説明

電力供給システム

【課題】停電中に、蓄電池の電力を用いて分散型発電システムの起動を行う場合に、分散型発電システムの起動に必要な電力量と蓄電池の残電力量との関係が使用者には分からないため、使用者が電力使用を継続し、起動に必要な電力量が足りなくなる恐れがあった。
【解決手段】分散型発電システムの起動に必要な電力分は蓄電池の残量から差し引き使用者には見えなくする。これにより、分散型発電システムはより確実に起動できるようになり、使用者は停電中でも分散型発電システムからの電力を利用することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停電が起こった場合に、電力系統と解列して自立発電を行う電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池コージェネレーションシステムは発電機能と給湯機能を備えており、通常は電力系統と連系して制御装置や補機類を駆動しシステムを起動する。燃料電池コージェネレーションシステムの起動後、分散型発電装置として、発電した電力やお湯を家庭で効率よく利用できる。ただし、停電中には電力系統と連系してシステムを起動することができないため、蓄電池などからシステム起動に必要な電力を供給することで、停電中にも燃料電池コージェネレーションシステムは起動できるようになる。このような構成であれば、停電中にも燃料電池コージェネレーションシステムは起動し、自立運転を継続しながら家庭に電気とお湯を供給することが可能である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−179886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、停電中に蓄電池の電力を用いて燃料電池コージェネレーションシステムの起動を行う場合に、燃料電池コージェネレーションシステムの起動に必要な電力量と蓄電池の残電力量との関係が使用者には分からないため、使用者が蓄電池の電力を継続して使用してしまうと、燃料電池コージェネレーションシステムの起動に必要な電力量が足りなくなる恐れがあった。
【0005】
本発明は、停電中にも、蓄電池から不足なく燃料電池コージェネレーションシステムの起動に必要な電力を供給させることができ、使用者が蓄電池を使い切らないように促す表示を表示器に表示できる電力供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明の電力供給システムは、電力を充電及び放電可能で、電力負荷に電力を供給する蓄電池と、前記蓄電池に充電された電力を用いて起動でき、電力負荷に供給する電力を発電する分散型発電装置と、前記蓄電池に残っている電力の残電力量を算出する電力算出器と、前記分散型発電装置の起動に必要な起動電力量を前記残電力量から差し引いた値である使用可能電力量を表示する表示器と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電力供給システムによれば、燃料電池コージェネレーションシステムの起動に必要な電力を蓄電池残量から差し引いて使用者には見せることができ、蓄電池残量のうち起動に必要な電力を使用者が利用しないように促すことができる。これにより、燃料電池コージェネレーションシステムの起動に必要な残量が蓄電池に確保され、燃料電池コージェネレーションシステムを確実に起動できるようになる。このため、使用者は、停電中でも燃料電池コージェネレーションシステムが発電した電力供給をより確実に受けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における電力供給システム構成図
【図2】本発明の実施の形態1における表示器の蓄電池の残量表示画面図
【図3】本発明の実施の形態1における表示器の発電・買電の表示画面図
【図4】本発明の実施の形態1における蓄電池の残量の内訳を示す模式図
【図5】本発明の実施の形態1における表示器の注意表示画面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明における電力供給システムは、電力を充電及び放電可能で、前記電力負荷に電力を供給する蓄電池と、前記蓄電池に充電された電力を用いて起動でき、電力負荷に供給する電力を発電する分散型発電装置と、前記蓄電池に残っている電力の残電力量を算出する電力算出器と、前記分散型発電装置の起動に必要な起動電力量を前記残電力量から差し引いた値である使用可能電力量を表示する表示器と、を備えたものである。
【0010】
この構成により、燃料電池コージェネレーションシステムの起動に必要な電力を蓄電池残量から差し引いて使用者には見せることができ、蓄電池残量のうち起動に必要な電力を使用者が利用しないように促すことができる。これにより、燃料電池コージェネレーションシステムの起動に必要な残量が蓄電池に確保され、燃料電池コージェネレーションシステムを確実に起動できるようになる。このため、使用者は、停電中でも燃料電池コージェネレーションシステムが発電した電力供給をより確実に受けることができるようになる。
