説明

電位依存性イオンチャネルの調整剤としてのビフェニル誘導体

イオンチャネル拮抗薬として有用なビフェニル誘導体が、本明細書に開示される。本発明の組成物は、は、急性、慢性、神経障害性若しくは炎症性の疼痛、関節炎、偏頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、疱疹性神経痛、全身性神経痛、てんかん若しくはてんかんの病態、神経変性疾患、不安及び抑うつ等の精神障害、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、失調症、多発性硬化症、過敏性腸症症候群、失禁症、内臓痛、変形性関節炎痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、腰痛、頭頚部痛、激痛若しくは難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後痛、又は癌性疼痛を含むがこれらに限定されない、種々の疾患、障害又は病態を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2005年10月12日に出願された米国仮特許出願第60/725,686号の、米国特許法§119の下での利益を主張する。米国仮特許出願第60/725,686号の全内容が、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、イオンチャネルの阻害剤として有用な化合物に関する。本発明は又、本発明の化合物を含む薬学的に許容される組成物、及び種々の障害の処置において前記組成物を使用する方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
Naチャネルは、ニューロン及び筋細胞等の全ての興奮性細胞において活動電位を生成するのに最も重要である。Naチャネルは、脳、胃腸管の平滑筋、骨格筋、抹消神経系、脊髄、及び気道を含めて、興奮性組織において枢要な役割を果たす。従って、Naチャネルは、てんかん(Moulard, B. and D. Bertrand (2002) 「Epilepsy and sodium channel blockers」 Expert Opin. Ther. Patents 12(1): 85−91を参照)、疼痛(Waxman, S. G., S. Dib−Hajj, et al. (1999) 「Sodium channels and pain」 Proc Natl Acad Sd U S A 96(14): 7635−9;及びWaxman, S. G., T. R. Cummins, et al. (2000) 「Voltage−gated sodium channels and the molecular pathogenesis of pain: a review」 J Rehabil Res Dev 37(5): 517−28を参照)、筋緊張症(Meola, G. and V. Sansone (2000) 「Therapy in myotonic disorders and in muscle channelopathies」 Neurol Sci 21(5): S953−61;及びMankodi, A. and C. A. Thornton (2002) 「Myotonic syndromes」 Curr Opin Neurol 15(5): 545−52を参照)、失調症(Meisler, M. H., J. A. Kearney, et al. (2002) 「Mutations of voltage− gated sodium channels in movement disorders and epilepsy」 Novartis Found Symp 241: 72− 81を参照)、多発性硬化症(Black, J. A., S. Dib−Hajj, et al. (2000) 「Sensory neuron−specific sodium channel SNS is abnormally expressed in the brains of mice with experimental allergic encephalomyelitis and humans with multiple sclerosis」 Proc Natl Acad Sci U S A 97(21): 11598−602;及びRenganathan, M., M. Gelderblom, et al. (2003) 「Expression of Na(v)1.8 sodium channels perturbs the firing patterns of cerebellar purkinje cells」 Brain Res 959(2): 235−42を参照)、過敏性腸症(Su, X., R. E. Wachtel, et al. (1999) 「Capsaicin sensitivity and voltage−gated sodium currents in colon sensory neurons from rat dorsal root ganglia」 Am J Physiol 277(6 Pt 1): Gl 180−8;及びLaird, J. M., V. Souslova, et al. (2002) 「Deficits in visceral pain and referred hyperalgesia in Navl.8 (SNS/PN3)− null mice」 J Neurosci 22(19): 8352−6を参照)、尿失禁及び内臓痛(Yoshimura, N., S. Seki, et al. (2001) 「The involvement of the tetrodotoxin−resistant sodium channel Na(v)1.8 (PN3/SNS) in a rat model of visceral pain」 J Neurosci 21(21): 8690−6を参照)、並びに不安及び抑うつ等の一連の神経機能障害(Hurley, S. C. (2002) 「Lamotrigine update and its use in mood disorders」 Ann Pharmacother 36(5): 860−73を参照)等、種々の疾患状態において枢要な役割を果たす。
【0004】
電位依存性Naチャネルは、9の異なるサブタイプ(NaV1.1〜NaV1.9)からなる遺伝子ファミリーを含む。表Aに示す通り、これらのサブタイプは、組織に特有の局在及び機能差を示す(Goldin, A. L. (2001) 「Resurgence of sodium channel research」 Annu Rev Physiol 63: 871−94を参照)。遺伝子ファミリーのこれらのメンバ(NaV1.8、1.9、1.5)は、周知のNaチャネル遮断剤TTXによる遮断に対して耐性であり、この遺伝子ファミリー内においてサブタイプ特異性を示す。突然変異分析が、TTX結合の必須残基としてグルタミン酸塩387を識別した(Noda, M., H. Suzuki, et al. (1989) 「A single point mutation confers tetrodotoxin and saxitoxin insensitivity on the sodium channel II」 FEBS Lett 259(1): 213−6を参照)。
【0005】
表A(略語:CNS=中枢神経系、PNS=抹消神経系、DRG=背根神経節、TG=三叉神経節):
【0006】
【化31】

