説明

電位治療装置

【課題】 高度な電気絶縁を必要とすることなく、高圧変圧器の二次側から低電圧電源を容易に得ることが可能な電位治療装置を提供する。
【解決手段】 高圧変圧器51から出力される高電圧を利用して電界を形成し治療を行う電位治療装置1において、高圧変圧器15の二次側に電位が異なる複数の出力端子52、53を形成し、複数の出力端子のうち高電位となる出力端子53をフットレスト3の治療用電極4に接続し、高電位となる出力端子53に対して低電位差となる出力端子52にパイロットランプ6を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電界を利用して治療を行う電位治療装置に関し、とくに高圧変圧器の二次側から低電圧電源を容易に得ることが可能な電位治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電位治療装置は、絶縁された人体に高電圧を与え、人体周囲に形成された電界による生体治療刺激作用を利用して、治療を行うものである。このような電位治療装置には、被治療者が椅子に座った際に足を載せられるフットレスト(足載せ台)に足部電極を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、足部電極に高電圧を印加することで、被治療者の人体の周囲に電界を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−123405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電位治療装置は高電位を印加して使用するため、使用に際しては被治療者への注意喚起が望まれる。例えば、被治療者への注意喚起のために、高電位が印加されていることを表示するためのパイロットランプなどを治療用電極の近くに設ければ、被治療者は高電位が印加されていることを容易に判断できる。
【0005】
しかし、パイロットランプは低電圧で動作する電子素子(低電圧動作素子)であるため、パイロットランプを治療用電極の近くに設けるためには、高度の電気絶縁が要求される。すなわち、電位治療装置の治療用電極には高圧変圧器によって数千ボルト以上の高電圧が印加されるため、低電圧で使用される一般的な電子素子を利用した電子回路を治療用電極の近くに設ける場合は、商用電源からの電力供給による低電圧電源を高電圧から絶縁しなければ、絶縁破壊やリークが生じてしまい、商品化には技術的な困難が伴うという問題がある。そのため、従来においては、高圧変圧器の一次側電圧を使用して、実際の高電圧発生を間接的に表示せざるを得なかった。
【0006】
そのため、従来においては、高電位が印加されていることを表示するのに、高圧変圧器の一次側の通電状態をパイロットランプで表示させるしかなく、高電位が発生しているか否かの直接的な表示ではなかった。
【0007】
このほか、電位治療器にあっては、ヒータや他の機能(マッサージ機能など)を実現するために低電位動作素子を設けたい場合もある。
【0008】
そこでこの発明は、高度な電気絶縁を必要とすることなく、高圧変圧器の二次側から低電圧電源を容易に得ることが可能な電位治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、高圧変圧器から出力される高電位を利用して電界を形成し治療を行う電位治療装置において、該電位治療装置には高電位が印加される複数の出力端子を備え、これら出力端子の少なくとも1つを治療用電極に接続し、該治療用電極に接続された出力端子とこの出力端子に対して低電位差となる他の出力端子との間に低電圧動作素子を接続したことを特徴とする電位治療装置である。
【0010】
この発明によれば、高圧変圧器の高電位の出力端子を介して治療用電極に高電圧が印加され、低電圧動作素子は、高電位の出力端子と、この出力端子に対して低電位差を有する出力端子との電圧により動作する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電位治療装置において、前記高圧変圧器は、二次側に高電圧を誘起させる高電位巻線と該高電位巻線に隣接する低電圧巻線を有しており、前記高電位巻線と前記低電圧巻線は高インピーダンス素子を介して接続されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の電位治療装置において、前記低電圧動作素子は、前記治療用電極への高電圧印加時に点灯するパイロットランプであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、高圧変圧器の二次側に電位が異なる出力端子を複数形成したので、出力端子間の電位差を利用して低電圧電源を得ることが可能なり、高度な電気絶縁を必要とすることなく、注意喚起のための低電圧動作素子を動作させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、高電位巻線と低電圧巻線とを高インピーダンス素子を介して接続しているので、治療用電極へ許容値を超える電流が流れるのを防止することが可能となり、感電に対するリスクを低減することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、低電圧動作素子は治療用電極への高電圧印加時に点灯するパイロットランプであるので、目視により治療用電極への高電圧印加が容易に判断でき、使用時の際の高電圧に対する注意喚起を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係わる電位治療装置の概略等価回路図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる電位治療装置の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる電位治療装置の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる電位治療装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0018】
図1ないし図4は、本発明の実施の形態を示しており、そのうち図2は電位治療装置1の側面図を示している。図2に示すように、電位治療装置1は、主として、被治療者Cが座る椅子2と、被治療者Cが椅子2に座った際に足を載せられるフットレスト3と、該フットレスト3に内蔵され被治療者Cを高電位にするための治療用電極4と、該治療用電極4に高電圧を供給する高電圧発生ユニット5とを備えている。
【0019】
椅子2は、座部21と、背もたれ22と、左右のサイドウォール24,24とで構成され、これらの全体が絶縁物(表層材)で覆われている。また、サイドウォール24の上面部には、リモートコントローラ27が設けられている。
