電力ケーブルの終端部及び終端部の組立方法
【課題】絶縁耐力を向上できる電力ケーブルの終端部及びその組立方法を提供する。
【解決手段】電力ケーブル1の終端部100は、ケーブル半導体層7、ケーブル遮蔽層9、及びケーブル絶縁体5の外周面を覆うように設けられた半導電性層17と、半導電性層17及びケーブル絶縁体5の外周面を覆うように設けられた高誘電率層19と、高誘電率層19及びケーブル絶縁体5の外周面を覆うように装着された外被23と、ケーブル絶縁体5、高誘電率層19及び外被23により画成される第2空隙S2に充填された第2グリースG2と、を備える。
【解決手段】電力ケーブル1の終端部100は、ケーブル半導体層7、ケーブル遮蔽層9、及びケーブル絶縁体5の外周面を覆うように設けられた半導電性層17と、半導電性層17及びケーブル絶縁体5の外周面を覆うように設けられた高誘電率層19と、高誘電率層19及びケーブル絶縁体5の外周面を覆うように装着された外被23と、ケーブル絶縁体5、高誘電率層19及び外被23により画成される第2空隙S2に充填された第2グリースG2と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルの終端部、及びその組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルは、一般的に、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層、及び、ケーブルシースを、径方向に順に有している。電力ケーブルの終端部は、その先端から順に、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層が露出するように処理されていると共に、ケーブル半導体層及びケーブル絶縁体の外周面に電界緩和部材として高誘電率層が形成されており、それらを覆うように外被が装着されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−145713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電力ケーブルの終端部では、例えば落雷等によって瞬間的に高電圧が発生すると、ケーブル絶縁体と高誘電率層との段差と外被により画成される空隙(空気層)に電界が集中し、この空隙において放電(閃絡)が生じ得る。したがって、電力ケーブルの終端部では、絶縁耐力の向上が要請されている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、絶縁耐力を向上できる電力ケーブルの終端部及びその組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電力ケーブルの終端部は、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースを、径方向に順に有している電力ケーブルの終端部であって、電力ケーブルは、その先端側から、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースがこの順で露出するように処理されており、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層、及びケーブル絶縁体におけるケーブル半導体層に対する境界側の部分の外周面を覆うように設けられた半導電性層と、半導電性層及びケーブル絶縁体における半導電性層に対する境界側の部分の外周面を覆うように設けられた高誘電率層と、高誘電率層及びケーブル絶縁体の外周面を覆うように装着された外被と、ケーブル絶縁体、高誘電率層及び外被により画成される空隙に充填されたグリースと、を備える。
【0007】
この電力ケーブルの終端部では、ケーブル絶縁体、高誘電率層及び外被により画成される空隙にグリースが充填されている。したがって、当該空隙において電界集中が生じることを抑制し得る。その結果、当該空隙おいて放電が発生することを防止でき、電力ケーブルの終端部の絶縁耐力の向上を図ることが可能となる。
【0008】
一実施形態においては、ケーブル絶縁体、半導電性層及び高誘電率層により画成される空隙に充填されたグリースを更に備える。したがって、当該空隙における電界集中も抑制され得る。
【0009】
一実施形態においては、ケーブル絶縁体、高誘電率層及び外被により画成される空隙に充填されたグリースの誘電率をε0、外被の誘電率をε1、高誘電率部材の誘電率をε2とした場合、ε1≦ε0≦ε2の関係を満たすようにしてもよい。
【0010】
本発明の一側面に係る終端部の組立方法は、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースを、径方向に順に有している電力ケーブルの終端部の組立方法であって、電力ケーブルを、その先端側から、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースがこの順で露出するように処理する工程と、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層、及びケーブル絶縁体におけるケーブル半導体層に対する境界側の部分の外周面を覆うように半導電性層を形成する工程と、半導電性層及びケーブル絶縁体における半導電性層に対する境界側の部分の外周面を覆うように高誘電率層を形成する工程と、高誘電率層の先端部及びケーブル絶縁体における高誘電率層に対する境界側の部分の外周面にグリースを塗布する工程と、高誘電率層及びケーブル絶縁体の外周面を覆うように外被を装着する工程と、を含む。
