説明

電力供給制御回路

【課題】従来の電力供給制御回路は、電源が正常に接続された場合の待機時において消費電流が増大するという問題があった。
【解決手段】本発明にかかる電力供給制御回路は、電源端子PWRと接地端子GNDとの間に設けられた出力トランジスタT1及び負荷11と、出力トランジスタT1のゲートと接地端子GNDとの間に設けられ、電源10の極性が逆になった場合に出力トランジスタT1を導通状態にする保護トランジスタMN8と、出力端子に逆起電圧が印加された場合に出力トランジスタT1を導通状態にする負電圧制御部と、出力端子に逆起電圧が印加された場合に、接地端子GNDと出力端子とを導通状態にする補償トランジスタMN7と、電源10の極性が正常の場合に、接地端子GNDと補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN9のバックゲートとを導通状態に制御するバックゲート制御回路18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力供給制御回路に関し、特に負荷への電源供給を制御する出力トランジスタを有する電力供給制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電力供給用半導体は、負荷に電源から電力を供給する電力供給制御回路として広く用いられている。応用分野の一つとして、自動車のアクチュエータやランプを駆動するために用いられている。ここで、ソレノイドなどのインダクタンス成分を有する負荷や、負荷を接続する配線のインダクタンス成分により、電力供給制御回路の出力端子に逆起電圧が発生する。そのため電力供給制御回路は、この逆起電圧から電力供給用半導体を保護するために過電圧保護回路を備える必要がある。また、電源の逆接続時(例えば、バッテリーの取り替え時に、間違えてバッテリーを逆接続した場合)において、電力供給用半導体を導通させることにより、当該電力供給用半導体の発熱を抑制して電力供給制御回路の破壊を防止することが求められている。
【0003】
さらに、電力供給制御回路が自動車等に用いられる場合において、電極供給制御回路が待機状態の場合には、スタンバイ電流をマイクロアンペアのオーダーにして無駄な消費電流を発生させないことが要求される。
【0004】
このような要求に対する解決策が特許文献1に開示されている。図12は、特許文献1に記載された電力供給制御回路1に対応する回路図である。図12に示すように、電力供給制御回路1は、電源10、負荷11、ドライバ回路12、ゲート放電回路13、ゲート抵抗R12、バックゲート制御回路15、補償回路16、逆接続保護回路17、ダイナミッククランプ回路19、スイッチ回路20、出力トランジスタT1、抵抗R10、抵抗R11、ダイオードD10、電源端子PWR、接地端子GND、出力端子OUTを有する。なお、ゲート抵抗R12は省略しても良い。電力供給制御回路の接続については、特許文献中に詳細な説明が記載されているので省略する。
【0005】
次に、電力供給制御回路1の動作について説明する。ここで、動作としては、電源10が正常に接続された場合と、電源10が逆接続された場合と、がある。また、電源10が正常に接続された場合には、出力トランジスタT1が導通状態となり、負荷11に出力端子OUTを介して電力を供給する導通モードと、出力トランジスタT1が導通状態から非導通状態に切り替わるターンオフ時において、出力端子OUTに負荷11から逆起電圧としての負電圧サージが発生する負電圧サージモードとがある。以下では、この3つのモードに分けて電力供給制御回路1の動作を説明する。
【0006】
まず、導通モードでは、放電トランジスタMN1は、ドライバ回路12から出力されるロウレベルの制御信号S2がゲートに印加されることにより非導通状態となる。一方、出力トランジスタT1は、ドライバ回路12から出力されるハイレベルの制御信号S1がゲートに印加されることにより導通状態となる。従って、導通モードでは、出力端子OUTの電圧は電源10の正極側電圧VBとほぼ同じ値となる。また、導通モードでは、第2のスイッチ部15bのNMOSトランジスタMN5、MN6が導通して、第1のスイッチ部15aのNMOSトランジスタMN3、MN4が非導通となる。そのため、補償トランジスタMN7のバックゲートには接地端子GNDの電圧が印加される。このとき、補償トランジスタMN7は、出力端子OUTに接続される端子がドレインとなり、ノードC(逆接続保護回路17と抵抗R11との間のノード)に接続される端子がソースとなる。補償トランジスタMN7は、ゲートに接地端子GNDの電圧が印加されるため、非導通状態となる。また、逆接続保護回路17の保護トランジスタMN8は非導通状態となる。スイッチ回路20に設けられたスイッチトランジスタMN11は、ソース電圧よりもゲート電圧が低いため非導通状態となる。したがって、ダイナミッククランプ回路19は、無効な状態となっている。
【0007】
次に、負電圧サージモードの動作について説明する。負電圧サージは、出力トランジスタT1が導通状態から非導通状態に切り替わるターンオフ時に発生する。この負電圧サージは、負荷11が有するインダクタンス、及び負荷11を接続する配線が有するインダクタンスの影響により発生する。この場合、制御信号S2がロウレベルからハイレベルに遷移するため、放電トランジスタMN1は導通する。一方、制御信号S1がハイレベルからロウレベルに遷移するため、出力トランジスタT1は非導通となる。
【0008】
出力トランジスタT1が導通状態から非導通状態に切り替わる過程(ターンオフ期間)において、負荷11のインダクタンスや負荷11を接続する配線のインダクタンスの影響により、出力端子OUTに負電圧の逆起電圧が発生する。ターンオフ期間において、出力端子OUTの電圧が接地端子GNDの電圧よりも高い状態の場合には、第1のスイッチ部15aのNMOSトランジスタMN3、MN4が非導通となり、第2のスイッチ部15bのNMOSトランジスタMN5、MN6が導通となる。そのため、バックゲート制御回路15が補償トランジスタMN7のバックゲートに与える電圧は、接地端子GNDの電圧となる。出力端子OUTの電圧が接地端子GNDの電圧よりも下がる状態(負電圧サージ)の場合には、第1のスイッチ部15aのNMOSトランジスタMN3、MN4が導通となり、第2のスイッチ部15bのNMOSトランジスタMN5、MN6が非導通となる。そのため、バックゲート制御回路15が補償トランジスタMN7のバックゲートに与える電圧は、出力端子OUTの電圧となる。このとき、補償トランジスタMN7は、出力端子OUT側がソース、ノードC側がドレインとなる。ここで補償トランジスタMN7は、ゲート電圧がソース電圧よりも高いため導通状態となる。これにより、ノードCの電圧は出力端子OUTの電圧と等しくなる。
【0009】
負電圧サージが出力端子OUTに発生している状態では、放電トランジスタMN1の導通により、出力トランジスタT1のゲート電圧も負電圧となる。このとき、逆接続保護回路17の保護トランジスタMN8は非導通状態であるが、保護トランジスタMN8に形成される寄生ダイオードD8は順方向にバイアスされる。しかし、補償トランジスタMN7の導通により、ノードCの電圧は出力端子OUTの電圧と実質的に同じ電圧となっているため、保護トランジスタMN8は無効となっている。保護トランジスタMN8が無効状態になることにより、接地端子GNDから保護トランジスタMN8の寄生ダイオードD8、放電トランジスタMN1を介して出力端子OUTへ電流が流れる経路は遮断される。
【0010】
一方、スイッチ回路20のスイッチトランジスタMN11は、ゲート電圧が接地端子GNDの電圧(例えば0V)と実質的に同じであり、ソース(出力トランジスタT1のゲート)電圧が負電圧であるため、導通する。これにより、ダイナミッククランプ回路19は有効な状態となる。出力端子OUTの電圧降下により、出力トランジスタT1のソース・ドレイン間電圧がクランプ電圧以上となると、ダイナミッククランプ回路19に設けられたダイオードD11が導通し、出力トランジスタT1が導通状態となる。ここで、クランプ電圧とは、ダイオードD11の降伏電圧とスイッチトランジスタMN11のしきい値電圧と出力トランジスタT1のしきい値電圧との和のことである。このように、出力端子OUTに負電圧が発生した場合には、出力トランジスタT1のドレイン・ソース間電圧をクランプ電圧にクランプすることにより、出力トランジスタT1を過電圧から保護する。
