説明

電力分布が改善されたELデバイス

基板上にレイアウトされた発光素子(20a、20b、20c、20d)と、これら発光素子に接続されていて共通の信号を伝えるバス(14a、14b)と、これら複数のバスと交差するとともにこれら複数のバスに電気的に接続されている電気的相互接続部(12a、12b)とを備えるアクティブ-マトリックス・エレクトロルミネッセンス・デバイス。発光素子は複数のグループにして配置されており、各グループは、バスと電気的相互接続部の交差部のまわりに配置された隣り合った4つの発光素子からなる4個組セル(4a、4b、4c、4d)を形成しており、各4個組セルのそれぞれの発光素子はバスまたは電気的相互接続部に接続されてその4個組セルの発光素子を互いに隔てており、各4個組セルは、隣の4個組セルと共通する1つのバスまたは電気的相互接続部を共有し、共通する1つのバスを共有する隣り合った4個組セルは、共通する相互接続部によって隔てられておらず、共通する相互接続部を共有する隣り合った4個組セルは、共通のバスによって隔てられていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス・デバイスに関するものであり、より詳細には、電力分布を改善するためのエレクトロルミネッセンス・デバイス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティングされたエレクトロルミネッセンス(EL)デバイスは、フラット-パネル・ディスプレイとエリア照明ランプにとって有望な技術である。特に有機発光ダイオード(OLED)の下位分類に含まれるELデバイスが進歩したことで、この技術が、表示のための従来のLCD技術や、エリア照明のためのタングステン・ランプまたは蛍光ランプと競合しつつある。この技術は、基板を覆ういろいろな材料からなる薄膜層に依存している。OLEDデバイスではその材料は有機材料だが、ELデバイスは、無機層から、または有機層と無機層の組み合わせから形成することもできる。
【0003】
OLEDデバイスは、一般に、小分子デバイスとして知られる形式(例えばアメリカ合衆国特許第4,476,292号に開示されているもの)と、ポリマーOLEDデバイスとして知られる形式(例えばアメリカ合衆国特許第5,247,190号に開示されているもの)の2つの形式が可能である。どちらのタイプのOLEDデバイスも、順番に、アノード、有機EL素子、カソードを含むことができる。たいていの設計では、一方の電極は反射性であり、他方の電極は透明である。アノードとカソードの間に配置される有機EL素子は、一般に、有機正孔輸送層(HTL)と、発光層(EL)と、有機電子輸送層(ETL)を含んでいる、正孔と電子がELで再結合して光を発生させる。Tangら(Appl. Phys. Lett.、第51巻、913ページ、1987年;Journal of Applied Physics、第65巻、3610ページ、1989年;アメリカ合衆国特許第4,769,292号)は、このような層構造を利用した高効率のOLEDを製造してみせた。それ以来、ポリマー材料が含まれた別の層構造を有する多数のOLEDが開示され、デバイスの性能が改善されてきた。
【0004】
OLEDデバイスでは、電子と正孔がそれぞれカソードとアノードから注入されると、電子輸送層(ETL)と正孔輸送層(HTL)の中を流れ、発光層(LEL)の中で再結合して光が発生する。多くの因子がこの光発生プロセスの効率を決めている。例えばアノード材料とカソード材料の選択により、電子と正孔がデバイスの中にどれほど効率的に注入されるかを決めることができる。ETLとHTLの選択により、電子と正孔がデバイスの中をどれほど効率的に輸送されるかを決めることができ、LELの選択により、電子と正孔がどれほど効率的に再結合して光が発生するかを決めることができる、などである。
【0005】
典型的なOLEDデバイスでは、ガラス基板と、透明な導電性アノード(例えばインジウム-スズ-酸化物(ITO))と、積層された複数の有機層と、反射性カソード層が用いられる。このデバイスから発生した光はガラス基板を通って出ていく。これは一般にボトム-エミッション型デバイスと呼ばれる。あるいはデバイスは、基板と、反射性アノードと、積層された複数の有機層と、透明な上部カソード層と、透明なカバーを備えることができる。このデバイスから発生した光は、透明な上部カソード層と透明なカバーを通って出ていく。これは一般にトップ-エミッション型デバイスと呼ばれる。
【0006】
OLEDデバイスでは、フル-カラー・ディスプレイを製造するため、基板上にパターニングされていて異なるさまざまな波長の光(例えば赤、緑、青)を出すさまざまな有機発光材料を用いることができる。あるいは複数の発光体の組み合わせ、またはパターニングされていない1つの広帯域発光体を用いて白色光を発生させ、パターニングされたカラー・フィルタ(例えば、赤、緑、青)を合わせて用いて色の異なる発光素子とフル-カラー・ディスプレイを製造することが知られている。カラー・フィルタは、基板上に配置すること(ボトム-エミッション型の場合)、またはカバーの上に配置すること(トップ-エミッション型の場合)ができる。例えば2002年5月21に付与された「エレクトロルミネッセンス素子を有するカラー・ディスプレイ装置」という名称のアメリカ合衆国特許第6,392,340号にそのような装置が記載されている。
【0007】
OLED材料はさまざまな発光特性を有する。さらに、ある色の光は別の色の光よりも発光効率が大きいことが知られている。特に、白色発光体は、青色発光体や赤色発光体よりも効率が大きいことが知られている。そこで4つのサブエレメント、すなわち赤、緑、青、白(RGBW)を有するOLED画素を用いることが提案されてきた。たいていの画像は大きな輝度成分を持つため、このような4エレメント・ディスプレイは、従来の3エレメント・ディスプレイよりも効率が大きくなる可能性がある。このような設計は、例えばアメリカ合衆国特許第6,919,681号とアメリカ合衆国特許出願公開2004/0113875に記載されている。白色発光体はカラー発光体よりも効率が大きいため、複数のカラー発光体の組み合わせによって発生させる光の一部を白色発光体で置き換えると、使用電力を少なくできる場合がある。さらに、アメリカ合衆国特許出願公開2004/0178974に記載されているように、RGB発光素子のうちの少なくとも1つよりも電力効率が大きい第4の色域決定カラー発光素子を適用しても、ディスプレイの効率を改善することができる。
【0008】