【0011】
一実施形態においては、半導電性層の先端部及びケーブル絶縁体における半導電性層に対する境界側の部分の外周面にグリースを塗布する工程を更に含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、絶縁耐力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。
【図2】図1に示す電力ケーブルの終端部の一部断面図である。
【図3】図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。
【図4】図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。
【図5】図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。
【図6】電力ケーブルの終端部の組立方法を示す図である。
【図7】電力ケーブルの終端部の組立方法を示す図である。
【図8】電力ケーブルの終端部の組立方法を示す図である。
【図9】別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。
【図10】別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。
【図11】別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。図2は、図1に示す電力ケーブルの終端部の一部断面図である。図3は、図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。図4は、図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。図5は、図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。各図に示す電力ケーブル1の終端部100は、例えば公称電圧22000[V]の規格に適用されるものである。
【0016】
図1及び図2に示すように、電力ケーブル1は、ケーブル導体3、ケーブル絶縁体5、ケーブル半導体層7、ケーブル遮蔽層9、及び、ケーブルシース11を径方向に順に有している。
【0017】
ケーブル絶縁体5は、絶縁性の樹脂等により構成されるものであり、ケーブル導体3の外周面を覆っている。ケーブル半導体層7は、例えば、EP(エチレン−プロピレン)ゴム等により構成され半導電性を有し、ケーブル絶縁体5の外周面を覆っている。ケーブル遮蔽層9は、このケーブル半導体層7の外周面を覆っている。ケーブルシース11は、ケーブル遮蔽層9の外周面を覆っている。
【0018】
電力ケーブル1の終端部分においては、図1及び図2に示すように、先端側から順に、ケーブル導体3、ケーブル絶縁体5、ケーブル半導体層7、及びケーブル遮蔽層9が露出するように、ケーブル絶縁体5、ケーブル半導体層7、ケーブル遮蔽層9、及びケーブルシース11が剥ぎ取られている。また、露出されたケーブル遮蔽層9の外周面には、導電性を有する接地部材(接地クランプ)13が取り付けられている。接地部材13には、この接地部材13に電気的に接地線15が接続されており、接地線15は、後方に延ばされている。
【0019】
図4に示すように、ケーブル半導体層7、及びケーブル遮蔽層9(接地部材13)、及びケーブル絶縁体5におけるケーブル半導体層7に対する境界側の部分の外周面には、この外周面を連続して覆うように半導電性層17として半導電性テープが巻かれている。また、半導電性層17及びケーブル絶縁体5における半導電性層17に対する境界側の部分の外周面には、この外周面を連続して覆うように高誘電率層19として高誘電率テープが巻かれている。高誘電率層19の誘電率は、例えば30〜50である。なお、半導電性層17は、半導電性塗料を塗布することによって形成することもできる。
【0020】
ケーブル絶縁体5、半導電性層17、及び高誘電率層19により画成された第1空隙S1には、必要に応じて、第1グリースG1が充填されている。すなわち、半導電性層17とケーブル絶縁体5の境界部分において、半導電性層17の先端部の外周面と、ケーブル絶縁体5の外周面とに第1グリースG1が塗布されている。第1グリースG1は、例えば、シリコーングリース又はフッ素系のグリースといった種々のグリースを用いることができる。
【0021】
高誘電率層19の一部、接地線15を介在させてケーブルシース11の一部の外周面には、絶縁テープ21が巻かれている。
【0022】
ケーブル絶縁体5、高誘電率層19、絶縁テープ21、及び、接地線15を介在させてケーブルシース11の一部は、外被23に覆われている。外被23は、例えば、シリコーンゴムといった樹脂により構成されている。
【0023】
図3に示すように、ケーブル絶縁体5、高誘電率層19、及び外被23により画成された第2空隙S2には、第2グリースG2が充填されている。すなわち、高誘電率層19とケーブル絶縁体5の境界部分において、高誘電率層19の先端部の外周面と、ケーブル絶縁体5の外周面とに第2グリースG2が塗布されている。第2グリースG2は、例えば、シリコーングリース又はフッ素系のグリースといった種々のグリースを用いることができる。
