説明

電位差の縮小および適正化による生体機能の改善法

【課題】 加齢と共に生体内の見掛けの電位差が増大し、様々な生体機能が低下していく.この電位差を縮小し、適正化して生体機能の改善を図る.
【解決手段】 (1)2種類以上の炭素を含む異種金属を重ね合わせシート状の複合体とし、これを電極として電位差を生じている生体に近接させ、発生した電圧を印可して見掛けの電位差を中和、縮小させ、適正な電位差に維持して生体機能を改善する.
(2)炭素または金属材料で出来た電極を、電位差を生じている生体に近接させ、外部電源から10ボルト以下1ミリボルト以上の電圧を印可して見掛けの電位差を中和、縮小させ、適正な電位差に維持して生体機能を改善する.

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痛風などの疼痛、結石、浮腫、骨粗鬆症など電位差に直接あるいは間接的に起因する生体異常の改善に関する.
【背景技術】
【0002】
生体には微小電流が流れており、これが筋肉や神経を刺激して生体の活動を支えている.この生体電流の働きについては、心臓、筋肉、脳など個別の生体部位では詳しく解明され健康状態の診断や筋肉に刺激を与えるなどの治療に応用されている.このような個別部位の生体電流の他に、複雑な回路を経由して生体には見掛け上の電位差も生じている.この電位差が加齢と共に大きくなり生体機能を低下させるようになる.例えば、正電位の所では酸性物質の溶解度低下に伴う結晶質あるいは非晶質の物質の析出、塩基性物質の溶出、負電位の所ではカルシュウムなど陽イオン物質の溶出、塩基性物質の溶解度低下に伴う結晶質あるいは非晶質の物質の析出などの現象が起こっている.また微生物の実験例では、900ミリボルト程度の電気環境で細胞破壊が起こる事も知られており、腫瘍などの原因の一つとなっている疑いがある.この他、パーキンソン病は脳内の一部の物質が溶出し減少する事が原因とされており、これも電位差が関与している可能性が高い.これらの生体機能の異常に対しては、薬物や手術などの対症療法による医療が中心となって改善する努力が払われてきたが、見掛けの電位差の面からの研究例はなく、電気刺激を生体に与えて種々の痛みや筋肉のこりを緩和することなどが行われているだけである.その方法も外部電源や化学電池を利用したり、磁石を利用した電磁誘導あるいはゲルマニウムなど半導体の電子放出現象を利用して電気刺激を患部に与えるものである.
【特許文献】特表2000−507116
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで見掛けの電位差とは、生体の異なる場所の間に生じている電位差をいう.本特許上では、生体表面にて観測される電位差を数値で示してある.十代以下の健康な若年者は、この電位差は約20ミリボルト以下と比較的小さい.しかし加齢と共にこの電位差は大きくなる傾向がある.例えば年齢73歳の本発明者の例では、両眼間65ミリボルト、口腔の左右間40ミリボルト、胸の上下間100ミリボルト、腹部150ミリボルト、両足先40ミリボルト、足親指関節付近20ミリボルトの電位差を観測した.他の人の例では、両耳間の電位差が500ミリボルトにも達することを経験した.この場合は、両耳に慢性の炎症が有り、液体の分泌物が認められ異常に高い電位差が発生しているようである.この電位差は、時間帯によって変化が認められるが最大値は余り変わらない様である.体内に異常が有る部位付近では、この電位差は大きくなる.出血部など体液の分泌する部位付近は特に大きくなる傾向が有る.生体の見掛けの電位差は、負の部位付近では、骨の構成成分であるカルシウムなどのミネラル分を溶出させ骨粗鬆症を引き起こしたり、塩基性物質が析出して結石や血管の狭小化を起こしたり血液の高粘度化の原因となる.電位差が正の部位では、水素イオン濃度が高くなり尿酸や脂肪酸などの酸性物質の溶解度が低下して固体として析出し、痛風や結石、ひいては血液の高粘度化の原因となっている.脂肪分、蛋白質やコレステロールの沈着ならびに代謝能力の低下などの原因にもなっている.これらの正負電位差による沈着物は、体表面にシミなどの形で現れ美容面でも問題となっている.本発明は、この体電位差を縮小し適正化を図って、これらの生体異常を予防し改善する事を課題としている.さらに微生物の研究結果からは、多くの微生物が900ミリボルト程度の微弱な電気的環境下で細胞破壊を起こし死滅する事が分っている.このような事象から癌や潰瘍と電位差の因果関係も否定できない.このような懸念に対しても予防効果を期待するものである.