図3を参照すると、従来技術で提案されているボトム-エミッション型OLEDデバイスが透明な基板50を有する状態の側面図が示されている。基板50の上には半導性の層が形成されてOLEDを駆動するための薄膜電子部品24となる。絶縁・平坦化中間層40が薄膜電子部品24の上に形成され、さらに、OLEDの発光素子を規定するパターニングされた透明な電極52が、絶縁層40と絶縁層40の間に形成されている。発光素子間絶縁膜42が、さまざまな素子をパターニングされた透明な電極52から隔てている。1つ以上の第1の有機材料層54(そのうちの1つが光を出す)がパターニングされた透明な電極52の上に形成されている。反射性の第2の電極56が、有機材料からなる1つ以上の第1の層54の上に形成されている。従来のいくつかの実施態様では、パターニングされた透明な電極52は、代わりに、少なくとも一部が透明であること、および/または光吸収性であることが可能である。
【0009】
図3のRGBW配置に示してあるように、有機層54はパターニングする必要がなく、広帯域光(例えば白色光)が有機層54からカラー・フィルタ44R、44G、44Bを通って出ていき、カラー・ディスプレイを形成する。カラー・フィルタ44R、44G、44Bは望む色の光(例えばカラー・ディスプレイで望まれる色に対応する赤、緑、青)だけを透過させるのに対し、フィルタ44Kは中性フィルタである(あるいはフィルタなしで透明な層が存在していてもよい)。次に、着色光60、61、62と広帯域光または白色光63が基板50を通過してデバイスから出ていく。あるいは有機層54をパターニングして異なる色の光がデバイスの異なる位置から出ていくようにする。そのときフィルタ44R、44G、44Bは使用する必要がない。出願人は、図3に対応するOLEDデバイスを構成した。
【0010】
OLED素子を駆動するために薄膜電子部品を用いるアクティブ・マトリックスOLEDデバイスは、他のフラット-パネル・ディスプレイ装置とは異なり、一般に、OLEDデバイス内の電力分布の問題を抱えている。OLEDデバイスは光を直接発生させ、その光出力はOLEDを通過する電流に依存しているため、アクティブ・マトリックスOLEDデバイスに含まれる各OLEDにおいて十分かつ一様な電流が利用できることが重要である。
【0011】
OLEDデバイスは、従来は、複数の画素が複数の行と列になって配置されていて、バス列またはバス行が各OLED画素に電力を供給する。そのため各画素列(または画素行)は共通のバス(と他の信号(データ信号や選択信号など))を共有している。画素のレイアウトを単純化してOLEDデバイスの解像度を最大にするためにこの構成が利用される。アクティブ-マトリックスOLEDでは、ディスプレイ装置内の各OLEDに供給される電流を調節する薄膜トランジスタ回路が設けられている。しかし電流は、一般に、電力線と帰線のペアによって1つの行または列の多数の画素に供給される。これらの線は抵抗値が有限であるため、各OLED素子を駆動するのに必要な電流が増加するにつれ、予期しない、しかも望ましくない電圧差が、流れる電流と、電力線および帰線の抵抗値との関数として発生する。この予期しない電圧差は電流および抵抗値と正の相関があるため、電力線および/または帰線に沿った電圧低下は、これらの線が大きな電流を流さねばならないとき、または電力線の抵抗が大きいときには大きくなる。この予期しない電圧差を発生させる現象は、一般に、電流-抵抗低下、すなわち“IR”低下と呼ばれる。さらに、このIR低下により、電源からの距離が大きくなるにつれて電力線に沿って画素の輝度が徐々に失われることになる。この輝度の低下によってイメージングに望ましくないアーチファクトが生じる可能性がある。したがって予期しない電圧低下を制限してこうしたアーチファクトを回避する必要がある。図6Aと図6Bを参照すると、市販されているアクティブ-マトリックスOLEDで観察される画像の実際のアーチファクトを示す図が提示されている。領域1は明るく光っているため、大量の電力が供給されている。共通の信号によって部分2aを含む領域2から出る光はより少なく、しかも領域2は領域1よりも電源から遠い位置にあるため、電流は、例示のためのこのアクティブ-マトリックスOLEDに見られる列用バスの中をより長い距離通過せねばならない。部分2aは、領域2の残部を駆動するのに用いるのと同じ信号で駆動されるが、部分2aの電流は、他の部分とは異なって領域1の列用バスに沿って流れる電流によって制限されるため、領域2の残部よりも輝度が小さくなる。そのため画像には、予期せず、かつ望ましくないアーチファクトが観察される。特に、アーチファクトは列状の構造であり、ディスプレイ装置内の電力線と帰線のレイアウトによって規定される。
【0012】
この問題を克服する1つの方法は、「発光パネルと、それを備える発光装置」という名称のアメリカ合衆国特許出願公開2004/000444に示唆されているように、電力線の抵抗を小さくすることである。バスは、一般に、アルミニウム、または銀、または他の金属、または合金で構成され、例えば幅10ミクロンで厚さ250nmにすることができる。残念なことに、抵抗を小さくし、電力線の断面積(抵抗に逆比例する)を小さくするのに利用できる材料は、利用できる製造技術によって決まるため、電力線の抵抗を小さくするのにコスト的に有効でないことがしばしばある。電力線が長くなるのに合わせて抵抗が増大するため、そしてディスプレイのピーク輝度は電力線に沿って供給できるピーク電流によって制限されるため、OLED技術を利用して製造できるディスプレイのサイズまたは輝度が制限されることがしばしばある。
【0013】
この問題に対処するための従来技術における別の方法は、電力分布用バスのサイズを大きくし、他のディスプレイ素子を犠牲にすることに基づいている。例えばOLEDの発光領域のサイズ(開口率)を小さくするとバスのサイズを大きくできる(するとバスの導電率が改善される)。しかしこのようにするとOLEDデバイスの寿命が短くなる。それは、(輝度が所定の値だと)OLED材料を通過する電流密度が増加すること、そしてOLEDデバイスの寿命は、OLEDを通過する電流密度と逆の関係があることが知られていることが理由である。図4Aを参照すると、従来のOLEDのレイアウトの上面図が示してある。このOLEDは、発光領域20a、20bを有する隣り合った2つの画素10a、10bと、薄膜電子部品(TFT)24a、24bと、バス14a、14bを備えている。製造法に制約があるため、さまざまな部品を配置する精度が制限される。したがってスペース8をデバイスのさまざまな素子間に設ける必要がある。多彩なレイアウト設計規則と層が従来技術で知られており、それによってデバイスのさまざまな素子のために考慮されるスペース8が決まる。ここに示した図面は、非常に単純かつ大まかなものである。特に、バス14に付随するスペース8に注目されたい。それぞれの画素10の中に2つのスペース8が設けられている。アメリカ合衆国特許第6,522,079号には、開口率を小さくすることなくバスの幅が改善されたOLEDのレイアウトが記載されている。図4Bを参照すると、バスの数を減らすことにより、どの2つの画素間でもスペース8の数を3つに減らすことができる。追加のスペース14'は、(図示してあるように)残ったバスのサイズを大きくして導電率と電力分布の改善に利用すること、または他の目的(例えば開口率を大きくすることや、OLEDデバイスの寿命を長くすること)に利用することができる。アメリカ合衆国特許第6,771,028号には4色有機発光デバイスのための駆動回路が記載されており、隣り合った発光素子列が共通する1つのバスを共有する同様の反転レイアウトの実施態様が含まれている。このようなレイアウトによってサイズと導電率のこの増大が可能になるとはいえ、電力分布は大きな問題として残るため、さらなる改善が望ましかろう。
