説明

電力制御システム、電力制御方法及び電力制御装置

【課題】最も安い電気料金の時間帯を過ぎても電気給湯機の湯が沸いていないことや、帰宅しても沸き上げ中であったため車載バッテリーへの充電開始時間が遅れてしまいなかなか充電が開始できず充電時間が不足し、朝になって使おうとしても電気自動車が動かないといった問題が生じる。
【解決手段】制御判定手段11は、車載バッテリー23の残量に関する情報から算出した充電に要する時間と、帰宅時間に関する情報とを常時あるいは定期的に受信〜判断、安い電気料金時間帯の終了時間を超えても車載バッテリー23への充電が完了しないと判断したとき、帰宅時間まで予め沸き上げ手段10における沸き上げを完了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気給湯機の沸き上げと電気自動車への充電とを時間帯別電気料金情報に基づいて制御するシステムにおいて、限られた契約電力や許容電力のもとで効率的にかつ電力使用料金を安くするため、あるいは、逆に電気料金よりも利便性を優先するため、電気給湯機の沸き上げと車載バッテリーへの充電を制御する電力制御システムおよび制御方法、電力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力需要の平準化のために設定される時間帯別料金制度を上手に活用すると電力使用料金が安くなっており、時間帯別料金制度の一例をあげると、23時〜7時の電力使用料金を1kWあたりは9円程度、その前後の17時〜23時と7時〜10時は23円程度、10時〜17時は28円〜33円程度となっている。23時〜7時の一番安い電力使用料金は10時〜17時の電力使用料金の約1/3である。本明細書ではこのような電力使用時間帯と電力使用料金との関連情報を時間帯別電気料金情報としている。
【0003】
このような時間帯別電気料金情報は、時間帯や季節に応じて変化するが、それ以外にも、契約している家庭毎に異なる時間帯、異なる料金であってもよく、時間帯別電気料金情報は、電気機器の種類毎に異なる時間帯、異なる料金であってもよい。
【0004】
以下、時間帯別電気料金情報は上記例の通り、23時〜7時を電力使用料金の安い時間帯(夜間電力帯)として説明する。
【0005】
電力使用料金の安い時間帯にあわせて運転する電気機器の代表例として電気給湯機があり、電力使用料金の安い時間帯に沸き上げて貯湯しておいて、昼間のように電力使用料金の高い時間帯に湯を消費するが、オール電化住宅と称してガスを一切使用しないで、すべてを電気でまかなうケースが増えつつある。
【0006】
しかも最近では、技術革新と、石油高騰に加速される形で、電気自動車や電動二輪車が普及する兆しが見えてきており、多くの場合、家庭で車載バッテリーを充電する必要があり、電力使用料金の安い時間帯にあわせて運転する、あるいは、運転したいものが、これからは増えてくることは確実である。
【0007】
一方、電力使用料金の安い時間帯であっても、家庭には使用電力の上限の契約があり、この限界電力(契約電力、あるいは上限電力)を超えるとブレイカーが落ちてしまう恐れがある。例えば、電力使用料金の安い23時〜7時に上記のような家電機器を集中させすぎると、夜中にブレイカーが落ちてしまい、朝起きたときに、湯が沸いていない、電気自動車は充電不足で動かない、予約設定していた炊飯器でご飯が炊けていない、というような悲劇的な事項が想定される。
【0008】
従来の発明として、電気機器の運転と車載バッテリーの充電とを併用して行うときに家全体の使用電力を考慮して契約電力や許容電力を超えてブレイカーが落ちないよう充電装置の使用電力を減らすように制御するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1には電子レンジを使用することにより契約電流を超えると家庭車載バッテリーへの充電電流を減らす車載バッテリー充電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−141924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら従来の方法では、電子レンジといった使用者がすぐ使用したい電気機器と、車載バッテリーの充電装置のように後回し可能な電気機器との組合せの併用運転であるので、電子レンジを優先して使用している期間は、車載バッテリーへの充電のための使用電力を減らすという制御で解決できる。上記のような調理機器の使用時間は比較的短時間(数分〜せいぜい十数分程度)なので、その使用電力を一時的に譲るような制御は、大きな副作用(例えば、湯が沸いていないとか、充電不足で電気自動車が動かない)を伴わずに可能である。しかしながら、長時間電気を使用し続ける電気給湯機と、電気自動車が家庭内に入ってきたような場合には、電気の取り合いになって競合しないように配慮して、電気給湯機の沸き上げと、車載バッテリーへの充電が時間的に重ならないようにする必要が生じる。
【0012】
電力使用料金の安い時間帯に電気給湯機の沸き上げと車載バッテリーへの充電が終えるようにすることが最も好ましいのは言うまでもないが、場合によっては、どちらか一方を優先する必要が生じて、他方の機器の使用電力を減らした場合には、大変な不便を強いられる恐れもある。すなわち、必要とする時間帯になっても電気給湯機の湯が沸きあがっておらずに湯が使用できないとか、自動車で出かけようとしても目的地に達するだけのバッテリー充電がなされていないといったことが予想される。
【0013】
さらに電気自動車の場合、その日の走行距離が著しく変化することも生じうるため、充電開始時点での車載バッテリー残量変動も大きな要素になってくる。
【0014】
もちろん、車載バッテリー残量が多い場合はほとんど問題ではないが、走行距離が著しく長く、車載バッテリー残量が非常に少ない場合、充電時間が長くなる、あるいは、いつもより大電流充電をする必要があるといった流動的な要素も加わって、電力制御が非常に難しくなっていることが注目すべき事項である。特に電気自動車で帰宅して、車載バッテリーに充電しようとしたところ、電気給湯機の沸き上げ時間終了後に車載バッテリーに充電しても翌朝までにフル充電できないといった状況もあり、車載バッテリーの残量と帰宅時間とをあらかじめ知らせておき、車載バッテリーの残量と帰宅時間とに応じて、電気給湯機の沸き上げ開始時間を繰り上げるといったことも必要になってくる。