【0011】
負電圧サージは、インダクタンスに蓄えられたエネルギーが放出されるまで発生する。エネルギーの放出が完了すると、出力端子OUTの電圧は0Vになる。そして、出力トランジスタT1は非導通状態となる。
【0012】
次に、逆接続モードの動作について説明する。逆接続モードでは、接地端子GNDに正極側電圧VB、電源端子PWRに負極側電圧VSSが接続される。このとき、ダイオードD10が導通状態となり、ノードB(ダイオードD10のアノード側のノード)の電圧は、ダイオードD10の順方向電圧(例えば0.7V)となる。また、接地端子GNDから負荷11及び出力トランジスタT1のバックゲート・ドレイン間に形成される寄生ダイオードを介して電流が流れる。そのため出力端子OUTの電圧は、当該寄生ダイオードの順方向電圧(例えば0.7V)となる。
【0013】
つまり、ノードB及び出力端子OUTの電圧は、いずれも同じ電圧(たとえば0.7V)となる。したがって、第2のスイッチ部15bのNMOSトランジスタMN5、MN6は非導通となり、第1のスイッチ部15aのNMOSトランジスタMN3、MN4も非導通となる。
【0014】
また、補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートには、0.7Vの電圧が供給される。このとき、補償トランジスタMN7は、出力端子OUT側がソース、ノードC側がドレインとなる。ここで補償トランジスタMN7は、ゲート電圧がソース電圧と等しいため非導通状態となる。一方、保護トランジスタMN8は非導通状態であるが、保護トランジスタMN8に形成される寄生ダイオードD8は順方向にバイアスされる。そのため、接地端子GNDから寄生ダイオードD8を介して出力トランジスタT1のゲートに対して電荷が供給され、出力トランジスタT1が導通する。
【0015】
上記の説明により、従来技術の電力供給制御回路1は、逆接続モードにおいて、出力トランジスタT1を導通状態に維持して発熱を防止することができる。さらに、従来技術の電力供給制御回路は、負電圧サージモードにおいて、過電圧保護機能を損なうことなく、出力トランジスタT1を過電圧から保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−147994公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
半導体基板上に図12に示す従来の電力供給制御回路を集積化した場合において、当該電力供給制御回路を動作条件範囲内の高電圧によって動作させた場合、トランジスタMN4、MN6及びMN7に形成される縦型の寄生バイポーラQ4〜Q7が導通し、消費電流が発生するという問題があった。この消費電流の発生について以下に説明する。
【0018】
従来の電力供給制御回路が待機状態の場合において、トランジスタMN4、MN6及びMN7のPウェル(寄生バイポーラQ4〜Q7のベース)は、トランジスタMN4、MN6及びMN7のドレイン/ソース(寄生バイポーラQ4〜Q7のエミッタ)と電気的な接続が取れない。そのため、当該寄生バイポーラのベースがオープンとなる。ここで、寄生バイポーラの降伏電圧は、ベースがオープンの場合のエミッタ−コレクタ間の耐圧BVceoとして表すことができる。
【0019】
図11は、バイポーラの耐圧特性を示した図である。一般に良く知られているように、ベースがオープンの場合のバイポーラの耐圧BVceoと、ベースに電位が与えられた場合のバイポーラの耐圧BVcboとは、電流増幅率hFEにより以下の関係が成り立つ。
【0020】
BVceo=BVcbo/√hFE ・・・(式1)
【0021】
デバイスの開発では、デバイスサイズと耐圧との関係がトレードオフの関係にある。このとき、耐圧BVcboは最適な値をとるように設計される。例えば、40Vの耐圧が必要な場合、通常、デバイスの耐圧BVcboは60V程度となるように設計される。
【0022】
図12に示す寄生バイポーラQ4〜Q7の電流増幅率hFEは、例えば100程度である。つまり(式1)より、耐圧BVceoは耐圧BVcboの約1/3程度である。
【0023】
そのため、従来の電力供給制御回路が待機状態の場合において、寄生バイポーラQ4〜Q7に対して耐圧BVceoよりも高い電圧が与えられると、寄生バイポーラQ4〜Q7がブレークダウンして当該寄生バイポーラに電流が流れる。それにより、従来の電力供給制御回路は消費電流が増大する。
【0024】
このように従来の電力供給制御回路では、補償回路16に設けられたトランジスタのバックゲート及びバックゲート制御回路15に設けられたトランジスタのバックゲートが、電力供給制御回路の待機時にいずれもオープン(ハイインピーダンス)になった。そのため、寄生バイポーラに電流が流れ、消費電流が増大するという問題があった。
【0025】
さらに、半導体基板上に図12に示す従来の電力供給制御回路を集積化した場合において、電源の逆接続時にMN7、MN8、MN11及びMN1に形成される寄生バイポーラによって、出力トランジスタT1が導通状態を維持することが妨げられる。これは、電源の逆接時に、各寄生バイポーラが導通して、出力トランジスタT1のゲート電荷を引き抜いてしまうためである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明にかかる電力供給制御回路は、第1の電源ラインと出力端子との間に接続された出力トランジスタと、前記出力端子と第2の電源ラインとの間に接続された負荷と、前記出力トランジスタのゲートと前記第2の電源ラインとの間に設けられ、前記第1及び前記第2の電源ライン間に接続される電源の極性が逆になった場合に前記出力トランジスタを導通状態にする保護トランジスタと、前記第1の電源ラインと前記出力トランジスタのゲートとの間に設けられ、前記出力端子に前記負荷からの逆起電圧が印加された場合に前記出力トランジスタを導通状態にする負電圧制御部と、前記出力端子に前記負荷からの逆起電圧が印加された場合に、前記第2の電源ラインと前記出力端子とを導通状態にする補償トランジスタと、前記電源の極性が正常の場合に、前記第2の電源ラインと前記補償トランジスタ及び前記保護トランジスタのバックゲートとを導通状態に制御するバックゲート制御回路と、を備える。
【0027】
上述のような回路構成により、電源が正常に接続された場合の待機時において、消費電流の増大を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、電源が正常に接続された場合の待機時において、消費電流の増大を抑制することが可能な電力供給制御回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる電力供給制御回路の回路図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる電力供給制御回路において形成される寄生素子を説明するための半導体装置の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる電力供給制御回路において電源が逆接続された場合の回路図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる電力供給制御回路において形成される寄生素子を説明するための半導体装置の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2にかかる電力供給制御回路の回路図である。
【図6】本発明の実施の形態2にかかる電力供給制御回路において形成される寄生素子を説明するための半導体装置の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2にかかる電力供給制御回路において電源が逆接続された場合の回路図である。
【図8】本発明の実施の形態2にかかる電力供給制御回路において形成される寄生素子を説明するための半導体装置の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3にかかる電力供給制御回路の回路図である。
