電力変換装置
【課題】リアクトルに接続された部品を容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる電力変換装置を提供すること。
【解決手段】電力変換装置1は、電力変換回路の一部を構成するリアクトル5を備えている。リアクトル5は、本体部51と本体部51から突出させた一対の外部端子52a、52bとを有する。各外部端子52a、52bは、それぞれバスバ61、62の一端にある第1接続位置611、621に接続されていると共に、バスバ61、62を介してリアクトル5以外の部品と電気的に接続されている。リアクトル5を外部端子52a、52bの突出方向における回転中心軸Rを中心として回転移動させることにより、一対の外部端子52a、52bを一対のバスバ61、62における第1接続位置611、621から第1接続位置611、621とは異なる第2接続位置612、622に移動させることができるよう構成されている。
【解決手段】電力変換装置1は、電力変換回路の一部を構成するリアクトル5を備えている。リアクトル5は、本体部51と本体部51から突出させた一対の外部端子52a、52bとを有する。各外部端子52a、52bは、それぞれバスバ61、62の一端にある第1接続位置611、621に接続されていると共に、バスバ61、62を介してリアクトル5以外の部品と電気的に接続されている。リアクトル5を外部端子52a、52bの突出方向における回転中心軸Rを中心として回転移動させることにより、一対の外部端子52a、52bを一対のバスバ61、62における第1接続位置611、621から第1接続位置611、621とは異なる第2接続位置612、622に移動させることができるよう構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換回路の一部を構成するリアクトルを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、ハイブリッド自動車等に搭載されるインバータ等の電力変換装置としては、例えば、電力変換回路の一部を構成するリアクトルを備えたものがある(特許文献1参照)。
リアクトルは、通電により磁束を発生するコイルと磁束の磁路を構成するコアとからなる本体部と、その本体部から突出してなる一対の外部端子とを有する。各外部端子は、バスバに対して溶接等によって接続されていると共に、バスバを介して半導体モジュールやコンデンサ等に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−115060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電力変換装置には、以下のような問題があった。
すなわち、例えば、リアクトルに接続された半導体モジュール、コンデンサ等の部品に故障が生じた場合、その故障した部品だけを取り出して交換することが望ましい。ところが、半導体モジュール、コンデンサ等の部品を取り出そうとすると、例えば、これらの部品とリアクトルとを接続するバスバを切断する必要がある。そのため、故障した部品を交換したとしても、リアクトルの外部端子と切断されたバスバとを接続することは困難であった。すなわち、リアクトルの外部端子とバスバとを再接続することは困難であった。
【0005】
また、リアクトルの外部端子とバスバとの再接続を可能にしようとすると、例えば、接続方式をコネクタ化したり、余分な接続箇所を設けたりする必要がある。また、リアクトルの外部端子の位置を変更できるように、リアクトルの移動スペースを確保したり、その移動させたリアクトルを固定できる構造にしたりする必要がある。そのため、製品の大型化を招き、コストが増大するおそれがあった。
したがって、従来は、リアクトルに接続された半導体モジュール、コンデンサ等の一部の部品に故障があった場合でも、電力変換装置全体を交換しなければならず、故障時の部品交換費用が高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、リアクトルに接続された部品を容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様は、電力変換回路の一部を構成するリアクトルを備えた電力変換装置であって、
上記リアクトルは、本体部と、該本体部から突出させた一対の外部端子とを有し、
該各外部端子は、それぞれバスバの一端にある第1接続位置に接続されていると共に、上記バスバを介して上記リアクトル以外の部品と電気的に接続されており、
上記リアクトルを上記外部端子の突出方向における回転中心軸を中心として回転移動させることにより、上記一対の外部端子を上記一対のバスバにおける上記第1接続位置から該第1接続位置とは異なる第2接続位置に移動させることができるよう構成されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
上記電力変換装置において、リアクトルの一対の外部端子は、それぞれ一対のバスバの第1接続位置において接続されていると共に、バスバを介してリアクトル以外の部品と電気的に接続されている。そして、リアクトルは、上記回転中心軸を中心として回転移動させることにより、一対の外部端子を一対のバスバにおける第1接続位置から該第1接続位置とは異なる第2接続位置に移動させることができるよう構成されている。
【0009】
そのため、リアクトルの外部端子とバスバとの接続を切断しても、リアクトルを上記回転中心軸を中心として回転移動させ、外部端子の位置をバスバにおける第1接続位置から第2接続位置に移動させることにより、その外部端子をバスバの第2接続位置に接続することができる。すなわち、リアクトル全体の配設位置を大きく変更することなく、リアクトルの外部端子とバスバとを容易に再接続することができる。
【0010】
これにより、リアクトルに接続された部品(例えば、半導体モジュール、コンデンサ等)に故障が生じた場合、リアクトルの外部端子とバスバとの接続を一旦切断し、故障した部品を交換した後、リアクトルの外部端子とバスバとを再接続することができる。よって、リアクトルに接続された部品を容易に交換することができる。また、従来のように、電力変換装置全体を交換する必要がなくなるため、故障時における部品交換費用の低減を図ることができる。
【0011】
このように、リアクトルに接続された部品を容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における、電力変換装置の構成を示す説明図。
【図2】実施例1における、電力変換装置の筐体を示す説明図。
【図3】実施例1における、リアクトルの構成を示す説明図。
【図4】実施例1における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【図5】実施例1における、電力変換回路を示す説明図。
【図6】実施例1における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【図7】実施例1における、リアクトルの構成を示す説明図。
【図8】実施例1における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【図9】実施例2における、リアクトルの構成を示す説明図。
【図10】実施例2における、リアクトルを積層方向から見た説明図。
【図11】実施例2における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【図12】実施例2における、リアクトルを積層方向から見た説明図。
【図13】実施例2における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【図14】実施例2における、リアクトルの構成を示す説明図。
【図15】実施例2における、リアクトルを積層方向から見た説明図。
【図16】実施例2における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記電力変換装置において、上記リアクトルの上記本体部は、例えば、通電により磁束を発生するコイルと磁束の磁路を構成するコアとにより構成することができる。
また、上記コアは、例えば、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂により構成することができる。この場合、上記コアの内部に上記コイルを埋設し、該コイルから取り出した上記一対の外部端子を上記コアから突出させた構成とすることができる。
【0014】
また、上記リアクトルの上記外部端子を上記バスバに接続する方法としては、例えば、溶接、はんだ付け等の方法がある。
また、上記リアクトルの上記外部端子は、上記バスバを介して、上記リアクトル以外の部品、例えば半導体素子を内蔵した半導体モジュールやコンデンサ等の部品と電気的に接続された構成とすることができる。
【0015】
また、上記リアクトルは、上記回転中心軸を中心として回転移動させることにより、上記一対の外部端子を上記一対のバスバにおける上記第1接続位置から上記第2接続位置に移動させることができるよう構成されている。
このとき、外部端子は、接続されていたバスバの第1接続位置から同じバスバの第2接続位置に移動させることができるよう構成してもよいし、もう一方のバスバの第2接続位置に移動させることができるよう構成してもよい。
【0016】
また、上記リアクトルの上記回転中心軸は、リアクトルの回転前後でそのリアクトルの配設位置がなるべく変更されることのないように任意で設定することができる。すなわち、リアクトル全体の配設位置を大きく変更することなく、リアクトルの外部端子とバスバとを容易に再接続するという上述の効果を十分に発揮することができるように設定することができる。
【0017】
また、上記バスバにおける上記第1接続位置は、上記第2接続位置よりも上記バスバの先端側にある構成とすることができる(請求項2)。