【0007】
【化32】

一般的に、電位依存性ナトリウムチャネル(NaV)は、正常な疼痛及び異常な疼痛の感覚を構成して暗号化する電気信号を送信する活動電位を神経系の興奮性組織において迅速に上昇させることを開始する役割を担う。NaVチャネルの拮抗薬は、これらの疼痛信号を減衰させることができ、急性、慢性、炎症性、及び神経障害性の疼痛を含むがこれらに限定されない、種々の疼痛の病態を処置するのに有用である。TTX、リドカイン(Mao, J. and L. L. Chen (2000) 「Systemic lidocaine for neuropathic pain relief Pain 87(1): 7−17を参照)、ブピバカイン、フェニトイン(Jensen, T. S. (2002) 「Anticonvulsants in neuropathic pain: rationale and clinical evidence」 Eur J Pain 6 (Suppl A): 61−8を参照)、ラモトリジン(Rozen, T. D. (2001) 「Antiepileptic drugs in the management of cluster headache and trigeminal neuralgia」 Headache 41 Suppl 1: S25−32;及びJensen, T. S. (2002) 「Anticonvulsants in neuropathic pain: rationale and clinical evidence」 Eur J Pain 6 (Suppl A): 61−8を参照)、並びにカルバマゼピン(Backonja, M. M. (2002) 「Use of anticonvulsants for treatment of neuropathic pain」 Neurology 59(5 Suppl 2): S 14−7を参照)等、既知のNaV拮抗薬が、ヒト及び動物のモデルにおいて疼痛を減衰させるのに有用であることが示されている。
【0008】
組織の損傷又は炎症が存在する場合に発症する痛覚過敏(疼痛のあるものに対して極めて敏感であること)は、損傷部位に神経感応する高閾値1次求心性ニューロンの興奮性の増大を少なくとも部分的に反映する。電圧感受性ナトリウムチャネルの活性化は、ニューロン活動電位の生成及び伝達について決定的である。NaV電流の変調がニューロンの興奮性を制御するために使用される内因性機構であることを示す益々多くの証拠が示されている(Goldin, A. L. (2001) 「Resurgence of sodium channel research」 Annu Rev Phvsiol 63: 871−94を参照)。幾つかの運動的及び薬理学的に異なる電位依存性ナトリウムチャネルが、背根神経節(DRG)ニューロンにおいて見られる。TTX耐性電流は、ミクロモル濃度のテトロドトキシンに対して非感受性であり、他の電位依存性ナトリウムチャネルと比較して、緩慢な活性化及び不活性化の動態、並びにより脱分極された活性化閾値を示す。TTX耐性ナトリウム電流は、痛覚に含まれる可能性が高い感覚ニューロンの副集団に主に限定される。具体的には、TTX耐性ナトリウム電流は、小さい体細胞直径を有し、直径が小さく伝達が緩慢な軸索を生じ、且つカプサイシンに応答するニューロンにおいて、殆ど排他的に発現する。多くの実験証拠が、TTX耐性ナトリウムチャネルがCファイバ上に発現し、脊髄への侵害受容情報の送信において重要であることを実証する。
【0009】
TTX耐性ナトリウムチャネル(NaV1.8)の特異領域を標的とするアンチセンスオリゴ−デキシオヌクレオチドのクモ膜下投与により、PGE誘発痛覚過敏は著しく低下した(Khasar, S. G., M. S. Gold, et al. (1998) 「A tetrodotoxin−resistant sodium current mediates inflammatory pain in the rat」 Neurosci Lett 256(1): 17−20を参照)。より最近では、機能NaV1.8を欠如しているノックアウトマウス系統が、Wood等によって生成された。突然変異は、催炎物質カラゲナンに対する動物の応答を評価する試験において鎮痛効果を有する(Akopian, A. N., V. Souslova, et al. (1999) 「The tetrodotoxin−resistant sodium channel SNS has a specialized function in pain pathways」 Nat Neurosci 2(6): 541−8を参照)。更に、機械的受容及び熱的受容の両方の欠乏が、これらの動物において観測された。Nav1.8ノックアウト突然変異体によって示された無痛覚症は、痛覚におけるTTX耐性電流の役割についての観測と一貫する。
【0010】
免疫組織化学的in situハイブリダイゼーション及びin vitro電気生理現象の実験は全て、ナトリウムチャネルNaV1.8が背根神経節及び三叉神経節の小型感覚ニューロンに選択的に局在されることを示した(Akopian, A. N., L. Sivilotti, et al. (1996) 「A tetrodotoxin−resistant voltage−gated sodium channel expressed by sensory neurons」 Nature 379(6562): 257−62を参照)。これらのニューロンの主な役割は、侵害受容刺激の検出及び送信である。アンチセンス及び免疫組織化学的証拠も、神経障害性疼痛におけるNaV1.8の役割の裏付けとなる(Lai, J., M. S. Gold, et al. (2002) 「Inhibition of neuropathic pain by decreased expression of the tetrodotoxin−resistant sodium channel, NaVl.8」 Pain 95(1−2): 143−52;及びLai, J., J. C. Hunter, et al. (2000) 「Blockade of neuropathic pain by antisense targeting of tetrodotoxin− resistant sodium channels in sensory neurons」 Methods Enzvmol 314: 201−13を参照)。NaV1.8タンパク質は、神経損傷に隣接する非損傷Cファイバに沿って上方制御される。アンチセンス処置は、神経疼痛に沿ったNaV1.8の再分布を防止し、神経障害性疼痛を逆作用させる。遺伝子ノックアウト及びアンチセンスのデータは合わせて、炎症性疼痛及び神経障害疼痛の検出及び送信におけるNaV1.8の役割の裏付けとなる。
【0011】
神経障害性疼痛の状態では、Naチャネル分布及びサブタイプはリモデリングされる。損傷神経において、NaV1.8及びNaV1.9の発現は大きく減少するが、一方、TTX感受性サブユニットNaV1.3の発現は、5〜10倍に上方制御される(Dib−Hajj, S. D., J. Fjell, et al. (1999) 「Plasticity of sodium channel expression in DRG neurons in the chronic constriction injury model of neuropathic pain.」 Pain 83(3): 591−600を参照)。NaV1.3が増大する時間過程は、神経損傷に続く動物モデルにおける異痛症の発現と並行する。NaV1.3チャネルの生物物理学は、活動電位に続く不活性化後に非常に迅速な再刺激準備を示すという点で特徴的である。これにより、損傷神経においてしばしば見られるように、高いファイアリング率を維持することが可能になる(Cummins, T. R., F. Aglieco, et al. (2001) 「Navl.3 sodium channels: rapid repriming and slow closed−state inactivation display quantitative differences after expression in a mammalian cell line and in spinal sensory neurons」 J Neurosci 21(16): 5952−61を参照)。NaV1.3は、ヒトの中枢系及び抹消系において発現する。NaV1.9は、背根神経節及び三叉神経節の小型感覚ニューロンに選択的に局在するので、NaV1.8と同様である(Fang, X., L. Djouhri, et al. (2002). 「The presence and role of the tetrodotoxin−resistant sodium channel Na(v)1.9 (NaN) in nociceptive primary afferent neurons.」 J Neurosci 22(17): 7425−33を参照)。これは、活性化について緩慢な不活性化率及び左に変位した電圧依存性を示す(Dib−Hajj, S., J. A. Black, et al. (2002) 「NaN/Navl.9: a sodium channel with unique properties」 Trends Neurosci 25(5): 253−9を参照)。これらの2つの生物物理学的特性により、NaV1.9は、侵害受容ニューロンの静止膜電位を確立することにおいて役割を果たすことが可能になる。NaV1.9発現細胞の静止膜電位は、殆どの他の抹消ニューロン及び中枢ニューロンの−65mVと比較して、−55から−50mVの範囲にある。この持続的な脱分極は、主に、NaV1.9チャネルの低レベル活性化が維持されることによる。この脱分極により、ニューロンは、侵害受容刺激に応答して、ファイアリング活動電位の閾値により容易に到達することが可能になる。NaV1.9チャネルを遮断する化合物が、疼痛性刺激を検出する設定点を確立することにおいて重要な役割を果たすことが可能である。慢性疼痛状態では、神経及び神経末端は、膨潤して過敏になり、中等度の刺激で、又は更には刺激がない状態で、高周波数作用電位ファイアリングを示すことがある。これらの病的神経膨潤は、神経腫と呼ばれ、それらにおいて発現する主なNaチャネは、NaV1.8及びNaV1.7である(Kretschmer, T., L. T. Happel, et al. (2002) 「Accumulation of PNl and PN3 sodium channels in painful human neuroma− evidence from immunocytochemistry」 Acta Neurochir (Wien) 144(8): 803−10; discussion 810を参照)。NaV1.6及びNaV1.7は又、背根神経節ニューロンにおいても発現し、これらの細胞において見られる小型TTX感受性成分に寄与する。従って、特にNaV1.7は、神経内分泌興奮性における役割に加えて、潜在的な疼痛標的である可能性がある(Klugbauer, N., L. Lacinova, et al. (1995) 「Structure and functional expression of a new member of the tetrodotoxin− sensitive voltage−activated sodium channel family from human neuroendocrine cells」 Embo J 14(6): 1084−90を参照)。
【0012】
NaV1.1(Sugawara, T., E. Mazaki−Miyazaki, et al. (2001) 「Navl .1 mutations cause febrile seizures associated with afebrile partial seizures.」 Neurology 57(4): 703−5を参照)、及びNaV1.2(Sugawara, T., Y. Tsurubuchi, et al. (2001) 「A missense mutation of the Na+ channel alpha II subunit gene Na(v)1.2 in a patient with febrile and afebrile seizures causes channel dysfunction」 Proc Natl Acad Sci U S A 98(11): 6384−9を参照)は、熱性けいれんを含めててんかんの病態に関連付けられてきた。熱性けいれんに関連するNaV1.1には、9を超える遺伝子突然変異がある(Meisler, M. H., J. A. Kearney, et al. (2002) 「Mutations of voltage−gated sodium channels in movement disorders and epilepsy」 Novartis Found Symp 241: 72−81を参照)。
【0013】
NaVの拮抗薬が、心不整脈を処置するために開発され、使用されてきた。電流に対してより大きな非不活性化成分を生成するNaV1.5の遺伝子欠陥は、ヒトの長期QTに関連付けられ、この病態を処置するために、経口的に利用可能な局所麻酔性メキシレチンが使用されてきた(Wang, D. W., K. Yazawa, et al. (1997) 「Pharmacological targeting of long QT mutant sodium channels.」 J Clin Invest 99(7): 1714− 20を参照)。
【0014】
幾つかのNaチャネル遮断剤が、てんかん(Moulard, B. and D. Bertrand (2002) 「Epilepsy and sodium channel blockers」 Expert Opin. Ther. Patents 12(1): 85−91を参照)、急性疼痛(Wiffen. P., S. Collins, et al. (2000) 「Anticonvulsant drugs for acute and chronic pain」 Cochrane Database Syst Rev 3を参照)、慢性疼痛(Wiffen, P., S. Collins, et al. (2000) 「Anticonvulsant drugs for acute and chronic pain」 Cochrane Database Syst Rev 3, and Guay, D. R. (2001) 「Adjunctive agents in the management of chronic pain」 Pharmacotherapy 21(9): 1070−81を参照)、炎症性疼痛(Gold, M. S. (1999) 「Tetrodotoxin−resistant Na+ currents and inflammatory hyperalgesia.」 Proc Natl Acad Sci U S A 96(14): 7645−9を参照)、並びに神経障害性疼痛(Strichartz, G. R., Z. Zhou, et al. (2002) 「Therapeutic concentrations of local anaesthetics unveil the potential role of sodium channels in neuropathic pain」 Novartis Found Svmp 241: 189−201;及びSandner−Kiesling, A., G. Rumpold Seitlinger, et al. (2002) 「Lamotrigine monotherapy for control of neuralgia after nerve section」 Acta Anaesthesiol Scand 46(10): 1261−4を参照)、心不整脈(An, R. H., R. Bangalore, et al. (1996) 「Lidocaine block of LQT−3 mutant human Na+ channels」 Circ Res 79(1): 103−8;及びWang, D. W., K. Yazawa, et al. (1997) 「Pharmacological targeting of long QT mutant sodium channels」 J Clin Invest 99(7): 1714−20を参照)を処置するために、神経保護について(Taylor, C. P. and L. S. Narasimhan (1997) 「Sodium channels and therapy of central nervous system diseases」 Adv Pharmacol 39: 47−98を参照)、及び麻酔薬として(Strichartz, G. R., Z. Zhou, et al. (2002) 「Therapeutic concentrations of local anaesthetics unveil the potential role of sodium channels in neuropathic pain.」 Novartis Found Svmp 241: 189−201を参照)、臨床において現在使用され、又は試験されている。
【0015】
臨床的な有意性を有する種々の動物モデルが、幾つかの異なる疼痛適応症についてナトリウムチャネル変調物質を研究するために開発されてきた。例えば、悪性慢性疼痛(Kohase, H., et al., Acta Anaesthesiol Scand. 2004; 48(3):382−3を参照)、大腿骨癌疼痛(Kohase, H., et al., Acta Anaesthesiol Scand. 2004; 48(3):382−3を参照)、非悪性慢性骨痛(Ciocon, J. O. et al., J Am Geriatr Soc. 1994; 42(6):593−6を参照)、リウマチ性関節炎(Calvino, B. et al., Behav Brain Res. 1987; 24(l):ll−29を参照)、変形性関節炎(Guzman, R. E., et al., Toxicol Pathol. 2003; 31(6):619−24を参照)、脊椎管狭窄症(Takenobu, Y. et al., J Neurosci Methods. 2001; 104(2): 191−8を参照)、神経障害腰痛(Hines, R., et al., Pain Med. 2002; 3(4):361−5; Massie, J. B., et al., J Neurosci Methods. 2004; 137(2):283−9を参照)、筋膜疼痛症候群(Dalpiaz & Dodds, J Pain Palliat Care Pharmacother. 2002; 16(l):99−104; Sluka KA et al., Muscle Nerve. 2001; 24(l):37−46を参照)、線維筋痛症(Bennet & Tai, Int J Clin Pharmacol Res. 1995;15(3):115−9を参照)、顎関節疼痛(Ime H, Ren K, Brain Res MoI Brain Res. 1999; 67(1):87− 97を参照)、腹部を含む慢性内臓痛(Al−Chaer, E. D., et al., Gastroenterology. 2000; 119(5): 1276−85を参照)、骨盤/会陰痛(Wesselmann et al., Neurosci Lett. 1998; 246(2):73−6を参照)、膵臓性(Vera−Portocarrero, L. B., et al., Anesthesiology. 2003; 98(2):474− 84を参照)、IBS疼痛(Verne, G. N., et al., Pain. 2003; 105(l−2):223−30; La JH et al., World Gastroenterol. 2003; 9(12):2791−5を参照)、慢性頭痛(Willimas & Stark, Cephalalgia. 2003; 23(10):963−71を参照)、偏頭痛(Yamamura, H., et al., J Neurophysiol. 1999; 81(2):479−93を参照)、群発性頭痛を含む緊張性頭痛(Costa, A., et al., Cephalalgia. 2000; 20(2):85−91を参照)、ヘルペス後神経痛を含む慢性神経障害性疼痛(Attal, N., et al., Neurology. 2004; 62(2):218−25; Kim & Chung 1992, Pain 50:355を参照)、糖尿病性神経障害(Beidoun A et al., Clin J Pain. 2004; 20(3): 174−8; Courteix, C, et al., Pain. 1993; 53(l):81−8を参照)、HIV関連神経障害(Portegies & Rosenberg, Ned Tijdschr Geneeskd. 2001; 145(15):731−5; Joseph EK et al., Pain. 2004; 107(1−2): 147−58; Oh, S. B., et al., J Neurosci. 2001; 21(14):5027−35を参照)、三叉神経痛(Sato, J., et al., Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 2004; 97(1): 18−22; Imamura Y et al., Exp Brain Res. 1997; 116(l):97−103を参照)、シャルコー−マリー−ツース神経障害(Sereda, M., et al., Neuron. 1996; 16(5): 1049−60を参照)、遺伝性感覚性神経障害(Lee, M. J., et al., Hum MoI Genet. 2003; 12(15): 1917−25を参照)、抹消神経損傷(Attal, N., et al., Neurology. 2004; 62(2):218−25; Kim & Chung 1992, Pain 50:355; Bennett & Xie, 1988, Pain 33:87; Decostered, I. & Woolf, C. J., 2000, Pain 87:149; Shir, Y. & Seltzer, Z. 1990; Neurosci Lett 115:62を参照)、疼痛性神経腫(Nahabedian & Johnson, Ann Plast Surg. 2001; 46(1): 15−22; Devor & Raber, Behav Neural Biol. 1983; 37(2):276−83を参照)、異所性近位及び遠位放出(Liu, X. et al., Brain Res. 2001; 900(1): 119−27を参照)、神経根障害(Devers & Galer, (Clin J Pain. 2000; 16(3):205−8; Hayashi N et al., Spine. 1998; 23(8):877−85を参照)、化学療法誘発神経障害性疼痛(Aley, K. O., et al., Neuroscience. 1996; 73(l):259−65を参照)、放射線療法誘発神経障害性疼痛;乳房摘出後疼痛(Devers & Galer, Clin J Pain. 2000; 16(3):205−8を参照)、中枢性疼痛(Cahana, A., et al., Anesth Analg. 2004; 98(6): 1581−4を参照)、脊髄損傷痛(Hains, B. C, et al., Exp Neurol. 2000; 164(2):426−37を参照)、発作後疼痛;視床痛(LaBuda, C. J., et al., Neurosci Lett. 2000; 290(l):79−83を参照)、複合局所疼痛症候群(Wallace, M. S., et al., Anesthesiology. 2000; 92(l):75−83; Xantos D et al., J Pain. 2004; 5(3 Suppl 2):S1を参照)、幻想痛(Weber, W. E., Ned Tijdschr Geneeskd. 2001; 145(17):813−7; Levitt & Heyback, Pain. 1981; 10(l):67−73を参照)、難治性疼痛(Yokoyama, M., et al., Can J Anaesth. 2002; 49(8): 810−3を参照)、急性疼痛;急性術後疼痛(Koppert, W., et al., Anesth Analg. 2004; 98(4):1050−5; Brennan, T. J., et al., Pain. 1996; 64(3):493−501を参照)、急性筋骨格痛;関節痛(Gotoh, S., et al., Ann Rheum Dis. 1993; 52(ll):817−22を参照)、機械的腰痛(Kehl, L. J., et al., Pain. 2000; 85(3):333− 43を参照)、頚部痛;腱炎;損傷/運動痛(Sesay, M., et al., Can J Anaesth. 2002; 49(2): 137−43を参照)、腹痛を含む急性内臓痛;腎盂腎炎;虫垂炎;胆嚢炎;腸閉塞症;ヘルニア等(Giambernardino, M. A., et al., Pain. 1995; 61(3):459−69を参照)、心臓痛を含む胸部痛(Vergona, R. A., et al., Life Sci. 1984; 35(18):1877−84を参照)、陣痛を含む骨盤痛、腎臓仙痛、急性閉塞性疼痛(Segal, S., et al., Anesth Analg. 1998; 87(4):864−9を参照)、帝王切開痛;急性炎症性、熱傷、及び外傷性疼痛;子宮内膜症を含む急性間欠痛(Cason, A. M., et al.,Horm Behav. 2003; 44(2): 123−31を参照)、急性ヘルペス帯状疱疹痛;鎌状赤血球性貧血;急性膵臓炎(Toma, H; Gastroenterology. 2000; 119(5): 1373−81を参照)、破綻痛;副鼻腔炎痛、歯痛を含む口腔顔面痛(Nusstein, J., et al., J Endod. 1998; 24(7):487−91; Chidiac, J. J., et al., Eur J Pain. 2002; 6(l):55−67を参照)、多発性硬化症(MS)疼痛(Sakurai & Kanazawa, J Neurol Sci. 1999; 162(2): 162−8を参照)、抑うつにおける疼痛(Greene B, Curr Med Res Opin. 2003; 19(4):272−7を参照)、らい病痛;ベーチェット病痛;有痛脂肪症(Devillers & Oranje, Clin Exp Dermatol. 1999; 24(3):240−lを参照)、静脈炎痛;ギラン−バレー痛;疼痛性肢及び移動趾;ハグルンド症候群;肢端紅痛症痛(Legroux−Crespel, E., et al., Ann Dermatol Venereol. 2003; 130(4):429−33を参照)、ファブリー病痛(Germain, D. P., J Soc Biol. 2002;196(2):183−90を参照)、尿失禁を含む膀胱及び尿道疾患(Berggren, T., et al., J Urol. 1993; 150(5 Pt 1): 1540−3を参照)、機能亢進性膀胱(Chuang, Y. C, et al., Urology. 2003; 61(3): 664−70を参照)、疼痛性膀胱症候群(Yoshimura, N., et al., J Neurosci. 2001; 21(21):8690−6を参照)、間質性膀胱炎(IC)(Giannakopoulos& Campilomatos, Arch Ital Urol Nefrol Androl. 1992; 64(4):337−9; Boucher, M., et al., J Urol. 2000; 164(l):203−8を参照)、及び前立腺炎(Mayersak, J. S., Int Surg. 1998; 83(4):347−9; Keith, I. M., et al., J Urol. 2001; 166(l):323−8を参照)である。
【0016】
電位依存性カルシウムチャネルは、膜にわたる複数サブユニットのタンパク質であり、膜の脱分極に応答して開き、Caが細胞外環境から流入することを可能にする。カルシウムチャネルは、当初、チャネルが開放される時間及び電圧依存性、並びに薬理学的遮断に対する感受性に基づいて分類された。カテゴリーは、低電圧活性化(主にT型)及び高電圧活性化(L、N、P、Q、又はR型)であった。この分類方式は、表Bに概述されるように、分子のサブユニット組成に基づく命名によって取って代わられた(Hockerman GH, Peterson BZ, Johnson BD, Catterall WA. 1997. Annu Rev Pharmacol Toxicol 37: 361−96; Striessnig J. 1999. Cell Physiol Biochem 9: 242−69)。カルシウムチャネルを作成する4つの主要なサブユニットタイプ、即ちα、αδ、β、及びγが存在する(例えば、De Waard et al. Structural and functional diversity of voltage−activated calcium channels. In Ion Channels, (ed. T. Narahashi) 41−87, (Plenum Press, New York, 1996)を参照)。αサブユニットは、薬理学的特性の1次決定因子であり、チャネル孔及び電圧センサーを含む(Hockerman et al., 1997; Striessnig, 1999)。αサブユニットの10のアイソフォームが、以下の表Iに示す通り既知である。αδサブユニットは、主に細胞外にある2つの2硫化物連結サブユニットα、及び膜内外δサブユニットからなる。αδの4つのアイソフォーム、αδ−1、αδ−2、αδ−3、及びαδ−4が既知である。βサブユニットは、αサブユニットに結合する非グルコシル化細胞質タンパク質である。4つのアイソフォームが既知であり、βからβと呼ばれる。γサブユニットは、Calチャネル及びCa2チャネルの成分として生化学的に隔離された膜内外タンパク質である。少なくとも8のアイソフォーム(γ〜γ)が既知である(Kang MG, Campbell KP. 2003. J Biol Chem 278: 21315−8)。電位依存性カルシウムチャネルの命名は、表Iに示す通り、αサブユニットの内容に基づく。αサブユニットの各型は、各Ca型がサブユニットの多くの異なる組み合わせに対応するように、種々のβ、αδ、又はγサブユニットを関連付けることができる。
【0017】
【化33】

