説明

電力安定化制御装置、電力安定化プログラム

【課題】大容量の電力貯蔵装置を用いることなく自然エネルギー発電設備の発電電力の変動に起因する影響を抑制することが可能な制御装置を提供する。
【解決手段】自然エネルギーを利用して発電する第1発電装置と、電力系統に電力を供給する第2発電装置と、電力系統に電力を供給するか電力系統からの電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、を備える電力系統における第2発電装置及び電力貯蔵装置を制御する制御装置は、第2発電装置が発電する電力の目標となる目標値を第1発電装置が発電する電力の変動を相殺するようにする目標値出力部と、第2発電装置が発電する電力の値が目標値となるよう第2発電装置を制御する第1制御部と、第2発電装置が発電する電力の値が目標値より高い場合、電力貯蔵装置が電力系統の電力を貯蔵し、第2発電装置が発電する電力の値が目標値より低い場合、電力貯蔵装置が電力系統に電力を供給するように制御する第2制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光や風力等の自然エネルギーを利用した自然エネルギー発電設備の数が増加している。自然エネルギー発電設備が発電する電力は、周辺環境等によって時々刻々と変動するため、自然エネルギー発電設備が電力系統に接続されると、電力系統の周波数や電圧が変動してしまうことがある。
このような自然エネルギー発電設備の発電電力の変動に起因する影響を抑制するために、電力系統に蓄電池やキャパシタ等を含む電力貯蔵装置が接続されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−65820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自然エネルギー発電設備が発電する電力は、周辺環境等によって時々刻々と変動する。したがって、電力貯蔵装置を用いて自然エネルギー発電設備の発電電力の変動に起因する影響を抑制することで、周波数や電圧を調整する電力系統への影響を軽減しようとする場合、一般に容量の大きな電力貯蔵装置を用いなければならないという問題がある。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、大きな容量の電力貯蔵装置を用いることなく自然エネルギー発電設備の発電電力の変動に起因する影響を抑制することが可能な制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一つの側面に係る、自然エネルギーを利用して発電するとともに発電した電力を電力系統に供給する第1発電装置と、前記電力系統に電力を供給する第2発電装置と、前記電力系統に電力を供給するか前記電力系統からの電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、を備える前記電力系統における前記第2発電装置及び前記電力貯蔵装置を制御する制御装置であって、前記第2発電装置が発電する電力の目標となる目標値を前記第1発電装置が発電する電力の増加に応じて低下させて出力し、前記目標値を前記第1発電装置が発電する電力の減少に応じて上昇させて出力する目標値出力部と、前記第2発電装置が発電する電力の値と前記目標値とに基づいて、前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値となるよう前記第2発電装置を制御する第1制御部と、前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値より高い場合、前記電力貯蔵装置が前記電力系統の電力を貯蔵し、前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値より低い場合、前記電力貯蔵装置が前記電力系統に電力を供給するよう前記電力貯蔵装置を制御する第2制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
大きな容量の電力貯蔵装置を用いることなく自然エネルギー発電設備の発電電力の変動に起因する影響を抑制することが可能な制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】構内電力系統10及び電力安定化装置40を説明するための図である。
【図2】変動補償目標値演算部62及び変動補償指令値演算部63の一例を示す図である。
【図3】発電電力目標値演算部64、発電電力差分値演算部65、及び発電電力指令値演算部66の一例を示す図である。
【図4】電力安定化装置の第2の実施形態である電力安定化装置41を説明するための図である。
【図5】蓄電量補正電力指令値演算部80及び電力貯蔵設備有効電力指令値演算部81の一例を示す図である。
【図6】基準発電電力指令値演算部82の一例を示す図である。
【図7】発電電力下限リミッタ112の下限値について説明するための図である。
【図8】発電電力上限リミッタ113の上限値について説明するための図である。
【図9】基準発電電力指令値Poが生成される際の基準発電電力指令値演算部82の主要な信号の波形を示す図である。
【図10】電力安定化装置の第3の実施形態である電力安定化装置42を説明するための図である。
【図11】受電電力一定制御装置55及び受電電力目標値無効化装置56の一例を示す図である。
【図12】電力安定化装置の第4の実施形態である電力安定化装置43を説明するための図である。
【図13】有効電力変動補償装置57の一例を示す図である。
【図14】変動補償目標値演算部161及び変動補償指令値演算部162の一例を示す図である。
【図15】電力安定化装置の第5の実施形態である電力安定化装置44を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0009】
<<構内電力系統10の構成について>>