【0015】
このように、電子レンジを一例とした従来の短時間使用の電気機器と組み合わせた電力制御の発明では、電気給湯機と電気自動車のように長時間、かつ大電流を使用する機器どうしを組み合せたときには解決できない課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電力制御システム、電力制御方法及び電力制御装置は、常時、あるいは定期的に蓄電池の残量に関する情報から算出した充電に要する時間と帰宅時間に関する情報とを受信〜判断して、第2時間帯の終了時間を超えても蓄電池への充電が完了しないと判断したとき、予め沸き上げ手段における沸き上げを中断〜再開しながら、帰宅時間の変更に対応して帰宅時間までに沸き上げを完了させるように通電制御を行うものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、帰宅時点での車載バッテリーの残量と帰宅時間とをあらかじめ電気給湯機に知らせておき、車載バッテリーの残量に応じて、電気給湯機の沸き上げ開始時間を繰り上
げるので、制御判定手段に記録されている最も安い電気料金の時間帯を過ぎても電気給湯機の湯が沸いていないとか、帰宅しても沸き上げ中であったため、車載バッテリーへの充電開始時間が遅れてしまい、なかなか充電が開始できず、充電時間が不足して、朝になって使おうとしても電気自動車が動かない、あるいは電気自動車で目的地まで到達できないといった著しい不便を回避できる電力制御システムを提供するものである。また、予期せぬ交通渋滞が発生して帰宅時間が遅れた場合においては、第2時間帯での電気の未使用期間が出来るだけ発生しないように沸き上げを中断〜再開しながら帰宅時間の変更に対応して帰宅時間までに沸き上げを完了するように沸き上げ期間を調整するので、変動する可能性がある帰宅時間に対応して経済的で、きめ細やかな制御を行う電力制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1における電力制御システムの構成の一例を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における時間帯別料金情報と消費電力と時間の関係(利便性を優先)を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における制御判定手段の処理の流れ(利便性を優先)を示す図
【図4】本発明の実施の形態1における時間帯別料金情報と消費電力と時間の関係(利便性、経済性を両立)を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における制御判定手段の処理の流れ(利便性、経済性を両立)を示す図
【図6】本発明の実施の形態1における時間帯別料金情報と消費電力と時間の関係(経済性を優先)を示す図
【図7】本発明の実施の形態1における制御判定手段の処理の流れ(経済性を優先)を示す図
【図8】本発明の実施の形態1における表示手段の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の発明は、電動車両と、電動車両が有する蓄電池への重電を制御するとともに電気給湯機への電力供給を制御する電力制御装置とを備える電力制御システムに関するもので、電動車両は、蓄電池と、電動車両の現在位置を示す情報を取得して自宅までの距離に関する情報と、帰宅時間に関する情報とを提供する車載ナビと、蓄電池の残量情報と、車載ナビから得た自宅までの距離に関する情報および帰宅時間に関する情報とから、帰宅時点での蓄電池の残量に関する残量情報を算出する充電情報検知手段と、充電情報検知手段により算出された残量情報と、車載ナビから得られる帰宅時間に関する情報とを送信する第1の通信手段とを備え、電力制御装置は、第1の通信手段が送信した残量情報と帰宅時間に関する情報を受信する第2の通信手段と、第2の通信手段で受信した残量情報と、帰宅時間に関する情報と、時間帯毎の電気料金が示された電気料金体系とに基づいて、電気給湯機に備わる沸き上げ手段への通電タイミングと、蓄電池への充電タイミングを演算するタイミング演算手段と、タイミング演算手段により演算された沸き上げ手段への通電タイミングと、蓄電池への充電タイミングに従って沸き上げ手段への通電制御と蓄電池への充電制御とを行う制御手段とを備え、タイミング演算手段は、電気料金体系のうち、第1時間帯に対応する電気料金が、第1時間帯とは異なる第2時間帯に対応する電気料金よりも高い場合において、蓄電池への充電タイミングが第2時間帯内となるように定め、沸き上げ手段への通電制御終了タイミングの直後に蓄電池への充電タイミングとなるように沸き上げ手段への通電タイミングを定め、タイミング演算手段は、制御判定手段がタイミング演算手段によって演算された前記沸き上げ手段への通電タイミングで沸き上げ手段への通電制御を行った後に、第2の通信手段で受信した帰宅時間に関する情報に変更があった場合、沸き上げ手段への通電タイミングと、蓄電池への充電タイミングを再演算し、制御判定手段は、再演算による前記沸き上げ手段への通電タイミングが再演算を行った時点より
も後である場合は、前記沸き上げ手段への通電制御を中断するものである。
【0020】