Ca2電流は、殆ど排他的に中枢神経系及び抹消神経系並びに神経内分泌細胞において見られ、シナプス前電位依存性カルシウム電流の主形態を形成する。シナプス前活動電位により、チャネルは開き、神経伝達物質の放出は、その後のカルシウムの流入に急速に依存する。従って、Ca2チャネルは、神経伝達物質の放出の介在について中心的な役割を果たす。
【0018】
Ca2.1及びCa2.2は、それぞれペプチドトキシンω−コノトキシン−MVIIC及びω−コノトキシン−GVIAについて高親和性の結合部位を含み、これらのペプチドは、各チャネル型の分布及び機能を決定するために使用されてきた。Ca2.2は、背根神経節からのニューロン並びに後角のラミナI及びIIのニューロンのシナプス前神経末端において多く発現する(Westenbroek RE, Hoskins L, Catterall WA. 1998. J Neurosci 18: 6319−30; Cizkova D, Marsala J, Lukacova N, Marsala M, Jergova S, et al. 2002. Exp Brain Res 147: 456−63)。Ca2.2チャネルは又、脊髄の第2介在ニューロンと第3介在ニューロンの間のシナプス前末端においても見られる。神経伝達部位の両方とも、疼痛の情報を脳に中継することにおいて非常に重要である。
【0019】
疼痛は、急性、炎症性、及び神経障害性の3つの異なるタイプに大まかに分類することができる。急性の疼痛は、組織の損傷をもたらすことがある刺激から臓器を安全に維持することにおいて、重要な保護機能を果たす。深刻な熱的、機械的、又は化学的な入力が、注意されない場合に臓器に対して深刻な損傷を生じる可能性を有する。急性の疼痛は、個人を損傷的環境から迅速に取り除くように作用する。急性の疼痛は、まさにその性質によって一般に継続時間が短く、且つ強い。一方、炎症性の疼痛は、遥かにより長い時間期間継続する可能性があり、その強度は、より段階的である。炎症は、組織の損傷、自己免疫応答、及び病原体の侵入を含めて、多くの理由により起きる可能性がある。炎症性の疼痛は、物質P、ヒスタミン、酸、プロスタグランジン、ブラジキニン、CGRP、サイトカイン、ATP、及び神経伝達物質の放出からなる「炎症スープ」によって介在される。第3クラスの疼痛は、神経障害性であり、神経の損傷を含み、これにより、長年にわたり慢性の疼痛を生成することがある病理学的「感作」状態をもたらすニューロンタンパク質及びニューロン回路を再構成することになる。この種類の疼痛は、順応的利益を提供せず、既存の治療法で処置するのは特に困難である。
【0020】
疼痛、特に神経障害性及び難治性の疼痛は、まだ対処されていない医療上の大きな課題である。数百万の個人が、現在の療法によって十分には制御されない深刻な疼痛に苦しんでいる。疼痛を処置するために使用される現在の薬剤には、NSAIDS、COX2阻害剤、オピオイド、3環系抗うつ薬、及び抗けいれん薬がある。神経障害性の疼痛は、高投与量に到達するまでオピオイドに十分反応しないので、特に処置が困難である。ガバペンチンは、現在、神経障害性の疼痛を処置する有益な療法であるが、中等度の効能を示す患者のわずかに60%においてのみ作用する。しかし、この薬剤は、非常に安全であり、より高い投与量における鎮静が課題であるが、副作用はほぼ許容可能である。
【0021】
神経障害性の疼痛を処置する標的としてCa2.2を確認することは、このチャネルの選択的ペプチド遮断剤であるジコノチド(ω−コノトキシン−MVIIAとしても知られる)での研究によって提供される(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。ヒトでは、ジコニチドのクモ膜下注入が、難治性疼痛、癌疼痛、オピオイド耐性疼痛、及び神経障害性疼痛を処置するのに有効である。毒素は、モルヒネより優れた効力で、ヒトの疼痛の処置について85%の成功率を有する。経口的に利用可能なCa2.2の拮抗薬が、クモ膜下注入を必要とせずに、同様の効能を有するはずである。Ca2.1及びCa2.3は又、侵害受容経路のニューロンにも存在し、これらのチャネルの拮抗薬は、疼痛を処置するために使用することができる。
【0022】
Ca2.1、Ca2.2、又はCa2.3の拮抗薬は又、過剰なカルシウムの流入を明らかに含む中枢神経系の他の病理を処置するのにも有用なはずである。脳虚血及び発作は、ニューロンの脱分極による過剰なカルシウムの流入に関連する。Ca2.2拮抗薬ジコノチドは、実験動物を使用する局所虚血モデルにおいて梗塞のサイズを低減するのに有効であり、発作を処置するためにCa2.2拮抗薬を使用することができることを示唆する。同様に、ニューロンへの過剰なカルシウムの流入を低減することは、てんかん、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、多発梗塞痴呆及び他のクラスの痴呆、筋萎縮性側索硬化症、健忘症、或いは毒物又は他の毒性物質によって生じるニューロン損傷を処置するのに有用である可能性がある。
【0023】
Ca2.2は又、交感神経系のニューロンからの神経伝達物質の放出を介在し、拮抗薬は、高血圧、心不整脈、狭心症、心筋梗塞、及びうっ血性心不全等の心臓病を処置するために使用することができる。
【0024】
残念ながら、上述の通り、上記で記述された病状について現在使用されているナトリウムチャネル遮断剤及びカルシウムチャネル遮断剤の効能は、幾つかの副作用によって大きく限定されてきた。これらの副作用には、視力障害、めまい、吐き気、鎮静、並びにより潜在的には生命を脅かす心不整脈及び心不全等、種々のCNS障害がある。従って、更なるNaチャネル及びCaチャネル拮抗薬、好ましくはより高い効能及びより少ない副作用を有するものを開発することが依然として必要である。
【非特許文献1】Bowersox SS, Gadbois T, Singh T, Pettus M, Wang YX, Luther RR. 1996. J Pharmacol Exp Ther 219: 1243−9
【非特許文献2】Jain KK. 2000. Exp. Opin. Invest. Drugs 9: 2403−10
【非特許文献3】Vanegas H, Schaible H.2000. Pain 85: 9−18
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0025】
(発明の要旨)
本発明の化合物、及びその薬学的に許容される塩が、電位依存性ナトリウムチャネル及びカルシウムチャネルの阻害剤として有用であることが、現在判明している。これらの化合物は、以下の一般化学式I:
【0026】
【化34】

又はその薬学的に許容される塩を有する。
【0027】
これらの化合物及び薬学的に許容される組成物は、急性、慢性、神経障害性若しくは炎症性の疼痛、関節炎、偏頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、疱疹性神経痛、全身性神経痛、てんかん若しくはてんかんの病態、神経変性疾患、不安及び抑うつ等の精神障害、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、失調症、多発性硬化症、過敏性腸症症候群、失禁症、内臓痛、変形性関節炎痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、腰痛、頭頚部痛、激痛若しくは難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後痛、又は癌性疼痛を含むがこれらに限定されない、種々の疾患、障害又は病態を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減するのに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
一実施形態において、本発明は、電位依存性ナトリウムチャネル及びカルシウムチャネルの阻害剤として有用な以下の化学式Iの化合物であって:
【0029】
【化35】

式中、
環Zが、O、S、N及びNHから選択される少なくとも1つの環ヘテロ原子を有する5〜7員の不飽和環又は芳香族環であって、Zが、R、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換され、
前記SO基が、第1炭素又は第2炭素の何れかに結合し、
NR−C(O)−Q−Rが、第3’炭素又は第4’炭素の何れかに結合し、
式中、第3’炭素を含むフェニル環が、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OR、SR、S(O)R、SO、NH、N(R、COOR、及びC1−C6の直鎖又は分枝鎖のアルキリジン鎖から選択される最高4個の置換基で場合により置換され、前記アルキリジンの最高2個の非隣接メチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、又は−NRSONR−によって場合により且つ独立して置き換えられ、
Qが、結合、又はC1−C6の直鎖若しくは分枝鎖のアルキリジン鎖であって、Qの最高2個の非隣接メチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、−NRSONR−、又はスピロシクロアルキレン部分によって場合により独立して置き換えられ、
が、C1−6脂肪族基、O、S、N及びNHから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、又は完全不飽和の単環式環、並びにO、S、N及びNHから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、又は完全不飽和の2環式環系であり、
式中、Rが、R、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換され、
が、オキソ、=NN(R、=NN(R、=NN(R)、R、又は(CH−Yであり、
nが0、1又は2であり、
Yが、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COOR、又はORであるか、或いは、
隣接する環原子上の2つのRが一緒になって、1,2−メチレンジオキシ又は1,2−エチレンジオキシを形成し、
が、水素又はC1−C6脂肪族であって、各Rが、R、R及びRから独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換され、
が、R、R、R及びRから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、
が、
【0030】
【化36】

であり、
が、最高3個のR置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、
が、H又はC1−C6脂肪族であって、Rが、R置換基で場合により置換され、
が、C3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、各Rが、H、C1−C6脂肪族、又は(CH−Z’(式中、mが0〜2である)から独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換され、
Z’が、ハロ、CN、NO、C(ハロ)、CH(ハロ)、CH(ハロ)、−OC(ハロ)、−OCH(ハロ)、−OCH(ハロ)、OH、S−(C1−C6)脂肪族、S(O)−(C1−C6)脂肪族、SO−(C1−C6)脂肪族、NH、NH−(C1−C6)脂肪族、N((C1−C6)脂肪族)、N((C1−C6)脂肪族)R、COOH、C(O)O(−(C1−C6)脂肪族)、及びO−(C1−C6)脂肪族から選択され、
が、アセチル、C6−C10アリールスルホニル、又はC1−C6アルキルスルホニルである、
化合物;或いはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0031】
本発明において、化学元素は、The Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Edにより識別される。更に、有機化学の一般的な原理については、全体が参考として本明細書で援用される、「Organic Chemistry」, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999;及び「March‘s Advanced Organic Chemistry」, 5th Ed., Ed.:Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York:2001に記載されている。
【0032】
本明細書に記載の通り、本発明の化合物は、上で概説する通り、或いは本発明の特定のクラス、サブクラス及び種によって例示されるように、1つ以上の置換基で場合により置換されることが可能である。「場合により置換される」という語句は、「置換又は非置換」という語句と同じ意味で使用されることが理解されるであろう。一般的に「置換される」という用語は、「場合により」という用語が先行するか否かに関係なく、所与の構造における水素遊離基を指定置換基の遊離基で置換することを指す。特に断りのない限り、場合により置換される基は、基の各置換可能な(即ち、所与の置換基に利用可能である必要な原子価を有する)位置において置換基を有することが可能であり、任意の所与の構造における2つ以上の位置が、指定された基から選択される2つ以上の置換基で置換されることが可能であるとき、置換基は、各位置において同じ又は異なることが可能である。本発明によって考慮される置換基の組み合わせは、安定した化合物又は化学的に実現可能な化合物を形成するものが好ましい。本明細書で使用される「安定した」という用語は、生成、検出、及び好ましくは回収、精製、並びに本明細書に開示される1つ以上についての使用を可能にする条件にさらされるとき、実質的に変化しない化合物を指す。幾つかの実施形態において、安定した化合物又は化学的に実現可能な化合物は、少なくとも一週間、湿気又は他の化学反応条件がない状態で、40℃以下の温度に維持されるとき、実質的に変化しない。
【0033】
本明細書で使用される「脂肪族」又は「脂肪族基」という用語は、完全に飽和している、或いは1つ以上の不飽和単位を含む直鎖(即ち、非分枝鎖)又は分枝鎖で、置換又は非置換の炭化水素鎖を意味する。特に断りのない限り、脂肪族基は、1−20の脂肪族炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、脂肪族基は、1−10の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1−8の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1−6の脂肪族炭素原子を含み、更に他の実施形態において、脂肪族基は、1−4の脂肪族炭素原子を含む。適切な脂肪族基には、直鎖又は分枝鎖で、置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基があるが、これらに限定されない。「脂環式」という用語は、完全に飽和している、或いは1つ以上の不飽和単位を含むが、芳香族ではなく、残りの分子への単一添付点を有する単環式炭化水素、2環式、又は3環式の炭化水素を意味する。幾つかの実施形態において、「脂環式」は、完全に飽和している、或いは1つ以上の不飽和単位を含むが、芳香族ではなく、残りの分子への単一添付点を有する単環式C−C炭化水素又は2環式C−C12炭化水素を意味し、前記2環式環系の任意の個々の環は、3〜7員である。
【0034】
特に断りのない限り、本明細書で使用される「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ脂環式」、或いは「複素環式」という用語は、1つ以上の環員の1つ以上の環原子が独立して選択されるヘテロ原子である非芳香族、単環式、2環式、又は3環式の環系を意味する。複素環式環は、飽和とすることができ、或いは1つ以上の不飽和結合を含むことができる。幾つかの実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、或いは「複素環式」の基は、1つ以上の環員が、酸素、硫黄、窒素、及びリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、且つ環系の各環が3〜7の環員を含む、3〜14の環員を有する。
【0035】
「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素(窒素、硫黄、リン、又はケイ素の任意の酸化形態、任意の塩基性窒素或いはN(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルの場合)、NH(ピロリジニルの場合)、又はNR(N−置換ピロリジニルの場合)等の複素環式環の置換可能な窒素の4級形態を含む)を意味する。
【0036】
本明細書で使用される「不飽和」という用語は、成分が1つ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0037】
本明細書で使用される「アルコキシ」又は「チオアルキル」という用語は、酸素(「アルコキシ」)原子又は硫黄(「チオアルキル」)原子を経て主炭素鎖に添付された、以前に定義されたアルキル基を指す。
【0038】
単独で、或いは「アラルキル」、「アラルコキシ」、又は「アリールオキシアルキル」においてのようにより大きな成分の一部として使用される「アリール」という用語は、全部で5〜14個の環炭素原子を有する単環式、2環式、及び3環式の環系を指し、その系の少なくとも1つの環は、芳香族であり、その系の各環は、3〜7個の環炭素原子を含む。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と同じ意味で使用されることが可能である。
【0039】
単独で、或いは「ヘテロアラルキル」又は「ヘテロアリールアルコキシ」においてのようにより大きな成分の一部として使用される「ヘテロアリール」という用語は、全部で5〜14の環員を有する単環式、2環式、及び3環式の環系を指し、その系の少なくとも1つの環は、芳香族であり、その系の少なくとも1つの環は、1つ以上のヘテロ原子を含み、その系の各環は、3〜7の環員を含む。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語又は「ヘテロ芳香族」という用語と同じ意味で使用されることが可能である。
【0040】
「アルキリデン鎖」という用語は、完全に飽和される、或いは1つ以上の不飽和単位を有することが可能である直鎖又は分枝鎖の炭素鎖を指し、残りの分子への2つの添付点を有する。
【0041】
「スピロシクロアルキレン」という用語は、同じ炭素原子から分子の残りへの2つの添付点を有する脂環式環を指す。
【0042】
特に断りのない限り、本明細書に記載の構造は又、全ての構造異性体(鏡像異性体、ジアステレオマ異性体、及び幾何異性体(又は配座異性体)等)を含み、例えば、各非対称中心についてのR及びS構成、(Z)及び(E)2重結合異性体、並びに(Z)及び(E)配座異性体である。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、並びに鏡像異性体、ジアステレオマ異性体、及び幾何異性体(又は配座異性体)の混合物は、本発明の範囲内にある。特に断りのない限り、本発明の化合物の全互変異性体が本発明の範囲内にある。更に、特に断りのない限り、本明細書に記載の構造は又、同位体が豊富な1つ以上の原子が存在することのみが異なる化合物を含むことも意味する。例えば、重水素又は3重水素によって水素を置換することを除いて、或いは13C又は14Cが豊富な炭素によって炭素を置換することを除いて、本発明の構造を有する化合物が本発明の範囲内にある。このような化合物は、例えば生物学的分析の分析手段又はプローブとして有用である。
【0043】
一実施形態において、R及びRが水素であり、且つQが結合である場合に、Rはメチルではない。
【0044】
一実施形態において、Zは、以下から選択される場合により置換される環である:
【0045】
【化37】