【0024】
第1及び第2グリースG1,G2としては、JIS K 2220 グリースの「稠度試験方法」で規定される稠度の値が稠度85以上、150以上、または200以上、および300以下、350以下、または475以下のものを用いることができる。また、第2グリースG2は、この第2グリースG2の誘電率をε0、外被23の誘電率をε1、高誘電率層19の誘電率をε2とした場合、以下の(1)式の関係を満たす。
ε1≦ε0≦ε2 …(1)
【0025】
外被23の誘電率ε1は、例えば2.2〜2.4であり、高誘電率層19の誘電率ε2は、上述のように例えば30〜50である。すなわち、第2グリースG2は、誘電率ε0が2.2〜50の範囲内のものであり、誘電率ε0が2.6程度であることがよい。
【0026】
図5に示すように、ケーブル導体3は、端子25に電気的に接続されている。ケーブル導体3、外被23の先端側の一部、及び端子25の後端側の一部の外周面には、この外周面を覆うように防水用の絶縁テープ27が巻かれている。また、この絶縁テープ27の外周面には、この外周面を覆うように粘着ポリエチレンテープ29が巻かれている。
【0027】
外被23の一部には、笠付外被30が取り付けられている。笠付外被30は、半導電性層17及び高誘電率層19が形成された位置において、外被23の外周面を覆うように装着されている。笠付外被30は、例えば、シリコーンゴムといった樹脂により構成されている。
【0028】
続いて、上述の構成を有する電力ケーブル1の終端部100の組立方法について、図6〜図8を参照しながら説明する。図6〜図8は、電力ケーブルの終端部の組立方法を示す図である。
【0029】
図6(a)に示すように、電力ケーブル1において、ケーブルシース11の切り口からケーブル絶縁体5の先端までの長さが所定の寸法(例えば、510mm)以上となるように、ケーブルシース11を剥ぎ取る。そして、ケーブル半導体層7及びケーブル遮蔽層9を所定の寸法分だけそれぞれ露出させる。ケーブル遮蔽層9の先端には、すずメッキ軟銅線31を取り付ける。
【0030】
次いで、図6(b)に示すように、ケーブル遮蔽層9に接地部材13を取り付け、接地線15を後方に延ばす。このとき、接地線15に付いているシーリングパテ15aをケーブルシース11の先端側に取り付ける。また、すずメッキ軟銅線31を取り外す。そして、ケーブル絶縁体5の一部、ケーブル半導体層7、及びケーブル遮蔽層9(接地部材13)の外周面を覆うように、半導電性層17として半導電性テープをケーブル絶縁体5、ケーブル半導体層7、及びケーブル遮蔽層9に巻く。
【0031】
続いて、図7(a)に示すように、半導電性層17の先端部及びケーブル絶縁体5の一部の外周面に、必要に応じて、第1グリースG1を塗布する。第1グリースG1を塗布する場合には、作業者の指で塗布してもよいし、工具等を使って塗布してもよい。
【0032】
続いて、図7(b)に示すように、ケーブル絶縁体5の一部及び半導電性層17の外周面を覆うように、高誘電率層19として高誘電率テープを巻く。また、高誘電率層19の一部、接地線15を介在させてケーブルシース11の一部を覆うように、絶縁テープ21を巻く。
【0033】
続いて、図8(a)に示すように、高誘電率層19の先端部及びケーブル絶縁体5の一部の外周面に、第2グリースG2を塗布する。第2グリースG2は、作業者の指で塗布してもよいし、工具等を使って塗布してもよい。そして、外被23を装着する。外被23は、いわゆる常温収縮型の外被であり、収縮前の状態ではその内部にコア(図示しない)が挿入されている。このコアにより、外被23は、所定の内径(電力ケーブル1の外径よりも大きい径)が保持されている。外被23を取り付ける際には、収縮前の外被23内に電力ケーブル1を挿通させ、コアを抜き取る。これにより、外被23が収縮して電力ケーブル1と密着する。
【0034】
続いて、図8(b)に示すように、笠付外被30が外被23の一部を覆うように、笠付外被30を装着する。笠付外被30は、外被23と同様に、いわゆる常温収縮型の外被である。笠付外被30を取り付ける際には、収縮前の笠付外被30内に外被23に被覆された電力ケーブル1を挿通させ、コアCを抜き取る。これにより、笠付外被30が収縮して外被23と密着する。
【0035】
続いて、図1及び図2に示すように、ケーブル導体3に端子25を接続し、その外周面に絶縁テープ27及び粘着ポリエチレンテープ29を巻く。以上のようにして、電力ケーブル1の終端部100が構成される。
【0036】
以上説明したように、一実施形態においては、ケーブル絶縁体5、高誘電率層19、及び外被23により画成された第2空隙S2に第2グリースG2が充填されている。第2グリースG2は、その誘電率ε0が外被23の誘電率ε1以上で且つ高誘電率層19の誘電率ε2以下である。このような第2グリースG2が第2空隙S2に充填されているため、第2空隙S2には空気層が形成されない。したがって、電力ケーブル1の終端部分において落雷等が生じて瞬間的に高電圧が印加された場合であっても、第2空隙S2に電界が集中することを防止でき、絶縁破壊の発生を防止できる。その結果、雷サージに対する電力ケーブル1の終端部100の絶縁耐力を向上でき、信頼性の向上が図れる。
