説明

電力変換装置およびこれを用いた電球

【課題】破損のおそれが少なく、製造効率を高めることが可能である電力変換装置およびこれを利用した電球を提供すること。
【解決手段】電力が入力される入力端子3A,3Bと、入力端子3A,3Bから入力された電力をLED素子7に適した仕様に変換して出力する電子素子2と、電子素子2によって変換された電力を出力する出力端子4と、を備えており、LED素子7を備えた電球Bに内蔵されるAC/DCコンバータA1であって、電子素子2を封止する樹脂パッケージ5を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば交流電力を直流電力に変換する電力変換装置およびこれを用いた電球に関する。
【背景技術】
【0002】
商用電源を利用した電球として、発熱電球が広く使用されている。近年、この発熱電球に代えてLED素子を光源として利用したLED電球が提案されている。LED電球は、白熱電球と比べて省電力、長寿命という利点を有する。LED電球を白熱電球用の電源ソケットに挿入して使用するには、LED電球内において電力を変換する必要がある。図4は、従来のLED電球の一例を示している。同図に示されたLED電球Xは、口金91、電力変換装置92、およびLED素子93を備えている。口金91は、アイレット91aとシェル91bとを具備しており、商用の交流100V電力を受電する部分である。電力変換装置92は、交流100V電力をLED素子93に適した直流電力に変換するためのものであり、入力端子92aと出力端子92bとを備えている。入力端子92aは、導線94を介してアイレット91aおよびシェル91bに導通している。出力端子92bは、LED素子93に導通している。LED素子93は、電球Xの光源であり、出力端子92bから供給される直流電力によって点灯する。電球Xは、一般的な照明装置に設けられた電源ソケットに嵌め込んだ状態で白熱電球の代替品として用いることが可能であり、消費電力の抑制および交換頻度の低減を図ることができる。
【0003】
しかしながら、LED電球Xの一部品である電力変換装置92は、ある場所で大量に製造された後に、LED電球Xを製造する場に搬送されることが多い。このときに、電力変換装置92を構成する電子素子をあやまって破損してしまうという不具合があった。また、LED電球Xを製造する際には、入力端子92aとアイレット91aおよびシェル91bとを導通させるために、導線94をアイレット91aおよびシェル91bに対してハンダ付けする必要がある。一般的な電源ソケットに装着可能とするために、口金91は、比較的小型とされている。この口金91の内部においてハンダ付けすることは、作業が煩雑であり、生産効率を低下させていた。
【0004】
【特許文献1】特開平6−242733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、破損のおそれが少なく、製造効率を高めることが可能である電力変換装置およびこれを利用した電球を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される電力変換装置は、電力が入力される複数の入力端子と、上記複数の入力端子から入力された電力を光源に適した仕様に変換して出力する電力変換部と、上記電力変換部によって変換された電力を出力する複数の出力端子と、を備えており、上記光源を備えた電球に内蔵される電力変換装置であって、上記電力変換部を封止する樹脂パッケージを備えていることを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、上記電力変換部を上記樹脂パッケージによって保護することが可能である。したがって、たとえば上記電力変換装置を用いた電球を製造する際に、上記電力変換部の破損を防止することができる。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記樹脂パッケージには、おねじが形成されており、上記複数の入力端子は、上記樹脂パッケージを上記おねじに沿って回転させたときに進退する方向に突出したものと、上記樹脂パッケージを上記おねじに沿って回転させたときの径方向外方に突出するものと、を含んでいる。このような構成によれば、一般的な電球の口金に対して上記電力変換装置を回転させることにより、上記口金に対して上記電力変換装置を容易に取り付けることができる。また、上記電力変換装置の取り付け作業によって、上記複数の入力端子を上記口金の電力供給部分に当接させることが可能である。
【0009】