【0046】
【化38】


【0047】
本発明の化合物の特定の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0048】
【化39】

【0049】
【化40】

(式中、Zは、R、R及びRから選択される最高2個の置換基を有する)。
【0050】
他の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0051】
【化41】


【0052】
或いは、Zは、化学式a−i−aである。
【0053】
他の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0054】
【化42】


【0055】
本発明の特定の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0056】
【化43】


【0057】
或いは、Zは、以下から選択される:
【0058】
【化44】


【0059】
或いは、Zは、以下から選択される:
【0060】
【化45】


【0061】
特定の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0062】
【化46】


【0063】
特定の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0064】
【化47】


【0065】
特定の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0066】
【化48】


【0067】
特定の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0068】
【化49】


【0069】
他の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0070】
【化50】


【0071】
特定の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0072】
【化51】


【0073】
特定の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0074】
【化52】

【0075】
【化53】


【0076】
他の実施形態において、Zは、以下から選択される:
【0077】
【化54】


【0078】
化学式(I)の一実施形態によれば、Rは、オキソである。或いは、Rは、=NN(R、=NN(R、又は=NN(R)である。他の実施形態によれば、Rは、Rである。
【0079】
一実施形態によれば、Rは、(CH−Yである。又は、Rは、Yである。
【0080】
例示的なYには、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SH、S(C1−4脂肪族)、S(O)(C1−4脂肪族)、SO(C1−4脂肪族)、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)、NR(C1−4脂肪族)R、COOH、COO(C1−4脂肪族)、又はO(C1−4脂肪族)がある。或いは、隣接する環原子上の2つのRは一緒になって、1,2−メチレンジオキシ又は1,2−エチレンジオキシを形成する。他の実施形態において、Yは、ハロ、OH、SH、CN、NO、CF、OCF、COOH、又はC(O)O(C1−C4アルキル)である。他の実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、1−ピロリジニル、1−ピペリジニル、1−モルホリニル、及びC(O)C1−4アルキルである。
【0081】
他の実施形態において、Rは、(CH−Yである。一実施形態において、nは0又は1である。或いは、nは2である。一実施形態において、Yは、ハロ、CN、NO、CF、OCF3、OR、SR、S(O)R、SO、N(R、NR、又はCOORである。他の実施形態において、Yは、ハロ、OH、SH、CN、NO、CF、OCF、又はC(O)O(C1−C4アルキル)である。
【0082】
一実施形態において、隣接する環原子上の2つのRは一緒になって、1,2−メチレンジオキシ又は1,2−エチレンジオキシを形成する。
【0083】
化学式(I)の他の好ましい実施形態によれば、Rは、最高2個のR置換基で場合により置換される、直鎖或いは分枝鎖の(C1−C6)アルキル又は(C2−C6)アルケニル若しくはアルキニルである。
【0084】
一実施形態において、Rは、C1−C6脂肪族である。他の実施形態において、Rは、C1−C6直鎖又は分枝鎖アルキルである。他の実施形態において、Rは、C1−C4アルキルである。他の実施形態において、Rは、R及びRから独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換される。又は、Rは、R及びRから独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換される。
【0085】
一実施形態において、Rは、R、R、R及びRから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式である。例示的な脂環式には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルがある。他の実施形態において、Rは、R、R、R及びRから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換されるC6−C10アリールである。例示的なアリール環には、フェニル又はナフチルがある。他の実施形態において、Rは、R、R、R及びRから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換されるC3−C8複素環式である。例示的な複素環式環には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、又はチオモルホリニルがある。他の実施形態において、Rは、R、R、R及びRから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換されるC5−C10ヘテロアリール環である。例示的なヘテロアリール環には、ピリジル、ピラジル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、シンノリニル、フタラジン、キナゾリニル、キナオキサリニル、ナフチリリニル、又はプテリジニルがある。
【0086】
一実施形態において、Rは、OR及びORから選択される。又は、Rは、OC(O)R及びOC(O)Rから選択される。他の実施形態において、Rは、C(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R、C(O)N(R、及びC(O)N(R)から選択される。更に他の実施形態において、Rは、N(R、N(R、及びN(R)から選択される。又は、Rは、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)N(R)R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、及びNRC(O)N(Rから選択される。
【0087】
一実施形態において、Rは、最高3個のR置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式である。例示的な脂環式には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルがある。他の実施形態において、Rは、最高3個のR置換基で場合により置換されるC6−C10アリールである。例示的なアリール環には、フェニル又はナフチルがある。他の実施形態において、Rは、最高3個のR置換基で場合により置換されるC3−C8複素環式である。例示的な複素環式環には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、又はチオモルホリニルがある。他の実施形態において、Rは、最高3個のR置換基で場合により置換されるC5−C10ヘテロアリール環である。例示的なヘテロアリール環には、ピリジル、ピラジル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、シンノリニル、フタラジン、キナゾリニル、キナオキサリニル、ナフチリジニル、又はプテリジニルがある。
【0088】
一実施形態において、Rは、Hである。他の実施形態において、Rは、C1−C6脂肪族、好ましくはCl−C6アルキルである。又は、Rは、Rで場合により置換されるC1−C6脂肪族である。
【0089】
一実施形態において、Rは、H、C1−C6脂肪族、又は(CH−Z’(式中、mが0〜2である)から独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式である。例示的な脂環式には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルがある。他の実施形態において、Rは、H、C1−C6脂肪族、及び(CH−Z’(式中、mが0〜2である)から独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換されるC6−C10アリールである。例示的なアリール環には、フェニル又はナフチルがある。或いは、Rは、H、C1−C6脂肪族、及び(CH−Z’(式中、mが0〜2である)から独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換されるC3−C8複素環式である。例示的な複素環式環には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、又はチオモルホリニルがある。或いは、Rは、H、C1−C6脂肪族、及び(CH−Z’(式中、mが0〜2である)から独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換されるC5−C10ヘテロアリール環である。例示的なヘテロアリール環には、ピリジル、ピラジル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、シンノリニル、フタラジン、キナゾリニル、キナオキサリニル、ナフチリジニル、又はプテリジニルがある。
【0090】
一実施形態において、Z’は、ハロ、CN、NO、C(ハロ)、CH(ハロ)、CH(ハロ)、−OC(ハロ)、−OCH(ハロ)、−OCH(ハロ)、OH、S−(C1−C6)脂肪族、S(O)−(C1−C6)脂肪族、SO−(C1−C6)脂肪族、NH、NH−(C1−C6)脂肪族、N((C1−C6)脂肪族)、COOH、C(O)O(−(C1−C6)脂肪族)、及びO−(C1−C6)脂肪族から選択される。
【0091】
一実施形態において、Qは、結合である。
【0092】
他の実施形態において、Qは、O、S又はNRである。他の実施形態において、Qは、Oである。又は、Qは、Sである。或いは、Qは、NRである。或いは、Qは、NH又はN(C1−C6)アルキルである。
【0093】
他の実施形態において、Qは、Cl−C6直鎖又は分枝鎖のアルキリジン鎖であって、Qの最高1個のメチレン単位は、O、S、NH、又はN(C1−C4アルキル)によって置換される。
【0094】
他の実施形態において、Qは、C1−C6アルキルであり、1つのメチレン基は、スピロシクロプロピレン等のスピロシクロアルキレン基によって置換される。
【0095】
他の実施形態において、Qは−X−(X−であり、
式中、
は、R、R及びRから独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換されるC1−C6脂肪族であり、
pは0又は1であり、
は、O、S又はNRである。
【0096】
一実施形態において、Xは、C1−C6アルキル又はC2−C6アルキリデンである。或いは、Xは、R又はRで場合により置換されるCl−C6アルキルである。一実施形態において、Xは、−CH−、−CH−CH−、−(CH−、−C(Me)−、−CH(Me)−、−C(Me)=CH−、−CH=CH−、−CH(Ph)−、−CH−CH(Me)−、−CH(Et)−、及び−CH(i−Pr)−から選択される。
【0097】
特定の実施形態において、Xは、NHである。又は、Xは、−N(C1−C4アルキル)−である。
【0098】
一実施形態において、pは、0である。
【0099】
他の実施形態において、pは、1であり、Xは、Oである。
【0100】
他の実施形態において、pは、1であり、Xは、Sである。
【0101】
他の実施形態において、pは、1であり、Xは、NRである。好ましくは、Rは水素である。
【0102】
一実施形態において、Rは、C1−6脂肪族基であり、Rは、R、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換される。
【0103】
他の実施形態において、Rは、O、S、N及びNHから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、又は芳香族の単環式環であり、Rは、R、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換される。一実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、及びC(O)C1−4アルキルから選択される最高3個の置換基で場合により置換される。
【0104】
一実施形態において、Rは、場合により置換されるフェニルであり、RはR、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換される。一実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、及びC(O)C1−4アルキルから選択される最高3個の置換基で場合により置換されるフェニルである。
【0105】
一実施形態において、Rは、場合により置換されるナフチルであり、Rは、R、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換される。一実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、及びC(O)C1−4アルキルから選択される最高5個の置換基で場合により置換されるナフチルである。
【0106】
又は、Rは、場合により置換される3〜8員の脂環式環であり、Rは、R、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換される。一実施形態において、Rは、場合により置換されるシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルから選択される。
【0107】
又は、Rは、O、S、N及びNHから独立して選択される最高3個のヘテロ原子を含む、場合により置換される5〜6員の単環式、不飽和、部分飽和、又は芳香族の環である。或いは、Rは、3〜7員の単環式、複素環式の環である。
【0108】
一実施形態において、Rは、以下から選択される場合により置換される環から選択される:
【0109】
【化55】

【0110】
【化56】


【0111】
他の実施形態において、Rは、環i−xiv及びxviの何れかから選択され、前記環は、場合により置換されるフェニル環に縮合される。
【0112】
他の実施形態において、Rは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、及びピリダジニルから選択される場合により置換される環から選択される。
【0113】
他の実施形態において、Rは、以下から選択される場合により置換される環である:
【0114】
【化57】


【0115】
他の実施形態において、Rは、上記の環xvi−xxiiの何れか1つであり、前記環は、場合により置換されるフェニル環に縮合される。
【0116】
他の実施形態において、Rは、O、S、N及びNHから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、又は完全不飽和の2環式環系であり、Rは、R、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換される。一実施形態において、Rは、場合により置換されるナフチルである。或いは、Rは、場合により置換される8〜10員の2環式、ヘテロ芳香族の環である。或いは、Rは、場合により置換される8〜10員の2環式、複素環式の環である。
【0117】
一実施形態において、Rは、以下から選択される場合により置換される環である:
【0118】
【化58】


【0119】
他の実施形態において、Rは、以下から選択される場合により置換される環である:
【0120】
【化59】


【0121】
他の実施形態において、Rは、以下から選択される場合により置換される環である:
【0122】
【化60】

【0123】
【化61】


【0124】
他の実施形態において、Rは、以下から選択される:
【0125】
【化62】

【0126】
【化63】


【0127】
一実施形態において、Rは、3−クロロ−フェン−1−イル、4−クロロ−フェン−1−イル、3−メトキシ−フェン−1−イル、2−フルオロ−フェン−1−イル、4−フルオロ−インドール−1−イル、及び8−トリフルオロメチル−キノール−4−イルから選択される。
【0128】
一実施形態において、前記化合物は、以下の化学式I−A、化学式I−B、化学式I−C、又は化学式I−Dを有する:
【0129】
【化64】