【0037】
また、ケーブル絶縁体5、半導電性層17及び高誘電率層19により画成される第1空隙S1には、半導電層テープ端部に生ずる部分放電の発生を防止することを主目的として第1グリースG1が充填される場合がある。
【0038】
ここで、第2グリースG2に代えて絶縁性を有するパテを用いた場合、以下のような不具合が生じ得る。すなわち、パテは、一般的に、稠度が85未満の(半固形)の物質である。したがって、流動性の低いパテの場合には、第2空隙S2において各部材への密着性を確保し難い。
【0039】
また、このパテをケーブル絶縁体5と高誘電率層19との間の段差部分に付与して段差を埋めた後、外被23を装着しようとすると、コアがパテに接触することがある。このとき、パテがコアに付着し、ケーブル絶縁体5と高誘電率層19との間の段差部分のパテが剥がれたり位置がずれたりする。その結果、第2空隙S2に空気層が形成され、ケーブル絶縁体5と高誘電率層19との段差に電界が集中して絶縁破壊が生じ得る。また、パテがコアに接触しないようにするため、内径の大きい外被を用いて慎重に作業を行うと、作業性の悪化を招来する。
【0040】
一実施形態においては、パテよりも稠度の高い第1及び第2グリースG1,G2を用いているため、第1及び第2空隙S1,S2において各部材への密着性を高めることができる。また、第2グリースG2は流動性を有しているため、第2グリースG2がコアに接触したとしても、充填されるべき位置がずれたり充填されるべき量以下となったりすることが防止される。
【0041】
以下、別の実施形態に係る電力ケーブル1の端末構造について説明する。図9は、別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。図9に示すように、電力ケーブル1の終端部100Aは、笠付外被30が装着されなくてもよい。
【0042】
図10は、別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。図10に示すように、電力ケーブル1の終端部100Bでは、笠付外被30Aが装着されている。
【0043】
図11は、別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。図11に示すように、電力ケーブル1の終端部100Cでは、笠付外被30Bが装着されている。
【0044】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、半導電体層17を半導電性層テープにより形成し、高誘電率層19を高誘電率層テープにより形成しているが、半導電体層17及び高誘電率層19はテープ以外の部材によって形成されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…電力ケーブル、3…ケーブル絶縁体、5…ケーブル半導体層、7…ケーブル遮蔽層、9…ケーブルシース、17…半導電性層、19…高誘電率層、23…外被、100…終端部、G1,G2…グリース、S1,S2…空隙。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルの終端部、及びその組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルは、一般的に、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層、及び、ケーブルシースを、径方向に順に有している。電力ケーブルの終端部は、その先端から順に、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層が露出するように処理されていると共に、ケーブル半導体層及びケーブル絶縁体の外周面に電界緩和部材として高誘電率層が形成されており、それらを覆うように外被が装着されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−145713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電力ケーブルの終端部では、例えば落雷等によって瞬間的に高電圧が発生すると、ケーブル絶縁体と高誘電率層との段差と外被により画成される空隙(空気層)に電界が集中し、この空隙において放電(閃絡)が生じ得る。したがって、電力ケーブルの終端部では、絶縁耐力の向上が要請されている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、絶縁耐力を向上できる電力ケーブルの終端部及びその組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電力ケーブルの終端部は、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースを、径方向に順に有している電力ケーブルの終端部であって、電力ケーブルは、その先端側から、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースがこの順で露出するように処理されており、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層、及びケーブル絶縁体におけるケーブル半導体層に対する境界側の部分の外周面を覆うように設けられた半導電性層と、半導電性層及びケーブル絶縁体における半導電性層に対する境界側の部分の外周面を覆うように設けられた高誘電率層と、高誘電率層及びケーブル絶縁体の外周面を覆うように装着された外被と、ケーブル絶縁体、高誘電率層及び外被により画成される空隙に充填されたグリースと、を備える。