これにより、帰宅時点での車載バッテリーの残量と帰宅時間とをあらかじめ電気給湯機に知らせておき、車載バッテリーの残量に応じて、電気給湯機の沸き上げ開始時間を繰り上げるので、帰宅しても沸き上げ中であったため、車載バッテリーへの充電開始時間が遅れてしまい、なかなか充電が開始できず、充電時間が不足して、朝になって使おうとしても電気自動車が動かない、あるいは電気自動車で目的地まで到達できないといった著しい不便を回避できる電力制御システムを提供するものである。さらに、また、予期せぬ交通渋滞が発生して帰宅時間が遅れた場合においては、第2時間帯での電気の未使用期間が出来るだけ発生しないように沸き上げを中断〜再開しながら帰宅時間の変更に対応して帰宅時間までに沸き上げを完了するように沸き上げ期間を調整するので、変動する可能性がある帰宅時間に対応して経済的で、きめ細やかな制御を行うことができる。車載バッテリーへの充電が、安い電気料金時間帯(夜間電力帯)の終了時間までに完了するのであれば、残りの夜間電力帯を利用して沸き上げを再開することも可能であるが、車載バッテリーへの充電が長時間におよんで、夜間時間帯を超えても完了しない場合には、前述した追加の沸きあげは夜間電力帯に行うことが出来ず、しかも車載バッテリー充電完了後に沸き上げの再開を行うのは時間的にもかなり遅くなる。こういった点を総合して考えると、予め帰宅時間までに沸き上げを完了させておくことは重要であり、経済的で、きめ細やかな制御を行う電力制御システムを提供することができる。
【0021】
第2の発明は、特に第1の発明において、さらに、電気給湯機が備える沸き上げ手段への通電制御に関する複数のモードを表示する表示手段と、表示手段に表示された複数のモードから任意のモードを選択する選択手段とを備え、表示手段が表示する複数のモードは、少なくとも、(1)第2時間帯以前に沸き上げ手段による沸き上げを開始し、第2時間帯を超えて蓄電池への充電をフル充電するまで継続する利便性優先モードと、(2)沸き上げ手段による沸き上げ期間を短縮して、第2時間帯に沸き上げを開始し、第2時間帯を超えて蓄電池への充電をフル充電するまで継続する利便性経済性両立モードと、(3)沸き上げ手段による沸き上げ期間を短縮して、第2時間帯に沸き上げを開始し、第2時間帯の終了とともに蓄電池への充電を中断する経済性優先モードと、に該当する電力制御システムにおいて、特に(2)、および(3)については、帰宅時間が遅れた場合には、遅れた帰宅時間に達する、あるいは、電気給湯機の全容量まで沸き上げを継続することを可能とするようにした。
【0022】
これにより、帰宅時点での車載バッテリーの残量と帰宅時間とをあらかじめ電気給湯機に知らせておき、使用者の選択した利便性と経済性との優先度合いに応じて、電気給湯機の沸き上げ開始時間を繰り上げる、あるいは、沸き上げを中断、あるいは、車載バッテリーへの充電開始を行う、あるいは中断するので、きめ細やかな制御を行う電力制御システムを提供することができる。さらに帰宅時間が遅れた場合、前記遅れた帰宅時間に達する、あるいは、前記電気給湯機が可能とする全容量まで沸き上げを継続することを可能としたので、経済的に全量の湯を沸かすこともできるので、使用者の利便性を増す。
【0023】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、沸き上げ手段で沸き上げ中に帰宅時間に達した場合は、沸き上げを中断し、蓄電池への充電を開始するようにした。
【0024】
これにより、不足した場合でも不満に感じる程度で生命に関わるような事態にはならない湯量よりも、より重要な車載バッテリーへの充電を優先して、例えば緊急事態に備えて、電気自動車の使用を可能な限り利用できうる状態にしておくことので、使用者の利便性を図ることができる。
【0025】
第4の発明は、特に第1または第2の発明において、沸き上げ手段で沸き上げ中に、給
電手段に充電プラグが接続された場合は、沸き上げを中断し、蓄電池への充電を開始するようにした。
【0026】
これにより、不足した場合でも不満に感じる程度で生命に関わるような事態にはならない湯量よりも車載バッテリーへの充電を優先して、緊急事態が生じても電気自動車の使用を可能な限り利用できうる状態にしておき、使用者の利便性を図るようにした。
【0027】
第5の発明は、電動車両が有する蓄電池への充電を制御するとともに電気給湯機への電力供給を制御する電力制御装置に関するもので、電動車両の帰宅時点での蓄電池の残量に関する残量情報と、電動車両の自宅時間に関する情報とを受信する通信手段と、通信手段で受信した残量情報と、帰宅時間に関する情報と、時間帯毎の電気料金が示された電気料金体系とに基づいて、電気給湯機に備わる沸き上げ手段への通電タイミングと、蓄電池への充電タイミングを演算するタイミング演算手段と、タイミング演算手段により演算された沸き上げ手段への通電タイミングと、蓄電池への充電タイミングに従って沸き上げ手段への通電制御と蓄電池への充電制御とを行う制御手段とを備え、タイミング演算手段は、電気料金体系のうち、第1時間帯に対応する電気料金が、第1時間帯とは異なる第2時間帯に対応する電気料金よりも高い場合において、蓄電池への充電タイミングが第2時間帯内となるように定め、沸き上げ手段への通電制御終了タイミングの直後に蓄電池への充電タイミングとなるように沸き上げ手段への通電タイミングを定め、タイミング演算手段は、制御判定手段がタイミング演算手段によって演算された沸き上げ手段への通電タイミングで沸き上げ手段への通電制御を行った後に、第2の通信手段で受信した帰宅時間に関する情報に変更があった場合、沸き上げ手段への通電タイミングと、蓄電池への充電タイミングを再演算し、制御判定手段は、再演算による沸き上げ手段への通電タイミングが再演算を行った時点よりも後である場合は、沸き上げ手段への通電制御を中断するものである。
【0028】
第6の発明は、電動車両が有する蓄電池への重電を制御するとともに電気給湯機への電力供給を制御する電力制御方法に関するもので、電動車両の帰宅時点での蓄電池の残量に関する残量情報と、電動車両の自宅時間に関する情報とを受信する受信ステップと、受信ステップにおいて受信した残量情報と帰宅時間に関する情報と、時間帯毎の電気料金が示された電気料金体系とに基づいて、電気給湯機に備わる沸き上げ手段への通電タイミングと、蓄電池への充電タイミングとを演算するタイミング演算ステップと、沸き上げ手段への通電タイミングと、蓄電池への充電タイミングに従って沸き上げ手段への通電制御と蓄電池への充電制御とを行う制御ステップとを行う電力制御方法であり、タイミング演算ステップでは、電気料金体系のうち、第1時間帯に対応する電気料金が、第1時間帯とは異なる第2時間帯に対応する電気料金よりも高い場合において、蓄電池への充電タイミングが第2時間帯内となるように定め、沸き上げ手段への通電制御終了タイミングの直後に蓄電池への充電タイミングとなるように通電タイミングを定め、タイミング演算ステップでは、タイミング演算ステップにおいて演算された沸き上げ手段への通電タイミングで沸き上げ手段への通電制御を行った後に、帰宅時間に関する情報に変更があった場合、沸き上げ手段への通電タイミングと、蓄電池への充電タイミングを再演算し、制御ステップでは、再演算による沸き上げ手段への通電タイミングが再演算を行った時点よりも後である場合は、沸き上げ手段への通電制御を中断するものである。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における電力制御システムの構成の一例を示す図であり、以下、図1を用いて説明していく。
