説明

電力制御装置

【課題】本発明は、複数の波動信号が合成されてなる合成波の引き渡しに供される線路のインピーダンス整合の程度に適した値に、これらの波動信号の何れか1つの電力を設定する電力制御装置に関し、構成の大幅な変更と複雑化を伴うことなく、合成の対象となる個々の波動信号の電力を的確に設定することを目的とする。
【解決手段】複数の信号源によって生成された波動信号の合成波の引き渡しに供される線路のインピーダンス整合の程度に適した値Levに、前記複数の信号源の何れか1つによって生成されるべき波動信号の電力を設定する電力制御装置であって、前記複数の信号源の内、前記1つの信号源以外の全てまたは一部によって個別に設定された電力を監視する監視手段と、前記監視手段によって監視された電力の組み合わせに整合する値Loptに前記値Levを設定する他系連係手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の波動信号が合成されてなる合成波の引き渡しに用いられる線路のインピーダンス整合の程度に適した値に、これらの波動信号の何れか1つの電力を設定する電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の送信機によって生成された送信波の合成波を送信する送信系には、例えば、空中線系や給電路のインピーダンス整合の程度に応じて、これらの送信機によってそれぞれ生成される送信波の電力を個別に増減する電力制御装置が送信機毎に備えられる。
図3は、従来の電力制御装置が備えられた送信系の構成例を示す図である。
【0003】
図において、送信部30-1、30-2には音声信号が入力され、これらの送信部30-1、30-2の出力は合成回路41の対応する入力にそれぞれ接続される。合成回路41の出力は、縦続接続された方向性結合器42-1、42-2を介してT型回路43の入力に接続される。方向性結合器42-1、42-2が個別に有する2つの結合ポートは、それぞれサージプロテクタ44-1、44-2の対応する入力に接続される。これらのサージプロテクタ44-1、44-2が有する入出力ポートは、それぞれ送信部30-1、30-2の制御端子に接続される。T型回路43の出力は変流器(CT)45の一次側およびT型回路46を介して給電路47(図示されない空中線に接続される。)に接続され、その給電路47はカーボンギャップ48を介して接地される。変流器45の二次側には、電流計49が接続される。
【0004】
送信部30-1は、以下の要素から構成される。
(1) サージプロテクタ44-1が有する既述の入出力ポートに接続され、かつ上記音声信号が入力される励振制御部31-1
(2) 励振制御部31-1の出力に縦続接続された電力増幅部32-1およびバンドパスフィルタ(BPF)33-1
【0005】
なお、送信部30-2の構成については、送信部30-1の構成と同じであるので、以下では、機能および構成が同じ要素に添え番号として「1」に代わる「2」が付与された同じ符号を付与し、ここでは、その説明を省略する。
【0006】
また、サージプロテクタ44-1、44-2は構成および機能が同じであるので、以下では、両者に共通の事項については、添え番号「1」、「2」の何れにも該当し得ることを示す添え文字「c」をこれらの添え番号「1」、「2」に代えて付与して記述する。
【0007】
このような構成の送信系では、励振制御部31-cは、サージプロテクタ44-cによって指示された送信電力の値および送信の許否に従って、既述の音声信号で変調された送信波を生成する。
【0008】
電力増幅部32-cは、このようにして生成された送信波を電力増幅する。
バンドパスフィルタ33-cは、その電力増幅の下で電力増幅部32-cによって与えられた送信波に、その送信波の占有帯域幅の成分を通過させる濾波処理を施す。
【0009】
合成回路41は、上記濾波処理の下で送信部30-1、30-2によってそれぞれ与えられた送信波を合成することにより合成波を生成し、かつ方向性結合器42-1、42-2、T型回路43、変流器45、T型回路46および給電路47を介して図示されない空中線の給電点に、その合成波を給電する。
【0010】
なお、T型回路43、46は、リアクタンスが手動によって適宜設定されることによって、合成回路41の出力から変流器45に至る区間と、その変流器45から給電路47に至る区間とにおけるインピーダンス整合に供される。
【0011】
カーボンギャップ48は、例えば、空中線に対する落雷等に起因して生じたサージの放電に供されるカーボン電極を有し、そのカーボン電極が局部的に破損しても修理や交換が行われなくても、該当する損傷部の位置が物理的に変更されることにより、再利用が可能であって、T型回路46およびその前段に配置された既述の要素を故障や破壊から防護する。