図1は、電力需要家または電力供給者の構内に設けられた構内電力系統10の構成を示す図である。構内電力系統10は、構外電力系統15(例えば一般の送配電系統)に接続(系統連系)されており、母線20、自然エネルギー発電設備21、内燃力発電設備22、電力貯蔵設備23、及び変圧器25〜27を含んで構成される。なお、変圧器25〜27は、電圧の調整(変圧)や電気絶縁などの必要がなければ省略できる。
【0010】
母線20には、構外電力系統15や各種発電設備等が接続され、構外電力系統15等からの電力が供給される。
【0011】
自然エネルギー発電設備21(第1発電装置)は、例えば太陽光や風力等の自然エネルギーを利用して電力を発電する設備であり、変圧器25を介して発電した電力を母線20に供給する。
【0012】
内燃力発電設備22(第2発電装置)は、例えば油あるいはガスなどを燃料として発電する設備であり、変圧器26を介して発電した電力を母線20に供給する。
【0013】
電力貯蔵設備23(電力貯蔵装置)は、変圧器27を介して母線20からの電力を貯蔵するか、貯蔵された電力を母線20に供給する設備である。また、電力貯蔵設備23は、電力を貯蔵する蓄電池30と、電力変換器31とを含んで構成される。なお、本実施形態では、電力を貯蔵する電力貯蔵装置として蓄電池30を用いることとしたが、例えばキャパシタやフライホイール等であっても良い。
【0014】
電力変換器31(充放電制御装置)は、有効電力指令値Pbcに応じた電力を、蓄電池30から放電または蓄電池30に充電する装置であり、例えば、インバータ装置等を含んで構成される。具体的な一例としては、電力変換器31は、有効電力指令値Pbcが“正”の場合、有効電力指令値Pbcに応じた電力で蓄電池30を放電する。一方、電力変換器31は、有効電力指令値Pbcが“負”の場合、有効電力指令値Pbcに応じた電力で蓄電池30を充電する。
【0015】
また、構内電力系統10には、計測用変圧器VT1,VT2、変流器CT1,CT2、及び電力安定化装置40が設けられている。
【0016】
計測用変圧器VT1は、自然エネルギー発電設備21からの電力を母線20に供給するための電線28の電圧を測定し、変流器CT1は、電線28の電流を測定する。
【0017】
計測用変圧器VT2は、内燃力発電設備22からの電力を母線20に供給するための電線29の電圧を測定し、変流器CT1は、電線29の電流を測定する。
【0018】
電力安定化装置40(制御装置)は、自然エネルギー発電設備21および内燃力発電設備22の夫々の有効電力に基づいて、構内電力系統10と構外電力系統15の連系点における電力を安定させるための装置であり、有効電力変動補償装置50、ガバナ制御装置51、及び調整装置52を含んで構成される。また、有効電力変動補償装置50、ガバナ制御装置51、及び調整装置52は、例えば、それぞれに設けられたメモリ等の記憶装置(不図示)に記憶されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。
【0019】
<<電力安定化装置40(第1の実施形態)の詳細>>
有効電力変動補償装置50には、有効電力検出部60,61、変動補償目標値演算部62、変動補償指令値演算部63、発電電力目標値演算部64、発電電力差分値演算部65、及び発電電力指令値演算部66が実現される。なお、有効電力検出部60、変動補償目標値演算部62、変動補償指令値演算部63、及び発電電力目標値演算部64は、目標値出力部に相当する。
【0020】
有効電力検出部60は、計測用変圧器VT1及び変流器CT1からの計測値に基づいて、自然エネルギー発電設備21の有効電力を検出する。また、有効電力検出部60は、検出した自然エネルギー発電設備21の有効電力を、有効電力計測値Ptとして出力する。
【0021】
有効電力検出部61は、計測用変圧器VT2及び変流器CT2からの計測値に基づいて、内燃力発電設備22の有効電力を検出する。また、有効電力検出部61は、検出した自然内燃力発電設備22の有効電力を、発電電力計測値Pgとして出力する。
【0022】
変動補償目標値演算部62及び変動補償指令値演算部63は、有効電力計測値Ptの変動値に応じた信号を生成する。図2は、変動補償目標値演算部62及び変動補償指令値演算部63の一例を示す図である。
【0023】
変動補償目標値演算部62は、有効電力計測値Ptの変動成分のうち、低周波成分のみを通過させる有効電力変動成分除去フィルタ70(低域通過フィルタ)である。なお、有効電力計測値Ptの変動成分のうち低周波成分は、変動補償目標値Paとして出力される。
【0024】
変動補償指令値演算部63(変動演算部)は、減算部71及びリミッタ72を含んで構成される。減算部71は、変動補償目標値Paから有効電力計測値Ptを減算する。
【0025】
リミッタ72は、減算部71からの出力を、所定の下限値から所定の上限値の間で制限し、変動補償指令値Pdとして出力する。なお、リミッタ72の所定の上限値には補償される電力変動の最大値が設定され、所定の下限値には補償される電力変動の最小値が設定される。
【0026】
図3は、発電電力目標値演算部64、発電電力差分値演算部65、及び発電電力指令値演算部66の一例を示す図である。
【0027】
発電電力目標値演算部64(目標値演算部)は、内燃力発電設備22が発電する電力の目標となる発電電力目標値Pga(目標値)を生成し、加算部73及びリミッタ74を含んで構成される。
【0028】
加算部73は、内燃力発電設備22が発電する電力の基準値となる基準発電電力指令値Poと、変動補償指令値Pdとを加算する。
【0029】
リミッタ74は、加算部73からの出力を、所定の下限値から所定の上限値の間で制限し、発電電力目標値Pgaとして出力する。なお、リミッタ74の所定の上限値には内燃力発電設備22の発電電力の最大値が設定され、所定の下限値には内燃力発電設備22の発電電力の最小値が設定される。
【0030】
発電電力差分値演算部65は、発電電力目標値Pgaと発電電力計測値Pgとの差を計算する減算部75である。そして、減算部75からは、減算結果として発電電力差分値ΔPgが出力される。
【0031】
