説明

電力変換装置

【課題】回路素子の動作損失を低減し、変換効率の高効率化を図ることができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】絶縁トランス12の二次側の整流回路13の後段に、平滑リアクトルLb、平滑コンデンサCbを有するフィルタ回路14が備えられるDC−DCコンバータ10において、絶縁トランス12の二次側コイル12bと整流回路13との間に共振コンデンサCxが直列に接続される。一次側のインバータ回路11は、スイッチング素子SW1〜SW4のフルブリッジ回路よりなり、フィルタ回路14の平滑リアクトルLbと共振コンデンサCxとの共振周波数に応じたスイッチング周波数にてスイッチング動作が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング回路及び絶縁トランスを備える電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、インバータ回路等のスイッチング回路にて直流電力から高周波交流電力を生成し、生成した高周波交流電力を絶縁トランスにて所定電圧に変換し、再び直流電力に変換して出力する電力変換装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1に示される電力変換装置(スイッチング電源回路)は、スイッチング回路としてチョッパ回路が用いられて構成されているが、同回路のスイッチング動作にて同様に直流電力を高周波交流電力に変換し、絶縁トランスを経て所定電圧に変換し、整流回路にて再度直流化して出力するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−104804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、絶縁トランスの二次側の整流回路では、該回路を構成するダイオードやスイッチング素子といった整流素子がその整流動作による動作損失が生じると、装置の高効率化の妨げとなる。
【0006】
特許文献1に開示の装置では、絶縁トランスの二次側コイルと整流回路との間に直列共振コンデンサが備えられ、二次側コイルの漏れインダクタンスとその直列共振コンデンサとで共振動作する構成となっている。これにより、整流素子の整流動作時にゼロ電流・ゼロ電圧でのスイッチング(ZCS,ZVS)、所謂ソフトスイッチングが行われ、整流素子での動作損失が低減される。因みに、特許文献1に開示の装置では、一次側コイルの漏れインダクタンスも利用する構成となっている。
【0007】
しかしながら、絶縁トランスの漏れインダクタンスを利用する構成では、トランスの疎結合を意味し、トランスの電力伝送効率が低いことを意味している。従って、絶縁トランスに電力伝送効率が高効率のものを利用する電力変換装置、例えば大電力用途の装置にはトランスの漏れインダクタンスが利用できなくなることから不向きであり、高効率なトランスを用いる電力変換装置への適用が望まれている。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、回路素子の動作損失を低減し、変換効率の高効率化を図ることができる電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、スイッチング素子を用いたフルブリッジ回路にて構成され、入力直流電力をスイッチング動作により高周波交流電力に変換し、後段の絶縁トランスの一次側コイルに供給するインバータ回路と、前記一次側コイルに供給された高周波交流電力を電圧変換して二次側コイルに伝送する絶縁トランスと、前記絶縁トランスの二次側コイルから出力される高周波交流電力を整流して直流化を行う整流回路とを備えた電力変換装置であって、前記整流回路の後段には、平滑リアクトル及び平滑コンデンサを有するフィルタ回路を備えるものであり、前記平滑リアクトルと共振動作させる共振コンデンサを前記絶縁トランスの二次側コイルと前記整流回路との間に直列に接続し、その共振周波数に応じた前記インバータ回路のスイッチング周波数にてスイッチング動作を行うようにしたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、絶縁トランスの二次側の整流回路の後段に、平滑リアクトル、平滑コンデンサを有するフィルタ回路が備えられる電力変換装置において、絶縁トランスの二次側コイルと整流回路との間に共振コンデンサが直列に接続される。そして、トランス一次側のインバータ回路に対して、フィルタ回路の平滑リアクトルと共振コンデンサとの共振周波数に応じたスイッチング周波数にてスイッチング動作が行われる。これにより、絶縁トランスの二次側のインピーダンスが小さくなる、即ち電圧に対する電流の位相ズレが小さくなることから、二次側の整流回路を構成する素子での整流動作にかかる動作損失は低減される。また、絶縁トランスの一次側においても二次側の影響を受けるため、一次側のインバータ回路を構成する素子での動作損失も低減される。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電力変換装置において、前記インバータ回路は、該回路を構成する各スイッチング素子と並列にコンデンサが接続されていることをその要旨とする。