【0014】
ここで図4Cを参照する。行または列のためのバスを用いてOLEDデバイスの電力分布を改善する別の方法が、アメリカ合衆国特許第6,724,149号に記載されている。この設計では、1つのバスから別のバスに電流が到達できるよう、バス14同士を電気的に接続するバイパス式相互接続部12a、12bが利用されている。しかし各発光素子行の間にこのような相互接続部を用いると、OLEDデバイスの開口率が、特にボトム-エミッション型OLEDの構成で著しく小さくなる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
あらゆるELデバイスは、OLEDデバイスも含め、そのデバイスの中を通過する電流に応じて光を発生させるため、どのアクティブ-マトリックスELデバイスも似た問題を示す。したがって、ELデバイスのレイアウトを改善して上に指摘した問題をなくし、目に見えるアーチファクトを減らしつつ、電力用バス線および/または発光領域のためにより大きな面積を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施態様は、基板上にレイアウトされた複数の発光素子(ただし各発光素子は、第1の電極と、第2の電極と、これら電極の間に形成された1つ以上のエレクトロルミネッセンス層を備えており、少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス層が発光し、少なくとも1つの電極は透明であり、第1の電極と第2の電極が1つ以上の発光領域を規定している)と、基板上に形成されていて、1つ以上のエレクトロルミネッセンス層を駆動して光を発生させるために第1の電極および/または第2の電極に接続されている電子部品と;
上記発光素子に接続されていて共通の信号を伝える複数のバスと;
これら複数のバスと交差していてこれら複数のバスを電気的に接続する複数の電気的相互接続部とを備えるアクティブ-マトリックス・エレクトロルミネッセンス・デバイスであって、
上記複数の発光素子が、4個の発光素子からなる複数のグループとして配置され、各グループは、上記バスと上記電気的相互接続部の交差部のまわりに配置された隣り合った4つの発光素子からなる4個組セルを形成しており、1つのバスのそれぞれの側に各4個組セルの2つの発光素子が形成され、1つの電気的相互接続部のそれぞれの側に各4個組セルの2つの発光素子が形成されており;
各4個組セルのそれぞれの発光素子は、その4個組セルの発光素子を互いに隔てるバスまたは電気的相互接続部に接続されていて、各4個組セルは、隣の4個組セルと共通する1つのバスまたは電気的相互接続部を共有し、共通する1つのバスを共有する隣り合った4個組セルは、共通する相互接続部によって隔てられておらず、共通する相互接続部を共有する隣り合った4個組セルは、共通のバスによって隔てられていないアクティブ・マトリックス・デバイスに関するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、アクティブ-マトリックス・エレクトロルミネッセンス・デバイスの電力分布と発光の一様性を改善できるという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
個々の素子のサイズの違いが大きすぎて実際のスケールで表現することはできないため、図面は実際のスケールになっていないことが理解されよう。
【0019】
本発明の一実施態様による図1を参照すると、アクティブ-マトリックス・エレクトロルミネッセンス・デバイスは、基板の上に配置された複数の発光素子10a、10b、10c、10dを備えている。図3を参照すると、発光素子は同様に基板50の上に形成することができ、各OLED素子は、第1の電極52と、第2の電極56と、これら電極の間に形成された1つ以上のエレクトロルミネッセンス層54を備えている。少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス層54が光を出し、電極52と56の少なくとも一方は透明になっていて、電極52と56が1つ以上の発光領域を規定している。図1にはさらに、発光素子10a、10b、10c、10dが、基板50の上に形成された発光領域20a、20b、20c、20dと、電子部品24a、24b、24c、24dを備えている様子が図示されている。発光領域と電子部品は、第1の電極52および/または第2の電極56に接続されて1つ以上のエレクトロルミネッセンス層54を駆動し、光を発生させる。
【0020】
共通の信号を伝える複数のバス14a、14bが発光素子に接続されている。さらに、複数の電気的相互接続部12a、12bが交差し、複数のバスを電気的に接続している。複数の発光素子は、それぞれが4つの発光素子(10a、10b、10c、10d)からなる複数のグループにして配置され、各グループは、バスと相互接続部の交差部のまわりに配置された隣り合う4つの発光素子からなる4個組セル(4a、4b、4c、4d)を形成している。バスのそれぞれの側に各4個組セルの2つの発光素子が形成され(例えば4個組セル4aでは、ペア10a、10cとペア10b、10dがバス14aの互いに反対側に形成されている)、2つのOLED素子が各4個組セルの電気的相互接続部のそれぞれの側に形成されている(例えば4個組セル4aでは、ペア10a、10bとペア10c、10dが電気的相互接続部12aの互いに反対側に形成されている)。各4個組セルのそれぞれの発光素子は、4個組セルの発光素子を互いに隔てているバスまたは電気的相互接続部に接続されており、各4個組セルは、隣の4個組セルと共通のバスまたは相互接続部を共有している(例えば4個組セル4aは、隣の4個組セル4cと共通のバス14aを共有し、隣の4個組セル4bと共通の電気的相互接続部12aを共有している)。共通のバスを共有する隣り合った4個組セルは共通の相互接続部によって互いに隔てられておらず、共通の相互接続部を共有する隣り合った4個組セルは共通のバスによって互いに隔てられていない。この配置により、バス14a、14bと電気的相互接続部12a、12bが交差することによって形成される4つの区画に位置する4つの発光素子からなるグループが形成される。発光素子、バス、電気的相互接続部の本発明によるこの配置により、電力分布と発光素子の開口率の組み合わせを最適にすることができる。一実施態様では、エレクトロルミネッセンス層は、有機発光ダイオードを含む有機エレクトロルミネッセンス材料を含有しているため、これらの発光素子をOLED素子と呼ぶことができる。