【0007】
この電力ケーブルの終端部では、ケーブル絶縁体、高誘電率層及び外被により画成される空隙にグリースが充填されている。したがって、当該空隙において電界集中が生じることを抑制し得る。その結果、当該空隙おいて放電が発生することを防止でき、電力ケーブルの終端部の絶縁耐力の向上を図ることが可能となる。
【0008】
一実施形態においては、ケーブル絶縁体、半導電性層及び高誘電率層により画成される空隙に充填されたグリースを更に備える。したがって、当該空隙における電界集中も抑制され得る。
【0009】
一実施形態においては、ケーブル絶縁体、高誘電率層及び外被により画成される空隙に充填されたグリースの誘電率をε0、外被の誘電率をε1、高誘電率部材の誘電率をε2とした場合、ε1≦ε0≦ε2の関係を満たすようにしてもよい。
【0010】
本発明の一側面に係る終端部の組立方法は、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースを、径方向に順に有している電力ケーブルの終端部の組立方法であって、電力ケーブルを、その先端側から、ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースがこの順で露出するように処理する工程と、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層、及びケーブル絶縁体におけるケーブル半導体層に対する境界側の部分の外周面を覆うように半導電性層を形成する工程と、半導電性層及びケーブル絶縁体における半導電性層に対する境界側の部分の外周面を覆うように高誘電率層を形成する工程と、高誘電率層の先端部及びケーブル絶縁体における高誘電率層に対する境界側の部分の外周面にグリースを塗布する工程と、高誘電率層及びケーブル絶縁体の外周面を覆うように外被を装着する工程と、を含む。
【0011】
一実施形態においては、半導電性層の先端部及びケーブル絶縁体における半導電性層に対する境界側の部分の外周面にグリースを塗布する工程を更に含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、絶縁耐力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。
【図2】図1に示す電力ケーブルの終端部の一部断面図である。
【図3】図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。
【図4】図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。
【図5】図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。
【図6】電力ケーブルの終端部の組立方法を示す図である。
【図7】電力ケーブルの終端部の組立方法を示す図である。
【図8】電力ケーブルの終端部の組立方法を示す図である。
【図9】別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。
【図10】別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。
【図11】別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。図2は、図1に示す電力ケーブルの終端部の一部断面図である。図3は、図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。図4は、図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。図5は、図2の一部を拡大して示す要部拡大図である。各図に示す電力ケーブル1の終端部100は、例えば公称電圧22000[V]の規格に適用されるものである。
【0016】
図1及び図2に示すように、電力ケーブル1は、ケーブル導体3、ケーブル絶縁体5、ケーブル半導体層7、ケーブル遮蔽層9、及び、ケーブルシース11を径方向に順に有している。
【0017】
ケーブル絶縁体5は、絶縁性の樹脂等により構成されるものであり、ケーブル導体3の外周面を覆っている。ケーブル半導体層7は、例えば、EP(エチレン−プロピレン)ゴム等により構成され半導電性を有し、ケーブル絶縁体5の外周面を覆っている。ケーブル遮蔽層9は、このケーブル半導体層7の外周面を覆っている。ケーブルシース11は、ケーブル遮蔽層9の外周面を覆っている。
【0018】
電力ケーブル1の終端部分においては、図1及び図2に示すように、先端側から順に、ケーブル導体3、ケーブル絶縁体5、ケーブル半導体層7、及びケーブル遮蔽層9が露出するように、ケーブル絶縁体5、ケーブル半導体層7、ケーブル遮蔽層9、及びケーブルシース11が剥ぎ取られている。また、露出されたケーブル遮蔽層9の外周面には、導電性を有する接地部材(接地クランプ)13が取り付けられている。接地部材13には、この接地部材13に電気的に接地線15が接続されており、接地線15は、後方に延ばされている。
