説明

電力グリッド通信のためのシステムおよび方法

【課題】データ伝送の利用可能な有線モードおよび無線モードならびにこの利用可能な有線モードおよび無線モードで利用可能なルートを決定する電力グリッドのためのデータ通信のシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】データ通信の利用可能な有線モード(wired mode)および無線モードを決定すること、ならびに利用可能な有線モードおよび無線モードで利用可能なルートを決定することを含み、利用可能なルートのそれぞれに対して重みを割り当て、目的関数に基づいて通信の最終ルートを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電力グリッド通信のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートグリッドは、デジタル通信および制御技術を活用して財務費用を最小限にし、エネルギーを節約して、信頼性を増加させながら、需要家に電気を送出する。適切に設計されれば、スマートグリッドは、発電および配電産業における広範囲の態様の改善に大きな影響を及ぼす。その例としては、自己回復作用、高信頼性、サイバー攻撃に対する耐性、多種多様なタイプの分散された発電および蓄電機構への適用、最適化された資産割り当て、および運用管理費の最小化、ならびに高度な計測およびデマンドレスポンスを組み込んだ緻密な市場管理(high−resolution market control)が含まれる。
【0003】
スマートグリッドの重要な構成要素が配電自動化(DA)である。DAとは、変電所と構内または需要家の間で行われる、監視、保護、制御、および通信の各機能を指す。保護および開閉がDAの重要な機能である。DAの保護システムは、自動的かつ適切に、1)配電グリッドの障害を検出して切り離し、2)障害に隣接する配電用変電所が、障害切り離し機器によって切断された需要家への電気サービスを回復させるのに十分な接続性および容量を有するかどうかを判断し、3)開閉器を操作して、近隣の変電所を接続して電気サービスを回復させることができなければならない。今日、リクローザ(recloser)などのほとんどのDA保護装置は、互いと通信せず、自分の場所以外の他の保護装置の状態およびグリッドの状況を知らずに、独立して動作する。この結果、障害の切り離しが最適ではなく、障害時に必要以上に多数の需要家がサービスの停止に見舞われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0152910号明細書
【発明の概要】
【0005】
上記およびその他の理由で、本発明の実施形態が必要とされている。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、電力グリッドのためのデータ通信のシステムおよび方法が提供される。このシステムおよび方法は、データ通信の利用可能な有線モード(wired mode)および無線モードを決定すること、ならびに利用可能な有線モードおよび無線モードで利用可能なルートを決定することを含む。利用可能なルートのそれぞれに対して重みを割り当て、目的関数に基づいて通信の最終ルートを決定する。
【0007】
本発明の実施形態の特徴および態様は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより、さらによく理解されるであろう。全図面を通して類似の参照番号は類似の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電力配電系統で使用される電力柱を図式的に表したものである。
【図2】2つのフィーダを有するリクローザループ方式(recloser loop scheme)を図式的に表したものである。
【図3】本発明の例示的な実施形態によるリクローザシステム100を図式的に表したものである。
【図4】本発明の例示的な実施形態による電力グリッドにおける通信の方法を示す流れ図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態による電力グリッド通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の種々の実施形態の要素を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「前記(said)」は、要素の1つまたは複数が存在することを意味することが意図されている。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図し、列挙された要素以外の追加の要素が存在してもよいことを意味することを意図するものである。
【0010】
本明細書では、「モジュール」という用語は、ソフトウェア、ハードウェア、もしくはファームウェア、もしくはこれらの任意の組み合わせ、または本明細書において説明する処理を実施するかまたはこれを容易にする任意のシステム、プロセス、もしくは機能を指す。
【0011】