【図10】本発明の実施の形態4にかかる電力供給制御回路の回路図である。
【図11】バイポーラトランジスタの耐圧特性を示す図である。
【図12】従来の電力供給制御回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0031】
実施の形態1
図1に本発明の実施の形態1にかかる電力供給制御回路2の回路図を示す。図1に示すように、電力供給制御回路2は、電源10、負荷11、ドライバ回路12、ゲート放電回路13、ゲート抵抗R12、バックゲート制御回路18、補償回路16、逆接続保護回路17、ダイナミッククランプ回路19、スイッチ回路20、出力トランジスタT1、抵抗(第1の抵抗)R3、抵抗(第3の抵抗)R10、抵抗(第2の抵抗)R11、抵抗(第4の抵抗)R13、ダイオードD10、電源端子PWR、接地端子GND、出力端子OUTを有する。なお、ゲート抵抗R12は省略しても良い。また、本実施の形態では、電源10と出力端子OUTとを電源端子PWRを介して接続する電源ラインを第1の電源ラインと称し、電源10と出力端子OUTとを接地端子GNDを介して接続する電源ラインを第2の電源ラインと称す。また、ダイナミッククランプ回路19とスイッチ回路20とにより負電圧制御部を構成する。
【0032】
電源10は、電源端子PWRと接地端子GNDとの間に接続される。そして、正常接続時には、電源10は電源端子PWRに正極側電圧VBを供給し、接地端子GNDに負極側電圧VSSを供給する。負荷11は、出力端子OUTと接地端子GNDとの間に接続される。負荷11は、例えば、アクチュエータやランプ等であって、電力供給制御回路2において電力の供給先となるものである。
【0033】
ドライバ回路12は、電力供給制御回路2の制御装置である。ドライバ回路12は、出力トランジスタT1のゲートに制御信号S1を供給し、ゲート放電回路13に制御信号S2を供給する。この実施の形態においては、制御信号S1、S2は、互いに逆相となる信号であるものとする。ドライバ回路12は制御信号S1、S2によって出力トランジスタT1の導通状態を制御する。
【0034】
出力トランジスタT1では、ドレインが電源端子PWRに接続され、ソースが出力端子OUTに接続される。なお、出力トランジスタT1のゲートには制御信号S1が供給される。出力トランジスタT1は、制御信号S1がハイレベルの場合に導通状態となり、制御信号S1がロウレベルの場合に非導通状態となる。ゲート抵抗R12は、ドライバ回路12と出力トランジスタT1のゲートとの間に接続される。つまり、ゲート抵抗R12は、一方の端子が出力トランジスタT1のゲートに接続され、他方の端子がドライバ回路12に接続される。
【0035】
ゲート放電回路13は、ゲート抵抗R12の他方の端子と出力端子OUTとの間に接続され、ドライバ回路12によって制御される。ゲート放電回路13は、制御信号S2がハイレベルの場合に出力トランジスタT1のゲートから電荷の引き抜きを行う。また、ゲート放電回路13は、制御信号S2がロウレベルの場合には非導通状態となり、出力トランジスタT1のゲートから電荷の引き抜きは行わない。
【0036】
より具体的には、ゲート放電回路13は、放電トランジスタMN1を有する。本実施例の形態では、放電トランジスタMN1としてN型MOSトランジスタを用いる。放電トランジスタMN1では、ドレインがゲート抵抗R12を介して出力トランジスタT1のゲートに接続され、ゲートに制御信号S2が入力され、ソースが出力端子OUTに接続され、バックゲートが抵抗R13を介して出力端子OUTに接続される。
【0037】
なお、放電トランジスタMN1には、寄生素子として、寄生バイポーラQ1及び寄生ダイオードD1が形成される。より具体的には、寄生バイポーラQ1では、放電トランジスタMN1のバックゲートにベースが接続され、出力トランジスタT1のゲートにエミッタが接続され、電源端子PWRにコレクタが接続される。寄生ダイオードD1では、放電トランジスタMN1のバックゲートにアノードが接続され、出力トランジスタT1のゲートにカソードが接続される。
【0038】
ダイナミッククランプ回路19とスイッチ回路20とは、電源端子PWRと出力トランジスタT1との間に直列に接続されている。ダイナミッククランプ回路19は、電源端子PWRとスイッチ回路20との間に接続される。より具体的には、ダイナミッククランプ回路19は、ダイオードD11を有する。ダイオードD11では、カソードが電源端子PWRに接続され、アノードがスイッチ回路20に接続される。
【0039】
スイッチ回路20は、ダイオードD11のアノードと出力トランジスタT1のゲートとの間に接続される。より具体的には、スイッチ回路20は、第1のスイッチトランジスタMN11を有する。本実施の形態では、第1のスイッチトランジスタMN11としてN型MOSトランジスタを用いる。第1のスイッチトランジスタMN11では、ドレインがダイオードD11のアノードに接続され、ソースが出力トランジスタT1のゲートに接続され、ゲートがノードBに接続され、バックゲートが抵抗R13を介して出力端子OUTに接続される。なおノードBは、後述するダイオードD10のアノード側のノードである。
【0040】
なお、第1のスイッチトランジスタMN11には、寄生素子として、寄生バイポーラQ2及び寄生ダイオードD2が形成される。より具体的には、寄生バイポーラQ2では、第1のスイッチトランジスタMN11のバックゲートにベースが接続され、第1のスイッチトランジスタMN11のドレイン側にエミッタが接続され、電源端子PWRにコレクタが接続される。寄生ダイオードD2では、第1のスイッチトランジスタMN11のバックゲートにアノードが接続され、第1のスイッチトランジスタMN11のドレイン側にカソードが接続される。
【0041】
抵抗R13では、一方の端子が放電トランジスタMN1及び第1のスイッチトランジスタMN11のバックゲートに接続され、他方の端子が出力端子OUTに接続される。なお、抵抗R13には、寄生素子として、抵抗R13の両端と電源端子PWRとの間に寄生ダイオードD1a、D1bが形成される。より具体的には、寄生ダイオードD1aでは、抵抗R13の出力端子OUT側の端子にアノードが接続され、電源端子PWRにカソードが接続される。寄生ダイオードD1bでは、抵抗R13の他方の端子にアノードが接続され、電源端子PWRにカソードが接続される。
【0042】
補償回路16は、出力端子OUTに接続されるとともに、抵抗R11を介して接地端子GNDに接続される。なお、抵抗R11と補償回路16とは、ノードCを介して接続されている。つまり、補償回路16は、出力端子OUTとノードCとの間に接続される。そして補償回路16は、出力端子OUTの電圧が所定の電圧よりも低くなった場合に、ノードCと出力端子OUTをショートする。補償回路16は、補償トランジスタMN7を有する。本実施例の形態では、補償トランジスタMN7としてN型MOSトランジスタを用いる。補償トランジスタMN7では、ソース/ドレインの一方が出力端子OUTに接続され、ソース/ドレインの他方がノードCに接続され、ゲートがノードBに接続され、バックゲートが抵抗R3を介してバックゲート制御回路18に接続される。バックゲート制御回路18は、補償トランジスタMN7のバックゲート電圧を制御する。
【0043】
なお、補償回路16には、寄生素子として、寄生バイポーラQ6、Q7及び寄生ダイオードD3c、D3dが形成される。より具体的には、寄生バイポーラQ6では、補償トランジスタMN7のバックゲートにベースが接続され、補償トランジスタMN7のノードC側のソース/ドレイン拡散領域にエミッタが接続され、電源端子PWRにコレクタが接続される。寄生バイポーラQ7では、補償トランジスタMN7のバックゲートにベースが接続され、補償トランジスタMN7における出力端子OUT側のソース/ドレイン拡散領域にエミッタが接続され、電源端子PWRにコレクタが接続される。寄生ダイオードD3cでは、補償トランジスタMN7のバックゲートにアノードが接続され、補償トランジスタMN7におけるノードC側のソース/ドレイン拡散領域にカソードが接続される。寄生ダイオードD3dでは、補償トランジスタMN7のバックゲートにアノードが接続され、補償トランジスタMN7における出力端子OUT側のソース/ドレイン拡散領域にカソードが接続される。
【0044】