【0019】
図4に示すように、ケーブル半導体層7、及びケーブル遮蔽層9(接地部材13)、及びケーブル絶縁体5におけるケーブル半導体層7に対する境界側の部分の外周面には、この外周面を連続して覆うように半導電性層17として半導電性テープが巻かれている。また、半導電性層17及びケーブル絶縁体5における半導電性層17に対する境界側の部分の外周面には、この外周面を連続して覆うように高誘電率層19として高誘電率テープが巻かれている。高誘電率層19の誘電率は、例えば30〜50である。なお、半導電性層17は、半導電性塗料を塗布することによって形成することもできる。
【0020】
ケーブル絶縁体5、半導電性層17、及び高誘電率層19により画成された第1空隙S1には、必要に応じて、第1グリースG1が充填されている。すなわち、半導電性層17とケーブル絶縁体5の境界部分において、半導電性層17の先端部の外周面と、ケーブル絶縁体5の外周面とに第1グリースG1が塗布されている。第1グリースG1は、例えば、シリコーングリース又はフッ素系のグリースといった種々のグリースを用いることができる。
【0021】
高誘電率層19の一部、接地線15を介在させてケーブルシース11の一部の外周面には、絶縁テープ21が巻かれている。
【0022】
ケーブル絶縁体5、高誘電率層19、絶縁テープ21、及び、接地線15を介在させてケーブルシース11の一部は、外被23に覆われている。外被23は、例えば、シリコーンゴムといった樹脂により構成されている。
【0023】
図3に示すように、ケーブル絶縁体5、高誘電率層19、及び外被23により画成された第2空隙S2には、第2グリースG2が充填されている。すなわち、高誘電率層19とケーブル絶縁体5の境界部分において、高誘電率層19の先端部の外周面と、ケーブル絶縁体5の外周面とに第2グリースG2が塗布されている。第2グリースG2は、例えば、シリコーングリース又はフッ素系のグリースといった種々のグリースを用いることができる。
【0024】
第1及び第2グリースG1,G2としては、JIS K 2220 グリースの「稠度試験方法」で規定される稠度の値が稠度85以上、150以上、または200以上、および300以下、350以下、または475以下のものを用いることができる。また、第2グリースG2は、この第2グリースG2の誘電率をε0、外被23の誘電率をε1、高誘電率層19の誘電率をε2とした場合、以下の(1)式の関係を満たす。
ε1≦ε0≦ε2 …(1)
【0025】
外被23の誘電率ε1は、例えば2.2〜2.4であり、高誘電率層19の誘電率ε2は、上述のように例えば30〜50である。すなわち、第2グリースG2は、誘電率ε0が2.2〜50の範囲内のものであり、誘電率ε0が2.6程度であることがよい。
【0026】
図5に示すように、ケーブル導体3は、端子25に電気的に接続されている。ケーブル導体3、外被23の先端側の一部、及び端子25の後端側の一部の外周面には、この外周面を覆うように防水用の絶縁テープ27が巻かれている。また、この絶縁テープ27の外周面には、この外周面を覆うように粘着ポリエチレンテープ29が巻かれている。
【0027】
外被23の一部には、笠付外被30が取り付けられている。笠付外被30は、半導電性層17及び高誘電率層19が形成された位置において、外被23の外周面を覆うように装着されている。笠付外被30は、例えば、シリコーンゴムといった樹脂により構成されている。
【0028】
続いて、上述の構成を有する電力ケーブル1の終端部100の組立方法について、図6〜図8を参照しながら説明する。図6〜図8は、電力ケーブルの終端部の組立方法を示す図である。
【0029】
図6(a)に示すように、電力ケーブル1において、ケーブルシース11の切り口からケーブル絶縁体5の先端までの長さが所定の寸法(例えば、510mm)以上となるように、ケーブルシース11を剥ぎ取る。そして、ケーブル半導体層7及びケーブル遮蔽層9を所定の寸法分だけそれぞれ露出させる。ケーブル遮蔽層9の先端には、すずメッキ軟銅線31を取り付ける。
【0030】
次いで、図6(b)に示すように、ケーブル遮蔽層9に接地部材13を取り付け、接地線15を後方に延ばす。このとき、接地線15に付いているシーリングパテ15aをケーブルシース11の先端側に取り付ける。また、すずメッキ軟銅線31を取り外す。そして、ケーブル絶縁体5の一部、ケーブル半導体層7、及びケーブル遮蔽層9(接地部材13)の外周面を覆うように、半導電性層17として半導電性テープをケーブル絶縁体5、ケーブル半導体層7、及びケーブル遮蔽層9に巻く。
【0031】
続いて、図7(a)に示すように、半導電性層17の先端部及びケーブル絶縁体5の一部の外周面に、必要に応じて、第1グリースG1を塗布する。第1グリースG1を塗布する場合には、作業者の指で塗布してもよいし、工具等を使って塗布してもよい。
【0032】
続いて、図7(b)に示すように、ケーブル絶縁体5の一部及び半導電性層17の外周面を覆うように、高誘電率層19として高誘電率テープを巻く。また、高誘電率層19の一部、接地線15を介在させてケーブルシース11の一部を覆うように、絶縁テープ21を巻く。
【0033】