【0012】
また、方向性結合器42-cは、合成回路41の出力から既述の空中線系の給電点に至る区間におけるインピーダンス整合の状態を示す進行波と反射波との成分を検出する。
【0013】
サージプロテクタ44-cは、これらの進行波と反射波とのレベルに基づいて、上記インピーダンス整合の程度を定在波比等として評価し、その評価の結果に基づいて励振制御部31-cに以下の指示を与え、これらの指示に応じた励振制御部31-cの振る舞いや状態を監視すると共に、その監視の結果に基づいてこのような指示を適宜与える。
【0014】
(1) 送信波の生成(出力)の許否
(2) 送信波が生成(出力)されるべきレベル(送信電力)L
したがって、このような送信系では、合成波に含まれる個々の送信波レベルと生成の許否との何れもが、上記インピーダンス整合の実体に応じて適宜設定され、かつ変更される。
【0015】
なお、本発明に関連性がある先行技術としては、以下に列記する特許文献1ないし特許文献3がある。
(1) 「搬送波と側帯波を有する被変調波を出力する送信機の出力のVSWRを監視し、監視しているVSWRが予め定めた値を越えた場合に、送信機を制御するための制御信号を出力する送信機の保護装置において、前記送信機の出力から検知した被変調波の側帯波を抑圧するフィルタ部と、前記フィルタ部の出力からVSWRを演算し、演算したVSWRが予め定めた値を越えた場合に送信機を制御するための制御信号を送信機に出力する制御信号生成部とを備える」ことにより、「AMにおける高域変調周波数域による送信機の保護装置の頻繁な保護動作を解消し、保護装置の保護動作の信頼性を高める」点に特徴がある送信機の保護装置…特許文献1
【0016】
(2) 「平常時に使用される運用系回路と、前記運用系回路に不具合が発生した場合に前記運用系回路の機能を代替する予備系回路とを備える電子機器であって、電磁波を受信するアンテナと、前記アンテナの出力信号に含まれるノイズ成分から落雷の発生を判定する判定機構と、前記運用系回路への限界値以内の雷サージの侵入を防ぐ避雷器と、平常時には前記運用系回路および前記予備系回路の両方に電力を供給し、前記判定機構によって落雷が発生したと判断された場合に前記運用系回路への電力の供給を継続しつつ前記予備系回路への電力の供給を停止する配電装置とを有する」ことにより、「雷サージから予備系回路を保護することができ、かつ無駄なダウンタイムの発生を抑制する」点に特徴がある電子機器…特許文献2
【0017】
(3) 「サージアブゾーバ素子と、バンドパスフィルタ回路と、ダイオードブリッジ回路と、安定化電源とを備え、前記サージアブゾーバ素子は、前記バンドパスフィルタの出力側に接続され、前記ダイオードブリッジ回路及び前記安定化電源は、トランスを介して前記バンドパスフィルタの入力側に接続される」ことにより、「誘導雷等の雷放電の誘導により、アンテナを通じて無線機の送信機が破壊されることを防止する」点に特徴があるサージ保護回路…特許文献3
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2007−281943号公報
【特許文献2】特開2009−189168号公報
【特許文献3】特開2007−259662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、上述した従来例では、空中線に対する落雷等によって生じたサージがカーボンギャップ48を介して放電する期間には、既述の合成波のレベルが著しく低くなる。
【0020】
このような期間には、既述のインピーダンス整合の程度を示す反射係数Γには、その反射係数Γを示す下式の分母(「進行波の電圧」を示す。)の値が著しく小さな値となるために、大きな誤差を伴う。
反射係数Γ=(反射波の電圧)/(進行波の電圧)
【0021】
サージプロテクタ44-cは、このような誤差がある場合でも、励振制御部31-cに対して、生成されるべき送信波のレベルの大幅な小さな値への設定、あるいはその送信波の生成の規制を指示しなければならない。
【0022】
しかし、例えば、空中線の基部が短絡した場合(保守、試験等の目的で人為的に短絡される場合を含む。)には、以下の要因に起因して、励振制御部31-1、31-2の何れか一方によって行われる送信波の生成(出力)が規制されない可能性が高かった。
【0023】
(1) 短絡に対する電力増幅部32-cの応答が必ずしも十分に高い速度で応答するとは限らないために、サージプロテクタ44-cに予め組み込まれたシーケンスに組み込まれたタイムアウトの処理により、励振制御部31-cに対する送信波の生成(出力)の規制が図られない場合が多かった。
【0024】