【0012】
この発明では、インバータ回路を構成する各スイッチング素子と並列にコンデンサが接続されるため、ゼロ電圧でのスイッチング動作(ZVS)が可能となり、該スイッチング素子での動作損失が低減される。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電力変換装置において、前記整流回路は、ダイオードを用いたフルブリッジ回路にて構成されていることをその要旨とする。
この発明では、ダイオードのフルブリッジ回路にて構成される整流回路において、各ダイオードでの動作損失(導通損失、リカバリー損失)が低減される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電力変換装置において、前記整流回路は、スイッチング素子を用いたフルブリッジ回路よりなる同期整流回路にて構成されていることをその要旨とする。
【0015】
この発明では、スイッチング素子のフルブリッジ回路よりなる同期整流回路において、各スイッチング素子でのスイッチング動作時の損失が低減される。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電力変換装置において、前記整流回路は、該回路を構成する各スイッチング素子と並列にコンデンサが接続されていることをその要旨とする。
【0016】
この発明では、整流回路を構成する各スイッチング素子と並列にコンデンサが接続されるため、ゼロ電圧でのスイッチング動作(ZVS)が可能となり、該スイッチング素子での動作損失が低減される。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の電力変換装置において、前記入力直流電力を平滑化する平滑コンデンサを備え、該平滑コンデンサと前記インバータ回路との間に直列にリアクトルが接続されていることをその要旨とする。
【0018】
この発明では、入力直流電力を平滑化する平滑コンデンサとインバータ回路との間には直列にリアクトルが接続される。ここで、絶縁トランスの二次側の整流回路は同期整流回路であるため、該回路をインバータ回路として動作させ、また一方でトランスの一次側のインバータ回路を同期整流回路として動作させることが可能である。この場合、入力側に追加したリアクトルは同じく入力側の平滑コンデンサとでフィルタ回路として機能し、順方向と同じく逆方向において同様のフィルタ回路を介しての出力となる。つまり、入出力を適宜切り替えて使用可能な双方向電力変換装置となる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電力変換装置において、前記整流回路は、ダイオード及びコンデンサを用いた倍電圧整流回路にて構成されていることをその要旨とする。
【0020】
この発明では、ダイオード及びコンデンサを用いた倍電圧整流回路において、各ダイオードでの動作損失(導通損失、リカバリー損失)が低減される。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置において、前記インバータ回路のスイッチング周波数は、前記絶縁トランスの二次側の前記共振コンデンサ及び前記平滑リアクトルの共振周波数に一致させて設定されていることをその要旨とする。
【0021】
この発明では、インバータ回路のスイッチング周波数は、絶縁トランスの二次側の共振コンデンサ及び平滑リアクトルの共振周波数に一致させて設定される。これにより、絶縁トランスの二次側のインピーダンスが最小となることから、二次側の整流回路を構成する素子での整流動作にかかる動作損失は一層低減される。また、絶縁トランスの一次側においても二次側の影響を受けるため、一次側のインバータ回路を構成する素子での動作損失の一層の低減も期待できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、回路素子の動作損失が低減され、変換効率の高効率化が図られる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態における電力変換装置としてのDC−DCコンバータの回路図。
【図2】コンバータの動作を説明するための波形図。
【図3】コンバータの動作を説明するための波形図。
【図4】コンバータの動作を説明するための波形図。
【図5】コンバータの動作を説明するための波形図。
【図6】コンバータの動作を説明するための波形図。
【図7】別例におけるコンバータの回路図。
【図8】別例におけるコンバータの回路図。
【図9】別例におけるコンバータの回路図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す本実施形態のDC−DCコンバータ10は、太陽光発電装置等の直流電源から出力される直流電力を入力し、その入力直流電力を所定電圧に変換した出力直流電力として出力するものである。因みに、直流電源としては、太陽光発電装置の他、燃料電池発電装置、蓄電池装置、及び商用交流電力の直流変換装置等がある。
【0025】
DC−DCコンバータ10は、平滑コンデンサCa、インバータ回路11、絶縁トランス12、共振コンデンサCx、整流回路13、及びフィルタ回路14を備えている。