発電電力指令値演算部66(発電電力指令値生成部)は、内燃力発電設備22の発電電力をフィードバック制御し、発電電力計測値Pgを発電電力目標値Pgaとするためのブロックである。発電電力指令値演算部66は、PI調整部76であり、発電電力差分値ΔPgを増幅しつつ積分し、発電電力計測値Pgを発電電力目標値Pgaとするための発電電力指令値Pgcを出力する。具体的には、PI調整部76は、発電電力差分値ΔPgが“正”の値である場合、発電電力指令値Pgcを増加させて出力し、発電電力差分値ΔPgが“負”の値である場合、発電電力指令値Pgcを減少させて出力する。
【0032】
図1に示すガバナ制御装置51は、発電電力指令値Pgcに基づいて、発電電力計測値Pgが発電電力目標値Pgaとなるよう内燃力発電設備22を制御する。具体的には、ガバナ制御装置51は、発電電力指令値Pgcが発電電力計測値Pgよりも大きい場合、内燃力発電設備22の有効電力が増加するように内燃力発電設備22を制御し、発電電力指令値Pgcが発電電力計測値Pgよりも小さい場合、内燃力発電設備22の有効電力が減少するように内燃力発電設備22を制御する。
【0033】
調整装置52は、例えば、発電電力差分値ΔPgを有効電力指令値Pbcとして出力する。したがって、発電電力計測値Pgが発電電力目標値Pgaより低く、発電電力差分値ΔPg(=Pga−Pg)が“正”の値である場合、有効電力指令値Pbcは“正”となる。この際には、前述のように、電力変換器31は、有効電力指令値Pbcに応じた電力で蓄電池30を放電する。
【0034】
一方、発電電力計測値Pgが発電電力目標値Pgaより高く、発電電力差分値ΔPg(=Pga−Pg)が“負”の値である場合、有効電力指令値Pbcは“負”となる。したがって、この際には、電力変換器31は、有効電力指令値Pbcに応じた電力で蓄電池30を充電する。
【0035】
なお、有効電力検出部61、発電電力差分値演算部65、発電電力指令値演算部66、及びガバナ制御装置51は、第1制御部に相当し、発電電力差分値演算部65及び調整装置52は、第2制御部に相当する。
【0036】
<<構内電力系統10の状態の電力安定化について>>
ここで、自然エネルギー発電設備21の発電量が変化した際の有効電力変動補償装置50、ガバナ制御装置51、及び調整装置52の動作について説明する。
【0037】
なお、ここでは基準発電電力指令値Poとしては、100kW(キロワット)が設定され、内燃力発電設備22の有効電力(発電電力計測値Pg)も100kWであることとする。
【0038】
まず、自然エネルギー発電設備21の有効電力が50kWから60kWに急増すると、有効電力計測値Ptも50kWから60kWに急増する。ただし、前述のように、図2に示す有効電力変動成分除去フィルタ70は低域通過フィルタであるため、有効電力計測値Ptが50kWから60kWに急増した場合であっても、変動補償目標値Paは直ちに変化しない。つまり、有効電力計測値Ptが50kWから60kWに急増した直後は、変動補償目標値Paとしては50kWが出力され続ける。このため、減算部71からは、−10kW(Pa−Pt=50−60)を示す演算結果が出力される。ここでは、リミッタ72には、前述の演算結果(−10kW)が制限されないような下限値が設定されているため、変動補償指令値Pdは−10kWとなる。
【0039】
また、図3の加算部73では、基準発電電力指令値Po(100kW)と変動補償指令値Pd(−10kW)とが加算されるため、加算結果は90kWとなる。ここでは、リミッタ74には、前述の加算結果(90kW)が制限されないような下限値が設定されているため、発電電力目標値Pgaも90kWとなる。減算部75は、発電電力目標値Pga(90kW)と発電電力計測値Pg(100kW)との差を計算するため、発電電力差分値ΔPg(=Pga−Pg)は、−10kWとなる。
【0040】
PI調整部76は、発電電力差分値ΔPgが“負”の値であるため発電電力指令値Pgcを減少させて出力する。そして、減少された発電電力指令値Pgcに基づいて、ガバナ制御装置51は、内燃力発電設備22の有効電力(発電電力計測値Pg)が“100kW”から“90kW”に減少するように内燃力発電設備22を制御する。
【0041】
また、図1の調整装置52は、“負”の値の発電電力差分値ΔPgに基づいて、母線20からの電力が蓄電池31に供給(充電)されるよう電力変換器31を制御する。
【0042】
このように、自然エネルギー発電設備21の有効電力が50kWから60kWに急増した場合には、内燃力発電設備22の発電電力は減少し、母線20からの電力は蓄電池31に充電され、母線20に供給される電力の増加は抑制される。したがって、構内電力系統10と構外電力系統15の連系点における電力が安定化されるため、周波数や電圧を調整する構外電力系統15への影響を軽減できる。
【0043】
なお、ここでは、自然エネルギー発電設備21の有効電力が50kWから60kWに急増した場合を説明したが、例えば、自然エネルギー発電設備21の有効電力が50kWから40kWに急減した場合には、前述とは逆に、内燃力発電設備22の発電電力は増加し、蓄電池31の電力は放電される。この結果、自然エネルギー発電設備21の有効電力が50kWから40kWに急減した場合であっても構内電力系統1と構外電力系統15の連系点における安定化される。
【0044】
<<電力安定化装置41(第2の実施形態)の詳細>>
図4は、構内電力系統10に設けられた電力安定化装置の第2の実施形態を説明するための図である。電力安定化装置41は、有効電力変動補償装置50、ガバナ制御装置51、出力分担調整装置53、及び基準発電電力調整装置54を含んで構成される。図4と、図1では、同じ符号の付されたブロックは同じであるため、ここでは、出力分担調整装置53、及び基準発電電力調整装置54について説明する。
【0045】
出力分担調整装置53は、発電電力差分値ΔPgに基づいて電力変換器31を制御し、蓄電池30を充放電させるとともに、蓄電池30の蓄電量に応じた蓄電量補正電力指令値Pcを出力する。出力分担調整装置53は、蓄電量補正電力指令値演算部80、電力貯蔵設備有効電力指令値演算部81を含んで構成される。