【0021】
図1からはさらに、バス14aの一方の側にある発光素子(10a、10c)は、バス14aの他方の側にある発光素子(10b、10d)の反転レイアウトにすることができ、電気的相互接続部12aの一方の側にある発光素子(10a、10b)は、電気的相互接続部12aの他方の側にある発光素子(10c、10d)の反転レイアウトにできることがわかる。本発明で利用されているように、反転レイアウトは、各発光素子10の中での発光領域20と電子部品24の位置が、バス14と電気的相互接続部12に対してほぼ裏返されたレイアウトを意味する。反転レイアウトは鏡像にすることができる。その場合には、発光素子10に含まれる各部品の位置は、別の発光素子10内の対応する部品の鏡像の位置にある。しかし本発明によれば、厳密な鏡像は必要なく、発光領域は、例えば図5に示したように互いに異なっていてもよい。さらに、各発光素子10に含まれる電子部品24と、バス14および/または電気的相互接続部12との接続部は、さまざまな位置に配置することができる。例えば図2を参照すると、1つの発光素子10に含まれる電子部品24とバス14の間に、1つの発光素子10の1つの位置にあるビア16を通じて接続部22を形成できるが、別の発光素子10では、同じバスまたはの相互接続部12に、反転位置または異なる位置にあるビアを通じて接続して接続部22を形成できることがわかる。バス14と相互接続部12は電気的に接続されているため、接続部22によって形成される電気回路はどれもほぼ同じであり、そのような位置の別の例は本発明に含まれる。さらに、本発明によれば、電子部品24は反転レイアウトでないようにできるが、発光領域20、バス14、相互接続部12への接続部を簡単にするために反転レイアウトを利用するほうが好ましかろう。さらに、反転レイアウトにより、4個組セルのすべての発光素子を、その4個組セルの縁部よりもバスと電気的相互接続部の交点により近い位置でその4個組セルのバスまたは電気的相互接続部に接続することが容易になる。こうすると4個組セルの個々の素子への電流分布の一様性が向上するため、発光の一様性が増大する。
【0022】
一般に、発光素子10は、直交する複数の行と列を形成する直線的なレイアウトにできるため、電気的相互接続部12は、発光素子10の第1の共通縁部の位置に形成され、バス14は、第1の共通縁部と直交する発光素子10の第2の共通縁部に形成される。バス14および/または電気的相互接続部12は、全発光素子10の間で共有される電力信号またはグラウンド信号を伝えることができる。本発明のさまざまな実施態様では、バス14と相互接続部12は1つの共通ステップで(図1に示したような)1つの共通する層の中に形成することができ、同じ材料(例えばアルミニウム、銀、マグネシウムなどの金属や、これらの合金)を含むことができる。あるいは図2に示してあるように、バス14と相互接続部12は別々のステップで別々の層に形成することができ、交点にある接続用ビア16を通じて電気的に接続することができる。
【0023】
本発明は、トップ-エミッション型の構成とボトム-エミッション型の構成のどちらでも利用できる。しかしボトム-エミッション型の構成ではレイアウトに制約があるため、本発明はボトム-エミッション型の構成で利用するほうが有利であろう。
【0024】
本発明は、レイアウトの効率を高めて電力分布を改善できるため、従来技術よりも優れている。電気的相互接続部12とバス14のどちらも、2つ以上の行または列に印加された共通の信号を同時に伝えるため、両者を電気的に接続し、反転レイアウトを利用して製造時の間隔の許容誤差を小さくし、そのことによってディスプレイ装置で利用できる面積を広くするとよかろう。この面積をうまく利用し、共用電気的相互接続部12とバス14の導電率を大きくすること、またはディスプレイの開口率を大きくすること、またはより精巧な電子部品24のためにより大きな面積を提供することができる。図1の例では、別々の2つのバスを用いる場合と比べ、同じ開口率を維持しつつ、共用電気的相互接続部12とバス14の幅を25%広くすることができる。電気的相互接続部12とバス14が大きな電流の信号を伝えるのであれば(例えば電源またはグラウンドへの接続)、多方向(例えば直交)接続により、局所的な要求がある領域に増強された電流伝達能力を提供する。この場合、発光素子10が単一のバス14を通じて提供できるよりも多い電流を必要とするのであれば、近くのバス14から発光素子10に近い電気的相互接続部12を通じて追加の電流を提供し、そのことによってエレクトロルミネッセンス・デバイスからの光出力の一様性を向上させることができる。電力分布がこのように改善されると、ディスプレイ内で見られる望ましくない縁部効果を減らすことができる。例えば低周波数ではディスプレイ全体で一様性が30%変動しても許容できるが、高周波数では、例えば高輝度と低輝度の境界にける一様性に対する要求ははるかに厳しく、(図6Aと図6Bに示してあるように)例えば5%未満である。
【0025】
本発明は、隣り合った4つの発光素子が共通する1本の電力線を共有していて、その電力線が少なくとも1つの隣の電力線に接続されているあらゆるレイアウトでうまく利用できることに注意されたい。4素子配置の例として、素子のうちの3つを赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子で構成し、第4の発光素子が、緑色、イエロー色、シアン色、マゼンタ色、白色いずれかの光を出すようにすることが可能である。あるいは隣り合った4つの素子は、相補的な色の2つのペアで構成することもできる。その場合、2つの相補的なペアは、赤/シアン色発光素子、緑/マゼンタ色発光素子、青/イエロー色発光素子のペアの中から選択される。さらに、複数の4個組パターンが隣り合った構成は、必ずしも同じ色の光を出す発光素子で構成する必要はない。その代わりに例えば1つの4個組は、赤色、緑色、青色、白色の光を出す発光素子を含む構成にするのに対し、隣の4個組は、赤色、緑色、シアン色、白色の光を出すOLEDを含む構成にすることが可能である。