(2) 上記反射係数Γの算出に供される反射波および進行波の電圧は、励振制御部31-1、31-2によって個別に生成される送信波ではなく、これらの送信波の合成によって得られた合成波の検波によって得られ、しかも、サージプロテクタ44-1、44-2は、それぞれ他方のサージプロテクタ44-2、44-1が励振制御部31-2、31-2に与えた指示を識別することなく、送信波の生成(出力)の許否およびレベルの設定を行う。
【0025】
(3) サージプロテクタ44-1、44-2が上記レベルの設定および許否の基準として参照する反射波および進行波の電圧は、特性に偏差を伴い得る異なる方向性結合器42-1、42-2を介して得られ、しかも、これらのサージプロテクタ44-1、44-2の応答性、特性および演算の精度にも偏差を伴い得る。したがって、サージプロテクタ44-1、44-2がそれぞれ励振制御部31-1、31-2に対して送信の拒否とレベルの設定とを行う順序は、一般に定まらない。
【0026】
本発明は、構成の大幅な変更と複雑化を伴うことなく、合成の対象となる個々の波動信号の電力を的確に設定する電力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明では、複数の信号源によって生成された波動信号の合成波の引き渡しに供される線路のインピーダンス整合の程度に適した値Levに、前記複数の信号源の何れか1つによって生成されるべき波動信号の電力を設定する電力制御装置において、監視手段は、前記複数の信号源の内、前記1つの信号源以外の全てまたは一部によって個別に設定された電力を監視する。他系連係手段は、前記監視手段によって監視された電力の組み合わせに整合する値Loptに前記値Levを設定する。
【0028】
すなわち、上記合成波に含まれる何れの波動信号の電力の値Levも、本発明が個別に適用されることにより、これらの波動信号を個別に生成する複数の波動信号の内、少なくとも複数の信号源によって生成される波動信号の電力の組み合わせに整合した値Loptに設定される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、複数の信号源によって個別に識別されるインピーダンス整合の程度に偏差があり、その偏差が識別される順序やインターバルに相違がある場合であっても、これらの信号源によって個別に生成される波動信号の電力の何れも、このようなインピーダンス整合の程度に高い精度および確度で整合した値に設定される。
したがって、本発明が適用された装置やシステムでは、複数の信号源の負荷分散の下で大電力の合成波が高い安定性で精度よく生成され、このような合成波の引き渡しに供される線路に生じるインピーダンス整合の変動の多様な形態に柔軟に適応して高い信頼性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】本実施形態の動作タイムチャートである。
【図3】従来の電力制御装置が備えられた送信系の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
図において、図3に示すものと機能および構成が同じものについては、同じ符号を付与し、ここでは、その説明を省略する。
【0032】
本実施形態と図3に示す従来例との構成の相違点は、以下の点にある。
(1) 送信部30-1、30-2に代えて送信部10-1、10-2が備えられる。
(2) 送信部10-1の構成は、図3に示す励振制御部31-1に代えて励振制御部11-1が備えられた点を除いて、送信部30-1の構成と同じである。なお、送信部10-2の構成については、送信部10-1の構成と同じであるので、以下では、対応する要素の符号に添え番号「1」に代わる「2」を付与し、ここでは、その説明を省略する。
【0033】
(3) サージプロテクタ44-1、44-2に代えてサージプロテクタ20-1、20-2(構成および機能が同じである。)が備えられ、これらのサージプロテクタ20-1、20-2は、相互に接続された専用の入出力ポートを有する。
【0034】
図2は、本実施形態の動作タイムチャートである。
以下、図1および図2を参照して本実施形態の動作を説明する。
サージプロテクタ20-1、20-2の内、一方のサージプロテクタ20-1は、例えば、配下の励振制御部11-1に対して送信波のレベルLとして通常値Lsを指示し、その送信波の送信を許可している状態(以下、「通常状態」という。)では、従来例と同様のシーケンスに基づいて、このような送信波のレベルLと、送信の許否を以下の通りに更新する。
【0035】
(1) 空中線の基部等に生じた短絡の回数が15秒間に「3」以下である場合には、その通常状態を維持する(図2(1),(2))。
(2) しかし、このような短絡が15秒間に4回発生する(図2(3))と、上記レベルLを五分の一の値(=L/5)(以下、「減力値Lr」という。)に更新する(図2(4))。