【0011】
第2の発明は、特に第1の発明において、表示器は、前記残電力量が、前記起動電力量より大きい第1電力量である場合に、使用者に電力使用の抑制を促す旨の情報を報知する。
【0012】
これにより、使用者が燃料電池コージェネレーションシステムの起動に必要な電力を消費してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0013】
第3の発明は、特に第1又は第2の発明において表示器は、前記分散型発電装置が、前記蓄電池の電力を用いて運転停止状態から起動している場合に、使用者に電力使用の抑制を促す旨の情報を報知する。
【0014】
これにより、燃料電池コージェネレーションシステムの起動中に、使用者が燃料電池コージェネレーションシステムの起動に必要な電力を消費してしまうことを抑制することができる。
【0015】
第4の発明は、特に第1〜第3の発明のうちのいずれか1つにおいて、表示器は、前記使用可能電力量を表示する場合及び前記残電力を表示する場合を選択できる。
【0016】
これにより、使用者の利用形態に合わせた表示が可能となる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電力供給システムの構成図である。図1において、電力供給システムは、蓄電池11と、燃料電池コージェネレーションシステム12と、表示器13とを備える。燃料電池コージェネレーションシステム12は燃料(例えば、天然ガス)を改質して水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電する。また、燃料電池コージェネレーションシステム12は、発電の際に発生する熱を利用してお湯を生成
する。燃料電池コージェネレーションシステム12は負荷14に追従して発電し、不足した分は蓄電池11又は電力系統15から供給する。また、燃料電池コージェネレーションシステム12で発電した電力から負荷14で使う電力を差し引いた余剰分の電力は、蓄電池に充電することもできる。燃料電池コージェネレーションシステム12は、電力系統15と電気的に接続され、停電が起こった場合には、燃料電池コージェネレーションシステム12と電力系統15とは解列する(切り離される)よう構成されている。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態1における表示器の蓄電池の残量表示画面の一例を示す図である。また、図3は、本発明の実施の形態1における表示器の発電・買電の表示画面の一例を示す図である。蓄電池の残量22、燃料電池コージェネレーションシステム12の発電状態31、及び、燃料電池コージェネレーションシステムの買電状態32は、表示器13に設けられた表示画面である表示部21により確認できる。
【0020】
燃料電池コージェネレーションシステム12又は表示器13は、蓄電池の残量を算出するための電力算出器を有する。電力算出器は、蓄電池11から全容量のデータ、及び、残量もしくは残割合のデータを受け、実際の蓄電池の残量42を算出する。表示器13は、電力算出器が算出した実際の蓄電池の残量42から燃料電池コージェネレーションシステム12の起動に必要な電力(以下、起動電力41という)を差し引いた電力(使用可能電力量)を表示部21に表示する。また、表示器13は、発電・買電状態を燃料電池コージェネレーションシステム12から受け取り、表示部21に表示する。
【0021】
図4は、本発明の実施の形態1における蓄電池の残量の内訳を示す模式図である。停電中においては、燃料電池コージェネレーションシステム12の起動電力41は、電力系統でなく蓄電池より供給される。そのため、実際の蓄電池の残量42は、燃料電池コージェネレーションシステム12の起動電力41以上は残しておくことが望ましい。そこで、使用者に見せる蓄電池の残量43として、実際の蓄電池の残量42から燃料電池コージェネレーションシステム12の起動電力41を差し引いた残量を表示部21に表示する。これにより、使用者には蓄電池の残量が少なく見え、使いすぎを抑止することができ、燃料電池コージェネレーションシステムの起動電力が確保できる。そのため、停電中であっても燃料電池コージェネレーションシステムが確実に起動して自立運転を行うことができ、使用者は電気とお湯を使用することができる。
【0022】