この場合には、第1接続位置を含むバスバの先端部分を切断除去した後、リアクトルを上記回転中心軸を中心として回転移動させ、リアクトルの外部端子をバスバの第2接続位置に接続することができる。これにより、リアクトルの外部端子とバスバとを再接続する作業を容易に行うことができる。
【0018】
また、上記バスバは、上記突出方向に略直交する方向に形成されており、上記バスバにおける上記第1接続位置と上記第2接続位置との間には、上記突出方向に段差を有する段差部が設けられており、上記第1接続位置は、上記第2接続位置よりも上記リアクトルの上記本体部から遠い位置にある構成とすることができる(請求項3)。
この場合には、第1接続位置を含むバスバの先端部分、すなわちバスバの先端から段差部までの部分を容易に切断除去することができる。これにより、リアクトルの外部端子とバスバとを再接続する作業をさらに容易に行うことができる。
【0019】
また、上記リアクトルは、さらに、上記本体部を収容するケースを有し、該ケースの外形形状は、上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する形状である構成とすることができる(請求項4)。
この場合には、リアクトル全体の配設位置を変更することなく、リアクトルの外部端子とバスバとを容易に再接続することができる。
【0020】
ここで、上記ケースの外形形状が上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する形状であるとは、リアクトルを上記回転中心軸を中心として所定の角度で回転させた場合に、ケースの外形形状が回転前後で同じ形状であることをいう。
ただし、リアクトルの一対の外部端子を一対のバスバにおける第1接続位置から第2接続位置に移動させる回転角度と、ケースが回転前後で同じ形状となる回転角度とが一致していることが必要となる。
【0021】
また、上記ケースは、該ケースの固定対象に対して複数の固定位置で固定されており、該複数の固定位置は、上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する位置にある構成とすることができる(請求項5)。
この場合には、リアクトルの外部端子とバスバとを再接続することができると共に、リアクトルのケースとそのケースの固定対象とを同じ複数の固定位置において再固定することができる。
【0022】
ここで、上記複数の固定位置が上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する位置にあるとは、リアクトルを上記回転中心軸を中心として所定の角度で回転させた場合に、複数の固定位置が回転前後で同じ位置になることをいう。
ただし、リアクトルの一対の外部端子を一対のバスバにおける第1接続位置から第2接続位置に移動させる回転角度と、複数の固定位置が回転前後で同じ位置となる回転角度とが一致していることが必要となる。
【0023】
また、上記電力変換装置には、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却する冷媒を流通させる冷媒流路とを積層してなる積層構造体が配設されており、上記リアクトルは、上記積層構造体の積層方向の一端側に配設されており、上記一対の外部端子の一方は、上記バスバを介して上記半導体モジュールに接続されている構成とすることができる(請求項6)。
この場合には、リアクトルに接続された部品である半導体モジュールを容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる。
【実施例】
【0024】
(実施例1)
電力変換装置にかかる実施例について、図を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図1〜図4に示すごとく、電力変換回路の一部を構成するリアクトル5を備えている。リアクトル5は、本体部51と、本体部51から突出させた一対の外部端子52a、52bとを有する。各外部端子52a、52bは、それぞれバスバ61、62の一端にある第1接続位置611、621において接続されていると共に、バスバ61、62を介してリアクトル5以外の部品と電気的に接続されている。
【0025】
図3、図4に示すごとく、リアクトル5を外部端子52a、52bの突出方向における回転中心軸Rを中心として回転移動させることにより、一対の外部端子52a、52bを一対のバスバ61、62における第1接続位置611、621から第1接続位置611、621とは異なる第2接続位置612、622に移動させることができるよう構成されている。
以下、これを詳説する。
【0026】
図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、電気自動車、ハイブリッド自動車等に搭載されるインバータである。
電力変換装置1は、電力変換回路を構成する積層構造体2、リアクトル5、コンデンサ部7等を備えている。また、電力変換装置1は、これらの部品を収容し、固定する筐体4を備えている。なお、図1では、筐体4の一部について図示している。
【0027】
同図に示すごとく、積層構造体2は、半導体素子を内蔵した複数の半導体モジュール21と、半導体モジュール21を冷却する冷媒を流通させる複数の冷却管(冷媒流路)22とを積層して構成されている。
各半導体モジュール21は、積層方向Xの両側から冷却管22によって挟持されている。また、半導体モジュール21は、後述するように、スイッチング素子及びダイオードの2つの半導体素子を内蔵している。また、各半導体モジュール21は、高さ方向Z(図4)の一方側に複数のパワー端子213を突出させており、他方側に複数の制御端子(図示略)を突出させている。制御端子は、制御回路基板(図示略)に接続されている。
【0028】
複数の冷却管22は、その長手方向(幅方向Y)の両端部において、隣り合う冷却管22同士が変形可能な連結管23によって連結されている。また、後述する加圧部材3に隣接して配設された冷却管22の両端部には、外部から冷媒を導入する冷媒導入管24と、外部に冷媒を排出する冷媒排出管25とが連結されている。冷媒導入管24及び冷媒排出管25は、筐体4に形成された保持部41(図2)において保持されている。
【0029】
冷媒導入管24から導入された冷媒は、冷媒導入管24側の連結管23を適宜通り、各冷却管22に分配されると共にその長手方向(幅方向Y)に流通する。そして、冷媒は、各冷却管22を流れる間に、半導体モジュール21との間で熱交換を行う。熱交換により温度上昇した冷媒は、冷媒排出管25側の連結管23を適宜通り、冷媒排出管25から排出される。
【0030】
なお、冷却管22等に流通させる冷媒としては、例えば、水やアンモニア等の自然冷媒、エチレングリコール系の不凍液を混入した水、フロリナート等のフッ化炭素系冷媒、HCFC123、HFC134a等のフロン系冷媒、メタノール、アルコール等のアルコール系冷媒、アセトン等のケトン系冷媒等の冷媒を用いることができる。
【0031】
また、同図に示すごとく、積層構造体2の積層方向Xの一端側には、後述するリアクトル5が配設されている。また、積層構造体2の積層方向Xの他端側には、積層構造体2を積層方向Xに加圧する加圧部材3が配設されている。
加圧部材3は、コイルばねからなる弾性部材31と、弾性部材31の積層方向Xの両側に配設された一対の当接部材32、33とを有する。一方の当接部材32は、積層構造体2に当接しており、他方の当接部材33は、筐体4に当接している。
【0032】
弾性部材31は、積層構造体2及び筐体4に当接している一対の当接部材32、33の間において、積層方向Xに弾性変形した状態で挟持されている。また、弾性部材31は、一方の当接部材32を介して積層構造体2を積層方向Xに加圧している。これにより、積層構造体2は、弾性部材31によって積層方向Xに加圧(圧縮)された状態で、筐体4内に保持されている。
【0033】
また、図1、図2に示すごとく、筐体4には、コンデンサ部7を収容するコンデンサ収容部42が設けられている。コンデンサ収容部42には、フィルタコンデンサ71と複数の平滑コンデンサ72とからなるコンデンサ部7が収容されている。各平滑コンデンサ72は、正極側バスバ及び負極側バスバ(図示略)を介して、積層構造体2の半導体モジュール21のパワー端子213に接続されている。
【0034】
図3、図4に示すごとく、リアクトル5は、本体部51と、一対の外部端子52a、52bと、本体部51を収容するケース53とを有する。
本体部51は、通電により磁束を発生するコイル511と、コイル511への通電によって発生した磁束の磁路を構成するコア512とからなる。コア512は、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなる。コア512の内部には、コイル511が埋設されている。
【0035】
一対の外部端子52a、52bは、コイル511から導体線(銅線)を取り出して形成されており、コア512の内部から高さ方向Zに突出させている。
ケース53は、底部531と、底部531から高さ方向Zに立設してなる円筒状の側壁部532とを有し、高さ方向Zの一方側(一対の外部端子52a、52bが突出している側)が開口した箱型形状となっている。ケース53内には、本体部51(コイル511、コア512)が収容されている。また、ケース53は、アルミニウム又はその合金からなる。
【0036】
ケース53の底部531には、その底部531から外側に突出してなる4つの締結部533が設けられている。各締結部533には、締結孔534a〜534dが形成されている。また、筐体4には、ケース53の4つの締結孔534a〜534dと同じ位置に、ケース53を固定するための4つの固定孔43(図2)が形成されている。
また、ケース53の外形形状は、リアクトル5の回転中心軸Rに対して回転対称性(本例では180°回転対称性)を有する形状である。
【0037】