【0046】
図5に示すように、蓄電量補正電力指令値演算部80は、蓄電池30の蓄電量を示す蓄電量検出値Sbと、蓄電量の目標となる蓄電量目標値Sbaとの差に応じた蓄電量補正電力指令値Pcを生成する。蓄電量補正電力指令値演算部80は、差分演算部100、ゲイン調整部101、及び選択部102を含んで構成される。
【0047】
差分演算部100(差分演算部)は、蓄電量検出値Sbと蓄電量目標値Sbaとの差分値を演算する。なお、差分演算部100の差分値は、蓄電量検出値Sbが蓄電量目標値Sbaより高い場合(Sb>Sba)、“正”の値となり、蓄電量検出値Sbが蓄電量目標値Sbaより低い場合(Sb<Sba)、“負”の値となる。
【0048】
ゲイン調整部101は、差分演算部100の差分を所定のゲイン倍するとともに、電力値に変換して出力する。また、ゲイン調整部101は、差分演算部100の差分値が“正”の値の場合、蓄電池30を放電させる“正”の電力値を出力し、差分演算部100の差分値が“負”の値の場合、蓄電池30を充電させる“負”の電力値を出力する。
【0049】
選択部102は、マイコン等(不図示)の指示に基づいて、ゲイン調整部101の出力、または均等充電指令値の何れかを選択し、蓄電量補正電力指令値Pcとして出力する。なお、選択部102は、ゲイン調整部101の出力を選択している。また、蓄電池30が運用上均等充電を要しない場合は、選択部102と均等充電指令値を省略できる。
【0050】
電力貯蔵設備有効電力指令値演算部81(電力指令値出力部)は,発電電力差分値ΔPgに蓄電量補正電力指令値Pcを加算する加算部103であり、加算結果として有効電力指令値Pbcを生成する。なお、ゲイン調整部101、選択部102、及び加算部103は、補正部に相当する。
【0051】
ここで、例えば、蓄電量検出値Sbが“50%”であり、蓄電量目標値Sbaが“55%”であることとする。また、ゲイン調整部101には、“1%”の差分値が“1kW”の電力値となるようなゲインが設定されていることとする。
【0052】
この場合、差分演算部100の差分値は、“−5%”(=50%−55%)となるため、ゲイン調整部101から出力される電力値及び蓄電量補正電力指令値Pcは“−5kW”となる。
【0053】
ここで、例えば、発電電力目標値Pgaが発電電力計測値Pgより高く、発電電力差分値ΔPgが“正”(例えば、20kW)の場合、有効電力指令値Pbcは“15kW”(20kW−5kW)となる。有効電力指令値Pbcが“15kW”に応じた電力は、蓄電量補正電力指令値Pcが発電電力差分値ΔPgに加算されることにより、有効電力指令値Pbcが“20kW”に応じた電力よりも小さくなり、蓄電池30の放電量は抑制される。このように、本実施形態では、蓄電量検出値Sbが蓄電量目標値Sbaより低い場合、蓄電池30が過放電とならないよう、蓄電量補正電力指令値Pcが補正される。
【0054】
一方、蓄電量検出値Sbが蓄電量目標値Sbaより高い場合、前述の場合とは逆に、蓄電池30が過充電とならないよう、蓄電量補正電力指令値Pcが補正される。このように、本実施形態では、蓄電量補正電力指令値Pcが補正されることにより、蓄電量検出値Sbと蓄電量目標値Sbaとの差分が抑制されるため、蓄電池30の過放電、過充電の発生が抑制される。
【0055】
なお、仮に発電電力目標値Pgaと発電電力計測値Pgとが同じであり、発電電力差分値ΔPgがゼロの場合には、有効電力指令値Pbcは蓄電量補正電力指令値Pcとなる。このため、このような場合には、蓄電量検出値Sbが蓄電力目標値Sbaとなるように蓄電池30は充放電される。
【0056】
図6は、基準発電電力調整装置54に実現される基準発電電力指令値演算部82の一例を示す図である。なお、ここで基準発電電力指令値演算部82は、自然エネルギー発電設備21が太陽光発電システムである場合の一例である。
【0057】
基準発電電力指令値演算部82(基準指令値出力部)は、リミッタ110、減算部111,123,130、基準発電電力下限リミッタ112、基準発電電力上限リミッタ113、基準発電電力平滑化フィルタ114、日射量計算部120、天候係数演算部121、太陽光発電システム出力計算方法122、及び加算部124を含んで構成される。なお、基準発電電力下限リミッタ112、基準発電電力上限リミッタ113、基準発電電力平滑化フィルタ114は、出力部に相当する。
【0058】
リミッタ110は、蓄電量補正電力指令値Pcの負の成分である、指令値Pc´を出力する。
減算部111(算出部)は、高効率発電電力設定値Peから蓄電量補正電力指令値Pcの負の成分の指令値Pc´を減算する。そして、減算部111の減算結果(Pe−Pc´)は、基準発電電力下限リミッタ112と、基準発電電力上限リミッタ113とを介して基準発電電力平滑化フィルタ114に出力される。
【0059】
基準発電電力平滑化フィルタ114は、基準発電電力上限リミッタ113からの出力を平滑化し、基準発電電力指令値Poとして出力する。なお、基準発電電力平滑化フィルタ114の時定数は、有効電力変動成分除去フィルタ70の時定数と等価な値が設定されているため、基準発電電力指令値Po(基準発電電力)の時間変化が電力系統に電力の変動として現れない。
【0060】
ここで、基準発電電力指令値演算部82の出力である基準発電電力指令値Poは,変動補償動作が行われない場合における内燃力発電設備22のベース電力成分に対する指令値である。そのため,基準発電電力指令値Poの大きさを極力小さい値とすることで、燃料消費量を抑えた運用が望まれる。しかし、基準発電電力指令値Poは,内燃力発電設備22の発電電力のうち変動補償成分の中心値に相当するため、大きさに過不足があると変動補償の不足が発生してしまう。
【0061】