【0026】
本発明は、使用する発光素子の色とは無関係に、アクティブ-マトリックス・エレクトロルミネッセンス・ディスプレイ装置を備えるフル-カラー・ディスプレイ・システムを形成するときに特に有用である。ただしそのディスプレイ装置は、基板上にレイアウトされた複数の発光素子(ただし各発光素子は、第1の電極と、第2の電極と、これら電極の間に形成された1つ以上のエレクトロルミネッセンス層を備えており、少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス層が発光し、第1の電極と第2の電極が1つ以上の発光領域を規定し、少なくとも1つの電極は透明である)と;基板上に形成されていて、1つ以上のエレクトロルミネッセンス層を駆動して光を発生させるために第1の電極および/または第2の電極に接続されている電子部品と;発光素子に接続されていて共通の信号を伝える2つ以上のバスとを備えている。このフル-カラー・ディスプレイ・システムにおいて、アクティブ-マトリックス・エレクトロルミネッセンス・ディスプレイ装置は、4色以上の発光素子を備えていて、2つ以上のバスのそれぞれが、4色以上の光を出す発光素子を含む一群の発光素子を有する画素に電流を提供する。このフル-カラー・ディスプレイ・システムの中でディスプレイ装置が画素を制御する制御装置によって駆動されて4色以上の発光素子に提供される電流を制限することで、4つの発光素子すべてが同時に使用されるときには、少なくとも1つの発光素子の光強度が、画素によって表示されている光の色がその発光素子の色とほぼ同じだとその同じ発光素子のピーク光強度よりも弱くなるようにする。そのため各バスによって提供される電流は、各発光素子のための個々の設計ピーク電流の和よりも小さくなる。このシステムがさらに有利になるのは、電力をよりよく分布させるために少なくとも2つのバスを電気的に接続する電気的相互接続部をエレクトロルミネッセンス・ディスプレイがさらに備えているときと、電気的相互接続部の一方の側にある発光素子が、電気的相互接続部の他方の側に反転レイアウトの発光素子を有するときである。
【0027】
このようなディスプレイ・システムでは、制御装置を利用して画素を制御して4色以上の発光素子に供給される電流を制限することで、4つの発光素子すべてが同時に使用されるときには、少なくとも1つの発光素子の光強度が、表示されている光の色がその発光素子の色とほぼ同じだとその同じ発光素子のピーク光強度よりも弱くなるようにすることができる。このような実施態様では、発光素子に接続されていて共通の信号を伝える2つ以上のバスは、4色以上のすべての発光素子にピーク電流を提供するのに十分な電流を提供する必要はない。そのため所定の最大IR低下を実現するのに必要な電力線と帰線の全面積は、異なる4色以上のすべての発光素子が共通の電力線と帰線を共有してはいない場合に必要とされるであろう電力線と帰線の全面積よりも小さくなる。さらに、2つの発光素子が電力線と帰線のそれぞれの側に形成されるときには、2つの電力線と帰線を挟んで隣り合った素子間にスペースは不要だが、単一の電力線および帰線とその線の隣にある素子の間のスペースは必要である。結局、2つのOLED素子が相互接続部のそれぞれの側に形成されるときには、1つの相互接続部とその隣にある素子の間にだけスペースが必要とされる。そのためこのような特徴を有するディスプレイ・システムは、レイアウトの効率が大きくなるほど電力分布が改善されるという点で従来技術よりも有利である。
【0028】
このようなディスプレイの一部78を図7に示してある。この図からわかるように、ディスプレイの部分78には、異なる4色の発光素子が含まれている。その中には、緑色発光素子80、赤色発光素子82、青色発光素子84、白色発光素子86が含まれる。電力を4つの発光素子のすべてに供給する電力線88が示されている。電気的相互接続部90がやはり4つの発光素子を分割しており、その効果は、異なる4色のこれら発光素子に共有されている。電力線と相互接続部は共有されているが、選択線92aと92bが各画素列に設けられている。さらに、キャパシタ線94a、94bと駆動線96a、96bが、ディスプレイ装置内の各発光素子行に設けられている。
【0029】
ディスプレイ装置内の第1のメタライズ層の中に電力線88と選択線(92aと92b)が設けられていることが望ましい。図示してあるように、キャパシタ線94a、94b、駆動線96a、96b、電気的相互接続部90は、誘電層によって第1のメタライズ層と隔てられた第2のメタライズ層の中に設けることができる。あるいは電気的相互接続部は、別の層(例えばボトム-エミッション型アクティブ-マトリックス・エレクトロルミネッセンス・デバイスのアノードを形成するITO層)の中に形成することもできる。ビア(例えば電気的相互接続部90を電力線88に接続するビア98)によって第1のメタライズ層と第2のメタライズ層を相互接続できることに注意されたい。
【0030】
すでに指摘したように、電力線88が2つの発光素子列の間で共有され、電気的相互接続部90が2つの発光素子行の間で共有されているという事実により、これら2つの要素に割り当てられる基板上の面積が狭くなり、より重要なことに、エレクトロルミネッセンス・デバイス内でこれらの要素と近傍の構造の間に割り当てられる面積が狭くなる。
【0031】
4個組セルを形成する一群の発光素子をディスプレイの基板全体にタイル状にすることができるが、必ずしもその必要はないことにも注意されたい。図8に、エレクトロルミネッセンス・ディスプレイ装置の一部として4つの4個組セル110、112、114、116が示してある。この図からわかるように、4個組セル110と114は電力線88aから電力を供給されるのに対し、4個組セル112と116は電力線88bから電力を供給される。電気的相互接続部90aは、4個組セル110と112の間で電力線88aと88bを接続する機能を持つのに対し、電気的相互接続部90bは、4個組セル114と116の間で電力線88aと88bを接続する機能を持つ。しかしこれらの4個組セルの間には違いが存在していてもよい。実際、4個組セル110と114は、緑色光と赤色光を発生させる上側の2つの発光素子と、青色光と白色光を発生させる下側の2つの発光素子から形成することができるのに対し、4個組セル112と116は、青色光と白色光を発生させる上側の2つの発光素子と、緑色光と赤色光を発生させる下側の2つの発光素子という構成の4つの発光素子から形成することができる。4個組セルは形状を正方形(すなわち4個組セルの鉛直方向のサイズと水平方向のサイズが等しい)にできるが、長方形でもよいことにも注意されたい。実際、いくつかの実施態様(特に4個組セルの水平方向または鉛直方向のサイズが他方向のサイズの2倍である場合)では、長方形の4個組セルにすることが望ましい可能性がある。そのような実施態様では、例えば各4個組セル内の2つの発光素子からなるペアを組み合わせて形状を実質的に正方形にすることができる。