また、ケース53は、同じ位置にあるケース53の締結孔534a〜534dと筐体4の固定孔43とにボルト(図示略)を挿入して締結することにより、4つの固定位置E1〜E4において、筐体4に固定されている。なお、4つの固定位置E1〜E4は、リアクトル5の回転中心軸Rに対して回転対称性(本例では180°回転対称性)を有する位置にある。
なお、本例では、リアクトル5の回転中心軸Rは、本体部51のコイル511の巻回軸と一致するが、両者は必ずしも一致している必要はない。
【0038】
また、図1に示すごとく、一対の外部端子52a、52bは、バスバ61、62を介して、リアクトル5以外の部品と電気的に接続されている。
本例において、一方の外部端子52aは、バスバ61を介して、積層構造体2の半導体モジュール21のパワー端子213に接続されている。なお、バスバ61は、別の接続用バスバ(図示略)に対してボルト締結やコネクタ接続等により接続されており、さらにその接続用バスバは、半導体モジュール21のパワー端子213に対して溶接等により接続されている。図1では、バスバ61が接続用バスバを介して半導体モジュール21のパワー端子213に接続されている部分の図示を省略している。
【0039】
また、他方の外部端子52bは、バスバ62を介して、筐体4のコンデンサ収容部42に収容されているコンデンサ部7のフィルタコンデンサ71に接続されている。なお、バスバ62は、別の接続用バスバ(図示略)に対してボルト締結やコネクタ接続等により接続されており、さらにその接続用バスバは、コンデンサ部7のフィルタコンデンサ71に対して溶接等により接続されている。図1では、バスバ62が接続用バスバを介してコンデンサ部7のフィルタコンデンサ71に接続されている部分の図示を省略している。
【0040】
また、図3、図4に示すごとく、一対の外部端子52a、52bは、それぞれバスバ61、62の一端にある第1接続位置611、621において接続されている。本例において、外部端子52a、52bは、溶接によってバスバ61、62に接続されている。
また、リアクトル5は、回転中心軸Rを中心として回転移動させることにより、一対の外部端子52a、52bを一対のバスバ61、62における第1接続位置611、621から第1接続位置611、621とは異なる第2接続位置612、622に移動させることができるよう構成されている。
【0041】
本例では、リアクトル5を回転中心軸Rを中心として180°回転移動させることにより、一方の外部端子52aの位置を一方のバスバ61の第1接続位置611から他方のバスバ62の第2接続位置622に移動させることができると共に、他方の外部端子52bの位置を他方のバスバ62の第1接続位置621から一方のバスバ61の第2接続位置612に移動させることができる。
【0042】
また、同図に示すごとく、バスバ61、62における第1接続位置611、621は、第2接続位置612、622よりもバスバ61、62の先端側にある。
また、バスバ61、62は、突出方向(高さ方向Z)に直交する方向に形成されており、バスバ61、62における第1接続位置611、621と第2接続位置612、622との間には、突出方向(高さ方向Z)に段差を有する段差部613、623が設けられている。また、バスバ61、62における第1接続位置611、621は、第2接続位置612、622よりもリアクトル5の本体部51から遠い位置にある。
【0043】
また、図5に示すごとく、電力変換装置1における電力変換回路8は、直流電源80の直流電圧を昇圧する昇圧回路81と、昇圧後の直流電圧を交流電圧に変換すると共に回転電機891、892を制御するインバータ回路82とを備えている。
昇圧回路81は、昇圧用の半導体モジュール21、リアクトル5及びフィルタコンデンサ71により構成されている。フィルタコンデンサ71は、昇圧前の電圧を平滑化するためのものである。
【0044】
インバータ回路82は、一方の回転電機891を制御する第1ブリッジ回路821と、他方の回転電機892を制御する第2ブリッジ回路822とを備えている。第1ブリッジ回路821及び第2ブリッジ回路822は、それぞれインバータ用の複数の半導体モジュール21により構成されている。また、第1ブリッジ回路821と第2ブリッジ回路822との間には、平滑コンデンサ72が設けられている。平滑コンデンサ72は、昇圧後の電圧を平滑化するためのものである。
【0045】
昇圧回路81及びインバータ回路82(第1ブリッジ回路821及び第2ブリッジ回路822)を構成する各半導体モジュール21は、2つの半導体素子211、212を備えている。具体的には、一方の半導体素子211は、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等からなるスイッチング素子である。また、他方の半導体素子212は、スイッチング素子に逆並列接続されたFWD(フリーホイールダイオード)等のダイオードである。
【0046】
次に、本例の電力変換装置1において、リアクトル5に接続された部品を交換する作業について説明する。
本例では、リアクトル5に接続された半導体モジュール21やコンデンサ部7に故障が発生した場合を想定して説明する。
【0047】
まず、図6に示すごとく、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62との接続を切断する。具体的には、バスバ61、62の第1接続位置611、621を含む先端から段差部613、623までを切断除去する。このとき、バスバ61、62の第1接続位置611、621に接続されていた外部端子52a、52bの先端部分もバスバ61、62と共に切断除去する。
【0048】
次いで、切断したバスバ61、62に接続されている故障した積層構造体2の半導体モジュール21やコンデンサ部7を交換する。交換する際には、半導体モジュール21やコンデンサ部7を上述した接続用バスバごと交換する。
また、リアクトル5のケース53と筐体4との4つの固定位置E1〜E4における締結固定を解除する。そして、リアクトル5をケース53ごと回転中心軸Rを中心として180°回転移動させる。その後、リアクトル5のケース53と筐体4とを4つの固定位置E1〜E4において再び締結固定する(図7)。
【0049】
次いで、図7、図8に示すごとく、積層構造体2及びコンデンサ部7を元の位置に配置する。これにより、積層構造体2及びコンデンサ部7に接続されたバスバ61、62も元の位置に配置される。このとき、リアクトル5の外部端子52a、52bの位置は、バスバ61、62の第1接続位置611、621から第2接続位置612、622に移動している。具体的には、一方の外部端子52aの位置は、一方のバスバ61の第1接続位置611から他方のバスバ62の第2接続位置622に移動している。また、他方の外部端子52bの位置は、他方のバスバ62の第1接続位置621から一方のバスバ61の第2接続位置612に移動している。
【0050】
次いで、同図に示すごとく、一方の外部端子52aを他方のバスバ62の第2接続位置622に溶接によって接続する。また、他方の外部端子52bを一方のバスバ61の第2接続位置612に溶接によって接続する。
以上により、リアクトル5の一対の外部端子52a、52bと一対のバスバ61、62とを再接続する。
【0051】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について説明する。
本例の電力変換装置1において、リアクトル5の一対の外部端子52a、52bは、それぞれ一対のバスバ61、62の第1接続位置611、621において接続されていると共に、バスバ61、62を介してリアクトル5以外の部品と電気的に接続されている。そして、リアクトル5は、回転中心軸Rを中心として回転移動させることにより、一対の外部端子52a、52bを一対のバスバ61、62における第1接続位置611、621から第1接続位置611、621とは異なる第2接続位置621、622に移動させることができるよう構成されている。
【0052】
そのため、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62との接続を切断しても、リアクトル5を回転中心軸Rを中心として回転移動させ、外部端子52a、52bの位置をバスバ61、62における第1接続位置611、621から第2接続位置612、622に移動させることにより、その外部端子52a、52bをバスバ61、62の第2接続位置612、622に接続することができる。すなわち、リアクトル5全体の配設位置を大きく変更することなく、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを容易に再接続することができる。
【0053】
これにより、リアクトル5に接続された部品(例えば、半導体モジュール21、コンデンサ部7等)に故障が生じた場合、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62との接続を一旦切断し、故障した部品を交換した後、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを再接続することができる。よって、リアクトル5に接続された部品を容易に交換することができる。また、従来のように、電力変換装置1全体を交換する必要がなくなるため、故障時における部品交換費用の低減を図ることができる。
【0054】
また、本例では、バスバ61、62における第1接続位置611、621は、第2接続位置612、622よりもバスバ61、62の先端側にある。そのため、第1接続位置611、621を含むバスバ61、62の先端部分を切断除去した後、リアクトル5を回転中心軸Rを中心として回転移動させ、リアクトル5の外部端子52a、52bをバスバ61、62の第2接続位置612、622に接続することができる。これにより、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを再接続する作業を容易に行うことができる。
【0055】