ここで、基準発電電力指令値Poが小さすぎる場合,有効電力計測値Ptが急増すると,内燃力発電設備22の発電電力が下限にかかり,変動補償が行われない可能性が生じる。具体的には、仮に、基準発電電力指令値Po(内燃力発電設備22の有効電力)が10kWの場合に、自然エネルギー発電設備21の有効電力が10kW以上増加すると、内燃力発電設備22は、10kWしか有効電力を減少することができない。このような変動補償の不足を回避するためには,基準発電電力指令値Poは,内燃力発電設備22の発電電力の最小値にかからない大きさである必要がある。したがって、本実施形態では、このような現象を防ぐために、発電電力下限リミッタ112が設けられている。
【0062】
発電電力下限リミッタ112の設定値について図7を適宜参照しつつ説明する。
有効電力計測値Ptの急増成分は、太陽光発電設備の最大発電電力を計算し、太陽光発電設備の発電電力計測値で減算することで見込むことができる。そこで、基準発電電力指令値演算部82には、有効電力計測値Ptの急増成分を計算するために、日射量計算部120、天候係数演算部121、太陽光発電システム出力計算方法122が設けられている。
【0063】
日射量計算部120は、太陽光発電システムの現在の時刻と、緯度と経度の位置情報から日射強度計算を行なう。
天候係数演算部121は、日射量計算部120で計算された日射強度に現在の時刻の天候係数を乗算し、最大日射量計算値を計算する。
【0064】
太陽光発電システム出力計算方法122は、最大日射量計算値、外気温度計測値、電力変換効率や傾斜角度などを考慮した上で一般的な太陽光発電システム出力計算を行い、理論上の発電電力を算出する。なお、太陽光発電システム出力計算方法122で算出される
理論上の発電電力を太陽光発電最大出力計算値Pmとする。
【0065】
減算部123は、現在の太陽光発電最大出力計算値Pmと有効電力計測値Ptの差分を計算する。なお、図7に示すように、減算部123で得られる差分は、有効電力計測値Ptが急増する可能性のある電力に相当する。したがって、ここでは、太陽光発電最大出力計算値Pmと有効電力計測値Ptの差分(Pm−Pt)を、急増見込み電力Ptpとする。
【0066】
ところで、前述のように、基準発電電力指令値Poは、急増見込み電力Ptpが大きく急増が発生した場合に、内燃力発電設備22が発電可能な電力の最小値LLGにかかると停止してしまう場合がある。そのため、基準発電電力指令値Poは急増見込み電力Ptpに最小値LLGを加算した大きさ以上である必要がある。そこで、本実施形態では、加算部124において、急増見込み電力Ptpと最小値LLGとの和が演算される。なお、加算部124の加算結果を、基準発電電力最小値LLGBとする。そして、加算部124は、基準発電電力最小値LLGBを、基準発電電力下限リミッタ112の下限値に設定する。このため、有効電力計測値Ptが急増した場合であっても、有効電力計測値Ptが急増した成分を確実に内燃力発電設備22が補償できる。
【0067】
また、前述の場合とは逆に、基準発電電力指令値Poが大きすぎる場合,有効電力計測値Ptが急減すると,内燃力発電設備22の発電電力が上限にかかり,変動補償が行われない可能性が生じる。このような変動補償の不足を回避するためには,基準発電電力指令値Poは,内燃力発電設備22の発電電力の上限にかからない値である必要がある。したがって、本実施形態では、このような現象を防ぐために、基準発電電力上限リミッタ113が設けられている。
【0068】
ここで、基準発電電力上限リミッタ113に設定される設定値について図8を参照しつつ説明する。
まず、有効電力計測値Ptは、有効電力計測値Ptが急減する場合の変動補償電力の最大値(Ptm)に相当する。そのため、内燃力発電設備22の発電電力の最大値HLGから有効電力計測値Ptを減算した成分が、変動補償の不足を回避するために必要最低限の基準発電電力指令値Poに相当する。
【0069】
したがって、本実施形態では、減算部130が、最大値HLGから有効電力計測値Ptを減算する。そして、減算部130は、減算結果である基準発電電力最大値HLGBを、基準発電電力上限リミッタ113の上限値に設定する。このため、有効電力計測値Ptが急減した場合(例えば、有効電力計測値Ptがゼロとなる場合)であっても、有効電力計測値Ptが急減した成分を確実に内燃力発電設備22が補償できる。
【0070】
図9は、基準発電電力指令値Poが生成される際の基準発電電力指令値演算部82の主要な信号の波形を示す図である。
前述のように、まず、蓄電量補正電力指令値Pcの負の成分である指令値Pc´が生成され、減算部111ではPe−Pc´が演算される。そして、減算部111の演算結果であるPe−Pc´は、基準発電電力下限リミッタ112のリミッタ値である基準発電電力最小値LLGBで制限される。さらに、基準発電電力下限リミッタ112の出力は、基準発電電力上限リミッタ113の基準発電電力最大値HLGBで制限される。この結果、基準発電電力上限リミッタ113からは、図9の実線に示すような基準発電電力指令値Poが出力されることになる。
【0071】
このように、本実施形態では、蓄電量補正電力指令値Pcが負の値では、蓄電池30を充電する方向の電力指令となり、基準発電電力指令値Poは増加する。このため、内燃力発電設備22の発電電力により蓄電池30は充電される。逆に、蓄電量補正電力指令値Pcが正の値、すなわち蓄電池30を放電する方向の電力指令となっている場合、基準発電電力指令値Poを増加させることは無い。したがって、蓄電量検出値Sbが蓄電量目標値Sbaより低い場合、内燃力発電設備22の発電電力により蓄電池30は確実に充電される。
【0072】
<<電力安定化装置42(第3の実施形態)の詳細>>
図10は、構内電力系統10に設けられた電力安定化装置の第3の実施形態を説明するための図である。電力安定化装置42は、有効電力変動補償装置50、ガバナ制御装置51、出力分担調整装置53、基準発電電力調整装置54、受電電力一定制御装置55、及び受電電力目標値無効化装置56を含んで構成される。図10と、図4では、同じ符号の付されたブロックは同じであるため、ここでは、受電電力一定制御装置55、及び受電電力目標値無効化装置56について説明する。
【0073】