【0031】
電気自動車2は、駆動用モータや車載電装品を稼動させるための車載バッテリー23を具備しており、充電プラグ24を介して給電手段13(後述)から車載バッテリー23に充電する。車載ナビ25は、現在の電気自動車の位置情報を取得して自宅までの距離に関する情報、および、帰宅時間(帰宅可能と思われる予想時間)に関する情報を提供する機能を具備している。充電情報検知手段22は車載バッテリー23の残量を含めた充電情報を取得すると共に、車載ナビ25から取得した自宅までの距離に関する情報とから、帰宅までに消費するバッテリー消費量の算出を行い、帰宅時点での前記車載バッテリーの残量に関する情報を算出して、常時、あるいは、随時、あるいは一定時間毎に、第1の通信手段21から送信している。
【0032】
この場合の通信経路は、携帯電話、PHS、WiFi、WiMaxなどのモバイル通信網を想定しており、最終的には家屋内に設置されている電気給湯機1の具備する第2の通信手段14で受信、制御判定手段11に取り込まれる。
【0033】
また、帰宅までに消費するバッテリー消費量の算出を行う方法は、いくつか考えられ、ひとつは、充電情報検知手段22に、その電気自動車固有の平均的なキロメートルあたりの消費量をあらかじめ登録しておいて、消費量と自宅までの距離を乗じて算出するという方法がある。また、その日の走行状況からキロメートルあたりの消費量を算出して、前記同様に自宅までの距離を乗じて算出するという方法も考えられる。また、車載ナビには放送電波受信装置、ビーコンと呼ばれる受信装置を具備しており、帰宅までに予想される渋滞情情報を加味して、自宅までに消費するであろうバッテリーの予想精度を更に向上させるといったことも可能であり、更に効果が期待できる。帰宅時間についても同様で、自宅までの距離と平均速度から算出した時間を、現時間に加えることにより算出可能であり、前述したように渋滞除法を加味して帰宅時間の予想精度を更に向上させるといったことも可能であり、同様に更に効果が期待できる。ただし、突然の事故による予想外の渋滞といったことは実際に起こりうるが、このような事態が生じて帰宅時間が当初の予定よりも大幅に遅れてしまうといったことは日常的に予想され、そのような状況にも柔軟に対応して制御していくことが望まれる。
【0034】
制御判定手段11は、この電力制御システムの中心的な役割を果たしており、データ算出、判定、各種手段の制御をおこなっている。具体的には、時計手段12から時間を読み込んで、沸き上げ手段10に沸き上げ指示をおこなう、あるいは、沸き上げ終了(中止、中断)の指示をおこなった後に、給電手段13、充電プラグ24を介して、車載バッテリー23への充電と、その制御を行う。さらに、制御判定手段11は、車載バッテリー23の残量に応じた充電に要する時間の算出をおこなったり、電気給湯機1で湯を沸き上げるのに要する時間(沸き上げ時間)の算出をおこなったり、一定の時間当たりに沸き上げ可能な湯量の算出をおこなったり、それに要する電気料金の算出をおこなったりしている。また、制御判定手段11の内部には時間別電気料金情報を記憶しており、沸き上げ手段10での沸き上げに要する時間と、車載バッテリー23への充電時間が、効率的に行われるように制御する。ここで述べている効率的とは、時間別電気料金情報に基づいて最も電気料金が安くなるようにすることだけではなく、使用者の省エネルギーに関する意図も考慮して、電気料金よりも利便性を追求するといったことも含んでいる。さらに制御判定手段11は、充電プラグ24が給電手段13に接続された場合は、これを検知して制御に反映する(例えば沸き上げを中断して、優先的にバッテリーへの充電をおこなう)といった機能も具備している。
【0035】
なお、制御判定手段11の処理は複雑であるため、次の3つのモード(利便性を優先する利便性優先モード、利便性と経済性を両立する利便性経済性両立モード、経済性を優先する経済性優先モード)に分けて、図2〜図8を用いて順に説明をしていく。
【0036】
[利便性優先モードについて]
まず、利便性を優先する場合について図2、図3を用いて説明する。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態1における時間帯別料金情報と消費電力と時間の関係(利便性を優先)を示す図であり、この時の、時間帯別料金情報と、沸き上げ期間と、車載バッテリー充電期間と、時間との関係を示している。
【0038】
図2では、最上段に時間帯別電気料金情報が示されており、ある時間(例えば23時)までは通常料金である23円/KWとなっているが、ある時間(例えば23時)以降は安い料金(夜間料金帯)として9円/KWという安い価格になっており、再びある時間(例えば翌朝の7時)になると、通常料金である23円/KWに戻るということを示している。従って、いかにこの安い電気料金帯(夜間料金帯)を有効に、隙間なく使うか、あるいは、この時間帯だけに電気の使用を限定するといったことにより、電気代を節約した経済的な使い方が可能となる。
【0039】