また、バスバ61、62は、外部端子52a、52bの突出方向(高さ方向Z)に直交する方向に形成されており、バスバ61、62における第1接続位置611、621と第2接続位置612、622との間には、外部端子52a、52bの突出方向(高さ方向Z)に段差を有する段差部613、623が設けられており、第1接続位置611、621は、第2接続位置612、622よりもリアクトル5の本体部51から遠い位置にある。そのため、第1接続位置611、621を含むバスバ5の先端部分、すなわちバスバ61、62の先端から段差部613、623までの部分を容易に切断除去することができる。これにより、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを再接続する作業をさらに容易に行うことができる。
【0056】
また、リアクトル5は、さらに、本体部51を収容するケース53を有し、ケース53の外形形状は、リアクトル5の回転中心軸Rに対して回転対称性(本例では180°回転対称性)を有する形状である。そのため、リアクトル5全体の配設位置を変更することなく、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを容易に再接続することができる。
【0057】
また、ケース53は、ケース53の固定対象(筐体4)に対して複数の固定位置E1〜E4で固定されており、複数の固定位置E1〜E4は、リアクトル5の回転中心軸Rに対して回転対称性(本例では180°回転対称性)を有する位置にある。そのため、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを再接続することができると共に、リアクトル5のケース53とそのケース53の固定対象(筐体4)とを同じ複数の固定位置E1〜E4において再固定することができる。
【0058】
また、電力変換装置1には、半導体素子211、212を内蔵した半導体モジュール21と半導体モジュール21を冷却する冷媒を流通させる冷却管(冷媒流路)22とを積層してなる積層構造体2が配設されており、リアクトル5は、積層構造体2の積層方向Xの一端側に配設されており、一対の外部端子52a、52bの一方(外部端子52a)は、バスバ61、62を介して半導体モジュール21に接続されている。そのため、リアクトル5に接続された部品である半導体モジュール21を容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる。
【0059】
このように、本例によれば、リアクトル5に接続された部品を容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる電力変換装置1を提供することができる。
【0060】
(実施例2)
本例は、図9〜図11に示すごとく、リアクトル5の構成を変更した例である。
本例では、図9に示すごとく、リアクトル5において、ケース53の底部531には、その底部531から外側に突出してなる4つの締結部533が設けられている。締結部533は、四方に向かって突出している。また、各締結部533には、締結孔534a〜534dが形成されている。また、筐体4には、ケース53の4つの締結孔533と同じ位置に、ケース53を固定するための4つの固定孔(図示略)が形成されている。
また、ケース53の外形形状は、リアクトルの回転中心軸Rに対して回転対称性(本例では90°回転対称性)を有する形状である。
【0061】
また、同図に示すごとく、ケース53は、同じ位置にあるケース53の締結孔533と筐体4の固定孔(図示略)とにボルト(図示略)を挿入して締結することにより、4つの固定位置E1〜E4において、筐体4に固定されている。なお、4つの固定位置E1〜E4は、リアクトル5の中心軸Rに対して回転対称性(本例では90°回転対称性)を有する位置にある。
【0062】
また、同図に示すごとく、一方の外部端子52aは、バスバ61を介して、積層構造体2の半導体モジュール21のパワー端子213に接続されている(図1参照)。他方の外部端子52bは、バスバ62を介して、フィルタコンデンサ71に接続されている(図1参照)。
また、バスバ61は、積層構造体2側からリアクトル5に向けて積層方向Xに形成され、さらに先端部分が幅方向Yに折れ曲がっている。また、バスバ62は、バスバ61とは反対側からリアクトル5に向けて積層方向Xに形成されている。
【0063】
また、図10、図11に示すごとく、一対の外部端子52a、52bは、それぞれバスバ61、62の一端にある第1接続位置611、621において接続されている。
また、リアクトル5は、回転中心軸Rを中心として回転移動させることにより、一対の外部端子52a、52bを一対のバスバ61、62における第1接続位置611、621から第1接続位置611、621とは異なる第2接続位置612、622に移動させることができるよう構成されている。
【0064】
本例では、リアクトル5を回転中心軸Rを中心として90°回転移動させることにより、一方の外部端子52aの位置を一方のバスバ61の第1接続位置611から他方のバスバ62の第2接続位置622に移動させることができると共に、他方の外部端子52bの位置を他方のバスバ62の第1接続位置621から一方のバスバ61の第2接続位置612に移動させることができる。
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0065】
次に、本例の電力変換装置1において、リアクトル5に接続された部品を交換する作業について説明する。
本例でも、リアクトル5に接続された半導体モジュール21やコンデンサ部7に故障が発生した場合を想定して説明する。
【0066】
まず、図12、図13に示すごとく、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62との接続を切断する。具体的には、バスバ61の第1接続位置611を含む先端から段差部613までを切断除去する。また、バスバ62の第1接続位置621を含む先端から段差部623周辺までを切断除去する。このとき、バスバ61、62の第1接続位置611、621に接続されていた外部端子52a、52bの先端部分もバスバ61、62と共に切断除去する。
【0067】
次いで、切断したバスバ61、62に接続されている故障した積層構造体2の半導体モジュール21やコンデンサ部7を交換する。
また、リアクトル5のケース53と筐体4との4つの固定位置E1〜E4における締結固定を解除する。そして、リアクトル5をケース53ごと回転中心軸Rを中心として90°回転移動させる。その後、リアクトル5のケース53と筐体4とを4つの固定位置E1〜E4において再び締結固定する(図14)。
【0068】
次いで、図14〜図16に示すごとく、積層構造体2及びコンデンサ部7を元の位置に配置する。これにより、積層構造体2及びコンデンサ部7に接続されたバスバ61、62も元の位置に配置される。このとき、リアクトル5の外部端子52a、52bの位置は、バスバ61、62の第1接続位置611、621から第2接続位置612、622に移動している。具体的には、一方の外部端子52aの位置は、一方のバスバ61の第1接続位置611から他方のバスバ62の第2接続位置622に移動している。また、他方の外部端子52bの位置は、他方のバスバ62の第1接続位置621から一方のバスバ61の第2接続位置612に移動している。
【0069】
次いで、同図に示すごとく、一方の外部端子52aを他方のバスバ62の第2接続位置622に溶接によって接続する。また、他方の外部端子52bを一方のバスバ61の第2接続位置612に溶接によって接続する。
以上により、リアクトル5の一対の外部端子52a、52bと一対のバスバ61、62とを再接続する。
【0070】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について説明する。
本例の電力変換装置1においても、実施例1と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0071】
1 電力変換装置
5 リアクトル
51 本体部
52a、52b 外部端子
61、62 バスバ
611、621 第1接続位置
612、622 第2接続位置
R 回転中心軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換回路の一部を構成するリアクトルを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、ハイブリッド自動車等に搭載されるインバータ等の電力変換装置としては、例えば、電力変換回路の一部を構成するリアクトルを備えたものがある(特許文献1参照)。
リアクトルは、通電により磁束を発生するコイルと磁束の磁路を構成するコアとからなる本体部と、その本体部から突出してなる一対の外部端子とを有する。各外部端子は、バスバに対して溶接等によって接続されていると共に、バスバを介して半導体モジュールやコンデンサ等に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−115060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電力変換装置には、以下のような問題があった。
すなわち、例えば、リアクトルに接続された半導体モジュール、コンデンサ等の部品に故障が生じた場合、その故障した部品だけを取り出して交換することが望ましい。ところが、半導体モジュール、コンデンサ等の部品を取り出そうとすると、例えば、これらの部品とリアクトルとを接続するバスバを切断する必要がある。そのため、故障した部品を交換したとしても、リアクトルの外部端子と切断されたバスバとを接続することは困難であった。すなわち、リアクトルの外部端子とバスバとを再接続することは困難であった。
【0005】
また、リアクトルの外部端子とバスバとの再接続を可能にしようとすると、例えば、接続方式をコネクタ化したり、余分な接続箇所を設けたりする必要がある。また、リアクトルの外部端子の位置を変更できるように、リアクトルの移動スペースを確保したり、その移動させたリアクトルを固定できる構造にしたりする必要がある。そのため、製品の大型化を招き、コストが増大するおそれがあった。
