが可能であるが、本実施例では、その電極面積を100cm2 としたものを作製した。このシート状電池を用いて、25℃で50μA/cm2 定電流の充放電サイクル試験を行った。なお、充電終止電圧3.2V、放電終止電圧2.0Vとして充放電サイクル試験を行った。図5に充放電サイクル数と電池容量の関係を示す。図5の結果から明らかなように、本発明の実施例11のシート状電池は比較例7のシート状電池と比較して、優れた充放電サイクル特性を示すことがわかる。
【0057】
【発明の効果】本発明の電池は、液体電解質を用いた場合に懸念される漏液がなく、しかも大きな電気容量と優れた機械的強度を備えているため、電子機器のバックアップ電源、時計用電源、カメラ用電源、ペースメーカー用電源などとして、信頼性よく使用できる。なお、本発明では、前述の如く特殊な固体電解質組成物を正極活物質と一体化して複合正極に形成して使用することにより、電解質層(セパレータ)及びカレントコレクターと接触する活性物質の実表面積が増加することとなり、極めて高性能な電極を得ることができる。また、電解質層(セパレータ)としても、上記固体電解質を使用することにより、リチウムのデンドライト生成を抑制することが可能で、機械的強度に優れ、熱的、電気化学的に安定な電解質層(セパレータ)を得ることができる。従って、電気化学的に最適な複合電極及び電解質の製造が可能となり、電池の製造工程の作業性の改良だけでなく、電池の性能の向上も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシート状電池の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の電池の特性を評価するための試験セルの概略図である。
【図3】実施例10及び比較例6で得たシート状電池の25℃、0.1mA/cm2で放電したときの初期放電特性を示すグラフである。
【図4】実施例10及び比較例6で得たシート状電池の25℃、0.1mA/cm2で放電したときの60℃、100日保存後の放電特性を示すグラフである。
【図5】実施例11及び比較例7で得たシート状電池の25℃充放電サイクル数と電池容量の関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1 正極集電板
2 複合正極
3 固体電解質
4 負極
5 負極集電板
6 封口材
11 集電体
12 正極
13 固体電解質
14 負極
15 集電体
16 正極リード線
17 負極リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 三官能性高分子化合物を電解質塩と溶媒と混合し、活性放射線の照射及び/又は加熱によって、架橋して得た固体電解質で、上記三官能性高分子化合物が各々の官能性高分子鎖として下記一般式(1)で示される高分子鎖を含有する三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体であり、かつ上記溶媒の使用割合が上記重合体に対し220〜950重量%であるものを使用したことを特徴とする電池。
【化1】


(ただし、R'は炭素数1〜6のアルキル基、R"は水素又はメチル基を示す。mおよびnはそれぞれ0または1以上の数を示し、m+n≧35である。)
【請求項2】 上記三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体を、電解質塩と溶媒と正極活物質と混合し、活性放射線の照射及び/又は加熱によって、架橋して得た正極活物質と一体化した固体電解質を複合正極とし、この正極と負極の間に、上記三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体と電解質塩と溶媒の混合物を、活性放射線の照射及び/又は加熱によって、架橋して得た固体電解質をセパレータとして存在させたことを特徴とする請求項1の電池。
【請求項3】 上記負極が、上記三官能性末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体と電解質塩と溶媒の混合物を、活性放射線の照射及び/又は加熱によって、架橋して得た固体電解質を含む複合負極であることを特徴とする請求項2の電池。
【請求項4】 上記複合正極及び/又は上記複合負極に電子伝導性物質が含まれることを特徴とする請求項2の電池。
【請求項5】 上記溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、ジオキソラン、スルホラン及び水からなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1の電池。
【請求項6】 上記電解質塩がフッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、硝酸リチウム、チオシアン酸リチウム、過塩素酸リチウム、トリフロロメタンスルホン酸リチウム、四ホウフッ化リチウム、ビストリフロロメチルスルホニルイミドリチウム、トリストリフロロメチルスルホニルメチドリチウム、チオシアン酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、トリフロロメタンスルホン酸ナトリウム、四ホウフッ化ナトリウム、チオシアン酸カリウム、過塩素酸カリウム、トリフロロメタンスルホン酸カリウム、四ホウフッ化カリウム、チオシアン酸マグネシウム、過塩素酸マグネシウム及びトリフロロメタンスルホン酸マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも一種である請求項1の電池。
【請求項7】 上記電解質塩が、上記溶媒に対して1〜35重量%の割合で使用される請求項1の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平7−6787
【公開日】平成7年(1995)1月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−26269
【出願日】平成5年(1993)1月20日
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【出願人】(000006688)株式会社ユアサコーポレーション (21)