受電電力一定制御装置55は本来、構内電力系統10と構外電力系統15との連系点における受電電力が一定(目標値)となるような指令を、ガバナ制御装置51に出力する装置である。ただし、前述のように本実施形態では、ガバナ制御装置51は、自然エネルギー発電設備21の有効電力に基づいて内燃力発電設備22を制御する必要がある。
そこで、電力安定化装置42では、ガバナ制御装置51が発電電力指令値Pgcに基づいて制御されるよう、受電電力目標値無効化装置56を設けている。
【0074】
図11は、受電電力一定制御装置55、及び受電電力目標値無効化装置56の一例を示す図である。
受電電力目標値無効化装置56は、受電電力目標値相殺指令値加算部140及びリミッタ141を含んで構成される。
【0075】
受電電力目標値相殺指令値加算部140(加算部)は、発電電力指令値Pgcに受電電力目標値相殺指令値Prc´を加算する。
リミッタ141は、受電電力目標値相殺指令値加算部140からの出力を、所定の下限値から所定の上限値の間で制限し、受電電力換算値Pmrとして出力する。なお、リミッタ141の所定の上限値には受電電力一定制御装置55の受電電力最大値に相当する電力値が設定され、所定の下限値には受電電力一定制御装置55の受電電力最小値に相当する電力値が設定される。
【0076】
受電電力一定制御装置55は、受電電力換算値Pmrから、受電電力目標値Prcを減算する減算部142である。なお、減算部142の減算結果を、受電電力差分値ΔPrとする。
【0077】
ここで、本実施形態では、受電電力目標値相殺指令値Prc´を,受電電力目標値Prcと等しい値に設定している。このため、ガバナ制御装置51に入力される受電電力差分値ΔPrは、発電電力指令値Pgcと等しい値となる。したがって、例えば、電力安定化装置42のように、受電電力一定制御装置55が設けられている場合であっても、電力安定化装置42ではガバナ制御装置51を発電電力指令値Pgcに基づいて制御できる。なお、受電電力一定制御装置55及びガバナ制御装置51は、発電装置制御部に相当する。
【0078】
<<電力安定化装置43(第4の実施形態)の詳細>>
図12は、構内電力系統11に設けられた電力安定化装置の第4の実施形態を説明するための図である。なお、構内電力系統11では、例えば図10の構内電力系統10とは異なり、構外電力系統15が自然エネルギー発電設備21側に接続されていることとする。また、電力安定化装置43では、図10の電力安定化装置42の有効電力変動補償装置50の代わりに、有効電力変動補償装置57が設けられている。さらに、構内電力系統11においては、連系点における電圧を測定する計測用変圧器VT3と、連系点における母線20に流れる電流を測定する変流器CT3が設けられている。
【0079】
図13は、有効電力変動補償装置57の一例を示す図である。有効電力変動補償装置57には、有効電力検出部61,160、変動補償目標値演算部161、変動補償指令値演算部162、発電電力目標値演算部64、発電電力差分値演算部65、及び発電電力指令値演算部66が実現される。なお、有効電力検出部160、変動補償目標値演算部161、変動補償指令値演算部162以外のブロックは、有効電力変動補償装置50に実現されるブロックと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0080】
有効電力検出部160は、計測用変圧器VT3及び変流器CT3からの出力に基づいて、連系点の電力(受電電力)を検出する。また、有効電力検出部160は、検出した受電電力を、有効電力計測値Pt´として出力する。
【0081】
変動補償目標値演算部161及び変動補償指令値演算部162は、有効電力計測値Pt´の変動値に応じた信号を生成する。図14は、変動補償目標値演算部161及び変動補償指令値演算部162の一例を示す図である。
【0082】
変動補償目標値演算部161は、有効電力計測値Pt´の変動成分のうち、低周波成分のみを通過させる有効電力変動成分除去フィルタ180である。なお、有効電力計測値Ptの変動成分のうち低周波成分は、変動補償目標値Pa´として出力される。
【0083】
変動補償指令値演算部162(変動演算部)は、減算部181、PD調整部182、及びリミッタ183を含んで構成される。
【0084】
減算部181は、有効電力計測値Pt´から有効電力計測値Pt´を減算する。PD調整部182は、減算部181の減算結果を増幅しつつ微分して出力する。
【0085】
リミッタ183は、PD調整部182からの出力を、所定の下限値から所定の上限値の間で制限し、変動補償指令値Pd´として出力する。なお、リミッタ183の所定の上限値には補償される電力変動の最大値が設定され、所定の下限値には補償される電力変動の最小値が設定される。
【0086】
変動補償指令値演算部162からの変動補償指令値Pd´は、受電電力が急増すると“正”の値となり、受電電力が急減すると“負”の値となる、したがって、変動補償指令値演算部162からの変動補償指令値Pd´も、変動補償指令値演算部63からの変動補償指令値Pdと同様に変化する。
【0087】
したがって、有効電力変動補償装置50の代わりに、有効電力変動補償装置57を用いた場合であっても、連系点の電力変動(受電電力の変動)を、内燃力発電設備22と電力貯蔵設備23により補償することができる。つまり、電力安定化装置43を用いることによって、構内電力系統11の電力の変動を抑制できる。
【0088】
<<電力安定化装置44(第5の実施形態)の詳細>>
図15は、構内電力系統11に設けられた電力安定化装置の第5の実施形態を説明するための図である。図15の電力安定化装置44では、図12の電力安定化装置43に設けられていた受電電力一定制御装置55、及び受電電力目標値無効化装置56が用いられていない。このような場合であっても、電力安定化装置44は、図4に示す電力安定化装置41と同様に動作するため、構内電力系統11と構外電力系統15の連系点における電力を安定化することができる。
【0089】
以上、本実施形態の電力安定化装置40〜44について説明した。構内電力系統10においては、自然エネルギー発電設備21の発電電力が変動した際には、構内電力系統10の電力を内燃力発電設備22と電力貯蔵設備23とが補償する。このため、大きな容量の電力貯蔵設備23を用いることなく構内電力系統10の電力の変動を抑制できる。