【0130】
【化65】

(式中、R、R、Z、Q及びRは上に定義されている)。
【0131】
一実施形態において、本発明は、以下の化学式IIの化合物を提供する:
【0132】
【化66】

(式中、Z、Q及びRは上に定義されている)。
【0133】
一実施形態において、本発明は、以下の化学式IIIの化合物を提供する:
【0134】
【化67】

(式中、Q及びRは上に定義されている)。
【0135】
本発明は又、
(a)患者、又は
(b)生物学的試料
において、NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、又はCaV2.2の活性の1つ以上を阻害する方法であって、
以下の化学式Iの化合物であって:
【0136】
【化68】

式中、
環Zが、O、S、N及びNHから選択される少なくとも1つの環へテロ原子を有する5〜7員の不飽和又は芳香族環であって、Zが、最高z個のRの出現で場合により置換され、
zが0〜4であり、
各Rが、R、R、R、R及びRから独立して選択され、
前記SO基が、第1炭素又は第2炭素の何れかに結合し、
前記NR−C(O)−Q−Rが、第3’炭素又は第4’炭素の何れかに結合し、
第3’炭素を含む前記フェニル環が、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OR、SR、S(O)R、SO、NH、N(R、COOR、及びC1−C6の直鎖又は分枝鎖のアルキリジン鎖から選択される最高4個の置換基で場合により置換され、前記アルキリジンの最高2個の非隣接メチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、又は−NRSONR−によって場合により且つ独立して置き換えられ、
Qが、結合又はC1−C6の直鎖若しくは分枝鎖のアルキリジン鎖であって、Qの最高2個の非隣接メチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、−NRSONR−、又はスピロシクロアルキレン部分によって場合により独立して置き換えられ、
が、C1−6脂肪族基、O、S、N及びNHから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、又は完全不飽和の単環式環、並びにO、S、N及びNHから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、又は完全不飽和の2環式環系であり、
式中、Rが、R、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換され、
及びRが、それぞれ独立してRであり、
が、オキソ、=NN(R、=NN(R、=NN(R)、R、又は(CH−Yであり、
nが0、1又は2であり、
Yが、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COOR、又はORであるか、或いは、
隣接環原子上の2つのRが一緒になって、1,2−メチレンジオキシ又は1,2−エチレンジオキシを形成し、
が、水素又はC1−C6脂肪族であって、各Rが、R、R及びRから独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換され、
が、R、R、R及びRから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、
が、
【0137】
【化69】

【0138】
【化70】

であり、
が、最高3個のR置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、
が、H又はC1−C6脂肪族であって、Rが、R置換基で場合により置換され、
が、C3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、各Rが、H、C1−C6脂肪族、又は(CH−Z’(式中、mが0〜2である)から独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換され、
Z’が、ハロ、CN、NO、C(ハロ)、CH(ハロ)、CH(ハロ)、−OC(ハロ)、−OCH(ハロ)、−OCH(ハロ)、OH、S−(C1−C6)脂肪族、S(O)−(C1−C6)脂肪族、SO−(C1−C6)脂肪族、NH、NH−(C1−C6)脂肪族、N((C1−C6)脂肪族)、N((C1−C6)脂肪族)R、COOH、C(O)O(−(C1−C6)脂肪族)、及びO−(C1−C6)脂肪族から選択され、
が、アセチル、C6−C10アリールスルホニル、又はC1−C6アルキルスルホニルである、
化合物;或いはその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与すること、又は前記生物学的試料と接触させることを含む、
方法を提供する。
【0139】
他の実施形態において、本発明は、以下の表1の化合物を提供する。
【0140】
【化71】

使用、処方及び投与
薬学的に許容される組成物
上で考察する通り、本発明は、電位依存性ナトリウムイオンチャネル及び/又はカルシウムチャネルの阻害剤である化合物を提供し、従って、本発明の化合物は、急性、慢性、神経障害性、又は炎症性の疼痛、関節炎、偏頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、疱疹性神経痛、全身性神経痛、てんかん又はてんかんの病態、神経変性疾患、不安及び抑うつ等の精神障害、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、失調症、多発性硬化症、過敏性腸症症候群、及び失禁症を含むがこれらに限定されない、疾患、障害及び病態の処置に有用である。従って、本発明の他の態様では、薬学的に許容される組成物が提供され、これらの組成物は、本明細書に記載の化合物の何れかを含み、薬学的に許容される担体、補助剤、又はビヒクルを場合により含む。特定の実施形態において、これらの組成物は、1つ以上の追加の治療剤を場合により更に含む。
【0141】
又、本発明の化合物のあるものは、処置について自由な形態で、又は適切であればその薬学的に許容される誘導体として、存在することができることが理解されるであろう。本発明によれば、薬学的に許容される誘導体には、薬学的に許容される塩、エステル、このようなエステルの塩、又は、必要とする患者に投与されるとき、本明細書において異なるように記述される化合物を直接若しくは間接に提供することができるあらゆる他の付加物又は誘導体、或いはその代謝産物又は残留物があるが、これらに限定されない。
【0142】
本明細書で使用される際、「薬学的に許容される塩」という用語は、不適当な毒性、刺激、アレルギー応答等を有さずに健全な医療上の判断の範囲内において、ヒト及び下級動物の組織と接触して使用するのに適切であり、且つ妥当な利益/危険比に見合う塩を指す。「薬学的に許容される塩」は、受容者に投与される際、本発明の化合物或いは阻害活性代謝物又はその残留物を直接又は間接に提供することができる、任意の非毒性の塩或いは本発明の化合物のエステルの塩を指す。本明細書で使用される際、「阻害活性代謝物又はその残留物」という用語は、代謝産物又はその残留物も、電位依存性ナトリウムイオンチャネル又はカルシウムチャネルの阻害剤であることを意味する。
【0143】
薬学的に許容される塩は、当該技術分野で周知である。例えば、S.M. Berge等は、参考として本明細書で援用される、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1−19において薬学的に許容される塩を記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、適切な無機及び有機の酸及び塩基から誘導されたものがある。薬学的に許容される非毒性の酸追加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸等の無機酸で形成された、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、若しくはマロン酸等の有機酸で形成された、或いはイオン交換等当該技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されたアミノ基の塩がある。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、絡酸塩、カンホレート、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、草酸塩等がある。適切な塩基から誘導された塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、及びN(C1−4アルキル)塩がある。本発明は又、本明細書に開示される化合物の任意の塩基性窒素包含基の4級化を考慮する。水或いは油に可溶性又は分散性の産物が、このような4級化によって得られることが可能である。代表的なアルカリ塩又はアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等がある。他の薬学的に許容される塩には、適切であれば、非毒性アンモニウム、第4アンモニウム、並びにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、下級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩等の対イオンを使用して形成されたアミン陽イオンがある。
【0144】
上述の通り、本発明の薬学的に許容される組成物は、薬学的に許容される担体、補助剤、又はビヒクルを更に含み、これらは、本明細書で使用される際、所望される特定の投与形態に適しているあらゆる全ての溶媒、希釈液、又は他の液体ビヒクル、分散若しくは懸濁助剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤若しくは乳化剤、保存剤、固体結合剤、潤滑剤等を含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E.W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)は、薬学的に許容される組成物を処方するのに使用される種々の担体及びそれを調製する既知の技法を開示している。任意の従来の担体媒質が、望ましくない生物学的効果を生成することによって、又はそうでない場合は薬学的に許容される組成物のあらゆる他の成分と有害に相互作用することによって本発明の化合物と共存しない場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内にあると考慮される。薬学的に許容される担体として作用することができる材料の幾つかの例には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸塩等の緩衝剤物質、グリシン、ソルビン酸、又はソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛の塩等の塩又は電解質、コロイドシリカ、3ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、乳糖、ブドウ糖、ショ糖等の糖;コーンスターチ及びポテトスターチ等のスターチ;セルロース、並びにナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及び酢酸セルロース等のその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゲラチン;タルク;ココアバター及び座薬ワックス等の賦形剤;ピーナツ油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油等の油;プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等のグリコール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル;アガー;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱物質のない水;等張性食塩水;リンガー液;エチルアルコール及び、リン酸塩緩衝溶液、並びにラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム等の他の非毒性共存可能潤滑剤があるが、これらに限定されず、更に着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香料及び芳香剤、保存剤、並びに酸化防止剤も、処方者の判断により、組成物に存在することができる。
【0145】
化合物及び薬学的に許容される組成物の使用法
更に他の態様において、急性、慢性、神経障害性若しくは炎症性の疼痛、関節炎、偏頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、疱疹性神経痛、全身性神経痛、てんかん若しくはてんかんの病態、神経変性疾患、不安及び抑うつ等の精神障害、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、失調症、多発性硬化症、過敏性腸症症候群、失禁症、内臓痛、変形性関節炎疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、腰痛、頭頚部痛、激痛若しくは難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後痛、又は癌性疼痛を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減する方法が提供され、有効量の化合物又は化合物を含む薬学的に許容される組成物を、それらを必要とする被験体に投与することを含む。特定の実施形態において、急性、慢性、神経障害性、又は炎症性の疼痛を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減する方法が提供され、有効量の化合物又は薬学的に許容される組成物を、それらを必要とする被験体に投与することを含む。ある他の実施形態において、根性痛、坐骨神経痛、腰痛、頭痛、又は頚部痛を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減する方法が提供され、有効量の化合物又は薬学的に許容される組成物を、それらを必要とする被験体に投与することを含む。又他の実施形態において、激痛若しくは難治性疼痛、急性疼痛、術後痛、腰痛、耳鳴り、又は癌性疼痛を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減する方法が提供され、有効量の化合物又は薬学的に許容される組成物を、それらを必要とする被験体に投与することを含む。
【0146】
本発明の特定の実施形態において、「有効量」の化合物又は薬学的に許容される組成物は、急性、慢性、神経障害性、又は炎症性の疼痛、関節炎、偏頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、疱疹性神経痛、全身性神経痛、てんかん又はてんかんの病態、神経変性疾患、不安及び抑うつ等の精神障害、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、失調症、多発性硬化症、過敏性腸症症候群、失禁症、内臓痛、変形性関節炎疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、腰痛、頭頚部痛、激痛若しくは難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後痛、耳鳴り、又は癌性疼痛の1つ以上を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減するのに有効な量である。
【0147】
本発明の方法による化合物及び組成物は、急性、慢性、神経障害性、又は炎症性の疼痛、関節炎、偏頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、疱疹性神経痛、全身性神経痛、てんかん又はてんかんの病態、神経変性疾患、不安及び抑うつ等の精神障害、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、失調症、多発性硬化症、過敏性腸症症候群、失禁症、内臓痛、変形性関節炎疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、腰痛、頭頚部痛、激痛若しくは難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後痛、耳鳴り、又は癌性疼痛の1つ以上を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減するのに有効な任意の量及び任意の投与経路を使用して投与されることが可能である。必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢、及び全身状態、感染の重篤度、特定の薬剤、その投与様式等、被験体ごとに異なる。本発明の化合物は、投与が容易で投与量が一様であるように投与単位形態で処方されることが好ましい。本明細書で使用される「投与単位形態」という表現は、処置される患者に適切な薬剤の物理的に離散した単位を指す。しかし、本発明の化合物及び組成物の総1日使用量は、健全な医療判断の範囲内において担当医師によって決定される。任意の特定の患者又は臓器に特有の有効な投与レベルは、処置される疾患及び疾患の重篤度、使用される特定化合物の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、及び食餌、投与時間、投与経路、使用される特定化合物の排出率、処置の所要時間、使用される特定化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬剤、及び医療分野において周知の同様の因子を含む、種々の因子に依存する。本明細書で使用される「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0148】
本発明の薬学的に許容される組成物は、処置される感染の重篤度に応じて、経口的に、直腸から、非経口的に、嚢内から、膣内から、腹膜内から、局所的に(粉末、軟膏、又はドロップによってのように)、頬から、経口噴霧又は鼻噴霧として等、ヒト及び他の動物に投与することができる。特定の実施形態において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るように、1日に1回又は複数回、1日当たり被験体の体重の約0.01mg/kgから約50mg/kg、好ましくは約1mg/kgから約25mg/kgの投与レベルにおいて、経口的又は非経口的に投与されることが可能である。
【0149】
経口投与の液体投与形態には、薬学的に許容されるエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシルがあるが、これらに限定されない。活性化合物の他に、液体投与形態は、例えば、水又はエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジル安息香酸塩、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(具体的には綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、カストール油、及びごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタン脂肪酸エステル、並びにその混合物等他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤等、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈液を含むことが可能である。不活性希釈剤の他に、経口組成物は又、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、香料、及び芳香剤等の補助剤を含むことができる。
【0150】
滅菌注入可能な水性又は油性の懸濁液等の注入可能製剤が、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して既知の技術により処方されることが可能である。滅菌注入可能製剤は又、例えば1,3−ブタンジオールにおける溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒における滅菌注入可能な溶液、懸濁液、又はエマルジョンとすることも可能である。使用されることが可能である許容されるビヒクル及び溶媒には、水、リンガー溶液、U.S.P.、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。更に、滅菌固定油が、溶媒又は懸濁媒質として従来使用されている。この目的では、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを含めて、任意のブランドの固定油を使用することができる。更に、オレイン酸等の脂肪酸が、注入可能物質の製剤において使用される。
【0151】
注入可能調合物は、例えば、細菌保持フィルターのろ過によって、或いは使用前に滅菌水又は他の滅菌注入可能媒質に溶解又は分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0152】
本発明の化合物の効果を延長させるために、皮下注入又は筋肉内注入から化合物が吸収されるのを緩慢にすることがしばしば望ましい。これは、不十分な水溶解度を有する結晶又は非結晶材料の液体懸濁液を使用することによって達成されることが可能である。その場合、化合物の吸収率は、溶解率に依存し、溶解率は、結晶のサイズ及び結晶の形態に依存する可能性がある。或いは、非経口的に投与された化合物形態の吸収を遅延させることは、化合物を油ビヒクルに溶解又は懸濁させることによって達成される。注入可能なデポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリド等、生分解性ポリマーにおいて化合物のミクロカプセルマトリックスを形成することによって作成される。化合物対ポリマーの比及び使用される特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出率を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルソエステル)及びポリ(無水物)がある。デポー注入可能調合物は又、体組織と共存可能なリポソーム又はミクロエマルジョンにおいて化合物を捕捉することによって調製される。
【0153】
直腸投与又は膣投与される組成物は、周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、従って、直腸又は膣腔で溶解して活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコール、又は座薬ワックス等の適切な非刺激性補助剤又は担体と、本発明の化合物とを混合することによって調製することができる座薬であることが好ましい。
【0154】
経口投与される固体投与形態には、カプセル、タブレット、ピル、粉末、及び顆粒がある。このような固体投与形態では、活性化合物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸ジカルシウム等、少なくとも1つの不活性の薬学的に許容される補助剤又は担体、並びに/或いは、a)スターチ、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、及びケイ酸等の充填剤又は増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゲラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖、及びアカシア等の結合剤、c)セロール等の保湿剤、d)アガー−アガー、炭酸カルシウム、ポテトスターチ又はタピオカスターチ、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶液緩染剤、f)第4アンモニウム化合物等の吸収促進剤、g)例えばセチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール等の湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレイ等の吸収剤、並びにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ナトリウム硫酸ラウリル、及びその混合物等の潤滑剤と混合される。カプセル、タブレット、及びピルの場合、投与形態は、緩衝剤を含むことも可能である。
【0155】
同様の種類の固体組成物が、乳糖又はミルクシュガー並びに高分子量ポリエチレングリコール等を賦形剤として使用する軟性及び硬性の充填ゲラチンカプセルにおいて、充填剤として使用されることも可能である。タブレット、糖衣錠、カプセル、ピル、及び顆粒の固体投与形態を、薬剤処方分野において周知の腸溶コーティング及び他のコーティング等のコーティング、並びにシェルを有して調製することができる。これらは不透明化剤を場合により含むことが可能であり、腸管のある部分においてのみ、又は優先的に、場合により遅延方式で、活性成分を放出する組成物とすることもできる。使用することができる包埋剤組成物の例には、高分子物質及びワックがある。同様の種類の固体組成物も、乳糖又はミルクシュガー及び高分子量ポリエチレングリコール等を賦形剤として使用する軟性及び硬性の充填ゲラチンカプセルにおいて、充填剤として使用されることが可能である。
【0156】
活性化合物は、上記で留意された1つ以上の補助剤と共にミクロカプセル化形態にあることもできる。タブレット、糖衣錠、カプセル、ピル、及び顆粒の固体投与形態は、薬剤処方分野において周知の腸溶コーティング、放出制御コーティング、及び他のコーティング等のコーティング、並びにシェルを有して調製することができる。このような固体投与形態において、活性化合物は、ショ糖、乳糖、又はスターチ等の少なくとも1つの不活性希釈液と混和されることが可能である。このような投与形態は又、通常の実施のように、例えばステアリン酸マグネシウム及びミクロ結晶セルロース等のタブレット化潤滑剤及び他のタブレット化助剤等、不活性希釈液以外の追加の物質を含むことも可能である。カプセル、タブレット、及びピルの場合、投与形態は又、緩衝剤を含むことも可能である。投与形態は、不透明化剤を場合により含むことが可能であり、腸管のある部分においてのみ、又は優先的に、場合により遅延方式で、活性成分を放出する組成物とすることもできる。使用することができる包埋組成物の例には、高分子物質及びワックスがある。
【0157】
本発明の化合物を局所的又は経皮投与する投与形態には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、噴霧、吸入剤、又はパッチがある。活性化合物は、滅菌条件下において、薬学的に許容される担体、及び必要とされる可能性がある任意の必要な保存剤又は緩衝剤と混和される。眼科用調合物、点耳剤、及び点眼剤も、本発明の範囲内にあると考慮される。更に、本発明は、身体への化合物の制御された送達を提供する追加の利点を有する経皮パッチの使用を考慮する。このような投与形態は、化合物を適切な媒質に溶解又は分散させることによって調製される。皮膚を通る化合物の流入を増大させるために、吸収促進剤も使用することができる。率は、率制御膜を提供することによって、或いは化合物をポリマーマトリックス又はゲルに分散させることによって、制御することができる。
【0158】
上で概説した通り、本発明の化合物は、電位依存性ナトリウムイオンチャネル又はカルシウムチャネル、好ましくはN−型カルシウムチャネルの阻害剤として有用である。一実施形態において、本発明の化合物及び組成物は、NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、若しくはCaV2.2の1つ以上の阻害剤として有用であり、従って、任意の特定の理論によって束縛されることを望まずに、化合物及び組成物は、NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、若しくはCaV2.2の1つ以上の活性化或いは機能亢進が、疾患、病態又は障害に関係する疾患、病態又は障害を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減するのに特に有用である。NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、若しくはCaV2.2の活性化又は機能亢進が、特定の疾患、病態又は障害に関係するとき、疾患、病態又は障害は又、「NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、若しくはNaV1.9介在疾患、病態又は障害」、或いは「CaV2.2介在病態又は疾患」と呼ばれることも可能である。従って、他の態様において、本発明は、NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、若しくはCaV2.2の1つ以上の活性化或いは機能亢進が疾患状態に関係する疾患、病態又は障害を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減する方法を提供する。
【0159】
NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、又はCaV2.2の阻害剤として本発明で使用される化合物の活性は、本明細書の実施例に概説する方法により、又は当業者に利用可能な方法により、検定することが可能である。
【0160】
又、本発明の化合物及び薬学的に許容される組成物は、併用治療において使用することができる、即ち、化合物及び薬学的に許容される組成物は、1つ以上の他の所望の治療法或いは医学的手技と同時に、その前に、又はその後で投与することができることも理解されるであろう。併用投与計画において使用される治療(療法又は手技)の特定の組み合わせは、所望の療法及び/又は手技と、達成されるべきである所望の治療効果との共存性を考慮に入れる。又、使用される治療は、同じ疾患について所望の効果を達成することが可能であり(例えば、発明的な化合物が、同じ疾患を処置するために使用される他の薬剤と同時に投与されることが可能である)、又は、異なる効果(例えば、任意の逆効果の制御)を達成することが可能であることも理解されるであろう。本明細書で使用されるように、特定の疾患又は病態を処置又は予防するために通常投与される追加の治療剤は、「処置されている疾患又は病態に適切である」として既知である。例えば、例示的な追加の治療剤には、非オピオイド鎮痛剤(エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン等のインドール;ナブメトン等のナフチルアルカノン;ピロキシカム等のオキシカム、アセトアミノフェン等のパラ−アミノフェノール誘導体;フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン等のプロピオン酸;ASS(アスピリン)、クロリントリサリチル酸マグネシウム、ジフルニサル等のサリチル酸塩;メクロフェナミン酸、メフェナミン酸等のフェナミン酸塩;及びフェニルブタゾン等のピラゾール)、又は、オピオイド(麻酔性)アゴニスト(コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィン、及びペンタゾシン等)があるが、これらに限定されない。更に、非薬剤鎮痛手法が、本発明の1つ以上の化合物の投与と関連して使用されることが可能である。例えば、麻酔(脊髄内注射、神経遮断剤)、神経外科(CNS経路の神経剥離)、神経刺激(経皮電気神経刺激、脊柱刺激)、理学療法(物理療法、矯正装置、ジアテルミー)、又は心理学(認識方法−催眠術、バイオフィードバック、若しくは行動方法)の手法も、使用されることが可能である。追加の適切な治療剤又は手法については、全体が参考として本明細書で援用される、The Merck Manual, Seventeenth Edition, Ed. Mark H. Beers and Robert Berkow, Merck Research Laboratories, 1999、並びにthe Food and Drug Administrationのウェブサイト(www.fda.gov)に概説されている。
【0161】
本発明の組成物に存在する追加の治療剤の量は、その治療剤を唯一の活性剤として含む組成物において通常投与される量を超えない。本発明で開示される組成物における追加の治療剤の量は、唯一の治療活性剤としてその薬剤を含む組成物に通常存在する量の約50%から100%の範囲であることが好ましい。
【0162】
本発明の化合物又はその薬学的に許容される組成物は又、人工器官、人工弁、人工血管、ステント、及びカテーテル等、埋込み型医療デバイスをコーティングする組成物に組み込まれることも可能である。従って、本発明は、他の態様において、上に概説し、本明細書のクラス及びサブクラスにある本発明の化合物を含む埋込み型デバイスをコーティングする組成物、並びに前記埋込み型デバイスをコーティングするのに適切な担体を含む。更に他の態様において、本発明は、上に概説し、本明細書のクラス及びサブクラスにある本発明の化合物を含む組成物でコーティングされた埋込み型デバイス、並びに前記埋込み型デバイスをコーティングするのに適切な担体を含む。適切なコーティング及びコーティングされた埋込み型デバイスの一般的な製剤は、米国特許第6,099,562号、第5,886,026号、及び第5,304,121号に記載されている。コーティングは、通常、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクタン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、及びその混合物等、生体適合性の高分子材料である。コーティングは、組成物において制御された放出特性を付与するために、フルオロケイ素、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、リン脂質、又はその混合物の適切なトップコートによって場合により更に覆われることが可能である。
【0163】
本発明の他の態様は、生物学的試料又は患者においてNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、若しくはCaV2.2活性の1つ以上を阻害することに関し、この方法は、化学式Iの化合物又は前記化合物を含む組成物を前記患者に投与すること、或いは前記生物学的試料と接触させることを含む。本明細書で使用される「生物学的試料」という用語は、細胞培地又はその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料又はその抽出物、及び血液、唾液、尿、便、精液、涙、又は他の体液若しくはその抽出物を含むが、これらに限定されない。
【0164】
生物学的試料においてNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、若しくはCaV2.2活性の1つ以上を阻害することは、当業者に既知の種々の目的について有用である。このような目的の例には、生物学的現象及び病理学的現象におけるナトリウムイオンチャネルの研究、及び新しいナトリウムイオンチャネル阻害剤の比較評価があるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0165】
4’−ニトロ−ビフェニル−4−スルホン酸チアゾール−2−イルアミド
【0166】
【化72】