ここでは利便性を優先した場合について説明しており、図において、沸き上げ開始を通常料金帯から始めて、電気給湯機1が沸き上げ可能な全量を沸き上げることを考えて、経済性よりも利便性を優先していることがわかる。電気自動車2の帰宅時間になると、沸き上げが終了すると同時に、車載バッテリー23への充電を開始しており、この充電は夜間料金帯を越えて通常料金帯にまで続いた後に充電終了となっており、ここでも上記同様に利便性を優先させていることがわかる。図中にて、限界電力を示しているが、これは電力会社との契約電力、あるいはブレーカ遮断の電力値であり、更にここでは、沸き上げと充電を同時に行うことは出来ない(ブレーカが作動してしまう)ものとしている。このように利便性を優先しながらも、安い電気料金帯(夜間電力帯)を可能な限り隙間なく使用する、あるいは、車載バッテリー23への充電を可能な時間(帰宅時間)になった時点で可及的速やかに開始しておいて、その結果、車載バッテリー充電が可能な限り早く完了するので、無駄なくしかも確実に沸き上げと、充電とを行っていることが読み取れる(図2の一番上のパターン)。
【0040】
しかしながら、一旦受信した帰宅時間に合わせて、安い電気料金帯(夜間電力帯)以外の時間帯に沸き上げを行っている時に、帰宅時間が遅くなるという通知をうけた場合、そのまま沸き上げを継続してしまうと、沸き上げが終了した時点では電気自動車2が帰宅していないので、安い電気料金帯(夜間電力帯)にもかかわらず電気を使用しないまま、電気自動車の帰宅を待つといった状況が予想される(図2の真ん中のパターン)。この場合には、沸き上げ終了から車載バッテリーへの充電開始(帰宅時間)まで安い電気料金帯(夜間電力帯)での(電気の)未使用期間が発生してしまうので、経済的に無駄な使い方になってしまう。
【0041】
この場合には、帰宅時間が遅くなるという通知をうけた時に、一旦沸き上げを中断して、(変更後の)帰宅時間に応じて再調整を行い、沸き上げ中断〜再開を行うべきであり、この結果、安い電気料金帯(夜間電力帯)の未使用期間をなくすことが可能となる(図2の一番下のパターン)。このようにして、安い電気料金帯(夜間電力帯)を有効に活用して経済性を確保しながら、沸き上げ量を全量確保、車載バッテリー23への充電も帰宅後に可及的速やかに、かつ、フル充電まで行うといったことが可能となる。
【0042】
図3は、本発明の実施の形態1における制御判定手段の処理の流れ(利便性を優先)を示す図であり、沸き上げから、車載バッテリー23への充電への切り替わるときの処理の流れを示している。以下すべての動作は、制御判定手段11が主体的に行うことになるので、これ以後においては制御判定手段11が行うといった表現は省略する。
【0043】
図3において、まず電気給湯機1の沸き上げに要する時間(沸き上げ時間)を算出しておき(ステップ1000)、第2の通信手段14経由で電気自動車2の帰宅時間に関する情報(帰宅時間)を受信(ステップ1100)、そしてこの帰宅時間から沸き上げ時間を引いて、沸き上げを開始するべき時間を算出する(ステップ1200)。
【0044】
次に、沸き上げ開始時間まで待機して(ステップ1300)、その時間に達したら沸き上げを開始する(ステップ1400)。
【0045】
沸き上げ中も電気自動車2の帰宅時間を取得しておき(ステップ1500)、帰宅時間が遅くなるという情報を受けないかどうか監視しておき(ステップ1600)、帰宅時間が遅くならない場合においては、時計手段12から取得した時間とを比較して(ステップ1700)、帰宅時間になった時点で沸き上げを終了するが、この沸き上げを終了した時点で、必要とされる沸き上げ量(全容量)が沸き上げられている。
【0046】
帰宅時間が当初の予定よりも遅くならない限りにおいては、帰宅時間には、既に電気自動車2が帰宅しているので、(充電プラグ24〜給電手段13を経由して)車載バッテリーへ23の充電を開始する(ステップ1700)。車載バッテリー23への充電が完了したら充電を終了して、一連の処理を終える。この時点では、すでに通常電気料金帯に突入している反面、利便性を優先して車載バッテリー23にはフル充電、すなわち充電率100%に達している。
【0047】
ところが、(当初の予定よりも)帰宅時間が遅くなった場合、一旦沸き上げを中断(ステップ1650)、再度ステップ1200からやり直して、遅くなった帰宅時間に応じて沸き上げ開始時間(この場合には沸き上げ再開時間)を算出(ステップ1200)、その時間になれば沸き上げ開始(この場合には再開)することになる(ステップ1400)。
【0048】
このように制御を行うことにより、通常電気料金帯での沸き上げ時間を出来るだけ短くして、安い電気料金帯(夜間電力帯)での沸き上げ時間を出来るだけ増やして、帰宅時間すなわち車載バッテリー23への充電開始までの安い電気料金帯(夜間電力帯)の未使用期間をなくすことになる。
【0049】
当初の予定よりも帰宅時間が遅れた場合でも、同様の動作を行うので、最新の帰宅時間に応じた沸き上げ制御、車載バッテリー23への充電を適切かつ経済的に行うことになる。
【0050】
ただし、安い電気料金帯(夜間電力帯)に沸き上げ中に、帰宅時間遅れの通知を受けた場合も、ここまで述べてきたとおりの中断〜再開という動作をさせても構わないが、場合によっては、そのまま中断せずに継続して沸き上げを続けることが利便性の面からも好ましいことがありうる。すなわち、渋滞解消が予想よりも順調で、一旦遅くなると予定してしまった帰宅時間が逆に早くなってしまったような場合もありうることから、そのまま沸き上げを継続した方が、全量沸き上げる前に帰宅してしまうような事態を回避できる可能性があるからである。
【0051】
[利便性経済性両立モードについて]
次に、利便性と経済性を両立させた場合について図4、図5を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態1における時間帯別料金情報と消費電力と時間の関係(利便性と経済性を両立)を示す図であり、この時の、時間帯別料金情報と、沸き上げ期間と、車載バッテリー充電期間と、時間との関係を示している。
【0052】
図4でも、最上段に時間帯別電気料金情報が示されているが、内容は前述したものと同じであるので、ここでは説明を省略する。図4において、沸き上げ開始を安い電気料金帯(夜間電力帯)になってから行っているので、結果的に電気給湯機1が沸き上げ可能な全量を沸き上げることは出来ずに、減容量された湯量しか湧き上がられない。その代わりに、沸き上げに関しては利便性よりも、経済性を優先していることがわかる。電気自動車2の帰宅時間になると、上記の利便性を優先するときと同じ動作を行っているので、ここでは説明を省略する。この結果、沸き上げについては経済性、車載バッテリーについては利便性を優先しながらも、安い電気料金帯(夜間電力帯)を隙間なく使用する、あるいは、車載バッテリー23への充電を可能な時間(帰宅時間)になった時点で可及的速やかに充電を開始しており、無駄なくしかも確実に沸き上げと充電とを行っていることが読み取れる(図3の一番上のパターン)。