発電機器、送電線、および配電線は、電線で発生し得る一時的な障害および永続的な障害ならびにそれに伴う短絡から保護される必要がある。これらの障害によって、電力系統の崩壊、深刻で費用のかかる機器の損傷、および人身傷害が引き起こされることがある。さらに、これらの障害によって引き起こされる大規模な電力停電が、信頼性の高く確実な公益事業(utility)サービスを期待する需要家の間に怒りを生じさせることがある。たとえば電線障害の切り離しを支援し、遮断器、セクショナライザ(sectionalizer)、およびリクローザを作動させる(すなわち開く)ことによって切り離しを開始することは、ヒューズ、保護継電器、およびリクローザなどの障害保護装置の機能である。加えて、電力配電オペレータは、保護障害または他の系統の不調の場合に、連系用開閉器(tie switch)を含むがこれらに限定されない自動電力復旧コンポーネントを用いて、需要家への電気サービスを自動的に復旧する。
【0012】
リクローザはそれぞれ、たとえば電線搬送装置(power line carrier)、固定電話(land line telephony)、電気事業者無線通信機(electric utility radio)、WiFi、WiMAX、およびセルラー式電話を含むがこれらに限定されない一組の所定の無線システムおよび有線システムを経由して通信するのに十分な通信機器を装備する。
【0013】
図1は、電線を地面より上に懸架するために電力配電系統で使用される電力柱10を示す。制御装置14を有する自動リクローザ装置12は、配電系統を保護するために電柱10に取り付けられる。制御装置14は、図示のようにリクローザ装置12から分離して配置することもできるし、リクローザ装置12と一体化させることもできる。リクローザ装置12の機能は、生命の安全を実現し、機器を保護し、一時的な障害または永続的な障害によって引き起こされる電力配電の停止を最小限にすることである。典型的には、障害中に、電線によって運ばれる電流は、短絡状況によって突然増加する。リクローザは、この電流の上昇を検知し、その遮断器を開き、それによって、配電系統コンポーネントおよびこの配電系統に接続されている他の機器を保護するために電流の流れを遮断する。多くの障害状況は一時的なものであるので、リクローザは、短時間の経過後に閉じて、障害がまだ発生しているかどうかを判断するように設計される。リクローザが閉じ、電流の増加がまだ発生している場合、リクローザは再び開く。このような開閉の遷移は、障害が永続的である場合、リクローザが開いたままとなる前、迅速に数回行うことができる。たとえば、雷雨中に、配電系統に落雷した場合、需要家への電力が数秒間一時的に中断することがあり、その結果生じるリクローザの挙動によって、需要家の構内で照明および器具が切れ(リクローザが開く)、次に点く(リクローザが閉じる)。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態によるリクローザループ方式30を示す。リクローザループ方式30は、変電所46および48を含み、2つのフィーダ32および34、および需要家50、52、54、56がある。配電フィーダ32および34は、連系用リクローザ開閉器40を介して接続される。通常動作時、連系用リクローザ開閉器40は開いており、配電用変電所46および48は、それぞれ配電フィーダ32および34に電気サービスを提供する。リクローザループ方式30は、互いと協調する4つのフィーダリクローザ36、38、42、44と連系用回線リクローザ40とを含む。リクローザ36、38、42、44、および40ならびに/または変電所46および48は制御装置を含み、それについては以下に詳細に説明する。
【0015】
動作中、系統が最初に展開されて稼動開始したとき、リクローザは、ローカルで利用可能な所定の通信ネットワークを介して互いと通信する。各リクローザは、あらかじめプログラムされた1組の命令により、ローカルで利用可能な他の代替データ通信システムを自動的に調べる。複数のリクローザは一緒に機能し、あらかじめプログラムされた目的関数により、利用可能な代替経路およびそれらの系統の費用関数を決定する。リクローザネットワークは、利用可能なすべての通信経路のランキングをそれらの系統費用に基づいて作成し、この情報を各リクローザに保存する。リクローザネットワークは、ローカルで利用可能な通信経路を定期的に調べて、ランキングを更新する。また、リクローザは、変電所46および48と通信して各変電所の容量を判断する。この情報は、障害の場合に各変電所が逆給電(backfeeding)として知られるプロセスを介して他のフィーダの需要家に電力を供給できるかどうかを判断するために使用される。この情報も各リクローザに保存される。永続的な障害がたとえばF1で発生すると、リクローザ44は、その再閉路シーケンスによって動作し、ロックアウトして、そのステータスおよび障害状況に関する情報を、通信経路を経由して他のリクローザに伝送する。リクローザ44は、この情報を、目的関数によって以前に決定した通信経路を使用して伝送する。したがって、リクローザ44は、同時に1つまたは多数の経路を経由してデータを送信することができる。リクローザ44がロックアウトした後で、需要家50および52は、電気サービスを失い、停電に見舞われる。リクローザ42上のフィーダリクローザ制御装置(図示せず)および連系用開閉器40は、リクローザ44から伝送された情報を受信する。連系用開閉器40は、フィーダ32電圧のロスを検知することもできる。この集められた情報に基づいて、リクローザ42が開く。変電所48が、需要家52を逆給電するのに十分な容量を有する場合、連系用開閉器40は閉じ、変電所48は需要家52への電気サービスを復旧させる。このようにして、障害は効率的に切り離され、顧客50のみが電気サービスを失う。