逆接続保護回路17は、出力トランジスタT1のゲートとノードCとの間に接続される。逆接続保護回路17は、電源10の逆接続時に導通して出力トランジスタT1のゲートに電荷を供給することにより、出力トランジスタT1を導通させる。逆接続保護回路17は、保護トランジスタMN8を有する。本実施例の形態では、保護トランジスタMN8としてN型MOSトランジスタを用いる。保護トランジスタMN8では、ソース/ドレインの一方が出力トランジスタT1のゲートに接続され、ソース/ドレインの他方がノードCに接続され、ゲートがノードCに接続され、バックゲートが抵抗R3を介してバックゲート制御回路18に接続される。バックゲート制御回路18は、補償トランジスタMN7のバックゲート電圧を制御する。
【0045】
なお、逆接続保護回路17には、寄生素子として、寄生バイポーラQ8、Q9及び寄生ダイオードD3e、D3fを有する。より具体的には、寄生バイポーラQ8では、保護トランジスタMN8のバックゲートにベースが接続され、保護トランジスタMN8におけるノードC側のソース/ドレイン拡散領域にエミッタが接続され、電源端子PWRにコレクタが接続される。寄生バイポーラQ9では、保護トランジスタMN8のバックゲートにベースが接続され、保護トランジスタMN8における出力トランジスタのゲート側のソース/ドレイン拡散領域にエミッタが接続され、電源端子PWRにコレクタが接続される。寄生ダイオードD3eでは、保護トランジスタMN8のバックゲートにアノードが接続され、保護トランジスタMN8におけるノードC側のソース/ドレイン拡散領域にカソードが接続される。寄生ダイオードD3fでは、保護トランジスタMN8のバックゲートにアノードが接続され、保護トランジスタMN8における出力トランジスタT1のゲート側のソース/ドレイン拡散領域にカソードが接続される。
【0046】
バックゲート制御回路18は、抵抗R3を介して補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートと、ノードBと、の間に設けられる。バックゲート制御回路18は、電力供給制御回路2の状態に応じて、補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートを制御する。バックゲート制御回路18は、第2のスイッチトランジスタ(第1のトランジスタ)MN9を有する。本実施例の形態では、第2のスイッチトランジスタMN9としてN型MOSトランジスタを用いる。第2のスイッチトランジスタMN9では、ドレインがノードBに接続され、ゲートが電源端子PWRに接続され、ソース及びバックゲートが抵抗R3を介して補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートに接続される。
【0047】
なお、第2のスイッチトランジスタMN9には、寄生素子として、寄生バイポーラQ4が形成される。より具体的には、寄生バイポーラQ4では、第2のスイッチトランジスタMN9のバックゲートにベースが接続され、第2のスイッチトランジスタMN9のドレイン拡散領域にエミッタが接続され、電源端子PWRにコレクタが接続される。
【0048】
抵抗R3では、一方の端子が第2のスイッチトランジスタMN9のソースに接続され、他方の端子が補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートに接続される。なお、抵抗R3には、抵抗R3の両端と電源端子PWRとの間に寄生ダイオードD3a、D3bを有する。より具体的には、寄生ダイオードD3aでは、抵抗R3における第2のスイッチトランジスタMN9のソース側の端子にアノードが接続され、電源端子PWRにカソードが接続される。寄生ダイオードD3bでは、抵抗R3の他方の端子にアノードが接続され、電源端子PWRにカソードが接続される。抵抗R10とダイオードD10とは、接地端子GNDと電源端子PWRとの間に直列に接続される。抵抗R10は、一方の端子が接地端子GNDに接続され、他方の端子がノードBに接続される。ダイオードD10は、ノードBにアノードが接続され、電源端子PWRにカソードが接続される。つまり、ダイオードD10と抵抗R10とはノードBを介して接続される。抵抗R11は、接地端子GNDとノードCとの間に接続される。
【0049】
次に、電力供給制御回路2の動作について説明する。ここで、動作としては、電源10が正常に接続された場合と、電源10が逆接続された場合(逆接続モード)と、がある。また、電源10が正常に接続された場合には、出力トランジスタT1が導通状態となり、負荷11に出力端子OUTを介して電力を供給する導通モードと、出力トランジスタT1が導通状態から非導通状態に切り替わるターンオフ時において、出力端子OUTに負荷11から逆起電圧としての負電圧サージが発生する負電圧サージモードとがある。以下では、この3つのモードに分けて電力供給制御回路2の動作を説明する。
【0050】
まず、導通モードでは、放電トランジスタMN1は、ロウレベルの制御信号S2がゲートに印加されることにより非導通状態となる。一方、出力トランジスタT1は、ハイレベルの制御信号S1がゲートに印加されることにより導通状態となる。従って、導通モードでは、出力端子OUTの電圧は電源10の正極側電圧VBとほぼ同じ値となる。また、導通モードでは、第2のスイッチトランジスタMN9が導通する。そのため、補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートには、抵抗R10、R3を介して接地端子GNDの電圧が印加される。このとき、補償トランジスタMN7では、出力端子OUTに接続される端子がドレインとなり、ノードCに接続される端子がソースとなる。補償トランジスタMN7は、ゲートに接地端子GNDの電圧が印加されるため、非導通状態となる。保護トランジスタMN8では、出力トランジスタT1のゲートに接続される端子がドレインとなり、ノードCに接続される端子がソースとなる。保護トランジスタMN8は、ゲートに接地端子GNDの電圧が印加されるため、非導通状態となる。
【0051】
第1のスイッチトランジスタMN11は、ソース電圧よりもゲート電圧が低いため非導通となる。したがって、ダイナミッククランプ回路19は、無効な状態となっている。このとき、各寄生ダイオード(D1、D2、D1a、D1b、D3a〜D3f)は逆バイアスされているので、いずれも非導通状態となる。また、各寄生バイポーラ(Q1、Q2、Q4、Q6〜Q9)もエミッタ・ベース間は順バイアスされないので、いずれも非導通となる。
【0052】
次に、負電圧サージモードの動作について説明する。負電圧サージは、出力トランジスタT1が導通状態から非導通状態に切り替わるターンオフ時に発生する。この負電圧サージは、負荷11が有するインダクタンス、及び負荷11を接続する配線が有するインダクタンスの影響により発生する。この場合、制御信号S2がロウレベルからハイレベルに遷移するため、放電トランジスタMN1は導通する。一方、制御信号S1がハイレベルからロウレベルに遷移するため、出力トランジスタT1は非導通となる。
【0053】
出力トランジスタT1が導通状態から非導通状態に切り替わる過程(ターンオフ期間)において、負荷11のインダクタンスや負荷11を接続する配線のインダクタンスにより、出力端子OUTに負電圧の逆起電圧が発生する。ターンオフ期間において、出力端子OUTの電圧が接地端子GNDの電圧よりも高い状態の場合には、第2のスイッチトランジスタMN9が導通する。そのため、補償トランジスタMN7のバックゲートには、抵抗R10、R3を介して接地端子GNDの電圧が印加される。出力端子OUTの電圧が接地端子GNDの電圧よりも下がる状態(負電圧サージ)の場合にも、第2のスイッチトランジスタMN9は導通となる。このとき、接地端子GNDから、第2のスイッチトランジスタMN9、抵抗R3及び寄生ダイオードD3dを介して出力端子OUTへ電流経路が形成される。なお、寄生ダイオードD3a、D3bは、カソード側の電圧が正極側電圧VBであるため順方向電圧が発生しない。
【0054】