【0053】
以上は当初予定されていた帰宅時間に変更がなかった場合についてであるが、もし帰宅時間が遅れてしまった場合には、沸き上げを終了したものの、帰宅時間になっても電気自動車2が帰宅しないので車載バッテリー23への充電が出来ず、帰宅時間まで何もせずに待ち続けるといったことが予想され、その場合には、安い電気料金帯(夜間電力帯)での(電気の)未使用期間が発生してしまうので、経済的に無駄な使い方になってしまう(図2の真ん中のパターン)。従って、このような場合には当初の帰宅時間になっても沸き上げを終了させずに、全容量に達する、あるいは、変更されて遅くなった帰宅時間まで沸き上げを継続させることが可能となり、減容量に伴う使用者の不便を少しでも解消することが期待できる(図3の一番下のパターン)。
【0054】
当然のことながら、安い電気料金帯(夜間電力帯)の未使用期間を発生させてしまうので必ずしも好ましいものではないが、沸き上げを当初の予定通りの帰宅時間に終了させ、経済性を重視するといった選択をすることも可能である。
このようにして、安い電気料金帯(夜間電力帯)を有効に活用して経済性を確保しながら、沸き上げ量を可能な限り確保しつつ、車載バッテリー23への充電も帰宅後に可及的速やかに、かつ、フル充電まで行うといったことが可能となる。
【0055】
図5は、本発明の実施の形態1における制御判定手段の処理の流れ(利便性と経済性を両立)を示す図であり、沸き上げから、車載バッテリーへの充電への切り替わるときの処理の流れを示している。一部の処理を除き、前述した利便性を優先するときの流れと同じであるため、異なる部分だけを重点的に説明する。
【0056】
沸き上げ開始時間を算出するところまでは(ステップ1000〜ステップ1200)、前述の説明と同じであるが、算出した沸き上げ開始時間になっても開始させずに待機したまま、夜間料金帯になるまで待機させているところ(ステップ2300)が、異なる点である。また、(当初の予定よりも)帰宅時間が遅くなった場合(ステップ1600)、沸き上げ終了時間を(遅くなった)変更後の帰宅時間に再設定(ステップ2650)、帰宅時間になるまで沸き上げを継続する、あるいは、全量沸き上るまで沸き上げを継続する(ステップ2700)。もし、全量沸き上げまでに帰宅時間に達してしまった場合には、減量されるものの当初予定された湯量よりは多くの湯を沸かすことができる。また、全量沸き上げした場合には、沸き上げ終了から帰宅時間(車載バッテリー23への充電開始時間)まで未使用期間ができてしまうものの、その空白期間を出来るだけ少なくすることが期待できる。
【0057】
図には示していないが、減容量される湯量については、制御判定手段11で算出して、その結果を表示手段15にて表示し、使用者にその旨を伝えた後、どのような選択をさせるかといったことを行っている。使用者が全容量を沸かしたいと希望した場合には、表示手段15からその旨を入力させて、利便性と経済性を両立した制御ではなく、利便性を優
先した制御(図2、図3で説明してきた制御)に切り替えることが可能であり、使用者の好み、あるいはその日の使用状況、環境などに応じて使用者に対応を選択させることが可能である。もちろん、いずれを選択しても、安い電気料金帯(夜間電力帯)を可能な限り隙間なく使用する、あるいは、車載バッテリー23への充電を可能な時間(帰宅時間)になった時点で可及的速やかに開始しており、無駄なくしかも確実に沸き上げ、充電を行うといった点は同じである。
[経済性優先モードについて]
経済性を優先する場合について図6、図7を用いて説明する。図6は、本発明の実施の形態1における時間帯別料金情報と消費電力と時間の関係(経済性を優先)を示す図であり、この時の、時間帯別料金情報と、沸き上げ期間と、車載バッテリー充電期間と、時間との関係を示している。
【0058】
図6でも、最上段に時間帯別電気料金情報が示されているが、内容は前述したものと同じであるので、ここでも説明を省略する。また、前述の利便性と経済性を両立させた場合と同じく、図6においても、前述の説明と同様に、沸き上げ開始を、安い電気料金帯(夜間電力帯)になってから行っているので、結果的に、電気給湯機1が沸き上げ可能な全量を沸き上げることは出来ずに、減容量された湯量しか湧き上がられない代わりに、沸き上げに関しては利便性よりも、経済性を優先していることがわかる。
【0059】
図7においても、車載バッテリー23への充電開始までは今までの説明と同じ動作であるが、車載バッテリー23への充電終了時間が今まで説明してきたものと異なる。すなわち、夜間時間帯を超えた時点で終了させている(ステップ3700)ことにより、利便性よりも経済性を優先させていることがわかる。当然ながら、車載バッテリー23への充電を途中で打ち切っているので、充電はフルには行えず、充電量にして例えば70%程度しか充電できないといった状況になる。もちろん、この場合、電気自動車2の走行可能な距離は少なくなるが、使用者の状況に応じて使用者が選択した結果なので、問題とはならないし、もし不満であれば、後述するように充電終了時間を修正するといったことが考えられる。
【0060】
ここでも同様に、減容量される湯量については、制御判定手段11で算出して、その結果を表示手段15にて表示して、使用者にその旨を伝えた後、どのような選択をさせるかといったことを行っている。使用者が全容量を沸かしたいと希望した場合には表示手段15からその旨を入力させて、利便性と経済性を両立した制御ではなく、利便性を優先した制御(図2、図3で説明してきた制御)に切り替えることが可能であり、使用者の好み、あるいは状況に応じて対応する。さらにここでは、フルに充電できなかった充電量が例えば70%であるといったことを、制御判定手段11で算出して、その結果を表示手段15にて表示して、使用者にその旨を伝えた後、どのような選択をさせるかといったことを行っている。使用者がフルに充電したいと希望した場合には表示手段15からその旨を入力させて、利便性と経済性を両立した制御(図4、図5で説明してきた制御)、あるいは、前述の沸き上げ量の変更状況によっては、利便性を優先した制御(図2、図3で説明してきた制御)に切り替えることが可能であり、使用者の好み、あるいは状況に応じて対応する。ここでも、同様に、いずれを選択しても、安い電気料金帯(夜間電力帯)を隙間なく使用する、あるいは、車載バッテリー23への充電を可能な時間(帰宅時間)になった時点で可及的速やかに開始しており、無駄なくしかも確実に沸き上げ、充電を行うことになる。