絶縁トランス12の一次側には、スイッチング回路としてインバータ回路11が備えられている。インバータ回路11は、IGBT等のスイッチング素子SW1〜SW4を4個用いたフルブリッジ(Hブリッジ)回路にて構成される。また、これら各スイッチング素子SW1〜SW4には、逆接ダイオードD1〜D4及びコンデンサC1〜C4がそれぞれ並列に接続されている。そして、インバータ回路11は、平滑コンデンサCaを介して入力される直流電力を制御回路15の制御に基づく各スイッチング素子SW1〜SW4のオンオフ動作にて高周波交流電力に変換し、変換した高周波交流電力を絶縁トランス12の一次側コイル12aに供給する。
【0026】
絶縁トランス12は、一次側コイル12aに供給された高周波交流電力を二次側コイル12bにて所定電圧に変換する。本実施形態で用いる絶縁トランス12は、結合が密で電力伝送効率が高いトランスが用いられ、本実施形態のDC−DCコンバータ10は大電力用途として好適である。従って、絶縁トランス12の一次側及び二次側には、漏れインダクタンスが殆ど生じないものとなっている。また大電力用途として、上記のインバータ回路11に4個のスイッチング素子SW1〜SW4によるフルブリッジ回路が用いられる。
【0027】
絶縁トランス12の二次側では、その二次側コイル12bに共振コンデンサCxが直列に接続されており、その後段には整流回路13が備えられている。整流回路13は、4個のダイオードD5〜D8を用いたフルブリッジ回路にて構成される。整流回路13の後段には、フィルタ回路14が備えられている。フィルタ回路14は、平滑リアクトルLb及び平滑コンデンサCbで構成される。フィルタ回路14は、平滑リアクトルLb及び平滑コンデンサCbにて整流回路13を経た直流電力の平滑化を行い、出力直流電力として負荷側に出力する。尚、比較的大型部品ではあるが、大電力用途としてフィルタ回路14にリアクトルLbが用いられる。
【0028】
また本実施形態では、フィルタ回路14として機能している平滑リアクトルLbを、先の共振コンデンサCxとで共振動作させるようにもしている。
ここで、絶縁トランス12の二次側を簡単な等価回路として考えた場合、二次側コイル12b、共振コンデンサCx、平滑リアクトルLb、及び負荷を直列接続した回路として考えられる。このような等価回路では、二次側コイル12bにて生じる高周波交流電力の周波数を共振コンデンサCx及び平滑リアクトルLbの共振周波数に近づけることで、インピーダンスが小さくなる。二次側コイル12bにて生じる高周波交流電力の周波数は、インバータ回路11(スイッチング素子SW1〜SW4)のスイッチング周波数であり、このスイッチング周波数を共振周波数に近づけることで、等価回路のインピーダンスが小さくなる。スイッチング周波数を共振周波数に一致させると、等価回路のインピーダンスが最小となる。
【0029】
従って、インバータ回路11(スイッチング素子SW1〜SW4)のスイッチング動作を制御する制御回路15では、そのスイッチング周波数が共振コンデンサCx及び平滑リアクトルLbの共振周波数を考慮して設定、本実施形態では一致するように設定されている。そして、制御回路15によるインバータ回路11のPWM制御にて、その時々で適切な出力電力がその時々の入力電力から変換されて出力されるようになっている。
【0030】
次に、本実施形態のDC−DCコンバータ10の動作(作用)について説明する。
図2は、DC−DCコンバータ10の動作態様を示す波形図であり、制御回路15からインバータ回路11の各スイッチング素子SW1〜SW4のゲートに制御信号(図中、スイッチゲート電圧参照)が入力され、各スイッチング素子SW1〜SW4が所定の組み合わせ同士で交互にスイッチング動作し、高周波交流電力が生成され、後段の絶縁トランス12に供給される。
【0031】
このとき、インバータ回路11のスイッチング周波数は、絶縁トランス12の二次側の共振コンデンサCx及び平滑リアクトルLbの共振周波数と一致させているため、二次側等価回路のインピーダンスが最小となる。これは、電圧に対する電流の位相ズレが改善され特定周波数(共振周波数)の正弦波電流となることから、整流回路13のダイオードD5〜D8は導通電流が略ゼロになってからオフし、また印加電圧が略ゼロの状態になってオンするようになる。つまり、整流回路13のダイオードD5〜D8ではゼロ電流、ゼロ電圧でのスイッチング動作(ZCS,ZVS)が可能となり(図中、整流ダイオード導通電流、印加電圧参照)、整流動作時の動作損失(導通損失、リカバリ損失)及びこれに伴うノイズがそれぞれ低減される。
【0032】
また、絶縁トランス12の一次側のインバータ回路11においても、トランス12の二次側の影響を受けて、同様に正弦波電流が流れるようになる(図中、トランス印加電流参照)。これにより、インバータ回路11の各スイッチング素子SW1〜SW4の略ゼロ電流でのスイッチング(ZCS)が可能となる(図中、スイッチ導通電流参照)。また、各スイッチング素子SW1〜SW4に並列接続されるコンデンサC1〜C4により、各スイッチング素子SW1〜SW4の略ゼロ電圧でのスイッチング(ZVS)が可能となる(図中、スイッチ印加電圧参照)。更に、各スイッチング素子SW1〜SW4に並列接続されるダイオードD1〜D4に関しても、二次側と同様、ゼロ電流、ゼロ電圧スイッチング(ZCS,ZVS)が可能となる。こうして、絶縁トランス12の一次側においても、各スイッチング素子SW1〜SW4及び各ダイオードD1〜D4の動作損失及びノイズがそれぞれ低減される。