ここで、抵抗R3の抵抗値を予め調整することにより、寄生ダイオードD3dの順方向電圧が寄生バイポーラQ7の閾値電圧を超えないようにしておく。それにより、寄生ダイオードD3dの順方向電圧が例えば0.5V程度となる。寄生バイポーラQ7は、エミッタ・ベース間電圧が0.7V程度以下となるため、非導通状態となる。つまり、補償トランジスタMN7のバックゲートの電圧は、出力端子OUTの電圧から0.5V程度高い電圧となる。このとき、補償トランジスタMN7では、出力端子OUT側がソース、ノードC側がドレインとなる。ここで補償トランジスタMN7は、ゲート電圧がソース電圧よりも高いため導通状態となる。これにより、ノードCの電圧は出力端子OUTの電圧と等しくなる。なお、ノードCの電圧が出力端子OUTの電圧と等しくなることにより、寄生ダイオードD3cにも電流経路が形成される。しかし、寄生ダイオードD3cの順方向電圧は、寄生ダイオードD3dと同様に0.5V程度である。つまり、寄生バイポーラQ6は、エミッタ・ベース間電圧が0.7V程度以下となるため、非導通状態となる。
【0055】
負電圧サージが出力端子OUTに発生している状態では、放電トランジスタMN1の導通により、出力トランジスタT1のゲート電圧も負電圧となる。このとき、逆接続保護回路17の保護トランジスタMN8では、出力トランジスタT1のゲート側がソース、ノードC側がドレインとなる。ここで保護トランジスタMN8は、ゲート電圧がソース電圧よりも高いため導通状態となる。しかし、補償トランジスタMN7の導通によりノードCの電圧が出力端子OUTの電圧にショートされているため、保護トランジスタMN8は無効となる。保護トランジスタMN8が無効状態になることにより、接地端子GNDから保護トランジスタMN8(または寄生ダイオードD3f)及び放電トランジスタMN1を介して出力端子OUTへ電流が流れる経路は遮断される。
【0056】
一方、スイッチ回路20の第1のスイッチトランジスタMN11は、ゲート電圧が接地端子GNDの電圧(例えば0V)と実質的に同じであり、ソース(出力トランジスタT1のゲート)電圧は負電圧であるため、導通する。これにより、ダイナミッククランプ回路19は有効な状態となる。出力端子OUTの電圧降下により、出力トランジスタT1のソース・ドレイン間電圧がクランプ電圧以上となると、ダイナミッククランプ回路19に設けられたダイオードD11が導通し、出力トランジスタT1が導通状態となる。ここで、クランプ電圧とは、ダイオードD11の降伏電圧と第1のスイッチトランジスタMN11のしきい値電圧と出力トランジスタT1のしきい値電圧の和のことである。このように、本実施の形態にかかる電力供給制御回路2は、出力端子OUTに負電圧が発生した場合、逆接続保護回路17からの電流の影響を受けることなく、出力トランジスタT1のドレイン・ソース間電圧をクランプ電圧にクランプする。それにより、本実施の形態にかかる電力供給制御回路2は、出力トランジスタT1を精度良く過電圧から保護する。
【0057】
負電圧サージは、インダクタンスに蓄えられたエネルギーが放出されるまで発生する。エネルギーの放出が完了すると、出力端子OUTの電圧は0Vになる。その後、出力トランジスタT1は非導通状態となる。
【0058】
ここで、寄生素子についてより具体的に説明するため、ゲート放電回路13、補償回路16、バックゲート制御回路18、スイッチ回路20、抵抗R3及び抵抗R13の断面図を図2に示す。図2に示す断面図では、ゲート放電回路13、補償回路16、バックゲート制御回路18、スイッチ回路20、抵抗R3及び抵抗R13が1つのN型半導体基板に形成される例を示す。なお、抵抗R3及び抵抗R13は拡散抵抗である場合について説明する。
【0059】
図2に示すように、抵抗R3はN型半導体基板上にP型の拡散領域を用いて形成される。図2に示す例の場合、抵抗R3では、両端に不純物濃度の高いP拡散領域によって抵抗の接続端子が形成される。その接続端子間を接続する不純物濃度の低いP拡散領域によって抵抗部分が形成される。また抵抗R13は、抵抗R3と実質的に同じ構造を有する素子によって形成される。
【0060】
ゲート放電回路13の放電トランジスタMN1は、N型半導体基板上にP型半導体領域で形成されるPウェル(以下、場合に応じて放電トランジスタMN1のバックゲートと称す)を有する。そして、Pウェル上にP拡散領域とN拡散領域を有する。P拡散領域は、Pウェルへの電位供給端子となり、放電トランジスタMN1のバックゲート電圧をPウェルに与える。N拡散領域は、放電トランジスタMN1のソースまたはドレイン領域を形成する。ドレインを形成するN拡散領域の周りには、不純物濃度の低いN拡散領域が形成される。このN拡散領域により、ドレイン・バックゲート間が高耐圧を有する。そして、N型半導体基板の上層であって、2つのN拡散領域に跨る領域には、ゲート酸化膜を介してゲート電極が形成される。
【0061】
スイッチ回路20の第1のスイッチトランジスタMN11、補償回路16の補償トランジスタMN7、逆接続保護回路17の保護トランジスタMN8及びバックゲート制御回路18の第2のスイッチトランジスタMN9は、それぞれ、放電トランジスタMN1と実質的に同じ構造を有する素子によって形成される。ただし、補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8は、ソース及びドレインを形成するいずれのN拡散領域の周りにもN拡散領域が形成され、ドレイン・バックゲート間及びソース・バックゲート間に高耐圧を有する構造を有する。
【0062】
そして、寄生バイポーラQ1は、放電トランジスタMN1のバックゲートをベースとし、放電トランジスタMN1における出力トランジスタT1のゲート側のN拡散領域をエミッタとし、N型半導体基板をコレクタとして形成される。寄生バイポーラQ2は、第1のスイッチトランジスタMN11のバックゲートをベースとし、第1のスイッチトランジスタMN11におけるダイオードD11のアノード側のN拡散領域をエミッタとし、N型半導体基板をコレクタとして形成される。
【0063】
寄生バイポーラQ4は、第2のスイッチトランジスタMN9のバックゲートをベースとし、第2のスイッチトランジスタMN9におけるノードBに接続される側のN拡散領域をエミッタとし、N型半導体基板をコレクタとして形成される。寄生バイポーラQ6は、補償トランジスタMN7のバックゲートをベースとし、補償トランジスタMN7におけるノードCに接続される側のN拡散領域をエミッタとし、N型半導体基板をコレクタとして形成される。寄生バイポーラQ7は、補償トランジスタMN7のバックゲートをベースとし、補償トランジスタMN7における出力端子OUTに接続される側のN拡散領域をエミッタとし、N型半導体基板をコレクタとして形成される。
【0064】
寄生バイポーラQ8は、保護トランジスタMN8のバックゲートをベースとし、保護トランジスタMN8におけるノードCに接続される側のN拡散領域をエミッタとし、N型半導体基板をコレクタとして形成される。寄生バイポーラQ9は、保護トランジスタMN8のバックゲートをベースとし、保護トランジスタMN8における出力トランジスタT1のゲートに接続される側のN拡散領域をエミッタとし、N型半導体基板をコレクタとして形成される。
【0065】
寄生ダイオードD1は、放電トランジスタMN1のバックゲートをアノードとし、放電トランジスタMN1における出力トランジスタT1のゲートに接続される側のN拡散領域をカソードとして形成される。寄生ダイオードD2は、第1のスイッチトランジスタMN11のバックゲートをアノードとし、第1のスイッチトランジスタMN11におけるダイオードD11のアノードに接続される側のN拡散領域をカソードとして形成される。寄生ダイオードD1aは、抵抗R13における出力端子OUTに接続される側のP拡散領域をアノードとし、N型半導体基板をカソードとして形成される。寄生ダイオードD1bは、抵抗R13における第1のスイッチトランジスタMN11のバックゲートに接続される側のP拡散領域をアノードとし、N型半導体基板をカソードとして形成される。
【0066】