したがって、従来は、リアクトルに接続された半導体モジュール、コンデンサ等の一部の部品に故障があった場合でも、電力変換装置全体を交換しなければならず、故障時の部品交換費用が高くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、リアクトルに接続された部品を容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様は、電力変換回路の一部を構成するリアクトルを備えた電力変換装置であって、
上記リアクトルは、本体部と、該本体部から突出させた一対の外部端子とを有し、
該各外部端子は、それぞれバスバの一端にある第1接続位置に接続されていると共に、上記バスバを介して上記リアクトル以外の部品と電気的に接続されており、
上記リアクトルを上記外部端子の突出方向における回転中心軸を中心として回転移動させることにより、上記一対の外部端子を上記一対のバスバにおける上記第1接続位置から該第1接続位置とは異なる第2接続位置に移動させることができるよう構成されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
上記電力変換装置において、リアクトルの一対の外部端子は、それぞれ一対のバスバの第1接続位置において接続されていると共に、バスバを介してリアクトル以外の部品と電気的に接続されている。そして、リアクトルは、上記回転中心軸を中心として回転移動させることにより、一対の外部端子を一対のバスバにおける第1接続位置から該第1接続位置とは異なる第2接続位置に移動させることができるよう構成されている。
【0009】
そのため、リアクトルの外部端子とバスバとの接続を切断しても、リアクトルを上記回転中心軸を中心として回転移動させ、外部端子の位置をバスバにおける第1接続位置から第2接続位置に移動させることにより、その外部端子をバスバの第2接続位置に接続することができる。すなわち、リアクトル全体の配設位置を大きく変更することなく、リアクトルの外部端子とバスバとを容易に再接続することができる。
【0010】
これにより、リアクトルに接続された部品(例えば、半導体モジュール、コンデンサ等)に故障が生じた場合、リアクトルの外部端子とバスバとの接続を一旦切断し、故障した部品を交換した後、リアクトルの外部端子とバスバとを再接続することができる。よって、リアクトルに接続された部品を容易に交換することができる。また、従来のように、電力変換装置全体を交換する必要がなくなるため、故障時における部品交換費用の低減を図ることができる。
【0011】
このように、リアクトルに接続された部品を容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における、電力変換装置の構成を示す説明図。
【図2】実施例1における、電力変換装置の筐体を示す説明図。
【図3】実施例1における、リアクトルの構成を示す説明図。
【図4】実施例1における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【図5】実施例1における、電力変換回路を示す説明図。
【図6】実施例1における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【図7】実施例1における、リアクトルの構成を示す説明図。
【図8】実施例1における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【図9】実施例2における、リアクトルの構成を示す説明図。
【図10】実施例2における、リアクトルを積層方向から見た説明図。
【図11】実施例2における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【図12】実施例2における、リアクトルを積層方向から見た説明図。
【図13】実施例2における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【図14】実施例2における、リアクトルの構成を示す説明図。
【図15】実施例2における、リアクトルを積層方向から見た説明図。
【図16】実施例2における、リアクトルを幅方向から見た説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記電力変換装置において、上記リアクトルの上記本体部は、例えば、通電により磁束を発生するコイルと磁束の磁路を構成するコアとにより構成することができる。
また、上記コアは、例えば、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂により構成することができる。この場合、上記コアの内部に上記コイルを埋設し、該コイルから取り出した上記一対の外部端子を上記コアから突出させた構成とすることができる。
【0014】
また、上記リアクトルの上記外部端子を上記バスバに接続する方法としては、例えば、溶接、はんだ付け等の方法がある。
また、上記リアクトルの上記外部端子は、上記バスバを介して、上記リアクトル以外の部品、例えば半導体素子を内蔵した半導体モジュールやコンデンサ等の部品と電気的に接続された構成とすることができる。
【0015】
また、上記リアクトルは、上記回転中心軸を中心として回転移動させることにより、上記一対の外部端子を上記一対のバスバにおける上記第1接続位置から上記第2接続位置に移動させることができるよう構成されている。
このとき、外部端子は、接続されていたバスバの第1接続位置から同じバスバの第2接続位置に移動させることができるよう構成してもよいし、もう一方のバスバの第2接続位置に移動させることができるよう構成してもよい。
【0016】
また、上記リアクトルの上記回転中心軸は、リアクトルの回転前後でそのリアクトルの配設位置がなるべく変更されることのないように任意で設定することができる。すなわち、リアクトル全体の配設位置を大きく変更することなく、リアクトルの外部端子とバスバとを容易に再接続するという上述の効果を十分に発揮することができるように設定することができる。
【0017】
また、上記バスバにおける上記第1接続位置は、上記第2接続位置よりも上記バスバの先端側にある構成とすることができる(請求項2)。
この場合には、第1接続位置を含むバスバの先端部分を切断除去した後、リアクトルを上記回転中心軸を中心として回転移動させ、リアクトルの外部端子をバスバの第2接続位置に接続することができる。これにより、リアクトルの外部端子とバスバとを再接続する作業を容易に行うことができる。
【0018】
また、上記バスバは、上記突出方向に略直交する方向に形成されており、上記バスバにおける上記第1接続位置と上記第2接続位置との間には、上記突出方向に段差を有する段差部が設けられており、上記第1接続位置は、上記第2接続位置よりも上記リアクトルの上記本体部から遠い位置にある構成とすることができる(請求項3)。
この場合には、第1接続位置を含むバスバの先端部分、すなわちバスバの先端から段差部までの部分を容易に切断除去することができる。これにより、リアクトルの外部端子とバスバとを再接続する作業をさらに容易に行うことができる。
【0019】
また、上記リアクトルは、さらに、上記本体部を収容するケースを有し、該ケースの外形形状は、上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する形状である構成とすることができる(請求項4)。
この場合には、リアクトル全体の配設位置を変更することなく、リアクトルの外部端子とバスバとを容易に再接続することができる。
【0020】
ここで、上記ケースの外形形状が上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する形状であるとは、リアクトルを上記回転中心軸を中心として所定の角度で回転させた場合に、ケースの外形形状が回転前後で同じ形状であることをいう。
ただし、リアクトルの一対の外部端子を一対のバスバにおける第1接続位置から第2接続位置に移動させる回転角度と、ケースが回転前後で同じ形状となる回転角度とが一致していることが必要となる。
【0021】
また、上記ケースは、該ケースの固定対象に対して複数の固定位置で固定されており、該複数の固定位置は、上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する位置にある構成とすることができる(請求項5)。
この場合には、リアクトルの外部端子とバスバとを再接続することができると共に、リアクトルのケースとそのケースの固定対象とを同じ複数の固定位置において再固定することができる。
【0022】
ここで、上記複数の固定位置が上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する位置にあるとは、リアクトルを上記回転中心軸を中心として所定の角度で回転させた場合に、複数の固定位置が回転前後で同じ位置になることをいう。
ただし、リアクトルの一対の外部端子を一対のバスバにおける第1接続位置から第2接続位置に移動させる回転角度と、複数の固定位置が回転前後で同じ位置となる回転角度とが一致していることが必要となる。
【0023】
また、上記電力変換装置には、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却する冷媒を流通させる冷媒流路とを積層してなる積層構造体が配設されており、上記リアクトルは、上記積層構造体の積層方向の一端側に配設されており、上記一対の外部端子の一方は、上記バスバを介して上記半導体モジュールに接続されている構成とすることができる(請求項6)。
この場合には、リアクトルに接続された部品である半導体モジュールを容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる。