本発明の第2の側面によって提供される電球は、口金と、光源と、本発明の第1の側面によって提供される電力変換装置とを備えており、上記口金には、上記電力変換装置の上記おねじに対して螺合可能であるめねじが形成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、上記電力変換装置を上記口金に対して回転させることにより上記電力変換装置を上記口金に対して容易に取り付けることができる。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1および図2は、本発明に係るAC/DCコンバータおよびLED電球の一例を示している。本実施形態のLED電球Bは、AC/DCコンバータA1と、口金6、LED素子7、および透光カバー8とを備えており、本発明で言う電球の一例である。
【0014】
口金6は、商用の交流100V電源ソケットから電力供給を受けるための部分であり、アイレット6aとシェル6bとを備えている。アイレット6aは、金属製であり、口金6の底部において内外に貫通するように設けられている。シェル6bは、たとえば金属プレートをプレス加工することにより形成されたものであり、略円筒形状とされている。シェル6bには、らせん状の凹凸が設けられている。これにより、シェル6bは、その外面がたとえばE17などのJIS規格に準拠したおねじとなっており、その内面が上記おねじと同様の仕様のめねじとなっている。
【0015】
LED素子7は、本発明で言う光源の一例である。LED素子7は、たとえば窒化ガリウムからなる半導体が積層された構造を有しており、直流電力を供給させることにより所定の波長の光を発する。LED素子7は、ブロック71に搭載されている。ブロック71は、たとえばLED素子7からの放熱を促進する役割を果たす。ブロック71は、ステー72によって支持されている。LED素子7は、導通部材73を介してAC/DCコンバータA1の出力端子4と導通している。
【0016】
透光カバー8は、LED素子7を保護するためのものであり、LED素子7からの光を透過させることが可能であるガラスまたは透明樹脂などからなる。本実施形態においては、透光カバー8は、略球形状とされている。透光カバー8は、樹脂製のカップ81を介して口金6に取り付けられている。
【0017】
AC/DCコンバータA1は、口金6から入力された交流電力をLED素子7に適した直流電力に変換するためのものであり、本発明で言う電力変換装置の一例である。AC/DCコンバータA1は、基板1、複数の電子素子2、入力端子3A,3B、出力端子4、および樹脂パッケージ5を備えている。
【0018】
基板1は、たとえばガラスエポキシ樹脂からなる絶縁基板であり、たとえば略矩形状とされている。基板1には、複数の電子素子2が搭載されている。また、基板1からは、入力端子3A,3Bが延出している。
【0019】
複数の電子素子2は、AC/DCコンバータA1の主要機能である交流電力から直流電力へと変換する機能を実現するためのものであり、本発明で言う電力変換部の一例である。複数の電子素子2としては、たとえば整流のためのダイオードと、スイッチング回路、ドライブ回路、電流検出回路、および電圧検出回路が作りこまれたICチップとが搭載されている。
【0020】
樹脂パッケージ5は、複数の電子素子2を保護するためのものであり、たとえば黒色のエポキシ樹脂からなる。樹脂パッケージ5は、基板1の一部と複数の電子素子2とを封止している。樹脂パッケージ5には、おねじ5aが形成されている。おねじ5aは、口金6のシェル6bの内面に沿う形状およびサイズとされている。これにより、AC/DCコンバータA1は、口金6に対して螺合可能とされている。
【0021】
入力端子3A,3Bは、口金6を介して商用の交流電力供給を受けるためのものであり、樹脂パッケージ5から露出している。入力端子3Aは、AC/DCコンバータA1を口金6に螺合させるために回転させたときに、AC/DCコンバータA1が進退する方向に突出している。このため、AC/DCコンバータA1を口金6に螺合させた状態においては、入力端子3Aはアイレット6aに当接する。入力端子3Bは、AC/DCコンバータA1を口金6に螺合させるために回転させたときの径方向外方に突出している。このため、AC/DCコンバータA1を口金6に螺合させた状態においては、入力端子3Bはシェル6bに当接する。本実施形態に備えられた2つの入力端子3Bは、基板1に形成された配線パターン(図示略)によって互いに導通している。
【0022】
出力端子4は、LED素子7に対して直流電力を供給するためのものであり、基板1のうち樹脂パッケージ5から露出した部分に形成されている。出力端子4とLED素子7とは、導通支持部材71によって連結されている。
【0023】
次に、AC/DCコンバータA1およびLED電球Bの作用について説明する。
【0024】