ピリジン(5.0ml)に溶解している4’−ニトロ−ビフェニル−4−スルホニルクロリド(1.0g、3.2mmol)に、2−アミノチアゾール(1.6g、16.0mmol)を追加し、混合物をrtにおいて72時間撹拌した。反応混合物を氷水に注いで沈殿させ、沈殿をろ過して乾燥し、4’−ニトロ−ビフェニル−4−スルホン酸チアゾール−2−イルアミド(0.6g、53%)を得た。LC/MS(10〜99%CHCN)、M/Z:M+1obs=362.2;t=2.95分。
【0167】
4’−アミノ−ビフェニル−4−スルホン酸チアゾール−2−イルアミド
【0168】
【化73】

4’−ニトロ−ビフェニル−4−スルホン酸チアゾール−2−イルアミド(0.62g、1.70mmol)をMeOH(50.00ml)に懸濁させた。混合物をNで洗い流した後、Pd/C(10%)を追加した。混合物をH大気下で一晩撹拌した後、セライトでろ過し、濃縮して乾燥させた。結果として得られた粗固体を更に精製せずに次の手順に使用した。LC/MS(10〜99%CHCN)、M/Z:M+1obs=332.2;t=1.71分。
【0169】
一般手順1
【0170】
【化74】

−78℃において、酸塩化物(0.15mmol)を4’−アミノ−ビフェニル−4−スルホン酸チアゾール−2−イルアミド(50.00mg、0.15mmol)、EtN(100.00μl、0.75mmol)、及び9:1のDCM:DMF混合物(1.00ml)の溶液に追加した。反応混合物をrtに温めることを可能にし、5分撹拌した。予備HPLC(10〜99%CHCN−HO)により精製して、所望の産物を与えた。
【0171】
2−(3−クロロ−フェノキシ)−N−[4’−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ビフェニル−4−イル]−アセトアミド
【0172】
【化75】

一般手順1により合成した。LC/MS(10〜99%CHCN)、M/Z:M+1obs=500.2;t=3.27分。
【0173】
一般手順2
【0174】
【化76】

4’−アミノ−ビフェニル−4−スルホン酸チアゾール−2−イルアミド(50.00mg、0.15mmol)、EtN(100.00μl、0.75mmol)、HATU(60.00mg、0.15mmol)、及び9:1のDCM:DMF混合物(1.00ml)の溶液に、カルボン酸(0.15mmol)を追加した。反応混合物をrtに温めることを可能にし、一晩撹拌した。予備HPLC(10〜99%CHCN−HO)により精製して、所望の産物を与えた。
【0175】
(S)−2−(4−フルオロ−インドール−1−イル)−N−[4’−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ビフェニル−4−イル]−プロピオンアミド
【0176】
【化77】

一般手順2により合成した。LC/MS(10〜99%CHCN)、M/Z:M+1obs=521.2;t=3.32分。
【0177】
N−[4’−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ビフェニル−4−イル]−2−(8−トリフルオロメチル−キノリン−4−イルオキシ)−アセトアミド
【0178】
【化78】

一般手順2により合成した。LC/MS(10〜99%CHCN)、M/Z:M+1obs=585.0;t=3.08分。
【0179】
本発明の化合物の分析データを表2において以下に示す。
【0180】
【化79】