【0090】
また、有効電力変動補償装置50では、有効電力計測値Ptの低周波成分を示す変動補償目標値Paと、有効電力計測値Ptとの差が算出されるため、精度よく有効電力計測値Ptの変化を検出することができる。
【0091】
また、構内電力系統11及び構外電力系統15の連系点の電力(受電電力)を検出することにより、自然エネルギー発電設備21の発電電力の変動値を取得しても良い。このような構成とすることで、構内電力系統11に複数の自然エネルギー発電設備がある場合であっても、精度良く構内電力系統11と構外電力系統15の連系点における電力を安定化できる。
【0092】
また、出力分担調整装置53は、蓄電池30の蓄電量を示す蓄電量検出値Sbと、蓄電量の目標となる蓄電量目標値Sbaとに基づいて、有効電力指令値Pbcを補正する。このため、蓄電池30の過放電、過充電が抑制される。
【0093】
また、蓄電池30の蓄電量が少ない場合、基準発電電力指令値Poは高くなる。したがって、内燃力発電設備22の発電量は増加し、蓄電池30は充電される。
【0094】
また、基準発電電力指令値Poは、基準発電電力最小値LLGBより低くなることは無い。したがって、有効電力計測値Ptが急増した場合であっても、有効電力計測値Ptが急増した成分を確実に内燃力発電設備22が補償できる。
【0095】
また、基準発電電力指令値Poは、基準発電電力最大値HLGBより高くなることは無い。このため、有効電力計測値Ptが急減した場合であっても、有効電力計測値Ptが急減した成分を確実に内燃力発電設備22が補償できる。
【0096】
また、受電電力一定制御装置55が設けられている電力安定化装置42には、受電電力目標値Prcを無効化するための受電電力目標値無効化装置56が設けられている。このため、電力安定化装置42を用いた場合であっても、構内電力系統10と構外電力系統15の連系点における電力を安定化することができる。
【0097】
また、例えば、受電電力目標値相殺指令値Prc´と、受電電力目標値Prcとを等しい値にすることで、精度よく受電電力目標値Prcの影響を抑制することができる。
【0098】
なお、上記実施例は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0099】
また、例えば、日射量がない夜間など、太陽光発電による発電電力が得られない時間帯においては、内燃力発電設備22と電力貯蔵設備23の運転を停止することで、運転に伴うエネルギー損失を削減でき、経済的な運用が可能となる。
【0100】
なお、本実施形態では、有効電力検出部60等はプログラムが実行されることにより実現されることとしたが、例えば、有効電力検出部60等をハードウエアで構成しても良い。
【符号の説明】
【0101】
10,11 構内電力系統
15 構外電力系統
20 母線
21 自然エネルギー発電設備
22 内燃力発電設備
23 電力貯蔵設備
25〜27 変圧器
30 蓄電池
31 電力変換器
40〜44 電力安定化装置
50,57 有効電力変動補償装置
51 ガバナ制御装置
52 調整装置
53 出力分担調整装置
54 基準発電電力調整装置
55 受電電力一定制御装置
56 受電電力目標値無効化装置
60,61,160 有効電力検出部
62,161 変動補償目標値演算部
63,162 変動補償指令値演算部
64 発電電力目標値演算部
65 発電電力差分値演算部
66 発電電力指令値演算部
80 蓄電量補正電力指令値演算部
81 電力貯蔵設備有効電力指令値演算部
82 基準発電電力指令値演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用して発電するとともに発電した電力を電力系統に供給する第1発電装置と、前記電力系統に電力を供給する第2発電装置と、前記電力系統に電力を供給するか前記電力系統からの電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、を備える前記電力系統における前記第2発電装置及び前記電力貯蔵装置を制御する制御装置であって、
前記第2発電装置が発電する電力の目標となる目標値を前記第1発電装置が発電する電力の増加に応じて低下させて出力し、前記目標値を前記第1発電装置が発電する電力の減少に応じて上昇させて出力する目標値出力部と、
前記第2発電装置が発電する電力の値と前記目標値とに基づいて、前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値となるよう前記第2発電装置を制御する第1制御部と、
前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値より高い場合、前記電力貯蔵装置が前記電力系統の電力を貯蔵し、前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値より低い場合、前記電力貯蔵装置が前記電力系統に電力を供給するよう前記電力貯蔵装置を制御する第2制御部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記目標値出力部は、
前記第1発電装置が発電する電力を検出する検出部と、
前記検出部で検出された電力の低域成分を通過させる低域通過フィルタと、
前記低域通過フィルタの出力から前記検出部で検出された電力を減算し、前記第1発電装置が発電する電力の変動値を演算する変動値演算部と、
前記第2発電装置が発電する電力の基準値となる基準指令値を出力する基準指令値出力部と、
前記変動値及び前記基準指令値を加算して、前記目標値を出力する目標値演算部と、
を含むことを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記目標値出力部は、
前記電力系統の受電電力を検出する検出部と、
前記検出部で検出された電力の低域成分を通過させる低域通過フィルタと、