【0033】
因みに、先に示した図2に示すシミュレーションでは、入力電圧が例えば380V、出力電力が5500Wである。その他、図3に示すシミュレーションでは、入力電圧が例えば380V、出力電力が3000Wであり、図4に示すシミュレーションでは、入力電圧が例えば380V、出力電力が500Wである。また、図5に示すシミュレーションでは、入力電圧が例えば450V、出力電力が3000Wであり、図6に示すシミュレーションでは、入力電圧が例えば450V、出力電力が500Wである。入力側の直流電源として太陽光発電装置を想定し、入力電力が大きく変化する態様としている。
【0034】
図3及び図4に示す態様では図2と同様、インバータ回路11を制御する制御信号のデューティが最大に設定される態様である。これらの態様では、二次側の整流回路13のダイオードD5〜D8がZCS,ZVS、一次側のインバータ回路11のスイッチング素子SW1〜SW4がZCS,ZVS、更にダイオードD1〜D4がZCS,ZVSでの動作が行われるようになっている。
【0035】
また図5及び図6に示す態様では、インバータ回路11を制御する制御信号のデューティが小さく設定される態様である。これらの態様においても、二次側の整流回路13のダイオードD5〜D8、一次側のインバータ回路11のスイッチング素子SW1〜SW4、ダイオードD1〜D4のそれぞれが若干の動作損失が生じ得る状態も含みながら、略ZCS,ZVSでの動作が可能となっている。
【0036】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)絶縁トランス12の二次側の整流回路13の後段に、平滑リアクトルLb、平滑コンデンサCbを有するフィルタ回路14が備えられる本実施形態のDC−DCコンバータ10において、絶縁トランス12の二次側コイル12bと整流回路13との間に共振コンデンサCxが直列に接続される。そして、トランス12の一次側のインバータ回路11に対して、フィルタ回路14の平滑リアクトルLbと共振コンデンサCxとの共振周波数に応じたスイッチング周波数にてスイッチング動作が行われる。つまり、絶縁トランス12の二次側のインピーダンスが小さくなる、即ち電圧に対する電流の位相ズレが小さくなることから、二次側の整流回路13を構成するダイオードD5〜D8での整流動作にかかる動作損失(導通損失、リカバリー損失)を低減することができる。特に本実施形態では、共振周波数に一致させたスイッチング周波数にてスイッチング動作を行うことから、トランス12の二次側のインピーダンスが最小となり、ダイオードD5〜D8での損失の一層低減が期待できる。また、動作損失の低減からノイズ低減効果も期待できる。更に、絶縁トランス12の一次側においても二次側の影響を受けるため、一次側のインバータ回路11を構成するスイッチング素子SW1〜SW4での動作損失も低減することができる。これらから、DC−DCコンバータ10での変換効率を一層高効率化することができる。
【0037】
(2)インバータ回路11を構成する各スイッチング素子SW1〜SW4と並列にコンデンサC1〜C4が接続されるため、これによってもゼロ電圧でのスイッチング動作(ZVS)が可能となるため、該スイッチング素子SW1〜SW4での動作損失をより確実に低減することができる。これにより、DC−DCコンバータ10の変換効率の向上に寄与できる。
【0038】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、インバータ回路11のスイッチング周波数を、共振コンデンサCx及び平滑リアクトルLbの共振周波数に一致させたが、二次側のインピーダンスが十分に小さく整流回路13を構成する素子での動作損失が十分に低減できる範囲であれば、スイッチング周波数を共振周波数の付近で若干ずらして設定してもよい。
【0039】
・上記実施形態では、インバータ回路11のスイッチング素子SW1〜SW4にダイオードD1〜D4とコンデンサC1〜C4とをそれぞれ並列に接続したが、コンデンサC1〜C4の省略等、インバータ回路11の構成を適宜変更してもよい。
【0040】
・上記実施形態では、トランス12の二次側の整流回路13をダイオードD5〜D8のブリッジ回路にて構成したが、回路構成はこれに限らない。
例えば図7に示すように、スイッチング素子SW5〜SW8のフルブリッジ回路よりなる同期整流回路13Aを用いてもよい。スイッチング素子SW5〜SW8には、ダイオードD5〜D8とコンデンサC5〜C8とがそれぞれ並列に接続される。そして、同期整流回路13Aにおいても、スイッチング動作時のスイッチング素子SW5〜SW8での動作損失が低減される。また、スイッチング素子SW5〜SW8と並列接続されるコンデンサC5〜C8によってもゼロ電圧でのスイッチング動作(ZVS)が可能となるため、該スイッチング素子SW5〜SW8での動作損失をより確実に低減できる。
【0041】