【実施例】
【0024】
(実施例1)
電力変換装置にかかる実施例について、図を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図1〜図4に示すごとく、電力変換回路の一部を構成するリアクトル5を備えている。リアクトル5は、本体部51と、本体部51から突出させた一対の外部端子52a、52bとを有する。各外部端子52a、52bは、それぞれバスバ61、62の一端にある第1接続位置611、621において接続されていると共に、バスバ61、62を介してリアクトル5以外の部品と電気的に接続されている。
【0025】
図3、図4に示すごとく、リアクトル5を外部端子52a、52bの突出方向における回転中心軸Rを中心として回転移動させることにより、一対の外部端子52a、52bを一対のバスバ61、62における第1接続位置611、621から第1接続位置611、621とは異なる第2接続位置612、622に移動させることができるよう構成されている。
以下、これを詳説する。
【0026】
図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、電気自動車、ハイブリッド自動車等に搭載されるインバータである。
電力変換装置1は、電力変換回路を構成する積層構造体2、リアクトル5、コンデンサ部7等を備えている。また、電力変換装置1は、これらの部品を収容し、固定する筐体4を備えている。なお、図1では、筐体4の一部について図示している。
【0027】
同図に示すごとく、積層構造体2は、半導体素子を内蔵した複数の半導体モジュール21と、半導体モジュール21を冷却する冷媒を流通させる複数の冷却管(冷媒流路)22とを積層して構成されている。
各半導体モジュール21は、積層方向Xの両側から冷却管22によって挟持されている。また、半導体モジュール21は、後述するように、スイッチング素子及びダイオードの2つの半導体素子を内蔵している。また、各半導体モジュール21は、高さ方向Z(図4)の一方側に複数のパワー端子213を突出させており、他方側に複数の制御端子(図示略)を突出させている。制御端子は、制御回路基板(図示略)に接続されている。
【0028】
複数の冷却管22は、その長手方向(幅方向Y)の両端部において、隣り合う冷却管22同士が変形可能な連結管23によって連結されている。また、後述する加圧部材3に隣接して配設された冷却管22の両端部には、外部から冷媒を導入する冷媒導入管24と、外部に冷媒を排出する冷媒排出管25とが連結されている。冷媒導入管24及び冷媒排出管25は、筐体4に形成された保持部41(図2)において保持されている。
【0029】
冷媒導入管24から導入された冷媒は、冷媒導入管24側の連結管23を適宜通り、各冷却管22に分配されると共にその長手方向(幅方向Y)に流通する。そして、冷媒は、各冷却管22を流れる間に、半導体モジュール21との間で熱交換を行う。熱交換により温度上昇した冷媒は、冷媒排出管25側の連結管23を適宜通り、冷媒排出管25から排出される。
【0030】
なお、冷却管22等に流通させる冷媒としては、例えば、水やアンモニア等の自然冷媒、エチレングリコール系の不凍液を混入した水、フロリナート等のフッ化炭素系冷媒、HCFC123、HFC134a等のフロン系冷媒、メタノール、アルコール等のアルコール系冷媒、アセトン等のケトン系冷媒等の冷媒を用いることができる。
【0031】
また、同図に示すごとく、積層構造体2の積層方向Xの一端側には、後述するリアクトル5が配設されている。また、積層構造体2の積層方向Xの他端側には、積層構造体2を積層方向Xに加圧する加圧部材3が配設されている。
加圧部材3は、コイルばねからなる弾性部材31と、弾性部材31の積層方向Xの両側に配設された一対の当接部材32、33とを有する。一方の当接部材32は、積層構造体2に当接しており、他方の当接部材33は、筐体4に当接している。
【0032】
弾性部材31は、積層構造体2及び筐体4に当接している一対の当接部材32、33の間において、積層方向Xに弾性変形した状態で挟持されている。また、弾性部材31は、一方の当接部材32を介して積層構造体2を積層方向Xに加圧している。これにより、積層構造体2は、弾性部材31によって積層方向Xに加圧(圧縮)された状態で、筐体4内に保持されている。
【0033】
また、図1、図2に示すごとく、筐体4には、コンデンサ部7を収容するコンデンサ収容部42が設けられている。コンデンサ収容部42には、フィルタコンデンサ71と複数の平滑コンデンサ72とからなるコンデンサ部7が収容されている。各平滑コンデンサ72は、正極側バスバ及び負極側バスバ(図示略)を介して、積層構造体2の半導体モジュール21のパワー端子213に接続されている。
【0034】
図3、図4に示すごとく、リアクトル5は、本体部51と、一対の外部端子52a、52bと、本体部51を収容するケース53とを有する。
本体部51は、通電により磁束を発生するコイル511と、コイル511への通電によって発生した磁束の磁路を構成するコア512とからなる。コア512は、絶縁樹脂に磁性粉末を混合した磁性粉末混合樹脂からなる。コア512の内部には、コイル511が埋設されている。
【0035】
一対の外部端子52a、52bは、コイル511から導体線(銅線)を取り出して形成されており、コア512の内部から高さ方向Zに突出させている。
ケース53は、底部531と、底部531から高さ方向Zに立設してなる円筒状の側壁部532とを有し、高さ方向Zの一方側(一対の外部端子52a、52bが突出している側)が開口した箱型形状となっている。ケース53内には、本体部51(コイル511、コア512)が収容されている。また、ケース53は、アルミニウム又はその合金からなる。
【0036】
ケース53の底部531には、その底部531から外側に突出してなる4つの締結部533が設けられている。各締結部533には、締結孔534a〜534dが形成されている。また、筐体4には、ケース53の4つの締結孔534a〜534dと同じ位置に、ケース53を固定するための4つの固定孔43(図2)が形成されている。
また、ケース53の外形形状は、リアクトル5の回転中心軸Rに対して回転対称性(本例では180°回転対称性)を有する形状である。
【0037】
また、ケース53は、同じ位置にあるケース53の締結孔534a〜534dと筐体4の固定孔43とにボルト(図示略)を挿入して締結することにより、4つの固定位置E1〜E4において、筐体4に固定されている。なお、4つの固定位置E1〜E4は、リアクトル5の回転中心軸Rに対して回転対称性(本例では180°回転対称性)を有する位置にある。
なお、本例では、リアクトル5の回転中心軸Rは、本体部51のコイル511の巻回軸と一致するが、両者は必ずしも一致している必要はない。
【0038】
また、図1に示すごとく、一対の外部端子52a、52bは、バスバ61、62を介して、リアクトル5以外の部品と電気的に接続されている。
本例において、一方の外部端子52aは、バスバ61を介して、積層構造体2の半導体モジュール21のパワー端子213に接続されている。なお、バスバ61は、別の接続用バスバ(図示略)に対してボルト締結やコネクタ接続等により接続されており、さらにその接続用バスバは、半導体モジュール21のパワー端子213に対して溶接等により接続されている。図1では、バスバ61が接続用バスバを介して半導体モジュール21のパワー端子213に接続されている部分の図示を省略している。
【0039】
また、他方の外部端子52bは、バスバ62を介して、筐体4のコンデンサ収容部42に収容されているコンデンサ部7のフィルタコンデンサ71に接続されている。なお、バスバ62は、別の接続用バスバ(図示略)に対してボルト締結やコネクタ接続等により接続されており、さらにその接続用バスバは、コンデンサ部7のフィルタコンデンサ71に対して溶接等により接続されている。図1では、バスバ62が接続用バスバを介してコンデンサ部7のフィルタコンデンサ71に接続されている部分の図示を省略している。
【0040】
また、図3、図4に示すごとく、一対の外部端子52a、52bは、それぞれバスバ61、62の一端にある第1接続位置611、621において接続されている。本例において、外部端子52a、52bは、溶接によってバスバ61、62に接続されている。
また、リアクトル5は、回転中心軸Rを中心として回転移動させることにより、一対の外部端子52a、52bを一対のバスバ61、62における第1接続位置611、621から第1接続位置611、621とは異なる第2接続位置612、622に移動させることができるよう構成されている。
【0041】
本例では、リアクトル5を回転中心軸Rを中心として180°回転移動させることにより、一方の外部端子52aの位置を一方のバスバ61の第1接続位置611から他方のバスバ62の第2接続位置622に移動させることができると共に、他方の外部端子52bの位置を他方のバスバ62の第1接続位置621から一方のバスバ61の第2接続位置612に移動させることができる。
【0042】
また、同図に示すごとく、バスバ61、62における第1接続位置611、621は、第2接続位置612、622よりもバスバ61、62の先端側にある。
また、バスバ61、62は、突出方向(高さ方向Z)に直交する方向に形成されており、バスバ61、62における第1接続位置611、621と第2接続位置612、622との間には、突出方向(高さ方向Z)に段差を有する段差部613、623が設けられている。また、バスバ61、62における第1接続位置611、621は、第2接続位置612、622よりもリアクトル5の本体部51から遠い位置にある。
【0043】
また、図5に示すごとく、電力変換装置1における電力変換回路8は、直流電源80の直流電圧を昇圧する昇圧回路81と、昇圧後の直流電圧を交流電圧に変換すると共に回転電機891、892を制御するインバータ回路82とを備えている。
昇圧回路81は、昇圧用の半導体モジュール21、リアクトル5及びフィルタコンデンサ71により構成されている。フィルタコンデンサ71は、昇圧前の電圧を平滑化するためのものである。