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、生体の見掛け上の電位差を縮小し適正化を図って、生体機能の改善を図るものである.
この為の手段は、炭素材料を含む異種金属を複合化したシート状の電極を電位差のある生体に近接させて配置し電位差を中和する方法、導体材料単体を電極として電位差の生じている生体付近に配置し、この導体に外部電源から電気を供給して電位差を中和する方法の二方法によって行う.
見掛けの電位差は、5ミリボルト以上を対象として電圧を印加し電位差を中和するが、その後、電位差が縮小して5ミリボルト未満となっても予防的に電圧を印加し、生体機能の維持を図ることになる.例えば、シミは不溶化した血液などの蛋白質が皮膚の内側に部分的に堆積し異色となって現れたものである.この変色部に200ミリボルト程度の正電圧を印加すると、蛋白質は溶出して体液中に拡散して無くなる.その跡は、皮膚の内側に空間となって薄く着色が残るが、暫くすると組織が再生して空間が消滅し殆ど目立たなくなる.その後は予防的に電圧を印加し続けるとシミは再発しなくなる.
【0005】
炭素材料を含む異種金属を複合化した電極を生体に配置し電位差を中和する方法は、互いに電極電位の異なる板、箔、網、塗膜などのシート状の導体材料を少なくとも2種類重ね合わせて平面状に複合化し、生体、例えば足裏、頭、乳頭付近の胸部や各関節部付近に近接して配置し体電位差を中和する方法である.電極材料の組み合わせ例としては、織布補強炭素塗膜とアルミニウム箔、真鍮箔とアルミニウム箔あるいはステンレスメッシュとアルミニウム箔などが入手し易く使い易い.各電極の正負は、組み合わせた導体材料の電極電位によって決まる.例えばステンレス鋼とアルミニウムではステンレス鋼が電子を受動する正電極となる.生体に配置する時は、正負二個の電極を生体の異なる位置に配置しても、正または負電極単独を配置しても良い.例えば、左右の足裏に正電極単独を配置する事や、このとき同時に負電極を頭部に配置するなどのことを行う事が出来る.導体材料を重ね合わせて複合化する時は、接着剤や粘着剤を使用する.接着剤や粘着剤は、被着体の全面に適用しても、周辺など部分的に用いても良い.導体材料を補強する為に布や不織布やPETシートのような材料を導体間や背面さらに生体間に介在させたりしても良い.PETシートは電気絶縁性が高度なので生体間には出来るだけ使用しない.また複合化は、縫製その他の機械的接合技術を適用する事も可能である.生体に近接させる方法は、体電位差の発生している生体付近に、この複合体を配置して行う.この複合体は、未使用時には電圧は生じていないが、生体に近接した時には、最大で600ミリボルト程度の電圧を得ることが可能である.生体付近の僅かなイオン伝導性を有する水分を吸収して発電するものと推測される.予め、このようなイオン伝導性の物質を複合化された金属シートの内部に封止しても発電は可能である.例えば正電極の炭素の補強材として繊維類を使うと、繊維類は吸湿し易く、空気中から平衡水分を予め含有することになる.この場合は非着用時にも発電し電池としての寿命が短くなるが、発電の立ち上がりは早くなる.このようなイオン伝導性物質を電極内部に人為的に含ませる事も本特許の範囲に含まれる.生体に印加する電圧は、生体電位差が正のときは負電圧を、負のときは正電圧を印可する事を標準とするが、足裏などの場合は、正負どちらでも良い.経験的には、正電圧のほうが好ましい.地球上には地電流が流れており、正の電位差を示す.古代、履物を着用していなかった時代は、足裏に直接、正電圧の地電流が印加されていたことになる.履物には電位差は観測されないので、現代人には、地電流は殆ど影響を及ぼしていない.そこで足裏には正の電位差となる様に電圧を印加するのが良い.100ミリボルト前後が地電流の電圧にほぼ匹敵するので、複合体から印可する電圧も同程度にするのが良い.この場合は、電位差を縮小するのではなく、電位差を適正化する例となる.