【0016】
図3は、本発明の一実施形態によるリクローザシステム100を示す。システム100は、住宅地102および工業用地103に電力を送出する変電所101を含む。本発明の一実施形態によれば、リクローザシステム近傍で利用可能な任意の無線ネットワークは、種々のリクローザ間の通信に使用されることができる。たとえば、一実施形態では、無線ネットワークは、リクローザ間の通信に使用される専用無線リンク(図示せず)を備える。
【0017】
図3に示す例示的な一実施形態では、無線ネットワークは、車車間アドホックネットワーク(VANET)106を備える。VANET106は、移動中の車の中にある無線機器をネットワークのノードとして使用してモバイルネットワークを構築する技術である。この無線機器は、車両間通信用に設計されたプロトコルを有する、WiFiおよびWiMAXを含むがこれらに限定されない市販のデータ通信技術を含むことができる。VANET106は、あらゆる参加車を無線ルータまたはノードとし、互いに約100から300メートル内にある車を接続させ、その結果として広域ネットワークを構築することができる。車がリクローザの無線範囲から出てネットワークから離脱すると、他の車が参加し、ローカルのモバイルアドホックネットワークが、リクローザ105から形成されたリクローザネットワークの近くに構築されるように車両を互いに接続することができる。この実施形態において、VANET106が十分な容量を持つ信頼性の高いネットワークを有する場合、リクローザ102間の通信の信頼性を向上できることが理解されよう。活用できる他の無線ネットワークは、たとえばWireless Fidelity(WIFI)、Worldwide Interoperability for Microwave Access(WIMAX)、Global System for Mobile Communications(GSM)などのセルラー式電話、802.11sメッシュ方式、ワイヤレスイーサネット、Low power Wireless Personal Area Network(6LowPAN)、およびRouting Over Low power and Lossy networks(ROLL)を含む。一実施形態では、必要に応じて、最も重要な情報またはデータは専用の電気事業者無線通信機を経由して送信され、それほど重要でない情報またはデータは他の無線ネットワークに沿って送信される。情報の重要度は、ユーザによって、または任意の適切な方法によって決定される。
【0018】
図に示されるように、フィーダリクローザが互いと通信可能なルートは複数存在することができる。したがって、本発明の一実施形態によれば、利用可能なルートのそれぞれに重みが付与され、ユーザが決定した目的関数またはあらかじめプログラムされた目的関数に基づいて、特定のルートを選択することができる。重みは、通信費および通信速度を含むがこれらに限定されない種々の要因によって決められてよい。同様に、目的関数は、財務費用、データ転送遅延、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、重大な需要家指標の最小化を含んでよい。目的関数は、系統平均停電時間指標(SAIDI:System Average Interruption Duration Index)および瞬間平均停電事象頻度指数(MAIFI:Momentary Average Interruption Event Frequency Index)などの配電信頼性指標の最小化をさらに含んでよい。SAIDIは、すべての需要家の停電時間の合計を需要家の数で除した値であり、MAIFIは、指定の時間より長い停電の回数を需要家の数で除した値である。重大な需要家指標と配電信頼性指数を組み合わせて、目的関数によって最小化される全系統費用を得ることができる。別の実施形態では、通信データのパケットを、可用性および所望の目的関数に応じて種々の経路に配信して伝送してよい。
【0019】
1種類の通信方法自体に複数のルートが存在し得ることに留意されたい。たとえば、データが電線すなわち有線通信方法を介して転送されるとき、あるリクローザから別のリクローザへの経路または通信リンクが複数存在することがある。したがって、一実施形態では、最適化関数に基づいて1つの通信方法自体における複数のルートが選択される。たとえば、ネットワークルーティング指標は、そのリンクを経由するルーティングの費用を示すために種々の通信リンクに与えることができる。低費用のリンクは高費用のリンクより好ましい。これらの指標はユーザが定義することができ、一実施形態では、最短の電力線と同じルートをたどるリンクには、電線の最短経路を除外したルートより安価な任意の費用が与えられる。これによって、データは、強制的に特定の最適経路に沿って流される。地理情報システム(GIS)の情報は、どの電線リンクが最短ルートを提供するかを決定するためにシステムによって使用されることができる。
【0020】