寄生ダイオードD3aは、抵抗R3における第2のスイッチトランジスタMN9のバックゲートに接続される側のP拡散領域をアノードとし、N型半導体基板をカソードとして形成される。寄生ダイオードD3bは、抵抗R3における補償トランジスタMN7のバックゲートに接続される側のP拡散領域をアノードとし、N型半導体基板をカソードとして形成される。寄生ダイオードD3cは、補償トランジスタMN7のバックゲートをアノードとし、補償トランジスタMN7におけるノードCに接続される側のN拡散領域をカソードとして形成される。寄生ダイオードD3dは、補償トランジスタMN7のバックゲートをアノードとし、補償トランジスタMN7における出力端子OUTに接続される側のN拡散領域をカソードとして形成される。寄生ダイオードD3eは、保護トランジスタMN8のバックゲートをアノードとし、保護トランジスタMN8におけるノードCに接続される側のN拡散領域をカソードとして形成される。寄生ダイオードD3fは、保護トランジスタMN8のバックゲートをアノードとし、保護トランジスタMN8における出力トランジスタT1のゲートに接続される側のN拡散領域をカソードとして形成される。
【0067】
一般に、NPNバイポーラは、ベースがオープンの場合よりも、ベースに固定電位が与えられた場合の方が、コレクタ・エミッタ間の耐圧が高い。ここで、従来技術では、寄生バイポーラのベースがオープンになる場合があった。そのため、従来技術では、当該寄生バイポーラのコレクタ・エミッタ間耐圧BVceoを電源10の最大印加電圧以下まで低下させてしまう可能性があった。
【0068】
そこで、本実施の形態では、寄生バイポーラQ4、Q6、Q7、Q8及びQ9のベースに固定電位を与える。それにより、寄生バイポーラQ4、Q6、Q7、Q8及びQ9のコレクタ・エミッタ間は高耐圧を有する。なお、このときの寄生バイポーラのコレクタ・エミッタ間耐圧は、予め電源10の最大印加電圧よりも高くなるようにデバイス設計される。それにより、寄生バイポーラQ4、Q6、Q7、Q8及びQ9は、電源10の最大印加電圧まで非導通状態を維持する。
【0069】
図1及び図2に示すように、寄生バイポーラQ4、Q6、Q7、Q8及びQ9のベースは、いずれも補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートの配線ラインに接続されている。また、電力供給制御回路2が待機状態(スタンバイ状態で、出力トランジスタT1から負荷11への電力供給を行わない場合)の場合、第2のスイッチトランジスタMN9は導通状態である。このとき、寄生バイポーラQ4、Q6、Q7、Q8及びQ9のベースには、接地端子GNDを介して電源10の負極側電圧VSSが供給される。これにより、寄生バイポーラQ4、Q6、Q7、Q8及びQ9は、最大印加電圧まで非導通状態を維持する。つまり、電力供給制御回路2は、当該寄生バイポーラに電流が流れないため、消費電流の増大を抑制することができる。
【0070】
次に、逆接続モードの動作について説明する。図3に実施の形態1にかかる電力供給制御回路2の逆接続モード時の回路図を示す。また、逆接続モードにおける、電力供給制御回路2の寄生素子についてより具体的に説明するための断面図を図4に示す。逆接続モードでは、電源10の正極側電圧VBと負極側電圧VSSの接続が逆になる。また、それにより寄生バイポーラQ4、Q6、Q7、Q8及びQ9のエミッタとコレクタがそれぞれ逆になる。これは、電源10の逆接続により、高電位側と低電位側が逆になったためである。なお各寄生バイポーラは、電源10が正常に接続されている場合と比較して、エミッタとコレクタが異なるが、電源10が正常に接続されている場合と同じ記号を付している。
【0071】
逆接続モードでは、接地端子GNDに正極側電圧VB、電源PWRに負極側電圧VSSが接続される。接地端子GNDからダイオードD10を介して電源端子PWRに向けて電流が流れることにより、ノードBの電圧はダイオードD10の順方向電圧(例えば0.7V)となる。また、負荷11及び出力トランジスタT1のバックゲート・ドレイン間のダイオードを介して接地端子GNDから電源端子PWRに向けて電流が流れる。それにより、出力端子OUTの電圧は出力トランジスタT1の寄生ダイオード(バックゲート・ドレイン間のダイオード)の順方向電圧(例えば0.7V)となる。ここで、電力供給制御回路2において、保護トランジスタMN8が導通すれば、正極側電圧VBを有する接地端子GNDから出力トランジスタT1のゲートに対して電荷が供給される。それにより、出力トランジスタT1が導通する。つまり、電力供給制御回路2は、出力トランジスタT1の発熱を抑制して当該電力供給制御回路の破壊を防止することができる。
【0072】
第2のスイッチトランジスタMN9は、ゲートに負極側電圧VSSが供給されるため、非導通状態となる。このとき、ノードB及び出力端子OUTの電圧がいずれも同じ電圧(たとえば0.7V)であるため、補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲート電圧には、0.7Vの電圧が供給される。このとき、補償トランジスタMN7では、出力端子OUT側がソース、ノードC側がドレインとなる。ここで補償トランジスタMN7は、ゲート電圧とソース電圧とが等しいため非導通状態となる。保護トランジスタMN8では、出力トランジスタT1のゲート側がソース、ノードC側がドレインとなる。ここで保護トランジスタMN8は、ゲート電圧とドレイン電圧とが等しいため導通状態となる。これにより、接地端子GNDから保護トランジスタMN8を介して出力トランジスタT1のゲートへ電荷が供給され、出力トランジスタT1が導通する。
【0073】
なお、逆接続モードでは、負荷11と寄生ダイオードD1及び寄生ダイオードD2とを介して、接地端子GNDから電源端子PWRに向けて電流経路が形成される。また、寄生ダイオードD1a、D1bを介して接地端子GNDから電源端子PWRに向けて電流経路が形成される。寄生ダイオードD1bは、抵抗R13の電圧降下により寄生ダイオードD1aに比べて流れる電流が小さくなる。そのため、寄生ダイオードD1aには順方向電圧として0.7V程度の電圧が発生するが、寄生ダイオードD1bは順方向電圧として0.5V程度の電圧が発生する。同様に、寄生ダイオードD1及びD2の順方向電圧も0.5V程度となる。これにより寄生バイポーラQ1及びQ2は非導通となる。つまり、出力トランジスタT1のゲートに供給された電荷は、寄生トランジスタQ1及びQ2によって引き抜かれることはなく、出力トランジスタT1の導通状態が維持される。
【0074】
上記の説明により、実施の形態1における電力供給制御回路2は、ターンオフ期間に負電圧が発生した場合において、出力トランジスタT1を導通することにより、出力トランジスタT1を精度良く過電圧から保護する。また電力供給制御回路2は、電源10が逆接続された場合において、出力トランジスタT1を導通することにより、出力トランジスタT1の発熱を抑制して電力供給制御回路2の破壊を防止する。さらに電力供給制御回路2は、電源10が正常に接続された場合の待機時において、第2のスイッチトランジスタMN9を導通することにより、補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートに対して接地端子GNDからの固定電位を供給する。そのため、寄生バイポーラのコレクタ・エミッタ間耐圧は電源10の最大印加電圧以上に維持される。つまり電力供給制御回路2は、電源10の高電圧印加時においても寄生バイポーラを非導通状態に維持するため、消費電流の増大を抑制することができる。
【0075】
実施の形態2
図5に実施の形態2にかかる電力供給制御回路3の回路図を示す。また、図6に実施の形態3にかかる電力供給制御回路3を構成するデバイスの断面図を示す。さらに、図7及び図8に電源逆接続時の電力供給制御3の回路図及び電力供給制御回路3を構成するデバイスの断面図を示す。電力供給制御回路3は、電力供給制御回路2のバックゲート制御回路18の変形例としてバックゲート制御回路18bを有する。電力供給制御回路3において電力供給制御回路2と同様のものについては、電力供給制御回路2と同じ符号を付して説明を省略する。
【0076】
電力供給制御回路3のバックゲート制御回路18bは、電力供給制御回路2のバックゲート制御回路18と比較して、逆接続モードにおいて、補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートを低インピーダンスで出力端子OUTの電位にショートすることにより、より安定な動作を得ることができる。
【0077】