これらの複合体は、生体に複数個設置しても良い.例えば、足裏に正電極、頭部に負電極を設置したり、数カ所の関節付近に複数個の電極を配置することが出来る.複合体電極の大きさは、設置する場所によって異なる.爪周りは爪より数mm大きく、足裏は足裏の寸法より5ないし10mm小さくする.頭部は、最大で頭全体が覆われる程度、最小大きさは頭部面積の5分の1程度にする.シミなどは、その大きさにほぼ等しい大きさが良い.導体材料の厚さは、1mm以下50μ程度までが好ましい.強度が保持できれば、出来るだけ薄いほうが生体の形状に追随して電極が変形し、互いに密着し易いので効果的である.印可時間は、1日4ないし5時間以上が好ましく、風呂や睡眠時には外しても良い.あるいは睡眠時だけ着用する事もよい.着用時間は効果をみながら調節する事になる.電極を生体に配置する方法は、粘着テープや医療用サポーターなどの補助具によるほか、靴下や靴の中あるいはナイトキャップや腹巻などに入れて行う.結石やコレステロールなどの溶出を行う場合などは、体内の上皮や血管付近に電極を設置する事も出来る.
【0006】
二つ目の方法、即ち導体材料を電位差のある生体に配置し、外部電源より電気を印可して電位差を中和、縮小ならびに適正化する方法は、単体の導体材料を電極とし、電位差のある生体に近接して配置し、外部電源を接続して電気を印可する.印可する電極は正負二個の電極を組み合わせて行う.配置する場所は、前記複合体電極に準じて行う.外部電源からの印加電圧は、最大で10ボルト、好ましくは200ミリボルトから1ミリボルトの範囲で生体の電位差によって調節する.通常は生体の電位差とほぼ同程度か、それ以下の電位差で、生体の電位差と逆電位となる様に印可する.印可することによって電位差が出来るだけ零に近くなる様に外部電源の電圧を調整する.電圧の印加は生体の電位差が5ミリボルト以上のときに行う事を標準に考える.予防的に印加する時は、5ミリボルト以下の状態でもよい.いずれの場合も症状を勘案して決めることになる.関節痛などの改善には、患部の電位差を逆転させて痛みの消失を図り、その後、電位差が出来るだけ少なくなるように調節することもよい.電極の大きさは、前記複合体電極に準ずるほかコインや錠剤状あるいは針状など他の用途で一般的に使われている電極形態で良い.針状の場合は、生体の表面ばかりでなく、生体内に刺すことも可能となる.
【発明の効果】
【0007】
見掛けの電位差を調節する事によって、痛風を含む種々の関節痛を痛みから解放または軽減する事が出来る.また肥満などの代謝不全も、沈着した脂肪、蛋白質やコレステロールを溶液化して代謝を容易にする事が出来る.白内障症状や老眼の軽減もみられた.眼球内に析出した成分が、電位差の調整によって溶解し白内障の症状を軽減するためと思われる.浮腫や逆流性食道炎に対しても有効である.逆流性食道炎の場合は、関連する括約筋が電位差と関連して活発に活動可能となるためと推測される.慢性の炎症にも効果が認められ、本発明者の一人の例では、炎症の患部からの分泌物の発生がなくなった.大腸の活動も活発になり規則的で健康な排泄が行われる.目やになども出難くなる.左右二つの器官、例えば左右の眼や左右差の有る疾患、例えば帯状疱疹や水虫の症状も軽減可能となる.頭部に装着すると眠気防止の効果も見受けられた.電位差は脳の活動にも影響している様である.手の震えなども無くなった例が経験されている.電極を外し睡眠すると熟睡効果も感じられる.皮膚表面のシミも色が薄くなり、目立ち難くなると同時に新しく発生する事を予防する.これは電位差によって沈着した有色の蛋白質が電位差の縮小によって、体液中に対する溶解度が上昇し溶出した結果と考えられる.薄くなった頭髪の発毛や白髪も黒変するなどの効果も観察された.このように生体が微弱な電位差によって大きく影響を受ける事が判明し、今後新しい健康維持や医療の方法が開けるものと期待される.なお複合体電極を靴底に入れた時は、足裏が仄かに温かく感じられて防寒の効果も有った.