【0036】
(3) このようにレベルLが更新された状態(以下、「減力状態」という。)では、上記短絡の回数が15秒間に「3」以下である場合には、その減力状態を維持する(図2(5))。
(4) しかし、このような短絡が15秒間に4回発生する(図2(6))と、送信の許可を取り下げる(図2(7))。したがって、励振制御部11-1は、送信波の生成(出力)を停止する(図2(8))。以下、このような送信波の生成(出力)が行われない状態については、「停止状態」と称する。
【0037】
一方、サージプロテクタ20-2は、上述したように対向するサージプロテクタ20-1から通知された送信波のレベルLとその送信波の送信の拒否とを適宜識別し、これらのレベルLおよび許否に基づいて、例えば、以下の処理を行う。
【0038】
(1) 識別された送信波のレベルLが通常値Lsまたは減力値Lrであり、その送信波の送信(出力)が許容されている場合には、現状を維持し、サージプロテクタ20-1に対して現状の送信波のレベルおよびこの送信波の送信(出力)の許否の指示を通知する(図2(9))。
【0039】
(2) 送信波の送信(出力)の許可が取り下げられたことを識別した場合には、同様に識別された送信波の最新のレベルLの如何にかかわらず、以下の手順(2a)〜(2c)の何れかに基づいて励振制御部11-2に対して与えられていた送信(出力)の許可を取り下げる(図2(10))。
【0040】
(2a)速やかに「停止状態」に移行する(図2(11))。
(2b)「減力状態」に移行する(図2(12)) ことにより励振制御部11-2に送信波のレベルとして減力値Lrを指示し、さらに、15秒経過後に「停止状態」に移行する。
【0041】
(2c)15秒間に亘って「通常状態」を維持した(図2(13)) 後に、「減力状態」に移行することにより、励振制御部11-2に送信波のレベルとして減力値Lrを指示し(図2(14)) 、さらに、15秒経過後に「停止状態」に移行する(図2(15))。
【0042】
なお、上記手順(2b)、(2C)における15秒間には、サージプロテクタ20-2は、サージプロテクタ20-1によって「励振制御部11-1に対して与えられる送信の許可」が復旧した場合には、既述の後続するシーケンスへの移行を取り止め、既定の手順に基づいて、励振制御部11-2に対して、送信波のレベルLとその送信波の送信の許可とを与える。
【0043】
すなわち、合成回路41の出力から空中線の給電点に至る給電路における進行波のレベルが微少となる等の要因により、その給電路のインピーダンスの不整合が、サージプロテクタ20-1、20-2の何れか一方のみによって「停止状態」に移行すべき要因として先に検知された場合であっても、これらのサージプロテクタ20-1、20-2は、何れも、一方が他方に対して過度に遅延することなく、配下の励振制御部を「停止状態」に移行させ、励振制御11-1、11-2による送信波の生成(出力)が確度高く規制される。
【0044】
したがって、本実施形態によれば、空中線の基部の短絡やカーボンギャップのインピーダンスの著しい低下が頻繁にあるいは長時間に亘って生じた状態であっても、このような状態において励振制御部11-1、11-2の何れもが送信波の生成(出力)を継続することに起因する様々な支障の回避が確度高く達成される。
【0045】
なお、本実施形態では、合成回路41の前段に配置され、かつ電力合成の対象となる送信波を個別に生成する送信部の数が「2」となっている。
しかし、このような送信部の数は、個別に対応して備えられたサージプロテクタの全ての間で既述のレベルLおよび送信(出力)の拒否が相互に引き渡されるならば、「3」以上であってもよい。
【0046】
また、本実施形態では、合成手段41によって生成される合成波の電力と、その合成波に含まれる個々の送信波の生成に適用された変調方式、周波数配置と、これらの送信波によって形成されるチャネルの構成と、これらのチャネルの形成のために適用された多元接続方式とは、如何なるものであってもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、停止状態に移行する前に設定され得る送信電力Lは、既述のLs、Lrに限定されず、所望の値および段数で如何なるアルゴリズムに基づいて設定され、あるいは変更されてもよい。
【0048】
また、本実施形態が適用された送信系では、励振制御部11-1、11-2による送信の開始は、始動時、保守等の何れの過程においても、サージプロテクタ20-1、20-2の主導と、操作者の操作による手動との何れによって行われてもよい。
【0049】