【0032】
すでに指摘したように、このようなディスプレイ装置では、4色以上のOLEDと、画素を制御してその4色以上の発光素子に供給される電流を制限する制御装置を用いることで、4つの発光素子すべてが同時に使用されるときに、少なくとも1つの発光素子の光強度が、表示されている光の色がその発光素子の色とほぼ同じだとその同じ発光素子のピーク光強度よりも弱くなるようにすることが好ましい。そのため各バスによって提供される電流は、各発光素子の駆動に必要なピーク電流の和よりも小さくなる。4つの発光素子すべてが同時に使用されるときに、少なくとも1つの発光素子の光強度が、表示されている光の色がその発光素子の色とほぼ同じだとその同じ発光素子のピーク光強度の半分を超えないことが好ましい。すると各バスによって提供される電流は、各発光素子を駆動するのに必要なピーク電流の和よりも著しく小さくなり、その結果として電力線に必要なサイズが著しく小さくなる。この制御装置は、3色入力信号を4色以上の信号に変換することができ、しかも4つのOLEDの個々の設計ピーク電流に同時には到達しないように色変換を行なうことができるのであれば、ディジタル・プロセッサ、アナログ・プロセッサ、ハイブリッド・プロセッサのいずれでもよい。このような装置で色変換アルゴリズムを利用して3色入力信号を4色以上の信号に変換することができる。そのような色変換アルゴリズムは従来技術でいくつか知られており、例えば、「カラー・ディスプレイのために3色入力信号を4色以上の出力信号に変換する方法」という名称のアメリカ合衆国特許第6,897,876号、「カラー・ディスプレイのために3色入力信号を4色以上の出力信号に変換する方法」という名称のアメリカ合衆国特許第6,885,380号、「電力効率が改善されたカラーOLEDディスプレイ」という名称のアメリカ合衆国特許出願公開2005/0212728に記載されているものが挙げられる(これら特許文献の内容は参考としてこの明細書に含まれているものとする)。図8に示したディスプレイ装置を再び参照すると、図9に示したような色変換プロセスを利用してこのような色変換を行なうことができる。
【0033】
図9に示してあるように、RGB信号が入力され120、従来から知られている方法を利用してRGB線形強度に変換される122。従来法では、入力RGB信号値の線形化が必要とされることがしばしばある。この入力RGB信号値は一般に対数空間でコード化されており、コード化色空間からディスプレイの原色によって規定される色空間へと回転させるために色回転を必要とする可能性がある。数値が線形強度値として表現されると、赤、緑、青の最小強度値を決定することができる124。次に、赤色チャネル、緑色チャネル、青色チャネルそれぞれからこの最小値の一部を差し引く126。次にこの同じ最小値の一部を用いて白色チャネルの値を計算する128。この値は、一般にこの最小強度値の一部として形成される。最小RGB強度値の一部(0よりも大きい)を赤色チャネル、緑色チャネル、青色チャネルから差し引き、この同じ最小値からさらに白色チャネルを形成することは、赤色チャネル、緑色チャネル、青色チャネルのピーク値を、完全に飽和した赤、緑、青の原色を表示するときのピーク値よりも確実に小さくすることであることに注意されたい。したがってこの方法を利用し、4つの発光素子の個々の設計ピーク値に同時には到達しないような色変換が実施される。次に、得られる赤色、緑色、青色、白色の信号値がレンダリングされ130、ディスプレイに送られる。OLEDディスプレイ装置では、このレンダリング・プロセスに、電圧入力に対するOLEDの非線形応答を補償する線形強度から電圧へのルック-アップ表が含まれることがしばしばある。
【0034】
この詳細な実施態様で示したように、本発明は、赤色、緑色、青色、白色の発光素子を用いたRGBW OLEDディスプレイの画素を設計する際に組み合わせて利用するのに役立つ可能性がある。従来技術で知られているように、飽和していない任意の色を形成するのに必要な電力を減らすためカラー発光素子を組み合わせる代わりに白色発光素子を用いることにより、RGBW設計を利用してOLEDディスプレイが消費する全電力を減らすことができる。このような構成のデバイスは、発光素子内の発光層から広帯域光を発生させ、カラー・フィルタを用いてこの光の少なくとも一部をフィルタして赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を提供するときに特に役立つことが知られている。上に説明したように、制御装置を用いて4色の発光素子を制御し、4つの発光素子すべてが同時に最大輝度でオンにはならないようにできる。次にこれら4つのサブ画素を共用バス14と相互接続部12の上に配置すると、単一のバス14と相互接続部12で必要なピーク電流を著しく低下させることができる。そのためディスプレイに要求される設計ピーク電流は低下し、このデバイスにおける電流分布と光出力の一様性が改善される。例えば一般的なデバイスでは、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子を20mAのピーク電流で駆動させる必要があろう。この値の電流を利用して白色を得ることもできるが、同じ白色は、白色発光素子を8mAで駆動することによって得ることが可能である。白色をRGB素子だけを用いて形成するのであれば、ディスプレイは各4個組セルに60mAを供給する必要があろう(それぞれの色の発光素子に20mA)。それに対して本発明による色変換を適用し、光の半分がカラー発光素子によって発生し、残りの半分が白色発光素子で発生するようにすると(すなわち差し引かれる部分126と計算に利用される部分128がそれぞれ0.5)、それぞれの4個組セルに供給する必要があるのはほんの34mA(赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子、白色発光素子のピーク電流の和の半分)になろう。さらに、上に示した色変換を利用すると、最小値から差し引かれる部分126は、0よりも大きく、かつ1以下であり、最小値のうちで計算に使用される部分128は、最小値から差し引かれた部分126以下の値を持つため、ピーク電流は、2つのカラー素子のためのピーク電流を組み合わせることによって等和色が形成されるときに起こるであろう(すなわち40mAの値になろう)。