【0020】
フットレスト3は、座部21の前方の床面F上に配置されている。フットレスト3は絶縁物で覆われており、その内部に電界を形成するための治療用電極4が埋設されている。また、フットレスト3には、高電圧に対する注意喚起を高める低電圧動作素子としてのパイロットランプ6が設けられている。
【0021】
図1は、高電圧発生ユニット5を示している。高電圧発生ユニット5は、高圧変圧器51を有している。高圧変圧器51の鉄心51aには、一次側巻線51bと、二次側巻線としての高電位巻線51cおよび低電圧巻線51dが巻きつけられている。一次側巻線51aは、リモートコントローラ27に収納されたスイッチを介して商用電源Vに接続されている。低電圧巻線51dは、高電位巻線51cに対して隣接して配設されている。
【0022】
高圧変圧器51の高電位巻線51cの一端は一次側巻線51bの一端に接続され、また、他端は第1の出力端子53に高インピーダンス素子55を介して接続されている。
【0023】
高圧変圧器51の低電圧巻線51dの一端は、第1の出力端子53に接続され、他端(高インピーダンス素子55と反対側の端部)は第2の出力端子52に接続されている。
【0024】
これにより、高圧変圧器51の二次側には、電位が異なる2つの出力端子52、53が形成されていることになり、前記第1の出力端子53は治療用の高電位を印加するための出力端子として、また、この第1の出力端子53と第2の出力端子52との間には所定の電圧を印加する出力端子として機能する。
【0025】
すなわち、第1の出力端子53はフットレスト3の治療用電極4に接続されているとともにパイロットランプ6の一端に接続されている。また、第2の出力端子52はパイロットランプ6の他端に接続されている。
【0026】
高電圧発生ユニット5を作動させると、電磁誘導作用により二次側巻線としての高電位巻線51cおよび低電圧巻線51dには、高い電位が誘起する。この実施の形態においては、第1の出力端子53の電位E1は、例えば9000Vとなるように設定されており、第2の出力端子52の電位E2は、例えば9010Vとなるように設定されている。
【0027】
なお、パイロットランプ6は、消費電力が少なくかつ長寿命である発光ダイオード(LED)から構成するのが望ましい。
【0028】
次に、このような構成の電位治療装置1の作動手順および作用について説明する。
【0029】
まず、被治療者Cが椅子2に座り、例えば、図2に示すように、足をフットレスト3に載せた状態で、高電圧発生ユニット5を作動させると、第1の出力端子53に接続された治療用電極4は9000Vに印加され、被治療者Cが高電位にされるとともに、被治療者Cの人体の周囲に電界が形成され、この電界によって治療がなされる。
【0030】
また、この状態においては、第1の出力端子53の電位E1と第2の出力端子52の電位E2との電位差は10Vとなるので、この電位差によってパイロットランプ6を点灯させることができる。すなわち、この実施の形態においては、高圧変圧器51の二次側における複数の出力端子間の電位差を利用して低電圧電源を得るようにしているので、高度な電気絶縁を必要とすることなく、低電圧の電子素子であるパイロットランプ6を点灯させることができる。
【0031】
このように、電位治療装置1は高電圧を印加した状態で使用するため、被治療者Cへの注意喚起のためにパイロットランプ6を治療用電極の近くに設けることにより、被治療者Cは目視により治療用電極4への高電圧印加が容易に判断でき、使用時の際の高電圧に対する注意喚起を高めることができる。また、高電位巻線51cと低電圧巻線51dとを高インピーダンス素子55を介して接続しているので、フットレスト3内の治療用電極4へ許容値を超える電流が流れるのを防止することが可能となり、感電に対するリスクを低減することができる。
【0032】
以上、この発明の実施形態について説明したが、具体的な構成は、本実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、この実施の形態では、パイロットランプ6を単なる点灯としているが、パイロットランプ6を点滅させる構成であってもよい。また、パイロットランプ6は、フットレスト3の治療用電極の近くだけでなく、他の治療用電極の近くに設ける構成としてもよい。さらに、低電圧動作素子としての足温用ヒータをフットレスト3に設け、第1の出力端子53と第2の出力端子52の電位差で足温用のヒータを動作させるようにすれば、冬季における電位治療を快適なものとすることが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 電位治療装置
2 椅子
21 座部
22 背もたれ
24 サイドウォール
27 リモートコントローラ
3 フットレスト
4 治療用電極
5 高電圧発生ユニット
51 高圧変圧器
51a 鉄心
51b 一次側巻線
51c 高電位巻線
51d 低電圧巻線
52 第2の出力端子
53 第1の出力端子
55 高インピーダンス素子
6 パイロットランプ(低電圧動作素子)
C 被治療者
V 商用電源
E1 第1の出力端子の電位
E2 第2の出力端子の電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧変圧器から出力される高電位を利用して電界を形成し治療を行う電位治療装置において、該電位治療装置には高電位が印加される複数の出力端子を備え、これら出力端子の少なくとも1つを治療用電極に接続し、該治療用電極に接続された出力端子とこの出力端子に対して低電位差となる他の出力端子との間に低電圧動作素子を接続したことを特徴とする電位治療装置。
【請求項2】
前記高圧変圧器は、二次側に高電圧を誘起させる高電位巻線と該高電位巻線に隣接する低電圧巻線を有しており、前記高電位巻線と前記低電圧巻線は高インピーダンス素子を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電位治療装置。
【請求項3】
前記低電圧動作素子は、前記治療用電極への高電圧印加時に点灯するパイロットランプであることを特徴とする請求項1または2に記載の電位治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−24779(P2011−24779A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173589(P2009−173589)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【特許番号】特許第4555388号(P4555388)
【特許公報発行日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(598162562)株式会社白寿生科学研究所 (15)
【Fターム(参考)】