本実施形態によれば、AC/DCコンバータA1に搭載された電子素子2は、樹脂パッケージ5によって完全に覆われている。このため、AC/DCコンバータA1を製造した後に、LED電球Bを製造する場にAC/DCコンバータA1を搬入する際や、口金6にAC/DCコンバータA1を取り付ける際に、電子素子2を誤って破損してしまうおそれがない。
【0025】
AC/DCコンバータA1の口金6への取り付けは、おねじ5aをシェル6bの内面に沿わすようにAC/DCコンバータA1を口金6に対して回転させることによって容易に行うことができる。また、AC/DCコンバータA1を口金6に取り付けると、入力端子3Aがアイレット6aと当接し、入力端子3Bがシェル6bと当接することとなる。したがって、ハンダ付けなどの作業を行うことなくAC/DCコンバータA1と口金6とを電気的に接続することが可能であり、LED電球Bの製造効率を高めることができる。
【0026】
図3は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0027】
図3に示されたAC/DCコンバータA2は、樹脂パッケージ5の形状が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、樹脂パッケージ5には、4つの平面5bが形成されている。4つの平面5bは、それぞれが向く方向が互いに90°ずつ異なる面とされている。4つの平面5bが形成されたことにより、おねじ5aは、周方向において4分割された格好となっている。
【0028】
このような実施形態によっても、電子素子2の破損を防止するとともに、このAC/DCコンバータA2を用いたLED電球の製造を効率よく行うことができる。また、平面5bを有する形状とすることにより、樹脂パッケージ5を形成するのに要する樹脂量を削減することができる。
【0029】
本発明に係る電力変換装置およびこれを用いた電球は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る電力変換装置およびこれを用いた電球の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0030】
本発明で言う電力変換装置は、AC/DCコンバータに限定されず、たとえばインバータ装置など、電力の仕様を所望の仕様に変換する構成とされたものであればよい。本発明は、光源としてLED素子を備える電球のほかに、たとえば蛍光管を備えるものなど様々な種類の電球に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係るAC/DCコンバータおよびLED電球の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に係るAC/DCコンバータの一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係るAC/DCコンバータの他の例を示す斜視図である。
【図4】従来のAC/DCコンバータおよびLED電球の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
A1,A2 AC/DCコンバータ(電力変換装置)
B LED電球
1 基板
2 電子素子(電力変換部)
3A,3B 入力端子
4 出力端子
5 樹脂パッケージ
5a おねじ
6 口金
6a アイレット
6b シェル
7 LED素子(光源)
8 透光カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力が入力される複数の入力端子と、
上記複数の入力端子から入力された電力を光源に適した仕様に変換して出力する電力変換部と、
上記電力変換部によって変換された電力を出力する複数の出力端子と、
を備えており、上記光源を備えた電球に内蔵される電力変換装置であって、
上記電力変換部を封止する樹脂パッケージを備えていることを特徴とする、電力変換装置。
【請求項2】
上記樹脂パッケージには、おねじが形成されており、
上記複数の入力端子は、上記樹脂パッケージを上記おねじに沿って回転させたときに進退する方向に突出したものと、上記樹脂パッケージを上記おねじに沿って回転させたときの径方向外方に突出するものと、を含んでいる、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
口金と、光源と、請求項1または2に記載の電力変換装置とを備えており、
上記口金には、上記電力変換装置の上記おねじに対して螺合可能であるめねじが形成されていることを特徴とする、電球。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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