同じ白色は、白色の輝度をRGBの輝度に効果的に加算する公知の他の色変化アルゴリズムを利用して発生させうることに注意されたい。この例では、より明るい色が発生するであろうが、ディスプレイはそれぞれの4個組セルに68mAを供給する必要があろう。すると2倍の電流を流すために2倍大きなバスが必要とされよう。さらに、1つの列が緑色発光素子と青色発光素子を含んでおり、1つの列が赤色発光素子と白色発光素子を含んでいるとき、バスと相互接続部が単一の発光素子列だけに電力を供給するのであれば、緑色発光素子と青色発光素子に電力を供給するバスは、電流を40mAまで供給するためのサイズを持つ必要があり、赤色発光素子と白色発光素子に電力を供給するバスは、電流を28mAまで供給するためのサイズを持つ必要があろう。この構成では、緑色発光素子と青色発光素子に電力を供給するバスだけを考慮し、これら2つの発光素子に対するバス構造が、本発明による実施態様の範囲の4つの発光素子すべてに電力を供給するバスと同じ量の電流を供給する必要があることに注意されたい。したがって本発明のこの別の実施態様によれば、4個組セルは、4つの発光素子を有する単一の画素を備えており、これら4つの発光素子は、白色光と、異なる3色の光(例えば、赤、緑、青)を発生させることができる。このようなOLEDデバイスを制御するため、本発明はさらに、そのような発光素子を制御して各4個組セル供給される電流を制限することで、4つの発光素子が同時に指定された最大能力で光を発生させることがないようにするための制御装置を備えることができる。
【0035】
本発明は、画素群を形成する4個組セルで利用することが好ましいが、4個組セルは、2つ以上の画素からなる発光素子を含んでいてもよい。本発明は、ボトム-エミッション型の構成でもトップ-エミッション型の構成でも利用することができる。複数のバスおよび/または電気的相互接続部を対応する複数の4個組セル群の間に形成することができる。4個組セルのさまざまなグループにバスおよび/または電気的相互接続部を共有させることで、レイアウトを単純化すること、および/または電力分布を改善することができる。例えば1セットの4個組セルを1つのバスに接続し、別のセットには別のバスを設けることができる。
【0036】
本発明はディスプレイ装置で使用することができる。好ましい一実施態様では、本発明が、小分子OLEDまたはポリマーOLEDからなるフラット-パネルOLEDデバイスで使用される。そのようなOLEDは、例えば、1988年9月6日にTangらに付与されたアメリカ合衆国特許第4,769,292号や、1991年10月29日にVanSlykeらに付与されたアメリカ合衆国特許第5,061,569号などに開示されている。有機発光ディスプレイの多くの組み合わせや変形例を利用してこのようなデバイスを製造することができる。その中には、トップ-エミッション型またはボトム-エミッション型の構成を持つアクティブ-マトリックスOLEDディスプレイとパッシブ-マトリックスOLEDディスプレイの両方が含まれる。
【0037】
この明細書では主としてOLEDディスプレイに関して詳細に説明してきたが、ディスプレイの発光素子に供給される電流に応じて光を発生させる任意のアクティブ-マトリックスに同じ技術を適用できることが理解されよう。そのようなデバイスの中では、複数のそのような発光素子を駆動するのに用いる電力線に沿ってIR低下が起こる可能性がある。例えば本発明は、被覆可能な無機材料を用いたエレクトロルミネッセンス・ディスプレイ装置(そのような無機材料は、例えば1998年6月15日のJournal of Applied Physics、第83巻、12号に記載されているMattoussiらの「ポリ(フェニレンビニレン)と無機CdSeナノ結晶からなるヘテロ構造からのエレクトロルミネッセンス」という論文に記載されている)や、エレクトロルミネッセンスを示す有機材料と無機材料の別の組み合わせから形成されていてアクティブ-マトリックス画素駆動回路で駆動できるディスプレイに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施態様によるOLEDデバイスの上面図である。
【図2】本発明の別の一実施態様によるOLEDデバイスの上面図である。
【図3】従来技術で提案されているボトム-エミッション型アクティブ-マトリックスOLEDデバイスの側面図である。
【図4A】従来技術で知られているさまざまなアクティブ-マトリックスOLEDデバイスのレイアウトの上面図である。
【図4B】従来技術で知られているさまざまなアクティブ-マトリックスOLEDデバイスのレイアウトの上面図である。
【図4C】従来技術で知られているさまざまなアクティブ-マトリックスOLEDデバイスのレイアウトの上面図である。
【図5】本発明の別の一実施態様によるOLEDデバイスの上面図である。
【図6A】従来のアクティブ-マトリックスOLEDデバイスの性能を示している。
【図6B】従来のアクティブ-マトリックスOLEDデバイスの性能を示している。
【図7】異なる4色の発光素子を有する本発明の一実施態様によるOLEDデバイスの上面図である。
【図8】異なる4色の発光素子を4個組にグループ化し、その配置が隣のグループでは異なるようにした本発明の別の一実施態様によるOLEDデバイスの上面図である。
【図9】本発明のデバイスと組み合わせて利用できる色変換アルゴリズムのフロー・チャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 明るい領域
2、2a 暗い領域
4、4a、4b、4c、4d 4個組セル
8 スペース
10、10a、10b、10c、10d OLED素子
12、12a、12b 電気的相互接続部
14、14a、14b バス
14' 追加のバス領域
16、16a、16b、16c、16d 接続用ビア
20、20a、20b、20c、20d 発光領域
22 接続部
24、24a、24b、24c、24d 電子部品
40 絶縁体
42 絶縁体
44R、44G、44B カラー・フィルタ
44K 中性フィルタ
50 基板
52 透明電極
54 有機層
56 反射性電極
60、61、62 着色光
63 広帯域光
78 表示部
80 緑色発光素子
82 赤色発光素子
84 青色発光素子
86 白色発光素子
88、88a、88b 電力線
90、90a、90b 電気的相互接続部
92a、92b 選択線
94a、94b キャパシタ線
96a、96b 駆動線
98 ビア
110、114 発光素子が第1の構成にされた4個組セル
112、116 発光素子が第2の構成にされた4個組セル
120 RGB信号を入力するステップ
122 線形強度に変換するステップ
124 最小値を決定するステップ