別の例示的な実施形態では、全地球測位システム(GPS)および地理情報システム(GIS)の情報に基づくメディアアクセス制御(MAC)プロトコルを使用してデータを伝送することができる。MACは、マルチポイントネットワーク内でいくつかのネットワークノードが通信することを可能にするアドレス指定およびチャネルアクセス制御機構を提供する。一実施形態では、MACプロトコル層は、いつデータパケットを伝送するべきかをGPSおよびGISからの情報に基づいて決める。GPSは無線機または他の任意のノードの場所についての情報を提供し、GISは無線環境に関する情報を提供する。したがって、GPSおよびGISからの情報は、ノード間の通信を成功させるために伝送する必要がある無線周波数(RF)データの範囲および出力の推定値を提供するために処理することができる。さらに、GPSおよびGISの情報は、MAC伝送タイミングを決定論的に(deterministically)計算できるフレームワークを提供するために使用することができ、したがって衝突のオーバーヘッドを回避することができる。この方法の目的は、必要とされるデータ伝送負荷を満たすのに十分なほど迅速に伝送をスケジューリングしながら隣接する無線機とのデータ伝送の衝突を回避することである。別の実施形態では、GISから得られた、地形、植生(foliage)、および建物密度の情報を含む追加情報によって、必要とされるRF伝送機出力レベルをさらに向上させる(refine)。一般に、ほとんどのMACプロトコルは、衝突検出時にランダムにバックオフすることにより分散される。しかし、本実施形態では、無線機が屋外用であり、固定した場所にあることを考慮して、MAC層の伝送は、GPSで得られた位置およびGISデータベースからのローカル環境情報に基づいてスケジューリングされる。
【0021】
別の例示的な実施形態では、リクローザ間の通信をさらに向上させるために、単一のパケット伝送がすべての受信ノードに同時に到達するマルチキャストグループを形成することができる。所与の電線に沿ったすべてのノードは、単一のマルチキャストグループに属することができる。当業者には理解されるように、マルチキャストは、種々のノード間のデータ転送に使用することができる。本明細書では、ノードは、リクローザ、無線機、VANET内の車、または有線ネットワークもしくは無線ネットワークの他の通信点を意味することができることに留意されたい。データは、発信ノードにおいて、すなわちデータが転送される必要があるリクローザから、ネットワークを通過する共通の経路を共有しながら、複数のノードまたはリクローザに同時に伝送される。この結果、通信は、同じパケットを一度に1組のノードに伝送する場合より高速である。
【0022】
図4は、電力グリッドのDA通信方法200を示す。この方法は、ステップ202において、送信元ノードと宛先ノードの間で利用可能なデータ伝送モードを決定することを含む。この利用可能なモードは、有線通信モードまたは無線通信モードを含むことができる。たとえば、有線通信モードは、電線を通る有線通信リンクを含み、無線通信モードは、電力グリッドの無線リンクならびにWIFI、WIMAXステーション、GSM、およびVANETなどの他のopportunistic routingを含む。
【0023】
通信モードを特定すると、ステップ204において、通信モードのそれぞれにおいて利用可能なルートを特定する。ステップ206では、利用可能なルートのそれぞれに重みを付与する。たとえば、有線通信モードを介するルートに対して、無線通信モードをたどるルートに比べて大きな信頼性の重みを付与する。さらに、最短の電力線をたどる有線通信リンクに対して、システム費用(すなわち財務費用、待ち時間、信頼性など)が低いことに基づいて、最短の電力線をたどらない有線通信リンクに比べて大きな重みを付与する。同様に、電力グリッドの無線リンクに対して、信頼性に基づいて他の無線リンクに比べて大きな重みを付与する。さらに、重みは、通信システム費用および通信速度などの要因に基づいてもよい。
【0024】
ステップ208では、通信ルートの重みおよび目的関数に基づいて、通信の最終ルートを決定することができる。この目的関数は、ユーザによって決定されることができ、システム費用、データ転送遅延、またはそれらの組み合わせなどの重大な需要家指標の最小化を含むことができる。目的関数は、SAIDIおよびMAIFIを含むがこれらに限定されない配電信頼性指標の最小化をさらに含んでよい。別の実施形態では、通信データのパケットを、可用性および所望の目的関数に応じて種々のルートに配信して伝送してよい。たとえば、一実施形態では、必要に応じて、最も重要な情報またはデータは専用電力グリッド無線機を経由して伝送されることができるが、それほど重要でない情報は、他の無線リンクに沿って伝送されることができる。別の実施形態では、通信データのパケットを、可用性および所望の目的関数に応じて種々の経路に配信して伝送してよい。すなわち、データを分割し、各通信リンクの組み合わせを経由して並行して伝送してよい。
【0025】
別の実施形態では、無線通信リンク間の通信は、GPSおよび地理情報システム(GIS)の情報に基づいてMACプロトコルを使用することによってさらに向上させることができる。この向上は、メッセージ待ち時間の短縮、出力の減少、および/または帯域幅の増加に関するものとすることができる。GPSおよびGISからの情報は、ノード間の通信を成功させるために伝送する必要がある無線周波数(RF)データの範囲および出力と共に、使用するべき最良のルートの推定値を提供するために処理される。GPSおよびGISの情報は、MAC伝送タイミングを決定論的に計算できるフレームワークを提供するために使用することができ、したがってデータ衝突のオーバーヘッドを回避することができる。
【0026】
別の実施形態では、無線通信の効率を向上させるために、単一のパケット伝送がすべての受信ノードに同時に到達するマルチキャストグループを形成することができる。データは、発信ノードにおいて、すなわちデータが転送される必要があるリクローザから、複数のノードまたはリクローザに同時に伝送される。