また図8に示す態様では、図7の態様に加え、入力側の平滑コンデンサCaとインバータ回路11との間に直列にリアクトルLaを接続する構成としてもよい。ここで、絶縁トランス12の二次側の整流回路13Aは同期整流回路であるため、該回路13Aをインバータ回路11として動作させ、また一方でトランス12の一次側のインバータ回路11を同期整流回路として動作させることが可能である。この場合、入力側に追加したリアクトルLaは同じく入力側の平滑コンデンサCaとでフィルタ回路として機能し、順方向と同じく逆方向において同様のフィルタ回路を介しての出力となる。つまり、入出力を適宜切り替えて使用可能な双方向電力変換装置である。
【0042】
因みに、このような双方向電力変換装置は、入力側の直流電源として例えば、電力を取り出したり、充電したりするため、双方向に電力移動が要求される蓄電池装置を用いる場合に好適である。
【0043】
また図9に示すように、ダイオードD9,D10及びコンデンサC9,C10を用いた倍電圧整流回路13Bを用いてもよい。即ち、共振コンデンサCxに対し、ダイオードD9を順方向に、ダイオードD10を逆方向にそれぞれ並列に接続し、ダイオードD9のカソードとダイオードD10のアノードとの間にコンデンサC9,C10が接続される。コンデンサC9,C10間は二次側コイル12bの他端と接続される。そして、ダイオードD9のカソードとダイオードD10のアノードとで後段のフィルタ回路14と接続される。このような倍電圧整流回路においても、各ダイオードD9,D10での整流動作にかかる動作損失(導通損失、リカバリー損失)が低減される。
【0044】
また、上記した整流回路13(ダイオードブリッジ回路)、同期整流回路13A、倍電圧整流回路13B以外の他の整流回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0045】
11 インバータ回路
12 絶縁トランス
12a 一次側コイル
12b 二次側コイル
13 整流回路
13A 同期整流回路(整流回路)
13B 倍電圧整流回路(整流回路)
14 フィルタ回路
SW1〜SW4 スイッチング素子
SW5〜SW8 スイッチング素子
La リアクトル
Lb 平滑リアクトル
Ca 平滑コンデンサ
Cb 平滑コンデンサ
Cx 共振コンデンサ
C1〜C4 コンデンサ
C5〜C8 コンデンサ
C9,C10 コンデンサ
D5〜D8 ダイオード
D9,D10 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子を用いたフルブリッジ回路にて構成され、入力直流電力をスイッチング動作により高周波交流電力に変換し、後段の絶縁トランスの一次側コイルに供給するインバータ回路と、
前記一次側コイルに供給された高周波交流電力を電圧変換して二次側コイルに伝送する絶縁トランスと、
前記絶縁トランスの二次側コイルから出力される高周波交流電力を整流して直流化を行う整流回路と
を備えた電力変換装置であって、
前記整流回路の後段には、平滑リアクトル及び平滑コンデンサを有するフィルタ回路を備えるものであり、
前記平滑リアクトルと共振動作させる共振コンデンサを前記絶縁トランスの二次側コイルと前記整流回路との間に直列に接続し、その共振周波数に応じた前記インバータ回路のスイッチング周波数にてスイッチング動作を行うようにしたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記インバータ回路は、該回路を構成する各スイッチング素子と並列にコンデンサが接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電力変換装置において、
前記整流回路は、ダイオードを用いたフルブリッジ回路にて構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の電力変換装置において、
前記整流回路は、スイッチング素子を用いたフルブリッジ回路よりなる同期整流回路にて構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電力変換装置において、
前記整流回路は、該回路を構成する各スイッチング素子と並列にコンデンサが接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の電力変換装置において、
前記入力直流電力を平滑化する平滑コンデンサを備え、該平滑コンデンサと前記インバータ回路との間に直列にリアクトルが接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の電力変換装置において、
前記整流回路は、ダイオード及びコンデンサを用いた倍電圧整流回路にて構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
前記インバータ回路のスイッチング周波数は、前記絶縁トランスの二次側の前記共振コンデンサ及び前記平滑リアクトルの共振周波数に一致させて設定されていることを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−253967(P2012−253967A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126329(P2011−126329)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】