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
具体的な実施例をもって説明する.
【実施例1】
左眼と右眼の外側に直径10ミリのアルミニウム箔を粘着テープで貼り、アルミニウム線を通して電気的に導通させる.これにより、左右の眼の間に有った60ミリボルトの電位差が5ミリボルトに減った.この結果、本発明者の場合は、24時間後には軽度の老眼と白内障がほぼ解消した.
【実施例2】
右足親指に、木綿製の指サックを被せる.この指サックの内面に、予め厚さ0.05mmのアルミニウム箔を被覆し、更にその外側に黒鉛粉と膠から出来た導電性塗料を約0.05mm塗布しておく.本発明者の場合は1ないし2日の着用で痛風による痛みが消失し再発する事はなかった.また約2ヶ月で爪水虫も消失した.この電極の最大電圧は350ミリボルトであった.印加2ヶ月後の電極付近の生体電位差は、ほぼ0ミリボルトであった.
【実施例3】
頭髪上の白髪部に、厚さ0.5mmの黒鉛シートと0.02mmのアルミニウム箔を両面粘着テープで部分的に貼り合わせた複合シートを、アルミニウム面を頭髪に接する様に被せたところ、本発明者の場合は約40時間で頭髪の色がやや黒色を呈し、剥げた所にも部分的に産毛が生えて来た.白髪の髭部に黒い発毛が多数見受けられた.顔面のシミも薄くなり目立たなくなった.頭部には緊張感を伴った刺激があり、眠気の防止効果もあった.この時の最大電圧は350ミリボルトであった.印加40時間後の電極付近の生体電位差は、ほぼ0ミリボルトであった.
【実施例4】
厚さ0.05mmのアルミニュウム箔と0.1mmのステンレス鋼(18−8)を部分的に縁を両面粘着テープで貼り合せて足型状に加工したシート状の複合体を靴下の中にステンレス鋼の面を足裏に接するように上にして入れておく.この状態で生活を続けた所、1日後には足ふくらはぎの浮腫が消滅した.約1ヶ月後には、足裏の水虫も消滅した.この時の最大電圧は200ミリボルトであった.足裏の左右の電位差は、試験開始前40ミリボルトであったものが、試験開始後は、ほぼ0ミリボルトであった.
【実施例5】
実施例4の状態で、実施例3の複合体を頭部最高部に、頭部面積の約5分の1の円形状複合体を覆って生活した結果、本発明者の場合2日後から逆流性食道炎による胸焼けがほぼ解消した.また胆管結石による疼痛や不快感が解消し、結石が縮小する傾向にあるという感触が得られた.また老人に良く見られる手の震えや背中の丸まりなども改善され、散歩など運動に意欲を感じるようになった.
【実施例6】
実施例4の電極を夜間、睡眠時にも着用した所、排尿の回数が一晩3回以上あったものが1回以下に減少した.
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明による電極は構造が簡単で安価に製造可能である.着用も簡単で負担を感じない.費用対効果も在来の方法より格段に優れている.このような観点から見て、生体の見掛けの電位差という新しい切り口から健康や医療面で広範囲に応用されることが期待出来るので、地球規模の大きな産業が形成できると考えている.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に、2種類の電極電位の異なる炭素および金属材料を直接または間接的に重ね合わせてシート状の複合体とした電極を配置し、発生した起電力を印可して生体の見掛けの電位差を縮小し適正化して、生体機能を改善する方法.
【請求項2】
生体に、炭素または金属材料からなる正および負の電極を配置し、これに外部直流電源から10ボルト以下1ミリボルト以上の電圧を印可して生体の見掛けの電位差を縮小し適正化して、生体機能を改善する方法.

【公開番号】特開2008−119426(P2008−119426A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331175(P2006−331175)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(395012064)
【出願人】(506407626)
【Fターム(参考)】