【0061】
[モードの選択について]
上記した3つのモード(利便性優先モード、利便性経済性両立モード、経済性優先モード)は、使用者がモード選択手段16を介して予め決めておくことができる。この場合、モード選択手段16は例えばマウス、あるいは、トラックボールのような入力デバイスで
あってもかまわない。
【0062】
図8は、使用者がモードを選択する際、表示手段15に表示される画面の一例であり、図中の矢印は、一例としてマウスカーソルを意味しており、それをマウスで移動させながら好みのモードを選択するといったことが可能となる。なお、昨今ではタッチパネルのように表示手段15とモード選択手段16が一緒に構成されるものがあり、本実施の形態では表示手段15とモード選択手段16を一体化させて、指先で操作させるような構成にしてもかまわない。
【0063】
なお、ここまでの説明では、使用者に3つの場合(利便性を優先する場合、利便性と経済性を両立、経済性を優先する場合)を選択させるとしてきたが、その限りではなく、沸き上げについては、湯の量、あるいは、全量に対する割合(%)を指示して、より細かな制御を行うことも同様に効果が得られるし、車載バッテリー23への充電についてもフル充電に対する割合(%)、あるいは、走行可能な距離といったものを指示して、利便性、経済性、あるいはその両立をきめ細やかに制御していくといったことも可能であり、使用者の状況に応じた優れた電力制御システムを提供することが期待できる。
【0064】
さらには、これまで説明してきた制御に加えて、次の日に走行する距離(あるいはそれに相当する充電量)を算出するに当たり、次の日の全走行計画を車載ナビにあらかじめ入力しておくといったことも考えられ、その情報と、出発時点での車載バッテリー残量に関する情報とから、車載バッテリーへの充電量を決めた上で、車載バッテリーへの充電時間と、電気給湯機の沸き上げ時間とを調整するといったことも考えられる。
【0065】
また、その日の出発時点で、車載ナビに目的地までのルーティング情報と、目的地から自宅までのルーティング情報と記憶させておき、その日のうちに消費するであろう車載バッテリー充電量を推測して、車載バッテリーへの充電時間と、電気給湯機の沸き上げ時間とを調整するといったことも考えられる。
【0066】
さらに、ここまでの説明では電気給湯機1と車載バッテリー23との電力競合について取り上げてきたが、この限りではなく、時間帯別電気料金情報に記載されるもっとも安い時間帯に動作させることが可能な機器(洗濯乾燥機、食器洗い機など)との電力競合についても同様に制御して、同様の効果を得ることが可能である。
【0067】
また、電気自動車2が走行中に刻々と変化する車載バッテリー23の残量に関する情報を常時、あるいは定期的に通信することが好ましいが、必ずしも走行中でなくても、駐車中に通信を行っても何ら問題はないし、電気自動車の始動時(乗車時)、あるいは、終了時(降車時)に通信を行うといったことでもかまわない。
【0068】
また、ここまでの説明では電気給湯機で記載したが、電熱のみを用いて沸き上げる電気温水器であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明によれば、利便性や経済性を考慮した電力制御が可能となり、電気機器への電力供給を制御する電力制御システム、電力制御方法、電力制御装置として有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 電気給湯機
2 電気自動車
10 沸き上げ手段
11 制御判定手段
12 時計手段
13 給電手段
14 第2の通信手段
15 表示手段
21 第1の通信手段
22 充電情報検知手段
23 車載バッテリー
24 充電プラグ
25 車載ナビ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両と、前記電動車両が有する蓄電池への重電を制御するとともに電気給湯機への電力供給を制御する電力制御装置とを備える電力制御システムであって、
前記電動車両は、
前記蓄電池と、
当該電動車両の現在位置を示す情報を取得して自宅までの距離に関する情報と、帰宅時間に関する情報とを提供する車載ナビと、
前記蓄電池の残量情報と、前記車載ナビから得た自宅までの距離に関する情報および帰宅時間に関する情報とから、帰宅時点での前記蓄電池の残量に関する残量情報を算出する充電情報検知手段と、
前記充電情報検知手段により算出された残量情報と、前記車載ナビから得られる帰宅時間に関する情報とを送信する第1の通信手段とを備え、
前記電力制御装置は、
前記第1の通信手段が送信した残量情報と前記帰宅時間に関する情報を受信する第2の通信手段と、
前記第2の通信手段で受信した残量情報と、前記帰宅時間に関する情報と、時間帯毎の電気料金が示された電気料金体系とに基づいて、前記電気給湯機に備わる沸き上げ手段への通電タイミングと、前記蓄電池への充電タイミングを演算するタイミング演算手段と、
前記タイミング演算手段により演算された前記沸き上げ手段への通電タイミングと、前記蓄電池への充電タイミングに従って前記沸き上げ手段への通電制御と前記蓄電池への充電制御とを行う制御手段とを備え、
前記タイミング演算手段は、前記電気料金体系のうち、第1時間帯に対応する電気料金が、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯に対応する電気料金よりも高い場合において、前記蓄電池への充電タイミングが前記第2時間帯内となるように定め、前記沸き上げ手段への通電制御終了タイミングの直後に前記蓄電池への充電タイミングとなるように前記沸き上げ手段への通電タイミングを定め、