化合物のNaV阻害特性を検出及び測定するための検定
化合物のNaV阻害特性を検定する光学的方法
本発明の化合物は、電位依存性ナトリウムイオンチャネルの拮抗薬として有用である。試験化合物の拮抗薬の特性を以下のように評価した。対象のNaVを発現する細胞をマイクロタイタープレートに配置した。培養期間後、膜内外電位差に感受性のある蛍光染料で細胞を染色した。試験化合物をマイクロタイタープレートに追加した。細胞を化学的手段又は電気的手段で刺激し、非遮断チャネルからNaV依存膜電位変化を引き起こし、これを膜内外電位差感受性染料で検出し、測定した。刺激に対する膜電位応答の低下として拮抗薬を検出した。光学的膜電位評価は、the Voltage/Ion Probe Reader (VCPR(登録商標)) (Gonzalez, J.E., K. Oades, et al. (1999) 「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」 Drug Discov Today 4(9):431−439を参照)。等の蛍光変化測定機器と組み合わせて、Gonzalez及びTsien(Gonzalez, J.E. and R.Y. Tsien (1995) 「Voltage sensing by fluorescence resonance energy」 transfer in single cells」 Biophys J 69(4):1272−80;及びGonzalez, J.E. and R.Y. Tsien (1997) 「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence」resonance energy transfer」 Chem Biol 4(4):269−77)によって記載されている電圧感受性FRETセンサーを使用した。
【0181】
化学的刺激でのVIPR(登録商標)光学膜電位評価方法
細胞の取扱い及び染料の添加
VIPRに対する検定の24時間前に、NaV1.2型電位依存性NaVを内因的に発現するCHO細胞を、ウェル当たり60,000細胞で96ウェルポリ−リシンコーティングプレートに植え付けた。対象のNaVを発現する細胞系統において他のサブタイプを同様の様式で実施する。
【0182】
1)検定日に、培地を吸引し、225μLのバス溶液#2(BS#2)で細胞を2回洗浄する。
【0183】
2)5mMのクマリン保存溶液を10%プルロニック127と1:1で混合し、次いで混合物を適切な容積のBS#2に溶解させることによって、15μMのCC2−DMPE溶液を調製する。
【0184】
3)バス溶液を96ウェルプレートから除去した後、80μLのCC2−DMPE溶液を細胞に装填する。プレートを室温にて30分間暗室培養する。
【0185】
4)細胞をクマリンで染色しながら、BS#2における15μLのオキソノール溶液を調製する。DiSBAC(3)の他に、この溶液は、0.75mMのABSC1及び30μLのベラトリジン(10mMのEtOH保存溶液から調製した、Sigma#V−5754)を含むべきである。
【0186】
5)30分後、CC2−DMPEを除去し、225μLのBS#2で細胞を2回洗浄した。以前と同様に、残留溶液は40μLであるべきである。
【0187】
6)バスを除去する際、80μLのDiSBAC(3)溶液を細胞に装填し、その後、DMSOに溶解した試験化合物を薬剤追加プレートから各ウェルに所望の試験濃度を達成するように追加し、完全に混合する。ウェルの容積は、ほぼ121μLであるべきである。次いで、細胞を20〜30分培養する。
【0188】
7)培養が完了した後、細胞は、ナトリウム加減プロトコルでVIPR(登録商標)について検定する準備が整っている。NaV依存脱分極を刺激するために、120μLのバス溶液#1を追加する。NaVチャネルを遮断する拮抗薬の陽性対照として、200μLのテトラカインを使用した。
【0189】
VIPR(登録商標)データの分析
データを分析し、460nm及び580nmのチャネルにおいて測定したバックグラウンド減算放出強度の正規化比として報告した。次いで、バックグラウンド強度を各検定チャネルから減算した。細胞が存在しない全く同様に処置された検定ウェルから同じ期間中に放出強度を測定することによって、バックグラウンド強度を得る。次いで、時間の関数としての応答を以下の式を使用して得られた比として報告する。
【0190】
【化80】

初期(R)と最終(R)の比を計算することによって、データを更に変形する。これらは、事前刺激期間の一部又は全ての最中と刺激期間中の試料点の最中の平均比の値である。次いで、刺激R=R/Rに対する応答を計算する。Na+アドバック分析時間ウィンドウについて、基準線は2〜7秒であり、最終応答を15〜24秒においてサンプリングする。
【0191】
テトラカイン等、所望の特性(陽性対照)を有する化合物が存在し、且つ薬剤(陰性対照)が存在しない状態で検定を行うことで、制御応答を得る。陰性対照(N)及び陽性対照(P)に対する応答を上記のように計算する。化合物拮抗薬活性Aを以下のように定義する:
【0192】
【化81】

(式中、Rは、試験化合物の比応答である)。
【0193】
溶液[mM]
バス溶液#1:NaCl 160、KCl 4.5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES 10、NaOHでpH7.4
バス溶液#2: TMA−Cl 160、CaCl 0.1、MgCl 1、HEPES 10、KOHでpH7.4(最終的なK濃度〜5mM)
CC2−DMPE:DMSO中の5mMの保存溶液として調製し、−20℃にて保存
DiSBAC(3):DMSO中の12mMの保存溶液として調製し、−20℃にて保存
ABSC1:蒸留水中の200mMの保存溶液として調製し、室温にて保存
細胞培地
10%FBS(ウシ胎仔血清、認定;GibcoBRL#16140−071)及び1%Pen−Strep(ペニシリン−ストレプトマイシン;GibcoBRL#15140−122)が補足されたDMEM(ダルベッコの修正イーグル培地;GibcoBRL#10569−010)において、CHO細胞を成長させる。90%の湿度及び10%のCOの排気キャップフラスコにおいて、細胞を100%集合まで成長させる。通常、スケジュールの必要性に応じて、トリプシン処理によって1:10又は1:20に細胞を分割し、次の分割の前に2〜3日成長させる。
【0194】
電気刺激でのVIPR(登録商標)光学膜電位検定方法
以下は、NaV1.3阻害活性が光学膜電位方法#2を使用してどのように測定されるかの例である。対象NaVを発現する細胞系統において同様の様式で、他のサブタイプを実施する。
【0195】
NaV1.3を安定に発現するHEK293細胞を96ウェルマイクロタイタープレートの中に貼り付ける。適切な培養期間後、細胞を以下のように電圧感受性染料CC2−DMPE/DiSBAC2(3)で染色する。
【0196】
試薬:
乾燥DMSO中の100mg/mLプルロニックF−127(Sigma#P2443)
乾燥DMSO中の10mMのDiSBAC(3)(Aurora#00−100−010)
乾燥DMSO中の10mMのCC2−DMPE(Aurora#00−100−008)
水中の200mMのABSC1
10mMのHEPES(Gibco#15630−080)が補足されたハンクの平衡塩溶液(Hyclone#SH30268.02)。
【0197】
装填プロトコル:
2X CC2−DMPE=20μMのCC2−DMPE:10mMのCC2−DMPEを、等容積の10%プルロニックで旋回させ、続いて10mMのHEPESを含む必要量のHBSSにおいて旋回させる。各細胞プレートは、5mLの2X CC2−DMPEを必要とする。洗浄された細胞を含むウェルに50μLの2X CC2−DMPEを追加し、10μMの最終染色濃度を得る。細胞を室温にて30分間暗室染色する。
【0198】
ABSC1を有する2X DISBAC(3)=6μMのDISBAC(3)及び1mMのABSC1:必要量の10mMのDISBAC(3)を50mlコニカル管に追加し、作成される溶液の各mLについて1μLの10%プルロニックと混合し、共に旋回させる。次いで、HBSS/HEPESを追加し、2X溶液を作成する。最後に、ABSC1を追加する。
【0199】
化合物プレートを溶媒和するために、2XDiSBAC(3)溶液を使用することができる。化合物プレートは、2X薬剤濃度において作成されることに留意されたい。染色されたプレートを洗浄することにより、再び、50μLの残留容積が残る。2XDISBAC(3)w/ABSC1の50μL/ウェルを追加する。室温にて30分間暗室染色する。
【0200】
電気刺激機器及び使用法が、参考として本明細書で援用される、ION Channel Assay Methods PCT/US01/21652に記載されている。機器は、マイクロタイタープレートハンドラー、クマリン及びオキソノールの放出を同時に記録しながら、クマリン染料を刺激する光学システム、波形生成装置、電流又は電圧制御増幅器、並びにウェルに電極を挿入する装置を含む。統合コンピュータ制御下において、この機器は、ユーザプログラム電気刺激プロトコルをマイクロタイタープレートのウェル内の細胞に渡す。
【0201】
試薬
検定用緩衝液#1
140mMのNaCl、4.5mMのKCl、2mMのCaCl、1mMのMgCl、10mMのHEPES、10mMのブドウ糖、pH7.40、330mOsm
プルロニック保存溶液(1000X):乾燥DMSO中の100mg/mLプルロニック127
オキソノール保存溶液(3333X):乾燥DMSO中の10mMのDiSBAC(3)
クマリン保存溶液(1000X):乾燥DMSO中の10mMのCC2−DMPE
ABSC1保存溶液(400X):水における200mMのABSC1
検定プロトコル
1.検定される各ウェルの中に電極を挿入し、又は電極を使用する。
【0202】
2.電流制御増幅器を使用して、刺激波パルスを3秒送達する。刺激なし強度を得るために、2秒の前刺激記録を実施する。静止状態への緩和を調査するために、5秒の後刺激記録を実施する。
【0203】
データ分析
データを分析し、460nm及び580nmのチャネルにおいて測定したバックグラウンド減算放出強度の正規化比として報告した。次いで、バックグラウンド強度を各検定チャネルから減算した。細胞が存在しない全く同様に処置された検定ウェルから同じ期間中に放出強度を測定することによって、バックグラウンド強度を得る。次いで、時間の関数としての応答を以下の式を使用して得られた比として報告する。
【0204】
【化82】

初期(R)と最終(R)の比を計算することによって、データを更に変形する。これらは、事前刺激期間の一部又は全ての最中と刺激期間中の試料点の最中の平均比の値である。次いで、刺激R=R/Rに対する応答を計算する。
【0205】
テトラカイン等、所望の特性(陽性対照)を有する化合物が存在し、且つ薬剤(陰性対照)が存在しない状態で検定を行うことで、制御応答を得る。陰性対照(N)及び陽性対照(P)に対する応答を上記のように計算する。化合物拮抗薬活性Aを以下のように定義する:
【0206】
【化83】

(式中、Rは、試験化合物の比応答である)。
【0207】
試験化合物のNaV活性及び阻害の電気生理学的検定
パッチクランプ電気生理学を使用して、背根神経節ニューロンにおけるナトリウムチャネル遮断剤の効能及び選択性を評価した。ラットのニューロンを背根神経節から隔離し、NGF(50ng/ml)(B27、グルタミン、及び抗体が補足されたNeurobasalAからなる培養基)が存在する状態で2〜10日培地において維持した。直径の小さいニューロン(侵害受容器、直径8〜12μm)を視覚により識別し、増幅器(Axon Instruments)に結合された微小先端ガラス電極で探査した。「電圧クランプ」モードを使用して、−60mVにおいて細胞を保持する化合物のIC50を評価した。更に、「電流クランプ」モードを使用して、電流注入に応答して活動電位生成を遮断する化合物の効能を試験した。これらの実験の結果は、化合物の効能プロファイルの確定に寄与した。
【0208】
DRGニューロンにおける電圧クランプ検定
パッチクランプ技法の細胞全体変動を使用して、DRG体細胞からTTX耐性ナトリウム電流を記録した。記録は、Axopatch200B増幅器(Axon Instruments)を使用して、壁の厚いガラス電極(WPI;抵抗3〜4MΩ)で室温(約22℃)において行った。細胞全体の構成を確立した後、記録を開始する前にピペット溶液が細胞内において平衡するのに、約15分を要した。電流を2〜5kHzの間で低域通過ろ過し、10kHzにおいてデジタル方式でサンプリングした。直列抵抗を60〜70%補償し、実験にわたって連続的に監視した。細胞内ピペット溶液と外部記録溶液との間の液界電位(−7mV)は、データ分析において説明されなかった。重力駆動高速散布系(SF−77;Warner Instruments)で、試験溶液を細胞に加えた。
【0209】
60秒ごとに1回、実験に特有の保持電位から+10mVの試験電位に細胞を繰り返して脱分極させることによって、電圧クランプモードにおいて投与量応答関係を決定した。遮断効果により、次の試験濃度に進む前に安定状態に達することが可能であった。
【0210】
溶液
細胞内溶液(mM単位):Cs−F(130)、NaCl(10)、MgCl(1)、EGTA(1.5)、CaCl(0.1)、HEPES(10)、ブドウ糖(2)、pH=7.42、290mOsm
細胞外溶液(mM単位):NaCl(138)、CaCl(1.26)、KCl(5.33)、KHPO(0.44)、MgCl(0.5)、MgSO(0.41)、NaHCO(4)、NaHPO(0.3)、ブドウ糖(5.6)、HEPES(10)、CdCl(0.4)、NiCl(0.1)、TTX(0.25×10−3)。
【0211】
化合物のNaVチャネル阻害活性の電流クランプ検定
MultiClamp700A増幅器(Axon Inst)で、細胞全体構成において細胞を電流クランプした。ホウケイ酸ピペット(4〜5 MOhm)に150K−グルコン酸塩、10のNaCl、0.1のEGTA、10のHEPES、2のMgCl(KOHでpH7.34に緩衝されている)(mM単位)を充填した。140のNaCl、3のKCl、1のMgCl、1のCaCl、及び10のHEPES(mM単位)に細胞を浸した。封止形成する前に、ピペットの電位をゼロにした。液体注入電位は獲得中に補正しなかった。室温にて記録を行った。
【0212】
選択される化合物の活性データを表3において以下に示す。
【0213】
表3
「+++」は、1μM未満の活性を意味する。「++」は、1μMと5μMの間の活性を意味する。「+」は、5μMを超える活性を意味する。
【0214】
【化84】

本明細書に記載の実施形態の多くの修正及び変更が、当業者に明らかであるように、範囲から逸脱せずに行われることが可能である。本明細書に記載の特定の実施形態は、単に例示として提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の化学式Iの化合物であって:
【化1】