電力供給制御回路3のバックゲート制御回路18bは、第2のスイッチトランジスタMN9に加え、さらに第3のスイッチトランジスタ(第2のトランジスタ)MN10を有する。本実施の形態では、第3のスイッチトランジスタMN10としてN型MOSトランジスタを用いる。第3のスイッチトランジスタMN10では、ノードCにゲートが接続され、出力端子にドレインが接続され、第2のスイッチトランジスタMN9のドレインにソース及びバックゲートが接続される。
【0078】
第3のスイッチトランジスタMN10は、放電トランジスタMN1と実質的に同じ構造を有する素子によって形成される。なお、第3のスイッチトランジスタMN10には、寄生素子として、寄生ダイオードD5が形成される。より具体的には、寄生ダイオードD5では、第3のスイッチトランジスタMN10のバックゲートにアノードが接続され、第3のスイッチトランジスタMN10における出力端子OUT側のドレイン拡散領域にカソードが接続される。
【0079】
次に、電力供給制御回路3の動作について説明する。ここで、電源10の正常接続時では、第3のNMOSトランジスタMN10は非導通状態を示す。つまり、電力供給制御3の動作は電力供給制御回路2の動作と実質的に変わらないため、説明を省略する。
【0080】
逆接続モードにおいて、第3のスイッチトランジスタMN10は、ゲート(ノードC)が高電位、ドレインが0.7V程度(出力端子OUT)、ソース及びバックゲートが0.7V程度となるため導通する。第3のNMOSトランジスタMN10の導通により、補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートは出力端子OUTの電圧と同じになる。つまり、本実施の形態にかかる電力供給制御回路は、逆接続モードにおいて、低インピーダンスで補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲートに対して出力端子OUTの電圧を供給する。これにより、本実施の形態にかかる電力供給制御回路は、保護トランジスタMN8を導通して、出力トランジスタT1を導通することができる。このように、本実施の形態にかかる電力供給制御回路3においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0081】
実施の形態3
図9に実施の形態3にかかる電力供給制御回路4の回路図を示す。電力供給制御回路4は、電力供給制御回路2と比較して、補償トランジスタMN7の出力端子OUT側のソース/ドレインと出力端子OUTとの間にダイオードD12をさらに備える。より具体的には、ダイオードD12は、補償トランジスタMN7の出力端子OUT側のソース/ドレインにアノードが接続され、出力端子OUTにカソードが接続される。電力供給制御回路4は、電源10の逆接続時に補償回路16を確実に非導通状態にすることができ、出力トランジスタT1の発熱をより精度良く抑制して電力供給制御回路4の破壊を防止する。
【0082】
次に、電力供給制御回路4の動作について説明する。ここで、正常時の動作では、補償トランジスタMN7は非導通状態となっており、ダイオードD12も非導通となる。つまり正常時における電力供給制御回路4の動作は、正常時における電力供給制御回路2の動作と実質的に変わらないため、説明を省略する。
【0083】
また負電圧サージモードの動作では、実施の形態1の場合と同様に、抵抗R3の抵抗値を予め調整することにより、補償トランジスタMN7のバックゲートの電圧を、出力端子OUTの電圧から0.5V程度高い電圧となるようにしておく。それにより、補償トランジスタMN7は導通する。そして、ノードCの電圧は出力端子OUTの電圧に応じた低電圧を示す。その結果、実施の形態1の場合と同様に、保護トランジスタMN8は無効となる。それにより、接地端子GNDから保護トランジスタMN8(または寄生ダイオードD3f)及び放電トランジスタMN1を介して出力端子OUTに向けた電流経路は遮断される。それにより電力供給制御回路4は、負電圧サージモードにおいて、逆接続保護回路17からの電流の影響を受けることなく出力トランジスタT1を精度良く過電圧から保護する。
【0084】
次に逆接続モードについて説明する。実施の形態1に示す電力供給制御回路2の場合、逆接続モードでは、補償トランジスタMN7は、ゲートが0.7V程度(ダイオードD10の順方向電圧)、バックゲートの電圧が出力端子OUTの電圧であった。出力端子OUTの電圧は0.7V程度(出力トランジスタT1の寄生ダイオードの順方向電圧)であるが、保護トランジスタMN8の導通によって出力トランジスタT1が導通状態になると、出力端子OUTの電圧は0.7Vよりも小さくなる(例えば、出力トランジスタT1のオン抵抗が20mΩ、負荷から流れる電流が5Aとすると0.1Vとなる)。したがって、補償トランジスタMN7のゲート・ソース間電圧は0.6V程度になる。ここで、補償トランジスタMN7のしきい値電圧が0.6Vよりも低い場合、補償トランジスタMN7が導通して、ノードCと出力端子OUTとがショートする。これにより、保護トランジスタMN8が無効になる。つまり、接地端子GNDから出力トランジスタT1のゲートに向けた電流経路が遮断され、出力トランジスタT1の導通状態を維持することが困難になる可能性がある。
【0085】
これに対して、本実施の形態の電力供給制御回路4の場合、逆接続モードでは、ダイオードD12のアノード側の電圧が、出力端子OUTの電圧よりも0.7V程度高くなる。つまり、補償トランジスタMN7のゲート・ソース間の電圧はほぼ0Vとなる。これにより、保護トランジスタMN8が導通する。つまり、接地端子GNDから出力トランジスタT1のゲートに向けて電荷の供給が行われ、出力トランジスタT1の導通状態を維持することができる。
【0086】
実施の形態4
図10に実施の形態4にかかる電力供給制御回路5の回路図を示す。電力供給制御回路5は、電力供給制御回路4におけるバックゲート制御回路18の第2のスイッチトランジスタMN9を抵抗(第1の抵抗)R4に置き換えた変形例であり、電力供給制御回路2よりも少ない構成素子で機能を実現できる。また、この場合、電力供給制御回路4の構成要素であった抵抗R3は不要となる。なお、抵抗R4は例えば拡散抵抗である。
【0087】
電力供給制御回路5に設けられたバックゲート制御回路18cは、抵抗R4を有する。抵抗R4では、一方の端子がノードBに接続され、他方の端子が保護トランジスタMN3のバックゲートに接続される。なお抵抗R4は、寄生ダイオードD4a、D4bを有する。より具体的には、寄生ダイオードD4aでは、抵抗R14のノードB側の端子にアノードが接続され、電源端子PWRにカソードが接続される。寄生ダイオードD4bでは、抵抗R4の他方の端子にアノードが接続され、電源端子PWRにカソードが接続される。
【0088】
電力供給制御回路5の動作について説明する。正常時の動作では、補償トランジスタMN7のバックゲートには抵抗R4及び抵抗R10を介して接地端子GNDの電圧(負極側電圧VSS)が供給される。そのため、補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8は非導通状態となる。同様に、寄生バイポーラQ6〜Q9のベースには負極側電圧VSSが供給されるため、電源10が高電圧の状態においても、寄生バイポーラQ6〜Q9は非導通状態を維持する。つまり電力供給制御回路5は、待機状態の場合において、寄生トランジスタに電流が流れないため、消費電流の増大を抑制することができる。また、寄生ダイオードD4a、D4bも逆バイアスされており、非導通状態となっている。
【0089】
また負電圧サージモードの動作では、実施の形態1の場合と同様に、抵抗R4の抵抗値を予め調整することにより、補償トランジスタMN7のバックゲートの電圧を、出力端子OUTの電圧から0.5V程度高い電圧となるようにしておく。それにより、補償トランジスタMN7は導通する。そして、ノードCの電圧は出力端子OUTの電圧に応じた低電圧を示す。その結果、実施の形態1の場合と同様に、保護トランジスタMN8は無効となる。それにより、接地端子GNDから保護トランジスタMN8(または寄生ダイオードD3f)及び放電トランジスタMN1を介して出力端子OUTへ向けた電流経路は遮断される。それにより電力供給制御回路5は、負電圧サージモードにおいて、逆接続保護回路17からの電流の影響を受けることなく出力トランジスタT1を精度良く過電圧から保護する。
【0090】