【0044】
インバータ回路82は、一方の回転電機891を制御する第1ブリッジ回路821と、他方の回転電機892を制御する第2ブリッジ回路822とを備えている。第1ブリッジ回路821及び第2ブリッジ回路822は、それぞれインバータ用の複数の半導体モジュール21により構成されている。また、第1ブリッジ回路821と第2ブリッジ回路822との間には、平滑コンデンサ72が設けられている。平滑コンデンサ72は、昇圧後の電圧を平滑化するためのものである。
【0045】
昇圧回路81及びインバータ回路82(第1ブリッジ回路821及び第2ブリッジ回路822)を構成する各半導体モジュール21は、2つの半導体素子211、212を備えている。具体的には、一方の半導体素子211は、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等からなるスイッチング素子である。また、他方の半導体素子212は、スイッチング素子に逆並列接続されたFWD(フリーホイールダイオード)等のダイオードである。
【0046】
次に、本例の電力変換装置1において、リアクトル5に接続された部品を交換する作業について説明する。
本例では、リアクトル5に接続された半導体モジュール21やコンデンサ部7に故障が発生した場合を想定して説明する。
【0047】
まず、図6に示すごとく、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62との接続を切断する。具体的には、バスバ61、62の第1接続位置611、621を含む先端から段差部613、623までを切断除去する。このとき、バスバ61、62の第1接続位置611、621に接続されていた外部端子52a、52bの先端部分もバスバ61、62と共に切断除去する。
【0048】
次いで、切断したバスバ61、62に接続されている故障した積層構造体2の半導体モジュール21やコンデンサ部7を交換する。交換する際には、半導体モジュール21やコンデンサ部7を上述した接続用バスバごと交換する。
また、リアクトル5のケース53と筐体4との4つの固定位置E1〜E4における締結固定を解除する。そして、リアクトル5をケース53ごと回転中心軸Rを中心として180°回転移動させる。その後、リアクトル5のケース53と筐体4とを4つの固定位置E1〜E4において再び締結固定する(図7)。
【0049】
次いで、図7、図8に示すごとく、積層構造体2及びコンデンサ部7を元の位置に配置する。これにより、積層構造体2及びコンデンサ部7に接続されたバスバ61、62も元の位置に配置される。このとき、リアクトル5の外部端子52a、52bの位置は、バスバ61、62の第1接続位置611、621から第2接続位置612、622に移動している。具体的には、一方の外部端子52aの位置は、一方のバスバ61の第1接続位置611から他方のバスバ62の第2接続位置622に移動している。また、他方の外部端子52bの位置は、他方のバスバ62の第1接続位置621から一方のバスバ61の第2接続位置612に移動している。
【0050】
次いで、同図に示すごとく、一方の外部端子52aを他方のバスバ62の第2接続位置622に溶接によって接続する。また、他方の外部端子52bを一方のバスバ61の第2接続位置612に溶接によって接続する。
以上により、リアクトル5の一対の外部端子52a、52bと一対のバスバ61、62とを再接続する。
【0051】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について説明する。
本例の電力変換装置1において、リアクトル5の一対の外部端子52a、52bは、それぞれ一対のバスバ61、62の第1接続位置611、621において接続されていると共に、バスバ61、62を介してリアクトル5以外の部品と電気的に接続されている。そして、リアクトル5は、回転中心軸Rを中心として回転移動させることにより、一対の外部端子52a、52bを一対のバスバ61、62における第1接続位置611、621から第1接続位置611、621とは異なる第2接続位置621、622に移動させることができるよう構成されている。
【0052】
そのため、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62との接続を切断しても、リアクトル5を回転中心軸Rを中心として回転移動させ、外部端子52a、52bの位置をバスバ61、62における第1接続位置611、621から第2接続位置612、622に移動させることにより、その外部端子52a、52bをバスバ61、62の第2接続位置612、622に接続することができる。すなわち、リアクトル5全体の配設位置を大きく変更することなく、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを容易に再接続することができる。
【0053】
これにより、リアクトル5に接続された部品(例えば、半導体モジュール21、コンデンサ部7等)に故障が生じた場合、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62との接続を一旦切断し、故障した部品を交換した後、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを再接続することができる。よって、リアクトル5に接続された部品を容易に交換することができる。また、従来のように、電力変換装置1全体を交換する必要がなくなるため、故障時における部品交換費用の低減を図ることができる。
【0054】
また、本例では、バスバ61、62における第1接続位置611、621は、第2接続位置612、622よりもバスバ61、62の先端側にある。そのため、第1接続位置611、621を含むバスバ61、62の先端部分を切断除去した後、リアクトル5を回転中心軸Rを中心として回転移動させ、リアクトル5の外部端子52a、52bをバスバ61、62の第2接続位置612、622に接続することができる。これにより、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを再接続する作業を容易に行うことができる。
【0055】
また、バスバ61、62は、外部端子52a、52bの突出方向(高さ方向Z)に直交する方向に形成されており、バスバ61、62における第1接続位置611、621と第2接続位置612、622との間には、外部端子52a、52bの突出方向(高さ方向Z)に段差を有する段差部613、623が設けられており、第1接続位置611、621は、第2接続位置612、622よりもリアクトル5の本体部51から遠い位置にある。そのため、第1接続位置611、621を含むバスバ5の先端部分、すなわちバスバ61、62の先端から段差部613、623までの部分を容易に切断除去することができる。これにより、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを再接続する作業をさらに容易に行うことができる。
【0056】
また、リアクトル5は、さらに、本体部51を収容するケース53を有し、ケース53の外形形状は、リアクトル5の回転中心軸Rに対して回転対称性(本例では180°回転対称性)を有する形状である。そのため、リアクトル5全体の配設位置を変更することなく、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを容易に再接続することができる。
【0057】
また、ケース53は、ケース53の固定対象(筐体4)に対して複数の固定位置E1〜E4で固定されており、複数の固定位置E1〜E4は、リアクトル5の回転中心軸Rに対して回転対称性(本例では180°回転対称性)を有する位置にある。そのため、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62とを再接続することができると共に、リアクトル5のケース53とそのケース53の固定対象(筐体4)とを同じ複数の固定位置E1〜E4において再固定することができる。
【0058】
また、電力変換装置1には、半導体素子211、212を内蔵した半導体モジュール21と半導体モジュール21を冷却する冷媒を流通させる冷却管(冷媒流路)22とを積層してなる積層構造体2が配設されており、リアクトル5は、積層構造体2の積層方向Xの一端側に配設されており、一対の外部端子52a、52bの一方(外部端子52a)は、バスバ61、62を介して半導体モジュール21に接続されている。そのため、リアクトル5に接続された部品である半導体モジュール21を容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる。
【0059】
このように、本例によれば、リアクトル5に接続された部品を容易に交換することができ、部品交換費用の低減を図ることができる電力変換装置1を提供することができる。
【0060】
(実施例2)
本例は、図9〜図11に示すごとく、リアクトル5の構成を変更した例である。
本例では、図9に示すごとく、リアクトル5において、ケース53の底部531には、その底部531から外側に突出してなる4つの締結部533が設けられている。締結部533は、四方に向かって突出している。また、各締結部533には、締結孔534a〜534dが形成されている。また、筐体4には、ケース53の4つの締結孔533と同じ位置に、ケース53を固定するための4つの固定孔(図示略)が形成されている。
また、ケース53の外形形状は、リアクトルの回転中心軸Rに対して回転対称性(本例では90°回転対称性)を有する形状である。
【0061】
また、同図に示すごとく、ケース53は、同じ位置にあるケース53の締結孔533と筐体4の固定孔(図示略)とにボルト(図示略)を挿入して締結することにより、4つの固定位置E1〜E4において、筐体4に固定されている。なお、4つの固定位置E1〜E4は、リアクトル5の中心軸Rに対して回転対称性(本例では90°回転対称性)を有する位置にある。