式中、
環Zが、O、S、N及びNHから選択される少なくとも1つの環ヘテロ原子を有する5〜7員の不飽和環又は芳香族環であって、Zが、最高z個のRの出現で場合により置換され、
zが0〜4であり、
各Rが、R、R、R、R及びRから独立して選択され、
前記SO基が、第1炭素又は第2炭素の何れかに結合し、
前記NR−C(O)−Q−Rが、第3’炭素又は第4’炭素の何れかに結合し、
第3’炭素を含む前記フェニル環が、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OR、SR、S(O)R、SO、NH、N(R、COOR、及びC1−C6の直鎖又は分枝鎖のアルキリジン鎖から選択される最高4個の置換基で場合により置換され、前記アルキリジンの最高2個の非隣接メチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR−、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、又は−NRSONR−によって場合により且つ独立して置き換えられ、
Qが、結合又はC1−C6の直鎖若しくは分枝鎖のアルキリジン鎖であって、Qの最高2個の非隣接メチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR−、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、−NRSONR−、又はスピロシクロアルキレン部分によって場合により独立して置き換えられ、
が、C1−6脂肪族基、O、S、N及びNHから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、又は完全不飽和の単環式環、或いはO、S、N及びNHから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、又は完全不飽和の2環式環系であり、
が、R、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換され、
及びRが、それぞれ独立してRであり、
が、オキソ、=NN(R、=NN(R、=NN(R)、R、又は(CH−Yであり、
nが0、1又は2であり、
Yが、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COOR、又はORであるか、或いは、
隣接する環原子上の2つのRが一緒になって、1,2−メチレンジオキシ又は1,2−エチレンジオキシを形成し、
が、水素又はC1−C6脂肪族であって、各Rが、R、R及びRから独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換され、
が、R、R、R及びRから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、
が、
【化2】

【化3】

であり、
が、最高3個のR置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、
が、H又はC1−C6脂肪族であって、Rが、R置換基で場合により置換され、
が、C3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、各Rが、H、C1−C6脂肪族、又は(CH−Z’(式中、mが0〜2である)から独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換され、
Z’が、ハロ、CN、NO、C(ハロ)、CH(ハロ)、CH(ハロ)、−OC(ハロ)、−OCH(ハロ)、−OCH(ハロ)、OH、S−(C1−C6)脂肪族、S(O)−(C1−C6)脂肪族、SO−(C1−C6)脂肪族、NH、NH−(C1−C6)脂肪族、N((C1−C6)脂肪族)、N((C1−C6)脂肪族)R、COOH、C(O)O(−(C1−C6)脂肪族)、及びO−(C1−C6)脂肪族から選択され、
が、アセチル、C6−C10アリールスルホニル、又はC1−C6アルキルスルホニルであるが、
但し、R及びRが共に水素であり、且つQが結合である場合に、Rがメチルでないことを条件とする、
化合物;或いはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Zが、以下から選択される場合により置換される環である、請求項1に記載の化合物:
【化4】

【化5】


【請求項3】
Zが以下から選択される、請求項2に記載の化合物:
【化6】


【請求項4】
zが0〜2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
各Rが、R、R及びRから独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
各Rが、水素、ハロ、OR、C1−C6脂肪族、並びにC3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、及びC5−C10ヘテロアリール環から独立して選択される場合により置換される基から独立して選択され、前記脂環式、前記アリール、前記複素環式、又は前記ヘテロアリールが、R、R、R及びRから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
各Rが、水素、ハロ、O(C1−C6アルキル)、C1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル、及びフェニルから独立して選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
Qが、結合、及びC1−C6直鎖又は分枝鎖のアルキリデン鎖から選択され、前記アルキリデンの最高2個のメチレン単位が、O、S、OCO、NH、N(C1−C4アルキル)、又はスピロシクロアルキレン基によって独立して置き換えられる、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Qが−X−(X−であり、
式中、
が、結合、又はR、R及びRから独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換されるC1−C6脂肪族であり、
pが0又は1であり、
が、O、S又はNRである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、結合、C1−C6アルキル、又はC2−C6アルキリデンであり、前記アルキル及びアルキリデンが、R又はRで独立して且つ場合により置換される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が、結合、−CH−、−CH−CH−、−(CH−、−C(Me)−、−CH(Me)−、−C(Me)=CH−、−CH=CH−、−CH(Ph)−、−CH−CH(Me)−、−CH(Et)−、及び−CH(i−Pr)−から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
が、場合により置換されるC1−6脂肪族である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
が、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、及びC(O)C1−4アルキルから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、場合により置換されるフェニル又はナフチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
が、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、及びC(O)C1−4アルキルから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換される、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
が以下から選択される、請求項17に記載の化合物:
【化7】

【化8】

【化9】


【請求項19】
が、場合により置換される3〜8員の脂環式環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルから選択される場合により置換される環である、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
が、O、S、N及びNHから独立して選択される最高3個のヘテロ原子を含む、場合により置換される5〜6員の単環式、不飽和、部分置換、又は芳香族の環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
が、以下から選択される場合により置換される環である、請求項21に記載の化合物:
【化10】

【化11】


【請求項23】
が、場合により置換されるフェニル環に場合により縮合される、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
が、場合により置換される8〜10員の2環式、複素環式、又は複素環式芳香族の環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
が、以下から選択される場合により置換される環である、請求項24に記載の化合物:
【化12】

【化13】


【請求項26】
が、3−クロロ−フェン−1−イル、4−クロロ−フェン−1−イル、3−メトキシ−フェン−1−イル、2−フルオロ−フェン−1−イル、4−フルオロ−インドール−1−イル、及び8−トリフルオロメチル−キノール−4−イルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
前記化合物が以下の化学式IIから構成され:
【化14】

式中、Z、Q及びRが上に定義されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
前記化合物が、以下の化学式IIIから構成され:
【化15】

式中、Q及びRが上に定義されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
表1から選択される化合物。
【請求項30】
請求項1又は29に記載の化合物、及び薬学的に許容される担体、補助剤、又はビヒクルを含む、薬学的組成物。
【請求項31】
(a)患者、又は
(b)生物学的試料
において、NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、若しくはCaV2.2の活性の1つ以上を阻害する方法であって、
以下の化学式Iの化合物であって、
【化16】

式中、
環Zが、O、S、N及びNHから選択される少なくとも1つの環へテロ原子を有する5〜7員の不飽和又は芳香族環であって、Zが、最高z個のRの出現で場合により置換され、
zが0〜4であり、
各Rが、R、R、R、R及びRから独立して選択され、
前記SO基が、第1炭素又は第2炭素の何れかに結合し、
前記NR−C(O)−Q−Rが、第3’炭素又は第4’炭素の何れかに結合し、
第3’炭素を含む前記フェニル環が、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OR、SR、S(O)R、SO、NH、N(R、COOR、及びC1−C6の直鎖又は分枝鎖のアルキリジン鎖から選択される最高4個の置換基で場合により置換され、前記アルキリジンの最高2個の非隣接メチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、又は−NRSONR−によって場合により且つ独立して置き換えられ、
Qが、結合又はC1−C6の直鎖若しくは分枝鎖のアルキリジン鎖であって、Qの最高2個の非隣接メチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO−、−SO−、−NR−、−SONR−、−NRSO−、−NRSONR−、又はスピロシクロアルキレン部分によって場合により独立して置き換えられ、
が、C1−6脂肪族基、O、S、N及びNHから独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員の飽和、部分不飽和、又は完全不飽和の単環式環、或いはO、S、N及びNHO、S、N及びNHから独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する8〜12員の飽和、部分不飽和、又は完全不飽和の2環式環系であり、
が、R、R、R、R及びRから選択される最高4個の置換基で場合により置換され、
及びRが、それぞれ独立してRであり、
が、オキソ、=NN(R、=NN(R、=NN(R)、R、又は(CH−Yであり、
nが0、1又は2であり、
Yが、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COOR、又はORであるか、或いは、
隣接する環原子上の2つのRが一緒になって、1,2−メチレンジオキシ又は1,2−エチレンジオキシを形成し、
が、水素又はC1−C6脂肪族であって、各Rが、R、R及びRから独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換され、
が、R、R、R及びRから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、
が、
【化17】

【化18】

であり、
が、最高3個のR置換基で場合により置換されるC3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、
が、H又はC1−C6脂肪族であって、Rが、R置換基で場合により置換され、
が、C3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、又はC5−C10ヘテロアリール環であり、各Rが、H、C1−C6脂肪族、又は(CH−Z’(式中、mが0〜2である)から独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換され、
Z’が、ハロ、CN、NO、C(ハロ)、CH(ハロ)、CH(ハロ)、−OC(ハロ)、−OCH(ハロ)、−OCH(ハロ)、OH、S−(C1−C6)脂肪族、S(O)−(C1−C6)脂肪族、SO−(C1−C6)脂肪族、NH、NH−(C1−C6)脂肪族、N((C1−C6)脂肪族)、N((C1−C6)脂肪族)R、COOH、C(O)O(−(C1−C6)脂肪族)、及びO−(C1−C6)脂肪族から選択され、
が、アセチル、C6−C10アリールスルホニル、又はC1−C6アルキルスルホニルである、
化合物;或いはその薬学的に許容される塩を、前記患者に投与すること、或いは前記生物学的試料と接触させることを含む、方法。
【請求項32】
Zが、以下から選択される場合により置換される環である、請求項31に記載の方法:
【化19】

【化20】


【請求項33】
Zが以下から選択される、請求項32に記載の方法:
【化21】


【請求項34】
zが0〜2である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
各Rが、R、R及びRから独立して選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
各Rが、水素、ハロ、OR、C1−C6脂肪族、並びにC3−C8脂環式環、C6−C10アリール環、C3−C8複素環式環、及びC5−C10ヘテロアリール環から独立して選択される場合により置換される基から独立して選択され、前記脂環式、前記アリール、前記複素環式、又は前記ヘテロアリールが、R、R、R及びRから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換される、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
各Rが、水素、ハロ、O(C1−C6アルキル)、C1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル、及びフェニルから独立して選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
が水素である、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
が水素である、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
Qが、結合、及びC1−C6直鎖又は分枝鎖のアルキリデン鎖から選択され、前記アルキリデンの最高2個のメチレン単位が、O、S、OCO、NH、N(C1−C4アルキル)、又はスピロシクロアルキレン基によって独立して置き換えられる、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
Qが−X−(X−であり、
式中、
が、結合、又はR、R及びRから独立して選択される最高2個の置換基で場合により置換されるC1−C6脂肪族であり、
pが0又は1であり、
が、O、S又はNRである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
が、結合、C1−C6アルキル、又はC2−C6アルキリデンであり、前記アルキル及びアルキリデンが、R又はRで独立して且つ場合により置換される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
が、結合、−CH−、−CH−CH−、−(CH−、−C(Me)−、−CH(Me)−、−C(Me)=CH−、−CH=CH−、−CH(Ph)−、−CH−CH(Me)−、−CH(Et)−、及び−CH(i−Pr)−から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
が、場合により置換されるC1−6脂肪族である、請求項31に記載の方法。
【請求項45】
が、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、及びC(O)C1−4アルキルから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
が、場合により置換されるフェニル又はナフチルである、請求項31に記載の方法。
【請求項47】
が、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C1−C4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、及びC(O)C1−4アルキルから独立して選択される最高3個の置換基で場合により置換される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
が以下から選択される、請求項47に記載の方法:
【化22】

【化23】

【化24】


【請求項49】
が、場合により置換される3〜8員の脂環式環である、請求項31に記載の方法。
【請求項50】
が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルから選択される場合により置換される環である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
が、O、S、N及びNHから独立して選択される最高3個のヘテロ原子を含む、場合により置換される5〜6員の単環式、不飽和、部分置換、又は芳香族の環である、請求項31に記載の方法。
【請求項52】
が、以下から選択される場合により置換される環である、請求項51に記載の方法:
【化25】

【化26】


【請求項53】
が、場合により置換されるフェニル環に場合により縮合される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
が、場合により置換される8〜10員の2環式、複素環式、又は複素環式芳香族の環である、請求項31に記載の方法。
【請求項55】
が、以下から選択される場合により置換される環である、請求項54に記載の方法:
【化27】

【化28】


【請求項56】
が、3−クロロ−フェン−1−イル、4−クロロ−フェン−1−イル、3−メトキシ−フェン−1−イル、2−フルオロ−フェン−1−イル、4−フルオロ−インドール−1−イル、及び8−トリフルオロメチル−キノール−4−イルから選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項57】
前記化合物が、以下の化学式IIを有し:
【化29】

式中、Z、Q及びRが上に定義されている、請求項31に記載の方法。
【請求項58】
前記化合物が、以下の化学式IIIを有し:
【化30】

式中、Q及びRが上に定義されている、請求項31に記載の方法。
【請求項59】
前記化合物が、化学式IIを有する、請求項31に記載の方法。
【請求項60】
急性、慢性、神経障害性若しくは炎症性の疼痛、関節炎、偏頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、疱疹性神経痛、全身性神経痛、てんかん若しくはてんかんの病態、神経変性疾患、不安及び抑うつ等の精神障害、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、失調症、多発性硬化症、過敏性腸症症候群、失禁症、内臓痛、変形性関節炎痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、腰痛、頭頚部痛、激痛若しくは難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後痛、発作、双極性障害、及び癌性疼痛から選択される疾患、障害又は病態を処置するか、又はこれらの重篤度を軽減する方法であって、有効量の化学式I、化学式IIに記載の化合物、又は請求項30に記載の組成物を前記患者に投与する手順を含む、方法。
【請求項61】
前記化合物が、請求項1又は29に記載の通りである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記疾患、病態又は障害が、電位依存性ナトリウムチャネルの活性化又は機能亢進に関係する、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記疾患、病態又は障害が、根性痛、坐骨神経痛、腰痛、頭痛、頚部痛、又は神経障害である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記疾患、病態又は障害が、激痛若しくは難治性疼痛、急性疼痛、術後痛、腰痛、又は癌性疼痛である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記疾患、病態又は障害が、電位依存性カルシウムチャネルの活性化又は機能亢進に関係する、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記疾患、病態又は障害が、急性、慢性、神経障害性、炎症性の疼痛、又は炎症性突出痛である、請求項65に記載の方法。

【公表番号】特表2009−511599(P2009−511599A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535728(P2008−535728)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/040156
【国際公開番号】WO2007/047474
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】