逆接続モードでは、抵抗R10とダイオードD10とを介して接地端子GNDから電源端子PWRに向けて電流経路が形成される。さらに、抵抗R10と寄生ダイオードD4aとを介して、接地端子GNDから電源端子PWRに向けて電流経路が形成される。このときダイオードD10のアノードの電圧は順方向電圧(例えば0.7V)となる。同様に、抵抗R10と抵抗R4と寄生ダイオードD4bとを介して、接地端子GNDから電源端子PWRに向けて電流経路が形成される。しかしこの場合、寄生ダイオードD4bに流れる電流は抵抗R4によって制限される。そのため、寄生ダイオードD4aに流れる電流よりも寄生ダイオードD4bに流れる電流が小さくなる。つまり、寄生ダイオードD4bの順方向電圧は0.7Vよりも小さくなる(例えば0.5V)。それにより、補償トランジスタMN7及び保護トランジスタMN8のバックゲート電圧は低電圧となる。これにより、補償トランジスタMN7は非導通状態となり、保護トランジスタMN8は導通状態となる。つまり、出力トランジスタT1は、保護トランジスタMN8を介してゲートに電荷が供給されるため、導通状態となる。また、寄生ダイオードD4bの順方向電圧が0.5V程度であるため、寄生バイポーラQ6〜Q9は非導通状態となる。そのため、寄生バイポーラQ6〜Q9によって出力トランジスタT1のゲートから電荷を引き抜かれることはなく、出力トランジスタT1は導通状態を維持する。
【0091】
以上により、上記実施の形態にかかる電力供給制御回路は、ターンオフ期間に負電圧が発生した場合において、出力トランジスタT1を導通することにより、出力トランジスタT1を精度良く過電圧から保護する。また、上記実施の形態にかかる電力供給制御回路は、電源10が逆接続された場合において、出力トランジスタT1を導通させることにより、当該出力トランジスタの発熱を抑制して電力供給制御回路の破壊を防止することができる。さらに、上記実施の形態にかかる電力供給制御回路は、電源10が正常に接続された場合の待機時において、当該電力供給制御回路が許容する最大電源電圧で動作した場合でも、寄生バイポーラの非導通状態を維持し、消費電力の増大を抑制することができる。
【0092】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上記実施の形態では、各素子が1つの半導体基板上に形成される例を説明したが、これに限られない。つまり本発明は、1つの半導体基板に各素子が形成されるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0093】
2〜5 電力供給制御回路
10 電源
11 負荷
12 ドライバ回路
13 ゲート放電回路
16 補償回路
17 逆接続保護回路
18、18b、18c バックゲート制御回路
19 ダイナミッククランプ回路
20 スイッチ回路
D10〜D12 ダイオード
MN1 放電トランジスタ
MN7 補償トランジスタ
MN8 保護トランジスタ
MN9 第2のスイッチトランジスタ
MN10 第3のスイッチトランジスタ
MN11 第1のスイッチトランジスタ
D1、D1a、D1b 寄生ダイオード
D2 寄生ダイオード
D3a〜D3f 寄生ダイオード
D4a、D4b、D5 寄生ダイオード
Q1、Q2、Q4、Q6〜Q9 寄生バイポーラ
R3、R4、R10、R11、R13 抵抗
R12 ゲート抵抗
T1 出力トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源ラインと出力端子との間に接続された出力トランジスタと、
前記出力端子と第2の電源ラインとの間に接続された負荷と、
前記出力トランジスタのゲートと前記第2の電源ラインとの間に設けられ、前記第1及び前記第2の電源ライン間に接続される電源の極性が逆になった場合に前記出力トランジスタを導通状態にする保護トランジスタと、
前記第1の電源ラインと前記出力トランジスタのゲートとの間に設けられ、前記出力端子に前記負荷からの逆起電圧が印加された場合に前記出力トランジスタを導通状態にする負電圧制御部と、
前記出力端子に前記負荷からの逆起電圧が印加された場合に、前記第2の電源ラインと前記出力端子とを導通状態にする補償トランジスタと、
前記電源の極性が正常の場合に、前記第2の電源ラインと前記補償トランジスタ及び前記保護トランジスタのバックゲートとを導通状態に制御するバックゲート制御回路と、を備えた電力供給制御回路。
【請求項2】
前記バックゲート制御回路は、
前記電源の極性が逆の場合には、前記第1の電源ラインの電圧に応じた電圧を前記補償トランジスタ及び前記保護トランジスタのバックゲートに対して供給することを特徴とする請求項1に記載の電力供給制御回路。
【請求項3】
前記バックゲート制御回路は、
前記第2の電源ラインと前記保護トランジスタのバックゲートとの間に設けられた第1の抵抗を備えた請求項1又は2に記載の電力供給制御回路。
【請求項4】
前記第1の抵抗は、拡散抵抗であることを特徴とする請求項3に記載の電力供給制御回路。
【請求項5】
前記バックゲート制御回路は、
前記第2の電源ラインと前記補償トランジスタ及び前記保護トランジスタのバックゲートとの間の導通/非導通を前記第1の電源ラインの電圧に応じて制御する第1のトランジスタを備えた請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力供給制御回路。
【請求項6】
前記第1のトランジスタは、
当該第1のトランジスタのバックゲートが前記補償トランジスタ及び前記保護トランジスタのバックゲートに接続されたことを特徴とする請求項5に記載の電力供給制御回路。
【請求項7】
前記第1のトランジスタは、
前記第2の電源ラインと前記第1の抵抗との間に接続されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の電力供給制御回路。
【請求項8】
前記バックゲート制御回路は、
前記出力端子と前記補償トランジスタ及び前記保護トランジスタのバックゲートとの間の導通/非導通を前記第2の電源ラインの電圧に応じて制御する第2のトランジスタをさらに備えた請求項5〜7のいずれか一項に記載の電力供給制御回路。
【請求項9】
前記第2のトランジスタは、
当該第2のトランジスタのバックゲートが前記補償トランジスタ及び前記保護トランジスタのバックゲートに接続されたことを特徴とする請求項8に記載の電力供給制御回路。
【請求項10】
前記負電圧制御部は、
前記第1の電源ラインと前記出力トランジスタのゲートとの間に直列に接続され、前記第1電源ラインと前記出力端子との間の電圧差を制限するダイナミッククランプ回路を備えた請求項1〜9のいずれか一項に記載の電力供給制御回路。
【請求項11】
前記負電圧制御部は、
前記ダイナミッククランプ回路に直列に接続され、基準電圧と前記出力端子の電圧との比較結果に基づいて導通状態が制御されるスイッチ回路をさらに備えた請求項10に記載の電力供給制御回路。
【請求項12】
前記第1及び前記第2の電源ラインの間に直列に接続されたダイオード及び第3の抵抗をさらに備え、
当該ダイオードと当該第3の抵抗とを接続するノードと、前記補償トランジスタ及び前記保護トランジスタのバックゲートとが、前記バックゲート制御回路を介して接続されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の電力供給制御回路。
【請求項13】
前記出力トランジスタのゲート及びソースの間に接続され、前記出力トランジスタを非導通にする場合に前記出力トランジスタのゲート及びソースの間を導通する放電トランジスタと、
前記放電トランジスタのバックゲートと前記出力トランジスタのソースとの間に接続された第4の抵抗と、をさらに備えた請求項1〜12のいずれか一項に記載の電力供給制御回路。
【請求項14】
前記第4の抵抗は拡散抵抗であることを特徴とする請求項13に記載の電力供給制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−101189(P2011−101189A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254362(P2009−254362)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】