前記低域通過フィルタの出力から前記検出部で検出された電力を減算し、前記受電電力の変動値を演算する変動値演算部と、
前記第2発電装置が発電する電力の基準値となる基準指令値を出力する基準指令値出力部と、
前記変動値及び前記基準指令値を加算して、前記目標値を出力する目標値演算部と、
を含むことを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の制御装置であって、
前記電力貯蔵装置は、
蓄電池と、
電力指令値に応じた電力を、前記蓄電池から放電または前記蓄電池に充電する充放電装置を含み、
前記第2制御部は、
前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値より高い場合、前記充放電装置に前記蓄電池を充電させるための前記電力指令値を出力し、前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値より低い場合、前記充放電装置に前記蓄電池を放電させるための前記電力指令値を出力する電力指令値出力部と、
前記蓄電池の蓄電量と、前記蓄電量の目標となる蓄電量目標値との差分を演算する差分演算部と、
前記蓄電池が充放電されている際に、前記差分に基づいて前記差分が抑制されるよう前記電力指令値を補正する補正部と、
を備えることを特徴する制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の制御装置であって、
前記基準指令値出力部は、
前記差分に基づいて、前記蓄電量が前記蓄電量目標値より少ない場合、前記目標値が高くなるよう前記基準指令値を変化させて出力すること、
を特徴とする制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の制御装置であって、
前記基準指令値出力部は、
前記蓄電量が前記蓄電量目標値より少ない場合における前記差分の値と、所定値とを加算して前記基準指令値を算出する算出部と、
前記第1発電装置が現在発電可能な最大の電力と、前記第1発電装置の現在発電している電力と、前記第2発電装置の最小の発電電力と、に基づいて定まる第1の値より、前記算出部で算出された前記基準指令値が低い場合、前記第1の値の前記基準指令値を出力し、前記第1の値より前記算出部で算出された前記基準指令値が高い場合、前記算出部で算出された前記基準指令値を出力する出力部と、
を含むことを特徴とする制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の制御装置であって、
前記出力部は、
前記第1発電装置の現在発電している電力と、前記第2発電装置の最大の発電電力と、に基づいて定まる第2の値より、前記算出部で算出された前記基準指令値が高い場合、前記第2の値の前記基準指令値を出力し、前記第2の値より前記算出部で算出された前記基準指令値が低い場合、前記算出部で算出された前記基準指令値を出力すること、
を特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記第1制御部は、
前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値より高い場合、前記第2発電装置が発電する電力の値を減少させるための発電電力指令値を生成し、前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値より低い場合、前記第2発電装置が発電する電力の値を増加させるための前記発電電力指令値を生成する発電電力指令値生成部と、
前記電力系統の受電電力の目標となる受電電力目標値に応じた所定値を、前記発電電力指令値に加算する加算部と、
前記加算部の加算結果と前記受電電力目標値との差に基づいて、前記第2発電装置を制御する発電装置制御部と、
を含むこと、
を特徴とする制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の制御装置であって、
前記所定値は、前記受電電力目標値と等しいこと、
を特徴とする制御装置。
【請求項10】
自然エネルギーを利用して発電するとともに発電した電力を電力系統に供給する第1発電装置と、前記電力系統に電力を供給する第2発電装置と、前記電力系統に電力を供給するか前記電力系統からの電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、を備える前記電力系統における前記第2発電装置及び前記電力貯蔵装置を制御するコンピュータに、
前記第2発電装置が発電する電力の目標となる目標値を前記第1発電装置が発電する電力の増加に応じて低下させて出力し、前記目標値を前記第1発電装置が発電する電力の減少に応じて上昇させて出力する機能と、
前記第2発電装置が発電する電力の値と前記目標値とに基づいて、前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値となるよう前記第2発電装置を制御する機能と、
前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値より高い場合、前記電力貯蔵装置が前記電力系統の電力を貯蔵し、前記第2発電装置が発電する電力の値が前記目標値より低い場合、前記電力貯蔵装置が前記電力系統に電力を供給するよう前記電力貯蔵装置を制御する機能と、
を実現させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−110792(P2013−110792A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251900(P2011−251900)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【特許番号】特許第5104991号(P5104991)
【特許公報発行日】平成24年12月19日(2012.12.19)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】