続いて、図8(a)に示すように、高誘電率層19の先端部及びケーブル絶縁体5の一部の外周面に、第2グリースG2を塗布する。第2グリースG2は、作業者の指で塗布してもよいし、工具等を使って塗布してもよい。そして、外被23を装着する。外被23は、いわゆる常温収縮型の外被であり、収縮前の状態ではその内部にコア(図示しない)が挿入されている。このコアにより、外被23は、所定の内径(電力ケーブル1の外径よりも大きい径)が保持されている。外被23を取り付ける際には、収縮前の外被23内に電力ケーブル1を挿通させ、コアを抜き取る。これにより、外被23が収縮して電力ケーブル1と密着する。
【0034】
続いて、図8(b)に示すように、笠付外被30が外被23の一部を覆うように、笠付外被30を装着する。笠付外被30は、外被23と同様に、いわゆる常温収縮型の外被である。笠付外被30を取り付ける際には、収縮前の笠付外被30内に外被23に被覆された電力ケーブル1を挿通させ、コアCを抜き取る。これにより、笠付外被30が収縮して外被23と密着する。
【0035】
続いて、図1及び図2に示すように、ケーブル導体3に端子25を接続し、その外周面に絶縁テープ27及び粘着ポリエチレンテープ29を巻く。以上のようにして、電力ケーブル1の終端部100が構成される。
【0036】
以上説明したように、一実施形態においては、ケーブル絶縁体5、高誘電率層19、及び外被23により画成された第2空隙S2に第2グリースG2が充填されている。第2グリースG2は、その誘電率ε0が外被23の誘電率ε1以上で且つ高誘電率層19の誘電率ε2以下である。このような第2グリースG2が第2空隙S2に充填されているため、第2空隙S2には空気層が形成されない。したがって、電力ケーブル1の終端部分において落雷等が生じて瞬間的に高電圧が印加された場合であっても、第2空隙S2に電界が集中することを防止でき、絶縁破壊の発生を防止できる。その結果、雷サージに対する電力ケーブル1の終端部100の絶縁耐力を向上でき、信頼性の向上が図れる。
【0037】
また、ケーブル絶縁体5、半導電性層17及び高誘電率層19により画成される第1空隙S1には、半導電層テープ端部に生ずる部分放電の発生を防止することを主目的として第1グリースG1が充填される場合がある。
【0038】
ここで、第2グリースG2に代えて絶縁性を有するパテを用いた場合、以下のような不具合が生じ得る。すなわち、パテは、一般的に、稠度が85未満の(半固形)の物質である。したがって、流動性の低いパテの場合には、第2空隙S2において各部材への密着性を確保し難い。
【0039】
また、このパテをケーブル絶縁体5と高誘電率層19との間の段差部分に付与して段差を埋めた後、外被23を装着しようとすると、コアがパテに接触することがある。このとき、パテがコアに付着し、ケーブル絶縁体5と高誘電率層19との間の段差部分のパテが剥がれたり位置がずれたりする。その結果、第2空隙S2に空気層が形成され、ケーブル絶縁体5と高誘電率層19との段差に電界が集中して絶縁破壊が生じ得る。また、パテがコアに接触しないようにするため、内径の大きい外被を用いて慎重に作業を行うと、作業性の悪化を招来する。
【0040】
一実施形態においては、パテよりも稠度の高い第1及び第2グリースG1,G2を用いているため、第1及び第2空隙S1,S2において各部材への密着性を高めることができる。また、第2グリースG2は流動性を有しているため、第2グリースG2がコアに接触したとしても、充填されるべき位置がずれたり充填されるべき量以下となったりすることが防止される。
【0041】
以下、別の実施形態に係る電力ケーブル1の端末構造について説明する。図9は、別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。図9に示すように、電力ケーブル1の終端部100Aは、笠付外被30が装着されなくてもよい。
【0042】
図10は、別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。図10に示すように、電力ケーブル1の終端部100Bでは、笠付外被30Aが装着されている。
【0043】
図11は、別の一実施形態に係る電力ケーブルの終端部を一部破断して示す平面図である。図11に示すように、電力ケーブル1の終端部100Cでは、笠付外被30Bが装着されている。
【0044】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、半導電体層17を半導電性層テープにより形成し、高誘電率層19を高誘電率層テープにより形成しているが、半導電体層17及び高誘電率層19はテープ以外の部材によって形成されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…電力ケーブル、3…ケーブル絶縁体、5…ケーブル半導体層、7…ケーブル遮蔽層、9…ケーブルシース、17…半導電性層、19…高誘電率層、23…外被、100…終端部、G1,G2…グリース、S1,S2…空隙。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースを、径方向に順に有している電力ケーブルの終端部であって、
前記電力ケーブルは、その先端側から、前記ケーブル導体、前記ケーブル絶縁体、前記ケーブル半導体層、前記ケーブル遮蔽層及び前記ケーブルシースがこの順で露出するように処理されており、