前記タイミング演算手段は、前記制御判定手段が前記タイミング演算手段によって演算された前記沸き上げ手段への通電タイミングで前記沸き上げ手段への通電制御を行った後に、前記第2の通信手段で受信した帰宅時間に関する情報に変更があった場合、前記沸き上げ手段への通電タイミングと、前記蓄電池への充電タイミングを再演算し、
前記制御判定手段は、再演算による前記沸き上げ手段への通電タイミングが再演算を行った時点よりも後である場合は、前記沸き上げ手段への通電制御を中断する、
電力制御システム。
【請求項2】
前記電気給湯機が備える沸き上げ手段への通電制御に関する複数のモードを表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された複数のモードから任意のモードを選択する選択手段とを備え、前記表示手段が表示する複数のモードは、少なくとも、
(1)前記第2時間帯以前に前記沸き上げ手段による沸き上げを開始し、前記第2時間帯を超えて前記蓄電池への充電をフル充電するまで継続する利便性優先モードと、
(2)前記沸き上げ手段による沸き上げ期間を短縮して、前記第2時間帯に沸き上げを開始し、前記第2時間帯を超えて前記蓄電池への充電をフル充電するまで継続する利便性経済性両立モードと、
(3)前記沸き上げ手段による沸き上げ期間を短縮して、前記第2時間帯に沸き上げを開始し、前記第2時間帯の終了とともに前記蓄電池への充電を中断する経済性優先モードとであって、
前記(2)、および(3)については、前記帰宅時間が遅れた場合には、前記遅れた帰宅時間に達する、あるいは、前記電気給湯機が可能とする全容量まで沸き上げを継続するこ
とを可能とした請求項1記載の電力制御システム。
【請求項3】
前記沸き上げ手段で沸き上げ中に帰宅時間に達した場合は、沸き上げを中断し、前記蓄電池への充電を開始する請求項1または2記載の電力制御システム。
【請求項4】
前記沸き上げ手段で沸き上げ中に、前記給電手段に前記充電プラグが接続された場合は、沸き上げを中断し、前記蓄電池への充電を開始する請求項1または2記載の電力制御システム。
【請求項5】
電動車両が有する蓄電池への充電を制御するとともに電気給湯機への電力供給を制御する電力制御装置であって、
前記電動車両の帰宅時点での前記蓄電池の残量に関する残量情報と、前記電動車両の自宅時間に関する情報とを受信する通信手段と、
前記通信手段で受信した残量情報と、前記帰宅時間に関する情報と、時間帯毎の電気料金が示された電気料金体系とに基づいて、前記電気給湯機に備わる沸き上げ手段への通電タイミングと、前記蓄電池への充電タイミングを演算するタイミング演算手段と、
前記タイミング演算手段により演算された前記沸き上げ手段への通電タイミングと、前記蓄電池への充電タイミングに従って前記沸き上げ手段への通電制御と前記蓄電池への充電制御とを行う制御手段とを備え、
前記タイミング演算手段は、前記電気料金体系のうち、第1時間帯に対応する電気料金が、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯に対応する電気料金よりも高い場合において、前記蓄電池への充電タイミングが前記第2時間帯内となるように定め、前記沸き上げ手段への通電制御終了タイミングの直後に前記蓄電池への充電タイミングとなるように前記沸き上げ手段への通電タイミングを定め、
前記タイミング演算手段は、前記制御判定手段が前記タイミング演算手段によって演算された前記沸き上げ手段への通電タイミングで前記沸き上げ手段への通電制御を行った後に、前記第2の通信手段で受信した帰宅時間に関する情報に変更があった場合、前記沸き上げ手段への通電タイミングと、前記蓄電池への充電タイミングを再演算し、
前記制御判定手段は、再演算による前記沸き上げ手段への通電タイミングが再演算を行った時点よりも後である場合は、前記沸き上げ手段への通電制御を中断する、
電力制御装置。
【請求項6】
電動車両が有する蓄電池への重電を制御するとともに電気給湯機への電力供給を制御する電力制御方法であって、
前記電動車両の帰宅時点での前記蓄電池の残量に関する残量情報と、前記電動車両の自宅時間に関する情報とを受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信した残量情報と前記帰宅時間に関する情報と、時間帯毎の電気料金が示された電気料金体系とに基づいて、前記電気給湯機に備わる沸き上げ手段への通電タイミングと、前記蓄電池への充電タイミングとを演算するタイミング演算ステップと、
前記沸き上げ手段への通電タイミングと、前記蓄電池への充電タイミングに従って前記沸き上げ手段への通電制御と前記蓄電池への充電制御とを行う制御ステップとを行う電力制御方法であり、
前記タイミング演算ステップでは、前記電気料金体系のうち、第1時間帯に対応する電気料金が、前記第1時間帯とは異なる第2時間帯に対応する電気料金よりも高い場合において、前記蓄電池への充電タイミングが前記第2時間帯内となるように定め、前記沸き上げ手段への通電制御終了タイミングの直後に前記蓄電池への充電タイミングとなるように通電タイミングを定め、
前記タイミング演算ステップでは、前記タイミング演算ステップにおいて演算された前記沸き上げ手段への通電タイミングで前記沸き上げ手段への通電制御を行った後に、前記帰
宅時間に関する情報に変更があった場合、前記沸き上げ手段への通電タイミングと、前記蓄電池への充電タイミングを再演算し、
前記制御ステップでは、再演算による前記沸き上げ手段への通電タイミングが再演算を行った時点よりも後である場合は、前記沸き上げ手段への通電制御を中断する、
電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−135170(P2012−135170A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287293(P2010−287293)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】