126 最小値の一部を差し引くステップ
128 白色チャネルを計算するステップ
130 レンダリング・ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にレイアウトされた複数の発光素子(ただし各発光素子は、第1の電極と、第2の電極と、これら電極の間に形成された1つ以上のエレクトロルミネッセンス層を備えており、少なくとも1つのエレクトロルミネッセンス層が発光し、少なくとも1つの電極は透明であり、第1の電極と第2の電極が1つ以上の発光領域を規定している)と、基板上に形成されていて、1つ以上のエレクトロルミネッセンス層を駆動して光を発生させるために第1の電極および/または第2の電極に接続されている電子部品と;
上記発光素子に接続されていて共通の信号を伝える複数のバスと;
これら複数のバスと交差していてこれら複数のバスを電気的に接続する複数の電気的相互接続部とを備えるアクティブ-マトリックス・エレクトロルミネッセンス・デバイスであって、
上記複数の発光素子が、4個の発光素子からなる複数のグループとして配置され、各グループは、上記バスと上記電気的相互接続部の交差部のまわりに配置された隣り合った4つの発光素子からなる4個組セルを形成しており、1つのバスのそれぞれの側に各4個組セルの2つの発光素子が形成され、1つの電気的相互接続部のそれぞれの側に各4個組セルの2つの発光素子が形成されており;
各4個組セルのそれぞれの発光素子は、その4個組セルの発光素子を互いに隔てるバスまたは電気的相互接続部に接続されていて、各4個組セルは、隣の4個組セルと共通する1つのバスまたは電気的相互接続部を共有し、共通する1つのバスを共有する隣り合った4個組セルは、共通する相互接続部によって隔てられておらず、共通する相互接続部を共有する隣り合った4個組セルは、共通のバスによって隔てられていないアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項2】
1つのバスまたは相互接続部の一方の側にある4個組セルの発光素子が、そのバスまたは相互接続部の他方の側に、その4個組セルの発光素子が反転されたレイアウトを持つ、請求項1に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項3】
1つのバスの一方の側にある4個組セルの発光素子が、そのバスの他方の側に、その4個組セルの発光素子が反転されたレイアウトを持ち、その同じ4個組セルの電気的相互接続部の一方の側にある4個組セルの発光素子が、その電気的相互接続部の他方の側に、その4個組セルの発光素子が反転されたレイアウトを持つ、請求項1に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項4】
1つの4個組セルの各発光素子が、その同じ4個組セルのバスまたは電気的相互接続部に、その4個組セルの縁部に近い位置よりもバスと電気的相互接続部の交差部に近い位置で接続されている、請求項3に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項5】
上記電気的相互接続部が上記バスに直角に形成される、請求項1に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項6】
上記バスが電力信号またはグラウンド信号を伝える、請求項1に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項7】
上記バスと上記相互接続部が、1つの共通のステップで共通する層の中に形成される、請求項1に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項8】
上記バスと上記相互接続部が、別々のステップで別々の層に形成され、各交差部で接続用ビアを通じて電気的に接続される、請求項1に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項9】
各4個組セルが、異なる4色の発光素子を有する単一の画素を備える、請求項1に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項10】
上記4つの発光素子が、赤色の光と、緑色の光と、青色の光と、これらとは異なる第4の色の光とを発生させる、請求項9に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項11】
上記異なる第4の色の光が、白色、シアン色、イエロー色、マゼンタ色のいずれかである、請求項10に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項12】
上記画素の発光素子を組み合わせて駆動させる制御装置であって、各発光素子の個々の設計ピーク電流が、その同じ画素の4つの発光素子すべてで同時には使用されないようにする制御装置をさらに備える、請求項9に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項13】
上記画素の発光素子を組み合わせて駆動させる制御装置であって、各4個組セルに供給される電流を制限して、4つの発光素子すべてが同時に使用されるときには、少なくとも1つの発光素子の光強度が、表示されている光の色がその発光素子の色とほぼ同じだとその同じ発光素子のピーク光強度よりも弱くなるようする制御装置をさらに備える、請求項9に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項14】
発光素子からなる4個組セル群の形が長方形である、請求項1に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項15】
それぞれの4個組セルが、異なる4色の発光素子を含む、請求項1に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。
【請求項16】
上記発光素子がOLEDを含む、請求項1に記載のアクティブ・マトリックス・デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−524910(P2009−524910A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552391(P2008−552391)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/001926
【国際公開番号】WO2007/089506
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】