【0027】
図5は、例示的な実施形態による電力グリッド通信制御装置システム220を示す。この制御装置は、リクローザ36、38、42、44、および40のそれぞれのリクローザ制御装置14(図1)に組み込むことができ、リクローザから分離することもできるし、これと一体化することもでき、かつ/または変電所101、46、および48に組み込むこともできる。制御装置220は、送信元ノードと宛先ノードの間で利用可能なデータ伝送モードを決定するための通信モード特定モジュール222を含む。上述のように、利用可能なモードは、有線通信モードまたは無線通信モードを含むことができる。ルート可用性特定モジュール224は、モジュール222によって決定された利用可能な通信モードのそれぞれで利用可能なルートを決定する。ルートの重み割り当てモジュール226は、利用可能なルートのそれぞれに重みを割り当てる、すなわち与える。重みの割り当ては、費用、通信速度、および通信の信頼性などの要因に基づくものとすることができる。制御装置220は、目的関数に基づいて通信の最終ルートを特定するルート決定モジュール228も含む。制御装置220は、通信ルート情報を保存するメモリまたは記憶装置230をさらに含むことができる。プログラムデータベース232も、配電ネットワーク内の通信ルートを処理するための目的関数を含むがこれに限定されないプログラムを保存するために設けられる。上述のように、目的関数は、費用、データ転送遅延、SAIDI、MAIFI、またはそれらの組み合わせなどの需要家による重大な尺度の最小化を含むことができる。一実施形態では、制御装置220は、通信を最適化するためにGPSおよびGISの情報に基づいてMACプロトコルおよび/またはマルチキャストグループを利用することができる。
【0028】
当業者には理解されるように、前述の例または前述の例の一部および方法のステップは、汎用コンピュータまたは特殊用途コンピュータなどのプロセッサをベースとしたシステム上で適切なコンピュータプログラムコードによって実施することができる。本発明の異なる実装形態では、本明細書において説明したステップのいくつかまたはすべてを、異なる順序で、または実質的に同時にすなわち並列に実施することができることにも留意されたい。コンピュータプログラムコードは、当業者には理解されるように、オンメモリチップ、ローカルまたはリモートのハードディスク、光ディスク(すなわちCDまたはDVD)、または他の媒体などの1つまたは複数の機械が読み取り可能な有形媒体上に保存するか、または保存に適合させてよく、これらの媒体は、保存されたコードを実行するために、プロセッサをベースとしたシステムによってアクセスされ得る。有形媒体は、紙、または命令が印刷される他の適切な媒体を含むことができることに留意されたい。たとえば、命令は、紙または他の媒体の光学式走査を介して電子的に捕捉し、次に必要に応じてコンパイルするか、インタプリタで実行するか、または適切に別の方法で処理して、次いでコンピュータのメモリに保存することができる。
【0029】
本明細書において本発明の特定の特徴のみについて図示し説明してきたが、多くの修正および変更が当業者には想到されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨に含まれるこのような修正および変更をすべて包含することを意図していることを理解されたい。
【符号の説明】
【0030】
10 電力柱、電柱
12 自動リクローザ装置
14 リクローザ制御装置
30 リクローザループ方式
32 配電フィーダ
34 配電フィーダ
36 フィーダリクローザ
38 フィーダリクローザ
40 連系用開閉器、連系用回線リクローザ、連系用リクローザ開閉器
42 フィーダリクローザ
44 フィーダリクローザ
46 配電用変電所
48 配電用変電所
50 需要家、顧客
52 需要家
54 需要家
56 需要家
100 リクローザシステム
101 変電所
102 リクローザ
102 住宅地
103 工業用地
105 リクローザ
106 車車間アドホックネットワーク
200 DA通信方法
202 ステップ
204 ステップ
206 ステップ
208 ステップ
220 電力グリッド通信制御装置システム、制御装置
222 通信モード特定モジュール
224 ルート可用性特定モジュール
226 ルートの重み割り当てモジュール
228 ルート決定モジュール
230 記憶装置
232 プログラムデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力グリッドのためのデータ通信方法であって、
データ伝送の利用可能な有線モードおよび無線モードを決定すること、
前記利用可能な有線モードおよび無線モードで利用可能なルートを決定すること、
前記利用可能なルートのそれぞれに重みを割り当てること、および
目的関数に基づいて通信の最終ルートを決定すること
を含む、データ通信方法。
【請求項2】