さらに、本実施形態が適用された送信系では、サージプロテクタ20-1、20-2が配下の励振制御部11-1、11-2に対して既述の通りに与えるレベルLと送信(出力)の拒否とは、何れも、所定の表示手段を介して表示され、あるいは音声に変換されて出力され、さらに、所定の情報処理の対象となるデータとして外部に引き渡されることによって、運用者または操作者による保守や運用の利便性の向上が図られてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、本発明は、送信部10-1、10-2の負荷分散とこれらの送信部10-1、10-2によって個別に生成された送信波の合成とに基づいて、大きな送信電力の放送波の空中線に対する給電に適用されている。
【0051】
しかし、本発明は、このような放送波に限定されず、空中線に給電されるべき送信波が複数の送信部の後段における電力合成によって生成されるならば、如何なる通信系や伝送系にも適用可能である。
【0052】
さらに、本実施形態では、合成回路41の前段に配置された送信部10-1、10-2に個別に対応した方向性結合器42-1、42-2が備えられている。
【0053】
しかし、このような方向性結合器の数N(≧2)は合成回路41の前段に配置された送信部の数P(≧3)より少なく、このようなP個の送信部の内、複数の送信部に如何なる方向性結合器がコンバイナー等を介して共用されてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、送信部10-1、10-2にそれぞれサージプロテクタ20-1、20-2が備えられている。
【0055】
しかし、このようなサージプロテクタの数n(≧2)は、合成回路41の前段に配置された送信部の数P(≧3)より少なく、このようなP個の送信部の内、複数の送信部に如何なるサージプロテクタが共用されてもよい。
【0056】
さらに、本実施形態では、上記送信部の数Pが「3」以上である場合には、個々の送信部に対応したサージプロテクタ(以下、「特定のサージプロテクタ」という。)にレベルLと送信(出力)の拒否とを引き渡すべきサージプロテクタは、本発明によって達成される作用効果の低下が許容される限度において、特定のサージプロテクタ以外のサージプロテクタの一部であってもよい。
【0057】
また、本実施形態では、本発明は、既述の空中線に対する不平衡給電に適用されている。
しかし、本発明は、このような不平衡給電に限定されず、平衡給電型の空中線に対する給電にも同様に適用可能である。
【0058】
さらに、本実施形態では、合成回路41によって生成された合成波を空中線に給電する給電路のインピーダンス整合の程度に応じて、励振制御部11-1、11-2によって個別に生成されるべき送信波のレベルとその送信波の送信(出力)の拒否とが設定されている。
【0059】
しかし、本発明は、このような給電路に限定されず、電力合成によって生成された波動信号の伝送に供される伝送路のインピーダンス整合の程度に応じてこれらの波動信号のレベルが設定されるべき多様な装置やシステムに、同様に適用可能である。
【0060】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲において多様な実施形態の構成が可能であり、構成要素の全てまたは一部に如何なる改良が施されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10,30 送信部
11,31 励振制御部
20,44 サージプロテクタ
32 電力増幅部
33 バンドパスフィルタ(BPF)
41 合成回路
42 方向性結合器
43,46 T型回路
45 変流器(CT)
47 給電路
48 カーボンギャップ
49 電流計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号源によって生成された波動信号の合成波の引き渡しに供される線路のインピーダンス整合の程度に適した値Levに、前記複数の信号源の何れか1つによって生成されるべき波動信号の電力を設定する電力制御装置であって、
前記複数の信号源の内、前記1つの信号源以外の全てまたは一部によって個別に設定された電力を監視する監視手段と、
前記監視手段によって監視された電力の組み合わせに整合する値Loptに前記値Levを設定する他系連係手段と
を備えたことを特徴とする電力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−93701(P2013−93701A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233860(P2011−233860)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】