【0062】
また、同図に示すごとく、一方の外部端子52aは、バスバ61を介して、積層構造体2の半導体モジュール21のパワー端子213に接続されている(図1参照)。他方の外部端子52bは、バスバ62を介して、フィルタコンデンサ71に接続されている(図1参照)。
また、バスバ61は、積層構造体2側からリアクトル5に向けて積層方向Xに形成され、さらに先端部分が幅方向Yに折れ曲がっている。また、バスバ62は、バスバ61とは反対側からリアクトル5に向けて積層方向Xに形成されている。
【0063】
また、図10、図11に示すごとく、一対の外部端子52a、52bは、それぞれバスバ61、62の一端にある第1接続位置611、621において接続されている。
また、リアクトル5は、回転中心軸Rを中心として回転移動させることにより、一対の外部端子52a、52bを一対のバスバ61、62における第1接続位置611、621から第1接続位置611、621とは異なる第2接続位置612、622に移動させることができるよう構成されている。
【0064】
本例では、リアクトル5を回転中心軸Rを中心として90°回転移動させることにより、一方の外部端子52aの位置を一方のバスバ61の第1接続位置611から他方のバスバ62の第2接続位置622に移動させることができると共に、他方の外部端子52bの位置を他方のバスバ62の第1接続位置621から一方のバスバ61の第2接続位置612に移動させることができる。
その他は、実施例1と同様の構成である。
【0065】
次に、本例の電力変換装置1において、リアクトル5に接続された部品を交換する作業について説明する。
本例でも、リアクトル5に接続された半導体モジュール21やコンデンサ部7に故障が発生した場合を想定して説明する。
【0066】
まず、図12、図13に示すごとく、リアクトル5の外部端子52a、52bとバスバ61、62との接続を切断する。具体的には、バスバ61の第1接続位置611を含む先端から段差部613までを切断除去する。また、バスバ62の第1接続位置621を含む先端から段差部623周辺までを切断除去する。このとき、バスバ61、62の第1接続位置611、621に接続されていた外部端子52a、52bの先端部分もバスバ61、62と共に切断除去する。
【0067】
次いで、切断したバスバ61、62に接続されている故障した積層構造体2の半導体モジュール21やコンデンサ部7を交換する。
また、リアクトル5のケース53と筐体4との4つの固定位置E1〜E4における締結固定を解除する。そして、リアクトル5をケース53ごと回転中心軸Rを中心として90°回転移動させる。その後、リアクトル5のケース53と筐体4とを4つの固定位置E1〜E4において再び締結固定する(図14)。
【0068】
次いで、図14〜図16に示すごとく、積層構造体2及びコンデンサ部7を元の位置に配置する。これにより、積層構造体2及びコンデンサ部7に接続されたバスバ61、62も元の位置に配置される。このとき、リアクトル5の外部端子52a、52bの位置は、バスバ61、62の第1接続位置611、621から第2接続位置612、622に移動している。具体的には、一方の外部端子52aの位置は、一方のバスバ61の第1接続位置611から他方のバスバ62の第2接続位置622に移動している。また、他方の外部端子52bの位置は、他方のバスバ62の第1接続位置621から一方のバスバ61の第2接続位置612に移動している。
【0069】
次いで、同図に示すごとく、一方の外部端子52aを他方のバスバ62の第2接続位置622に溶接によって接続する。また、他方の外部端子52bを一方のバスバ61の第2接続位置612に溶接によって接続する。
以上により、リアクトル5の一対の外部端子52a、52bと一対のバスバ61、62とを再接続する。
【0070】
次に、本例の電力変換装置1における作用効果について説明する。
本例の電力変換装置1においても、実施例1と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0071】
1 電力変換装置
5 リアクトル
51 本体部
52a、52b 外部端子
61、62 バスバ
611、621 第1接続位置
612、622 第2接続位置
R 回転中心軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換回路の一部を構成するリアクトルを備えた電力変換装置であって、
上記リアクトルは、本体部と、該本体部から突出させた一対の外部端子とを有し、
該各外部端子は、それぞれバスバの一端にある第1接続位置に接続されていると共に、上記バスバを介して上記リアクトル以外の部品と電気的に接続されており、
上記リアクトルを上記外部端子の突出方向における回転中心軸を中心として回転移動させることにより、上記一対の外部端子を上記一対のバスバにおける上記第1接続位置から該第1接続位置とは異なる第2接続位置に移動させることができるよう構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記バスバにおける上記第1接続位置は、上記第2接続位置よりも上記バスバの先端側にあることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、上記バスバは、上記突出方向に略直交する方向に形成されており、上記バスバにおける上記第1接続位置と上記第2接続位置との間には、上記突出方向に段差を有する段差部が設けられており、上記第1接続位置は、上記第2接続位置よりも上記リアクトルの上記本体部から離れていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記リアクトルは、さらに、上記本体部を収容するケースを有し、該ケースの外形形状は、上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する形状であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電力変換装置において、上記ケースは、該ケースの固定対象に対して複数の固定位置で固定されており、該複数の固定位置は、上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する位置にあることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置において、該電力変換装置には、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却する冷媒を流通させる冷媒流路とを積層してなる積層構造体が配設されており、上記リアクトルは、上記積層構造体の積層方向の一端側に配設されており、上記一対の外部端子の一方は、上記バスバを介して上記半導体モジュールに接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項1】
電力変換回路の一部を構成するリアクトルを備えた電力変換装置であって、
上記リアクトルは、本体部と、該本体部から突出させた一対の外部端子とを有し、
該各外部端子は、それぞれバスバの一端にある第1接続位置に接続されていると共に、上記バスバを介して上記リアクトル以外の部品と電気的に接続されており、
上記リアクトルを上記外部端子の突出方向における回転中心軸を中心として回転移動させることにより、上記一対の外部端子を上記一対のバスバにおける上記第1接続位置から該第1接続位置とは異なる第2接続位置に移動させることができるよう構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記バスバにおける上記第1接続位置は、上記第2接続位置よりも上記バスバの先端側にあることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、上記バスバは、上記突出方向に略直交する方向に形成されており、上記バスバにおける上記第1接続位置と上記第2接続位置との間には、上記突出方向に段差を有する段差部が設けられており、上記第1接続位置は、上記第2接続位置よりも上記リアクトルの上記本体部から離れていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記リアクトルは、さらに、上記本体部を収容するケースを有し、該ケースの外形形状は、上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する形状であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電力変換装置において、上記ケースは、該ケースの固定対象に対して複数の固定位置で固定されており、該複数の固定位置は、上記リアクトルの上記回転中心軸に対して回転対称性を有する位置にあることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置において、該電力変換装置には、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却する冷媒を流通させる冷媒流路とを積層してなる積層構造体が配設されており、上記リアクトルは、上記積層構造体の積層方向の一端側に配設されており、上記一対の外部端子の一方は、上記バスバを介して上記半導体モジュールに接続されていることを特徴とする電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−110809(P2013−110809A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252410(P2011−252410)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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