有線データ伝送モードが、電線を通る有線通信リンクを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記無線通信モードが、電気事業者無線リンク、WIFI、WIMAXステーション、GSM、802.11sメッシュシステム、ワイヤレスイーサネット、6LowPAN、ROLL、VANET、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、プライベート無線通信ネットワークおよび公衆無線通信ネットワークのうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記利用可能なルートのそれぞれに前記重みを割り当てることが、最短の電力線をたどる有線通信リンクに対して、前記最短の電力線をたどらない前記有線通信リンクに比べてシステム費用が安価であることに基づいて、これより大きな重みを付与することを含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記利用可能なルートのそれぞれに前記重みを割り当てることが、電気事業者無線リンクに対して、信頼性に基づいて、他の無線通信モードに比べて高い重みを付与することを含む、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記重みが、前記利用可能なルートを経由する通信システム費用および通信速度に基づく、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記目的関数が、需要家指標の最小化を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記需要家指標が、通信システム費用、データ転送遅延、またはそれらの組み合わせを含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記目的関数が、SAIDIおよびMAIFIを含む配電信頼性指数の最小化を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記最終ルートが、利用可能なルートの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記無線通信モードの全地球測位システム(GPS)および地理情報システム(GIS)に基づいてメディアアクセス制御(MAC)プロトコルをさらに備える、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記GPSが前記無線通信モードのノードの場所を提供し、前記GISがノード環境情報、地形、植生、および建物密度情報を提供する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記GPSおよび前記GISからの情報が、前記最適なルート、無線周波数データの範囲および出力の推定値を提供し、MAC伝送タイミングを計算するフレームワークを提供する、請求項11記載の方法。
【請求項14】
すべての受信ノードに単一のパケットデータを同時に伝送するためのマルチキャストグループをさらに備える、請求項1記載の方法。
【請求項15】
コンピュータが読み取り可能なコンピュータプログラムの命令を含む、コンピュータが読み取り可能な一時的でない媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると前記プロセッサに方法を実行させ、前記方法が、
データ伝送の利用可能な有線モードおよび無線モードを決定すること、
前記利用可能な有線モードおよび無線モードで利用可能なルートを決定すること、
前記利用可能なルートのそれぞれに重みを割り当てること、および
目的関数に基づいて通信の最終ルートを決定することを含む、媒体。
【請求項16】
配電ネットワークに接続された装置と、
前記装置にそれぞれ連結された制御装置とを備え、
各制御装置が、
データ伝送の利用可能な有線モードおよび無線モードを決定するための通信モード特定モジュールと、
前記利用可能な有線モードおよび無線モードで利用可能なルートを決定するためのルート可用性特定モジュールと、
前記利用可能なルートのそれぞれに重みを割り当てるためのルートの重み割り当てモジュールと、
目的関数に基づいて通信の最終ルートを決定するためのルート決定モジュールと
を備える、システム。
【請求項17】
前記ルートの重み割り当てモジュールが、通信システム費用、通信速度、通信の信頼性、またはそれらの組み合わせに基づいて前記重みを割り当てる、請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記目的関数が、重大な需要家指標の最小化を含む、請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記重大な需要家指標が、通信費用、データ転送遅延、SAIDIおよびMAIFIを含む配電信頼性指数、またはそれらの組み合わせを含む、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記通信を最適化するためのMACプロトコルまたはマルチキャストグループをさらに備える、請求項16記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−134967(P2012−134967A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−272883(P2011−272883)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.イーサネット
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】