前記ケーブル半導体層、前記ケーブル遮蔽層、及び前記ケーブル絶縁体における前記ケーブル半導体層に対する境界側の部分の外周面を覆うように設けられた半導電性層と、
前記半導電性層及び前記ケーブル絶縁体における前記半導電性層に対する境界側の部分の外周面を覆うように設けられた高誘電率層と、
前記高誘電率層及び前記ケーブル絶縁体の外周面を覆うように装着された外被と、
前記ケーブル絶縁体、前記高誘電率層及び前記外被により画成される空隙に充填されたグリースと、
を備える、電力ケーブルの終端部。
【請求項2】
前記ケーブル絶縁体、前記半導電性層及び前記高誘電率層により画成される空隙に充填されたグリースを更に備える、請求項1に記載の電力ケーブルの終端部。
【請求項3】
前記ケーブル絶縁体、前記高誘電率層及び前記外被により画成される空隙に充填された前記グリースの誘電率をε0、前記外被の誘電率をε1、前記高誘電率層の誘電率をε2とした場合、ε1≦ε0≦ε2の関係を満たす、請求項1または請求項2に記載の電力ケーブルの終端部。
【請求項4】
ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースを、径方向に順に有している電力ケーブルの終端部の組立方法であって、
前記電力ケーブルを、その先端側から、前記ケーブル導体、前記ケーブル絶縁体、前記ケーブル半導体層、前記ケーブル遮蔽層及び前記ケーブルシースがこの順で露出するように処理する工程と、
前記ケーブル半導体層、前記ケーブル遮蔽層、及び前記ケーブル絶縁体における前記ケーブル半導体層に対する境界側の部分の外周面を覆うように半導電性層を形成する工程と、
前記半導電性層及び前記ケーブル絶縁体における前記半導電性層に対する境界側の部分の外周面を覆うように高誘電率層を形成する工程と、
前記高誘電率層の先端部及び前記ケーブル絶縁体における前記高誘電率層に対する境界側の部分の外周面にグリースを塗布する工程と、
前記高誘電率層及び前記ケーブル絶縁体の外周面を覆うように外被を装着する工程と、
を含む、終端部の組立方法。
【請求項5】
前記半導電性層の先端部及び前記ケーブル絶縁体における前記半導電性層に対する境界側の部分の外周面にグリースを塗布する工程を更に含む、請求項4に記載の終端部の組立方法。
【請求項1】
ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースを、径方向に順に有している電力ケーブルの終端部であって、
前記電力ケーブルは、その先端側から、前記ケーブル導体、前記ケーブル絶縁体、前記ケーブル半導体層、前記ケーブル遮蔽層及び前記ケーブルシースがこの順で露出するように処理されており、
前記ケーブル半導体層、前記ケーブル遮蔽層、及び前記ケーブル絶縁体における前記ケーブル半導体層に対する境界側の部分の外周面を覆うように設けられた半導電性層と、
前記半導電性層及び前記ケーブル絶縁体における前記半導電性層に対する境界側の部分の外周面を覆うように設けられた高誘電率層と、
前記高誘電率層及び前記ケーブル絶縁体の外周面を覆うように装着された外被と、
前記ケーブル絶縁体、前記高誘電率層及び前記外被により画成される空隙に充填されたグリースと、
を備える、電力ケーブルの終端部。
【請求項2】
前記ケーブル絶縁体、前記半導電性層及び前記高誘電率層により画成される空隙に充填されたグリースを更に備える、請求項1に記載の電力ケーブルの終端部。
【請求項3】
前記ケーブル絶縁体、前記高誘電率層及び前記外被により画成される空隙に充填された前記グリースの誘電率をε0、前記外被の誘電率をε1、前記高誘電率層の誘電率をε2とした場合、ε1≦ε0≦ε2の関係を満たす、請求項1または請求項2に記載の電力ケーブルの終端部。
【請求項4】
ケーブル導体、ケーブル絶縁体、ケーブル半導体層、ケーブル遮蔽層及びケーブルシースを、径方向に順に有している電力ケーブルの終端部の組立方法であって、
前記電力ケーブルを、その先端側から、前記ケーブル導体、前記ケーブル絶縁体、前記ケーブル半導体層、前記ケーブル遮蔽層及び前記ケーブルシースがこの順で露出するように処理する工程と、
前記ケーブル半導体層、前記ケーブル遮蔽層、及び前記ケーブル絶縁体における前記ケーブル半導体層に対する境界側の部分の外周面を覆うように半導電性層を形成する工程と、
前記半導電性層及び前記ケーブル絶縁体における前記半導電性層に対する境界側の部分の外周面を覆うように高誘電率層を形成する工程と、
前記高誘電率層の先端部及び前記ケーブル絶縁体における前記高誘電率層に対する境界側の部分の外周面にグリースを塗布する工程と、
前記高誘電率層及び前記ケーブル絶縁体の外周面を覆うように外被を装着する工程と、
を含む、終端部の組立方法。
【請求項5】
前記半導電性層の先端部及び前記ケーブル絶縁体における前記半導電性層に対する境界側の部分の外周面にグリースを塗布する工程を更に含む、請求項4に記載の終端部の組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−5617(P2013−5617A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135217(P2011−135217)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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