説明

電 池

【課題】 充電要素の挿入作業が容易に行われるようにケースの構造が改善された電池を提供する。
【解決手段】 内部空間部及び開口を有する筒型ケース12と、前記ケース12の内部空間部に装着される充電要素11と、前記充電要素11が装着された前記ケース12の開口を密閉するキャップ13とを具備する電池において、前記ケース12は前記開口の断面積が前記内部空間部の底面の断面積より広く形成されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はケース内に充電要素が装着される電池に関し、特にケースの構造が改善された電池に関する。
【0002】
【従来の技術】各種電子製品に円筒型や四角筒型のケースを有する電池が広く用いられている。
【0003】図2は従来の一般的な構造を有する電池の分解斜視図である。
【0004】同図に示すように、従来の電池は、円筒型ケース2と、ケース2の内部に装着される充電要素1及びキャップ3を具備する。充電要素1は陽極活物質の塗布された陽極板1cと、陰極活物質の塗布された陰極板1aと、陽極板1cと陰極板1aを相互絶縁させる隔離板1bとを含んでいる。この陽極板1cと隔離板1b及び陰極板1aは順次積層された後、ロール状に巻かれてケース2内に装着される。そして、充電要素1が装着された状態で、キャップ3によりケース2の開口が密封される。
【0005】このように構成された電池を製作する過程において、充電要素1の充電容量を鑑みると、通常ケース2の内部空間に対する充電要素1の体積率は95%程度である。ところが、従来のケース2の内径は、高さにより一定に形成されるので、充電要素1をケース2に挿入しずらく、挿入される過程で充電要素1を過度に填め込む場合、極板1a,1cが壊れたり、活物質が離脱されるという問題点があった。そして、従来の電池の製作工程中、充電要素1をケース2に挿入する段階で発生する不良率が全製作工程中で大きな割合を占めていた。また、挿入作業が難しいので、工程時間も長くなるという問題点があった。
【0006】前記のような問題点を解決するため、充電要素1が円滑にケース2に挿入されるように、ロール状に積層された充電要素1の外郭周囲よりケースの内径を更に大きくすることが考えられる。ところが、積層された充電要素1の体積に比例して電池の充電容量が決定されるので、単にケース2の空間部の体積のみを増加させることは、小型に製作しながらも充電容量を向上させようとする要望に不向きである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のごとき従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、充電要素の挿入作業が容易に行われるようにケースの構造が改善された電池を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の電池は、内部空間部及び開口を有する筒型ケースと、前記ケースの内部空間部に装着される充電要素と、前記充電要素が装着された前記ケースの開口を密閉するキャップとを具備する電池において、前記ケースは前記開口の断面積が前記内部空間部の底面の断面積より大きいことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付した図面に基づき更に詳細に説明する。
【0010】図1を参照すると、本発明の実施形態による電池は、充電要素11と、充電要素11が充電されるケース12と、充電要素11を内蔵したケース12を密閉させるキャップ13とを含む。
【0011】充電要素11は従来のように陽極活物質が塗布された陽極板11cと、陰極活物質が塗布された陰極板11aと、陽極板11cと陰極板11aを相互絶縁させる隔離板11bとをロール状に積層及び巻取して形成される。
【0012】ケース12は充電要素11が充電される内部空間部の直径がケース12の底面から高さにより異なるように形成されている。望ましくは、前記ケース12の内径は底面から開口の方に一定な斜めで傾斜して、開口位置で最大となる。
【0013】また、充電要素11のケース12に対する体積率が低減されないように、ケース12底面の内径cは巻取された充電要素11の外径dと同一に保ち、底面からケース12の中間位置の内径bは底面の内径cより1〜2%程度大きく、開口位置の内径aは底面の内径cより2〜4%程度大きくする方が望ましい。
【0014】図1においては、ケース12は円筒型の外形構造で説明されたが、ケース12が四角形の外形構造を有する電池においても、前記円形の外形構造を有する電池と同様、ケース12の内部空間部の底面の断面積より開口側の断面積を大きくすることにより、充電要素11の挿入が容易になる。
【0015】従って、前記のような構造より形成されたケース12に充電要素11を挿入する際には、従来の問題点として指摘した挿入初期の難しさや活物質などの離脱を防止することができる。
【0016】ケース12の外形は必要に応じて任意に決定され得るが、電池の管理及び電池が採用される一般的な構造に鑑みて、その外形は同一な大きさを有することが望ましい。
【0017】なお、以上の説明では本発明をケース12の構造が改善された電池に対して適用した場合の実施形態について説明したが、本発明のケースは、積層巻取された二つの極板からなり、両極板の間に電解液、集電体などの物質が塗布又は挿入されている充電要素を含むキャパシターにも適用され得る。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により構造の改善されたケースが提供されることにより、ケース内部の体積に対する充電要素の体積率を減少させずに、充電要素の挿入が容易で組立不良率が低減された電池を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電池の部分断面図を含む分解斜視図。
【図2】従来の技術による電池の概略的な分解斜視図。
【符号の説明】
11 充電要素
12 ケース
13 キャップ
11a 陰極板
11b 隔離板
11c 陽極板
a 開口位置の内径
b 中間位置の内径
c 底面の内径
d 充電要素の外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部空間部及び開口を有する筒型ケースと、前記ケースの内部空間部に装着される充電要素と、前記充電要素が装着された前記ケースの開口を密閉するキャップとを具備する電池において、前記ケースは前記開口の断面積が前記内部空間部の底面の断面積より大きいことを特徴とする電池。
【請求項2】 前記内部空間部の壁が底面から前記開口の方に一定な斜めで傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】 前記ケースの外形の断面積が一定であることを特徴とする請求項1に記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平9−298050
【公開日】平成9年(1997)11月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−279108
【出願日】平成8年(1996)10月22日
【出願人】(590002817)三星電管株式會社 (2,784)