また、使用者に見せる蓄電池の残量43が少なくなっても、使用者が継続して蓄電池を利用し続ける場合も考えられる。実際の蓄電池の残量42が、燃料電池コージェネレーションシステム12の起動電力41よりも少なくなる手前の蓄電池の残量の閾値44(第1電力量)まで利用された場合、電力供給システムは、蓄電池の利用を控えるように使用者に報知する。例えば、表示器13が、蓄電池の利用を控えるように注意する注意表示画面51を表示部21に表示してもよく、蓄電池の利用を控えるよう音声でアナウンスしてもよい。これにより、使用者が燃料電池コージェネレーションシステム12の起動電力41を消費してしまうことをより確実に抑制することができる。なお、この蓄電池の残量の閾値44は、使用者の利用形態に合わせて、任意の値に変更できるようにしてもよい。
【0023】
また、電力供給システムは、自立運転中の場合(特に、起動中の場合)、実際の蓄電池の残量42に関係なく、自立運転中であるため、利用者に蓄電池の利用を控えるよう促す報知を行ってもよい。例えば、表示器13が、蓄電池の利用を控えるように注意する注意表示画面51を表示部21に表示してもよく、蓄電池の利用を控えるよう音声でアナウンスしてもよい。また、例えば、表示器13が、自立運転中であることを知らせる表示画面を表示部21に表示してもよく、自立運転中であること音声でアナウンスしてもよい。これらの報知により、燃料電池コージェネレーションシステム12の起動中に、使用者が燃料電池コージェネレーションシステム12の起動電力41を消費してしまうことを抑制す
る効果が更に高まる。
【0024】
また、蓄電池の残量表示の方法を設定する場合に、燃料電池コージェネレーションシステム12の起動電力41を常時差し引いて表示するモード又は常時差し引かないで表示するモードを表示器13で設定できるようにしてもよい。即ち、表示器13は、使用可能電力量を表示するモードと残電力を表示するモードとを選択できるようにしてもよい。このような構成により、使用者の利用形態に合わせた表示が可能となる。
【0025】
なお、本実施の形態では、燃料電池コージェネレーションシステム12が、燃料を改質して水素を取り出す構成としたが、これに限定されず、例えば、水素が充填された水素ボンベから水素を取り出す構成であってもよい。
【0026】
また、本実施の形態では、分散型発電装置として、燃料電池コージェネレーションシステムを用いる態様について説明したが、これに限定されない。例えば、分散型発電装置として、ガスエンジンを用いたコージェネレーションシステムを用いてもよい。
【0027】
以上のように、本発明にかかる表示器は、使用者が停電の場合に蓄電池の電力を使いきることを抑制するために、コージェネレーションシステムが起動に必要な電力分は蓄電池の残量から差し引き使用者には見えなくすることができる。これにより、コージェネレーションシステムを確実に起動できるようになり、使用者は停電中でもコージェネレーションシステムにより電力・お湯を利用することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、燃料電池やガスエンジンを利用するコージェネレーションシステムと、蓄電池とを備える電力供給システムに応用できる。
【符号の説明】
【0029】
11 蓄電池
12 燃料電池コージェネレーションシステム
13 表示器
14 負荷
15 電力系統
21 表示部
22 蓄電池の残量
31 発電状態
32 買電状態
41 起動電力
42 実際の蓄電池の残量
43 使用者に見せる蓄電池の残量
44 蓄電池の残量の閾値
51 注意表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を充電及び放電可能で、電力負荷に電力を供給する蓄電池と、
前記蓄電池に充電された電力を用いて起動でき、電力負荷に供給する電力を発電する分散型発電装置と、
前記蓄電池に残っている電力の残電力量を算出する電力算出器と、
前記分散型発電装置の起動に必要な起動電力量を前記残電力量から差し引いた値である使用可能電力量を表示する表示器と、
を備える電力供給システム。
【請求項2】
前記表示器は、前記残電力量が、前記起動電力量より大きい第1電力量である場合に、使用者に電力使用の抑制を促す旨の情報を報知する、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記表示器は、前記分散型発電装置が、前記蓄電池の電力を用いて運転停止状態から起動している場合に、使用者に電力使用の抑制を促す旨の情報を報知する、請求項1又は2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記表示器は、前記使用可能電力量を表示する場合及び前記残電力を表示する場合を選択できる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90370(P2013−90370A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226427(P2011−226427)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】